コンサルティングや士業、制作・受託といった「人の稼働で採算が決まる」事業では、案件ごとの粗利が月次の締めまで見えない、という悩みがつきまといます。担当者が複数の案件を掛け持ちし、契約形態も準委任・成果物型・顧問とさまざまだと、Excelや汎用の会計ソフトでは案件別の収支や工数を正確に追い切れません。
こうした課題に応えるのが、案件(プロジェクト)単位で収支・工数・原価を管理できる基幹システム(ERP)です。ただ、製品ごとに案件採算の作り込みや現場の入力しやすさは大きく異なり、「経営者が使いやすいシステムと、現場が入力しやすいシステムは別物」という声もあります。導入して後悔しないためには、実際の利用者の口コミや評判まで踏まえて候補を見極めたいところです。
本記事では、コンサルティング業をはじめとするプロジェクト型事業に向く案件型ERP・PSAを、機能・料金で横断的に比較しつつ、実利用者の口コミ・評判をどう読み解くかまでを整理します。案件別採算や工数管理といった業種特有の要件に各製品がどこまで対応するかをまとめているので、経営者・管理部門・情報システム部門が資料請求や比較検討を進めるための材料としてご活用ください。
また、自社の事業規模や契約形態に合う候補を手早く絞り込めるよう、案件型ERP選定の診断ツールも用意しています。あわせてご利用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事が扱うのは、コンサルティング・士業・広告制作・システム受託開発など、案件(プロジェクト)単位で売上と原価が積み上がり、人の稼働が採算を左右する事業に向く基幹システムです。案件別の採算管理や工数・稼働の可視化を主眼に、専業のプロジェクト型ERP・PSA(Professional Services Automation)と、統合型ERPのプロジェクト管理機能の両方を比較対象とします。
そのため、製造業の生産管理や小売業の在庫管理を主目的とする汎用ERPは、本記事の比較軸からは外れます。全社の会計・販売・購買を統合する基幹システム全般を広く比較したい場合は、企業規模・提供形態・費用の観点で整理した以下の比較記事もあわせてご覧ください。
コンサルティング業の基幹システムに求められる要件
ここからは、コンサルティング業が基幹システムに求める要件を4つに整理します。自社の課題がどこにあるかを言語化しておくと、後段の比較表や選び方で候補を見極めやすくなります。4つの要件は、案件別の採算(粗利)を「売上」と「原価」の両面から案件単位で集約する関係にあります。

案件別採算を月次の締め前に把握できること
プロジェクト型の事業では、採算の良し悪しが案件ごとにばらつきます。月次決算を締めてから「この案件は赤字だった」と判明するのでは、打ち手が後手に回ります。見積・受注の段階で予定原価を置き、進行中も実績の工数原価・外注費・経費を案件へ集約して、予算と実績の差異をリアルタイムに確認できることが第一の要件です。
この要件を満たすには、会計の仕訳だけでなく、工数や外注費といった案件原価の構成要素を案件コード単位で集計できる仕組みが欠かせません。汎用の会計ソフトでは部門別の損益までは出せても、案件別の粗利まで踏み込めないことが多く、ここが専用システムの価値の分かれ目になります。
工数・稼働を可視化し人件費を案件原価に反映できること
コンサルティング業の原価の多くは人件費です。誰がどの案件に何時間を費やしたかを記録し、その工数を単価換算して案件原価へ反映できなければ、正確な採算は見えません。タイムシートや工数入力の機能で稼働を集計し、メンバーの稼働率(アサイン状況)まで把握できると、要員計画や受注調整の判断材料にもなります。
一方で、工数入力は現場の負担になりやすく、入力が形骸化すると原価の精度も落ちます。入力のしやすさや、スマートフォン・カレンダー連携といった運用面の配慮が、この要件を実務で機能させられるかを左右します。
契約形態ごとの収益計上に対応できること
コンサルティングの契約は、月額で役務を提供する準委任(顧問・リテイナー)、成果物の納品で売上が立つ請負(成果物型)、スポットの単発案件など、形態が混在します。契約形態によって売上を計上するタイミングや根拠が異なるため、基幹システムが契約形態別の収益計上や前受・未請求の管理に対応できるかは重要な確認点です。
会計の面では、収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)が、履行義務を一定の期間にわたり充足するか一時点で充足するかで収益を認識する時点を分けています。月額で役務を継続提供する契約は期間にわたって、成果物の検収で完了する契約はその時点で売上を認識するのが基本で、こうした違いを案件ごとに扱える仕組みが求められます。
出典・参考資料(1件)
複数年にわたる契約や、進行基準で収益を認識するプロジェクトを抱える場合は、収益認識のルールを案件ごとに設定できるかも確認します。自社の会計方針に沿った収益計上ができるかは、導入前に資料請求やデモで具体的に確かめておきたい点です。
複数案件を掛け持ちする人件費・外注費を案件へ配賦できること
コンサルタントは通常、複数の案件を同時に担当します。1人の人件費を関与した案件へ工数比で配賦したり、特定案件に紐づかない間接費を一定の基準で各案件へ割り振ったりできないと、案件別の本当の利益は見えてきません。配賦の基準を自由に設定できるか、間接費まで案件原価に織り込めるかが、採算管理の精度を決めます。
外注・パートナーを活用する案件が多い業態では、外注費を案件原価へ正しく紐づけられるかも欠かせません。発注から支払までを案件単位で管理できると、原価の計上漏れを防げます。
コンサルティング業向け基幹システムのタイプと主な製品
ここからは、コンサルティング業に向く基幹システムを2つのタイプに整理します。「専業の案件収支管理がほしいのか」「全社の会計・販売まで統合したうえで案件採算も見たいのか」という志向の違いが、タイプ選びの分かれ目です。
案件型ERP・PSAとは
案件型ERP・PSA(Professional Services Automation)は、案件(プロジェクト)単位で予算・実績・工数・原価を集約し、収支をリアルタイムに可視化することを主目的にした基幹システムです。会計ソフトが全社の損益を扱うのに対し、案件型ERPは「案件」を管理の軸に置き、見積から工数入力、原価集計、請求までを案件に紐づけて一気通貫で扱います。
コンサルティングのほか、広告・制作、システム開発、士業など、人の稼働で採算が決まる業種で導入が進んでいます。どこまでの範囲を1つのシステムでまかなうかによって、次の2タイプに分かれます。
なお、広告・制作業では媒体費の立替・精算など、案件原価の構成がコンサルティング業とは一部異なります。広告業・制作業に絞って基幹システムを比べたい場合は、その業種特有の要件に沿って整理した以下の記事が参考になります。
案件収支管理に特化したプロジェクト型ERP/PSA
1つ目は、案件収支管理を主目的に設計された専業タイプです。案件別の予算・実績管理、工数入力、原価の案件配賦、契約形態別の収益計上といった、プロジェクト型事業に必要な機能が最初から一体化しています。コンサル・士業・制作など、稼働で採算が決まる業種を主な対象として作られているため、導入後すぐに案件採算の管理を始めやすいのが特徴です。
クラウドERP ZAC、Reforma PSA、MA-EYES、プロカン、RobotERP ツバイソ、ジョブマネなどがこのタイプにあたります。数名〜数百名規模のプロジェクト型事業で、まずは案件収支の見える化から着手したい場合に向きます。
統合型ERPのプロジェクト/案件管理機能で対応
2つ目は、財務会計・販売・購買まで全社を統合する統合型ERPの中で、プロジェクト採算や工数配賦のモジュールを使って案件管理も行うタイプです。案件管理を会計や他部門と同じ基盤でつなげられるため、全社のデータを一元化しながら案件採算まで見たい、規模の大きな事業者に向きます。
Oracle NetSuite(SuiteProjects)やOdoo(Projectアプリ)などが代表例です。案件管理だけでなく全社の基幹業務を1つのシステムに集約したい場合や、将来的な事業拡大・海外展開まで見据える場合に選択肢となります。
2つのタイプの違いと選び分けを整理すると、次のとおりです。

【比較表】コンサルティング業向け案件型ERPの機能・料金を比較
ここまでの要件とタイプを踏まえ、コンサルティング業に向く案件型ERP・PSAを横断的に比較します。案件収支管理・工数/稼働の可視化・契約形態別の収益計上・会計連携・料金体系の観点で、各製品の対応を整理しました。
| サービス名 | Oracle NetSuite | Odoo(マルウェブ) | クラウドERP ZAC | MA-EYES | Reforma PSA | プロカン | RobotERP ツバイソ | ジョブマネ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 案件別の収支管理 | ●PSA SuiteProjectsで対応 | ●プロジェクト+会計アプリで対応 | ●個別原価計算を自動化(中核) | ●プロジェクト損益が中核 | ●案件別損益が中核 | ●案件収支管理が中核 | ●PSAモジュールで対応 | ●案件別に採算を可視化 |
| 工数・稼働の可視化 | ●タイムシートを会計へ転記 | △Odooに工数機能あり(支援範囲は要確認) | ●工数入力→労務費に自動集計 | ●勤怠連動の工数入力・稼働分析 | ●工数の予実対比ができる | ●Googleカレンダー連携で工数入力 | ●PSAで工数・リソース管理 | ●作業時間を入力し原価換算 |
| 契約形態別の収益計上 | ●完了率・労働ベース等で収益認識 | △会計アプリで請求・計上(ルールは要確認) | ●定期案件・前受請求に対応 | △工事進行基準に対応 | △請求管理に対応(収益計上ルールは要問い合わせ) | △中長期案件の月次計上に対応 | ●サブスク・前受金管理に対応 | △見積〜請求まで(収益計上は会計側) |
| 会計連携 | 会計を内包(統合ERP) | 会計アプリを内包(外部連携も対応) | 仕訳データをAPI/CSV連携(勘定奉行クラウド等) | 会計モジュール内包+API連携(勘定奉行クラウド) | ファイル連携(勘定奉行クラウド・弥生・マネフォ) | オプションで会計連携(弥生・freee・勘定奉行・マネフォ) | 会計を内包(ERPモジュール) | 会計ソフト連携前提(会計機能なし) |
| 料金目安 | 初期・月額とも要問い合わせ(年間ライセンス) | Odoo本体 Standard 月31.10ドル/ユーザー〜(年契約)+導入支援は個別見積 | 初期10万円+保守6万円〜/月+モジュール課金(単価は要問い合わせ) | 初期・月額とも要問い合わせ | 初期0円/月額3万円(税抜)〜 | 初期10万円〜(税込11万円〜)/月額2万円〜(税込2.2万円〜) | 初期・月額とも要問い合わせ(公式非公開) | 初期0円/月額1,000円〜(案件管理は1人3,000円・税別) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※各社公式サイトの公開情報(2026年10月時点)をもとに整理しています。●=対応、△=条件付き・一部対応。料金・機能は変更される場合があるため、最新の詳細は各サービスの資料・公式サイトでご確認ください。
各サービスの資料は、以下のボタンからまとめて請求できます。気になる製品があれば、機能や料金の詳細を取り寄せて比較してください。
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自社に合う案件型ERPを絞り込む選定診断
候補が多くて迷う場合は、事業規模・全社統合の要否・契約形態・会計連携の必要性から、自社に合うタイプと製品を絞り込める診断ツールをご利用ください。いくつかの質問に答えるだけで、検討の出発点となる候補が分かります。
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口コミ・評判で見る各製品の実際
ここからは、カタログスペックだけでは分かりにくい使い勝手や導入効果を、実際の利用者の口コミ・評判からどう読み解くかを、本記事で比較した製品の特性とあわせて3つの観点で整理します。案件型ERPは現場の入力が続いて初めて価値が出るため、導入済みユーザーの評価は重要な判断材料です。製品ごとの設計思想の違いを押さえておくと、口コミを読むときに自社に効く評価を見分けやすくなります。
使い勝手・UIの評価
口コミで確認したいのは、まず画面の分かりやすさと操作のしやすさです。案件の登録や工数の入力、収支レポートの参照といった日常の操作が直感的にできるかは、定着を左右します。多機能であるほど設定項目は増えるため、「必要な情報にたどり着きやすいか」「初期設定やカスタマイズに専門知識が要るか」という声に注目すると、自社の運用イメージがつかめます。
多機能な製品ほど設定の自由度が高い分、初期設定に手間がかかることがあり、少人数向けに設計された製品は画面がシンプルな傾向があります。経営者や管理部門が使うレポート機能と、現場が毎日触れる入力画面は評価が分かれることもあるため、立場ごとの口コミを読み分けると、導入後のギャップを見極めやすくなります。
現場の工数入力の負担・入力しやすさ
案件採算の精度は、現場の工数入力が続くかどうかにかかっています。入力が面倒だと後回しにされ、原価データが実態とずれていきます。口コミでは、入力のステップ数や、カレンダー・スマートフォンからの入力可否、入力を促す通知機能など、「無理なく入力が習慣化するか」に関する評価を確認しておきたいところです。
入力負担は、対象の業種や会社の規模によって感じ方が変わります。コンサル・士業・制作といった近接業種の利用者の声を参照すると、自社に近い運用での実態が見えてきます。
導入で得られた効果
最後に確認したいのは、導入によって何が変わったかという効果です。案件別の粗利がリアルタイムに見えるようになった、月次決算の工数が減った、不採算案件を早期に発見できるようになった、といった具体的な変化が口コミから読み取れると、投資対効果を判断しやすくなります。
効果の現れ方は、導入前の課題や運用の定着度によって差が出ます。自社と似た課題を持つ企業の声を重視すると、期待する効果が得られるかの見通しが立てやすくなります。
コンサルティング業向け案件型ERPの各サービス紹介
ここからは、比較表で取り上げた各サービスについて、コンサルティング業の要件への対応を中心に紹介します。案件収支管理に特化したタイプと、統合型ERPで対応するタイプの順に見ていきます。
案件収支管理に特化したプロジェクト型ERP/PSA
案件別の採算・工数・契約形態別の収益計上を主目的に設計された専業タイプです。まずは案件収支の見える化から着手したいコンサル・士業・制作事業者に向く製品を紹介します。
1. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

クラウドERP ZACは、東証プライム市場に上場する株式会社オロが開発・提供する、プロジェクト単位で業務が進む業種に特化した統合型クラウドERPです。IT・広告・コンサルティング・士業など、人の稼働で採算が決まる事業を主な対象に、販売管理から購買・工数・経費・管理会計までを案件軸で一元化します。
案件採算の要となる個別原価計算を自動化しており、担当者が入力した工数は案件別の労務費として集計されます。直接作業は指定した案件へ直課、間接作業は部門配下の案件へ再配賦され、共通費や販管費の配賦にも対応するため、複数案件を掛け持ちする人件費や間接費まで案件原価に織り込めます。
保守契約などの月次売上を自動生成する定期案件機能や、分割請求・前受請求にも対応し、顧問・継続型の契約も扱えます。料金はモジュール×ライセンス数の課金で、初期費用10万円・保守費6万円〜/月に各モジュールの単価が加わる構成です。モジュール別の単価は公開されていないため、導入規模に応じた金額は資料請求で確認します。
2. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

MA-EYES(エムエーアイズ)は、株式会社ビーブレイクシステムズが提供するクラウド型ERPです。システム開発・SES・受託開発・コンサルティング向けの「V ver.」と広告業向けの「A ver.」を用意しており、案件収支を扱うコンサルティング業では主に前者のV ver.が対象になります。
工数と勤怠を連動させて二重入力を抑えつつ、マスタに設定した基準時間単価と作業時間を掛けて労務費を算出し、案件原価へ反映します。原価の把握単位は標準のプロジェクトのほか、製品やジョブなど自社の管理軸に合わせて変更できるため、案件以外の切り口でも採算を捉えられます。
配賦基準は工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった非システム情報も設定でき、間接費の按分を自社の実態に合わせられます。月別に原価の予算と実績をグラフで対比し、着地予測で締め後の赤字を事前に察知できるほか、工事進行基準にも対応します。
提供形態はSaaS・SaaS+・一括の3種類から選べ、一括版は100名以上が目安です。料金は利用人数・機能で変わる個別見積のため、資料請求で確認します。情報セキュリティ面では、2025年3月にISO/IEC 27001とクラウドセキュリティの認証を取得しています。
3. Reforma PSA(株式会社オロ)

Reforma PSA(リフォルマ PSA)は、ZACと同じ株式会社オロが、ZACの機能を案件・プロジェクト型ビジネスの標準機能に絞ってパッケージ化したクラウドERPです。初期費用0円・月額3万円(税抜)から、導入期間1〜2か月程度で始められ、従業員50名以下の成長企業や部門単位での導入を主な対象としています。
案件ごとに実行予算(利益計画)を入力し、外注費と労務費を自動計算することで、仕掛中でも案件別の損益を把握できます。従業員がプロジェクト・作業内容ごとに入力した工数をもとに労務費配賦・共通費配賦を行い、プロジェクト別の工数(労務費)予実対比で労務費の上振れをタイムリーに追えます。
料金は機能別ライセンスのユーザー課金で、販売管理6,000円・購買管理2,000円・勤怠管理300円・経費管理300円(いずれも月額・ユーザー単位)を組み合わせます。合計が月額3万円(税抜)に満たない場合は、3万円が最低利用料金として適用されます。
会計システムへは、勘定奉行クラウドや弥生会計デスクトップ版、マネーフォワード クラウド会計へのファイル連携に対応します。受託業務に係る内部統制の保証報告書であるSOC1も取得しています。
4. プロカン(株式会社PROCAN)

プロカンは、株式会社PROCANが提供する、案件単位で進行する受託型ビジネス向けのクラウド型プロジェクト収支管理システムです。案件ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約して粗利をリアルタイムに可視化し、IT・制作・建設向けに業種特化した3つのラインナップを展開しています。コンサルティングや代理店業も業種別ページで対象に含めています。
工数はGoogleカレンダーに登録した日時・作業内容と連携して入力でき、作業時間を労務単価で原価換算し、外注費などと合わせて案件ごとの粗利を算出します。見積・請求・発注・納品・完了報告・経費精算といった帳票を1つの入力データから連続作成でき、デジタル稟議・承認までを通して処理できます。
会計ソフトは、弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードとの連携が案内されています。料金は初期費用10万円〜(税込11万円〜)、月額2万円〜(税込2万2,000円〜)で、利用人数(ID数)と機能に応じて変動します。IT導入補助金の対象で、中小企業が初期費用を抑えて導入できる可能性があります。
5. RobotERP ツバイソ(ツバイソ株式会社)

RobotERP ツバイソは、ツバイソ株式会社が提供する中堅・成長企業向けのクラウドサービスです。会計・販売・購買などのERPに加え、案件管理を担うPSA、在庫のIMA、経営管理のCPM、人材のTMの5つをREST APIで連携する構成で、必要なモジュールから単体で導入し、段階的に統合ERPへ広げられます。
コンサルティング業で中心となるPSAモジュールは、顧客・案件に紐づけて見積〜受注〜納品〜請求の売上プロセスと、発注〜検収〜原価の調達プロセスを一元管理します。案件別の予算管理と実績・予測利益の測定、原価計算・工数/リソース管理を備え、ソフトウェア開発やコンサルティング、会計/法律事務所などを対象業種に挙げています。
サブスクリプション方式や前受金の管理にも対応し、部門別・プロジェクト別・サービスライン別のリアルタイムな多次元損益管理ができます。代表者が公認会計士・税理士で、導入支援チームが会計処理や内部統制の整備まで支援する体制を案内しています。料金は公式サイトで非公開のため、無料トライアルや問い合わせで確認します。
6. ジョブマネ(株式会社サウスエージェンシー)

ジョブマネは、株式会社サウスエージェンシーが提供する、個人事業主から30名程度までの中小企業・部門向けクラウド型業務管理ツールです。スケジュールやワークフローなどのグループウェアと、案件管理・工数管理・原価管理・見積/請求といった基幹業務を1つのサービスにまとめ、スモールスタートで部門横断の業務データを一元管理できます。
案件ごとに仕入・外注費・作業工数・売上・経費を紐づけて採算を可視化でき、入力した作業時間をもとに原価を計算して円グラフで把握できます。見積書を作成すると納品書・受領書・請求書まで連続して作成でき、制作・受託など案件単位で進む事業の採算管理に向きます。会計機能は持たず、会計ソフト連携を前提とした構成です。
料金は初期費用が無料で、グループウェアプランが月額1,000円(1〜100人・税別)、案件管理などを使うビジネスプランが1人あたり月額3,000円(税別)です。全機能を30日間試せる無料トライアルも用意されており、少人数から費用を抑えて案件採算の見える化を始めたい事業者に向いた選択肢です。
統合型ERPのプロジェクト/案件管理機能で対応
全社の会計・販売・購買を統合しながら、プロジェクト管理のモジュールで案件採算も扱えるタイプです。基幹業務全体の一元化を見据える事業者に向く製品を紹介します。
7. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

財務会計・販売・購買・在庫からCRMまでを単一のクラウド基盤に統合するERPです。日本市場では日本オラクル株式会社が提供・サポートを担い、公式サイトでは200か国以上・44,000社を超える導入(2026年10月時点の公式表記)と訴求しています。
コンサルティングのような案件採算は、会計モジュール本体ではなくPSA(プロフェッショナル サービス オートメーション)のアドオン「SuiteProjects」で扱います。複数タイプのプロジェクトで予算・見積・アサイン状況・完了率・実績コストを管理できます。プロジェクト会計では購買発注を案件に紐づけ、直接費・間接費を案件予算へ配賦したうえで、労働ベースや完了率などのルールに沿って収益を認識します。
工数はタイムシートで記録して総勘定元帳へ転記でき、会計まで一気通貫でつながります。料金は年間ライセンス料が基本で、コア・プラットフォーム・オプションモジュール・ユーザー数の組み合わせで決まり、金額は個別見積です。全社の基幹業務を1基盤に統合したうえで案件採算も見たい、中堅〜大企業やグループ経営・海外展開を見据える事業者に向きます。
導入の決め手として経営層が何を重視するかについて、提供元の日本オラクルは次のように述べています。
決め手という意味では、やはり経営者の方が「今見たい数字が、今すぐ見られるかどうか」を重視されます。現場の担当者にとっての使いやすさももちろん大事なのですが、最終的な意思決定の場面では、リアルタイムに正確な数字が出てくることが何より効いてきます。そこに応えられる点が、選んでいただける一番の理由になっていると考えています。
8. Odoo導入・開発・業務統合支援(株式会社マルウェブ)

Odooは、販売・在庫・会計・CRM・プロジェクト管理など80以上のアプリを組み合わせて使えるベルギー発のオープンソースクラウドERPです。株式会社マルウェブはOdoo Learning Partnerとして、要件定義・フィット&ギャップ分析から、カスタマイズ開発・外部システム連携・データ移行・研修・保守までを日本語で支援します。
案件管理はプロジェクト管理アプリで扱い、マルウェブが対応範囲として挙げるのはCRM・販売・プロジェクト・在庫・ウェブサイト・会計の6領域です。必要なアプリだけを選んで導入でき、痛みの大きい販売・在庫・会計から小さく始めて、慣れてからCRMやプロジェクトを段階的に追加する進め方も提案しています。
マルウェブは海外製ERPを日本の商習慣に合わせて調整するノウハウを強みに掲げ、日本とベトナムのハイブリッド体制で開発を進めます。料金はOdooのライセンスが1アプリなら無料、2アプリ以上はユーザー数に応じた有料プランです(年間契約時で1ユーザー月額Standard US$31.10・Custom US$61.00、2026年10月時点)。マルウェブの導入・保守費用は別途要問い合わせになります。
どの範囲から導入を始め、どう全社統合へ広げるかの判断について、導入支援を手がけるマルウェブは次のように述べています。
たとえば「まずは販売と在庫と会計だけでスタートしましょう」という形で始めて、使い方に慣れてきたら会計やCRMを段階的に追加していく、といった進め方をご提案することもあります。カスタマイズがあまり必要でなければスモールスタートをお勧めしますし、業務が特殊な場合はカスタマイズに時間はかかりますが、そこはしっかり作り込んでいきましょうとご提案しています。いずれにしても、お客様の今の状態と予算感をヒアリングした上で決めていく形です。
コンサルティング業向け基幹システムの選び方
ここからは、コンサルティング業が案件型ERPを選ぶ際の観点を5つに分けて解説します。自社の事業規模や契約形態に照らして、どの観点を重視するかを決めると候補を絞りやすくなります。
専業のプロジェクト型ERP/PSAか、統合型ERPか
最初の分岐は、案件収支管理に絞った専業タイプと、全社統合型のどちらを選ぶかです。会計や販売はすでに別システムで回っていて案件採算の管理だけを強化したいなら専業タイプが向きます。会計・販売・購買まで含めて1つの基盤に集約し直したい、あるいは今後の事業拡大で統合基盤が必要になるなら、統合型ERPのプロジェクト機能が選択肢になります。
判断のポイントは、既存システムの刷新範囲と導入規模です。案件採算の管理から小さく始めたい場合と、全社のデータ基盤を作り直す場合とでは、適する製品も導入の負荷も変わります。どのタイプのどの製品が自社に合うかは、本記事の比較表と診断で絞り込めます。
現場の工数入力の運用負荷に耐えられるか
案件採算の精度は工数入力の継続にかかっているため、現場が無理なく入力を続けられるかは重要な選定軸です。入力のステップ数、スマートフォンやカレンダーからの入力可否、入力漏れを防ぐ通知の有無などが確認のポイントになります。多機能でも入力が重ければ定着せず、データが実態とずれていきます。
自社のメンバーのITリテラシーや働き方に合うかを、デモや無料トライアルで実際に入力して確かめると、導入後のギャップを避けられます。
会計・請求まで一気通貫でつながるか
案件管理の結果を、請求や会計まで途切れなくつなげられるかも確認したい点です。工数や原価の集計から請求書の発行、会計仕訳の連携までが分断されていると、二重入力や転記ミスが生じます。既存の会計ソフトとのAPI連携が可能か、あるいは会計機能まで内包しているかは、自社の業務フローに照らして見極めたいところです。
会計機能を持たない製品は既存の会計ソフトとの連携が前提になり、会計を内包する製品や統合型ERPは1つの基盤で完結できます。すでに使う会計システムを残すなら連携の可否と範囲を、会計ごと刷新するなら統合の度合いを基準に選ぶと、運用の手戻りを減らせます。
自社の契約形態に対応できるか
準委任(顧問・リテイナー)、成果物型の請負、スポット案件など、自社の契約形態に合わせた収益計上ができるかは要件に直結します。月額で継続する契約と、納品で売上が立つ契約では、収益を計上するタイミングも管理の仕方も異なります。自社の主要な契約形態を洗い出し、それぞれに対応できるかを資料請求やデモで具体的に確かめておきたいところです。
複数年契約や進行基準での収益認識が必要なら、収益計上のルールを案件ごとに設定できるかも確認しておくと、会計方針との齟齬を防げます。
料金体系が自社の規模に合うか
料金は、初期費用の有無、月額の課金単位(ユーザー課金か定額か)、利用人数やモジュールによる変動で大きく変わります。少人数で始めたい場合はユーザー単位で小さく導入できる製品が、全社展開なら定額や大規模向けのプランが適します。自社の人数と今後の拡大を見込んで、総額がどう推移するかを試算すると、無理のない選択ができます。
少人数で初期費用を抑えたいなら小さく始められる専業のプロジェクト型ERP/PSAが、全社統合なら統合型ERPが規模の目安に合います。要問い合わせの製品も多いため、候補を数社に絞ったら資料請求で見積もりを取り、導入支援費まで含めた総額で比べておくと、導入後の想定外を減らせます。
料金・費用相場(初期・月額・課金単位)
ここからは、案件型ERP・PSAの料金水準の考え方を整理します。製品ごとに課金の考え方が異なるため、相場は幅を持って捉えるのが実態に近いです。
専業のプロジェクト型ERP・PSAは、ユーザー数に応じた月額課金が中心です。初期費用は0円から10万円程度、月額はユーザー単位で1,000円台から数万円程度と、製品や人数によって幅があります。少人数から小さく始められるプランを持つ製品もあります。
利用する機能やユーザー数が増えるほど月額は上がり、導入支援やカスタマイズを依頼すると初期費用が別途かかります。モジュール単価を公開せず、個別見積とする製品もあります。
統合型ERPは、対象業務の範囲が広い分、料金は要問い合わせの個別見積が中心で、導入規模や必要なモジュールによって総額が変わります。アプリ単位の無料枠やユーザー単位の月額を公表している製品もありますが、導入支援を依頼すると別途費用がかかります。
全社展開を前提とする分、専業タイプより初期費用・導入支援費が大きくなる傾向があり、正確な費用は人数や業務範囲を伝えたうえでの見積が前提になります。
資料請求・デモから導入までの進め方
ここからは、候補の比較から導入までの進め方を整理します。案件型ERPは運用の定着が成否を分けるため、導入前に自社の業務との相性を確かめる工程が重要です。
まずは本記事の比較表や診断を手がかりに、要件に合いそうな製品を数社まで絞り、資料請求で機能と料金の詳細を取り寄せます。次にデモや無料トライアルで、実際の案件登録や工数入力の操作感、自社の契約形態での収益計上、既存システムとの連携を確認します。
現場の担当者にも触ってもらい、入力が続けられそうかを見極めると、導入後のギャップを減らせます。最終的には、機能・料金・サポートを同じ条件で比較し、2〜3社に絞って社内で判断するとスムーズです。
導入後の定着でつまずかないよう、よくある失敗の原因と事前の回避策も押さえておくと安心です。ERP導入でありがちな失敗パターンとチェックリストは、以下の記事にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q. 案件型ERP・PSAとは何ですか?
A. 案件型ERP・PSA(Professional Services Automation)とは、案件(プロジェクト)単位で予算・実績・工数・原価を集約し、収支をリアルタイムに可視化する基幹システムです。全社の損益を扱う会計ソフトと異なり、「案件」を管理の軸に置き、見積から工数入力、原価集計、請求までを案件に紐づけて一気通貫で扱います。
コンサルティングや士業、広告・制作、システム開発など、人の稼働で採算が決まる業種で導入が進んでいます。
Q. 案件型ERP・PSAと会計ソフトは何が違いますか?
A. 案件型ERP・PSAと会計ソフトの違いは、採算を見る単位にあります。会計ソフトが全社や部門の損益を扱うのに対し、案件型ERPは案件(プロジェクト)単位で粗利を把握できる点が最大の違いです。
会計ソフトでは工数(人件費)や外注費を案件コード単位で集計する仕組みがないため、部門別の損益までは出せても案件別の粗利までは踏み込めないことが多くあります。複数案件を掛け持ちする人件費の配賦や契約形態別の収益計上が必要なコンサルティング業では、この案件軸の管理ができるかが選定の分かれ目になります。
Q. PSAとERPの違いは何ですか?
A. PSAとERPの違いは、カバーする業務範囲にあります。PSAは案件収支・工数・契約形態別の収益計上に特化した専業型、統合型ERPは財務会計・販売・購買まで全社を統合したうえで案件管理も扱う型です。
案件採算の見える化から着手したい場合は専業のプロジェクト型ERP/PSA、会計・販売まで1つの基盤に集約したい規模の大きい事業者は統合型ERPのプロジェクト機能、という選び分けになります。どちらも案件単位で採算を管理できる点は共通します。
Q. コンサルティング業向けの案件型ERPは小規模(数名)でも導入できますか?
A. コンサルティング業向けの案件型ERPは、個人事業主や数名規模の小規模な事業者でも導入できます。初期費用を抑えたプランや、ユーザー単位の月額で少人数構成から始められる製品があり、個人事業主〜30名程度向けや従業員50名以下向けを主な対象とする製品も存在します。まずは案件収支の見える化から小さく始め、事業の拡大に合わせて機能やユーザーを増やす進め方が可能です。
Q. 案件型ERP・PSAの費用相場と課金単位の目安は?
A. 案件型ERP・PSAの費用は、専業のプロジェクト型ERP/PSAではユーザー数に応じた月額課金に初期費用が加わる構成が中心で、統合型ERPは業務範囲が広い分、要問い合わせの個別見積が多いです。
少人数から始められる製品では、初期費用が無料〜10万円程度、月額はユーザー単位の課金や数万円からの定額など幅があります。利用する機能やユーザー数、導入支援の有無で総額が変わるため、候補を絞ったら同じ条件で資料請求して見積を比較するのが確実です。
Q. 案件型ERP・PSAは既存の会計ソフトと連携できますか?
A. 案件型ERP・PSAは、多くの製品が主要な会計ソフトとのファイル連携やAPI連携に対応しています。弥生会計、freee、勘定奉行、マネーフォワード クラウド会計などへの連携を案内する製品があり、工数・原価の集計から請求、会計仕訳までを分断させずにつなげられます。
一方で、会計機能まで内包して1つのシステムで完結させる製品もあるため、既存の会計システムを残すのか会計ごと刷新するのかを基準に、連携の可否と範囲を資料請求やデモで確認するとよいでしょう。
Q. 準委任契約と成果物型(請負)で収益計上はどう変わりますか?
A. 準委任と成果物型では、売上を計上するタイミングが異なります。月額で役務を継続提供する準委任(顧問・リテイナー)は期間にわたって、成果物の検収で完了する請負(成果物型)はその検収時点で売上を認識するのが基本です。
これは収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)が、履行義務を一定の期間にわたり充足するか一時点で充足するかで収益の認識時点を分けていることに基づきます。契約形態が混在するコンサルティング業では、案件ごとに収益計上のルールを設定できる基幹システムかを確認しておくと、会計方針との齟齬を防げます。
出典・参考資料(1件)
Q. 工数入力を現場に定着させるにはどうすればよいですか?
A. 工数入力を定着させるには、入力の手間が少なく、現場が無理なく続けられる製品を選ぶことが最も重要です。案件採算の精度は工数入力の継続にかかっており、入力が面倒だと後回しにされ、原価データが実態とずれていきます。
入力のステップ数、スマートフォンやカレンダーからの入力可否、入力漏れを防ぐ通知機能などを確認し、導入前にデモや無料トライアルで現場の担当者に実際に入力してもらうと、定着しやすいかを見極められます。
まとめ
コンサルティング業をはじめとするプロジェクト型事業の基幹システムは、案件別の採算管理・工数の可視化・契約形態別の収益計上・案件配賦という業種特有の要件に、各製品がどこまで対応するかで選び分けるのが基本です。
案件収支管理に特化した専業タイプと、全社を統合する統合型ERPのプロジェクト機能のどちらが自社の志向に合うかを見極めたうえで、使い勝手や工数入力の負担、導入効果を実利用者の口コミで確かめると、導入後の後悔を避けやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















