部門ごとにSaaSが増え、基幹システムもクラウドへ移すなかで、「自社のクラウド利用をどう守ればいいのか」が悩ましくなっていませんか。製品を調べ始めると、CASB・IDaaS・CSPM・WAFといった略語が次々に出てきて、結局どれを比べればいいのか分かりにくいのが実情です。
「クラウドセキュリティ」とひとくくりにされがちですが、守る対象はSaaSの利用統制、ログイン(ID・アクセス)、クラウド基盤の設定、公開アプリの防御などに分かれ、それぞれ担う製品のタイプが違います。自社に合うものを選ぶには、まず「何を守りたいのか」でタイプを見分け、そのうえで製品を比べるのが近道です。
本記事では、クラウドの利用を守る主要14製品を、守る対象別のタイプ(SaaS統制=CASB/ID・アクセス=IDaaS/基盤設定=CSPM・CNAPP/公開アプリ・通信経路=WAF・SASE)に整理し、タイプを横断して比較します。
機能や料金の目安に加え、責任共有モデルにもとづく「自社が守るべき範囲」の考え方まで整理しました。クラウドの守り方を検討している方が、自社に必要なタイプと候補を絞り込む材料としてご活用ください。
また、自社がまず何を守るべきかを手早く確認できるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。どのタイプから検討すべきか迷う場合は、こちらもあわせてご活用ください。
目次
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クラウドセキュリティとは|「結局なにを比べるのか」が分かりにくい理由
クラウドセキュリティとは、SaaSやIaaS/PaaSといったクラウドサービスの利用に伴うリスクから、データ・ID・システムを守る取り組みと、そのための製品群の総称です。ひとつの製品ですべてをまかなう分野ではなく、守る対象ごとに専門の製品が分かれている点が特徴です。
クラウドは、利用者がどこまで自分で管理するかによって、SaaS・PaaS・IaaSの層に分かれます。米国国立標準技術研究所(NIST)の定義でも、SaaSでは利用者が基盤やOSを管理しない一方、IaaSではOSやアプリケーションの管理は利用者側に残るとされています。このため、使うクラウドの形によって「自社が守るべき範囲」が変わります。
「クラウドセキュリティ 比較」で製品を探すと比較軸が1本に定まりにくいのは、このためです。SaaSの利用状況を把握したいのか、ログインを安全にしたいのか、IaaSの設定ミスを防ぎたいのか、公開中のWebアプリを守りたいのか——目的ごとに向く製品が異なります。本記事では、まず「守る対象」でタイプを整理し、そのうえで製品を横断比較する順で進めます。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:The NIST Definition of Cloud Computing(NIST Special Publication 800-145)|米国国立標準技術研究所(リンク)
クラウド利用で高まるリスクと、守るべき対象
ここからは、クラウド利用で高まるリスクを整理し、守る対象ごとに対策が分かれる前提を押さえます。リスクは大きく、外部からの攻撃・内部の不正や過失・設定の不備の3つの観点で捉えると見通しがよくなります。
第1に、許可を得ずに業務で使われるSaaS(シャドーIT)や、乗っ取られたIDを通じた不正アクセスです。誰がどのクラウドを使い、どのアカウントがどの権限を持つかを把握できていないと、侵入や情報の持ち出しに気づけません。
第2に、クラウド基盤の設定の不備です。ストレージの公開範囲やアクセス権の設定を誤ると、意図せず社外からデータが見える状態になります。総務省のガイドラインは、設定不備による情報漏えいが社会問題になっていると指摘しています。
ここ数年、クラウドサービスを利用する事業者において、設定不備による顧客の個人情報の流失のおそれに至る事案が増加しており、クラウドサービスの利用におけるリスクとして社会的に問題となっている。
また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況 2021 年」によると、不正アクセスの原因別比率では、設定不備が全体のおよそ 17.7%で第 3 位となり、このような社会問題を引き起こす原因として無視できなくなっている。
出典:クラウドサービスの利用・提供における適切な設定のためのガイドライン|総務省(令和4年10月)
この数値は2021年の届出状況をIPAが集計し、総務省ガイドラインが引用したものです。年次は数年前ですが、設定不備が情報漏えいの主要な原因の一つである点は現在も変わりません。
第3に、公開中のWebアプリケーションへの攻撃や、通信経路上の脅威です。社外に公開するアプリは、脆弱性を突く攻撃や不正な通信の標的になります。これらのリスクは、守る対象(SaaSの利用/ID・アクセス/基盤の設定/公開アプリ・通信)ごとに対策する製品が分かれます。次章で、そのタイプを整理します。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:クラウドサービスの利用・提供における適切な設定のためのガイドライン|総務省(リンク)
守る対象で分かれるクラウドセキュリティのタイプ
ここからは、クラウドセキュリティの製品を「クラウドの使い方で何を守るか」で4つのタイプに整理します。自社の課題がどのタイプに当てはまるかを見極めると、比較すべき製品の範囲が絞り込めます。

社員が使うSaaSの可視化・統制(CASB系)
クラウドアクセスセキュリティブローカー(CASB)は、社員が使うSaaSを可視化し、利用を統制するタイプです。許可外のSaaS利用(シャドーIT)の検出、クラウド利用状況の把握、クラウド上のデータ保護やコンプライアンス評価を担います。「どの部署がどのSaaSを使っているか分からない」「利用の棚卸しをしたい」という課題に向きます。
同じCASB系でも、通信を経由して細かく制御する本格的な製品から、SaaSの利用状況を可視化して棚卸し・シャドーIT検知を軽量に行う製品まで幅があります。自社がどこまでの統制を求めるかで選択肢が変わります。
クラウドへのログイン=ID・アクセスを守る(IDaaS/SSO/MFA系)
ID管理・アクセス管理(IDaaS)は、クラウドへのログインを安全にするタイプです。複数のクラウドに一度の認証でログインできるシングルサインオン(SSO)、パスワードに加えて本人確認を重ねる多要素認証(MFA)、誰にどのアクセス権を与えるかの管理を担います。目的は、適切な人だけがデータとリソースにアクセスできる状態をつくることです。
SaaSが増えるほどIDとパスワードの管理が煩雑になり、使い回しや退職者アカウントの放置といったリスクが生まれます。ID・アクセスを一元管理できれば、利便性と安全性を両立しやすくなります。クラウド利用の土台になるタイプで、多くの企業が最初に検討します。
クラウド基盤(IaaS/PaaS)の設定・ワークロードを守る(CSPM/CNAPP系)
クラウドセキュリティ状態管理(CSPM)は、AWS・Azure・Google Cloudなどのクラウド基盤の設定やワークロードの状態を継続的に点検し、設定ミスやリスクを見つけて改善を促すタイプです。前章で触れた設定不備による情報漏えいを防ぐうえで要になります。自社でIaaS/PaaSを利用し、クラウド上にシステムを構築している企業に向きます。
これを発展させたのがクラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム(CNAPP)で、CSPMに加え、仮想マシンやコンテナなどのワークロードを守る機能(CWPP)を統合します。設定の点検から実行環境の保護までを一つの基盤でまかないたい場合の選択肢です。
公開アプリ・通信経路を守る(WAF/SWG/SASE系)
社外に公開するWebアプリケーションを守るのがWebアプリケーションファイアウォール(WAF)です。HTTP通信に一連のルールを適用し、脆弱性を突く攻撃をふるい分けます。自社でWebサービスやオンラインアプリを提供している企業に向きます。
一方、社員がどこからクラウドやインターネットにアクセスしても安全な通信経路を確保するのが、セキュアWebゲートウェイ(SWG)や、ネットワークとセキュリティをクラウドで統合するSASE/SSEです。テレワークで社外からの接続が増え、従来の社内境界型の防御だけでは守りきれない場合に検討されます。
4つのタイプの守る対象と、該当する主な製品を整理すると次のとおりです。
| タイプ | 何を守るか | 向いている企業 | 該当する主な製品 |
|---|---|---|---|
| SaaSの可視化・統制(CASB系) | 社員が使うSaaSの利用状況・シャドーIT・クラウド上のデータ | SaaS利用が増え、利用実態を把握・統制したい企業 | マネーフォワードAdmina、Netskope、Microsoft Defender for Cloud Apps |
| ID・アクセスを守る(IDaaS/SSO/MFA系) | クラウドへのログイン・認証・アクセス権 | 複数クラウドのID管理を一元化したい企業 | CloudGate UNO、Microsoft Entra ID、Okta、HENNGE One、Cisco Secure Access by Duo |
| クラウド基盤の設定・ワークロードを守る(CSPM/CNAPP系) | IaaS/PaaSの設定ミス・ワークロードの脅威 | 自社でクラウド基盤を構築・運用している企業 | Trend Vision One、Prisma Cloud、Cloudbase |
| 公開アプリ・通信経路を守る(WAF/SWG/SASE系) | 公開Webアプリ・社内外の通信経路 | Webサービスを公開、またはテレワークの通信を守りたい企業 | Zscaler、Cloudflare One、Cloudbric |
各製品の具体的な機能・料金は、後半の比較表と個別紹介で詳しく取り上げます。略語はいずれも守る対象を示す目印として使っており、厳密な製品分類の境界は製品ごとに重なり合う点にご留意ください。
とくにSASE製品はCASB・SWG・ZTNAを束ねて複数タイプにまたがるため、本記事では各製品の主な使いどころ(SaaS統制が中心か、通信経路の保護が中心か)でタイプを割り当てています。
出典・参考資料(5件)
診断で出たタイプが、まず固めるべき候補です。ID・アクセスの乱れは土台のリスクになりやすいため、迷う場合はここから着手する企業が多い点も参考にしてください。
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【比較表】クラウドセキュリティ製品をタイプ横断で比較
ここからは、4タイプの主要14製品を横断で比較します。守る対象のタイプ・主な機能・対応するクラウド・料金の目安・無料トライアルの有無を一覧にまとめました。自社が守りたい対象に合うタイプを軸に、候補を絞り込む材料としてご覧ください。
| サービス名 | マネーフォワードAdmina | Netskope | Microsoft Defender for Cloud Apps | CloudGate UNO | Microsoft Entra ID | Okta | HENNGE One | Cisco Secure Access by Duo | Trend Vision One | Prisma Cloud | Cloudbase | Zscaler | Cloudflare One | Cloudbric |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ(守る対象) | SaaS統制 | SaaS統制 | SaaS統制 | ID・アクセス | ID・アクセス | ID・アクセス | ID・アクセス | ID・アクセス | 基盤設定 | 基盤設定 | 基盤設定 | 公開アプリ・通信 | 公開アプリ・通信 | 公開アプリ・通信 |
| 主な機能・守備範囲 | SaaS可視化・棚卸し シャドーIT検知・アカウント管理 | CASB+SWG+ZTNA統合 SaaSリスク評価(SSE/SASE) | シャドーIT検出・SSPM アプリ制御(Defender連携) | SSO+MFA+アクセス制限 +ID管理(統合IDaaS) | SSO+MFA+条件付きアクセス (M365/Azureの認証基盤) | SSO+MFA+IDライフサイクル 8,000超の連携 | SSO+MFA+アクセス制御 メール・DLPを統合 | 既存環境への後付けMFA デバイストラスト | CSPM+CIEM+DSPM クラウドリスク管理 | CSPM+CIEM+CWPP IaC/AI-SPM(CNAPP) | CSPM+CWPP+CIEM 脆弱性管理(国産CNAPP) | SWG(ZIA)+ZTNA(ZPA) ゼロトラスト通信基盤 | ZTNA+SWG+CASB メール・DLP(SASE) | WAF+DDoS+SSL 脅威IP+ボット対策(5in1) |
| 対応クラウド | 各種SaaS (約19万件DBと照合) | 各種SaaS インターネット通信 | 各種SaaS (M365ほか) | 各種クラウド (SaaS) | 各種SaaS (M365/Azureほか) | 各種SaaS オンプレAD | 各種SaaS (480サービス超) | 各種SaaS/VPN/RDP オンプレWebアプリ | IaaS・PaaS (AWS/Azure/Google/Oracle/Alibaba) | IaaS・PaaS (AWS/Azure/Google/Oracle/Alibaba) | IaaS・PaaS (AWS/Azure/Google/Oracle)+オンプレ | インターネット通信 社内アプリ | インターネット通信 SaaS/社内アプリ | 公開Webアプリ・API |
| 料金の目安 | 50ID無料 51ID〜月300円/ID 300ID〜個別見積もり | 要問い合わせ (ユーザー数×契約年数) | 要問い合わせ (M365 E5等に包含) | 月400円〜/ユーザー (税抜) | Free無料 P1 1,049円/P2 1,499円 (月額/ユーザー) | 月940円〜/ユーザー (年最低240,000円) | IdP単体400円〜 Suite 1,000円〜 (税抜・月/ID、200ID〜) | 10名まで無料 Essentials 月3米ドル〜/ユーザー | 要問い合わせ (クレジット制) | 要問い合わせ (クレジット制) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 無料プランあり Enterpriseは要問い合わせ | 月28,000円〜(税別) 初期68,000円〜 |
| 無料トライアル・PoC | ●50IDまで無料 | △要問い合わせ | △要問い合わせ | ●30日間 | ●30日間 | ●30日間 | △要問い合わせ | ●10名無料+30日間 | ●30日間 | △要問い合わせ | ●トライアルあり | △要問い合わせ | ●無料プラン/PoC可 | ●30日間 |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は2026年10月時点の各社公式情報にもとづく概算の目安です。実際の機能搭載の有無・対応範囲・料金・提供形態は各社の最新情報をご確認ください。
クラウドセキュリティ製品の個別紹介
ここからは、タイプ別に各製品の特徴を紹介します。自社の守りたい対象に当たるタイプから読むと、候補の比較がしやすくなります。
社員が使うSaaSの可視化・統制(CASB系)
増えたSaaSの利用実態を把握し、シャドーITを抑えたい場合に検討したい製品です。
1. マネーフォワードAdmina(マネーフォワードi株式会社)

マネーフォワードi株式会社(株式会社マネーフォワードの100%子会社)が「情シス向け業務OS」として掲げるSaaS・IT資産管理プラットフォームです。従業員を軸に、SaaSアカウントの可視化・棚卸し、入退社時のアカウント発行・停止、シャドーIT検知、コスト管理、デバイス管理を一つの画面で扱います。
シャドーIT検知はIdP連携・ブラウザ拡張機能・会計/経費システム連携の3経路で行い、約19万件のSaaSデータベースと照合して未把握のSaaSを検出・通知します(エージェントやプロキシは不要)。検知後はUI上でSaaS連携に進む形で、通信をその場で遮断するインライン型の制御は公式では確認できません。可視化と棚卸しを主眼にした軽量なタイプといえます。
料金は50ID以下が無料で全機能を使え(公式料金ページの表記は「スタートアップ企業」向け)、51ID以上は1IDあたり月300円、300ID以上は個別見積もりです。退職済みアカウントのアラート表示とボタン操作での削除、退職時ワークフローによる自動削除など、オフボーディングの手当ても備えます。
2. Netskope(Netskope, Inc.)

ゼロトラストを基盤に、CASB・SWG・ZTNAなどのSSE機能とSD-WANなどのネットワーク機能を「Netskope One」という単一プラットフォームに統合したSASE製品です。米国のNetskope, Inc.が開発し、日本法人のNetskope Japan株式会社が設けられています。
CASBはクラウド利用の可視化・制御を担い、管理・非管理アプリやアプリインスタンス(企業用・個人用)を区別して扱います。
独自のクラウドサービス評価データベース「Cloud Confidence Index」を備え、85,000以上のクラウドアプリと1,800以上の生成AIツールを、50以上のセキュリティ・プライバシー・コンプライアンス属性で評価します。結果は0〜100のスコアと5段階のレベルで格付けされ、自社で利用中のSaaSのリスク判断に使えます。
日本では販売パートナー経由での導入が一般的で、料金はユーザー数×契約年数のサブスクリプション(要問い合わせ)です。
3. Microsoft Defender for Cloud Apps(日本マイクロソフト株式会社)

旧称をMicrosoft Cloud App Security(MCAS)といい、Microsoft CorporationがSaaSアプリの保護ソリューションとして提供するCASBです。
シャドーITの検出とクラウドアプリの可視化、SaaSセキュリティ態勢管理(SSPM)、Microsoft Defender XDRの一部としての脅威防御、OAuthアプリのガバナンスを、Microsoft Defenderポータルから扱います。
シャドーIT検出(Cloud Discovery)では33,000以上のアプリを90以上のリスク要素で評価し、生成AIアプリの可視化にも対応します。
条件付きアクセスアプリ制御はリバースプロキシ方式で、端末へのインストールなしにダウンロードやコピー・印刷のブロックといったセッション単位の制御を行えます。対象はブラウザーベースのアクセスに限られ、Microsoft Teamsのデスクトップアプリは対象外です。この機能の利用にはMicrosoft Entra ID P1が別途必要です。
SaaS起点の脅威を、メール・エンドポイント・IDなど他ドメインのシグナルと同一ポータルで相関分析できる点が、Microsoft Defender XDRに連携する本製品の持ち味です。
単体価格は公式製品ページに掲載がなく、見積もりが必要です。Microsoft 365 E5やEnterprise Mobility + Security E5、Microsoft Defenderスイートなどに含まれます。これらのスイートは1ユーザーあたり月額1,799円相当・税別で、前提ライセンスはMicrosoft 365 E3などです。
クラウドへのログイン=ID・アクセスを守る(IDaaS/SSO/MFA系)
複数のクラウドのログインを一元管理し、認証を強化したい場合の中心となる製品です。
4. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

株式会社インターナショナルシステムリサーチが100%自社開発する国産のIDaaSで、SSO・多要素認証・アクセス制限・ID管理を一つの基盤に統合しています。2008年に始まったクラウド認証サービスを源流に(CloudGate UNO としての提供は2013年)、ゼロトラストの考え方にもとづくクラウドへのログイン認証を提供してきました。
認証面では、パスキー(FIDO2)によるパスワードレス認証に対応し、全プラン・全ユーザーが無制限にパスキー認証を利用できます。アクセス制限はIPアドレスやデバイス証明書に加え、国・地域や曜日・時間帯といった条件でも設定でき、業務時間外や社外からのログインを細かく制御できます。
料金はStandard Plus 400円、Enterprise Plus 500円、Smart Pack 600円(いずれも税抜・1ユーザー月額)の3プランで、30日間の無料トライアルを用意しています。契約数は1,400社以上で、導入前から導入後まで日本語で対応するサポート体制も特徴です。
パスワードレス認証への移行がID・アクセス管理の現場にどう表れるかについて、同社の平澤氏は導入企業の例を次のように挙げています。

導入と同時にパスワードレス認証に切り替えた企業では、IT部門の業務の約20%を占めていたパスワード関連のヘルプデスク業務が「0%」になったという事例があります。
5. Microsoft Entra ID(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft 365やAzureの認証基盤をそのまま担うクラウド型のID・アクセス管理サービスで、2023年にAzure Active Directory(Azure AD)から名称が変わりました。SSO・多要素認証・パスワードレス認証に加え、条件に応じてアクセスを制御する「条件付きアクセス」まで同じ基盤で扱えます。
Microsoft 365やAzureをすでに利用している組織は、別途ツールを導入せずにMFAや条件付きアクセスを有効化できます。ユーザー・場所・デバイス・サインインのリスクといった条件でアクセス可否や追加認証を動的に制御でき、Windowsの生体認証(Windows Hello for Business)とも連携します。
料金は基本機能を含むFree版が無料、上位のP1が1,049円、P2が1,499円(いずれも1ユーザー月額・年払い相当)です。条件付きアクセスはP1以上、サインインのリスクに応じた制御はP2が必要で、30日間無料で試せます。
6. Okta(Okta Japan株式会社)

特定のクラウドベンダーに縛られない独立系のIDaaSで、日本ではOkta Japan株式会社が提供しています。SSO・多要素認証・ユーザーディレクトリ・IDライフサイクル管理(Lifecycle Management)を、一つのプラットフォームで統合的に扱えます。
強みは連携の広さで、事前構築済みの連携を8,000以上そろえるOkta Integration Network(OIN)を通じ、SaaSからオンプレミスのActive Directoryまで幅広い環境のアカウントを一元管理できます。認証面では、フィッシング耐性を持つパスワードレス認証「Okta FastPass」やFIDO2/WebAuthnに対応します。
料金はStarterが940円、Core Essentialsが2,020円、Essentialsが2,670円(いずれも1ユーザー月額・年単位請求)で、年間契約の最低額は240,000円です。入退社に連動したアカウント自動管理(Lifecycle Management)はCore Essentials以上に含まれ、30日間の無料トライアルがあります。
7. HENNGE One(HENNGE株式会社)

ID統制に加え、メールのセキュリティやエンドポイント対策まで一つにまとめられるのが、HENNGE株式会社の国産サービス「HENNGE One」です。SSO・多要素認証・アクセス制御を中核に据え、Google WorkspaceやMicrosoft 365と同じライセンス数での契約を前提としています。
SSOは連携するクラウドサービスが増えても利用料に追加課金が発生しない料金設計で、公式サイト上では480以上のサービスへの対応をうたっています。国内の導入は契約企業数3,731社(2026年3月末時点)、契約ユーザー数は300万を超え、東京証券取引所の上場企業の約2割が利用しています。
料金は全機能を束ねたSuiteのBasicが1,000円、Proが1,500円、ID統制のIdP単体が400円(いずれも税抜・1ID月額、2026年10月開始の新プラン)です。最小契約は200IDからで、メールとIDの対策を一社でまとめたい企業に向きます。
8. Cisco Secure Access by Duo(シスコシステムズ合同会社)

既存のVPNやクラウドサービスに、後からMFAを被せることに特化したアクセスセキュリティサービスです。元は独立企業のDuo Securityが開発し、2018年にシスコが買収しました。多要素認証・デバイスの健全性チェック・適応型のアクセスポリシーを組み合わせて、ログインの可否を判定します。
新しいID基盤を構築せず、VPN・RDP・オンプレミスのWebアプリ・クラウドSaaSといった既存の認証ポイントにMFAを追加できるのが特徴です。認証方式はDuo Push、番号一致を加えたVerified Duo Push、FIDO2・パスキー、生体認証など幅広く、ログインのたびに端末のOSやパッチの状態を確認してからアクセスを許可します。
料金は10ユーザーまで無料のFreeに加え、Essentialsが月額3米ドル、Advantageが6米ドル、Premierが9米ドル(いずれも1ユーザー月額)です。すべての有償プランで30日間の無料トライアルを利用でき、国内はシスコの販売代理店経由での導入が中心です。
クラウド基盤(IaaS/PaaS)の設定・ワークロードを守る(CSPM/CNAPP系)
自社でクラウド基盤を構築・運用し、設定ミスやワークロードの脅威を継続的に点検したい場合に向く製品です。
9. Trend Vision One(トレンドマイクロ株式会社)

統合サイバーセキュリティプラットフォーム「Trend Vision One」(トレンドマイクロ株式会社)のうち、クラウド基盤を守るのがクラウドリスク管理(Cloud Risk Management)機能です。
CSPM(クラウド設定の点検)・CIEM(クラウドの権限管理)・DSPM(データの保管・保護状況の管理)として、自社が利用するAWS・Azure・Google Cloud・Oracle Cloud・Alibaba Cloudのリスクを継続的に点検します。
点検の対象は、取引先のSaaSではなく自社が運用するクラウド環境です。設定不備・権限リスク・データリスクをエージェントレスで可視化し、IaC(Infrastructure as Code)のスキャンや攻撃経路分析にも対応します。
旧Cloud One – Conformityの系譜を引き継ぎ、Azure・Google Cloud・Kubernetes関連など複数のCISベンチマークでCIS認証を取得しています。料金はクレジット制の単一ライセンス「TrendAI Flex」で提供され、クラウドセキュリティ単体の価格は公開されておらず要お問い合わせです。30日間の無料体験が用意されています。
10. Prisma Cloud(Palo Alto Networks)

Palo Alto Networksが提供するCNAPP(クラウドネイティブ・アプリケーション保護プラットフォーム)です。設計段階のコードから稼働中のランタイムまでを「Code to Cloud」として一つのプラットフォームで保護します。日本ではパロアルトネットワークス株式会社が窓口となります。
クラウド設定の点検(CSPM)、権限管理(CIEM)、エージェントレスのワークロードスキャンに加え、IaC(コードで定義するインフラ構成)やCI/CDパイプライン、AI利用アプリの保護(AI-SPM)までを別モジュールとして束ねます。
対応クラウドはAWS・Azure・Google Cloud・Oracle Cloud・Alibaba Cloudの5種で、検査方式はエージェントレスとエージェント(Defender)の両方に対応します。
提供形態はSaaS版(Enterprise Edition)と自社運用のセルフホスト版(Compute Edition)の2つで、料金はクレジット制で公開されておらず要お問い合わせです。2025年2月に次バージョンとして「Cortex Cloud」が発表され、2026年10月時点の日本語製品ページは製品名を「Prisma Cloud」としつつCortex Cloudとの統合に言及しています。
11. Cloudbase(Cloudbase株式会社)

Cloudbaseは、Cloudbase株式会社が開発する国産のクラウドセキュリティプラットフォームです。公式サイト(cloudbase.ink)では、CSPM・CNAPP・SBOM・脆弱性管理を束ねるサービスとして説明されています。AWS・Azure・Google Cloud・Oracle Cloudとオンプレミスに対応します。
クラウド設定の点検(CSPM)、ワークロードの脆弱性検出(CWPP)、ユーザー・ロールの権限管理(CIEM)を備え、クラウド側のスキャンはエージェントレスで実施します。
脆弱性の優先度判定にはCVSSに加えてSSVC(脆弱性対応の優先度付け手法)を採用し、KEV(既知の悪用された脆弱性)での絞り込みやSBOM(ソフトウェア部品表)のダウンロードにも対応します。多くの脆弱性の中から、対応すべきものを現実的な基準で絞り込めます。
リスクごとの修復手順を日本語で製品内に提供し、専任のサポートチームが技術・運用の質問に対応します。金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準(第14版)やPCI DSS v4.0.1などの基準準拠率も表示できます。料金は公開されておらず要問い合わせで、トライアルが用意されています。
公開アプリ・通信経路を守る(WAF/SWG/SASE系)
公開中のWebアプリを守りたい、またはテレワークの通信経路を安全にしたい場合に検討する製品です。
12. Zscaler(Zscaler, Inc.)

場所を問わず、ユーザーとインターネット・社内アプリの間にクラウドの検査基盤を挟んでアクセスを制御する、ゼロトラスト型のプラットフォームです。米国のZscaler, Inc.が提供し、拠点やテレワークなどアクセス元が分散した環境を前提に設計されています。
主力は、URLフィルタリングやTLS/SSL検査を備えたSecure Web Gatewayの「ZIA」と、社内アプリをインターネットに公開せず最小権限でつなぐVPN代替の「ZPA」の2系統です。SWG(ZIA)とZTNA(ZPA)を同一プラットフォームで組み合わせられるため、公開経路とリモートアクセスを一つの基盤で扱えます。
アプライアンスを設置せずクラウド側で検査する仕組みのため、拠点やクラウド利用の拡大に合わせて広げやすい構成です。公式ページに価格の記載はなく、料金は問い合わせで確認します。国内はパートナー経由での導入・運用支援が中心です。
13. Cloudflare One(Cloudflare, Inc.)

Cloudflare, Inc.(日本法人はCloudflare Japan株式会社)が「SASEプラットフォーム」と位置づけるサービスで、ネットワークからアプリケーション、クラウドまでの保護を単一のプラットフォームに束ねる構成をとります。
ZTNA(Access)、SWG(Gateway)、ブラウザ分離、CASB、メールセキュリティ、DLP、拠点接続のCloudflare WANなどを、同じベンダーの製品として提供します。フル機能のSASEを300以上の都市で提供すると公式が示しており、拠点やユーザーが分散した環境での通信経路の保護をまとめて検討したい場合に候補となります。
料金は公式のプランページに単価の記載がなく、PoC向けの無料プランと、問い合わせ前提のEnterpriseプランが案内されています。Enterpriseは利用ユーザー(シート)単位の課金で、管理対象デバイスの帯域幅料金は発生しないと公式に記載されています。
14. Cloudbric(ペンタセキュリティ株式会社)

公開中のWebアプリを守るクラウド型WAFで、WAF・DDoS対策・SSL証明書・脅威IP遮断・悪性ボット対策を1契約にまとめた「5in1」を掲げます。運営はペンタセキュリティ株式会社で、Cloudbricはサービスのブランド名です。
導入はサーバーへのエージェントやモジュール設置が不要で、契約後に保護対象を登録しDNSを変更してトラフィックを経由させる方式です。専門家が導入時・運用時に誤検知を抑えるポリシー調整を行うマネージドサービスと、24時間365日の日本語サポートを備えます。
料金は保護対象のFQDN数と転送量で決まり、FQDN20個・転送量60GBまでのプランで月額28,000円〜(税別)、初期導入費用は68,000円〜です。上位プランの料金は問い合わせで確認します。法人向けに30日間の無料トライアルが用意されています。
責任共有モデル|クラウドで自社が守るべき範囲
どのタイプの製品が必要かを見極める前に、クラウドで「どこまでを自社が守るのか」を押さえておくと判断がぶれません。クラウド事業者と利用者の役割分担を示すのが責任共有モデルです。

AWSは、インフラ側(クラウドのセキュリティ)は事業者が、その上で扱うデータやアプリケーション(クラウドにおけるセキュリティ)は利用者が担う、と整理しています。
セキュリティとコンプライアンスは AWS とお客様の間における共有責任です。AWS の責任「クラウドのセキュリティ」/AWS には、AWS クラウドで提供されるすべてのサービスを実行するインフラストラクチャを保護する責任があります。お客様の責任「クラウドにおけるセキュリティ」/お客様の責任は、選択した AWS クラウドのサービスに応じて異なります。
出典:責任共有モデル|アマゾン ウェブ サービス(AWS)
Microsoft Azureは、クラウドの利用形態(SaaS/PaaS/IaaS)にかかわらず、利用者が常に負う責任があると明示しています。
すべてのクラウド デプロイの種類について、データと ID を所有します。データと ID、オンプレミス リソース、および制御するクラウド コンポーネントのセキュリティを保護する責任があります。(中略)デプロイの種類に関係なく、常に次の責任を負います。データ/エンドポイント/アカウント/アクセス管理。
出典:クラウドでの共同責任|Microsoft Azure
Google Cloudも同趣旨の責任共有モデルを示しており、クラウド主要3社で基本的な考え方は共通しています。
ここでいう「責任」は、設定・運用・監視を誰が担うかというガバナンスの整理であり、法的な義務の結論を示すものではありません。ポイントは、SaaSでもIaaSでも、データ・ID・アクセス管理・エンドポイントは常に利用者の守備範囲に残るという点です。
だからこそ、ID・アクセスを守るIDaaS、SaaSの利用を可視化するCASB、クラウド基盤の設定を点検するCSPMといった製品を、利用者側で補う必要があります。IaaSを使うほど自社の守る範囲は広がり、SaaS中心でもID・アクセスとデータの管理は自社に残ります。自社のクラウドの使い方から、どのタイプを優先して固めるべきかを考えると、製品選びの軸が定まります。
出典・参考資料(3件)
自社が守るべき範囲は、クラウドの利用だけにとどまりません。社員が使う端末(PC・スマートフォン)やメール、社内ネットワークなど、守る対象ごとに必要な対策は変わります。クラウドに限らず社内のセキュリティ全体を守る対象別に見渡して比較したい場合は、次の記事が参考になります。
社内セキュリティソリューション比較|守る対象別のタイプ・代表サービスと選び方
社内のセキュリティを強化したいものの、端末の保護から不正アクセス対策、情報漏えいの防止まで課題が広く、何から手をつければよいか判断がつかないという声は少なくありません。テレワークやクラウド利用が定着し、社外に持ち出される端末やIDが増えたこ…
自社に合うクラウドセキュリティの選び方
ここからは、自社に合う製品を選ぶ観点を整理します。守りたい対象でタイプを見極め、機能・自社規模・運用体制・試用のしやすさの順に絞り込むと、過不足のない選定につながります。
どのタイプから導入すべきか
すべてのタイプを一度にそろえる必要はありません。責任共有モデルではSaaSでもIaaSでもデータとID・アクセスの管理が常に利用者側に残るため、ID・アクセスの乱れは土台のリスクになりやすく、ここから着手する企業が多いタイプです。SaaSが増えてログインとアカウントの管理が煩雑になっている場合は、特に優先度が上がります。
そのうえで、部署ごとのSaaS利用の実態が見えないなら可視化・統制(CASB)を、自社でIaaS/PaaSにシステムを構築しているなら基盤の設定点検(CSPM/CNAPP)を、Webサービスを公開しているならその防御(WAF)を重ねます。責任共有モデルで自社に残る範囲(データ・ID・設定)から、優先順位を考えるのが実務的です。
自社の規模・運用体制に合うか
同じタイプでも、専任のセキュリティ担当がいる企業向けの高機能な製品と、運用の手が限られる企業向けに導入・運用を支援する製品があります。監視や設定の運用を自社だけで回せるか、サポートや運用代行をどこまで求めるかを、製品選びの基準に含めます。特に情報システムの担当者が兼任で手が足りない場合、設定や運用を任せられる体制があるかは重要な分岐点になります。
料金が要問い合わせ・パートナー経由の導入を前提とする製品は、中堅〜大企業向けの重量級が多い傾向です。小規模なら、無料枠や公開価格から始められる製品を起点にすると、身の丈に合った選定がしやすくなります。
既存環境と連携できるか・無料で試せるか
すでにMicrosoft 365やGoogle Workspaceを使っているなら、それらと連携しやすい製品だと導入がスムーズです。既存のライセンスに含まれる機能で足りる場合もあるため、まず手元の契約範囲を確認します。
多くの製品は無料トライアルやPoC(試験導入)を用意しています。実際に自社のクラウド環境につないで、検知の精度や管理画面の使い勝手、運用にかかる手間を確かめてから本格導入を判断すると、導入後のミスマッチを避けやすくなります。
クラウドセキュリティ製品の料金の目安
ここからは、タイプ別の料金の目安を整理します。クラウドセキュリティ製品は、守る対象や規模・契約形態で価格が大きく変わり、法人向けは個別見積もりとなる製品が少なくありません。ここでは公開されている情報をもとにした概算の目安として捉えてください。
ID・アクセス(IDaaS)は、ユーザー単位の月額課金が一般的で、1ユーザーあたり数百円程度から始まります。海外の高機能な製品では、年間契約の最低額が24万円程度に達するものもあります。Microsoft 365など既存ライセンスに含まれる範囲で始められる場合もあるため、まず手元の契約を確認します。
SaaSの可視化・統制(CASB)は、利用者数やSaaS連携数に応じた課金が中心です。クラウド基盤の設定管理(CSPM/CNAPP)は、監視対象のリソース量やワークロード数で変動し、公式に価格を公開せず要問い合わせとする製品が多い領域です。
公開アプリを守るWAFは、守るドメイン数やトラフィック量に応じた月額課金が目安で、初期費用がかかる製品もあります。たとえばクラウド型WAFには、初期68,000円〜・月額28,000円〜(税別)から始められる製品もあります。
個別の料金は上の比較表にまとめています。タイプごとの費用のかかり方や、見積もりで変わる要素(ユーザー数・SaaS連携数・監視対象のリソース量など)をより詳しく知りたい場合は、料金に的を絞って解説した次の記事もあわせてご確認ください。
クラウドセキュリティの費用相場は?種類別の料金体系と代表サービスの価格例を解説
社内で利用するSaaSやクラウド基盤が増えるにつれて、来期のセキュリティ予算に「クラウドセキュリティ」としていくら積めばよいのか、見当をつけにくいと感じる場面が増えています。守る対象がパソコンや社内サーバーだけだった時代と違い、守る範囲がク…
まとめ
クラウドセキュリティは、ひとつの製品で完結する分野ではなく、守る対象ごとにタイプが分かれます。まず「何を守りたいのか」——SaaSの利用統制(CASB)、ID・アクセス(IDaaS)、クラウド基盤の設定(CSPM/CNAPP)、公開アプリ・通信経路(WAF/SASE)——でタイプを見極めるのが出発点です。
責任共有モデルで自社に残る範囲(データ・ID・設定)から優先順位を決め、タイプ内で機能・自社規模・運用体制・試用のしやすさを比べると、過不足のない選定につながります。本記事の比較表と診断を使って、自社に必要なタイプと候補を絞り込んでください。
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よくある質問(FAQ)
Q. クラウドセキュリティとは何ですか?
A. クラウドセキュリティとは、SaaSやIaaS/PaaSといったクラウドサービスの利用に伴うリスクから、データ・ID・システムを守る取り組みと、そのための製品群の総称です。ひとつの製品ですべてをまかなう分野ではなく、守る対象ごとに専門の製品が分かれているのが特徴です。
本記事では、社員が使うSaaSの可視化・統制(CASB)、ID・アクセス(IDaaS)、クラウド基盤の設定・ワークロード(CSPM/CNAPP)、公開アプリ・通信経路(WAF/SASE)の4タイプに整理しています。
Q. クラウドセキュリティはどのタイプから導入し、どう広げるとつまずきにくいですか?
A. ID・アクセスの乱れは土台のリスクになりやすいため、ID・アクセスの保護(IDaaS)から着手する企業が多いです。ただし、Webサービスの公開や自社運用のクラウド基盤など、事業で負うリスクが明確な領域があるなら、そちらを優先する判断も現実的です。
つまずきやすいのは、複数のタイプを一度に導入して運用が回らなくなるパターンです。小規模なら無料枠や公開価格の製品で1タイプずつ試し、運用に慣れてから対象を広げると、設定や監視の負荷を抑えられます。
Q. クラウドセキュリティのCASBとCSPMは何が違い、どう使い分けますか?
A. CASBとCSPMは、守る対象が異なります。CASBは社員が使うSaaSの利用状況を可視化・統制するタイプ、CSPMは自社が運用するクラウド基盤(IaaS/PaaS)の設定ミスを継続的に点検するタイプです。
CASBは「どの部署がどのSaaSを使っているか分からない」「シャドーITを抑えたい」という課題に、CSPMは「AWS・Azureなどの設定不備による情報漏えいを防ぎたい」という課題に向きます。社員のSaaS利用を統制したいならCASB、自社のクラウド基盤を点検したいならCSPM、と守りたい対象で使い分け、両方の課題があれば併用します。
Q. SaaSだけを使う会社にもクラウドセキュリティのCSPMは必要ですか?
A. SaaSの利用が中心で、自社でIaaS/PaaSにシステムを構築していない場合、CSPMの優先度は高くありません。CSPMはAWS・Azure・Google Cloudなどのクラウド基盤を自社で運用し、その設定ミスやワークロードのリスクを点検するタイプだからです。
SaaS中心の企業は、まずID・アクセスの保護(IDaaS)と、増えたSaaSの可視化・統制(CASB)から固めるのが現実的です。ただし、責任共有モデルではSaaS利用でもデータ・ID・アクセス管理は自社の守備範囲に残るため、その管理は欠かせません。
Q. 責任共有モデルで、クラウドセキュリティのうち自社が守る範囲はどこまでですか?
A. 責任共有モデルでは、SaaS・PaaS・IaaSのいずれの利用形態でも、データ・ID・アクセス管理・エンドポイントは常に利用者(自社)の守備範囲に残ります。インフラ側(クラウドのセキュリティ)は事業者が担う一方、その上で扱うデータやアプリケーション(クラウドにおけるセキュリティ)は利用者が担う、という整理です。
IaaSを使うほど自社の守る範囲は広がり、SaaS中心でもID・アクセスとデータの管理は自社に残ります。ただし、ここでいう「責任」は設定・運用・監視を誰が担うかというガバナンスの整理であり、法的な義務の結論を示すものではありません。
Q. クラウドセキュリティのIDaaSとMFAは何が違いますか?
A. IDaaSはID・アクセス管理全体を担う基盤で、MFA(多要素認証)はその中の本人確認を重ねる認証手段の一つです。IDaaSはSSO(シングルサインオン)・MFA・アクセス権の管理などを一つの基盤に統合し、適切な人だけがデータとリソースにアクセスできる状態をつくります。
一方、新しいID基盤を構築せず、既存のVPNやクラウドにMFAだけを後から足したい場合は、認証の追加に特化した製品(後付けMFA型)という選択肢もあります。ID基盤を一元的に整えたいのか、既存環境に認証強化を足したいのかで、向く製品が変わります。
Q. すでに使っているMicrosoft 365やGoogle Workspaceの機能だけで足りますか?
A. Microsoft 365やGoogle Workspaceを利用している組織は、別途ツールを導入せずにMFAや基本的なアクセス制御を有効化できる場合があります。グループウェアに標準で組み込まれたID管理機能(IDaaS)の無料枠で、基本的な認証強化をまかなえることがあるためです。
ただし、条件付きアクセスやサインインのリスクに応じた制御など踏み込んだ機能は、上位の有償プランが必要になるのが一般的です。まず手元のライセンスに含まれる範囲を確認し、不足する部分を専用製品で補うと、過不足のない選定につながります。
Q. クラウドセキュリティは無料で始められますか?
A. 一部の製品は無料枠や30日程度の無料トライアルで始められますが、本格的な運用は有償が一般的です。一部のSaaS管理型・IDaaS・後付けMFA型には、一定の人数までなら無料で使える枠や無料プランがあります。
多くの製品がトライアルやPoC(試験導入)を用意しているため、実際に自社のクラウド環境につないで検知の精度や運用にかかる手間を確かめてから本格導入を判断すると、導入後のミスマッチを避けやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















