広告や映像、Webの制作案件を抱えていると、納品まで走り切ったのに「この案件は本当に黒字だったのか」がはっきりしない、という状況に陥りがちです。外注費や制作スタッフの工数が案件に紐づかず、原価の集計が締め後まで分からなければ、赤字案件の発生に気づくのは手遅れになってからです。
会計ソフトや汎用の販売管理システムは、前受・分割請求や源泉徴収、外注費・制作工数の原価化といった広告・制作業の商習慣に必ずしも噛み合わず、案件単位の収支を見るには手作業が残ります。こうした課題を解決するために、クリエイティブ業の案件原価・収支を管理できる製品を探し、実際にデモや資料で試して選びたいと考える担当者は少なくありません。
本記事では、クリエイティブ業(広告・制作)で使える原価管理システムを横断的に比較し、案件別の収支をどこまで可視化できるか、業界特有の商習慣に対応できるか、料金やデモ・無料トライアルで試せるかを一覧で整理しました。広告代理店・制作プロダクション・デザインや映像、Web制作の会社で、案件原価の仕組み化を検討している方が、自社に合う製品を見極める材料としてご活用ください。
広告・制作業向けに案件単位の収支・原価を管理する専用型と、業種を問わず案件別に原価・工数を管理できる汎用型の2タイプに分けて、それぞれの特徴を比較します。
また、自社の案件の進め方に合うサービスを最短で見つけられるよう、「かんたん選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事は、広告・制作などのクリエイティブ業に絞り、案件(プロジェクト)単位で原価・収支を管理するシステムを比較します。制作案件ごとの採算管理や工数の原価化といった、クリエイティブ業の実務に直結する観点を中心に扱います。
業種を問わない管理会計システム全般の比較や、予実管理・経営管理まで含めた広い観点での選び方については、別の記事で整理しています。自社の検討範囲が案件原価にとどまらない場合は、あわせて参照してください。
また、クリエイティブ業に限らず、業種を問わず案件・プロジェクト単位で収支や原価を管理する製品を広く比べたい場合は、以下の記事で主要な製品をタイプ別に整理しています。
プロジェクト収支管理システム比較20選|タイプ別の選び方と料金、案件別原価の作り方を解説
案件が終わって締めてみるまで、その仕事が黒字だったのか赤字だったのか分からない状態になっていませんか。受託でビジネスを回している企業では、珍しくありません。売上は請求書で追えても、そこにぶつける原価は、メンバーの作業時間と外注費と経費に散ら…
クリエイティブ業の原価管理でよくある課題
ここからは、広告・制作の現場で原価管理がうまく回らない典型的な原因を整理します。自社の状況と照らし合わせながら読み進めてください。
第一の課題は、案件ごとの黒字・赤字がリアルタイムに見えないことです。外注費の請求書が遅れて届いたり、制作スタッフの工数が月末まで集計されなかったりすると、原価が確定するのは案件が終わった後になります。採算が悪化していても途中で手を打てず、気づいたときには赤字が確定している、という事態が起こります。
第二に、工数と原価が紐づかない問題があります。制作会社の原価の多くは人件費ですが、誰がどの案件に何時間かけたかが勤怠や工数の記録と切り離されていると、人件費を案件別の原価に落とし込めません。見積時の想定工数と実績の差異も把握できず、次回の見積精度が上がらないままになります。
第三に、Excelでの収支管理が属人化し、締めが遅れることです。案件ごとの収支表を担当者が手作業で更新していると、入力漏れや計算ミスが起きやすく、全社の案件収支を集計するだけで時間がかかります。担当者が不在だと更新が止まるリスクもあります。
第四に、汎用の販売管理・会計システムが広告・制作業の商習慣に合わないことです。前受金や分割請求、デザイン料などにかかる源泉徴収、協力会社への発注管理といった業界特有の処理を、汎用システムではカバーしきれず、結局Excelでの補完作業が残ってしまいます。
クリエイティブ業向け原価管理システムでできること
ここからは、クリエイティブ業向けの原価管理システムが担う機能と、導入で変わることを解説します。製品によって対応範囲は異なりますが、共通して期待できる役割を整理します。
案件別の売上・原価・工数の一元管理
案件原価管理システムの中心的な役割は、1つの制作案件に対して、受注した売上と、外注費・材料費・制作スタッフの人件費といった原価を紐づけ、収支を案件単位で見えるようにすることです。見積・受注・発注・請求までを同じ案件コードで管理すれば、進行中の案件でも現時点の予定原価と実績原価を突き合わせられます。
工数管理と連動する製品では、制作スタッフが入力した作業時間を時間単価で金額換算し、人件費として案件原価に自動で積み上げます。これにより、外注費だけでなく社内の制作コストも含めた「本当の原価」で採算を判断できます。

業界特有の商習慣への対応
広告・制作業に向けた製品は、汎用の販売管理システムでは扱いにくい商習慣に対応している点が特徴です。前受請求・分割請求・合計請求といった特殊な請求形態、デザイン料や原稿料などにかかる源泉徴収税額の計算、協力会社への発注・仕入れ管理などを、案件の流れの中で処理できます。
たとえばデザインや原稿、作曲などの報酬は、支払先が個人(フリーランス)の場合、所得税法上の源泉徴収の対象になり得ます。所得税法第二百四条第1項第1号は、源泉徴収の対象となる報酬・料金を次のように定めています。
一 原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金
出典:所得税法 第二百四条第1項第1号|e-Gov 法令検索
国税庁の資料でも、広告・ポスター等のグラフィックデザインや広告デザインが対象の報酬として例示されており、1回の支払金額が100万円以下は10.21%、超える部分は20.42%の税率で源泉徴収します(法人への支払は原則対象外)。外注先に個人のクリエイターが多い広告・制作業では、支払時に源泉徴収税額を正しく計算・管理できるかが汎用システムとの違いになります。
出典・参考資料(3件)
汎用の会計ソフトや販売管理システムとの違いは、これらの処理を「案件ごとの原価」に結びつけられるかどうかにあります。会計ソフトは全社の損益を記録するのが主目的で、案件単位の採算や工数の原価化は守備範囲外です。制作現場の収支を案件ごとに見たい場合は、案件原価管理に対応した製品が必要になります。
導入で変わること
システムを導入すると、進行中の案件でも予定と実績の原価差異が見えるため、採算が悪化した案件を早い段階で把握し、追加発注の抑制や見積の見直しといった手を打てるようになります。赤字案件を納品後に発見するのではなく、進行中に察知できる状態を目指せます。
また、工数と原価が自動で紐づくことで、どの案件・どの顧客・どの制作メンバーが利益に貢献しているかが可視化されます。感覚ではなく数字で案件の採算やメンバーの稼働を評価でき、見積精度の向上やリソース配分の最適化につながります。
クリエイティブ業向け原価管理システムの選び方
ここからは、自社に合う製品を見極めるための観点を解説します。まず大きな型を見極め、その上で細かな条件を確認する順で検討すると、候補を絞りやすくなります。
自社に合う型をどう見極めるか(専用型か汎用型か)
最初の分かれ目は、広告・制作業の商習慣に合わせた専用型を選ぶか、業種を問わない汎用の案件原価管理型で足りるかです。前受・分割請求や源泉徴収、協力会社への発注管理といった業界特有の処理が業務の中心を占めるなら、これらを標準装備する専用型が向きます。請求・販売管理までシステム側で完結させたい場合も専用型が選択肢になります。
この専用型が、比較表の「広告・制作業向けの案件収支・原価管理型」、汎用型が「業種を問わない汎用の案件別原価・工数管理型」にあたります。
ただし専用型のなかにも、前受/分割請求・源泉徴収・媒体/発注管理といった業界特有の処理まで備える製品と、クリエイティブ業を対象業種に掲げつつ原価計算・収支の可視化に軸足を置く製品があります。後者はこうした請求処理までは対応しないため、どの製品がどこまで対応するかは比較表の「業界特有の商習慣対応」列で確認してください。
一方、請求や会計は既存のソフトで足りていて、案件ごとの工数と人件費原価だけを可視化したいのであれば、工数入力を起点に案件別の採算を見る汎用型でも目的を満たせます。数名規模のチームで無料トライアルやフリープランから小さく始めたい場合も、汎用型の方が導入のハードルは低くなります。自社の課題が「請求・販売管理まで含めた業界対応」なのか「工数と原価の可視化」なのかで、まず型を絞り込みましょう。

そのほかに確認したい選定観点
型を絞ったら、次の観点を自社の運用に当てはめて確認します。まず会計ソフトとの連携です。案件原価管理システムで集計した実績を会計へ渡す運用なら、自社が使う会計ソフトとCSVやAPIで連携できるかを確認すると、二重入力を避けられます。
次に工数入力の負荷と現場の定着しやすさです。原価の精度は制作スタッフが工数を正しく入力するかに左右されるため、入力画面の分かりやすさやスマートフォン対応、入力忘れを防ぐ仕組みの有無が、導入後の実効性を決めます。現場が使い続けられるかは、デモや無料トライアルで実際に操作して見極めるのが確実です。
最後に導入規模と料金体系です。数名のチームで始めるのか、全社数百名で使うのかによって、適した製品と料金の考え方は変わります。ユーザー課金型か、機能や規模に応じた固定費型かを確認し、初期費用と月額、サポート範囲を含めて比較すると、導入後のコストを見通せます。
かんたん選定診断ツール
ここまでの選び方を踏まえ、いくつかの質問に答えるだけで自社の案件管理に合うタイプの製品を絞り込める診断ツールをご用意しました。自社の状況に近い選択肢を選んで、候補を見つける手がかりにしてください。
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クリエイティブ業向け原価管理システムの比較
ここからは、クリエイティブ業で使える原価管理システム11製品を、2つのタイプに分けて比較します。対応業務の範囲、業界特有の商習慣への対応、料金、デモや無料トライアルの有無を横並びで確認できます。無料トライアルやフリープランで自分で試せる製品と、担当者によるデモが中心の製品の違いも、この表で分かります。各製品の詳しい特徴は、比較表の下のサービス個別紹介で解説します。
広告・制作業向けの案件収支・原価管理型
広告・制作などクリエイティブ業を対象業種に掲げ、案件単位の売上・原価・収支を管理するタイプです。前受/分割請求・源泉徴収・媒体/発注管理といった業界特有の処理まで備える製品と、原価計算・収支の可視化に軸足を置く製品が含まれ、対応状況は下の比較表で確認できます。
| サービス名 | クラウドERP ZAC | プロカン | マネーフォワード クラウド個別原価 | Reforma PSA | MA-EYES | SMILE V 2nd Edition Project Director | プロジェクト収支管理Rebo | LEEAD | ADMAN |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社オロ | 株式会社PROCAN | 株式会社マネーフォワード | 株式会社オロ | 株式会社ビーブレイクシステムズ | 株式会社OSK(販売: 株式会社大塚商会) | 株式会社ディータイド | 株式会社ETVOX | 株式会社サイネット |
| 初期費用 | 100,000円(ZAC初期設定費用) | 150,000円〜(税込165,000円〜) | 要お問い合わせ(公式非公開) | 0円 | 要お問い合わせ(提供形態により異なる) | 要お問い合わせ(公式料金表なし) | 要お問い合わせ(買い切り型。年間サポートはパッケージ価格の10%) | 要お問い合わせ(公式非公開) | 300,000円〜(ユーザー数・オプションにより変動) |
| 月額費用 | モジュール×ライセンス数+保守6万円〜/月(単価は要お問い合わせ) | 30,000円〜(税込33,000円〜、利用人数により変動) | 要お問い合わせ(利用人数・契約内容により変動) | 30,000円(税抜)〜(ライセンス従量制) | 要お問い合わせ(利用ユーザー数・機能により変動) | 要お問い合わせ | 月額課金なし(買い切り型) | 要お問い合わせ(企業状況に応じたプラン制) | 42,000円〜(ユーザー数・オプションにより変動) |
| 工数の原価化(人件費) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ×(公式に記載なし) | △(工数管理あり。人件費への反映は要確認) | ● |
| 見積・発注・請求などの販売管理 | ● | ● | ×(原価計算に特化) | ● | ● | ● | ● | ×(収支・予実管理に特化) | ● |
| 業界特有の商習慣対応 | ●(前受/分割/合算請求・発注管理に対応) | ●(発注・個人への支払管理に対応) | ×(原価計算・配賦に特化) | △(合計請求書・発注管理に対応。源泉徴収は記載なし) | ●(広告業界特化版A ver.で媒体・発注管理に対応) | △(受注〜支払を一元管理。源泉徴収・特殊請求は記載なし) | ●(源泉計算・支払調書の出力、前受金処理に対応) | ×(収支・予実管理に特化) | ●(媒体管理・一括/分割請求に対応) |
| デモ・無料トライアル | 無料相談・デモあり(無料トライアルの記載なし) | 無料デモあり(無料トライアルの記載なし) | 資料・見積もりの案内あり(無料トライアルの記載なし) | 無料デモ・商談あり(無料トライアルの記載なし) | 30日間の無料トライアルあり | 実機デモ・無料体験版あり | 無料デモあり(無料トライアルの記載なし) | 30日間の無料トライアル・デモあり | デモ・テスト環境の貸出あり(無料トライアルの記載なし) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
業種を問わない汎用の案件別原価・工数管理型
工数入力を起点に、人件費や外注費を案件(プロジェクト)別に積み上げて採算を可視化するタイプです。業種を問わず導入でき、小規模から試しやすい製品が中心です。
| サービス名 | Lychee Redmine | TimeCrowd |
|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社アジャイルウェア | タイムクラウド株式会社 |
| 初期費用 | 記載なし(別途クラウド利用料5,000円/月〜) | 要お問い合わせ(公式非公開) |
| 月額費用 | 0円〜2,100円/ユーザー(10ユーザー単位。工数・原価機能はプレミアム1,400円/ユーザー〜) | 要お問い合わせ(公式非公開) |
| 工数の原価化(人件費) | ● | ● |
| 見積・発注・請求などの販売管理 | ×(請求・受発注の機能なし) | ×(請求・受発注はboard等の連携が前提) |
| 業界特有の商習慣対応 | ×(工数・原価の可視化に特化。商習慣機能なし) | ×(工数での原価化に特化。商習慣機能なし) |
| デモ・無料トライアル | 30日間の無料トライアル・無料プランあり | 無料トライアルあり (期間は公式で要確認) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
クリエイティブ業向け原価管理システムの個別紹介
ここからは、各製品の提供元・特徴・向いている企業を個別に紹介します。比較表で気になった製品の詳細を確認し、デモや資料請求の検討にお役立てください。
広告・制作業向けの案件収支・原価管理型
広告・制作などクリエイティブ業を対象業種に掲げ、案件別の収支・原価管理を担うタイプの製品です。業界特有の請求・発注処理に対応する製品もあります。
1. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

東証プライム市場に上場する株式会社オロが提供する、案件単位で業務が進むプロジェクト型ビジネス向けの統合型クラウドERPです。オロの公式発表(2024年8月)によると、2024年7月時点の導入企業の業種内訳で広告・PR・制作業が最多(約40%)でした。
出典・参考資料(1件)
販売管理では、案件単位で見積から受注・売上・請求・入金・債権管理までを処理でき、分割請求・前受請求や、顧客の要望に応じた合算請求書の作成にも対応します。工数管理で登録した作業時間は案件別の労務費として自動集計され、直接作業は指定案件へ直課、間接作業は部門配下の案件へ再配賦されます。
料金はモジュール(機能)とライセンス数に応じた体系で、ZAC初期設定費用が10万円、保守費用(データセンター利用料)が月額6万円からです。各モジュールの単価は公開されておらず、製品資料や見積での確認が必要です。
2. プロカン(株式会社PROCAN)

案件単位で進む受託型ビジネスの収支管理に特化したクラウドサービスで、提供元は株式会社PROCANです。IT・システム開発や映像制作、広告・PR代理店、デザイン制作など案件型の業種を対象とし、制作・広告向けには「プロカン制作」を用意しています。
見積書・請求書・発注書・納品書などの帳票作成から、デジタル稟議・承認、ネットバンキング連携による振込までを1つの入力データで処理できます。社内人員の工数を「工数×労務単価」で原価に換算し、外注費などの社外コストと合わせて案件ごとの粗利を可視化します。
初期費用は150,000円(税込165,000円)から、月額費用は30,000円(税込33,000円)からで、利用人数(ID数)や機能に応じて変動します。無料トライアルの有無は公式サイトに記載がないため、デモや問い合わせでの確認が必要です。
3. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードが提供する、プロジェクト単位で原価を管理するクラウドサービスです。IT・SaaS・クリエイティブ・コンサルティングなど、案件ごとに収益と原価を管理する事業を対象とし、IPO準備中の中堅企業から上場企業までを想定しています。
工数・費用データから労務費・外注費・経費を集計し、ワンクリックで原価を算出します。間接費は部門・プロジェクトへ多段階で配賦でき、配賦基準はプロジェクト工数比率・部門の従業員数比率のほか、売上予算比率や面積比率などを任意に設定できます。
勤怠管理システム4種と連携して実労働時間を工数入力に反映でき、原価の推移はプロジェクト原価推移表で勘定科目ごとにドリルダウンできます。料金は利用人数や契約内容により変動し、公式サイトでは非公開のため問い合わせが必要です。
4. Reforma PSA(株式会社オロ)

大規模向けのZACと同じ株式会社オロが、案件型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化したクラウドERPです。IT業・広告業・制作業など、案件・プロジェクト単位で業務が進む企業を対象としています。
見積書・発注書・請求書・合計請求書の発行に対応し、実行予算の入力と原価の自動計算で、仕掛中の案件でも損益を確認できます。工数登録を前提とした労務費配賦・共通費配賦により、案件別の原価に人件費を反映します。
初期費用は0円、月額費用は30,000円(税抜)からで、利用する機能と人数に応じたライセンス従量制です。導入期間の目安は1〜2か月程度とされ、公式サイトでは料金シミュレーションも利用できます。
5. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

株式会社ビーブレイクシステムズが開発するクラウド型ERPで、システム開発向けの「MA-EYES V ver.」と広告業界に特化した「MA-EYES A ver.」の2つのラインナップがあります。
日々の工数登録から人件費・外注費・経費を案件原価へ反映し、部門別・案件別・顧客別など複数の切り口で損益を可視化します。労務費はマスタに設定した基準時間の単価と作業時間を掛けて算出し、配賦基準には工数・人数・売上高のほか、面積や机の数といったシステム外の情報も設定できます。
料金は公式サイトで非公開のため要問い合わせで、SaaS・SaaS+・一括の3つの提供形態から選べます。公式サイトには30日間の無料トライアルの案内があり、導入前に操作を試せます。
6. SMILE V 2nd Edition Project Director(株式会社OSK)

大塚商会グループの株式会社OSKが開発し、株式会社大塚商会が販売する、サービス業向けのプロジェクト収支管理システムです。案件単位で、見込み発生から受注・発注・仕入・売上・請求・入金・支払までを一元管理します。
案件ポータル画面で進捗と収支を一画面で確認でき、受注残や見込案件を含めた見通しも出力できます。Web画面で入力した工数は案件別に自動集計され、社員別に設定した単価を掛けて案件ごとの労務費を自動更新します。勤怠管理システム「Universal 勤次郎」との連携にも対応します。
料金は公式に料金表がなく、見積もりは問い合わせが必要です。対応業種はソフトウェア・IT、広告・コンテンツ制作、その他サービスで、製品の無料体験版も用意されています。
7. プロジェクト収支管理Rebo(株式会社ディータイド)

広告制作やTV番組・映画制作など、案件単位で企画・制作を行う企業に向けたプロジェクト収支管理ソフトウェアで、提供元は株式会社ディータイドです。案件ごとに売上と仕入・外注費などの原価を紐づけて管理します。
受注金額に対する利益額・利益率を予算と対比でき、月単位の予算実績対比表で予実の差異を確認できます。債権債務管理では、前受金・前払金や仮払・精算、源泉計算から支払調書の出力までを扱い、制作費の支払い実務に対応します。
提供形態はクライアントサーバ型のパッケージで、料金は買い切り型のため非公開です。別途、パッケージ価格の10%にあたる年間サポートへの加入が必要になります。
8. LEEAD(株式会社ETVOX)

株式会社ETVOXが提供する、プロジェクトの収支管理に機能を絞ったクラウドサービスです。クリエイティブ・広告/企画業や士業・コンサルティング業、IT・システム業を対象業種に挙げています。
プロジェクトごとに売上・工数・費用の計画値と実績値を登録し、予算と実績の差異を管理できます。部署横断・顧客別などの切り口でプロジェクトの収益性を分析でき、2025年10月には日単位で実績工数を入力できる工数管理機能が追加されました。
公式サイトによると、累計登録ユーザー数は1,200件、累計登録プロジェクト数は3,500件です(いずれも2025年11月時点・自社調べ)。利用開始後30日間は無料で試せる一方、料金は公式サイトで非公開のため問い合わせが必要です。
出典・参考資料(1件)
9. ADMAN(株式会社サイネット)

広告代理店・広告制作会社に特化したクラウド型の販売管理システムで、株式会社サイネットが提供しています(オンプレミス版も選べます)。1つの案件に複数の売上明細・原価明細を紐づけられる、1対N対N型のデータ構造が特徴です。
物販向けのシステムにはない「媒体」の概念を標準で備え、媒体社・媒体名のマスターで媒体売上と媒体費を管理できます。クリエイティブ部門の作業内容ごとの工数管理で進行中の案件の労務費も把握でき、複数プロジェクトをまたいだ一括請求や分割請求にも対応します。
公式の製品ページでは、初期費用300,000円から、月額費用42,000円からと案内され、利用人数やオプションで変動します。公式サイトには広告業界で150社以上の導入実績との記載があります(時点の表記はありません)。
出典・参考資料(1件)
業種を問わない汎用の案件別原価・工数管理型
工数起点で案件別の人件費・外注費を積み上げ、業種を問わず採算を可視化するタイプの製品です。
10. Lychee Redmine(株式会社アジャイルウェア)

Lychee Redmineは、オープンソースのプロジェクト管理ツール「Redmine」をベースに、ガントチャートやカンバンなどのUIを拡張した有償のプロジェクト管理ツールです。クラウド版とオンプレミス版の両方を提供し、ITだけでなく製造業・自動車関連・金融など業種を問わず導入されています。
プレミアムプラン以上では、工数単価×作業時間で人件費を自動算出するコストマネジメント、見積工数と実績工数を比較するタイムマネジメント、SPI・CPIで進捗とコスト効率を把握するEVM(出来高管理)が使え、案件・プロジェクト単位で原価と収支を可視化できます。経費(交通費・外注費など)も入力でき、予算・収支予測を一覧で確認できます。
料金は1ユーザー月額でフリー0円・スタンダード900円・プレミアム1,400円・ビジネス2,100円(いずれも税別、10ユーザー単位で購入)です。工数・原価・EVM機能はプレミアムプラン(月額1,400円)以上で利用できます。全有料プランに30日間の無料トライアル(クレジットカード登録不要・ユーザー数無制限)があり、導入前に操作を試せます。
11. TimeCrowd(タイムクラウド株式会社)

TimeCrowdは、タスクの開始・停止を打刻して作業時間を記録し、誰が・何に・どれだけ時間を使ったかを可視化する工数管理ツールです。タイムクラウド株式会社が開発・提供し、Web制作・システム開発・士業・コンサルティングなど業種を問わず利用されています。
案件(カテゴリ)やチーム単位でメンバーの時間単価を設定でき、稼働時間×単価で人件費を自動計算して案件ごとの原価を集計します。単価はワークスペース単価とチーム単価の二階層で設定でき、昇給などに備えて将来日付での単価改定を事前登録することもできます。打刻はChrome拡張機能やiOS/Androidアプリにも対応します。
案件ごとの収支・粗利を売上と突き合わせる場合は、board などの請求・案件管理システムと連携し、TimeCrowd側で集計した人件費を案件原価として同期する構成になります。料金は公式サイトで非公開のため要お問い合わせとなり、無料トライアルで打刻や単価設定を試せます。
気になる製品をデモ・資料請求で試す進め方
ここからは、候補を絞った後にデモや資料請求で製品を試すときの進め方を解説します。案件原価管理システムは現場での入力のしやすさが定着を左右するため、資料だけで判断せず、実際に触って確かめるのがおすすめです。
製品によって試し方は異なり、担当者による操作デモの案内、Web上で完結するセルフデモ、無料トライアルやフリープランでの試用などがあります。工数入力を起点とする汎用型では無料トライアルやフリープランで自社の案件を登録して試せる製品が多く、専用型では機能が多いため担当者によるデモで自社の業務に沿った使い方を確認する形が一般的です。
検討の流れは、まず資料請求で機能・料金・導入事例を把握し、候補を2〜3製品に絞ってからデモや無料トライアルで操作性と自社業務への適合を確認し、見積を取って比較する、という順に進めると無理がありません。デモの際は、自社で実際にある案件を例に、前受/分割請求や源泉徴収、工数の原価化といった業界特有の処理が想定どおり扱えるかを確認すると、導入後のギャップを防げます。
気になる製品が絞れたら、資料を取り寄せて機能や料金を詳しく比べ、デモの申し込みに進みましょう。
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まとめ
クリエイティブ業の原価管理では、案件ごとの収支をリアルタイムに把握し、工数と人件費原価を紐づけることが、赤字案件の早期発見と見積精度の向上につながります。汎用の会計・販売管理では扱いにくい業界特有の商習慣に対応できるかも、製品選びの分かれ目です。
製品を選ぶときは、まず広告・制作業の商習慣に合わせた専用型か、工数と原価の可視化に絞った汎用型かで大きく絞り込み、その上で会計連携・工数入力の負荷・導入規模と料金を自社の運用に当てはめて確認します。候補を絞ったら、資料請求で全体像を把握し、デモや無料トライアルで操作性と業務適合を確かめてから導入を判断しましょう。
自社に合う製品の目星がついたら、まずは資料を請求して詳細を比べてみてください。
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よくあるご質問(FAQ)
Q. クリエイティブ業の原価管理(案件原価管理)とは何ですか?
A. クリエイティブ業の原価管理とは、広告・制作の案件ごとに、受注した売上と、外注費・制作スタッフの人件費・経費といった原価を紐づけ、案件単位で収支(採算)を把握する管理手法です。会社全体の損益ではなく「この案件は黒字か赤字か」を進行中から追える点が、通常の会計との違いです。広告代理店・制作プロダクション・デザインや映像、Web制作の会社など、案件ごとに収益と費用が発生するビジネスで用いられます。
Q. クリエイティブ業向け原価管理システムはデモや無料トライアルで試せますか?
A. 製品によりますが、担当者による操作デモ、Web上で完結するセルフデモ、無料トライアルやフリープランでの試用など、いずれかの方法で試せます。工数入力を起点とする汎用型は無料トライアルやフリープランで試せるものが多く、専用型は担当者によるデモで自社業務に沿った使い方を確認する形が一般的です。入力のしやすさが定着を左右するため、実際に操作して確かめるのがおすすめです。
Q. クリエイティブ業向け原価管理システムは会計ソフトや汎用の販売管理システムと何が違いますか?
A. 会計ソフトや汎用の販売管理システムが全社の損益を記録するのに対し、クリエイティブ業向けの原価管理システムは案件(プロジェクト)ごとに売上と原価を割り当て、案件単位の採算や工数の原価化まで扱える点が違います。さらに広告・制作業に特化した製品は、前受・分割請求や源泉徴収、協力会社への発注管理といった業界特有の商習慣に対応し、汎用システムでは残りがちなExcelでの補完作業を減らせます。
Q. クリエイティブ業向け原価管理システムは源泉徴収の計算に対応していますか?
A. 広告・制作業に特化した製品には、個人へ支払う報酬の源泉徴収税額を、案件の支払い実務の中で自動計算・管理できるものがあります。デザインや原稿など個人(フリーランス)への報酬は所得税法上の源泉徴収の対象になり得るため、外注先に個人が多い広告・制作業では、この計算を正しく扱えるかが汎用システムとの違いになります(税率など詳しくは本文「できること」の解説をご覧ください)。
Q. クリエイティブ業向け原価管理システムで制作スタッフの工数(人件費)を案件の原価に紐付けられますか?
A. 多くの製品で、制作スタッフが入力した作業時間に時間単価を掛けて人件費を金額換算し、案件の原価として自動で積み上げられます。人件費が原価の大半を占める制作会社ではとくに重要な機能で、外注費だけでなく社内の制作コストも含めた「本当の原価」で採算を判断できます。ただし単価の設定方法や工数入力の定着は製品差があるため、デモで入力画面の分かりやすさを確かめましょう。
Q. 数名規模の小さな制作会社でもクリエイティブ業向け原価管理システムを導入できますか?
A. はい。フリープランや無料トライアル、1ユーザー月額数百円から使えるユーザー課金型の製品を選べば、数名規模からでも小さく始められます。工数入力を起点に案件別の採算を可視化する汎用型は小規模から試しやすく、全社数百名規模や請求・販売管理まで一体で運用したい場合は、規模や機能に応じた固定費型の専用製品が向きます。自社の導入規模に合わせて料金体系を確認しましょう。
Q. 広告・制作業では専用型と汎用型のどちらを選べばよいですか?
A. 前受・分割請求や源泉徴収、協力会社への発注管理など業界特有の処理が業務の中心なら専用型、請求や会計は既存ソフトで足りていて工数と人件費原価の可視化が目的なら汎用型が向きます。請求・販売管理までシステム側で完結させたい場合も専用型が選択肢になります。自社の課題が「請求・販売管理まで含めた業界対応」なのか「工数と原価の可視化」なのかで、まず型を絞り込むと候補を選びやすくなります。
Q. クリエイティブ業向け原価管理システムの料金はどのくらいですか?
A. 料金は体系によって幅があり、1ユーザー月額数百円からのユーザー課金型、初期費用0〜30万円程度・月額3万円前後からの月額型、買い切りや要見積りの製品に大きく分かれます。工数管理から始める汎用型は低コスト、業界対応の専用型やERPは高めになる傾向で、料金を非公開(要問い合わせ)とする製品も少なくありません。正確な金額は見積もりや資料請求で確認するのが確実です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















