取引先から届いた納品物を前に、「検収を上げておいて」「検収書をもらっておいて」と言われたものの、検収が具体的に何を指すのか、自分が何をすればよいのか自信が持てないという方は少なくありません。検収は、納品された物やサービスが発注内容どおりかを発注者が確認し、正式に受け取る行為です。受注者が納品し、発注者が検収する、という役割の違いを押さえるだけでも、日々の受け取り作業の見通しは大きく変わります。
本記事では、検収の意味と読み方から、納品・検品・受入・検査との違い、検収の手続きの流れ、検収書の役割と書き方までを整理します。あわせて、支払期日や合格みなし、不当な検収不合格の禁止など、実務で押さえておきたい法令上の注意点を、条文の出所とともに解説します。
検収は、取引の成立や支払い、責任の所在にも関わる重要な工程です。意味を正確に理解し、自社の受け取り業務に自信を持って取り組むための材料としてご活用ください。
目次
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検収とは?意味と読み方を一文で
検収(けんしゅう)とは、納品された物やサービスが発注した内容どおりであるかを発注者が検査・確認し、問題がなければ正式に受け取ることをいいます。単に荷物を受け取る行為ではなく、数量・仕様・品質などが注文と一致しているかを確かめ、合格と判断して初めて完了する工程です。
検収を行うのは、発注した側(発注者・買主)です。受注者が納品した後、発注者がその中身を確かめて「発注どおりである」と認める、という順序で進みます。検収が完了すると、取引が成立したものとして扱われ、代金の支払いへと進みます。検収は、取引の区切りを明確にし、後のトラブルを防ぐための確認工程といえます。
検収と「納品・検品・受入・検査」の違い
検収と混同されやすい言葉に、納品・検品・受入・検査があります。どれも物の受け渡しに関わる言葉ですが、「誰が行うのか」「何をするのか」が異なります。ここでは、それぞれの違いを整理します。
| 用語 | 検収 | 納品 | 検品 | 受入 | 検査 |
|---|---|---|---|---|---|
| 行う主体 | 発注者(買主) | 受注者(売主) | 発注者または受注者 | 発注者(倉庫・現場など) | 発注者または受注者 |
| 行う内容 | 数量・仕様・品質が発注内容どおりかを確認し、合否を判断して正式に受け取る | 注文された物やサービスを発注者に納め、引き渡す | 品物そのものの数量・外観・破損・動作などを個別に確かめる | 納品物を自社の在庫・設備として受け入れ、入庫処理する | 仕様・基準に適合しているかを技術的に確かめる |
| 位置づけ | 受け取り工程の最終確認。合格で取引成立・支払いへ | 受注者側の行為。検収はこの後に発注者が行う | 品質確認の作業。検収の中で行う確認の一部 | 物を受け取る作業。合否判断までは含まないことが多い | 検収の判断材料となる確認行為 |
※各用語の役割は一般的な整理です。実際の線引きは契約や社内規程によって異なる場合があります。
検収と納品の違いは「誰が行うか」
検収と納品は、行為の主体が逆です。納品は受注者(売主)が物やサービスを引き渡す行為であり、検収は発注者(買主)がその中身を確認して受け取る行為です。納品が先にあり、それを受けて発注者が検収を行う、という順序になります。「納品は済んだが検収はこれから」という状態は、物は届いたが発注者の確認がまだ、という段階を指します。
検収と検品・受入・検査の違い(どこまでを含むか)
受入は、納品物を自社に受け入れる作業で、数量を確かめて入庫する段階までを指すことが多く、合否の判断までは含みません。検品は、品物の数量・外観・破損・動作などを個別に確かめる品質確認の作業です。
検査は、仕様や基準に適合しているかを技術的に確かめる行為です。検収は、この検品・検査の結果を踏まえ、発注内容全体と照らして「合格」と判断し、正式に受け取るところまでを含みます。受入や検品・検査が「物を確かめる作業」であるのに対し、検収は「発注どおりかを判断して受け取る工程」である点が違いです。
検収をすると何が起きるか(取引成立・支払い義務・責任の移転)
検収は単なる確認作業ではなく、取引上の節目になります。検収が完了すると、発注した取引が成立したものとして扱われ、代金の支払いへと進みます。受注者側では、検収の完了をもって売上を計上したり、請求書を発行したりするのが一般的です。
一方で、検収が済んだからといって、発注者が以後いっさい問題を指摘できなくなるわけではありません。後から契約不適合が見つかった場合にも、一定の期間内であれば対応を求められる余地があります。
ただし、気づいた不適合を定められた期間内に通知しないと権利を失うため、検収の段階でしっかり確認しておくことが重要です。支払期日や通知期間に関わる法令上のルールは、記事後半の検収で注意すべき法令と実務の落とし穴で解説します。
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検収の流れ(納品→検査→合否→検収書→支払い)
検収は、おおむね次の流れで進みます。自社の業務のどこに検収が位置づくかを確かめながら読み進めてください。
- 納品:受注者が、注文された物やサービスを発注者に納めます。納品書が添付されるのが一般的です。
- 検査・検品:発注者が、数量・仕様・品質などを発注内容や検収基準と照らして確認します。
- 合否の判断:発注内容どおりであれば合格、問題があれば不合格とします。不合格の場合は受注者に通知し、再納品・再検査となります。
- 検収完了・検収書の発行:合格と判断したら検収完了です。発注者が検収書を発行し、受注者に渡します。
- 支払い:検収完了を受けて、受注者が請求書を発行し、取り決めた支払期日までに代金を支払います。
何をもって合格とするかという検収基準は、あらかじめ契約書や検収仕様書で定めておくのが実務上の基本です。基準が曖昧なまま進めると、合格・不合格の判断で受注者とトラブルになりやすく、後から基準を一方的に厳しくすることは法令上の問題にもなり得ます。
検収のチェック項目(確認リスト)
検査・検品の段階では、次のような観点を確認します。自社の検収作業のチェックリストとしてご活用ください。
- 発注書との照合:納品書・現物が発注書の内容と一致しているか
- 品名・品番・型番:注文した品目と現物が一致しているか(型番の末尾が一文字違う、色・サイズ違いが混ざっている、といった取り違えは見落としやすい)
- 数量:発注数と納品数が合っているか、過不足がないか(「10箱」と「10個」のように、箱数と入り数の単位を取り違えないよう注意する)
- 品質・仕様:外観の傷や破損がないか、動作や仕様が基準を満たしているか
- 納期:指定した納期までに納品されているか
システム開発やソフトウェアの検収では、発注した要件・仕様をすべて満たしているか、仕様にない不要な機能が紛れ込んでいないか、実際に動かしての動作確認(テスト)まで行うのが一般的です。何をもって合格とするかは、あらかじめ検収仕様書で具体的に定めておきます。
問題を見つけたときは、その場で記録し、速やかに受注者へ連絡して対応を取り決めます。後述するとおり、商人間の取引では、不適合を見つけたら遅滞なく通知しないと権利を失う場合があるため、発見から連絡までを滞らせないことが大切です。
検収書とは?役割・記載項目・書き方
検収書は、発注者が検収を行い、納品物が発注内容どおりであることを確認した後に発行する文書です。「確かに受け取り、問題がなかった」ことを記録に残し、取引の区切りを明確にする役割を持ちます。
検収書の役割
検収書には、主に次の役割があります。発注者・受注者の双方にとって、取引の完了を裏づける書類となります。
- クレーム・トラブルの防止:発注内容どおりに受け取ったことを記録し、後の「言った・言わない」を防ぎます。
- 売上計上の基準:受注者側が検収完了をもって売上を計上する基準とする場合があります。
- 請求のタイミングの明確化:検収完了を受けて受注者が請求書を発行する、という流れを明確にします。
検収書の記載項目と書き方(記載例つき)
検収書に決まった書式はありませんが、一般的には次の項目を記載します。かっこ内は記載例です。
- タイトル(「検収書」と明記)
- 宛先(受注者の会社名・担当者名。例:「株式会社○○ 御中」)
- 発行者(発注者の会社名・住所・担当者名・押印)
- 検収日(検収を完了した日。例:「2026年10月12日」)
- 検収担当者(検収を行った担当者名)
- 商品・サービスの詳細(品名・品番・数量・金額など。例:「○○システム導入作業一式/1件/1,500,000円」)
これらを並べると、たとえば次のような一枚になります。自社の様式が決まっていない場合は、この並びをひな形にするか、取引先や会計システムが提供する検収書テンプレートを使うと記載漏れを防げます。
検 収 書
検収日:2026年10月12日
株式会社○○ 御中
下記のとおり、検収が完了したことを証します。
品名・内容 : ○○システム導入作業 一式
数量 : 1 件
金額 : 1,500,000円(税込)
注文書番号 : PO-2026-0123
納品書番号 : DN-2026-0456
検収担当者 : 購買部 △△ △△
発行者:株式会社□□
住所 :東京都〇〇区…
担当 :◇◇ ◇◇ ㊞
記載項目のうち、特に検収日は受注者側が売上を計上する日や支払期日の起算と結びつくことがあるため、実際に検査を終えた日を正確に入れます。品名・数量・金額は納品書・注文書と一致させ、注文書番号・納品書番号を控えておくと、どの取引に対する検収かを後から追いやすくなります。
検収書への押印は法律上の義務ではありませんが、改ざん防止や信用性の向上のため、発行者印を押すのが商習慣として一般的です。発行は紙でも電子でも構わず、電子化すると郵送・印刷や紙での保管にかかる手間とコストを減らせるほか、過去の検収書を取引先名や日付で検索しやすくなり、テレワークでも発行・確認ができます。電子データで受領・作成した検収書は、電子帳簿保存法の要件に沿って電子のまま保存する必要があります。
検収書と納品書・受領書・請求書の違いと発行順
検収書は、取引で交わされる書類のひとつです。誰が発行し、いつ交わされるかを整理すると、検収書の位置づけが分かりやすくなります。一般的な発行の順序は、受注者が発行する納品書、発注者が受け取りを示す受領書、発注者が検査合格を示す検収書、受注者が代金を請求する請求書、という流れです。
- 納品書(受注者が発行):何を納めたかを示す
- 受領書(発注者が発行):物を受け取ったことを示す(中身の合否は問わない)
- 検収書(発注者が発行):検査の結果、発注内容どおりだったことを示す
- 請求書(受注者が発行):検収完了を受けて代金を請求する
検収書の保存期間と印紙の要否
検収書は、取引に関して受領・作成した書類として、税務上の保存義務の対象になります。法人の場合、帳簿書類は原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保存が必要で、青色申告書を提出し欠損金額が生じた事業年度については10年間となります。個人事業主の場合は、請求書・納品書・領収書などの書類を5年間保存することとされています。
収入印紙については、検収書は原則として不要です。印紙税は、印紙税法の別表第一に掲げられた課税文書にのみ課されますが、検収書はこの課税物件に該当しないためです。ただし、代金の受取事実を記載して領収書を兼ねるような場合は、記載内容によって金銭の受取書(第17号文書)として課税される可能性があるため、記載内容には注意が必要です。
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検収で注意すべき法令と実務の落とし穴
検収は、支払いや責任の所在に関わるため、いくつかの法令が関係します。ここでは、発注者・受注者の双方が押さえておきたい論点を、条文の出所とともに整理します。従来「下請法」と呼ばれてきた法律は、2026年(令和8年)1月1日に名称・用語・条番号が改められ、「中小受託取引適正化法(取適法)」として施行されています。
正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」で、以下では略称の「取適法」で記します。本記事では現行の取適法に沿って解説します。
支払期限は受領日から60日以内(取適法)
取適法の対象となる取引では、委託事業者(発注者)は、検査を行うかどうかにかかわらず、給付を受領した日から60日以内に支払期日を定めなければならないとされています。検収が終わっていなくても、定めた支払期日が到来すれば代金を支払う必要があるという点が、検収と支払いの関係で重要です。
製造委託等代金の支払期日は、委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあつては、中小受託事業者からその委託に係る役務の提供を受けた日。以下同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。
出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)第3条第1項|e-Gov法令検索
さらに、取適法は定めた支払期日の経過後に代金を支払わないこと(第5条第1項第2号)や、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに代金を減額すること(同第3号)を禁止しています。取適法が適用されるのは資本金などの基準を満たす取引ですが、適用対象外の取引でも、後述する独占禁止法によって同様の行為が問題となる場合があります。
自社の取引が取適法の対象になるかは、①委託する取引の種類(製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託など)と、②委託事業者と中小受託事業者の規模(資本金または従業員数)の組み合わせで決まります。
資本金では、製造委託・修理委託などで委託側が3億円超(または1,000万円超〜3億円以下)、情報成果物作成・役務提供の委託などで5,000万円超(または1,000万円超〜5,000万円以下)かで線引きし、受託側がそれ以下の場合に対象となります。
2026年1月施行の改正では、この資本金基準に加えて従業員数による基準が新設されました。製造委託等では従業員300人、その他の委託などでは100人を境に、委託側がこれを超え受託側がこれ以下であれば、資本金基準を満たさなくても対象となります。
あわせて特定運送委託が対象取引に加わるなどの見直しもあるため、自社の取引が該当するかは、公正取引委員会や中小企業庁の最新資料で確認するか、法務部門・顧問弁護士に相談すると確実です。
「合格みなし」は商法と契約の定めによる
検収期間を過ぎても発注者から不合格の連絡がなければ合格とみなす、という「合格みなし」の取り扱いは、実務でよく用いられます。これは取適法が定めているものではなく、商法の検査・通知義務と、契約(検収仕様書などで定める検収期間)に基づくものです。
商法第526条は、商人間の売買では、買主は受領後に遅滞なく目的物を検査し、契約内容に適合しない点を見つけたら直ちに売主へ通知しなければ、追完や代金減額などを請求できないと定めています。直ちに発見できない不適合についても、6か月以内に発見して通知しなければ同様に権利を失います。
商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が六箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。
出典:商法 第526条|e-Gov法令検索
このため、商人間の取引では、検収で問題を見つけたら速やかに通知することが重要です。通知を怠ると、後から不適合を理由に追完や減額を求める権利を失うおそれがあります。合格みなしの具体的な期間は契約で定まるため、検収仕様書や契約書で検収期間を明確にしておくことが実務上の基本となります。
不当・一方的な検収不合格は禁止される
発注者の立場が強いことを背景に、合理的な理由なく検収を不合格にしたり、受け取りを拒んだりすることは、法令で禁止されています。取適法は、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに給付の受領を拒むこと(第5条第1項第1号=受領拒否の禁止)を、委託事業者の禁止事項として定めています。
あわせて、受領後に発注内容を変更させたり、やり直しをさせたりすること(第5条第2項第3号=不当なやり直しの禁止)も禁じています。
一 中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、中小受託事業者の給付の受領を拒むこと。
出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)第5条第1項第1号|e-Gov法令検索
取適法の対象とならない取引でも、発注者が取引上の優越的な地位を利用して、正常な商慣習に照らして不当に受領を拒んだり、支払いを遅らせたりすることは、独占禁止法が禁じる「優越的地位の濫用」に該当する可能性があります。
独占禁止法第2条第9項第5号ハは、取引相手からの商品の受領拒否や支払いの遅延などを不公正な取引方法のひとつとして定義し、第19条でその使用を禁止しています。検収の運用でも、合理的な基準に基づいて公正に判断することが求められます。
検収後の責任の所在(契約不適合責任)
検収に合格したとしても、後から発注内容と異なる点(契約不適合)が見つかった場合、発注者はただちに権利を失うわけではありません。民法では、引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約内容に適合しないとき、買主は修理・代替物の引き渡し・不足分の引き渡しによる履行の追完を請求できるとされています(民法第562条)。
ただし、権利を行使できる期間には制限があります。売買では、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないと、追完・減額・損害賠償・解除を請求できなくなります(民法第566条)。
請負でも同様に、注文者が不適合を知った時から1年以内の通知が求められます(民法第637条)。さらに前述のとおり、商人間の売買では商法第526条が優先し、受領後の検査と、より短い通知期間(隠れた不適合は6か月以内)が求められます。
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
出典:民法 第566条|e-Gov法令検索
このように、検収は「合格させれば終わり」ではなく、不適合に気づいたら期間内に通知する、という受注者・発注者双方の行動とあわせて、取引の品質を守る仕組みになっています。検収の段階で丁寧に確認しておくことが、後のトラブルを避ける近道です。
検収担当者が実務で押さえるポイント
ここまでの法令を、受け取り担当者の実務に落とすと、次の3点に整理できます。
- 不適合を見つけたら、記録して速やかに受注者へ通知する(通知が遅れると権利を失う場合があります)。
- 検収期間と合格基準は、契約書や検収仕様書であらかじめ明確にしておく。
- 支払期日は検収の完了を待たずに到来することがあるため、支払管理は検収の進捗と切り離して確認する。
検収業務・検収書発行をシステムで効率化する
検収は、発注・入荷・請求照合・支払いといった一連の購買業務の一部です。これらを紙やメール、表計算ソフトで個別に管理していると、検収の記録が担当者ごとにばらつき、支払いとの突き合わせや後からの確認に手間がかかりがちです。
購買管理システムを使うと、発注から入荷検収、請求書との照合、支払いまでを一つの仕組みで管理し、検収の記録をデータとして残せます。承認ワークフローと組み合わせれば、誰がいつ検収したかが明確になり、検収基準に沿った運用も徹底しやすくなります。
こうした購買業務の課題が実際の現場でどう現れるかについて、法人向けの購買管理サービスを提供する株式会社トヨタエンタプライズの有坂氏は、導入相談で多い悩みを次のように説明しています。
ご相談として多いのは、間接材の購買が現場主導になっていて、会社全体で何をどこから買っているのか把握しきれていないというお悩みです。各部署が個別にECサイトや取引先を使って購入していると、価格のばらつきが出やすくなりますし、内部統制や監査の観点でも説明しづらい取引が残りやすくなります。もう一つ大きいのが、経理部門や総務部門の負担です。月末に請求書処理が集中したり、小口現金管理や買い回りに工数がかかり、本来の業務に十分な時間を割けないケースは少なくありません。
ここでは、検収を含む購買プロセスをシステム化できるサービスの例として、受取検収や発注から支払いまでの一元管理を公式に備える2つを紹介します。いずれも購買管理システムの一例です。
PROCURESUITE(プロキュアスイート)

PROCURESUITE(プロキュアスイート)は、DAIKO XTECH株式会社が2003年から提供する購買・調達管理システムです。都度見積購買・カタログ購買・支払請求処理の3つのプロセスに対応し、見積から検収までの購買業務を一元管理します。
公式サイトでは、購入依頼から検収まですべての業務に電子承認のワークフローを適用できると説明されています。発注金額による承認ルートの自動設定にも対応し、購買情報の一元化と可視化、コンプライアンス強化を狙いとしています。
会計システム(SuperStreamなど)との連携にも対応します。SaaS版・オンプレミス版の両方で提供され、電子帳簿保存法に対応し、国税庁公認の機関であるJIIMA(日本文書情報マネジメント協会)の認証を取得しています。公式サイトでは、発注企業300社・受注企業40,000社を超える利用実績が示されています。料金は要問い合わせです。
べんりねっと

オフィス用品通販で知られるコクヨグループの株式会社カウネットが運営するのが、間接材購買に特化したクラウド型購買プラットフォーム「べんりねっと」です。1997年の提供開始以来、5,700社以上への導入実績があります。オフィス用品や工具・安全具など、購買先が分散しがちな間接材を一つのプラットフォームに集約して管理できます。
機能として受取検収(検収機能)を備え、納品後の検収業務をシステム化できます。発注承認のワークフロー、見積商談、部門コード・費目コードによる支出管理に加え、SAP・OracleなどのERPや各種サプライヤーとの連携にも対応します。大手・中堅企業向けの本体に加え、導入費用・システム使用料が0円から始められる「べんりねっとL(ライト)」も用意されています。本体の料金は要問い合わせです。
検収に対応する購買管理システムの主な違いは、以下の比較表でご確認ください。
| サービス名 | PROCURESUITE(プロキュアスイート) | べんりねっと |
|---|---|---|
| 提供会社 | DAIKO XTECH株式会社 | 株式会社カウネット(コクヨグループ) |
| 提供形態 | クラウド / オンプレミス | クラウド |
| 検収機能 | ● | ● |
| 承認ワークフロー | ● | ● |
| カタログ購買 | ● | ● |
| ERP・会計連携 | ● | ● |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ (ライト版は0円〜) |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ (ライト版は0円〜) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト |
ここで紹介したサービスのほかにも、検収を含む購買業務に対応できるシステムは数多くあります。以下の記事では、購買管理システムを直接材・間接材・製造業といった切り口から比較し、選び方や費用相場もあわせて解説しています。導入を検討される方は、ぜひこちらもご覧ください。
まとめ
検収とは、納品された物やサービスが発注内容どおりかを発注者が確認し、正式に受け取る工程です。受注者が納品し、発注者が検収するという役割の違いを押さえ、数量・品質・納期などを発注内容と照らして確認することが基本となります。
検収は取引の成立や支払い、責任の所在にも関わります。支払期日は受領日から60日以内に定める必要があり、商人間の取引では不適合を見つけたら速やかに通知しないと権利を失う場合があります。検収基準を契約で明確にし、記録をきちんと残すことが、トラブルを避ける近道です。検収を含む購買業務の負担が大きい場合は、購買管理システムによる効率化も検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 検収とは何ですか?
A. 検収(けんしゅう)とは、納品された物やサービスが発注した内容どおりかを発注者が検査・確認し、問題がなければ正式に受け取ることをいいます。数量・仕様・品質などが注文と一致しているかを確かめ、合格と判断して完了する工程で、検収が済むと取引が成立したものとして扱われ、代金の支払いへと進みます。
Q. 検収書とは何ですか?
A. 検収書とは、発注者が検収を行い、納品物が発注内容どおりであることを確認した後に発行する文書です。「確かに受け取り、問題がなかった」ことを記録に残し、取引の区切りを明確にする役割を持ちます。決まった書式はありませんが、一般的にはタイトル・宛先・発行者・検収日・検収担当者・商品やサービスの詳細を記載します。
Q. 検収と納品はどちらが先ですか?
A. 検収は納品の後に行います。納品は受注者(売主)が物やサービスを引き渡す行為で、検収は発注者(買主)がその中身を確認して受け取る行為です。受注者の納品が先にあり、それを受けて発注者が検収する、という順序になります。「納品は済んだが検収はこれから」という状態は、物は届いたが発注者の確認がまだ、という段階を指します。
Q. 検収と検品・受入はどう違いますか?
A. 検収は「発注どおりかを判断して正式に受け取る工程」であるのに対し、検品・受入は検収の中で行う作業です。検品は品物の数量・外観・破損・動作などを個別に確かめる品質確認、受入は納品物を在庫や設備として受け入れる入庫作業を指し、検収はこれらの結果を踏まえて合格と判断するところまでを含みます。
Q. 検収書に収入印紙や押印は必要ですか?
A. 検収書に収入印紙は原則として不要で、押印も法律上の義務ではありません。印紙税は印紙税法の別表第一に掲げられた課税文書にのみ課されますが、検収書はこの課税物件に該当しないためです。ただし、代金の受取事実を記載して領収書を兼ねる場合は、金銭の受取書(第17号文書)として課税される可能性があります。押印は義務ではありませんが、改ざん防止や信用性の向上のため、商習慣として押すことが一般的です。
出典・参考資料(1件)
Q. 検収書の保存期間はどのくらいですか?
A. 検収書の保存期間は、法人が原則7年間、個人事業主が5年間です。法人の帳簿書類は、確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保存が必要で、青色申告書を提出し欠損金額が生じた事業年度については10年間となります。個人事業主は、請求書・納品書・領収書などの書類とあわせて5年間保存することとされています。検収書も取引に関して受領・作成した書類に当たるため、同じ区分で保存します。
Q. 検収が終わっていなくても代金を支払う必要はありますか?
A. 取適法(旧・下請法)の対象となる取引では、検査が終わっているかどうかにかかわらず、受領日から60日以内に定めた支払期日が到来すれば代金を支払う必要があります。取適法第3条第1項は、委託事業者(発注者)が給付の内容について検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日から起算して60日の期間内で、かつできる限り短い期間内に支払期日を定めなければならないと規定しています。
「検収が終わっていないから支払わない」という扱いは認められない点に注意が必要です。
Q. 検収の期間を過ぎると自動的に合格になりますか?
A. 「検収期間を過ぎたら合格とみなす」という扱いは、取適法が定めているものではなく、商法第526条と契約(検収仕様書などで定めた検収期間)に基づくものです。商法第526条は、商人間の売買では買主は受領後に遅滞なく検査し、契約内容に適合しない点を見つけたら直ちに売主へ通知しなければ、追完や代金減額などを請求できないと定めています。
したがって、検収で問題を見つけたら速やかに通知することが重要で、合格みなしの具体的な期間は契約で明確にしておく必要があります。
出典・参考資料(1件)
Q. 検収に合格した後に不具合が見つかったらどうなりますか?
A. 検収に合格した後でも、発注内容と異なる点(契約不適合)が見つかれば、一定の期間内であれば修理・代替品の引き渡しなどの追完や代金の減額を求められます。民法では、買主は不適合を知った時から1年以内に通知すれば、追完・減額・損害賠償・解除を請求できるとされています(第566条)。
ただし商人間の売買では商法第526条が優先し、受領後の検査と、より短い通知(隠れた不適合は6か月以内)が求められます。検収に合格すると一切責任を追及できなくなるわけではありませんが、気づいた不適合は期間内に通知しないと権利を失う点に注意が必要です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















