取引先への支払いや仕入れ、外注費の決済が迫っているのに手元資金が足りない。そうした急場では、「どこなら今すぐ・いくらまで・何日で借りられるのか」を一刻も早く知りたいものです。資金調達の手段は、低金利だが着金まで時間のかかる公的な融資制度から、金利は高めでも最短当日に動く民間のビジネスローンまで幅があり、緊急度によって選ぶべき先は変わります。
この記事では、法人(個人事業主を含む)が急な資金不足を埋めるために使える緊急融資の選択肢を、公的制度と民間の銀行ビジネスローンの両方について「入金までの速さ」順に整理します。限度額・金利・担保の要否・申込先を横並びで示したうえで、今すぐ(数日以内)か数週間の余裕があるか、という緊急度と、赤字決算や税金滞納といった自社の状況から、現実的に動ける先を見極められるようにまとめました。
目次
緊急融資の選択肢を「入金までの速さ」順に比較(公的+民間)
まず、法人が使える主な緊急融資の選択肢を、入金までの速さが速い順に並べて全体像をつかみます。公的な制度は金利が低い一方で相談から実行まで数週間かかることが多く、民間の銀行ビジネスローンは金利が高めでも最短当日から数営業日で動けます。自社の緊急度に合う先を、このあとの各章で詳しく確認してください。
| 緊急融資の選択肢 | ネット銀行のビジネスローン | ノンバンクのビジネスローン・ファクタリング | 日本政策金融公庫のセーフティネット貸付 | 自治体の制度融資(信用保証協会のあっせん) | 共済の貸付(加入者向け) |
|---|---|---|---|---|---|
| 入金までの速さ | 最短当日〜2営業日 | 即日〜数日 | 相談から実行まで数週間程度 | 認定・保証審査を経て数週間〜 | 加入者は比較的速い(新規加入からは利用不可) |
| 金利の傾向 | 年0.9%〜14.5%程度(各商品の下限〜上限) | ビジネスローンは高めになりやすい/ファクタリングは手数料がかかる | 基準利率(変動) | 低め(自治体の利子補給がある場合も) | 年0.9%〜1.5%程度 |
| 限度額の目安 | 10万円〜3,000万円 | 各社・契約により異なる | 国民生活事業7,200万円/中小企業事業7億2千万円 | 自治体・制度により異なる | 掛金・解約手当金の範囲(経営セーフティ共済の一時貸付は最高760万円) |
| 担保・保証人 | 原則不要 | 原則不要 | 相談のうえ決定 | 制度により異なる | 不要 |
| 使いどころ | 今すぐ・小口の運転資金をオンラインで | 銀行の融資では間に合わないとき(コストは高め) | 低金利でまとまった額を借りたいとき | 低金利で、日数に余裕があるとき | すでに共済へ加入しているとき |
※金利・限度額・入金までの速さは制度や商品、審査により異なります。最新の条件は各制度・各社の公式情報でご確認ください。
緊急度で選ぶ:今すぐか、数週間の余裕があるか
ここからは、資金が必要になるまでの時間軸ごとに、最初に当たるべき先を具体的に示します。「いつまでに必要か」を起点にすると、公的と民間のどちらに向かうべきかを絞り込みやすくなります。
今日・明日など「すぐ」必要なら、Webで申し込める銀行のビジネスローン
数日以内に資金を動かしたいなら、オンラインで申し込めるネット銀行のビジネスローンが現実的な選択肢です。決算書の提出が不要で、口座の入出金データをもとに審査する商品もあります。ただし、同じ「最短」でも前提が異なる点には注意が必要です。
たとえば、銀行が取引データをもとに事前に通知した対象先向けのネット銀行融資なら最短当日に借りられるものもありますが、これは誰でも新規にその日申し込めるわけではありません。入出金データで審査する融資枠型には最短2営業日で動けるものもある一方、対象が営利法人に限られ個人事業主は使えない商品もあります。
個人事業主が申し込めるネット銀行のビジネスローンも複数あります。ただし、融資までの最短日数を公式に示していない商品もあるため、必要な時期から逆算して早めに動くのが安全です。どの商品がどの事業者を対象とし、何日で動けるかは、Webで申し込める銀行のビジネスローンの章と比較表で確認してください。
銀行のビジネスローンでも間に合わない、あるいは審査に通らないときは、ノンバンク(信販会社・消費者金融)のビジネスローンや、売掛金を期日前に資金化するファクタリングが即日〜数日の選択肢になります。ただし金利や手数料は銀行より高くなりやすいため、コストを理解したうえで使う手段です。
申し込む際は、必ず貸金業の登録を確認してください。ここでいうファクタリングは事業者が持つ売掛金を売却して資金化する方法で、個人の給与を買い取る違法な「給与ファクタリング」(緊急時にやってはいけないことで後述)とは別のものです。
数週間の余裕があるなら、低金利の公的制度を軸に
支払いまでに数週間の余裕があるなら、日本政策金融公庫のセーフティネット貸付や自治体の制度融資といった公的な制度を軸に検討します。これらは金利が低く、まとまった額を長めの期間で借りられる一方、相談・申込から実行までに時間がかかります。
緊急時こそ、公的・民間のどちらを使うにしても、まずは相談先を早めに押さえることが着金までの時間短縮につながります。公庫や自治体、商工会議所などの相談窓口は、融資の申込前でも利用できます。
すでに経営セーフティ共済や小規模企業共済に加入している場合は、掛金の範囲内で借りられる共済の貸付も選択肢になります。新規に加入してすぐ借りることはできませんが、加入者であれば低金利で利用できます。
公的な緊急融資制度の中身(低金利で借りる)
ここからは、低金利で借りられる公的な緊急融資制度を、対象・限度額・金利・返済期間・申込の流れとともに解説します。取り上げるのは、2026年時点で利用できる恒常的な制度です。新型コロナウイルス感染症に対応した特別貸付の実質無利子化は、令和4年(2022年)9月30日の申込受付分で終了しているため、現在の公的なセーフティネット融資の中心は、次に挙げる経営環境変化対応資金です。
出典・参考資料(1件)
日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」
経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、社会的・経済的な環境の変化によって一時的に売上が減少しているものの、中長期的には回復が見込まれる事業者を対象とした、日本政策金融公庫の融資制度です。たとえば、直近の決算期の売上高が前期または前々期に比べて5%以上減少している場合などが対象に含まれます。
一方、売上の減少などの要件に当てはまらず、入金と支払いのタイミングのずれによる一時的な資金不足の場合は、この制度の対象にならないことがあります。その場合も、公庫には運転資金を対象とする一般的な融資があるため、自社が使える制度を窓口で相談して確認するのが確実です。
融資限度額は、小規模事業者・個人事業主向けの国民生活事業で7,200万円、中小企業向けの中小企業事業で7億2千万円です。返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内で、いずれも据置期間を3年以内で設けられます。
金利は基準利率(変動)が基本で、原材料・エネルギーコストの上昇などの影響を受けて売上が5%以上減少しているといった要件を満たす場合は、特別利率が適用されます。担保・保証人の扱いは、公庫との相談のうえで決まります。
申込は、公庫の各支店の窓口への相談から始めます。急いでいる場合も、必要書類や事業の状況を早めに相談しておくと、審査から実行までの流れがスムーズになります。
出典・参考資料(2件)
自治体の制度融資(信用保証協会のあっせん)とセーフティネット保証
自治体の制度融資は、都道府県や市区町村が融資メニューを定め、信用保証協会が保証を付け、指定の金融機関が実行する仕組みです。物価高騰対策や災害復旧など、緊急時向けのメニューを設けている自治体も多く、利子の一部を自治体が補助する制度もあります。融資金額・金利・対象は自治体ごとに異なるため、事業所の所在地の自治体の制度融資のページで確認してください。
この制度融資と関わりが深いのが、セーフティネット保証です。中小企業信用保険法では、取引先の倒産(第1号)、災害など突発的な事由(第4号)、業況が悪化している業種(第5号)といった事由を定めています。これらに該当することについて、事業所の住所地を管轄する市区町村長(または特別区長)の認定を受けた中小企業者が「特定中小企業者」とされます。
この認定を受けると、通常の保証とは別枠で信用保証協会の保証を利用できます。突発的な災害などに対応する第4号は別枠で保証割合100%、業況が悪化している業種に対応する第5号は別枠で保証割合80%です(平成30年〔2018年〕4月以降。それ以前の第5号は100%)。
別枠の限度額は、普通保証・無担保保証を合わせて原則2億8,000万円です。対象事由の指定や保証割合は時期によって変わるため、いま自社が使えるかは所在地の自治体や信用保証協会の案内で確認してください。
出典・参考資料(3件)
共済の貸付(経営セーフティ共済・小規模企業共済)
すでに共済に加入している場合は、掛金の範囲内で借りられる貸付制度も緊急時の資金手当てになります。経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)には、取引先が倒産していなくても臨時に事業資金が必要なときに使える「一時貸付金」があります。
借入は、解約手当金の95%を上限(最高760万円)として、30万円以上5万円単位で利用でき、利率は令和6年(2024年)4月1日時点で年0.9%です(金融情勢により変動)。返済は借入期間1年の期限一括償還です。
取引先が実際に倒産して売掛金などの回収が困難になったときは、経営セーフティ共済の「共済金の貸付け」も使えます。上限は、回収が困難になった売掛金債権等の額と、掛金総額の10倍(最高8,000万円)のいずれか少ない額です。
無担保・無保証人・無利子で借りられますが、借入額の10分の1に相当する掛金の権利が消滅します。倒産という事由が必要で借入可能額も大きい点が、倒産がなくても使える一時貸付金(最高760万円)との違いです。
小規模企業共済にも貸付制度があり、一般貸付けは年1.5%、緊急経営安定貸付けなどの特別貸付けは年0.9%で、いずれも掛金から算定した限度額の範囲内で借りられます。どちらの共済も、新たに加入してすぐに借りられるものではなく、掛金を納めてきた加入者向けの制度である点には注意してください。
出典・参考資料(3件)
Webで申し込める銀行のビジネスローン
ここからは、数日以内に資金を動かしたいときの現実的な選択肢として、Webで申し込める銀行のビジネスローンを紹介します。いずれも無担保・来店不要で、口座の入出金データなどをもとに審査するため、決算書の提出が不要な商品もあります。まず各商品を比較し、続けて個別に特徴を見ていきます。
緊急時に銀行のビジネスローンを選ぶときのポイント
急いで借りるときほど、次の3点を先に確認しておくと、申込後のつまずきを避けられます。
1つ目は、入金までの速さと申込の前提条件です。「最短当日」とうたう商品でも、審査完了と実際の着金はタイミングが異なります。また、口座の取引データをもとに事前通知を受けた先だけが申し込める商品もあり、誰でもその場で申し込めるとは限りません。
2つ目は、金利と手数料を含めた総額です。表面金利だけでなく、事務手数料や返済期間(短期だと月々の返済負担が重くなる)まで含めて比較します。
3つ目は、申込対象です。法人のみか個人事業主も対象か、業歴や決算期の要件があるかは商品ごとに異なります。
以下は、ここで紹介するWebで申し込める銀行のビジネスローンの比較表です。
| Webで申し込める銀行のビジネスローンの比較 | 事業性融資dayta (ドコモSMTBネット銀行) | あんしんワイド (GMOあおぞらネット銀行) | PayPay銀行 ビジネスローン | スタービジネスカードローン (東京スター銀行) |
|---|---|---|---|---|
| 金利(実質年率) | 公式に明示なし (借入条件のお知らせで個別通知) | 年0.9%〜14.0% | 年2.2%〜14.0% | 年4.5%〜14.5% (保証料含む) |
| 融資限度額 | 50万円〜3,000万円 | 10万円〜1,000万円 (初回契約時) | 10万円〜1,000万円 | 50万円〜1,000万円 |
| 融資スピード | 最短当日 | 最短2営業日 | 公式に明示なし | 公式に明示なし |
| 担保・保証人 | 無担保・保証人不要 | 無担保・保証人不要 | 無担保 法人は代表者本人の連帯保証が必要(第三者保証人は不要) 個人事業主は保証人不要 | 無担保・保証人不要 (当行指定の保証会社を利用) |
| 対象 | 法人(口座保有・事前通知の対象先) | 法人のみ(個人事業主は不可) | 法人・個人事業主 | 個人事業主・法人代表者 |
| 詳細情報 | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
※金利・融資限度額・融資スピードは審査や商品改定により異なります。「公式に明示なし」は、公式サイトに金利や最短日数の記載がないことを示します。最新の条件は各社の公式情報でご確認ください。
1. 事業性融資dayta(株式会社ドコモSMTBネット銀行)

事業性融資daytaは、株式会社ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)がネット銀行「d NEOBANK」のもとで提供するオンライン融資です。法人口座の取引データをもとに、対象となる先へ毎月「借入条件のお知らせ」で借入可能額と利率が通知される仕組みで、借入前に条件が分かるのが特徴といえます。決算書などの書類提出が不要で、申込から借入まで完全オンライン・最短当日で完結します。
融資限度額は50万円〜3,000万円(10万円単位)で、無担保・保証人不要。資金使途は運転資金に限られ、設備資金には使えません。金利は「借入条件のお知らせ」で個別に通知される方式で、公式サイトに具体的な数値レンジの記載はありません。
別途、契約金額の2.2%(税込)の事務取扱手数料がかかります。事前通知を受けた法人だけが申し込める商品のため、まずは法人口座を開設し、取引実績を積んでおく必要があります。
2. あんしんワイド(GMOあおぞらネット銀行株式会社)

GMOあおぞらネット銀行のあんしんワイドは、融資枠(当座貸越)型のビジネスローンです。決算書・事業計画書・担保・保証人はいずれも不要で、口座の入出金取引データをもとに審査します。創業初年度や赤字決算でも申し込めると案内されており、最短2営業日での融資に対応します。
金利は年0.9%〜14.0%、借入限度額は初回契約時で10万円〜1,000万円(10万円単位)です。融資枠型のため、枠内であれば必要なときに繰り返し借入・返済ができ、資金繰りの調整に向いています。
申込・審査の手数料は無料で、実際に借り入れた金額にのみ利息が発生します。ただし対象は株式会社・合同会社などの営利法人に限られ、個人事業主は利用できない点に注意が必要です。
3. ビジネスローン(PayPay銀行株式会社)

PayPay銀行のビジネスローンは、極度額の範囲内で繰り返し借入・返済ができるタイプの無担保融資です。法人向けと個人事業主向けに商品が分かれており、金利や限度額は共通です。Web上で申込が完結し、Visaデビットでの自動返済にも対応します。
金利は年2.2%〜14.0%(2026年8月12日以降適用)、融資限度額(極度額)は10万円〜1,000万円(10万円単位)で、事務手数料・繰上返済手数料はかかりません。
法人向けは実績2年以上または決算2期を終えていることが要件で、申込者である代表者本人の連帯保証が必要です(第三者の保証人は不要)。個人事業主向けは保証人が不要です。融資までの最短日数は公式サイトに明示されていないため、急ぐ場合は余裕をもって申し込むのが安全です。
4. スタービジネスカードローン(株式会社東京スター銀行)

東京スター銀行のスタービジネスカードローンは、個人事業主・法人代表者を対象とした無担保のビジネスカードローンです。契約極度額の範囲内でカードローンのように繰り返し借入・返済ができ、担保・保証人は不要で、当行が指定する保証会社の保証を利用します。
貸付利率は保証料を含めて年4.5%〜14.5%、契約極度額は50万円〜1,000万円(10万円単位)です。無担保のビジネスカードローンの上限金利としては年14.5%の水準です。申込は「TokyoStar Direct」でWebから行え、借入はスターカードや全国の銀行・郵便局のATMからも可能です。融資実行までの日数は公式に明示されていないため、必要な時期から逆算して早めに動くのが無難です。
ここで挙げたのは、緊急時に動きやすいWeb申込の商品です。急ぎでない資金調達も含めて、銀行をはじめとする金融機関の借入先を、選び方や審査で見られるポイントから腰を据えて比べたい場合は、次の記事で詳しく解説しています。
赤字決算・創業直後・税金滞納・担保なしでも借りられる?
緊急時ほど、「自社の状況で本当に借りられるのか」を先に確かめておきたいところです。通らない先に申し込んで時間を無駄にしないために、法人特有の状況ごとに、どの選択肢が使える可能性があるかを整理します。
赤字決算でも借りられるか
赤字だからといって、ただちにすべての融資が使えなくなるわけではありません。公庫の経営環境変化対応資金は、売上の減少や損失の計上といった業況悪化の事業者を対象に含んでおり、赤字であっても中長期的な回復が見込まれるかどうかで判断されます。
民間の銀行ビジネスローンでも、決算書ではなく口座の入出金データで審査する商品であれば、直近の資金の流れが評価されます。ただし、赤字の度合いや資金繰りの状況によっては審査が通らないこともあるため、申込先ごとの対象要件を確認することが欠かせません。
創業直後(1期目)でも借りられるか
創業直後は決算の実績が乏しく、決算期の完了を要件とする商品は使いにくくなります。たとえばPayPay銀行のビジネスローンは、法人向けで実績2年以上または決算2期の終了を要件としています。
一方、入出金データで審査するタイプの商品の中には、創業初年度でも申し込めると案内するものもあります。公的制度では、創業向けの融資を別に用意している公庫や自治体もあるため、創業期は緊急融資だけでなく創業関連の制度もあわせて相談するとよいでしょう。
税金を滞納していても借りられるか
税金の滞納があると、融資の審査では不利に働きやすく、特に公的な制度融資や保証協会の保証付融資では納税の状況が確認されます。まずは税務署や自治体に相談し、分割納付などの手続きを進めて滞納を解消・整理することが先決です。滞納を放置したまま借入でしのごうとすると、結果的に資金繰りをさらに悪化させるおそれがあります。
ただし、滞納があっても打つ手はあります。税務署に申請すると、納税の猶予や換価の猶予といった制度で分割・猶予が認められ、滞納を整理しながら事業を続けられる場合があります。支払いが迫っているときは、借入と並行して、まず所轄の税務署や自治体の窓口に相談してください。
担保・保証人なしで借りられるか
担保や保証人を用意できない場合でも、選択肢はあります。この記事で紹介したWebで申し込める銀行のビジネスローンは、いずれも無担保で、第三者の保証人は不要です(法人向けでは代表者本人の連帯保証を求める商品があります)。
公的制度でも、公庫の融資は担保・保証人の扱いを相談のうえで決める形で、無担保・無保証人を前提とした制度もあります。担保がないことだけを理由に緊急融資をあきらめる必要はありません。
緊急時にやってはいけないこと
資金繰りが苦しいときほど、手軽さをうたう業者に注意が必要です。特に、「給与ファクタリング」と称して個人の給与(賃金債権)を買い取る形でお金を渡すサービスは、実質的な貸付にあたります。金融庁は、こうした行為について次のように注意を促しています。
いわゆる「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します
出典:給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!|金融庁
貸金業の登録を受けていない業者がこうした取引を行えば、違法なヤミ金融です。「借金ではありません」「ブラックでもOK」といった誘い文句には注意し、法外な利息を支払わされる前に、公的な相談窓口を利用してください。金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)や、消費者ホットライン(188)などで相談できます。
また、資金繰りのために税金や社会保険料の納付を後回しにするのも避けたいところです。滞納は延滞税などの負担を生むうえ、その後の公的融資・保証の審査でも不利になります。家族や知人からの個人的な借入も、関係のこじれや贈与とみなされる税務上の問題につながることがあるため、安易に頼らず、まずは公的・民間の正規の融資と相談窓口を優先しましょう。
まとめ
法人の緊急融資は、「いつまでに必要か」を起点に選ぶと動きやすくなります。数日以内に資金が必要なら、無担保・オンラインで申し込めるネット銀行のビジネスローンが現実的な選択肢です。
数週間の余裕があれば、低金利の日本政策金融公庫のセーフティネット貸付や自治体の制度融資を軸に検討し、すでに共済に加入していれば掛金の範囲内で借りられる貸付も使えます。赤字や担保なしでも使える選択肢はあるため、まずは申込先ごとの対象要件を確認し、違法な業者には近づかないことが急場をしのぐ基本です。自社の緊急度と状況を照らし合わせ、無理のない返済計画の範囲で、今日動ける一手を選んでください。
よくある質問(FAQ)
Q. 法人の緊急融資とは何ですか?
A. 法人の緊急融資とは、急な支払いや仕入れに手元資金が間に合わないときに、短期間で借り入れて急場をしのぐための資金調達の総称です。
大きく分けて、金利は低いものの相談から実行まで数週間かかる公的制度(日本政策金融公庫のセーフティネット貸付・自治体の制度融資・共済の貸付)と、金利は高めでも最短当日〜数営業日で動ける民間の銀行・ノンバンクのビジネスローンがあります。緊急度と自社の状況に応じて選び分けるのが基本です。
Q. 銀行系とノンバンク系のビジネスローンでは、審査の通りやすさや日数はどう違いますか?
A. ノンバンク系は審査が比較的柔軟で即日〜1週間程度と早い反面、金利は高くなりやすく、銀行系は金利が低い代わりに審査はやや慎重で、申込から借入まで1〜2週間ほどかかる傾向があります。
ただし、ネット銀行のビジネスローンの中には、口座の入出金データをもとに審査して最短当日〜2営業日で借入まで進められる商品もあり、銀行系が必ずしも遅いとは限りません。スピードと金利はおおむねトレードオフの関係にあるため、「いつまでに必要か」を起点に選び分けるのが現実的です。
Q. 無利息・無利子で借りられる法人の緊急融資はありますか?
A. 現在、法人が新規に利用できる「無利子」の緊急融資制度は原則ありません。新型コロナウイルス感染症特別貸付などの実質無利子化は、令和4年(2022年)9月30日の申込受付分で終了しています。
ただし、自治体の制度融資には利子の一部を自治体が補助する利子補給のメニューがあり、実質的な金利負担を抑えられる場合があります。また、共済の貸付は年0.9%程度と低利です。無利子・無審査をうたう民間業者には、ヤミ金など違法な貸付が紛れていることがあるため注意してください。
出典・参考資料(1件)
Q. 小口(少額)だけ借りたいとき、法人の緊急融資にはどんな選択肢がありますか?
A. 数十万円程度の小口であれば、最低10万円から借りられるネット銀行のビジネスローンや、共済加入者が使える一時貸付金(経営セーフティ共済は30万円以上5万円単位)が有力な候補です。
ネット銀行のビジネスローンには10万円から利用できる商品があり、いずれも融資枠(極度額)の範囲内で必要な分だけ借りられる枠型です。少額の運転資金を短期でまかなうなら、借り入れた金額にのみ利息がかかる枠型の商品が無駄が少なく向いています。
Q. 信用保証協会の保証付き融資は、個人事業主でも使えますか?
A. 信用保証協会の保証は、法人だけでなく、事業を営む個人事業主も対象になります。信用保証協会の保証を前提とする自治体の制度融資(あっせん)も、多くが法人・個人事業主の双方を対象としています。
ただし、対象となる業種・企業規模や、事業実態・納税状況などの要件は制度ごとに定められており、事業を目的としない個人の借入には利用できません。自社が対象になるかは、事業所の所在地の自治体や信用保証協会の案内で確認してください。
出典・参考資料(1件)
Q. 公的な緊急融資と民間のビジネスローンは併用できますか?
A. 公的制度と民間のビジネスローンを併用すること自体は、制度上禁止されていません。着金まで時間のかかる公的制度の実行を待つあいだ、当面の支払いを即日の民間ビジネスローンでつなぐ、といった組み合わせも考えられます。
ただし、借入が増えればそれだけ返済負担が重くなり、その後の審査でも既存の借入状況が確認されます。併用する場合も、返済計画の範囲に収まるかを先に確かめ、過大な借入にならないようにすることが欠かせません。
Q. 「即日融資」をうたう業者が安全かどうかは、どう見分ければよいですか?
A. まず、その業者が貸金業の登録を受けているか(登録番号があるか)を確認するのが基本です。登録の有無は、金融庁・各財務局が公開している登録貸金業者情報検索サービスで調べられます。
「審査なし」「ブラックでもOK」などの誘い文句や、給与・売掛金の買取りを装った実質的な貸付には、ヤミ金など違法な業者が紛れています。少しでも不安があれば、契約する前に金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)や消費者ホットライン(188)に相談してください。
出典・参考資料(1件)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。














