バックオフィス業務を外部に任せる手段として、近年「BPaaS(Business Process as a Service)」という言葉を見かける機会が増えました。従来のBPOや、自社で導入しているSaaSとの線引きが曖昧なまま、「自社の給与計算や経理も、この仕組みで委託できるのだろうか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
BPaaSは、業務に使うシステムと、そのシステムを使った運用の両方をまとめて外部に委託できる形態です。ただ、BPOやSaaSとの違いが腑に落ちないままでは、自社のどの業務を任せられるのか、いくらかかるのか、どこに頼めばよいのかを判断しにくいのも事実です。
本記事では、BPaaSで業務を委託する仕組みと、BPO・SaaS・業務委託との違いを整理したうえで、委託できる業務の範囲、メリットと注意点、料金の目安、委託先の選び方までを解説します。給与計算や経理をBPaaS型で受けられるサービスもあわせて紹介しますので、自社の委託先を検討する材料としてご活用ください。
目次
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BPaaSとは?SaaS+業務運用をセットで委託する形
BPaaS(Business Process as a Service)は、業務に使うクラウドシステムと、そのシステムを使った業務運用の両方をまとめて外部に委託できる形態です。給与計算を例にとると、給与計算用のクラウドソフトと、そのソフトを使った毎月の計算・明細発行といった運用の両方を、委託先がセットで引き受けます。

「Business Process as a Service」という名前は、ビジネスプロセス(業務の流れ)そのものをサービスとして提供する、という意味合いです。もともとは調査会社のガートナーが用語として整理した概念で、クラウドで業務プロセスまで含めて提供する形態を指します。ソフトだけを提供するSaaSや、人手で業務を代行する従来のBPOとは、委託する範囲が異なります。
この「どこまでを誰が担うか」の違いは、次の章で比較表にまとめます。まずは、BPaaSが注目される背景を押さえておきましょう。
なぜ今BPaaSが注目されるのか
BPaaSが関心を集める背景には、まず人手不足があります。帝国データバンクの調査では、2025年10月時点で正社員の不足を感じている企業は51.6%にのぼりました。経理や人事労務といったバックオフィスに専任者を置きにくい中小・中堅企業では、担当者一人に業務が集中し、退職や休職で業務が止まるリスクを抱えがちです。
もう一つの背景が、デジタル化(DX)の流れです。BPaaSは、業務をただ人手で代行してもらうのではなく、クラウドシステムの導入・運用とセットで任せられます。システムを自社で選定・構築する負担を抱えずに、業務の標準化とクラウド化を同時に進められる点が、人手不足とDXの両方に悩む企業にとって現実的な選択肢になっています。
この人手不足とデジタル化の動きは、実際に経理の委託を受ける現場でも、相談のきっかけとして表れています。

担当者の退職や属人化によって、本業に集中できていない、他のコア業務に時間を割けていない、というご相談が中心です。これは2015年にサービスを始めた頃から大きくは変わっていません。ただ、最近は少し変化もあります。「長年ずっと同じやり方でやってきたけれど、本当に効率化できているのかを見てほしい」という業務フロー改善のご相談をいただくことが増えてきました。DXや業務改善、AIの台頭もあって「もっと効率化できるはずだと思っているけれど、どうやったらいいか分からない」「システムを導入したものの使いこなせていない」といった時に、第三者の目線で、どのツールを入れるべきか、どこが効率化できそうかをご相談いただくケースが増えています。
出典・参考資料(2件)
BPaaSとBPO・SaaS・業務委託の違い
ここからは、BPaaSがBPO・SaaS・一般的な業務委託とどう違うのかを整理します。混同されやすいのは、人手で業務を代行するBPO(Business Process Outsourcing)と、ソフトだけを提供するSaaS(Software as a Service)です。BPaaSは、この両者の中間というより、システムの提供と業務運用をひとまとめにした形だと捉えると分かりやすくなります。
違いは「システムを誰が用意するか」「業務の運用を誰がやるか」「データをどうやり取りするか」「ノウハウが社内に残るか」の4点で比べると見えてきます。
| 提供形態 | BPaaS | BPO(業務の外部委託) | SaaS(ソフトの提供) | 業務委託(一般) |
|---|---|---|---|---|
| システムの用意 | 委託先が用意するクラウド/SaaSを利用 | 委託先と自社で別々のことが多い | クラウド上のソフトを利用 | 案件ごとに取り決め |
| 業務の運用 | 委託先が代行 | 委託先が代行(人手が中心) | 自社で行う | 委託先が代行 |
| データのやり取り | クラウド上で共有し、進捗を確認できることが多い | メールや書類でのやり取りが中心になりやすい | 自社で管理 | 受け渡し方法は契約による |
| ノウハウの社内蓄積 | 運用は任せつつ、画面上でプロセスを把握しやすい | 委託先に蓄積され、社内に残りにくい | 自社に蓄積される | 委託先に依存しやすい |
※上記は各形態の一般的な傾向です。実際の提供範囲やデータの扱いは各サービスにより異なります。
BPOと比べると、BPaaSは委託先と同じクラウド上で業務を進めるため、進捗やデータを自社でも確認しやすく、業務が「見えなくなる」状態になりにくいのが特徴です。SaaSと比べると、ソフトを渡されて自社で運用するのではなく、運用そのものまで任せられる点が異なります。案件ごとに人手で請け負う一般的な業務委託と比べても、使うシステムまで含めてクラウド上で任せられる点が、BPaaSならではの違いです。
BPaaSで委託できる業務
ここからは、BPaaSでどんな業務を委託できるのかを、自社の業務と照らし合わせられるように整理します。現状のBPaaSは、ルールが決まっていて繰り返し発生する、標準化しやすいバックオフィス業務が中心です。
代表的な対象業務は次のとおりです。
- 人事・労務:勤怠管理、給与計算、賞与計算、年末調整、入退社手続き、従業員からの問い合わせ対応など
- 経理・財務:記帳・仕訳、請求書の作成・処理、支払・入金管理、経費精算、月次決算の補助など
- カスタマーサポート:問い合わせの一次受付、FAQ対応、チャット対応など
委託先によって対応範囲は異なります。給与計算を中心に受けるサービスもあれば、経理をまるごと引き受けるサービス、人事労務の手続き全般に強いサービスもあります。自社で手放したい業務が、そのサービスの対応範囲に入っているかを一つずつ確認することが、委託先選びの出発点になります。
手放したい業務の中心が経理であれば、BPaaS型に限らず、委託できる業務範囲や料金、受け手のタイプ別の選び方まで整理した以下の記事も候補選びの参考になります。
逆に、判断が都度変わる非定型の業務や、例外処理の多い業務は、標準化を前提とするBPaaSにはなじみにくい面があります。まずは「定型的で、繰り返し発生し、ルール化できる業務」から委託を検討するとよいでしょう。
BPaaSで業務を委託するメリット
BPaaSで業務を委託すると、人手とシステムの両面で負担を軽くできます。主なメリットは次の4点です。
- 人手不足に対応できる:専任者を新たに採用・教育しなくても、繁忙期も含めて業務を回せます。
- 業務が標準化される:委託先の標準化された手順で運用されるため、やり方が整理され、品質が安定します。
- 属人化を解消できる:担当者一人に業務が依存する状態を避けられ、退職や休職で業務が止まるリスクを抑えられます。
- DXを同時に進められる:システムの導入・運用もセットで任せられるため、自社でシステムを選定・構築する負担を抱えずにクラウド化が進みます。
とくに、経理や給与計算の担当者が一人しかいない、採用してもすぐ辞めてしまうといった悩みを抱える企業にとっては、固定費としての人件費を抱えずに専門性を確保できる点が大きな利点になります。
経理人材を社内で採用・維持するコストについては、経理アウトソーシングの現場からも具体的な負担が指摘されています。

最近特に多いご相談は、「急な退職で経理が止まってしまった」「担当者にしかやり方がわからない」といった、退職と属人化にまつわる切実な課題です。自走できる経理人材を新たに採用する場合、年収600万〜700万円程度の費用負担が生じるだけでなく、採用後の教育や管理負担も決して軽くはありません。中小企業にとって、これほどの人件費を「固定費」として抱え続けることは、経営上の大きなリスクになりかねません。
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BPaaS委託の注意点と、任せる前に取り決めること
メリットの裏返しとして、BPaaSの委託には事前に取り決めておきたい点があります。あとから「こんなはずではなかった」とならないよう、契約前に確認しておくべきポイントを整理します。
- 丸投げでノウハウが消えないようにする:運用を任せきりにすると、自社に業務の知見が残りません。クラウド上で進捗やデータを確認できるサービスを選び、定期的に中身を把握する運用にしておくと、いざ内製に戻すときにも困りにくくなります。
- 契約終了時の引き継ぎとデータ返却を決めておく:委託先を切り替える、あるいは内製に戻すときに、データをどの形式で返してもらえるか、業務をどう引き継ぐかを契約段階で取り決めておきます。これを曖昧にすると、特定の委託先から離れられなくなる恐れがあります。
- 使うSaaSの利用条件を確認する:BPaaSで使うクラウドソフトのライセンスや利用条件、契約終了後もそのソフトを使い続けられるのかを確認しておきます。
- 料金が変動する前提で予算を組む:従量課金のサービスでは、委託する人数や業務量に応じて料金が増減します。繁忙期や従業員の増加を見込んで、年間の予算を確認しておくと安心です。
給与情報や従業員の個人情報など、機密性の高いデータを扱うため、委託先のセキュリティ体制の確認も欠かせません。この点は、委託先を選ぶ段階で見極める観点として、次の「選び方」で詳しく扱います。
BPaaS委託の料金の目安
BPaaSの料金は、委託する業務と人数、サービスの体系によって幅があります。大きく分けると、従業員1人あたりの単価で決まる従量型と、月額を定額で設定する型の2つがあります。
給与計算を中心に委託する場合、従業員1人あたり月額1,000円程度から請け負うサービスがあります。基本料金を設けず、人数に応じて料金が決まる形です。
一方、経理をまるごと委託する場合は、従業員5名規模で月額10万円程度という料金例があります。人事労務を委託すると、基本料金に加えて1人あたり月額1,900円程度という体系のサービスもあります。経理代行では、会計・税務を月額3万円前後からとし、給与計算をオプションで追加する形もみられます。
初期費用は、無料のサービスもあれば、公式に明示していないサービスもあります。年末調整や賞与計算などを別料金のオプションとしている場合もあるため、「どの業務が基本料金に含まれ、どこからがオプションか」を見積もり時に確認することが大切です。各サービスの具体的な料金は、以下の比較表とサービス紹介で確認できます。
委託する業務ごとの料金の相場観をもう少し具体的につかんでおきたい方は、バックオフィス代行の月額を業務別・プラン別に整理し、実際のサービスの料金例まで示した以下の記事もあわせてご覧ください。
BPaaS委託先の選び方
ここからは、自社に合うBPaaS委託先を選ぶときの観点を整理します。次の5つの軸で候補を比べると、判断しやすくなります。
- 対応業務の範囲:自社が手放したい業務(給与計算、経理、年末調整、社会保険手続きなど)が、そのサービスの対応範囲に入っているか。給与計算だけか、年末調整や社会保険手続きまで含むかは、サービスによって大きく異なります。
- 自社の規模への適合:サービスが想定する企業規模と自社の規模が合っているか。少人数の企業向けのサービスと、数百名規模を前提とするサービスでは、料金体系も運用の進め方も変わります。
- 料金体系:従量型か定額型か、オプションの範囲はどこまでか。自社の業務量に当てはめたときの実際の負担額を見積もって比べます。
- サポートと運用開始までの期間:業務フローのヒアリングや初期設定をどこまで支援してくれるか、運用開始までにどのくらいかかるか。サービスによっては運用開始まで数か月を要する場合があります。
- セキュリティ体制:給与・個人情報を預けるため、委託先のセキュリティ体制を確認します。
セキュリティ体制を見極める目安の一つが、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS/ISO/IEC 27001)の認証取得状況です。ISMSの認証基準は、第三者の認証機関が組織の適合性を評価するための基準として位置づけられています。
ISMSの認証基準JIS Q 27001(ISO/IEC 27001)は、ISMS適合性評価制度において、第三者である認証機関が本制度の認証を希望する組織の適合性を評価するための基準です。
出典:ISMS適合性評価制度について|情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)
委託先がこの認証を取得しているかは、情報管理の体制を第三者が評価したという一つの判断材料になります。認証の有無だけで決めるものではありませんが、給与・個人情報を扱う委託では、確認しておきたい観点です。
BPaaSで業務を委託できるサービス
ここからは、給与計算や経理を委託できるサービスを紹介します。いずれも、クラウドシステムの利用と、そのシステムを使った業務運用の代行をセットで任せられるサービスです。「経理代行」「アウトソーシング」と呼ばれていても、システムと運用を一体で引き受ける点で、ここまで説明してきたBPaaSの考え方に沿っています。
ここで紹介するのは、給与計算・経理・人事労務を中心に受けるサービスです。対応業務や料金とあわせて、まずは全体を比較表で整理します。
| サービス名 | Tenbook(テンブック) | Wheat Accounting | マネーフォワード おまかせ経理 | freee人事労務アウトソース | ジョブカンBPO | RoboRoboペイロール |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 主な対応業務 | 記帳・決算書作成・税務申告(経理代行) 給与計算・賞与・年末調整はオプション | 記帳・請求・経費精算・振込・給与計算・月次決算(経理代行) 賞与・年末調整はオプション | 記帳・請求・支払・給与計算・月次試算表(経理代行) 税務申告は対象外 | 給与計算・賞与・年末調整・入退社手続き・住民税更新(人事労務代行) | 勤怠確認・給与計算・給与明細のWeb発行・年末調整(給与計算代行) | 給与・賞与計算・電子給与明細発行・人事情報管理(給与計算代行) |
| 使用システムと提供形態 | 自社クラウド会計「10book」+運用代行 | クラウド会計(freee/マネーフォワード対応)+運用代行 | マネーフォワード クラウド+運用代行 | クラウド「freee人事労務」+運用代行 | ジョブカン給与計算+運用代行(社労士連携) | 給与計算システム+運用代行(社労士監修) |
| 月額料金の目安 | 29,500円〜(免税事業者) 43,500円〜(課税事業者) ※税別 | 30,000円〜 (スモールプラン) | 個別見積もり (例: 従業員5名で月10万円〜・税抜) | 95,000円〜(50名分込み) 追加1名1,900円/月・税抜 | 要問い合わせ | 1名1,000円〜/月 (基本料金なし) |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 初月のみ発生(見積時に提示) | 要問い合わせ | なし | 要問い合わせ | 0円 |
| 対象規模 | 中小・スタートアップ (免税=売上1,000万円以下/課税=売上5億円以下が目安) | 法人のみ (年商数千万〜100億円/従業員1〜100名が目安) | 中小企業 (導入事例は1〜50名規模) | 公式に明示なし (料金は50名分込みの設計) | 公式に明示なし (導入事例は250名規模) | 中小〜中堅 |
| 特徴 | 公認会計士・税理士が対応 記帳〜申告を月額定額に内包 | 業務フローをゼロから設計 会計×ITで運用まで一気通貫 | クラウド導入から実務代行までワンストップ 最短5営業日で月次試算表 | 外注から内製へ移行できる設計 情報がソフト上に蓄積 | 社労士法人監修で法改正に対応 最短3か月で運用開始 | 基本料金なしで小さく始められる ISO/IEC 27001取得(RoboRoboシリーズ) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※料金・対応業務は2026年10月時点の各社公式情報によります。最新の提供範囲・金額は各社の資料・公式サイトでご確認ください。
1. Tenbook(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbook(テンブック)は、シンアカウンティングサービス株式会社が提供するクラウド型の経理代行サービスです。自社のクラウド会計ソフト「10book」を使い、記帳・決算書作成・税務申告書作成までを一貫して引き受けます。
経理・会計が中心のサービスで、給与計算・賞与計算・年末調整はオプションとして対応します。月額料金の目安は、免税事業者で29,500円から、課税事業者で43,500円からです(いずれも税別、売上規模により異なります)。経理の実務を社外のプロに任せつつ、クラウド上で状況を確認したい企業に向いています。
2. Wheat Accounting(株式会社Wheat)

株式会社Wheatが運営するWheat Accountingは、クラウドツールの活用と専門スタッフの運用を組み合わせた経理アウトソーシングです。日々の記帳や請求書発行、振込といった実務を、内側から支える役割分担を掲げています。
給与計算は対応業務に含まれ、賞与計算や年末調整は業務量が増える時期のオプションとして柔軟に対応します。税務申告は税理士、社会保険や労務は社労士と連携して対応する仕組みです。料金はスモールプランの月額30,000円からで、年商数千万円から100億円規模、従業員1〜100名の企業を主な対象としています。退職や属人化で経理が止まりやすい中小企業にとって、心強い選択肢となります。
3. マネーフォワード おまかせ経理(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード おまかせ経理は、クラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド」を使って経理業務を代行するアウトソーシングサービスです。使い慣れたクラウド会計の環境の上で、記帳から支払・請求までの運用を任せられます。
料金は業務範囲に応じた個別見積もりで、公式には従業員5名規模で経理業務をまるごとアウトソースした場合に月額10万円(税抜)という料金例が示されています。クラウド会計の導入と経理の運用をあわせて進めたい企業にとって、導入しやすいサービスです。
4. freee人事労務アウトソース(フリー株式会社)

freee人事労務アウトソースは、「freee人事労務」のクラウドシステムと、その運用代行をセットで提供するBPaaS型のサービスです。システムの提供と運用の両方を任せられる、BPaaSの典型的な形といえます。
月次給与計算・賞与計算・年末調整・入退社手続きなど、人事労務の幅広い業務に対応します。料金は基本料金が月額95,000円(50名分の利用料を含む)で、以降は1名あたり月額1,900円(税抜)、初期費用はなしとされています。人事労務をシステムごと任せたい企業に向く構成です。
5. ジョブカンBPO(株式会社DONUTS)

ジョブカンBPOは、勤怠・給与計算で広く使われている「ジョブカン」シリーズのシステムと、その運用代行を組み合わせたサービスです。勤怠データの確認から給与計算、給与明細のWeb発行、年末調整までを一括で委託できます。
課題や業務フローのヒアリングを経て提案し、初回の打ち合わせから最短3か月で運用を開始できるとしています。料金は公開されておらず、業務内容に応じた見積もりとなります。すでにジョブカンを使っている、あるいは勤怠から給与まで一連の流れで任せたい企業に適しています。
6. RoboRoboペイロール(オープン株式会社)

オープン株式会社が提供するRoboRoboペイロールは、社労士監修のもとで、給与計算の代行と給与計算システム、電子給与明細の発行、人事情報管理をワンセットで提供するサービスです。毎月の勤怠情報をもとに給与計算を行い、結果をデータや明細で納品する代行型の運用です。
料金は基本料金なしで、従業員1名あたり月額1,000円から、初期費用は0円とされています。年末調整や賞与計算など個別業務の追加料金は公式ページに明示がないため、見積もり時の確認をおすすめします。少人数のうちから給与計算を小さく始めたい企業でも、無理なく導入できます。
ここで取り上げたのは、BPaaS・アウトソーシング型で委託できるサービスの一部です。給与計算の委託先を、34サービスの中から業務範囲・料金体系・企業規模別の選び方まで見比べて探したい方は、以下の比較記事もあわせてご覧ください。
まとめ
BPaaSは、クラウドシステムと運用をまとめて委託できる形態です。ソフトだけのSaaSや人手中心の従来のBPOと比べ、システムと運用を一体で任せられ、クラウド上で進捗を確認しやすい点が特徴でした。
給与計算・経理・人事労務などの定型業務が主な対象で、委託先によって対応範囲や料金体系は大きく異なります。自社が手放したい業務が対応範囲に入っているか、規模や料金が合っているか、セキュリティ体制は十分かを軸に、複数のサービスを見比べて選ぶとよいでしょう。まずは気になるサービスの資料を取り寄せ、対応業務と料金を具体的に確認することをおすすめします。
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よくある質問(FAQ)
Q. BPaaSとは何ですか?
A. BPaaSは、業務に使うクラウドシステムと、そのシステムを使った運用の両方をまとめて外部に委託できる形態です。「Business Process as a Service」の略で、調査会社ガートナーが整理した概念です。給与計算でいえば、計算用のクラウドソフトと、そのソフトを使った毎月の計算・明細発行までをセットで引き受けてもらえます。
ソフトだけを提供するSaaSや、人手で業務を代行する従来のBPOとは、委託できる範囲が異なります。
Q. BPaaSとBPOの違いは何ですか?
A. BPaaSとBPOの違いは、システムの提供を含むかどうかと、業務の進め方にあります。BPaaSはクラウドシステムの利用と業務運用をセットで任せられ、委託先と同じクラウド上で進捗やデータを確認できるのが特徴です。一方、BPOは人手による業務代行が中心で、システムは自社と委託先で別々になりやすく、やり取りがメールや書類中心になるため、業務が社内から「見えにくく」なりがちです。
Q. BPaaSはITの専門知識がなくても導入できますか?
A. ITの専門知識がなくても導入できます。BPaaSは、業務に使うクラウドシステムの選定・設定から運用までを委託先がまとめて引き受ける形態のため、自社にシステム担当者がいなくても始められます。むしろ、専任のIT人材や経理・人事の担当者を置きにくい企業ほど、システムと運用をセットで任せられるメリットが大きくなります。
Q. BPaaSは中小企業や少人数の会社でも利用できますか?
A. 中小企業や少人数の会社でも利用できます。従業員1人あたり月額1,000円程度から給与計算を請け負うサービスや、従業員1〜100名規模を主な対象とする経理アウトソーシングなど、小規模から使えるサービスがあります。
専任者を置きにくい中小企業ほど、固定費としての人件費を抱えずに専門性を確保できる点で向いています。ただしサービスごとに想定する企業規模が異なるため、自社の規模に合う料金体系・運用かを確認することが大切です。
Q. BPaaSに業務を丸投げすると、社内にノウハウが残らなくなりませんか?
A. 運用を任せきりにするとノウハウは残りにくくなりますが、進め方しだいで防げます。クラウド上で進捗やデータを確認できるサービスを選び、定期的に中身を把握する運用にしておくと、業務の流れが見えなくならず、将来内製に戻す際にも困りにくくなります。契約前に、どこまで自社で可視化できるかを確認しておくとよいでしょう。
Q. BPaaSの委託をやめるとき、データは返してもらえますか?
A. 返却の可否や形式はサービスや契約によって異なるため、契約前に取り決めておくことが重要です。委託先を切り替える、あるいは内製に戻すときに、データをどの形式で返してもらえるか、業務をどう引き継ぐかを契約段階で明確にしておきます。ここを曖昧にすると、特定の委託先から離れにくくなる恐れがあるため、あわせて使用するクラウドソフトを契約終了後も使い続けられるかも確認しておきましょう。
Q. 特定の担当者に属人化している業務でも、BPaaSに委託できますか?
A. 属人化している業務こそ、BPaaSへの委託で標準化と属人化の解消を図れます。ただし、委託にあたっては担当者のやり方を手順として洗い出し、ルール化できる形に整理する必要があります。判断が都度変わる非定型の業務や例外処理の多い業務は標準化しにくいため、まずは定型的で繰り返し発生する部分から委託を検討するのが現実的です。
Q. 複数の拠点に分散している業務を、BPaaSでまとめて委託できますか?
A. クラウド上で業務を進めるBPaaSは、拠点ごとに分かれていた業務を1か所に集約しやすい形態です。各拠点のデータを同じクラウド環境で扱えるため、拠点ごとにばらついていた手順や様式を統一し、全社でまとめて委託できます。対応できる業務範囲や拠点数はサービスによって異なるため、自社の体制に合うかを確認するとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















