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SIEMの評判は実際どう?高評価の理由と「重い」と言われる背景を解説

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サイバー攻撃の高度化を受け、社内の各機器が出すログを集めて脅威を検知する「SIEM(Security Information and Event Management、セキュリティ情報イベント管理)」の導入を検討する企業が増えています。一方で、「高機能だが運用が重い」という話も耳にし、自社で本当に使いこなせるのか判断がつかないという声も少なくありません。

SIEMは、導入すれば自動で守ってくれるツールではありません。脅威を検知する力は高く評価される一方で、導入・運用のコストや専任人材の必要性といった運用面の負担が、評価の分かれ目として知られています。評価が分かれるからこそ、自社に向くのかを見極めてから検討したいところです。

本記事では、SIEMが実際にどう評価されているのかを、良い評判と悪い評判の両面から整理します。何が評価され、どこでつまずくのかを具体的に解説し、どんな企業に向くのか、そして「重い」と感じたときにどんな選択肢があるのかまでを、資料請求や比較検討の判断材料としてまとめました。

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SIEMの評判の全体像|価値は認められるが「運用の重さ」で評価が分かれる

SIEMの評判をひとことで言うと、「脅威を見つける力は高く評価されるが、運用の重さで評価が分かれる」ツールです。複数の機器のログを突き合わせて攻撃の全体像を可視化できる点は、単体のセキュリティ製品では得にくい強みとして認められています。

その一方で、取り込むログ量に応じて増えるコスト、アラートの多さ、運用を担う人材の必要性といった運用面の負担が、評価の分かれ目として繰り返し指摘されてきました。本記事では、この良い面と注意点の両方を具体的に掘り下げます。

このように、SIEMそのものの機能に不満があるというより、それを使いこなす体制を自社で維持できるかどうかが評価の分かれ目になっています。以下では、まずSIEMの前提を押さえたうえで、何が評価され、どこでつまずくのかを順に取り上げます。

評判の全体像を図にすると、次のようになります。

SIEMの評判を機能面と運用面に分けて示した図。機能面(良い評判)は相関分析による攻撃の可視化・単体では見えない横断的な検知・コンプライアンス/監査対応で高く評価され、運用面(悪い評判・注意点)はログ量に比例するコスト・専任人材や運用体制の必要性・アラート過多とログ設計の難しさでつまずきやすい。評価の分かれ目は、相関分析やアラート対応を続ける運用体制(SOCなど)を自社で維持できるかどうかであることを示す。

そもそもSIEMとは(評判を読む前提)

SIEMは、社内のサーバーやネットワーク機器、ファイアウォール、クラウドサービスなどが出すログを一か所に集めて分析し、組織全体のセキュリティ状況を俯瞰するソフトウェアです。日本マイクロソフトは「組織のネットワーク全体のアクティビティを俯瞰的に把握するためのセキュリティ ソフトウェアです」と説明しています。個々の機器に閉じていた情報を横断的に見られるようにする点が、SIEMの土台です。

出典・参考資料(2件)

評価が割れる理由(機能か、運用体制か)

SIEMの評判を読むときのポイントは、「機能への評価」と「運用への評価」を分けて見ることです。検知や可視化といった機能面は高く評価されやすい一方で、導入後に使いこなせるかどうかは、コスト・人材・運用設計といった自社側の条件に大きく左右されます。同じSIEMでも、専任チームがある企業と、情報システム担当者が兼務で回す企業とでは、満足度がまったく変わってきます。

この記事でも、評価の高い機能面と、つまずきやすい運用面を順に取り上げ、最後に「自社はどちらに当てはまるか」を判断できるよう整理します。

SIEMが高く評価されている点(良い評判)

ここからは、SIEMが「何ができるから評価されるのか」を、代表的な3つの機能に分けて見ていきます。いずれも、単体のセキュリティ製品では得にくい価値です。

相関分析で攻撃の流れを可視化できる

最も評価されるのが、複数のログを突き合わせて攻撃の流れを一本につなぐ「相関分析」です。日本マイクロソフトは、SIEMが集めたデータを分析して「異なるエンティティ間のパターンを探します」と説明し、相関によって「単独では無害に見えるが、その他のアクティビティと組み合わさると侵害インジケーターとなる可能性があるアクティビティを検出するのに役立ちます」としています。

1台の機器のログだけでは見逃してしまう兆候を、他の動きと組み合わせて拾い上げられる点が、SIEMの中核的な価値です。

出典・参考資料(1件)

単体ツールでは見えない横断的な動きを捉える

相関分析を支えるのが、機器をまたいでデータを集める横断的な収集力です。エンドポイント対策(EDR)やファイアウォールといった個別のツールは、それぞれの守備範囲しか見えません。SIEMはこれらを横断し、組織全体のアプリケーション・デバイス・サーバー・ユーザーからのデータを集約して分析します。

オンプレミスと複数のクラウドにまたがる環境でも、散らばった情報を一か所に集められる点が、横断的な検知を可能にしています。

出典・参考資料(2件)

コンプライアンス・監査対応に効く

ログを一元的に保管し、必要なレポートを生成できる点も、SIEMが評価される理由のひとつです。日本マイクロソフトは、SIEMの「リアルタイムの監査と報告機能により」規制コンプライアンスの要件を満たすツールを提供でき、特定の規制に合ったコンプライアンスレポートを生成することもできると説明しています。

監査で「いつ・何が起きたか」を示す証跡を求められる企業にとって、ログが散在せず追跡できる状態は実務上の安心材料になります。

出典・参考資料(2件)

「使いこなせない」「重い」と言われる理由(悪い評判・注意点)

一方で、SIEMには「導入したものの使いこなせない」「運用が重い」という評判がついて回ります。これは機能の優劣ではなく、運用を続けられるかどうかの問題です。代表的な3つの理由を取り上げます。

導入・運用コストが大きい(取り込むログ量に比例して増える)

コストの重さは、悪い評判の筆頭に挙がります。とくにクラウド型のSIEMでは、料金が取り込むログの量に応じて増える構造になっている点に注意が必要です。Microsoftは、クラウド型SIEMであるMicrosoft Sentinelの課金について、次のように説明しています。

価格は、データが取り込まれるレベルに基づいています。(中略)従量課金制 は、格納されている実際のデータ ボリュームに基づく既定のモデルであり(中略)データ ボリュームは GB (10^9 バイト) で測定されます。

出典:コストを計画し、価格と課金を理解する – Microsoft Sentinel|Microsoft Learn

クラウド型では料金が公開されていることが多く、自社が取り込むデータ量(GB単位)をもとに費用を試算できます。使った分だけ支払う従量課金に加えて、取り込み量をあらかじめ決めて割安にするプランを用意する製品もあり、想定するログ量から概算を立てやすくなっています。

こうした仕組みのため、守備範囲を広げようとログを多く取り込むほど費用が膨らみます。さらに、初期の導入費用やログ設計、運用を担う人の人件費まで含めた総保有コスト(TCO)で見ると、負担は月々のライセンス料だけにとどまりません。どのログを取り込み、どこまで保持するかを設計で絞り込めるかどうかが、コストを抑えられるかの分かれ目になります。

専任人材・運用体制が要る(国内の人材不足という現実)

SIEMは、ログの設定、検知ルールのしきい値調整、アラートの優先度判断、ルールの更新といった運用を続けて初めて効果を発揮します。この運用を担う人材を確保できるかどうかが、評価の大きな分かれ目です。国内のIT・セキュリティ人材の不足は、公的な統計にもはっきり表れています。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査結果(2019年度)によると、IT人材の量について、「大幅に不足している」又は「やや不足している」という回答の合計は、89.0%にも達している。

(同調査では)IT人材の質についても、「大幅に不足している」又は「やや不足している」という回答の合計は、90.5%にも達している。

出典:令和3年版 情報通信白書|総務省

同白書は、情報セキュリティなどの高度なICTスキルを持つ人材が特に強く求められていると指摘しています。この構造的な人材不足は一朝一夕に解消するものではなく、SIEMの運用に必要なのはまさにこの種の人材であるため、採用も育成も難しい状況が、「導入したが運用が続かない」という評判の背景にあります。

アラート過多・ログ設計の難しさ

運用を難しくするもうひとつの要因が、アラートの多さです。検知ルールの設計が適切でないと、重要度の低い通知が大量に発生し、本当に対応すべき重大なアラートがその中に埋もれてしまいます。

SIEM製品側も、分析機能によってアラートの「ノイズを減らし、確認して調査する必要があるアラートの数を最小限に抑える」ことや、対応を自動化する仕組み(SOAR)を備えています。裏を返せば、こうした機能が要るほど、アラート過多は現実の課題だということです。どのログをどのしきい値で拾うかというログ設計の巧拙が、運用の負担を大きく左右します。

出典・参考資料(1件)

結局どんな企業に向くのか・向かないのか

ここまで見てきたとおり、SIEMの評判は「運用体制を持てるかどうか」で割れます。自社がどちらに当てはまるかを見極めることが、導入の判断で最も重要です。

向いている企業(運用体制があり相関分析を自社で回せる)

SIEMが力を発揮するのは、セキュリティ監視を専任で担う体制(SOC:セキュリティオペレーションセンターなど)を持ち、集めたログの相関分析や検知ルールの調整を自社で継続できる企業です。守るべきシステムが多く、各機器のログを横断して攻撃の流れを追う必要がある組織に向きます。監査・コンプライアンスで詳細なログの保管と報告を求められる企業でも、SIEMの横断的な可視化と監査対応力が投資に見合います。

運用を回せる前提があれば、「脅威を見つける力は高い」という良い評判をそのまま享受できます。

慎重に判断すべき企業(専任人材がいない中小企業など)

一方、専任のセキュリティ人材を置けず、情報システム担当者が他業務と兼務している企業では、SIEMは「重い」と感じやすくなります。導入してもログ設計やアラート対応の運用が回らず、コストだけが残ってしまうケースが典型です。この場合は、SIEMの導入そのものを急ぐより、運用を外部に任せられる形や、SIEM以外の選択肢を含めて検討したほうが、現実的に守りを固められることが少なくありません。

次の章で、その具体的な選択肢を見ていきます。

「重い」と感じたときの選択肢と、評価の見極め方

「SIEMは必要かもしれないが、自社で運用しきれるか不安」という場合、取れる手は大きく2つあります。運用を外部に任せる形にするか、SIEMとは守る対象が異なる別の仕組みを選ぶかです。それぞれの役割を押さえたうえで、最後に製品を見極めるコツを解説します。

マネージドSIEM/MDRで運用を任せる

運用の負担が導入の壁になっているなら、検知・対応そのものを外部の専門チームに委託する「MDR(Managed Detection and Response)」や、SIEMの運用を代行するマネージドサービスが選択肢になります。

IBMはMDRを「脅威をリアルタイムで監視、検知、対応する24時間365日のサイバーセキュリティー・サービス」と定義し、外部に委託することで「社内にセキュリティー・オペレーション・センター(SOC)を構築・維持することに伴う高コストを回避できます」と説明しています。人材不足で自前運用が難しい企業にとって、評判の弱点である「運用が続かない」を直接埋める手段です。

出典・参考資料(1件)

実際にMDRを利用する場合は、監視・対応をどこまで任せられるか(代行範囲)や課金の単位、24時間監視の中身がサービスごとに異なります。各社の代行範囲や選び方を比べて自社に合う委託先を探したい場合は、以下の記事が参考になります。

SIEM以外の選択肢(NDR・XDR)

SIEMがログを横断的に見る仕組みであるのに対し、守る対象を絞った別のアプローチもあります。日本マイクロソフトは、SIEMと並ぶ考え方として「XDR(拡張検出と応答)」を挙げ、XDRは「特定のリソースにおける詳細なコンテキストを利用して脅威の検出と応答を向上させます」と説明しています。

XDRはエンドポイントやID、メールといった領域のシグナルを相関させ、検知から対応までを自動で行う点に強みがあります。

もう一つの選択肢が「NDR(Network Detection and Response)」です。IBMはNDRを、人工知能や機械学習、行動分析を使って「ネットワーク上の不審な活動や攻撃の兆候を検知し、サイバー脅威に対応するためのサイバーセキュリティー技術」と定義しています。ログではなくネットワークを流れる通信そのものを監視する点が、SIEMやXDRとの役割の違いです。

ログ設計の負担を抑えつつ、通信の異常から脅威を捉えたい場合の候補になります。

出典・参考資料(2件)

XDRはEDR(エンドポイント対策)と混同されやすく、製品によって監視できる範囲や他社ツールとの連携可否も大きく変わります。EDRとの違いや、製品ごとの対応範囲を踏まえてXDRを選びたい場合は、以下の記事で詳しく比較しています。

SIEM・マネージドSIEM/MDR・NDR・XDRは、それぞれ守る対象と運用の負担が異なります。代表的な製品を例に、各アプローチの役割・運用のかたち・向く状況を次の表で見比べられるようにまとめました。運用を任せるマネージドSIEM・MDRについては、各製品で外部委託できる選択肢もあわせて示します。

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比較項目Splunk Enterprise SecurityMicrosoft SentinelNetwork BlackboxMicrosoft Defender XDRPalo Alto Cortex XDR
役割SIEM(データ基盤型)SIEM(クラウドネイティブ)NDRXDR(Microsoft統合型)XDR(オープン型)
主に見るデータ(守る対象)社内全体のログ・イベントを横断マルチクラウド/オンプレのログを横断ネットワークを流れる通信そのもの(全パケット)ID・エンドポイント・メール・クラウドアプリ横断のシグナルエンドポイント起点+ネットワーク・クラウド・ID
運用のかたち自前運用(クラウド/オンプレ)クラウド(Azure)基盤のマネージド運用ミラーリング方式で導入(既存網への影響を抑制)Defenderポータルで検知〜対応を一体運用エージェント導入(syslog等で他社ログも取り込み)
運用を外部に任せる選択肢国内パートナーによるSIEM構築・SOC運用代行国内MSS事業者の運用代行プラン製品標準の運用代行は公式に明記なし(販売代理店の付帯サービスあり)Defender Experts MDR(別売り・現状英語提供)Unit 42によるMDR・マネージド脅威ハンティング
費用のかたち取り込みデータ量・ワークロードに応じた課金(パートナー見積もり)従量課金(取り込み・保存データ量に応じる)要お問い合わせ(公式非公開)サブスクリプション(Microsoft 365 E5等に同梱/Defender製品の組み合わせ)要お問い合わせ(販売代理店経由の見積もり)
向く状況大量・多様なログを自社のSOCで横断的に分析したいMicrosoft 365/Azure中心で、初期投資を抑えてクラウドで始めたいログ設計の負担を抑え、通信の異常や事後の遡及調査をネットワーク側で担いたいすでにMicrosoft製品群を利用し、検知〜対応を束ねたいエンドポイントを軸に検知・対応を自動化したい
詳細情報SIEM製品を比較するSIEM製品を比較する公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

上の表はSIEMと代替アプローチの役割を並べたものですが、社内のセキュリティは「何を守るか」によってほかにも多様な選択肢があります。SIEMの導入是非とあわせて、守る対象別に全体の選択肢を見渡し、自社に足りている対策・足りない対策を確かめたい場合は、以下の比較記事で全体像を把握できます。

ここからは、運用の負担を抑えながら検知・対応を担えるソリューションを紹介します。いずれもSIEMとは守る対象や運用形態が異なるため、「SIEMは重い」と感じた企業の現実的な選択肢になります。

1. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackbox

Network Blackboxは、ネットワークを流れる全パケットを収集して脅威を検知・分析・対応するNDR(ネットワーク検知・対応)製品です。ログだけでなく通信そのもの(パケット)を保存し、後からパケットやファイルを再構築できるため、インシデント後に「いつ・何が起きたか」を通信レベルでさかのぼれる点が特徴です。

ミラーリング方式で導入するため既存ネットワークへの影響を抑えやすく、収集・検知・ハンティング・フォレンジック・対応という5つの機能を備えます。Syslog・REST APIを通じてEDRやSIEMなど他ツールと連携できるため、SIEMを補完してネットワーク側の可視化を足す使い方もできます。資料請求に対応しており、料金や詳細な仕様を確認できます。

2. Microsoft Defender XDR(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft Defender XDR

Microsoft Defender XDRは、ID・エンドポイント・メール・アプリといった領域を横断して脅威の検知・調査・対応を一元化するXDRプラットフォームです。Microsoft Defenderポータルを統合画面とし、複数のDefender製品からのシグナルを相関させて1つのインシデントとして追跡できます。

複数ワークロードの高信頼度シグナルを突き合わせ、人の判断を待たずに進行中の攻撃を自動で封じ込める「自動攻撃かく乱」なども備えます。

ただし、Defender XDRは単独で購入する製品ではなく、複数のDefender製品を組み合わせることで有効になる統合レイヤーである点に注意が必要です。すでにMicrosoftの製品群を利用している企業にとっては、検知・対応を束ねやすい選択肢といえます。

3. Palo Alto Cortex XDR(パロアルトネットワークス株式会社)

Palo Alto Cortex XDR

Palo Alto Cortex XDRは、エンドポイントを起点に、ネットワーク・クラウド・アイデンティティのデータを統合して相関分析するXDRプラットフォームです。エンドポイントのマルウェア・エクスプロイト対策を基盤に、機械学習ベースの行動分析で感染後の挙動や内部不正、ラテラルムーブメント(横展開)などを検知します。

エンドポイント保護を中心とする「Prevent」と、検知・対応や横断的な相関分析まで含む「Pro」といった構成で提供されており、エンドポイントを軸に守りを固めたい企業に向きます。SIEMのように幅広いログ設計を自前で組むより、端末起点で検知・対応を自動化したい場合の選択肢になります。

評価の見極め方(PoC・評価軸)

SIEMや代替製品を選ぶときは、製品スペックの一覧だけで判断せず、自社の環境で実際に評価することが大切です。評判が割れるツールほど、自社の条件で確かめないと「導入したが合わなかった」という結果になりやすいためです。見極めの観点としては、次のような点が挙げられます。

  • 検知範囲: 自社のオンプレミス・クラウド・社外端末まで、1つの仕組みで可視化できるか
  • 運用の負担: 稼働までにかかる期間と、自社の人員で運用を続けられるか
  • 総保有コスト: ライセンス料だけでなく、ログの取り込み量の増加や運用人件費まで含めて見積もれるか
  • 検知の精度: トライアルやPoC(試験導入)で自社の実データを流し、誤検知の多さや調査のしやすさを確かめたか

特に、PoCで自社の実データを使い、アラートの精度や調査効率を自分の目で確認することは、評判に左右されずに判断するうえで有効です。公開情報だけでなく、「自社で回せるか」を試す段階を設けることをおすすめします。

まとめ

SIEMの評判は、「脅威を見つける力は高いが、運用が重い」という評価に集約されます。複数のログを突き合わせる相関分析や横断的な可視化、監査対応は高く評価される一方で、取り込むログ量に比例して増えるコスト、運用を担う人材の不足、アラート過多といった課題が「使いこなせない」という声につながっています。

重要なのは、評判の良し悪しそのものより、自社がSIEMを運用できる体制を持てるかどうかです。専任のチームで相関分析を回せる企業には投資に見合う一方、人材を置けない企業では「重い」と感じやすくなります。運用が壁になる場合は、MDRやマネージドサービスで運用を任せる、あるいはNDR・XDRといった守る対象の異なる仕組みを選ぶという現実的な選択肢があります。

最終的には、PoCで自社の実データを使って見極めたうえで、資料請求や相談を通じて自社に合うソリューションを選ぶとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. SIEMとは何ですか?

A. SIEMとは、社内のサーバーやネットワーク機器、クラウドサービスなどが出すログを一か所に集めて分析し、組織全体のセキュリティ状況を俯瞰する仕組みです。日本マイクロソフトは「組織のネットワーク全体のアクティビティを俯瞰的に把握するためのセキュリティ ソフトウェア」と説明しています。個々の機器に閉じていた情報を横断的に見て、単体の製品では捉えにくい攻撃の兆候を早期に拾い上げることを目的とします。

出典・参考資料(1件)

Q. SIEMの評判は実際のところどうなのですか?

A. SIEMの評判は、脅威を見つける力は高く評価される一方で、コストや人材といった運用の重さで評価が分かれます。複数の機器のログを突き合わせて攻撃の流れを可視化できる点は高く評価されますが、「アラートが多すぎて見きれない」「運用を担う人材が足りない」といった率直な不満も繰り返し挙がります。SIEMそのものの機能より、使いこなす体制を自社で維持できるかどうかが満足度を大きく左右します。

Q. 中小企業にSIEMは必要ですか?

A. 中小企業にSIEMが必要かどうかは体制しだいで、専任のセキュリティ人材を置けない場合は、SIEMの導入を急ぐより、運用を外部に任せられる形や別の仕組みを含めて検討したほうが現実的なことが多いです。SIEMはログ設計やアラート対応を継続して初めて効果を発揮するため、情報システム担当者が他業務と兼務で回す体制では「重い」と感じやすくなります。

守るべきシステムが多く監査対応も求められる企業であれば中小規模でも投資に見合いますが、まずは自社が運用を続けられるかを基準に判断するとよいでしょう。

Q. SIEMとXDRの違いは何ですか?

A. SIEMが幅広いログを横断して組織全体を可視化する仕組みなのに対し、XDRはエンドポイントやID、メールといった特定領域のシグナルを深く相関させ、検知から対応までを行う仕組みです。日本マイクロソフトは、XDRを「特定のリソースにおける詳細なコンテキストを利用して脅威の検出と応答を向上させ」るものと位置づけ、幅広い可視化のSIEMと深い検知・対応のXDRは組み合わせても使えると説明しています。

ログ設計の負担を抑えて検知・対応を自動化したい場合は、XDRが候補になります。

出典・参考資料(1件)

Q. SIEMの導入・運用にはどのくらいの費用がかかりますか?

A. SIEMの費用は製品や規模で幅がありますが、とくにクラウド型は、取り込むログの量に比例して料金が増える課金構造になっている点に注意が必要です。日本マイクロソフトは、クラウド型SIEMの価格について「データが取り込まれるレベルに基づいています」と説明しています。

このため守備範囲を広げてログを多く取り込むほど月額が膨らみ、初期の導入費用やログ設計、運用人件費まで含めた総保有コスト(TCO)で見積もる必要があります。どのログをどこまで取り込み・保持するかを設計で絞り込めるかが、コストを抑えられるかの分かれ目です。

出典・参考資料(1件)

Q. SIEMはゼロデイ攻撃やAPT(高度標的型攻撃)を検知できますか?

A. SIEMは、未知の攻撃も複数のログの相関分析や振る舞いの異常から捉えられる可能性がありますが、単体で確実に防げるわけではありません。日本マイクロソフトは、相関分析が「単独では無害に見えるが、その他のアクティビティと組み合わさると侵害インジケーターとなる可能性があるアクティビティを検出するのに役立」つと説明しています。

パターンの組み合わせから異常を見つけるため、既知のシグネチャだけに頼る対策では見逃す兆候を拾える一方、検知ルールの設計しだいで精度は変わります。ゼロデイやAPTへの備えとしては、EDR・NDR・XDRなど他の仕組みと組み合わせて多層で守るのが現実的です。

出典・参考資料(1件)

Q. SIEMは導入してすぐに使えるようになりますか?

A. SIEMは導入してすぐ効果が出るものではなく、どのログを集めるかの設計や検知ルールの調整(チューニング)を経て、はじめて実用的に機能します。初期設定のままでは重要度の低いアラートが大量に発生しやすく、自社の環境に合わせてしきい値や優先度を調整する運用が欠かせません。稼働までの期間は環境やログ量によって変わるため、導入スケジュールには設計・チューニングにかかる時間を見込んでおく必要があります。

Q. SIEMのログはどのくらいの期間保存すべきですか?

A. ログの保存期間に一律の正解はなく、自社が守るべき法令・社内規程の要件と、保存にかかるコストのバランスで決めるのが基本です。監査やインシデント調査で過去のログをさかのぼる必要がある場合は長めの保持が求められますが、クラウド型SIEMでは保持するデータ量が課金に直結するため、保存期間を延ばすほど費用も増えます。必要な期間と範囲を要件から逆算し、保持ポリシーを設計段階で決めておくことが重要です。

Q. SIEMの運用を外部に任せることはできますか?

A. SIEMの運用は、MDR(Managed Detection and Response)やSIEM運用を代行するマネージドサービスを使えば、外部の専門チームに任せられます。

IBMはMDRを「脅威をリアルタイムで監視、検知、対応する24時間365日のサイバーセキュリティー・サービス」と定義し、外部に委託することで「社内にセキュリティー・オペレーション・センター(SOC)を構築・維持することに伴う高コストを回避できます」と説明しています。専任人材を確保できず自前運用が難しい企業にとって、SIEMの弱点である「運用が続かない」を直接補える選択肢です。

出典・参考資料(1件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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