テレワークの広がりとともに、「端末にデータを残さず安全に社外から働きたい」「情報漏えいやPCの紛失リスクを抑えたい」といった課題から、VDI(仮想デスクトップ)やDaaS(サービス型デスクトップ)の導入を検討する企業が増えています。
一方で、クラウド事業者が提供するものから自社基盤に作り込むタイプ、運用を任せられるマネージド型、データだけを端末に残さないタイプまで製品が多く、「どれが自社に合うのか分からない」という声も少なくありません。
VDIとDaaSは、基盤を自社で持つか・クラウド事業者から借りるかという提供形態の違いがあり、さらにマネージド型やデータレスクライアント型といった選択肢も存在します。費用の形も運用にかかる人手も製品ごとに大きく異なるため、提供形態・費用・運用負荷という軸で整理しないと比較が難しくなります。
本記事では、主要なVDI・DaaS製品を提供形態の5タイプ(クラウドDaaS型・マネージド型・オンプレミスVDI型・データレスクライアント型・物理PCリモート型)に分けて、費用・運用負荷・対応環境・向いている規模で横断的に比較します。VDIとDaaSの違いから、自社に合うタイプの見分け方、導入後に「遅い・使えない」と失敗しない勘所まで、選定の判断に使える形で整理しました。
また、自社の運用体制や既存クラウド、規模に合わせて適したタイプ・製品を最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。あわせてご活用ください。
目次
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VDI(仮想デスクトップ)・DaaSとは
ここからは、VDIとDaaSがそれぞれ何を指すのかを押さえます。どちらも「手元の端末ではなく、サーバー上のデスクトップ環境を画面転送で利用する」仕組みで、端末にデータを残さずに業務ができる点が共通します。テレワークを導入している企業の割合は50.1%に達しており、社外から安全に働ける環境づくりの手段として関心が高まっています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:令和8年版 情報通信白書(テレワーク導入企業の割合50.1%、令和7年通信利用動向調査)|総務省(リンク)
VDIとは
VDI(Virtual Desktop Infrastructure/仮想デスクトップ基盤)は、サーバー上に一人ひとりの仮想デスクトップを構築し、利用者はその画面を手元の端末に転送して操作する仕組みです。もともとは自社やデータセンターにサーバーを用意して基盤を構築・運用する「オンプレミス型」を指す言葉として広まりました。
アプリケーションの処理やデータの保存はサーバー側で完結し、端末には画面の情報だけが送られます。そのため端末が紛失・盗難にあっても、端末自体にデータが残らない運用ができます。総務省のテレワークセキュリティガイドラインも、VDI方式について次のように整理しています。
設定によりテレワーク端末へのデータ保存の制限が可能なため、テレワーク端末上にデータを保存させないことができ、データ管理が容易です。
総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」(令和3年5月)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/telework/
このガイドラインは、総務省がテレワークで講じるべきセキュリティ対策を体系的にまとめたものです。VDI以外の方式も含め、自社がやるべき対策項目を押さえておきたい場合は、次の記事で全体像を解説しています。
DaaSとは
DaaS(Desktop as a Service/サービス型デスクトップ)は、VDIの基盤をクラウド事業者が構築・運用し、利用者は月額や従量の料金でサービスとして使う提供形態です。自社でサーバーを保有・運用する必要がなく、申し込んでから比較的短期間で使い始められます。
仕組みとしてはVDIの一種ですが、基盤の調達・保守・スペック増減をクラウド側に任せられる点が、自社構築のオンプレミスVDIと大きく異なります。近年は「仮想デスクトップを導入したい」というニーズの受け皿が、構築負荷の小さいDaaSへ移る動きがみられます。
VDIとDaaSの違い
ここからは、VDIとDaaSの違いを「誰が基盤を持ち、誰が運用するか」という軸で整理します。結論から言えば、基盤を自社で構築・運用して自由度を取るのがVDI(オンプレミス型)、基盤をクラウド事業者に任せて導入の速さと運用の軽さを取るのがDaaSです。両者の違いを観点別にまとめると次のとおりです。

| 観点 | VDI(オンプレミス型・自社運用) | DaaS(クラウド型・事業者運用) |
|---|---|---|
| 基盤の保有・運用 | 自社またはデータセンターに基盤を構築し、自社で運用する | クラウド事業者が基盤を保有・運用する |
| 初期費用 | サーバー・ライセンス・構築費など初期投資が大きい | 初期費用は小さく、基本は月額・従量で利用する |
| 費用の形 | 資産として保有(CAPEX寄り) | 利用料として費用計上(OPEX寄り) |
| 自由度・カスタマイズ | 高い。セキュリティポリシーや構成を細かく作り込める | 事業者が用意した範囲での設定が中心 |
| 拡張・縮小 | サーバー増設などの作業が必要で時間がかかる | 利用人数の増減に応じて比較的柔軟に調整できる |
| 運用の人手 | 基盤の保守・監視・更新を自社で担う | 基盤の保守は事業者側。自社の運用負荷は小さい |
自社に専門の運用体制があり、要件に合わせて作り込みたい場合はVDI(オンプレミス型)が向きます。運用の人手を抑えて早く使い始めたい場合や、利用人数の増減が見込まれる場合はDaaSが向きます。ただし実際には、この2つの中間にあたるマネージド型やデータレスクライアント型といった選択肢もあるため、次章で提供形態の全体像を押さえます。
VDI・DaaSの提供形態5タイプ
ここからは、VDI・DaaSにどんな選択肢があるのかを「提供形態」で5タイプに整理します。基盤をどこに置き、誰が運用し、何を仮想化するかで分けると、自社の体制や目的に合う方向性が見えてきます。まず全体像を一覧で押さえ、このあとの「選び方」と診断ツールで自社に合うタイプを絞り込んでいきます。
| 項目 | クラウドDaaS型 | オンプレミスVDI型 | マネージド型 | データレスクライアント型 | 物理PCリモート型 |
|---|---|---|---|---|---|
| 基盤の置き場所・運用 | クラウド事業者 | 自社・データセンター(クラウドにも対応) | 事業者がフルマネージド運用 | 端末+クラウド(データのみ仮想化) | データセンターの物理PC |
| 特徴 | 月額・従量で借りてすぐ使える。初期費用が小さく導入が速い | 基盤を自社で構築し自由度高く作り込む。大規模・ハイブリッド向き | 設計・構築・監視・保守までワンストップで代行。運用体制が薄い企業向き | デスクトップ環境ごとではなくデータだけをクラウド化。端末にデータを残さず軽快・安価 | 仮想化せず物理PCにリモート接続。仮想化非対応アプリも動かしやすい |
| 該当する主なサービス | Azure Virtual Desktop、Windows 365、Amazon WorkSpaces | Citrix DaaS、Omnissa Horizon、Parallels RAS | IIJ仮想デスクトップサービス | Shadow Desktop、ZENMU Virtual Drive | at+link リモートPCサービス |
表のとおり、提供形態によって初期費用・運用の人手・向いている規模が変わります。特に「VDIは重い・高い」と感じる場合は、デスクトップごと仮想化せず業務データだけを端末に残さないデータレスクライアント型が、軽快・安価な代替になります。自社にどのタイプが合うかは、次の「選び方」と診断ツールで具体的に絞り込めます。
VDI・DaaSの選び方
ここからは、VDI・DaaSを選ぶときの比較軸を整理します。製品の機能一覧を眺める前に、次の観点を自社の状況に当てはめると、候補となる提供形態がしぼり込めます。
運用体制で選ぶ——基盤を自社で運用できるか
仮想デスクトップの基盤は、構築後も監視・パッチ適用・障害対応といった運用が継続して発生します。情報システム部門に専任の運用リソースがある場合は、自由度の高いオンプレミスVDI型や、基盤運用を自社で握るクラウドDaaS型も選択肢になります。運用の人手が限られる場合は、基盤運用を事業者に任せられるマネージド型や、構築負荷の小さいクラウドDaaS型が無理なく回せます。
既存クラウド・ライセンスとの相性で選ぶ
すでにMicrosoft 365やAWSを利用している場合、同じ基盤のクラウドDaaS型を選ぶと、ライセンスの一部を流用できたり、ID管理や課金を既存環境に寄せられたりします。既存クラウドとの相性は、導入のしやすさだけでなく運用後のコストにも効くため、「どのクラウドをすでに使っているか」を早い段階で確認しておくと選定がぶれません。
費用の形は初期投資型か、月額・従量型か
オンプレミスVDI型は初期投資が大きい代わりに、長期的に使うほど1台あたりのコストを抑えやすい傾向があります。クラウドDaaS型は初期費用を抑えられる一方、月額・従量の利用料が継続して発生します。利用人数の増減が見込まれるか、何年使う前提かによって、どちらの費用の形が合うかが変わります。
対応OS・アプリと閉域ネットワーク要件を満たせるか
利用したいOSのバージョンや、業務アプリが仮想環境で問題なく動くかは、導入前に確認すべき基本要件です。仮想化に対応しにくい特殊なアプリを使う場合は、物理PCリモート型が候補になります。加えて、金融機関などで求められる閉域ネットワーク接続への対応可否も、提供形態によって差が出るため、自社のセキュリティ要件と照らし合わせた確認が必要です。
自社に向くタイプの見分け方(規模・運用体制別)
ここまでの観点を規模・体制別に整理すると、おおまかな方向性は次のように見分けられます。運用リソースが限られる中小企業は、固定料金で見通しが立てやすいクラウドDaaS型や、運用を任せられるマネージド型が無理のない出発点です。「端末にデータを残さない」ことが主目的で、仮想デスクトップほどの作り込みが不要なら、データレスクライアント型が軽快で費用も抑えやすい選択肢になります。
一方、独自のセキュリティポリシーや大規模なユーザー数に対応したい中堅・大企業は、作り込みのきくオンプレミスVDI型やハイブリッド対応の製品が候補になります。次の診断ツールでは、運用体制の有無・既存クラウド・予算・規模への回答から、自社に適したタイプと代表製品を提示します。
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【比較表】主要VDI・DaaS製品を提供形態・費用・運用負荷で比較
ここからは、主要なVDI・DaaS製品を提供形態タイプごとに、費用の目安・基盤運用の主体・対応環境・向いている規模で比較します。各サービス名をクリックすると、提供形態タイプ別の個別紹介に移動します。料金は公表されている範囲を記載し、公式が定価を非公開で個別見積もりが基本の製品は「要お問い合わせ」としています。
| サービス名 | Azure Virtual Desktop | Windows 365(Cloud PC) | Amazon WorkSpaces | Citrix DaaS | Omnissa Horizon | Parallels RAS | IIJ仮想デスクトップサービス | Shadow Desktop | ZENMU Virtual Drive | at+link リモートPCサービス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウドDaaS型 | クラウドDaaS型 | クラウドDaaS型 | オンプレミスVDI型 | オンプレミスVDI型 | オンプレミスVDI型 | マネージド型 | データレスクライアント型 | データレスクライアント型 | 物理PCリモート型 |
| 料金目安 | 従量課金 (要見積もり) | 月額5,247円〜 (税抜・1ユーザー) | 月額/時間課金 (米国例 $25〜44/台・月。日本円は要算出) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ (従量課金) | 月額950円〜 (税込1,045円) | 月額500〜1,800円 (税抜・1ユーザー) | 月額9,500円〜 (Windows別途) |
| 基盤運用の主体 | 自社中心 (基盤はMicrosoft) | 事業者(Microsoft) 管理はIntune/GPO | 事業者(AWS) | 自社+事業者 (管理基盤はCitrix) | 自社 (基盤の構築・運用) | 自社 (基盤の構築・運用) | マネージド(IIJ) 運用代行・24時間監視 | 自社 (基盤構築不要・既存PCに導入) | 自社 (基盤構築不要・既存PCに導入) | 事業者(リンク) (物理PCの構築・保守) |
| 対応OS・環境 | Windows(Azure上) マルチセッション対応 | Windows(Cloud PC) ブラウザ・アプリから | Windows/Linux 多様な端末から | オンプレ・各クラウド (Hyper-V/vSphere等) | 各種クライアント対応 オンプレ・クラウド | Windows中心 オンプレ・各クラウド | Windows(AVD) 閉域接続・3層分離対応 | Windowsのみ | Windowsのみ (Mac版は開発中) | Windows(物理PC) |
| 向いている規模・体制 | Microsoft 365利用・ Azure運用知識のある企業 | 固定費で始めたい 中小〜大企業 | AWS利用企業 (増減に柔軟) | 大規模・ 独自要件のある企業 | 大規模・ ハイブリッド展開 | 社員数が多く 同時利用で抑えたい企業 | 運用を任せたい企業 ・自治体 | 「VDIは重い・高い」と 感じる中小企業 | 既存VDIの見直し・ 移行/併用 | 特殊アプリ・ 少数台から試す企業 |
| 詳細情報 | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | 公式サイトをご覧ください |
※料金は各社の公式情報にもとづく。2026年10月時点。
提供形態タイプ別のおすすめVDI・DaaS製品
ここからは、提供形態の5タイプごとに代表的な製品を取り上げ、提供元・特徴・費用の形・向いている企業を紹介します。自社の運用体制や予算に照らして、候補を絞り込む材料としてご活用ください。
クラウドDaaS型のおすすめ製品
クラウド事業者の基盤を月額・従量で借り、初期費用を抑えて短期間で使い始められるタイプです。同じタイプでも、AVDは基盤設定を自社で担う範囲が広く、Windows 365やAmazon WorkSpacesは運用がより軽い傾向があります。
1. Azure Virtual Desktop(日本マイクロソフト株式会社)

Azure Virtual Desktop は、日本マイクロソフト株式会社が国内展開するクラウド型のVDI/DaaSです。自社のAzureサブスクリプション内に用意した仮想マシン上でWindowsデスクトップやRemoteApp(個別アプリの配信)を動かし、画面を手元の端末へ転送します。
料金は前払い・長期契約のない従量課金で、サービス自体に定額の月額はありません。Microsoft 365 E3/E5 や Windows Enterprise E3/E5 など対象ライセンスを保有していれば、内部ユーザー向けのアクセス権に追加のライセンス費用はかかりません。別途、Azureの仮想マシンやストレージのインフラ費用が従量課金で発生し、金額はAzure料金計算ツールで試算できます。
Windows 11/10 Enterprise のマルチセッションを利用できるのはAVDとWindows Serverに限られ、1台の仮想マシンを複数ユーザーで共有・集約できます。ゲートウェイやブローカーを自前で構築する必要はない一方、セッションホストのOS・イメージ・ネットワーク・ID構成は利用企業側の運用範囲です。Microsoft 365利用企業やAzureの運用知識がある企業に向きます。
2. Windows 365(Cloud PC)(日本マイクロソフト株式会社)

ユーザーにライセンスを割り当てると、その人専用のWindows仮想マシン(Cloud PC)が自動で用意される点が、Windows 365(Cloud PC)の特徴です。日本マイクロソフト株式会社が提供するDaaSで、ブラウザーやWindows Appから利用できます。
課金はユーザー単位・スペック別の月額固定で、料金表から総額を見積もれます。中小企業向けのBusinessは月額5,247〜10,494円(税抜・1ユーザー)の3プランで、前提ライセンスなしに購入でき、テナントあたり300ユーザーまで利用できます。大規模組織向けのEnterpriseは月額5,247〜143,365円(税抜・15構成)で、ユーザー数の上限はありません。
Enterpriseは Windows Enterprise・Microsoft Intune・Microsoft Entra ID P1 のライセンスが前提で、IntuneやGPOを使って物理PCと同じ基盤で管理できます。利用時間に応じた変動費ではなく固定の月額で運用したい企業や、まず少人数で始めたい中小企業に向きます。
3. Amazon WorkSpaces(アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社)

Amazon WorkSpaces は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社が国内で展開する、AWSが基盤を運用するクラウドDaaSです。WindowsやLinuxのデスクトップをクラウド上に数分で展開し、多様な端末から画面転送で使えます。
アクセスできる端末はPC・シンクライアント・タブレット・ブラウザなどに対応します。中核のAmazon WorkSpaces Personalはユーザー専有の永続デスクトップで、データはクラウド側に保持されます。
課金は、常時利用向けの月額サブスクリプションと、利用時間が限定的な用途向けの時間課金の2方式から選べます。VDI基盤をAWSが提供するため、サーバーの初期調達は不要です。
公式の掲載例では、Windows Standard バンドルが1台あたり月額44ドル、Value バンドルが25ドルです(いずれも米国リージョン)。これらは米ドル・米国リージョンの例のため、東京リージョン・日本円の料金はAWS料金計算ツールで算出する形です。
基盤の調達・運用をAWSに委ねられるため、仮想デスクトップを短時間で展開・増減できます。古い既存PCに ChromeOS Flex や IGEL OS を導入してアクセス端末に再利用することもでき、すでにAWSを利用している企業や、利用実態に合わせて月額と時間課金を使い分けたい企業に向きます。
オンプレミスVDI型のおすすめ製品
自社やデータセンターに基盤を構築し、自由度高く作り込めるタイプです。Citrix DaaS・Omnissa Horizon は名称にDaaS・Cloudを含みますが、クラウドにも対応しつつ自社基盤に作り込めるハイブリッド型です。
4. Citrix DaaS(シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社)

Citrix DaaS は、管理コンポーネント(コントロールプレーン)を Citrix Cloud が担い、仮想マシンはオンプレミスのデータセンターや Microsoft Azure・AWS・Google Cloud に配置できる仮想デスクトップ製品です。オンプレミスとクラウドを単一の管理画面で扱うハイブリッド・マルチクラウド構成に対応します。
画面転送には低帯域幅環境向けに最適化した HDX プロトコルを採用し、対応するオンプレミスのハイパーバイザーは Microsoft Hyper-V・VMware vSphere・Nutanix AHV などに広がります。コントロールプレーンの運用・パッチ適用・アップグレードは Citrix 側が担うため、管理基盤の保守を任せられます。
料金は公式に非公開で、ユーザー単位または同時接続(Concurrent)の年額サブスクリプションとして個別見積もりになり、クラウド基盤費や Windows/RDS ライセンスは別建てです。エディションは Advanced から Premium Plus まで複数が用意され、独自のセキュリティ要件や大規模なユーザー数に対応したい企業に向きます。
5. Omnissa Horizon(Omnissa, LLC)

オンプレミス型の Horizon 8 とクラウド型の Horizon Cloud を揃えるのが、Omnissa Horizon(旧 VMware Horizon)です。提供元は Omnissa, LLC で、VMware vSphere や Nutanix AHV などの自社基盤から Microsoft Azure・AWS・Google Cloud まで幅広い基盤で運用できます。
画面転送には Blast Extreme プロトコルを用い、App Volumes による動的なアプリ配信や統合コンソールからの集中管理、API・Terraform を使った自動化に対応します。デスクトップ・アプリ・データはデータセンターやクラウド側に集約し、端末に残さない運用ができます。
ライセンスは期間版と SaaS 版のサブスクリプション型で、名前付きユーザー(Named User)と同時接続(CCU)の2方式から選べますが、具体的な金額は公式に非掲載で個別見積もりとなり、VDI 基盤のインフラ費も別途必要です。事業継続・災害復旧やバースト容量にも使えるため、オンプレミスからクラウドまで同じ製品で大規模に展開したい企業に向きます。
6. Parallels RAS(Parallels International GmbH)

同時接続するユーザー数で課金し、全機能を1つのライセンスに含むのが Parallels RAS の料金体系です。公式の例では、従業員200名が2交代で勤務する場合は同時利用100名分のライセンスで足りるとされ、エディションを分けずに利用できます。
提供元は Parallels International GmbH(親会社は Alludo)で、オンプレ・プライベート/パブリッククラウドのハイブリッド構成に対応します。Azure Virtual Desktop や AWS EC2 との統合に加え、VMware ESX・Hyper-V・Nutanix などのハイパーバイザー、単一コンソールでの管理や内蔵ロードバランサ(HALB)を備えます。
契約は1年・2年・3年から選ぶ前払いサブスクリプションで、公式サイトでは金額を公開しておらず、見積もりの問い合わせが必要です(無料トライアルあり)。サポートは24時間365日受け付けますが対応言語は英語または自動翻訳ツールによるもので、同時接続数での課金により社員数が多い環境でもライセンス数を抑えたい企業の選択肢になります。
マネージド型のおすすめ製品
基盤の設計・構築から監視・保守までを事業者が代行するタイプです。仮想デスクトップは使いたいが運用まで手が回らない、運用体制の薄い企業に向きます。
7. IIJ仮想デスクトップサービス(株式会社インターネットイニシアティブ)

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)が、MicrosoftのDaaSであるAzure Virtual Desktop(AVD)をCitrix Cloudと組み合わせ、フルマネージドで提供するサービスです。ライセンスの調達から構築・運用・サポート窓口までをIIJが一括で担います。
運用代行は標準対応で、障害対応・セキュリティパッチ適用・ユーザーの追加変更・グループポリシーの変更までをIIJが代行します。専任エンジニアによるシステム監視は24時間365日の体制で、AVD・Azure・Citrix Cloudの環境とネットワークを含め、障害時も窓口がIIJに一本化されます。
Citrix Cloudの併用で閉域構成での接続に対応し、自治体の3層分離モデルに適合したプランも用意されています。料金は個別見積もりで、使用時間に基づく従量課金・最低利用期間は1年間です。利用開始までの目安は、申し込みから約10営業日とされています。
データレスクライアント型のおすすめ製品
デスクトップ環境ごとではなく業務データだけをクラウド化し、端末にデータを残さないタイプです。「VDIは重い・高い」と感じる企業が、より軽快かつ安価に情報漏えい対策を進めたい場合の代替になります。
8. Shadow Desktop(アップデータ株式会社)

Shadow Desktopは、アップデータ株式会社が開発・提供するデータレスクライアント製品です。既存のWindows PCに専用ソフトをインストールすると、デスクトップやドキュメントなど4つのフォルダー内のデータをクラウドやオンプレミスの外部ストレージへ自動的に退避します。
これにより、PC本体にデータを残さない状態を作ります。OSやアプリ自体は仮想化しないため、通常のPCと同じ操作感のまま使えます。
ローカルに一時保存されるキャッシュはAES256bitで暗号化され、PCの紛失・盗難時は無償の管理コンソール「Shadow Desktop Manager」から該当端末の利用を停止できます。HDDやSSDを取り出しても内容を読み取れない設計で、リモートワイプやランサムウェア対策のロールバック(最大99世代)はオプションで追加できます。
料金は1ユーザーライセンスあたり月額950円(税込1,045円)からで(Standardプラン、公式価格表2024年10月現在版)、原則5ライセンスから契約します。初期費用はかからず、最大30日間の無料トライアルも利用できます。仮想デスクトップ基盤を構築せずに「端末にデータを残さない」運用を実現したい企業に向いた選択肢です。
9. ZENMU Virtual Drive(株式会社ZenmuTech)

鍵でデータを暗号化する従来方式とは異なり、株式会社ZenmuTechのZENMU Virtual Driveは独自の秘密分散技術「ZENMU-AONT」でデータそのものを無意味化します。データを複数の断片に分割してPC内とクラウド(またはサーバー)に分けて保管し、両方の断片がそろわなければ元データを復元できないため、PC単体を盗まれても情報を読み取られません。
VDIに代わる「セキュアFATクライアント」として位置づけられ、PCのローカルリソースを使うためネットワークの影響を受けにくい点が特徴です。USBメモリやスマートフォンへ分散片を同期すればオフラインでも利用でき、盗難・紛失時は管理者がクラウド側の分散片へのアクセスを停止して仮想ドライブを無効化できます。
エディションは、VDI・DaaSからの完全移行向けのZEE(月額1,800円・税抜)と、VDI・DaaS併用向けに機能を絞った廉価版ZLE(月額500円・税抜)の2種類です。対応OSはWindows 10(20H2以降)・Windows 11で、Mac版は開発中です。既存VDIのネットワーク負荷やサーバーコストを見直したい企業の移行先・併用先として検討できます。
「VDIは重い・高い」という悩みへの代替は、データレスクライアントだけではありません。Web業務が中心であれば、ブラウザ側で情報漏えいを防ぐセキュアブラウザも候補になります。VDIとの違いや方式・料金での選び方は、次の記事で比較しています。
物理PCリモート型のおすすめ製品
仮想化せず、データセンターなどに置いた物理PCへリモート接続して使うタイプです。仮想環境で動かしにくい特殊なアプリを使いたい場合や、物理PCの処理性能をそのまま使いたい場合の選択肢になります。
10. at+link リモートPCサービス(株式会社リンク)

株式会社リンクが提供する、データセンターに設置した物理PCをSSL-VPN(通信を暗号化して社外から接続する方式)でリモート利用するデスクトップサービスです。1ユーザーが1台の物理PCを占有し、仮想化を介さずにWindows環境を社外から使える提供形態をとります。
料金は初期費用0円・月額9,500円で、8コア/8スレッド構成のGen3は月額11,400円です(いずれも1台あたり、最低利用期間は1か月)。ただしWindows OSのライセンスは月額に含まれず、Windows 11 Proは別途初期費用25,000円が必要です。1台・1か月から申し込めるため、少数台からの試験導入にも対応します。
端末にデータが残らない仕組みのため、持ち出しPCの情報漏えい対策に使えるほか、MacからのWindowsソフト利用やRPAの稼働用PC、Windowsの検証環境といった用途にも対応します。仮想環境では動かしにくいアプリを物理PC上でそのまま使いたい企業の選択肢になります。
VDI・DaaSの費用相場
ここからは、提供形態別の費用の目安を整理します。VDI・DaaSは個別見積もりとする製品が多い領域ですが、公表されている料金から提供形態ごとの傾向を押さえると、予算感をつかみやすくなります。以下では、料金を初期費用・月額目安・課金単位まで分解して整理します。
クラウドDaaS型は、スペック別の固定月額で1ユーザー月額数千円から、構成によって数万円規模まで広がります。使った分だけ支払う従量課金の製品もあり、利用時間が読めるほどコストを最適化しやすくなります。
マネージド型とオンプレミスVDI型は、運用代行の範囲や基盤規模によって金額が変わるため、要お問い合わせ(個別見積もり)とする製品が中心です。この場合、基盤のクラウド費用やWindowsのライセンス費用が別途かかる点も確認が必要です。
データレスクライアント型は、デスクトップ環境ごと仮想化しない分、1ユーザーあたり月額・年額とも比較的安価な傾向があります。物理PCリモート型は、月額の利用料に加えて物理PC分のWindowsライセンス費用が必要になるのが一般的です。以下に、主要製品の提供形態・初期費用・月額目安・課金単位を整理します。料金は各社の公表情報にもとづき、公開されていないものは「要お問い合わせ」としています。
| 製品 | Azure Virtual Desktop | Windows 365(Cloud PC) | Amazon WorkSpaces | Citrix DaaS | Omnissa Horizon | Parallels RAS | IIJ仮想デスクトップサービス | Shadow Desktop | ZENMU Virtual Drive | at+link リモートPCサービス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウドDaaS型 | クラウドDaaS型 | クラウドDaaS型 | オンプレミスVDI型 | オンプレミスVDI型 | オンプレミスVDI型 | マネージド型 | データレスクライアント型 | データレスクライアント型 | 物理PCリモート型 |
| 初期費用 | 前払いなし (従量課金) | 公式に記載なし | 不要 (基盤調達なし) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ (基盤インフラ費が別途) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 0円 | 0円 (代理店公表) | 0円 (Windows別途25,000円) |
| 月額目安 | 従量課金 (Azure利用料。要見積もり) | 5,247〜143,365円 (税抜・1ユーザー) | 月額/時間課金 米国例 $25〜44/台・月 (日本円は要算出) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ (無料トライアルあり) | 要お問い合わせ (従量課金・最低1年) | 950円〜 (税込1,045円) | 500〜1,800円 (税抜) | 9,500円〜 (Gen3 11,400円・1台) |
| 課金単位 | Azure利用量+対象ライセンス | ユーザー・スペック別の月額固定 | 仮想デスクトップ1台 | ユーザー単位/同時接続(年額) | 名前付きユーザー/同時接続 | 同時接続ユーザー数(1〜3年) | 従量課金 | ユーザーライセンス(原則5〜) | ユーザーライセンス(5〜) | 物理PC1台(最低1か月) |
※料金は各社の公式情報にもとづく。2026年10月時点。
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VDI・DaaSを導入するメリット
ここからは、VDI・DaaSを導入することで得られる主なメリットを整理します。セキュリティ・コスト・運用・働き方の4つの観点から見ていきます。
端末にデータを残さず情報漏えいリスクを抑えられる
最大のメリットは、業務データをサーバー側で保持し、端末にデータを残さない運用ができる点です。端末が紛失・盗難にあっても、端末自体にデータがなければ、そこからの情報漏えいを避けられます。総務省のテレワークセキュリティガイドラインも、仮想デスクトップ方式について次のように整理しています。
加えて、テレワーク端末上へのデータ保存を制限することができるため、データ管理が容易です。さらに仮想デスクトップ(VDI)環境はシステム・セキュリティ管理者が一括して管理できることから、セキュリティ統制の集中管理が可能となります。
総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」(令和3年5月)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/telework/
個人データの漏えい等の報告は継続して多数発生しており、個人情報保護委員会への四半期の処理件数は個人情報だけで6,101件にのぼります。端末にデータを残さない仕組みは、こうした漏えいリスクを下げる有効な手立ての一つです。
出典・参考資料(1件)
- 出典:令和8年度第1四半期における漏えい等報告の処理状況(処理件数 個人情報6,101件)|個人情報保護委員会(リンク)
運用・セキュリティ対策を一元管理できる
仮想デスクトップでは、OSやアプリの更新、セキュリティ設定、アクセス権限の管理をサーバー側で一括して行えます。端末ごとに個別対応していた運用を集約できるため、管理工数とセキュリティ統制のばらつきを同時に抑えられます。新入社員のデスクトップ用意や退職者のアカウント停止も、サーバー側の操作で素早く対応できます。
端末コストとキッティング工数を抑えられる
処理をサーバー側で行うため、手元の端末には高いスペックが不要になり、安価な端末や既存端末を活用できます。新しい端末を配る際も、個別にアプリを入れる「キッティング」の手間が小さくなり、台数が多いほど効果が出ます。端末の調達・設定にかかるコストと時間を抑えたい企業にとって、導入の動機になります。
安全なテレワーク環境を整えられる
テレワークを導入する企業が半数に達するなか、社外からでも社内と同じ環境に安全にアクセスできる仕組みの重要性が増しています。仮想デスクトップは、どの端末からでも同じデスクトップ環境を呼び出せ、かつ端末にデータを残さないため、働く場所を選ばない環境と情報漏えい対策を両立しやすい手段です。
VDI・DaaS導入・運用の注意点とデメリット
ここからは、導入前に知っておくべき弱点と、導入後に失敗しないための勘所を分けて整理します。メリットだけでなく注意点も踏まえて、自社に合うかを判断してください。
導入・運用で押さえるデメリット(初期構築の手間・継続コスト・障害時の影響範囲)
オンプレミスVDI型を自社で構築する場合、サーバーやライセンスの初期投資と、設計・構築の手間がかかります。クラウドDaaS型でも、月額・従量の利用料が継続して発生するため、利用人数が多いほどランニングコストは無視できません。
もう一つの注意点は、障害時の影響範囲が広がることです。デスクトップ環境をサーバーに集約する分、基盤やネットワークに障害が起きると、利用者全員が業務を止められるリスクがあります。可用性の確保や、障害時の代替手段をあらかじめ設計しておく必要があります。
情報セキュリティの脅威も、端末起因の漏えいを抑えても消えるわけではありません。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2025」では、リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃が組織向けの6位に挙がっています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:情報セキュリティ10大脅威 2025(組織向け6位「リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃」)|情報処理推進機構(IPA)(リンク)
VDI・DaaSは端末起因の情報漏えいを抑える有力な一手ですが、入口対策・認証・不正アクセス検知など、ほかにも守るべき対象があります。社内セキュリティを守る対象別に見渡して対策を組み立てたい場合は、次の記事が参考になります。
導入後に「遅い・使えない」を避ける(ネットワーク品質・端末スペック・印刷環境・段階導入)
仮想デスクトップは、サーバーの画面を端末に転送して使う仕組みのため、通信品質の影響を大きく受けます。総務省のガイドラインも、VDI方式について次の点を指摘しています。
遠隔操作画面をテレワーク端末へ転送することになるため、頻繁にデータの送受信が発生し、通信遅延の影響を大きく受けるデメリットがあります。
総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」(令和3年5月)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/telework/
「導入したら遅くて使えない」を避けるには、利用拠点のネットワーク帯域と、同時接続時に必要なサーバー側スペックを事前に見積もることが欠かせません。社内の印刷や周辺機器が仮想環境から問題なく使えるか、業務アプリの操作感が許容範囲かも、導入前に検証しておきたい点です。
こうした検証を踏まえ、まず一部の部署やユーザーで試験導入し、問題点を洗い出してから全社展開する段階的な進め方が有効です。いきなり全社に広げると、想定外の性能不足や業務アプリの不具合が一斉に表面化し、現場の混乱につながりかねません。
まとめ
VDI・DaaSは、端末にデータを残さず安全にテレワーク環境を整えられる仕組みで、提供形態によって費用の形と運用の人手が大きく変わります。運用体制が限られるならクラウドDaaS型やマネージド型、作り込みが必要ならオンプレミスVDI型、より軽快・安価に情報漏えい対策を進めたいならデータレスクライアント型、というように、自社の体制・予算・既存クラウドに合わせて提供形態から絞り込むのが選定の近道です。
製品を比較する際は、費用だけでなく、基盤運用の主体・対応環境・導入後のネットワーク品質まで見て、「遅くて使えない」を避ける視点を持つことが大切です。各製品の資料を取り寄せて、自社の要件に照らして比較検討を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. VDIとDaaSの違いは何ですか?
A. VDIとDaaSの違いは、仮想デスクトップの基盤を自社で構築・運用するのがVDI(オンプレミス型)、クラウド事業者から借りてサービスとして使うのがDaaSという提供形態の違いです。
VDIは自由度が高く要件に合わせて作り込める一方で初期投資と運用負荷が大きく、DaaSは初期費用を抑えて短期間で使い始められ、基盤の保守や増減を事業者に任せられます。どちらも端末ではなくサーバー上のデスクトップを画面転送で利用し、端末にデータを残さず業務できる点は共通です。
Q. VDI・DaaSは情報漏えい対策としてどんな課題に効きますか?
A. VDI・DaaSは、端末にデータを残さない運用ができるため、PCの紛失・盗難時の情報漏えいリスクを抑えられます。業務データや処理をサーバー側で保持し、端末には画面の情報だけを転送するためです。
あわせて、OS・アプリの更新やアクセス権限をサーバー側で一元管理でき、手元の端末に高いスペックが不要になるためキッティング工数や端末コストも抑えられます。ただし画面転送の仕組み上、常時ネットワーク接続が前提になる点は制約として押さえておきます。
Q. VDI・DaaSの代表的な製品にはどんなものがありますか?
A. VDI・DaaSは提供形態でクラウドDaaS型・オンプレミスVDI型・マネージド型・データレスクライアント型・物理PCリモート型の5タイプに分かれ、それぞれに代表的な製品があります。
クラウド事業者の基盤を借りるクラウドDaaS型、自社基盤に作り込むオンプレミスVDI型、構築・運用まで任せるマネージド型、データだけを端末に残さないデータレスクライアント型、物理PCにリモート接続する物理PCリモート型です。各タイプの代表製品と費用・運用負荷は、本記事の比較表と診断ツールで具体的に紹介しています。
Q. 中小企業がVDI・DaaSを導入するなら、どのタイプがおすすめですか?
A. 運用リソースが限られる中小企業には、固定料金で見通しが立てやすいクラウドDaaS型や、構築・運用を任せられるマネージド型が無理のない出発点になります。「端末にデータを残さない」ことが主目的で、仮想デスクトップほどの作り込みが不要なら、より軽快・安価なデータレスクライアント型も選択肢です。
一方、独自のセキュリティポリシーや大規模なユーザー数に対応したい場合は、作り込みのきくオンプレミスVDI型が候補です。自社の運用体制・予算・既存クラウドから提供形態を絞り込むのが選定の近道です。
Q. 「VDIは重い・高い」と感じる場合、VDI・DaaSの代替になる選択肢はありますか?
A. 「VDIは重い・高い」と感じる場合の代替は、デスクトップ環境ごとではなく業務データだけを端末に残さないデータレスクライアント型です。OSやアプリは仮想化せず通常のPCと同じ操作感のまま、端末にデータを残さない運用を実現できます。該当する製品は本記事の比較表・診断ツールで紹介しています。
仮想デスクトップ基盤を構築しない分、1ユーザーあたりの費用も比較的安価な傾向があり、「端末にデータを残さない」ことが主目的の企業に向いた選択肢です。
Q. すでにMicrosoft 365やAWSを使っている場合、VDI・DaaSはどれが向きますか?
A. すでに特定のクラウドを使っている場合は、同じ基盤のクラウドDaaS型を選ぶと、ライセンスの一部を流用できたり、ID管理や課金を既存環境に寄せられたりします。Microsoft 365利用中なら同じAzure基盤のクラウドDaaS型、AWS利用中ならAWS基盤のクラウドDaaS型が相性のよい候補です(具体的な製品は本記事の比較表を参照)。
既存クラウドとの相性は導入のしやすさだけでなく運用後のコストにも効くため、「どのクラウドをすでに使っているか」を早い段階で確認しておくと選定がぶれません。
Q. VDI・DaaSの導入でよくある失敗や注意点は何ですか?
A. VDI・DaaSで起こりやすい失敗は、ネットワーク品質やサーバー側スペックの見積もり不足による「導入したら遅くて使えない」状態です。画面を端末に転送する仕組み上、通信遅延の影響を大きく受けるため、利用拠点の帯域と同時接続時に必要なサーバー側スペックを事前に見積もることが欠かせません。
あわせて、社内の印刷や周辺機器が仮想環境から問題なく使えるか、基盤やネットワークの障害時に利用者全員が業務を止めるリスクへの備えも確認しておきます。
Q. VDI・DaaSの導入はどこから着手すればよいですか?
A. VDI・DaaSの導入は、まず一部の部署やユーザーで試験導入し、問題点を洗い出してから全社展開する段階的な進め方が有効です。いきなり全社に広げると、想定外の性能不足や業務アプリの不具合が一斉に表面化し、現場の混乱につながりかねません。着手の前に、自社の運用体制・既存クラウド・予算・規模を整理し、提供形態のどのタイプが合うかを絞り込んでおくと、製品選定がスムーズになります。
Q. VDI・DaaSはオフライン環境でも使えますか?
A. VDI・DaaSがオフラインで使えるかは提供形態によって異なり、画面転送型のVDI・DaaSは常時ネットワーク接続が前提ですが、データレスクライアント型の一部はオフラインでも利用できます。
たとえばデータレスクライアント型には、データの断片をUSBメモリやスマートフォンへ同期して、ネットワークがない環境でも使える製品があります。移動中や通信環境が不安定な現場での利用が多い場合は、候補製品のオフライン対応の可否を確認しておくとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















