自社で公開・運用するWebサービスや社内システムの弱点を、攻撃を受ける前に自分たちで継続的に洗い出したい。そう考えて脆弱性診断ツールの導入を検討し始めても、製品ページの機能説明だけでは「実際の精度はどうか」「運用はまわせるか」が読み取れず、どのツールを信じてよいか判断しづらいのではないでしょうか。
そこで手がかりになるのが、第三者レビューサイトの満足度や口コミといった「評判・評価」です。ただし評判はそのまま鵜呑みにできるものではなく、機能・診断対象・料金・サポートと突き合わせて初めて自社に合うかを判断できます。評判をどう読み解き、どの観点で比べれば失敗しないのでしょうか。
本記事では、自社で回す自動診断型の脆弱性診断ツールを、第三者サイトの評判・評価と、診断対象・診断方式・料金・サポートを1つの表で突き合わせて比較・解説します。評判・口コミの正しい読み解き方から、選び方の観点、タイプ別の特徴、無料ツールの位置づけまで整理しました。自社の規模・体制・予算に合うツールを絞り込むための検討材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なツールを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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脆弱性診断ツールとは?専門家に委託する診断サービスとの違い
脆弱性診断ツールは、Webアプリケーション・サーバー・ネットワーク・クラウド環境などに潜むセキュリティ上の弱点(脆弱性)を、専用のソフトウェアが自動でスキャンして検出・一覧化するツールです。多くはクラウド型(SaaS)で提供され、診断対象のURLや環境を登録しておけば、スケジュール実行で繰り返し診断できます。
同じ「脆弱性診断」でも、専門の技術者に都度依頼して報告書を受け取る委託型の診断サービスとは、自社で運用するかどうかという点が大きく異なります。本記事は、情報システム部門や開発チームが自社で継続的にまわす「ツール型」に絞って扱います。専門家に委託する診断サービス自体の比較は、別記事「脆弱性診断サービスおすすめ比較|診断方法・費用相場・選び方」で詳しく解説しています。
脆弱性診断ツールを導入する目的とできること
脆弱性診断ツールの目的は、攻撃者に悪用される前に自社システムの弱点を把握し、優先順位をつけて是正することにあります。SQLインジェクションやクロスサイト・スクリプティング(XSS)といった代表的な弱点を機械的に検査し、検出結果を重大度とともにレポートします。
公的機関が示す基本的な診断項目を見ると、ツールが検出対象とする脆弱性の範囲がつかめます。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開する「ウェブ健康診断仕様」は、Webアプリケーションの基本的な診断項目として次の13種を挙げています。
(A) SQL インジェクション/(B) クロスサイト・スクリプティング/(C) CSRF(クロスサイト・リクエスト・フォージェリ)/(D) OS コマンド・インジェクション/(E) ディレクトリ・リスティング/(F) メールヘッダ・インジェクション/(G) パス名パラメータの未チェック/ディレクトリ・トラバーサル/(H) 意図しないリダイレクト/(I) HTTP ヘッダ・インジェクション/(J) 認証/(K) セッション管理の不備/(L) 認可制御の不備、欠落/(M) クローラへの耐性
出典:ウェブ健康診断仕様(「安全なウェブサイトの作り方」別冊)|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、2012年12月(PDF)
この仕様は検査パターンを基本的な範囲に絞ったものなので、これだけで安全が保証されるわけではありません。より網羅的なリスク分類としては、OWASP Foundation が公開する「OWASP Top 10」が広く参照されます。OWASP Top 10は、次のように位置づけられています。
The OWASP Top 10 is a standard awareness document for developers and web application security.(OWASP Top 10は、開発者とWebアプリケーションセキュリティのための標準的な啓発文書です。)
出典:OWASP Top 10|OWASP Foundation(owasp.org)
OWASP Top 10は検査項目のチェックリストや認証基準ではなく、重大なリスク領域についての共通認識を示す文書です。そのため「全項目を検出できる」といった断定ではなく、「代表的なリスク領域をカバーする」という見方で各ツールの対応範囲を確認するのが実態に合っています。
最新版は2025年版で、アクセス制御の不備(Broken Access Control)やインジェクション、ソフトウェアサプライチェーンの不具合などが挙げられています。各ツールが「OWASP Top 10に対応」と示す場合も、どのリスク領域をどこまで検出できるかを個別に確認するのが安全です。
継続的に診断をまわす意義は、業界基準や規格が定期的な脆弱性スキャンを求めている点にも表れています。たとえばクレジットカード業界のセキュリティ基準PCI DSSでは、外部脆弱性スキャンを少なくとも3か月に1回実施することが求められています。脆弱性は時間とともに新たに見つかるため、一度きりの診断では守りきれません。
出典・参考資料(1件)
- 出典:Payment Card Industry Data Security Standard v4.0.1 要件11.3.2|PCI Security Standards Council(PDF)
ツールによる自動診断と手動診断・ペネトレーションテストの違い
ツールによる自動診断と、専門家による手動診断・ペネトレーションテストは、目的も実施方法も異なります。業界標準団体であるPCI Security Standards Councilは、脆弱性スキャンとペネトレーションテストの違いを次のように整理しています。
Purpose — Vulnerability Scan: Identify, rank, and report vulnerabilities … / Penetration Test: Identify ways to exploit vulnerabilities to circumvent or defeat the security features of system components.(目的 — 脆弱性スキャン:脆弱性を特定・ランク付け・報告する/ペネトレーションテスト:脆弱性を悪用してシステムの防御機能を回避・突破する方法を特定する)
How — Vulnerability Scan: Typically a variety of automated tools combined with manual verification of identified issues. / Penetration Test: A manual process … resulting in a comprehensive report.(実施方法 — 脆弱性スキャン:通常はさまざまな自動ツールと、検出された問題の手動確認の組み合わせ/ペネトレーションテスト:手動のプロセスで、包括的な報告書にまとめられる)
出典:Information Supplement: Penetration Testing Guidance v1.1 §2.1|PCI Security Standards Council、2017年9月(PDF)
つまりツールによる自動診断は、既知の弱点を広く・短時間で検出して一覧化することに向いています。一方でペネトレーションテストは、攻撃者の視点で「実際に悪用できるか」を時間をかけて手動で検証します。脆弱性診断ツールは前者を自社で継続的にまわす手段であり、両者は役割が異なるため、必要に応じて使い分けたり併用したりすることになります。
自動診断と手動のペネトレーションテストを、目的・費用・選び方の面からどう使い分ければよいかをさらに詳しく知りたい方は、両者の違いを整理した次の記事もあわせてご覧ください。
ペネトレーションテストと脆弱性診断の違いを比較|目的・費用・選び方まで解説
セキュリティ診断の導入を検討し始めると、「ペネトレーションテスト」と「脆弱性診断」という似た言葉に出会い、どちらを頼めばよいのか迷う場面が少なくありません。名前は違っても目的が近そうに見えるため、社内や取引先に説明するときも整理に困りがちで…
脆弱性診断ツールの評判・口コミはどう読み解く?
ここからは、脆弱性診断ツールの評判・口コミをどう受け止めれば判断を誤らないかを解説します。評判は有力な手がかりですが、見方を誤ると実態とずれた印象で選んでしまうおそれがあります。
レビュー評価は「点数」と「件数」をセットで見る
第三者のレビューサイトでは、各ツールに5点満点の満足度と、その点数を構成する口コミ件数が表示されます。ここで大切なのは、点数だけでなく件数を必ずセットで見ることです。数十件のレビューに基づく4.2点と、数件しかないレビューの4.6点とでは、評価の安定度がまったく異なります。件数が少ない評価は、たまたま高評価・低評価のユーザーに偏っているだけのこともあり、わずかな投稿で点数が大きく動きます。
そのため、点数の高さだけで順位づけするのではなく、十分な件数のレビューがあって、かつ評価が高いかという視点で読むと、実態に近い評判がつかめます。
ベンダー発信の評価語と、実ユーザーの評価を切り分ける
「業界No.1」「圧倒的な実績」「定評のある」といった表現は、多くの場合そのツールの提供元や、特定ツールへ送客する比較記事が発信しているものです。こうした評価語は根拠となる調査条件や出典が示されていないことが多く、実際の利用者の評価とは性質が異なります。
評判を調べるときは、その評価が「誰の発信か」を切り分けることが欠かせません。提供元や送客目的のサイトが掲げる評価語は参考程度にとどめ、実際に導入した利用者の声を重く見ると、過度な期待で選んで後悔するリスクを減らせます。利用者の声は、第三者レビューサイトの口コミや、具体的な数値を伴う導入事例から拾えます。
第三者評価が見つからないツールはどう見極めるか
国内の第三者レビューサイトは、すべてのツールを網羅しているわけではありません。提供開始が新しい製品や、海外発の製品、依頼型の診断サービスは、国内の公開レビューが少なかったり見つからなかったりします。レビューが無いことは評価が低いことを意味しません。
評価が見つからないツールは、公式が公開している導入実績数や導入事例(できれば具体的な数値や業種が示されたもの)、取得している認証、そして無料トライアルで自社環境を実際に診断した使い心地で見極めるのが現実的です。海外製品は海外のレビューサイトに多数の評価があることもありますが、利用者層や評価の基準が国内と異なる点を踏まえて参考にします。
検出結果の重大度(CVSS)を理解しておく
評判や使い勝手を読み解くうえで、各ツールが検出結果に付す「重大度」の意味を知っておくと役立ちます。多くのツールは、脆弱性の深刻さを表す国際的な共通指標CVSS(共通脆弱性評価システム)に基づいて重大度を表示します。CVSSは重大度を次の5段階と0.0〜10.0の数値で標準化しています。
None: 0.0 / Low: 0.1 – 3.9 / Medium: 4.0 – 6.9 / High: 7.0 – 8.9 / Critical: 9.0 – 10.0
出典:Common Vulnerability Scoring System (CVSS) v4.0 Specification Document|FIRST.org(first.org)
「検出件数が多い」という口コミは、裏を返せば誤検知(実際には問題でないものを警告すること)が多い可能性も含みます。重大度の基準を理解しておくと、口コミで語られる「精度」や「検出の多さ」を、自社にとって意味のある指標として読み替えられます。
失敗しない脆弱性診断ツールの選び方
ここからは、評判を踏まえたうえで自社に合うツールを見極める観点を整理します。前節の評判・口コミの読み解き方を土台に、機能・運用・コストの3つの観点から確認していきます。
診断対象と検出精度・誤検知で見極める
まず、自社が守りたい対象をツールが診断できるかを確かめましょう。診断対象はツールによって、Webアプリケーション・ネットワーク(プラットフォーム)・クラウド設定・コンテナやIaC・ソースコードと得意領域が分かれます。自社のシステム構成に対し、何をどこまで検出できるかが最初の分岐点です。
次に検出精度と誤検知への対処です。自動スキャンは既知の弱点を広く拾える一方で、誤検知が一定数まざります。誤検知の精査に追われると運用が立ちゆかなくなるため、検出結果を重大度で絞り込めるか、誤検知を除外・学習できるかを確認しておくと、導入後の負担を見積もれます。
料金体系とサポート体制を確かめる
料金は、月額・年額で継続的に診断し放題のモデルと、診断対象数やスキャン回数に応じて課金されるモデルに大きく分かれます。自社で繰り返し診断したいなら継続課金型、特定のタイミングだけ診断したいならスポット型が向くなど、運用頻度に合わせて選ぶのが基本です。公開価格がなく個別見積もりのツールも多いため、診断対象の規模を伝えて早めに見積もりを取ると比較しやすくなります。
サポート体制も、自社に専任のセキュリティ担当がいない場合はとくに重要です。検出結果の読み方や是正方法を相談できるか、日本語での問い合わせに対応しているか、海外製ツールであれば国内の窓口や代理店があるかも確かめておきたい点です。
CI/CD連携・継続運用のしやすさで選ぶ
自社開発のサービスをリリースのたびに診断したい場合は、開発の流れに診断を組み込めるかが決め手になります。GitHub ActionsやJenkins、GitLab CIといったCI/CDパイプラインと連携でき、プルリクエストやデプロイのタイミングで自動スキャンを走らせられるツールなら、診断を日々の開発に自然に溶け込ませられます。
スケジュール実行で定期診断を自動化できるか、検出結果をチケット管理ツール(JiraやServiceNowなど)に連携して是正まで追えるかも、継続運用のしやすさを左右します。情報システム部門だけでなく開発チームが主体的に使うなら、これらの運用面の確認が欠かせません。
タイプ別に見る脆弱性診断ツール
脆弱性診断ツールは、使い方の違いから大きく4つのタイプに分けられます。自社の体制・予算・運用したい形に照らして、どのタイプが合うかの当たりをつけておくと、個別の製品比較がしやすくなります。
クラウド型の自動診断ツール(SaaS)
ブラウザから診断対象のURLや環境を登録し、スケジュール実行で自動スキャンできるタイプです。サーバーの用意や専用ソフトのインストールが不要なものが多く、情報システム部門が自社で継続的に運用しやすいのが特徴です。国産のツールには日本語の画面・サポートが整っているものが多く、はじめて自社運用する企業の入り口になりやすいタイプです。
専門家レビュー併用型(ハイブリッド)
自動スキャンに、専門家による手動確認や誤検知の精査を組み合わせて精度を高めるタイプです。ツールの手軽さと、手動診断ならではの深さの両方を取り入れられるため、自動診断だけでは不安が残る重要なシステムや、検出結果の判断に自信が持てない組織に向きます。
このタイプは、自動診断を自社で回しつつ必要なときに専門家のレビューを足せるものから、診断そのものを依頼する都度型まで幅があります。自社でどこまで日常的に運用したいのか、どこから専門家に任せたいのかを基準に、各サービスの自動診断部分と依頼部分の切り分けを確認して選びます。
グローバル製品・プラットフォーム型
海外発の高機能な製品群です。手元のアプリやシステムを精密にスキャンするツールから、組織全体の資産を継続的に棚卸しして管理する脆弱性管理(VM)プラットフォームまで守備範囲が広く、高度な機能や大規模な資産管理を求める場合の選択肢になります。国産のクラウド型と違い、日本語対応や国内での調達窓口を確認する必要がある点が選定のポイントです。
スポット自動診断とVM(脆弱性管理)プラットフォームの違い
海外製の高機能製品は、特定のシステムをその場で診断する「スポット的な自動診断」よりも、組織全体の資産を継続的に棚卸しし、脆弱性を管理し続ける「脆弱性管理(VM)」に軸足を置くものが多く見られます。自社の課題が「特定のWebアプリを自動診断したい」のか「全社の資産を継続管理したい」のかで、適したタイプが変わります。
海外製品は機能面の評価が高くても、日本語のドキュメント・サポートが英語前提だったり、国内の販売代理店を通じた調達が必要だったりすることがあります。機能の評価と、日本語での運用のしやすさは分けて確かめるのが安全です。
全社の資産を継続的に棚卸しして管理する用途に絞って比較したい場合は、脆弱性管理ツールを専門に比較した次の記事も候補選びの助けになります。
無料のソフトウェア型(OSS)
ライセンス費用がかからないオープンソースの診断ツールです。費用を抑えて一次診断を始めたい場合や、検証・学習目的に向きますが、導入・運用・結果の精査をすべて自前でまかなう必要があります。強みと限界、有料ツールへ切り替える損益分岐については、後述の「無料で使える脆弱性診断ツール」で詳しく整理します。
30秒でできる脆弱性診断ツール選定診断
自社がどのタイプのツールに向いているか、判断が難しいケースもあります。そのような場合でも、貴社の状況に合わせて最適なツールを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しました。ぜひご活用ください。
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【比較表】脆弱性診断ツールを機能・診断対象・料金で比較
ここからは、主要な脆弱性診断ツールを、タイプ・診断対象・診断方式・料金・無料トライアル・CI連携・日本語サポートという公式情報で確かめられる軸で比較します。前述の評判の読み解き方とあわせて、評判は各社の実績や無料トライアルで確かめつつ、機能と料金はこの表で突き合わせると、自社に合う候補を絞り込めます。
| サービス名 | Aikido Security | AeyeScan | Securify | VAddy | SCT SECURE クラウドスキャン | Shisho Cloud | CoWorker 脆弱性診断サービス | Vex | GMOサイバー攻撃 ネットde診断 ASM | Cloudbric脆弱性診断 | Nessus | Burp Suite | Snyk | Qualys VMDR | Tenable Vulnerability Management | Rapid7 InsightVM | HCL AppScan |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | クラウド型自動診断SaaS | クラウド型自動診断SaaS | クラウド型自動診断SaaS | クラウド型自動診断SaaS | クラウド型自動診断SaaS | クラウド型自動診断SaaS | 専門家レビュー併用(ハイブリッド) | 専門家レビュー併用(ハイブリッド) | 専門家レビュー併用(ハイブリッド) | 専門家レビュー併用(ハイブリッド) | グローバル製品・プラットフォーム型 | グローバル製品・プラットフォーム型 | グローバル製品・プラットフォーム型 | グローバル製品・プラットフォーム型 | グローバル製品・プラットフォーム型 | グローバル製品・プラットフォーム型 | グローバル製品・プラットフォーム型 |
| 診断対象 | Webアプリ・クラウド設定・コンテナ・IaC・ソースコード | Webアプリ・SPA・API・Androidアプリ | Webアプリ・API・クラウド設定(CSPM)・外部資産(ASM) | Webアプリ・API(REST) | Webサイト・ネットワーク機器(IP/FQDN単位) | クラウド設定(AWS・Google Cloud/CSPM)・ソースコード管理(GitHub) | ソースコード・設計書・Webアプリ・API | Webアプリ・API(REST)・SPA/Ajax | Webアプリ・スマホアプリ・クラウド・ネットワーク ほか(ASMは外部公開資産) | Webサイト・Webアプリ・API・プラットフォーム・スマホアプリ | ネットワーク・OS・設定/コンプライアンス監査・クラウド設定(WebアプリとIaCはExpert) | Webアプリ・API | ソースコード・依存関係・コンテナ・IaC・Webアプリ/API | 資産全般・ネットワーク・クラウド設定(脆弱性管理VM) | ネットワーク/OS資産・クラウド資源・Webアプリ(別製品) | ネットワーク・資産全般(脆弱性管理VM) | Webアプリ・API・モバイル・ソースコード・OSS |
| 診断方式 | ツール自動 | ツール自動(AI巡回) | ツール自動(DAST) | ツール自動(DAST) | ツール自動(毎日自動) | ツール自動(CSPM) | AI自動解析+専門家レビュー | ツール自動(DAST)+手動シナリオ診断 | 手動診断+ツールASM | 専門家手動中心(クイックプランは自動スキャン) | ツール自動 | 手動ツール+スキャナ併用(DAST版は自動スキャン) | ツール自動(SAST・SCA・Container・IaC・DAST) | ツール自動 | ツール自動 | ツール自動 | ツール自動(DAST/SAST/IAST/SCA、製品により異なる) |
| 料金 | 初期費用 要お問い合わせ/月額5万円台〜(年間契約・利用者10人まで) | 要お問い合わせ(個別見積もり) | 月額5万円〜(脆弱性診断STARTER・年間60万円) | 初期費用 0円/月額19,800円〜(税別) | 初期設定費用 60,000円(初年度のみ)/年額 564,000円〜(初年度・3IP/FQDNまで、税抜) | 要お問い合わせ | 50万円〜(公式) | 要お問い合わせ(年間ライセンス) | 手動診断:個別見積/ネットde診断ASM:月額40,000円〜 | 要お問い合わせ | 年額 USD 4,790〜(Professional・1年、公式米ドル) | Community版 無料/Professional $499(期間は公式に明記なし)/DAST 要お問い合わせ | Free $0/Team $25/月〜/Enterprise 要お問い合わせ(クレジット制) | 要お問い合わせ(公開価格なし) | 年額 USD 3,500〜(100資産・1年、公式米ドル) | 要お問い合わせ(公式ページに金額記載なし) | 要お問い合わせ |
| 無料トライアル/無料プラン | 無料プランあり(2名まで) | 無料トライアルあり(2サイト) | 無料トライアルあり | 無料トライアルあり(1週間) | 簡易検査キャンペーンあり(機能トライアルではない) | 記載なし | 記載なし | 無料トライアルあり | 記載なし | 記載なし | 無料トライアルあり(期間は公式で未確認) | Community版あり(無料) | 無料プランあり(Free) | 無料トライアルあり(30日間) | 無料トライアルあり | 無料トライアルあり(条件は要確認) | 無料トライアルあり(ASoC・Standard、条件は要確認) |
| CI/CD連携 | 対応(IDE・Gitリポジトリ連携) | 対応(API連携) | 対応(API実行) | 対応(API・CLI・cron) | 記載なし | GitHub連携(Policy as Code) | —(診断サービス) | 記載なし | 記載なし | —(診断サービス) | 記載なし | DAST版が対応(Jenkins・GitHub Actions・GitLab CI ほか) | 対応(GitHub Actions・Jenkins・CircleCI ほか) | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 対応(Jenkins・Azure DevOps・GitHub Actions ほか) |
| 日本語サポート | あり(日本語UI・ドキュメント、AndGoが導入・運用を支援) | あり | あり(メール、営業日10〜18時) | あり | あり | あり(国産・日本語対応) | あり | あり | あり | あり(日本法人・日本語窓口) | 英語前提(公式はサポート依頼を英語とする/国内代理店経由は要確認) | 公式に記載なし | 要確認(日本法人・日本語サイトあり、サポート言語は未確認) | 要確認(日本語ページあり、サポート窓口は未確認) | 英語前提(公式はサポート依頼を英語とする/パートナー経由は要確認) | 要確認(日本語サイトあり、サポート言語は未確認) | 要確認(日本語ページ・ヘルプあり、UI・サポート言語は未確認) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※料金・機能は2026年10月時点の各社公式情報にもとづきます。料金が非公開のサービスは「要お問い合わせ」と記載しています。診断対象・機能の実際の搭載状況や提供形態(標準・オプション等)は変わることがあるため、最新の内容は各社公式サイトでご確認ください。
脆弱性診断ツール各社の紹介
ここからは、比較表で取り上げた各ツールを、診断対象・診断方式・料金・サポート・実際の評価とあわせて個別に紹介します。前述の4タイプのうち、自社で回すツール型に当たる3タイプを順に見ていきます。
クラウド型の自動診断ツール(SaaS)
ブラウザから登録して自社で継続的に自動スキャンできる、クラウド型のツールを紹介します。
1. Aikido Security(開発元 Aikido Security BV/日本提供元 株式会社AndGo)

Aikido Securityは、依存関係やソースコードの検査、クラウド設定の点検、動的診断(DAST)などを1つの画面にまとめたオールインワン型のセキュリティSaaSです。開発元はベルギーのAikido Security BVで、日本では株式会社AndGoが正規代理店として提供しています。
開発の初期段階からセキュリティを組み込むDevSecOpsを想定しており、自社でアプリを内製する開発チームが継続的に使う設計です。検出した脆弱性には修正コードのプルリクエストを自動生成するAutoFixを備え、内容を人がレビューしてマージする流れで是正まで進められます。
料金はAndGo経由で月額5万円台から(年間契約・利用者10人まで)利用でき、2ユーザーまでの無料プランも用意されています。管理画面・ドキュメントの日本語対応やAndGoによる導入・運用支援、日本円での請求に対応する点は、海外発のツールを自社運用するうえでの確認材料になります。
検出された脆弱性のアラートが増えすぎると、かえって対応がまわらなくなる点は、自動診断を自社で運用するうえで気になるところです。この運用面の課題について、提供元の株式会社AndGo 代表取締役の原氏は次のように話します。

当社がよくお聞きするのは、「アラートが多すぎて、何が重要か分からなくなって放置が始まる」という悩みです。Aikido Securityは、バラバラだったアラートを統一し、対応すべきアラートを絞れるようにします。結果として、消し込み工数を減少でき、セキュリティ運用を“手に負える状態”に寄せていけます。
2. AeyeScan(エーアイスキャン)(株式会社エーアイセキュリティラボ)

株式会社エーアイセキュリティラボが開発・提供する、クラウド型(SaaS)のWebアプリケーション脆弱性診断ツールです。専用サーバーの構築やソフトのインストールは不要で、診断対象のURLを登録するとブラウザから診断を始められます。
AIが利用者の操作に近い形でサイト内を自動巡回し、診断シナリオの生成や画面遷移図の作成までを自動化します。SPAやログイン後の画面にも対応し、診断対象はWebアプリケーションに加え、オプションのAPI、2026年9月に提供開始されたAndroidアプリへと広がっています。
料金はサイト数や用途に応じた個別見積もりで、15日間の「One Shot」と1年間・サイト数無制限の「Business」があり、いずれも診断回数は無制限です。公式サイトでは有償契約500社以上(2026年10月時点)の導入を掲げています。提供元の発表によると、ITRの調査で2024年度のSaaS型Webアプリケーション脆弱性診断・管理市場の売上金額シェア1位とされています。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:AIセキュリティラボ、SaaS型Web脆弱性診断・管理市場でシェア1位(ITR調査)|ScanNetSecurity(記事)
3. Securify(セキュリファイ)(株式会社スリーシェイク)

ASM(攻撃対象領域管理)と脆弱性診断を1つのサービスで扱える、株式会社スリーシェイクのクラウド型診断ツールです。自動巡回スキャン(DAST)を中核に、Web・APIの診断からクラウド設定の点検(CSPM)、SBOMの出力までを含む6系統の機能を備えています。
画面遷移の巡回から疑似攻撃の送信、応答の検証までを自動で実行し、診断の日時や頻度をスケジュール指定できます。API経由で診断を実行する機能も備わっており、CI/CDパイプラインに組み込んでデプロイ後に自動診断を走らせる運用にも対応します。
脆弱性診断は月額5万円(年間60万円・検査対象1IP/FQDN)のSTARTERから始められ、診断回数に制限はありません。検査対象を増やせるBASICは月額10万円からで、最短即日で使える無料トライアルも用意されています。
4. VAddy(バディ)(株式会社ビットフォレスト)

開発の流れに診断を組み込んで継続的にスキャンしたい開発チームに向く、株式会社ビットフォレストのクラウド型Webアプリケーション脆弱性診断ツールです。利用者自身が診断対象を検査するDAST方式で、国内SaaS型WAF「Scutum」と同じチームが開発・運用しています。
WebAPI・コマンドラインツール・cronと連携でき、リリース前や夜間にスキャンを繰り返し自動実行できます。スキャン回数は無制限で、WebアプリケーションのほかAPIサーバー(REST API)も検査対象にできるほか、ログインが必要なアプリケーションは記録済みの情報で自動ログインしながら診断します。
初期費用は0円で、月額19,800円のProfessionalから月額99,800円のAdvancedまで、検査できる脆弱性の項目数(5〜18項目)に応じた3つのプランがあります(いずれも税別)。1ヶ月単位で契約でき、1週間の無料トライアルで試せます。
5. SCT SECURE クラウドスキャン(三和コムテック株式会社)

Webサイトとネットワーク機器を、インターネット経由で毎日自動で診断するクラウド型のスキャンサービスです。三和コムテック株式会社が2004年から提供しており、ソフトのインストールや機器の設置をせずにIP・FQDN単位で継続的に診断できます。
PCI DSSが定める外部脆弱性診断(ASV診断)と同じテスト内容を採用し、ASV資格を持つ診断エンジンを使用します。SQLインジェクションやXSSといったWeb系の項目に加え、OS・データベース・各種ポートまでを検査対象とし、検知した脆弱性は優先順位を付けてレポートに出力します。
料金は年単位のライセンス制で、3IP/FQDNまでであれば初年度は年額564,000円(ライセンス504,000円+初期設定費用60,000円、いずれも税抜)、2年目以降は504,000円です。公式サイト自身が、幅と深さでは専門家による手動診断が上回るとしたうえで、本サービスを継続的な定期診断にあたるものと位置づけています。
6. Shisho Cloud(GMO Flatt Security株式会社)

GMO Flatt Security株式会社が開発する、国産のクラウドセキュリティ診断SaaSです。AWSやGoogle Cloudといった自社のクラウド環境と、GitHub上のソースコード管理環境を対象に、設定の不備や構成上のリスクを自動的・継続的に検査します。
クラウド設定の管理(CSPM)を中核とし、CIS BenchmarksのAWS・Google Cloud向け基準に沿った評価項目を公式ドキュメントで公開しています。検出したリスクはSlack連携でリアルタイムに通知され、「Policy as Code」の考え方で、いつ・何を検査するかを開発者側で定義できます。
Webアプリケーションそのものよりも、クラウド設定の不備という弱点を継続的に洗い出したい場合に向くツールです。運営会社・ドキュメントとも日本語を前提に整備されており、料金や無料トライアルの詳細は公式サイトで確認できます。
専門家レビュー併用型(ハイブリッド)
自動スキャンに専門家の手動確認を組み合わせ、精度を高めて使えるツールを紹介します。
7. CoWorker 脆弱性診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker株式会社が提供するこの脆弱性診断サービスは、自社開発のAI「Red Agent」による自動解析と、社内のセキュリティ専門家による最終確認を組み合わせる点が軸です。ソースコードや設計書、稼働中のWebアプリケーション・APIを対象に弱点を洗い出します。
診断メニューは、ソースコードや設計書をAIが解析するソースコードAI診断、攻撃者の視点でWebアプリ・APIを検査する動的脆弱性診断、実践攻撃シミュレーション診断(ペネトレーションテスト)の3つで構成されます。このうちソースコードAI診断は、本番環境に影響を与えずに実施できます。
料金プランは、AI解析のみで実施するソースコードAI診断から、Web・APIの動的診断を組み合わせたプランまで段階的に用意されています。公式サイトでは通常50万円からと案内されており、上位プランほど診断できるAPI数や再診断の回数が増えます。
8. Vex(株式会社ユービーセキュア)

対象URLに外部から疑似攻撃リクエストを送り、レスポンスを解析して弱点を検出するDAST方式の脆弱性検査ツールが、株式会社ユービーセキュアのVexです。2007年の提供開始以来、Webアプリケーションを主な対象として継続的に開発されています。
特徴は、自動クローリングによる自動スキャンを基盤にしつつ、ログイン後のページや複数ステップの画面遷移を記録・再現する「シナリオスキャン」を組み合わせられる点です。OpenAPI/Swagger定義を読み込むAPI診断や、SPA・Ajaxで動的生成されるコンテンツにも対応します。
レポートはOWASP Top10・PCI DSS・ASVSなどの基準に沿って自動生成でき、Word・Excel・PDF・HTML形式と日本語・英語に対応します。2026年4月にクラウド版のVexCloudと統合し、自動診断中心のVex Teamと、シナリオ診断やAPIスキャンまで対応するVex Enterpriseなどのプラン構成になりました。
料金は年間ライセンス制で、金額は要問い合わせです。無料トライアルも用意されています。
9. GMOサイバー攻撃 ネットde診断 ASM(GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社)

「GMOサイバー攻撃 ネットde診断 ASM」は、外部に公開しているWebサイトやVPN機器などの脆弱性を自動で洗い出し、一元管理する国産のASM(攻撃面管理)ツールです。ホワイトハッカーによる手動診断も手がけるGMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社が提供しています。
ドメインやIPアドレスから自社の公開資産を棚卸ししたうえで脆弱性を自動で定期診断し、検出した脆弱性には優先度を自動で付与します。ダークウェブ上での認証情報の漏洩監視や、重大な脆弱性を検知した際のメール通知も備えます。診断対象はグローバルIPアドレスを持つ外部公開サイトで、社内LAN内のサイトは対象外です。
料金は、自社で運用する自走プランが月額4万円から、専門家の支援を受けながら運用する伴走プランが月額12万円から利用できます(初期費用0円・最低2か月から)。クラウドで提供され、SB C&Sなどのパートナー経由でも導入できます。
10. Cloudbric脆弱性診断(ペンタセキュリティ株式会社)

Cloudbric脆弱性診断の特徴は、専門家による手動診断を軸にしつつ、低コスト・短期間向けに自動スキャンのクイックプランも選べる段階的なプラン構成にあります。提供元は、WAF製品で実績のあるペンタセキュリティ株式会社です。
Webアプリケーション診断では、OWASP ZAPを使った自動スキャンの「クイックツールスキャン」から、専門家が手動で行うライト・スタンダード・アドバンスまでプランが分かれます。API診断・プラットフォーム診断・スマートフォンアプリ診断・ペネトレーションテストまでメニューがそろいます。ただし常時スキャンし続けるSaaSではなく、必要なときに依頼する都度型の診断である点には注意が必要です。
診断項目は、同社が独自に収集する脅威インテリジェンスに基づきます。経済産業省が定める「情報セキュリティサービス基準」への適合が認められ、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の適合サービスリストに登録されていると公式サイトに記載があります(登録番号021-0017-20)。料金は要問い合わせです。
出典・参考資料(1件)
- 出典:脆弱性診断|Cloudbric(クラウドブリック)公式(公式サイト)
グローバル製品・プラットフォーム型
海外発の高機能スキャナや、脆弱性を継続管理するプラットフォームを紹介します。導入時は日本語対応・国内の調達窓口もあわせて確認してください。
11. Nessus(Tenable, Inc.)

Nessusは、Tenable, Inc.が開発する、自社のサーバーやネットワークに自分たちでインストールして使うライセンス型の脆弱性スキャナーです。OS・ミドルウェア・アプリケーションの脆弱性やパッチ不足・設定不備を検出し、CISなどのベンチマークに沿った設定・コンプライアンス監査にも対応します。エディションはNessus ProfessionalとNessus Expertの2種に分かれます。
両エディションともネットワーク・OS・アプリケーションの脆弱性診断と設定・コンプライアンス監査に対応します。Webアプリ(DAST)とIaCのスキャン、外部攻撃対象領域(EASM)の診断は上位のExpertのみが対象です。
公式の年額はProfessionalが4,790米ドル、Expertが6,790米ドル(いずれも1年契約、2026年10月時点)です。日本円価格は公式に掲載されておらず、国内での調達価格は要お問い合わせとなります。
サポートへの問い合わせは、公式では英語で行う前提と案内されています。日本語での窓口は国内代理店経由になるため、調達ルートもあわせて見ておくとよいでしょう。
12. Burp Suite(PortSwigger Ltd)

Burp Suiteは、英国のPortSwigger Ltdが開発する、開発者や診断担当者が自分で操作してWebアプリケーションを検査するツールです。無料のCommunity Edition、デスクトップ版のProfessional、組織向けに自動スキャンを回すDASTの3エディションで構成されます。
自動の脆弱性スキャナー(Burp Scanner)を使えるのはProfessional以上で、Communityは手動の検査ツールのみとなりスキャナーは含まれません。DASTはProfessionalと同じスキャンエンジンを使い、Jenkins・GitHub Actions・GitLab CIなどのCI/CDと連携して自動スキャンを組み込めます。
料金はCommunityが無料、Professionalは公式サイトに499米ドルと表示されています(契約期間は公式に明記されていません)。DASTの価格は要お問い合わせです。日本語でのサポートや国内代理店については公式ページに記載がなく、英語での利用が基本となります。
13. Snyk(Snyk Limited)

開発チームが日々のコーディングの流れのなかで脆弱性を見つけて直すことを主眼に置いた製品群が、Snyk Limitedの提供するSnykです。ソースコードの静的解析(Snyk Code=SAST)、オープンソースの依存関係検査(Snyk Open Source=SCA)、コンテナやIaCの検査までを1つのプラットフォームで扱えます。
VS CodeやJetBrainsなどのIDE、GitHub ActionsやJenkinsといったCI/CDと連携でき、開発の各段階にスキャンを組み込めます。無料のFreeプランがあり、Snyk Codeは月100テスト・プロジェクト5件まで試せます。有料のTeamプランは月25米ドルから、大規模向けのEnterpriseはクレジット制で要問い合わせです。
東京にオフィスがあり、日本語のサイトや問い合わせ窓口も用意されています。ドキュメントの多くは英語で、日本語サポートの対応範囲は公式に明示されていません。
14. Qualys VMDR(Qualys, Inc.)

Qualys VMDRは、米Qualys, Inc.がクラウド基盤上で提供する脆弱性管理(VM)プラットフォームです。特定のシステムをその場で診断するよりも、組織全体の資産を発見・棚卸ししながら継続的に脆弱性を評価し、優先順位付けから対応までを同じ基盤で回すことに軸足を置いています。
資産の発見とインベントリ、Cloud Agentによる継続的な脆弱性の評価、TruRiskと脅威インテリジェンスによる優先順位付け、検出した脆弱性へのパッチの相関までを一貫して扱えます。課金は資産単位のサブスクリプション(英語の製品ページ記載)で、公開価格はなく要お問い合わせです。
日本語の製品ページがあり、30日間の無料トライアルを申し込めます。一方で日本語サポートの窓口や国内の販売パートナーは公式ページに記載がなく、契約形態は資産規模に合わせた見積もりベースになります。
15. Tenable Vulnerability Management(Tenable, Inc.)

Tenable, Inc.のクラウド型脆弱性管理ツールが、Tenable Vulnerability Management(公式の現行名称はTenable One Vulnerability Management)です。スキャナーのNessusの技術を基盤にクラウドで管理され、既知・未知の資産を継続的に検出しながら、スキャンを自社で回し続ける形態をとります。
診断の対象は、ネットワーク上のOSを備えた機器、FQDNを持つWebアプリケーション、稼働中のクラウドリソースの3種で、VPR(脆弱性優先度の格付け)により修正の優先度を判断します。料金は資産数に応じた年額サブスクリプションで、公式には100資産・1年契約で3,500米ドル(2026年10月時点)と表示され、日本円価格はパートナーへの要問い合わせです。
国内ではアシストやネットワールドなどのパートナーが販売し、運用を代行するマネージドサービスの例もあります。公式ページはサポートを英語で依頼する前提と案内しているため、日本語での運用はこうしたパートナーの支援が前提になります。
16. Rapid7 InsightVM(Rapid7, Inc.)

米Rapid7, Inc.の脆弱性管理製品がInsightVMで、現在は統合プラットフォーム「Exposure Command」の一部として提供されています。自社環境に管理コンソール(Security Console)とスキャンエンジン(Scan Engine)を配置し、資産をスキャンして継続的に脆弱性を管理する構成をとります。
内部スキャンの結果と、外部からの攻撃対象領域の情報を1つのリスクモデルで突き合わせ、対応の優先順位を絞り込めます。AWS・Azure・VMwareなどからの資産の自動検出や、ServiceNow・Jiraとのチケット連携にも対応します。
料金は資産数に基づきますが、現在の公式ページに金額の掲載はなく要お問い合わせです。日本語のサイトはあるものの、Scan Engineは英語版OS・英語ロケールが動作要件とされており、日本語環境で動かす製品というより、英語環境を前提に組み込むタイプです。
17. HCL AppScan(HCLSoftware)

HCL AppScanは、HCL Technologies傘下のHCLSoftwareが提供する、Web・API・モバイル・オープンソースを対象としたアプリケーションセキュリティテストの製品群です。動的検査(DAST)、静的解析(SAST)、実行時検査(IAST)、オープンソース構成の分析(SCA)を、製品の組み合わせで実施できます。
クラウド型のAppScan on Cloud、自己管理型のAppScan 360°、デスクトップクライアントのAppScan Standardなど、提供形態の異なる複数の製品で構成されます。JenkinsやAzure DevOps、GitHub ActionsといったCI/CDや、Jira・ServiceNowとの連携にも対応します(AppScan 360°のヘルプ記載)。
料金は公開されておらず要お問い合わせで、Standardは許可ユーザー単位またはフローティングユーザー単位のライセンスです。日本語の製品ページとヘルプは整っている一方、製品UIや国内代理店の対応範囲は公式から特定できず、複数製品の組み合わせ方を含めてベンダーへの相談が前提になります。
無料で使える脆弱性診断ツール(OSS)の位置づけと有料との損益分岐
ここでは、費用をかけずに始められる無料のオープンソース(OSS)ツールの位置づけと、有料ツールへ切り替える判断の目安を整理します。
Webアプリケーション診断の無料ツールとして広く使われているのが、ZAP(旧OWASP ZAP、現ZAP by Checkmarx)です。もともとOWASPのプロジェクトとして公開され、2023年9月に独立したオープンソースプロジェクトとなり、2024年9月以降はCheckmarx社が中核チームを支援しています。公式サイトでは次のように紹介されています。
The world’s most widely used web app scanner. Free and open source.(世界で最も広く使われているWebアプリスキャナ。無料でオープンソース。)
出典:ZAP by Checkmarx 公式サイト(zaproxy.org)
このほか、ネットワーク・OSの脆弱性を診断するOpenVAS、Linuxサーバーの構成情報から脆弱性を検出するVuls、Webサーバーを検査するNikto、コンテナやIaCをスキャンするTrivyなどが代表的な無料ツールです。いずれもライセンス費用はかかりませんが、導入・設定・結果の精査を自社の人材でまかなう必要があります。
無料ツールには、検出精度や更新頻度で有料ツールに劣る場合がある、コミュニティ頼みでサポートが限られる、認証後のページやビジネスロジックの脆弱性は見つけにくい、といった限界もあります。設定や習得の工数、誤検知の精査にかかる人件費を含めると、「無料だから安い」とは限りません。
目安としては、診断対象が増えて継続的に診断する必要がある、検出結果を自力で判断するのが難しい、PCI DSSやISMSなどの基準対応で診断の客観性を示したい、といった状況になれば、有料ツールへの切り替えや併用を検討する段階といえます。無料ツールで一次診断を行い、重要なシステムは有料ツールやサービスで補う使い分けも有効です。
なお、オープンソースツールでは、配布物そのものが改ざんされるサプライチェーン攻撃のリスクにも注意が必要です。利用するバージョンを固定し、公式が示す安全なバージョンや配布元を確認してから導入する運用が安心につながります。
脆弱性診断ツールの料金・費用相場
ここでは、脆弱性診断ツールの料金の考え方を整理します。費用は提供形態・診断対象・契約形態によって幅が大きく、公開価格がなく個別見積もりが前提の製品も多いため、相場を一つの数字で示すことは難しいのが実情です。自社の診断対象の規模を伝えて見積もりを取り、料金の構造で比べるのが現実的です。
料金モデルは大きく、月額・年額で継続的に診断できる定額型と、診断対象の数・URL数・スキャン回数に応じて変動する従量型に分かれます。国産のクラウド型ツールには月額数万円程度から始められるものがある一方、海外製の脆弱性管理プラットフォームは管理する資産数に応じた年額サブスクリプションが中心です。各ツールの具体的な料金は、このあとの個別紹介で確認できます。
無料トライアルを用意しているツールも多いため、候補を2〜3製品に絞ったら、自社の環境で実際に試して、検出結果の読みやすさや運用のしやすさを確かめてから決めると失敗が少なくなります。
自動ツールだけで十分か?手動診断・専門家レビュー併用の判断軸
最後に、脆弱性診断ツールの自動診断だけで十分か、手動診断や専門家レビューを併用すべきかの判断軸を整理します。ツールは万能ではなく、限界を理解したうえで使うことで効果を発揮します。
自動診断の限界は、前述のPCI SSCの整理にも表れています。脆弱性スキャンは「自動ツールと、検出された問題の手動確認の組み合わせ」が前提とされており、ツールの検出結果はそのまま鵜呑みにするのではなく、人の目による確認を挟むことが想定されています。とくに認可制御の不備やビジネスロジックの欠陥など、機械的なパターン検査では拾いにくい脆弱性は、手動診断の領域です。
自動ツールで日常的に広く弱点を洗い出しつつ、公開前の重要なシステムや、金融・決済など事故の影響が大きい領域では、専門家による手動診断・ペネトレーションテストを併用する、という使い分けが現実的です。ツールの誤検知の精査や、検出結果の優先順位付けに社内の人材だけでは手が回らない場合も、専門家レビューの併用が選択肢になります。
自社で回すツール型を軸にしながら、必要に応じて専門家に委託する診断サービスを組み合わせる。この全体像を押さえておくと、ツール選びの判断もぶれにくくなります。
専門家に委託する診断サービスそのものの選び方や費用相場、サービスごとの違いは、次の記事で詳しく比較しています。ツールと委託のどちらを選ぶか・どう組み合わせるかを検討する際の判断材料としてご活用ください。
脆弱性診断サービスおすすめ比較|診断方法・費用相場・選び方を解説【無料ツールあり】
Webサービスや社内システムの脆弱性診断を検討する際、「専門家による手動診断とツールによる自動診断のどちらが自社に必要なのか」「費用が数十万円から数百万円までと幅が広く、妥当な予算が読めない」といった壁に突き当たる担当者は少なくありません。…
まとめ
脆弱性診断ツールは、自社のWebサービスやシステムの弱点を、攻撃を受ける前に継続的に洗い出すための手段です。選ぶ際は、第三者レビューの評判を「点数と件数のセット」で読み、ベンダー発信の評価語と実ユーザーの声を切り分けたうえで、診断対象・検出精度・料金・サポート・CI連携といった実機能と突き合わせることが大切です。
クラウド型の自動診断ツール、専門家レビュー併用型、グローバル製品、無料のOSSという4タイプの特徴を踏まえ、自社の体制・予算に合うものを絞り込みましょう。候補が定まったら、無料トライアルで実際の使い勝手を確かめることをおすすめします。
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よくある質問(FAQ)
Q. 脆弱性診断ツールとは何ですか?
A. 脆弱性診断ツールは、Webアプリケーションやサーバー、ネットワーク、クラウド環境に潜むセキュリティ上の弱点を、専用ソフトウェアが自動でスキャンして検出・一覧化するツールです。多くはクラウド型(SaaS)で提供され、診断対象のURLや環境を登録しておけば、スケジュール実行で繰り返し診断できます。
専門の技術者に都度依頼する委託型の診断サービスと違い、情報システム部門や開発チームが自社で継続的にまわせる点が特徴です。
Q. 脆弱性診断ツールの評判・口コミはそのまま信じてよいですか?
A. 脆弱性診断ツールの評判は有力な手がかりですが、「点数」と「口コミ件数」をセットで見て、ベンダー発信の評価語と実際の利用者の声を切り分けて読むことが欠かせません。件数が数件しかない高評価は、わずかな投稿で点数が動くため安定度が低く、十分な件数のレビューがあって評価が高いかを確認すると実態に近づきます。
「業界No.1」「定評のある」といった表現は提供元や送客を目的とするサイトの発信であることが多いため、第三者レビューサイトの口コミや具体的な数値を伴う導入事例を重く見ると判断を誤りにくくなります。
Q. 脆弱性診断ツールはどのくらいの頻度で診断すればよいですか?
A. 脆弱性診断ツールは、システムのリリースや変更のたびに実施し、あわせて定期的に繰り返すのが基本です。脆弱性は時間とともに新たに見つかるため、一度きりの診断では守りきれません。
たとえばクレジットカード業界のセキュリティ基準PCI DSSは外部脆弱性スキャンを少なくとも3か月に1回求めており、継続的にまわす前提で頻度を考えると安心です。自社開発のサービスであれば、CI/CDに組み込んで変更のたびに自動スキャンする運用も有効です。
Q. 脆弱性診断ツールは無料のものだけで十分ですか?
A. 脆弱性診断ツールは、一次診断や検証・学習の範囲なら無料のOSSでも始められますが、継続的な診断や高い精度・サポートが必要になると有料ツールが向きます。無料ツールは導入・設定・結果の精査をすべて自前でまかなう必要があり、認証後のページやビジネスロジックの脆弱性は見つけにくいといった限界があります。
診断対象が増える、検出結果を自力で判断しづらい、PCI DSSやISMSなどの基準対応で診断の客観性を示したい、といった状況になれば、有料ツールへの切り替えや併用を検討する段階です。
Q. 脆弱性診断ツールの診断結果レポートはどんな形式で出力されますか?
A. 脆弱性診断ツールのレポートは、検出した脆弱性を重大度とともに一覧化し、画面上の管理ダッシュボードや、PDF・Excel・HTMLなどのファイル形式で出力するのが一般的です。重大度は国際的な共通指標CVSS(0.0〜10.0の数値とNone〜Criticalの5段階)に沿って表示されることが多く、どの弱点から対処すべきか優先順位を付けやすくなっています。
OWASP Top 10やPCI DSSといった基準に沿った形式で出力できるツールもあり、社内報告や基準対応にそのまま使えるかは選定時の確認点になります。
Q. 脆弱性診断ツールの料金相場はどのくらいですか?
A. 脆弱性診断ツールの料金は、提供形態・診断対象・契約形態によって幅が大きく、国産のクラウド型には月額数万円程度から始められるものがある一方、海外製の脆弱性管理プラットフォームは管理する資産数に応じた年額サブスクリプションが中心です。料金モデルは診断し放題の定額型と、診断対象数やスキャン回数に応じた従量型に大きく分かれ、公開価格がなく個別見積もりが前提の製品も少なくありません。
相場を一つの数字で示すのは難しいため、自社の診断対象の規模を伝えて見積もりを取り、料金の構造で比べるのが現実的です。
Q. 脆弱性診断ツールは自動診断だけで十分ですか?
A. 脆弱性診断ツールの自動診断は既知の弱点を広く・短時間で洗い出すのに向く一方、認可制御の不備やビジネスロジックの欠陥など、機械的な検査では拾いにくい脆弱性は、専門家による手動診断・ペネトレーションテストで補うのが現実的です。日常的な診断はツールで自社でまわし、公開前の重要なシステムや、金融・決済など事故の影響が大きい領域では手動診断を併用する使い分けが効果的です。
誤検知の精査や検出結果の優先順位付けに、社内の人材だけでは手が回らない場合も、専門家レビューの併用が選択肢になります。
Q. 脆弱性診断ツールはCI/CDに組み込んで自動化できますか?
A. 脆弱性診断ツールの多くは、GitHub ActionsやJenkins、GitLab CIといったCI/CDパイプラインと連携でき、プルリクエストやデプロイのタイミングで自動スキャンを走らせられます。スケジュール実行での定期診断や、検出結果をJira・ServiceNowなどのチケット管理ツールに連携して是正まで追える製品もあります。
自社開発のサービスをリリースのたびに診断したい開発チームは、導入前にこうしたCI/CD連携や自動化の対応範囲を確認しておくと、診断を日々の開発に自然に組み込めます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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