顧問先の記帳代行から決算・申告までを支える事務所の基幹システムを、長年使ってきたオフコン由来の製品や買い切りソフトのまま続けていませんか。「リース料や保守費が重い」「顧問先とのデータのやり取りが二度手間になっている」と感じる事務所は少なくありません。会計事務所・税理士事務所の業務は製品によって回り方が変わるため、機能表や料金表だけでは自分の事務所に合うかを判断しづらいのが実情です。
事務所が使う会計・基幹システムには、記帳代行や申告まで事務所業務に特化した専門システム型と、顧問先が自計化で使うクラウド会計を事務所側が伴走して使う汎用クラウド会計型があります。どちらが合うかは、顧問先数や自計化の進み具合、職員の体制によって変わります。カタログスペックに表れない使い勝手やサポートの実際は、同じ立場で導入した事務所の口コミ・評判から読み取るのが近道です。
本記事では、税理士事務所・会計事務所が基幹業務を回すために選べる会計・基幹システム12サービスを、タイプ別に比較・解説します。対応業務範囲・顧問先とのデータ共有・提供形態・料金・インボイス制度や電子帳簿保存法への対応に加え、口コミ・評判で評価が分かれやすい観点(良い点・導入前に確認したい点)を整理しました。
他事務所の声を自分で確かめるときの見方もまとめています。自分の事務所に合う製品を絞り込む材料としてご活用ください。
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目次
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本記事の対象範囲(税理士事務所・会計事務所が基幹業務を回すシステムを探す方へ)
本記事は、顧問先の記帳代行・会計・決算・申告という事務所の基幹業務を回すための会計/基幹システムを探している税理士事務所・会計事務所に向けた内容です。所長や、事務所内でシステムの入れ替えを検討する担当者が、他事務所の評価も踏まえて自事務所に合う製品を選べるようにまとめています。
同じ会計ソフトでも、事業会社が自社の経理に使う用途と、会計事務所が多数の顧問先を支えるために使う用途では、求められる機能が異なります。本記事は後者、つまり事務所業務を回す視点で製品を取り上げます。自社(一社)の経理や個人事業の確定申告のために会計ソフトを探している場合や、事務所という絞り込みを外して会計ソフト全般を幅広く比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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税理士事務所の基幹システム(会計システム)とは|なぜ口コミ・評判で選ぶのか
税理士事務所の基幹システムとは、顧問先ごとの会計データの入力・記帳代行から、試算表・決算書の作成、法人税や所得税・消費税の申告書作成、年末調整や報酬管理といった事務所運営までを支える会計・税務のシステムを指します。一社分の帳簿を付ける事業会社向けの会計ソフトと違い、多数の顧問先のデータを事務所側で横断して扱い、顧問先とのデータのやり取りを前提に設計されている点が特徴です。

事務所の基幹システムは、大きく2つのタイプに分かれます(次章で解説)。どちらを軸に据えるかで、日々の記帳の進め方も顧問先との役割分担も変わります。
口コミ・評判を選定材料にする理由
事務所の基幹システムは、長く使い続け、顧問先も巻き込んで運用する道具です。入力画面の反応の速さ、申告書作成までのつながりのよさ、繁忙期のサポートの手厚さ、他ソフトからの乗り換えのしやすさは、機能一覧では読み取りにくく、実際に使ってみて初めて差が見えてきます。
そのため、同じ立場で導入した事務所の口コミ・評判は、乗り換えの失敗を避けるうえで参考になります。ただし評価は事務所の規模や顧問先の構成によって変わるため、点数の高さだけで決めず、自分の事務所に近い条件の声を読むことが大切です。本記事では、口コミで評価が分かれやすい観点を後半で整理し、各製品の向き不向きは比較表と個別紹介で確認できるようにしています。
税理士事務所がシステムを見直す理由(クラウド化・乗り換えで業務がどう変わるか)
事務所がシステムの入れ替えを検討する背景には、いくつかの共通した事情があります。まず、専用機やオフコンを前提とした買い切り型の製品では、本体やライセンスの初期費用に加え、保守費やリース料が継続して発生します。年額サブスクリプション型のクラウド製品に移すと、初期費用を抑えつつ、税制・制度改正への対応を追加費用なしで受けられる製品が増えてきました。
次に、顧問先とのデータのやり取りです。クラウド会計を使う顧問先が増えると、紙や個別のファイルでやり取りする運用では、事務所側での再入力が二度手間になります。顧問先とクラウドでデータを共有できるシステムに切り替えると、顧問先が入力した仕訳をそのまま受け取れ、記帳代行と自計化支援の両方を同じ仕組みで回せます。
さらに、職員の採用難やテレワークへの対応も見直しのきっかけになります。特定の専用機でしか動かない環境よりも、職員が自宅や顧問先でも使える提供形態のほうが、人員体制の変化に合わせやすくなります。こうした乗り換えの効き目は仕様だけでは測りにくいため、導入した事務所の口コミで確かめる意味があります。
税理士事務所が使うシステムのタイプ(専門システム型/顧問先と共有する汎用クラウド会計型)
税理士事務所が使う会計・基幹システムは、大きく2つのタイプに分かれます。事務所がどちらを軸に業務を組み立てるかで、適した製品が変わります。まずは自分の事務所がどちらに近いかを押さえてから、個別の製品を見ていくと選びやすくなります。

事務所向けの専門システム型
記帳代行・顧問先会計・決算・申告・相続といった事務所の基幹業務に特化し、財務から税務申告・年末調整・報酬管理までを同じメーカーの製品間で連携させて回すタイプです。顧問先のデータを事務所側で一元的に扱い、顧問先とは専用の仕組みでやり取りする前提で設計されています。
申告書作成や監査支援まで一気通貫で行いたい事務所に向きます。ただし製品によって、申告まで自製品で完結するものと、会計・記帳を中心に申告は上位の税務ソフトで補うものがあります。提供形態も、インストール型や専用機を前提とする製品とクラウド製品が混在します。
顧問先と共有する汎用クラウド会計型
中小企業や個人事業主が自計化のために広く使うクラウド会計を、事務所が顧問先に合わせて導入・伴走して使うタイプです。多くが事務所向けの連携プログラム(会計事務所向けの管理画面やパートナー制度)を用意しており、顧問先が入力したデータをクラウドでそのまま受け取れます。自計化を進める顧問先が多い事務所や、銀行・カード明細の自動取込やレシートのデータ化で日々の記帳の手間を減らしたい事務所に向きます。
以下に、2つのタイプの違いと該当する主なサービスを整理します。実際の機能・料金の詳細は後半の比較表と各製品の紹介で確認してください。
| タイプ | 事務所向けの専門システム型 | 顧問先と共有する汎用クラウド会計型 |
|---|---|---|
| 主な特徴 | 記帳代行・顧問先会計・決算・申告・相続まで事務所業務に特化。財務〜税務申告を同一メーカー製品間で連携 | 中小・個人向けの定番クラウド会計を事務所が伴走して利用。事務所向けの連携プログラムで顧問先のデータを受け取る |
| 向いている事務所 | 申告書作成・監査支援まで一気通貫で行いたい事務所 | 自計化を進める顧問先が多く、明細の自動取込で記帳を省力化したい事務所 |
| 提供形態 | インストール型・専用機・クラウドが混在(製品ごとに異なる) | クラウド(SaaS) |
| 該当する主なサービス | TKC FXクラウドシリーズ、クラウド発展会計、かんたんクラウド会計、ACELINK NX-Pro、JDL IBEXクラウド組曲Major、エプソンの財務会計(会計事務所向け)、財務処理db、e-PAP | 弥生会計 Next、freee会計、マネーフォワード クラウド会計、ジョブカン会計 |
※上記は各タイプの一般的な傾向です。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態については各社情報をご確認ください。
自分の事務所がどちらのタイプに当てはまるか迷う場合は、以下の診断で質問に答えると候補を絞り込めます。
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税理士事務所がシステムを選ぶときの比較ポイント
ここからは、税理士事務所が会計・基幹システムを選ぶときに見ておきたい観点を、事務所の業務に沿って順に解説します。自分の事務所の顧問先数や職員体制を思い浮かべながら読むと、どの観点を重く見るべきかが整理できます。
記帳代行・顧問先会計・決算/申告の対応範囲で見る
最初に確認したいのは、事務所の基幹業務をどこまで一つのシステムで回せるかです。記帳や試算表の作成だけでなく、決算書・勘定科目内訳書の作成、法人税・所得税・消費税の申告書作成、電子申告、年末調整や報酬管理まで対応していれば、ソフト間の転記や二重入力を減らせます。
専門システム型は申告・相続まで同一メーカーで連携する製品が多く、汎用クラウド会計型は記帳・決算を軸に、申告は別の税務ソフトや外部連携で補う構成が中心です。自分の事務所が申告のどこまでを同じ仕組みで完結させたいかが、最初の分かれ目になります。
提供形態(クラウド型/インストール型)と自事務所への合わせ方で見る
提供形態は、職員の働き方や顧問先との関わり方に直結します。クラウド型(SaaS)はインターネット経由で使え、職員の在宅勤務や複数拠点での利用、顧問先とのデータ共有に向きます。
インストール型や専用機を前提とする製品は、手元で動くため通信環境に左右されにくい一方、利用できる端末や場所が限られます。テレワークや採用で人員体制が変わりやすい事務所ほど、クラウドで使える範囲を確認しておくと、後から運用に困りにくくなります。
顧問先とのデータ共有のしやすさで見る
顧問先とのデータ共有は、記帳の二度手間を避けるうえで重要な観点です。顧問先がクラウド会計で入力した仕訳をそのまま受け取れるか、顧問先が別の会計ソフトを使っていても取り込めるか、証憑(領収書・請求書)を紙とデータのどちらでも受け渡せるかを確認しておきたい点です。
汎用クラウド会計型は顧問先と同じ製品を共有して使う形が基本で、専門システム型は顧問先の会計ソフトの種類を問わず取り込めるデータ授受の仕組みを持つ製品があります。自計化を進めたい顧問先が多いのか、記帳代行が中心なのかによって、合う形が変わります。
職員の使いやすさ・定着のしやすさで見る
システムは職員が日々使うものなので、入力画面の分かりやすさや、新しく入った職員が覚えやすいかも選定に効きます。機能が豊富な製品ほど初期設定や運用ルールの整備に手間がかかり、現場に浸透するまで時間を要することがあります。操作研修やサポートの手厚さ、画面の学びやすさは、採用難やテレワークのなかで職員が定着して使えるかに関わるため、無料体験やデモで実際の操作感を確かめておきましょう。
他社ソフト・オフコンからの乗り換えやすさと導入時の注意点で見る
すでに別のシステムを使っている事務所では、乗り換え時のデータ移行が大きな関門になります。過去の仕訳や科目設定、顧問先マスタをどこまで引き継げるか、移行作業を自力で行うのか支援を受けられるのかを、導入前に確認しておくことが欠かせません。
オフコンや専用機からクラウドへ移す場合は、現場の運用ルールや顧問先への案内も合わせて見直す必要があり、繁忙期を避けて移行時期を計画すると混乱を抑えられます。乗り換えのしやすさは口コミで評価が分かれやすい観点でもあるため、同じ規模の事務所の声を参考にすると判断しやすくなります。
料金・費用体系(リース料・買い切り・月額サブスク)で見る
料金は、提供形態と課金方式で見方が変わります。クラウド型(SaaS)はユーザー数や顧問先数に応じた月額・年額課金が中心で、初期費用を抑えやすい一方、利用人数が増えると費用も上がります。インストール型や専用機を前提とする製品は、本体やライセンスの初期費用に加え、保守費やリース料が継続して発生することがあり、構成によって総額が変わります。
専門システム型では、必要なソフトを1本単位で積み上げる料金体系の製品もあり、事務所の構成次第で総額が変わるため、見積もりで実額を確かめます。各製品の料金体系は、次の比較表に2026年10月時点の公式情報をもとに整理しています。
「要お問い合わせ」の製品でも、見積もり依頼時に職員数・顧問先数・必要な申告ソフトの範囲を伝えると、自事務所の構成に即した実額や概算を早く把握できます。今のリース料・保守費と並べて、乗り換え後の総額が下がるかを比べる材料にできます。
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応で見る
制度への対応は、対応の有無より「自事務所と顧問先の実務でどこまで使えるか」を見ます。インボイス制度(適格請求書等保存方式)では、適格請求書発行事業者の登録番号の管理、国税庁の公表情報との照合、税区分の自動チェックにどこまで対応するかで、製品ごとに差が出ます。
電子帳簿保存法では、証憑のスキャナ保存と電子取引データ保存への対応が確認ポイントです。検索要件やタイムスタンプ、訂正・削除履歴の保持にどこまで自動で対応するかは製品差が大きく、JIIMA認証の有無・種類も対応状況の手がかりになります。
とくに電子取引データ保存は、電子取引を行った場合に保存が義務づけられており、任意の他区分とは扱いが異なります。顧問先から受け取る証憑をどの経路で受領・保存するかの運用まで含めて確認が要ります。各製品の具体的な対応範囲は比較表と個別紹介で確認してください。
税理士事務所向け会計・基幹システムを比較
ここからは、自事務所の課題や要件に合わせた客観的な比較・選定ができるよう、税理士事務所向けの会計・基幹システム12製品を2つのタイプ別に分類してご紹介します。対応業務範囲・顧問先とのデータ共有・提供形態・インボイス制度や電子帳簿保存法への対応・料金体系・サポートなどを並べています。
事務所向けの専門システム型の比較
| サービス名 | TKC FXクラウドシリーズ | クラウド発展会計 | かんたんクラウド会計(MJS) | ACELINK NX-Pro | JDL IBEXクラウド組曲Major | エプソンの財務会計 会計事務所向けプラン | 財務処理db | e-PAP 財務会計システム |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応業務範囲 | 記帳〜月次〜決算(会計システム群)。申告はグループ製品と連携 | 記帳〜決算書作成〜財務MAS・書面添付(税理士業務支援) | 記帳〜決算書作成(会計・給与・販売)。申告は上位製品ACELINKへ | 事務所管理・会計・給与・申告(法人税〜相続・贈与税)まで一気通貫 | 財務・申告(法人税〜相続税)・年末調整・給与・資産税まで(1本単位で選択) | 記帳〜決算書・消費税申告書作成〜監査支援(所得税等は連携製品) | 記帳〜決算書作成(申告・給与はICSATOMII構成製品と組合せ) | 財務会計・法人/個人申告・年末調整・給与をシリーズ連動 |
| 顧問先とのデータ共有 | 会計事務所の月次巡回監査が前提。顧問先が自計化し事務所が監査・助言 | 同時閲覧機能で会計事務所と顧問先が同じデータを共同作業 | 事務所と顧問先が同じデータをリアルタイム共有(ACELINK NX-Proと連携) | 顧問先連動(かんたんクラウド・NX-CE等から仕訳取込) | JDLデータセンター経由で授受。顧問先の会計ソフトを問わず取込 | 顧問先が同製品利用時にクラウドで会計データ共有(同時入力は不可) | クラウドでの書類共有はICS Digital Post(別機能) | 顧問先向け自計化ソフトを提供(0円〜) |
| 提供形態 | クラウド(会計事務所の関与が前提) | クラウド(会計事務所経由で顧問先が利用) | クラウド(SaaS) | クラウド(MJS DX Cloud)。オンプレミスも案内 | SaaS方式(ソフト・データは利用者PCに保持) | インストール型(Windows)+クラウド共有オプション | インストール型(Windows) | クラウド版を提供(Windows PC) |
| インボイス・電帳法対応 | インボイス(ペポル)・電子帳簿保存法対応(JIIMA認証) | インボイス・電子帳簿保存法対応(発展ストレージ) | インボイス・電子帳簿保存法対応(電子取引はファイルBOX) | インボイス・電子帳簿保存法対応(証憑クラウド・ファイルBOX) | インボイス対応(国税庁Web-APIで照合)。電子取引データ保存ソフトあり | インボイス対応(登録番号を国税庁情報と照合)。証憑のスキャナ保存(証憑デジタル) | 電子帳簿保存法対応(JIIMA認証) | お問い合わせ(公式サイト未取得) |
| 料金体系 | 会計事務所経由・要お問い合わせ | 会計事務所経由・要お問い合わせ | 月2,160円〜(会計Basic・税抜/年21,600円)。標準3アカウント | 要お問い合わせ(機能・事業規模で変動) | 初期費用不要。財務75,000円/年〜(1本単位・税抜)+PC1台3,000円/年 | 基本60,000円/年〜(税別・2ユーザー)、導入費用0円 | 単体は要お問い合わせ。ICSATOMII基本パックは月24,800円(税別) | 要お問い合わせ(公式に料金表なし) |
| 無料体験・トライアル | 公式記載なし | あり(無料体験版) | 2か月(クレカ登録不要) | 3か月(MJS未利用の税理士・会計士・税理士法人が対象) | あり(条件はお問い合わせ) | 1か月(体験版) | 公式記載なし | あり(条件はお問い合わせ) |
| サポート | 会計事務所経由の導入・運用支援/データセンター24時間365日監視 | 会計事務所経由で導入支援 | メール・チャットは無料/電話・遠隔はオプション(月360円) | 導入・運用支援、研修(電話対応時間は非公開) | Webサポート込み(Web講習会・Webサポートセンター) | 電話サポート対応(内容は特約店により異なる) | 専任インストラクターの操作サポート(無料・土曜も対応) | テクニカルセンター・インストラクターがサポート |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は2026年10月時点の各社公式情報をもとに整理しています。最新の機能・料金・提供形態は各社情報をご確認ください。
顧問先と共有する汎用クラウド会計型の比較
| サービス名 | 弥生会計 Next | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 | ジョブカン会計 |
|---|---|---|---|---|
| 対応業務範囲 | 記帳〜決算書作成+請求・経費・証憑を統合。申告は達人シリーズ連携 | 記帳〜決算書作成(申告はfreee申告で連携) | 記帳〜決算書作成(消費税申告書はビジネスプラン) | 記帳〜決算書作成(キャッシュフロー計算書はエンタープライズ) |
| 顧問先とのデータ共有 | 顧問税理士(弥生PAP会員)とリアルタイムで会計データ共有 | 認定アドバイザーを外部メンバーで招待・同時作業(料金対象メンバー数に含まれない) | 税理士をメンバー追加(権限7種)。公認メンバーの士業は従量課金対象外 | 税理士を外部メンバーで登録すれば請求対象外(通常ユーザー登録は1名分カウント) |
| 提供形態 | クラウド(PCブラウザ。会計本体はスマホ非対応) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) |
| インボイス・電帳法対応 | インボイス・電子帳簿保存法対応(JIIMA『優良な電子帳簿』認証) | インボイス・電子帳簿保存法対応(JIIMA認証) | インボイス・電子帳簿保存法対応 | インボイス・電子帳簿保存法対応 |
| 料金体系 | 年34,800円〜(エントリー・税抜)、初期費用0円 | 法人2,980円〜(ひとり法人・年払い月額・税抜。スターター以上は従量課金別)、初期費用0円 | 2,480円〜(ひとり法人・年払い月額換算・税抜。月払い3,980円〜)、初期費用0円 | 月2,500円〜(スタートアップ3ユーザー・税抜)、初期費用0円 |
| 無料体験・トライアル | 最大2か月(決算書・達人連携を除く) | 30日間(クレカ登録不要) | 1か月(クレカ登録不要) | 30日間 |
| サポート | チャット・メール(ベーシック以上)/電話・仕訳相談(ベーシックプラス) | チャット・メール(全プラン)/電話(スタンダード以上) | 有人チャット(平日10:30-17:00)・メール/電話は登録後2か月の導入支援 | 電話・メール・チャット(トライアル中も電話可) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※上記は2026年10月時点の各社公式情報をもとに整理しています。最新の機能・料金・提供形態は各社情報をご確認ください。
口コミ・評判で確かめたい評価ポイント(タイプ別の着眼点)
機能表や料金表に表れない使い勝手・サポート・移行のしやすさは、同じ立場で導入した事務所の口コミ・評判から読み取れます。評価が分かれやすい観点はタイプによって異なります。ここでは、2つのタイプそれぞれで口コミを読むときに着目したいポイントを整理します。
専門システム型で口コミ・評判を読むときの着眼点
専門システム型は、記帳から決算・申告・相続までを同じ仕組みで進められる点が強みです。口コミでは、申告・相続までの一気通貫が実際にスムーズか、繁忙期のサポートや操作研修が手厚いかに着目すると、機能一覧では見えない実地の使い勝手が読み取れます。
一方で、オフコン由来の製品では操作感や対応端末の制約、必要なソフトを積み上げる料金体系ゆえの総額の見えにくさが指摘されることがあります。乗り換え時に過去の仕訳・科目・顧問先マスタをどこまで引き継げたか、移行支援を受けられたかも、同規模の事務所の声で確かめたい点です。
顧問先と共有する汎用クラウド会計型で口コミ・評判を読むときの着眼点
汎用クラウド会計型は、顧問先が自計化で使うクラウド会計を事務所が伴走して使う型です。口コミでは、銀行・カード明細の自動取込や自動仕訳の精度、顧問先が入力した仕訳を事務所がどれだけ楽に確認・修正できるか、事務所向けの連携プログラムの運用のしやすさに着目すると、日々の記帳の省力化の度合いが分かります。
注意したいのは、複雑な申告や事務所独自の管理は上位の税務ソフトや別製品に委ねる前提の製品が多い点です。自計化が進んでいない顧問先が多い事務所では、入力代行の運用がどこまで回るかを、近い条件の事務所の評判で確かめておくと、導入後のつまずきを避けられます。
外部のレビューサイトで口コミを確かめるときの見方
口コミを確かめるときは、総合的な満足度の点数だけで判断しないことが大切です。同じ製品でも「記帳のしやすさ」「申告連携」「顧問先共有」「サポート」など観点ごとに評価が分かれるため、自事務所が重視する観点に絞って読むと、導入後のギャップを減らせます。
評価は投稿した事務所の規模や顧問先の構成で変わるので、自事務所に近い条件の声を優先し、少数の極端な評価に引っ張られないようにします。
製品名を挙げた口コミは、各ベンダーの公式サイトの導入事例、税理士会や士業向けの勉強会・コミュニティ、同業の知り合いからの紹介などで集まりやすい情報です。比較メディアが独自に付けた総合ランキングや受賞は、評価の基準が読者側から確かめられないため、参考程度にとどめます。
気になった製品は、無料体験やデモ、資料請求で実際の操作感と料金を自分の目で確かめることをおすすめします。
税理士事務所向け会計・基幹システムの各サービスの特徴
ここからは、比較表で取り上げた各製品の特徴を、タイプ別に紹介します。対応する業務範囲や顧問先とのデータ共有の仕組み、提供形態、料金の考え方を中心にまとめています。
事務所向けの専門システム型
記帳代行から決算・申告・相続までを事務所業務に特化して回すタイプの製品です。申告書作成や監査支援まで一気通貫で行いたい事務所に向きます。
1. TKC FXクラウドシリーズ(株式会社TKC)

FXクラウドシリーズは、TKC全国会に所属する税理士・公認会計士事務所による月次の巡回監査・経営助言とセットで使うことを前提に、株式会社TKCが開発したクラウド会計システム群です。顧問先企業は会計事務所を介して導入します。
製品は対象企業の規模に応じて、小規模企業向けのFXまいスタークラウドから上場企業向けのFX5クラウドまでをラインアップし、建設業・医業・公益法人などの業種別専用版も用意しています。銀行・信販データの自動受信による仕訳生成、証憑保存機能による電子帳簿保存法への対応、ペポル(Peppol)インボイスへの対応を備えます。
月次試算表や決算書を金融機関へ開示するTKCモニタリング情報サービスや、決算書が適時に記帳された帳簿に基づくことを示す記帳適時性証明書など、会計事務所の関与を前提とした仕組みが特徴です。FXクラウドシリーズは市販されておらず、TKC全国会所属の税理士・公認会計士を介して導入するため、料金は会計事務所との顧問契約の条件によって決まり、公式サイトには明示されていません。
2. クラウド発展会計(日本ビズアップ株式会社)

日本ビズアップ株式会社のクラウド発展会計は、会計事務所と顧問先企業が同じデータを同時に閲覧しながら進める共同作業を軸にした、会計事務所向けのクラウド会計システムです。
インターネットバンキングの明細を取り込むBANK、通帳をAI-OCRで読み取って仕訳化するAI-BANKなど、入力工程の自動化機能を複数備えます。2025年12月には、証憑のデータ化から業績分析レポートの自動作成までを行う生成AIオプション(有償)も公開しました。発展ストレージが電子帳簿保存法・インボイスに対応します。
書面添付(第9号様式)の自動作成や監査事績のカルテ化など、税理士業務を支える機能も備えます。料金は公式サイトに料金表がなく、顧問先は契約する会計事務所を介して導入する構成のため、実際の費用は会計事務所との契約形態によって決まります。導入を検討する際は公式に問い合わせて確認します。
3. かんたんクラウド会計(株式会社ミロク情報サービス)

スタートアップや中小・小規模事業者を主な対象に、株式会社ミロク情報サービス(MJS)が提供するクラウド型の会計・給与ソフトが「かんたんクラウド」です。会計事務所が顧問先に導入し、遠隔からサポートする運用にも対応します。事務所向けのACELINK NX-Proと同じMJSの製品群で、顧問先の会計データをACELINK側に取り込める構成です。
会計・給与・販売・ファイルBOXで構成し、銀行口座やクレジットカードの明細取得による仕訳の自動化、レシート画像からの自動仕訳、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応を備えます。取引例があらかじめ登録されており、簿記の知識がなくても入力できる設計です。
会計事務所向けの運用では、事務所と顧問先が同じデータをリアルタイムに共有でき、ACELINK NX-Proを使う事務所は事務所側のデータから顧問先の利用を開始できます。料金は会計プランで月額2,160円(Basic、税抜)から利用でき、標準3アカウント・申込後2か月間の無料試用期間が用意されています。
4. ACELINK NX-Pro(株式会社ミロク情報サービス)

税理士・公認会計士・税理士法人向けの統合業務パッケージが、株式会社ミロク情報サービス(MJS)のACELINK NX-Pro(エースリンク エヌエックス プロ)です。事務所管理・会計(会計大将)・給与・申告・顧問先連動の5領域で構成されます。
会計大将での仕訳入力から、法人税・消費税・所得税・相続税・贈与税の申告書作成と電子申告までを同一の製品群で行えます。紙や画像から仕訳を生成するAI-OCR入力、銀行・カード明細からのAI仕訳、仕訳の処理ミスを検知するAI監査支援(オプション)にも対応します。
顧問先連動では、かんたんクラウドやACELINK NX-CEなどを使う顧問先の会計データを会計大将へ取り込めます。提供形態はMicrosoft Azure上の専用サーバーを使うMJS DX Cloud(月額利用)で、製品一覧ではオンプレミスとの両対応も案内されています。
導入実績は8,400事務所(公式記載)です。料金は導入する機能や事業規模によって変わるため公開されておらず、要お問い合わせとなり、3か月間の無料おためし利用が用意されています。
5. JDL IBEXクラウド組曲Major(株式会社日本デジタル研究所)

JDL IBEXクラウド組曲Majorは、申込時に税理士登録番号の入力が必須の会計事務所専用製品です。株式会社日本デジタル研究所(JDL)が提供し、顧問先とのデータ受け渡しから財務・税務・電子申告までをデータ連動で処理します(公式表現で「一筆書き処理」)。
財務、法人税・消費税・所得税・相続税の申告、年末調整・給与、資産税、事務所管理までを1本単位で選んで導入でき、事務所の構成に応じて積み上げます。顧問先とのデータ授受はJDLデータセンター経由の送受信ツールで行い、顧問先がどの会計ソフトを使っていてもデータを取り込めます。
SaaS方式ですが、ソフトウェアとデータは利用者のPCに置いて処理するため、通信障害時も業務を継続できると説明されています。
初期導入費用やバージョンアップ料は不要で(別途、PC1台あたり年額3,000円・税抜のインストールライセンスが必要)、ソフトごとの年額は財務が75,000円、消費税申告書が17,000円などと公開されています。必要なソフトを積み上げる体系のため、事務所単位の総額は構成によって変わります。
6. エプソンの財務会計 会計事務所向けプラン(エプソン販売株式会社)

会計事務所向けの財務会計ソフト「エプソンの財務会計 会計事務所向けプラン」は、旧称を「財務顧問R4」といいます。2025年7月に、エプソン販売株式会社(セイコーエプソングループ)が「エプソンの会計シリーズ」としてリニューアルした製品です。買い切り・年間保守から、導入費用0円の年額サブスクリプションへ移行しました。
証憑のAI-OCR仕訳化(別契約の「エプソンの証憑デジタル」)や金融機関の取引データ取得による記帳から、決算書やキャッシュフロー計算書の作成、消費税申告書の作成、別ソフトへの電子申告連携までを、同一メーカーの製品間の連携で回します。
顧問先が「エプソンの財務会計」を利用していれば、クラウド経由で会計データを共有でき、証憑も電子データ・紙のスキャンのどちらでも受け取れます。ただし公式に「顧問先とデータの同時入力はできません」と明記されています。
会計事務所向けのプロフェッショナルは、基本ライセンス料が年額60,000円(税別、基本2ユーザー)で、追加1ライセンスは10,000円、30名以上は人数無制限のフリーライセンスが年額339,000円です。会計データ共有の「共有元」になれるのは会計事務所向けのプロフェッショナルのみで、1か月無料の体験版が用意されています。
7. 財務処理db(日本ICS株式会社)

仕訳入力から決算書作成までを一連で行える財務会計システムが、日本ICS株式会社の財務処理dbです。同社の会計事務所向け製品群「ICSATOMII」の構成要素として、税務申告・給与計算などのシステムと組み合わせて使います。
勘定科目の50音検索や全項目を対象にした仕訳検索などの入力支援に加え、金融機関の預貯金・クレジットカード明細のCSV取込やMoneytreeとのFinTech連携で仕訳を自動生成します。公益法人や学校法人など非営利法人向けの専用システムや、建設業・病院・運送業向けのカスタマイズ版も用意しています。
電子帳簿保存法に対応したソフトとしてJIIMA認証を取得しています。提供形態はWindowsのインストール型で、クラウドでの書類共有はICS Digital Postなど別機能が担います。
料金は財務処理db単体では公開されておらず、製品群ICSATOMIIの基本パック(財務処理dbや法人税申告書dbなどのセット)が月額24,800円(税別)とされます。単体の価格や初期費用は公式に明示がないため、要お問い合わせです。
8. e-PAP 財務会計システム(株式会社エッサム)

株式会社エッサムが会計事務所向けに展開する財務・税務ソフト「e-PAP」シリーズのうち、財務会計を担うのがe-PAP 財務会計システムです。財務会計・法人申告・個人申告・年末調整・給与計算の各システムでデータを連動させて扱えます。
仕訳入力や帳表出力といった財務会計に加え、法人税・所得税の申告や電子申告に対応するシリーズ構成です。クラウド版はインターネットとWindows PCがあれば利用でき、顧問先が自計化に使うソフトは0円から利用できるとしています。
財務・税務・給与のデータを一元管理でき、2008年の財務会計システム発売時には、ログイン時に指をかざす指静脈認証「静紋」を標準搭載しました。料金やスタンドアロン版の価格は公式サイトに料金表がなく、資料請求・問い合わせでの確認が案内されています。
顧問先と共有する汎用クラウド会計型
中小企業や個人事業主が自計化で使うクラウド会計を、事務所が顧問先に合わせて導入・伴走して使うタイプの製品です。自計化を進める顧問先が多い事務所に向きます。
1. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Nextは、会計に加えて請求書発行・経費精算・証憑管理を1つのサービスにまとめ、これらのデータを自動で会計処理に流す構成の法人向けクラウド会計です。弥生株式会社が2025年4月に提供を開始しました。
事務所が顧問先を支える観点では、弥生PAPに加入する会計事務所・税理士とデータを共有できる仕組みが中心です。顧問先が共有権限を付与すると、顧問税理士が同じ画面でチェックや修正依頼を行え、USBメモリやExcelでの受け渡しが不要になります。データ共有が使えるのは顧問税理士が弥生PAP会員の場合に限られる点は、導入前に確かめておく必要があります。
顧問先の自計化を後押しする機能として、2,500以上の金融機関・サービスとの連携による明細の自動取得や、勘定科目をAIが提案する自動仕訳、会話形式で仕訳を作れるAI取引入力を備えます。
料金は年契約でエントリー34,800円・ベーシック50,400円・ベーシックプラス84,000円(いずれも年額・税抜、2026年10月時点)、初期費用は0円で最大2か月の無料体験が利用できます。データ共有と達人シリーズへの連携は3プランすべてが対象です。
2. freee会計(フリー株式会社)

個人事業主から新設法人、中小企業、IPO準備・上場企業までを対象とするクラウド会計がfreee会計です。フリー株式会社が提供し、1,000を超える金融機関・サービスと連携して、取引データの取得から仕訳、決算書作成までを行います。
事務所との連携では、freee認定アドバイザーである税理士・公認会計士を外部メンバーとして招待し、同じデータで同時に作業できます。認定アドバイザーは料金の対象となるメンバー数に含まれないため、顧問先側の費用を増やさずに記帳代行や監査を進められます。ただしアドバイザー制度に加入していない税理士は通常メンバー扱いとなり、招待枠を消費します。
顧問先向けには、銀行・カード連携で推測した仕訳を確認・承認する入力方式やAI-OCRを備え、簿記の経験が浅い担当者でも記帳しやすい設計です。
法人向け料金は年払いでひとり法人2,980円・スターター5,480円・スタンダード8,980円(いずれも月額・税抜、2026年9月時点。スターター以上は従量課金が別途発生)、個人事業主向けは年払い月額980円からのプランがあります。初期費用は0円、無料トライアルは30日間です。
3. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

振替伝票・簡単入力・仕訳帳入力の3方式を備え、複式簿記で勘定科目を自分で扱いたい担当者が記帳しやすいクラウド会計が、株式会社マネーフォワードのマネーフォワード クラウド会計です。ひとり法人から50名以下の中小企業を対象とし、2,300以上の金融関連サービスと連携します。
事務所との連携では、税理士のアカウントをメンバーに追加すると同じデータを共有でき、権限は帳簿を確認する税理士・公認会計士向けの「監査」を含む7種類から選べます。公認メンバー制度に加入し、クラウドパートナー画面で顧問先として登録した士業アカウントは、4名以上で生じる1名月300円(税抜)の従量課金の対象外です。制度に加入していない税理士を招待した場合は通常メンバーと同じ扱いになります。
顧問先の自計化では、取得した明細から勘定科目をAIが提案する自動仕訳と、証憑を読み取るAI-OCRを利用できます。料金は年払いの月額換算でひとり法人2,480円・スモールビジネス4,480円・ビジネス6,480円(いずれも税抜、2026年9月時点。月払いは3,980円から)で、初期費用は0円、無料トライアルは1か月です。
4. ジョブカン会計(株式会社DONUTS)

ダウンロード不要のクラウド上で、キーボード中心のデスクトップ型に近い操作で記帳できるのがジョブカン会計です。株式会社DONUTSが勤怠・給与・経費精算などのジョブカンシリーズの一つとして提供し、法人・個人事業主の双方に対応します。
事務所との連携では、税理士側のジョブカンアカウントと顧問先アカウントを紐づける「外部メンバー」の仕組みがあり、外部メンバーは顧問先の請求対象に含まれず、プランの人数上限にも影響しません。利用には提供元での事前設定が必要です。権限は管理者・会計担当者など6種類ですが、権限管理機能を使えるのはビジネス・エンタープライズの2プランです。
顧問先側では銀行・クレジットカード明細の自動取込に対応し、AI-OCRやAI仕訳の作成は有償オプション「ジョブカン証憑管理」で利用します。料金はスタートアップ2,500円(3ユーザー)・ビジネス5,000円(5ユーザー)・エンタープライズ50,000円(ユーザー数上限なし)のいずれも月額・税抜(2026年10月時点)で、初期費用は0円、無料トライアルは30日間です。
まとめ
税理士事務所の基幹システムは、記帳代行や申告まで事務所業務に特化した専門システム型と、顧問先が自計化で使うクラウド会計を事務所が伴走して使う汎用クラウド会計型に大きく分かれます。申告・相続まで同じ仕組みで完結させたいなら専門システム型、自計化を進める顧問先との二重入力をなくしたいなら汎用クラウド会計型が軸になります。
選ぶときは、対応業務範囲・提供形態・顧問先とのデータ共有・職員の使いやすさ・乗り換えやすさ・料金・制度対応という観点で自事務所の要件に照らし、機能だけでは見えにくい使い勝手やサポートは、同じ立場の事務所の口コミで補って見極めるのが実際的です。気になる製品が絞り込めたら、資料を取り寄せて機能・料金・提供形態を並べて比較してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 税理士事務所の基幹システムとは何ですか?
A. 税理士事務所の基幹システムとは、顧問先ごとの会計データの入力・記帳代行から、試算表・決算書の作成、法人税・所得税・消費税などの申告書作成、年末調整や報酬管理までを支える会計・税務のシステムです。多数の顧問先のデータを事務所側で横断して扱い、顧問先とのやり取りを前提に設計されている点が、一社分の帳簿を付ける事業会社向けソフトと異なります。大きくは専門システム型と汎用クラウド会計型に分かれます。
Q. 事務所向けの専門システム型と、顧問先と共有する汎用クラウド会計型は、どちらを選べばよいですか?
A. 申告・相続まで同じ仕組みで完結させたいなら専門システム型、自計化を進める顧問先との二重入力をなくしたいなら汎用クラウド会計型が軸になります。専門システム型は記帳から申告書作成・電子申告までを同一メーカーで連携でき、一気通貫で行いたい事務所に向きます。汎用クラウド会計型は顧問先が入力した仕訳をそのまま受け取れ、クラウド会計を使う顧問先が多い事務所に向きます。迷う場合は選定診断で絞り込めます。
Q. 顧問先が使うクラウド会計と、税理士事務所の基幹システムは何が違いますか?
A. 両者の違いは、顧問先が使うクラウド会計が一社分の記帳のための道具であるのに対し、事務所の基幹システムは多数の顧問先を横断して記帳代行・決算・申告まで回すための道具である点です。顧問先が自計化で使う汎用のクラウド会計ソフトも、事務所向けの連携プログラムを備えたものは基幹業務の一部を回せます。どちらを基幹に据えるかは、記帳代行が中心か自計化支援が中心かという運用方針で決まります。
Q. オフコンや買い切りの会計ソフトから乗り換えるとき、何に注意すればよいですか?
A. まず確認したいのは、過去の仕訳・科目設定・顧問先マスタをどこまで引き継げるか、移行作業を自力で行うのか支援を受けられるのかです。オフコンや専用機からクラウドへ移す場合は、現場の運用ルールや顧問先への案内も見直す必要があり、繁忙期を避けて移行時期を計画すると混乱を抑えられます。乗り換え・データ移行の負担は口コミでも評価が分かれやすいため、同じ規模の事務所の声を参考にすると判断しやすくなります。
Q. 税理士事務所向けシステムの料金が「要お問い合わせ」とされていることが多いのはなぜですか?
A. 料金が公開されにくいのは、事務所向けの専門システムの多くが、必要なソフトを1本単位で積み上げる料金体系や、会計事務所との顧問契約を介して導入する構成をとっているためです。導入する機能や事業規模、事務所の構成で総額が変わるため、見積もりで実額を確かめる形が一般的です。一方、汎用クラウド会計型は初期費用0円・プラン別の月額や年額を公開している製品が多く、費用を事前に把握しやすい傾向があります。
Q. 税理士事務所の基幹システムはインボイス制度や電子帳簿保存法に対応していますか?
A. 多くの製品が対応していますが、対応範囲は製品ごとに異なるため、適格請求書発行事業者の登録番号の管理や税区分のチェック、証憑のスキャナ保存・電子取引データの保存に、自事務所の実務でどこまで対応できるかを個別に確認する必要があります。特に電子取引データ保存は、電子取引を行った場合にデータ保存が求められ、任意の他区分と扱いが異なります。具体的な対応範囲は比較表と個別紹介で確認してください。
Q. 税理士事務所向けシステムの口コミ・評判は、どこでどう確かめればよいですか?
A. 口コミは、総合的な満足度の点数だけで判断せず、自事務所が重視する観点(記帳のしやすさ・申告連携・顧問先共有・サポート)に絞って、自事務所に近い規模・顧問先構成の声を読むことが大切です。評価は事務所の使い方で変わるため、少数の極端な評価に引っ張られないよう注意します。独自の総合ランキングや受賞は基準を確かめにくいため参考程度にとどめ、無料体験やデモ、資料請求で自分の目で確かめるのが確実です。
Q. 小規模な税理士事務所でも使える基幹システムはありますか?
A. 小規模な事務所でも使える製品はあり、初期費用0円・月額数千円から始められるクラウド型や、必要なソフトだけを1本単位で選べる積み上げ型が選択肢になります。汎用クラウド会計型は月額制で、無料体験で操作感を確かめられます。専門システム型でも、小規模事業者向けの月額制クラウド製品や、ソフトを積み上げる体系があります。顧問先数や職員数に見合った規模から始められるかを確かめましょう。
Q. 顧問先と共有する汎用クラウド会計型のなかで、自事務所に合うものはどう選べばよいですか?
A. 顧問先の記帳スタイルに合う入力方式かで選ぶのが基本です。推測した仕訳を確認・承認する方式が合うのか、振替伝票や仕訳帳で複式簿記の科目を自分で扱う入力が合うのかで、向く製品が変わります。多くの汎用クラウド会計型は士業向けの認定プログラムに加入すると顧問先側の課金対象に含まれず、費用を抑えて記帳代行を進められます。具体の入力方式・料金・連携条件は比較表と選定診断で見比べてください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















