バックオフィスの定型業務に人手を取られ、コア業務に手が回らない。SaaSを導入しても運用する担当者がいない。かといって丸ごと外注するBPOでは、業務の中身が見えなくなるのではないか。こうした悩みの解決策として、近年「BPaaS(ビーパース)」で業務を代行する選択肢が広がっています。
ただ、いざ調べてみると、経理・給与計算・労務・採用・情シス・カスタマーサポートと、BPaaS代行を手がける会社は業務領域ごとに分かれているのが実情です。「自社のこの業務は、そもそもBPaaSで代行してもらえるのか」「頼むとしたらどこに、いくらで頼めるのか」が掴みにくいという声は少なくありません。
本記事では、BPaaS代行で任せられる業務を領域別に整理し、どんな型の会社に頼めるのかを一覧でまとめます。そのうえでBPO・SaaSとの違い、料金体系と相場、代行会社の選び方、利用時の注意点を解説し、最後に給与計算・経理をBPaaS型で任せられる具体的なサービスを紹介します。
目次
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BPaaS代行とは?BPO・SaaSとの違い
はじめに、BPaaS代行とは何か、そして混同しやすいBPO・SaaSとどう違うのかを結論から押さえます。この違いが、後半で各業務を「誰に頼めるか」を判断するときの土台になります。

BPaaS代行とは、システムと業務運用を一体で任せる外注の形
BPaaS(Business Process as a Service/ビジネスプロセス・アズ・ア・サービス)とは、クラウド上のシステムと、そのシステムを使った実際の業務運用をセットで外部に委託できる仕組みです。給与計算ソフトや会計ソフトといったSaaSを「道具」として提供するだけでなく、その道具を使って記帳や給与計算といった実務そのものまで代行する点が特徴になります。
委託した業務のデータがクラウド上に蓄積されるため、外注しながらも進捗や中身を自社で確認しやすい点が、従来の外注と異なります。経理や労務などのノンコア業務を、システムと運用がひとまとまりになった形で任せられるのがBPaaS代行です。
BPOとの違いは、共通のクラウド上で業務が見える点
BPO(Business Process Outsourcing/業務プロセスの外部委託)は、人による業務代行が中心で、委託先が自社とは別のシステムやExcelで作業するケースが一般的です。そのため、やり取りはメールや書類が中心になり、作業の過程が自社から見えにくくなりがちでした。
BPaaSでは、委託先と自社が共通のクラウドシステムを使って業務を進めます。データを転送し合う必要がなく、同じ画面で進捗を確認できるため、「丸投げして中が見えない」という不安が起きにくくなります。業務フローが標準化され、将来的に外注から内製へ戻しやすい点も、BPOと分けて語られる理由です。
SaaSとの違いは、運用まで任せられる点
SaaS(Software as a Service)は、クラウド経由で利用するソフトウェアそのものを指します。給与計算ソフトや会計ソフトを導入しても、実際に数字を入力し、締め処理を行い、例外対応を判断するのは自社の担当者です。
BPaaSは、このSaaSを業務プロセスに組み込んだ上で、運用まで外部に委託できる点が異なります。「ソフトは入れたものの、使いこなす人手が足りない」「設定や運用でつまずいている」という状況で、システムの導入支援から日々の実務までをまとめて任せられるのがBPaaS代行です。
BPaaS・BPO・SaaSの境界は実務上はっきり分かれているわけではなく、同じサービスが「BPO」や「経理代行」などと呼ばれることもあります。本記事では、クラウドのシステムと運用をセットで任せられるものを広くBPaaS型として扱います。
BPaaS代行で任せられる業務と頼める提供会社
ここからは、BPaaS代行で任せられる業務を領域別に整理し、それぞれどんな型の会社に頼めるのかを一覧にまとめます。まず全体像を次の表で掴んでください。BPaaS代行は1社ですべての業務を引き受けるのではなく、経理なら経理、採用なら採用と、業務領域ごとに得意な会社が分かれているのが実態です。
| 業務領域 | 任せられる主なタスク | 対応する提供会社の型(サービス例) |
|---|---|---|
| 経理 | 記帳・仕訳、請求書発行、売掛金管理、振込・支払、経費精算、月次決算 | 経理BPaaS・経理BPO(Wheat Accounting、マネーフォワード おまかせ経理 など) |
| 給与計算・年末調整 | 月次給与計算、賞与計算、年末調整、住民税更新、給与明細の配付 | 給与・労務BPaaS(freee人事労務アウトソース、Chatwork労務アシスタント など) |
| 労務手続き | 入退社手続き、社会保険・労働保険の届出、勤怠管理、従業員からの問い合わせ対応 | 人事・労務BPaaS(ラクラス、Chatwork労務アシスタント+顧問社労士 など) |
| 採用 | 母集団形成、応募者・選考管理、採用管理システム(ATS)の運用、スカウト配信代行 | 採用特化BPaaS(採用一括かんりくんBPaaS など) |
| 情シス(社内IT) | アカウントの発行・削除・更新、シャドーITの棚卸し、PCキッティング | 情シス代行BPaaS(applog BPaaS など) |
| カスタマーサポート | 問い合わせ対応、コールセンター運営、チャットボット・FAQの運用 | CS・コンタクトセンターBPaaS(アディッシュ など) |
表のとおり、同じ「BPaaS代行」でも対応する会社は業務領域ごとに分かれます。以下では各領域で任せられる業務を具体的に見ていきます。具体的なサービスの比較と料金は、企業の管理部門から特に相談の多い給与計算・経理の領域を中心に後半で紹介します。
経理
経理のBPaaS代行では、日々の記帳・仕訳作成、請求書の発行、売掛金の管理、振込・支払対応、経費精算、月次決算までを任せられます。クラウド会計ソフトを基盤に、記帳の実務から月次の数字がまとまるまでを継続的に代行してもらう形です。
ただし、決算申告などの税務業務は税理士の領域となるため、BPaaS側では対象外とし、連携する税理士を紹介する形をとるサービスが一般的です。税理士でない者が税務代理や税務書類の作成などの税務業務を行うことは、税理士法で制限されています。
経理の実務運用と税務申告は担い手が分かれる点を理解しておくと、委託範囲を見極めやすくなります。
出典・参考資料(1件)
給与計算・年末調整
給与計算のBPaaS代行では、毎月の給与計算や賞与計算、年末調整、住民税の更新、給与明細の配付までを委託できます。人事労務のクラウドシステム上で勤怠データと連携し、計算から明細の配信までを一気通貫で任せられるサービスが中心です。
給与計算に付随する入社・退社の手続きや、社会保険の届出まで一緒に受けるサービスもありますが、対応範囲はサービスごとに差があります。社会保険・労働保険の申請書等の作成や提出代行は、社会保険労務士(社労士)でない者が報酬を得て業として行うことを社会保険労務士法が制限しています。
そのため、自社で行う範囲と顧問社労士が担う範囲も含めて、委託前に確認しておくと安心です。
出典・参考資料(1件)
労務手続き
労務のBPaaS代行では、入社・退社に伴う手続き、社会保険・労働保険の各種届出、勤怠管理、従業員からの問い合わせ対応などを任せられます。人事データベースと勤怠管理をクラウドで一元化し、そのうえで手続きの実務を代行する形が典型です。
社会保険の資格取得・喪失届や算定基礎届といった行政への提出は社労士の独占業務にあたるため、BPaaS側は書類作成の補助や顧問社労士との連携を担い、提出そのものは社労士が行うという役割分担をとるサービスが少なくありません。どこまでを代行会社が担い、どこからが社労士の領域かは、サービスごとに確認が必要です。
採用
採用のBPaaS代行では、採用管理システム(ATS)の設定・運用を前提に、母集団形成(応募者を集めること)、応募者・選考の管理、スカウト配信、面接日程の調整といった採用業務をまとめて委託できます。採用に特化した専門の担当者が、システムの設計から日々の運用まで並走する形です。
採用は繁忙期と閑散期で業務量の波が大きいため、専任者を抱えずに必要な時期だけ運用を任せたい、という需要と相性のよい領域です。
情シス(社内IT)
情シスのBPaaS代行では、入退社に伴うアカウントの発行・削除・更新、利用中のSaaSの棚卸し(会社が把握しないまま使われているシャドーITの把握)、PCのキッティング(新しいPCの初期設定)といった社内IT運用を委託できます。SaaS管理ツールを基盤に、アカウント運用やIT資産管理を代行してもらう形です。
専任の情シス担当を置きにくい中小企業でも、ノンコアになりがちなIT運用を必要な分だけ外部に任せられるのが、この領域のBPaaS代行の利点です。
カスタマーサポート
カスタマーサポートのBPaaS代行では、電話・メール・チャットでの問い合わせ対応、コールセンターの運営、チャットボットやFAQの運用までを任せられます。ヘルプデスクのシステムと運用スタッフをセットで提供し、問い合わせ対応を標準化する形です。
問い合わせ件数の増減に合わせて対応体制を調整しやすく、各地に分散した窓口を段階的に集約していく使い方もできます。
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BPaaS代行の料金体系と相場
ここからは、気になる料金について解説します。BPaaS代行の料金は業務領域やサービスによって幅がありますが、課金の仕組みを押さえると、自社の費用感を見積もりやすくなります。
課金方式は従量・定額・従業員数ベースが中心
BPaaS代行の課金方式は、大きく分けて次の3つです。どの方式が自社に合うかは、業務量が安定しているか、季節によって変動するかで変わります。
- 従量課金型:処理した件数や作業量に応じて料金が変わる方式。請求書処理などは「処理枚数いくら」といった従量で設定されることが多くあります。
- 定額(月額)型:利用量にかかわらず毎月一定額を支払う方式。業務量が安定している場合に予算を立てやすい形です。
- 従業員数ベースの月額型:人事・給与の領域で多い方式で、対象となる従業員数に応じて月額が決まります。基本料金に一定人数分を含み、超過分を1人あたり単価で加算する形もあります。
基本料金に従量部分を組み合わせた併用型もあります。賞与計算や年末調整のように特定の月だけ業務が増える作業は、オプションや従量で加算されるケースが一般的です。
領域別の料金の目安
2026年10月時点で公開されている料金の目安を領域別に挙げると、次のような水準です。いずれも業務範囲や従業員数、契約期間で変動するため、正確な金額は各社の見積もりで確認する前提の参考値です。
- 経理:記帳中心の小規模向けプランで月額30,000円程度から。記帳から支払・給与・月次決算まで経理業務を丸ごと任せる場合は、従業員5名規模で月額10万円といった事例も公開されており、任せる業務範囲で金額が変わります。
- 給与・労務:従業員数に応じた月額が中心。たとえば基本料金に50名分を含み月額95,000円、追加1名あたり月1,900円(税抜)という公開料金や、給与計算のみで月6万円程度から(従業員50名規模)という目安があります。
- 採用:月額15万円程度から(半年契約から)のサービスがあります。
- 情シス:必要な作業分だけ依頼する形で、月額2万円程度からという例があります。
大企業向けに特化したサービスや、業務範囲を柔軟に組み合わせるサービスでは、委託する業務範囲と対象人数の組み合わせで金額が大きく変わるため、料金を公開せず個別見積もりとしている場合も多くあります。カスタマーサポートや労務を単体で任せる場合の相場も公開が少なく、要問い合わせが中心です。実額は、委託したい業務範囲と対象人数を伝えたうえで見積もりを取り、比較するのが確実です。
BPaaS代行会社の選び方
ここからは、候補を数社に絞り込むための選び方を解説します。BPaaS代行は長く付き合うパートナーになるため、料金だけでなく次の観点で見比べると、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。
任せたい業務範囲に対応しているか
最初に確認したいのは、自社が任せたい業務にそのサービスが対応しているかです。同じ「給与・労務」でも、給与計算までか、社会保険の届出や年末調整まで含むかはサービスで異なります。単に作業を代行するだけか、業務フローの改善提案まで踏み込むかも、見積もり時に確認しておきたい点です。
業務量の増減に対応できるか
事業の成長で取引件数や従業員が増えたとき、同じ委託先で業務量の増加に対応してもらえるかも重要です。繁忙期の一時的な増加や、拠点拡大に伴う業務量の変化に、どこまで柔軟に応じられるかを確認しておくと、委託先を頻繁に変えずに済みます。
同じ業務の支援実績があるか
見直したい業務プロセスについて、同業種・同規模での支援実績があるかも見極めのポイントです。実績のある領域であれば、よくあるつまずきや改善の勘所を押さえた提案を受けやすく、立ち上げもスムーズになります。
中長期で付き合える事業規模か
BPaaS代行は一度任せると業務の基盤になるため、委託先が中長期で安定して支援できる体制かも見ておきたい点です。担当者が変わっても業務が止まらないチーム体制か、自社の規模感に合った対応力があるかも確認しておきたい点です。大企業向けに特化したサービスを小規模な会社が選ぶと、料金や運用が合わないこともあるため、想定する対象規模が自社と合うかも重要です。
セキュリティ体制は十分か
給与や経理の委託では、従業員や取引先の個人情報・機密情報を委託先に開示します。個人情報の取り扱い規定や管理実績、第三者認証(ISO/IEC 27001など)の有無を、委託前に確認しておくと安心です。
料金体系が自社に合っているか
最後に、料金体系が自社の業務量に合うかも見極めのポイントです。業務量が安定しているなら定額型、月によって波があるなら従量を組み合わせた形が合いやすいなど、課金方式と自社の実態が噛み合うかが判断材料になります。予算内に収まるかだけでなく、何が基本料金に含まれ、何が追加料金になるかまで見積もりで確かめておくと安心です。
BPaaS代行を利用する際の注意点
選び方と合わせて、実際に任せた後に起こりがちな点も押さえておきましょう。ここでは、利用を始めてから気づきやすい注意点を4つ挙げます。
情報漏洩・個人情報の取り扱い
給与や経理の委託では機密情報を外部に預けるため、情報漏洩のリスクをゼロにはできません。選び方で触れたセキュリティ体制の確認に加えて、過去に情報漏洩事故を起こしていないか、情報漏洩に備えた保険に加入しているか、事故が起きた際の責任範囲が契約でどう定められているかまで、契約前に取り決めておくと安心です。
契約終了後のシステム・データの扱い
BPaaS代行では、委託先が指定するSaaSを使うことがあります。この場合、契約が終了した後にそのSaaSを引き続き使えるか、蓄積したデータをどう引き取れるかは、事前の取り決めによって変わります。特定の委託先から抜けにくくなる状態(ベンダーロックイン)を避けるため、他社へ移行できる形式でデータを受け取れるか、解約後のデータの扱いはどうなるかを、契約前に確認しておくことが大切です。
対応範囲・カスタマイズの限界
BPaaS代行は、標準化された業務プロセスを前提に提供されるため、自社だけの特殊な運用やこまかな要望のすべてに応えてもらえるとは限りません。自社で全工程を回す場合に比べて柔軟性が下がることもあるため、どこまでカスタマイズに対応できるかを事前に確認しておくことが大切です。
トラブル時の対応とSLA
クラウドシステムを使う以上、障害が起きると復旧まで業務が止まる可能性があります。障害時の対応手順や、品質・復旧の水準を定めたSLA(サービス品質保証)が用意されているか、責任範囲がどこまでかを事前に取り決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。
給与計算・経理をBPaaS型で任せられるサービス
ここからは、企業の管理部門から相談の多い給与計算・経理の領域で、BPaaS型(クラウドシステム+運用を一体で受託)で業務を任せられる具体的なサービスを紹介します。まずは各サービスの対応業務と料金体系を次の表で見比べてください。
| サービス名 | Wheat Accounting | マネーフォワード おまかせ経理 | freee人事労務アウトソース | ラクラス | Chatwork労務アシスタント |
|---|---|---|---|---|---|
| 主な対応業務 | 記帳・請求書発行・経費精算・振込対応・給与計算・月次決算 (賞与計算・年末調整はオプション/社会保険は社労士、税務申告は税理士と連携) | 記帳・請求・支払・給与計算・賞与計算・月次試算表(最短5営業日)・クラウド導入支援 (税務申告は対象外で税理士を紹介/年末調整・社会保険手続きは公式記載なし) | 月次給与計算・賞与計算・年末調整・住民税更新・入退社手続き・身上変更 (社会保険手続き・振込データ作成は公式記載なし/要問い合わせ) | 給与計算・社会保険手続き・年末調整・入退社手続き・勤怠管理 (経理業務は対象外/社労士・税理士の独占業務は提携先が別契約で対応) | 給与・賞与計算・勤怠締め・年末調整の補助・入退社/休職復職手続き・従業員問い合わせ対応 (社会保険の提出代行など社労士の独占業務は顧問社労士が担当) |
| 料金の目安 | 月額30,000円〜(定額プラン) | 個別見積もり (例: 従業員5名規模で月10万円・税抜) | 月額95,000円〜(50名分込み) 追加1名あたり月1,900円(税抜) | 個別見積もり(非公開) | 月額3.8万円〜(チケット制・税抜) 給与計算のみは月6万円〜(従業員50名規模) |
| 対応規模・特徴 | 法人向け(スタートアップ・中小)/全国オンライン対応 クラウド会計の導入から実務運用まで一気通貫で代行 | 中小企業(導入事例は1〜50名規模) マネーフォワード クラウドを基盤に、実務はグループ会社が担当 | 対応規模は公式に明示なし freee人事労務上に情報が蓄積され、外注から内製へ移行しやすい。顧問社労士と連携可 | 従業員1,000名以上の大企業が中心 自社システム「Tokiwagi」+業務代行の人事BPaaS | 中小〜大企業(事例は1〜50名〜3,500名超) Chatwork上で完結し、主要な人事労務クラウドと連携 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※料金・対応業務は2026年10月時点の各社公式情報による
1. Wheat Accounting(株式会社Wheat)

Wheat Accountingは、スタートアップ・中小企業向けの経理アウトソーシングサービスです。記帳・仕訳作成、請求書作成、売掛金管理、経費精算、振込対応、給与計算、月次決算までを月次の継続業務として代行します。クラウド会計の導入と業務フローの再設計を初期に行い、その後の実務運用まで一気通貫で担うのが特徴です。
依頼側が行うのは「データを決まった場所に格納する」ことと「アウトプットを確認する」ことの2点に絞り込まれており、経営者や担当者がコア業務に集中しやすい設計です。税務申告は連携する税理士、社会保険・労働保険の代理申請は連携する社労士が担う体制で、賞与計算・年末調整はオプションとして対応します。料金は月額30,000円からの定額プランが基本で、全国にオンラインで対応しています。
業務フローをゼロから組み直すBPaaS型の代行が、実際にどの程度のコストや工数の削減につながるのか。代表取締役の佃誠吾氏は、独自インタビューで次のような事例を挙げています。

コスト面で大きく効果が出た事例としては、売上高3億円規模のお客様で、従来、派遣社員3名体制で月額約80万円を要していたバックオフィス業務を当社が引き継ぎました。業務フローをゼロベースで見直した結果、月額20万円以下での運用を可能にし、約75%のコスト削減に成功。単なるコストダウンに留まらず、アウトプットの品質改善も同時に果たした好例です。
業務効率化の事例としては、従業員100名規模のお客様で、Excelを用いた手作業で、完了までに1週間を要していた給与計算業務の事例です。システムの最適化と人員配置の再設計を徹底した結果、2〜3日での完了を実現。コスト・工数ともに50%以上の削減に繋がりました。これは個人のスキルに頼るのではなく、業務プロセスを正しく組み立て直したことによる成果です。
2. マネーフォワード おまかせ経理(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード おまかせ経理は、中小企業の経理業務をオンラインで委託できる経理アウトソーシングサービスです。「マネーフォワード クラウド」の会計・請求書・経費・給与などを共通基盤に、導入支援から記帳・支払・請求・給与計算といった実務の代行、業務フローの設計までを一括で提供します。
使い慣れたクラウド上で運用まで任せられるBPaaS型で、経理代行の実務はグループ会社で経理BPOを手がける株式会社キャシュモが担う体制です。
決算申告などの税務業務はサービス対象外で、必要な場合はマネーフォワード公認メンバーの税理士を紹介する形をとります。料金は業務内容・業務量に応じた個別見積もりで、公式には従業員5名規模で経理業務を丸ごと委託した場合の月額10万円(税抜)という試算が示されています。使い慣れたマネーフォワード クラウドを基盤に経理を任せたい企業に向いたサービスです。
3. freee人事労務アウトソース(フリー株式会社)

freee人事労務アウトソースは、クラウド人事労務ソフト「freee人事労務」の上で、給与計算や労務業務を代行するシステムと代行の一体型サービスです。月次給与計算・賞与計算、年末調整関連業務、住民税の更新、入退社手続きのサポート、身上変更手続き、従業員からの問い合わせ対応などを受託します。
アウトソースした情報がfreee人事労務上に蓄積されるため、企業の成長に合わせて外注から内製へ移行しやすい設計になっています。既存の顧問社労士とはクラウド上で書類を共有しながら連携でき、パートナーがいない場合はfreeeから紹介も可能です。
ただし、社会保険手続き(資格取得・喪失などの届出)や振込データ作成は公式ページに明記がないため、対応範囲は見積もり時に確認してください。料金は、月額95,000円(50名分の利用料を含む)に、追加1名あたり月1,900円(税抜)という公開料金が案内されています。
4. ラクラス(ラクラス株式会社)

ラクラスは、人事労務のクラウドシステムと業務代行をセットで提供する人事BPaaSです。自社開発の人事管理システム「Tokiwagi(常盤木)」を基盤に、給与計算、社会保険手続き、年末調整、入退社手続き、勤怠管理までを横断的に代行します。年末調整では控除証明書の受領・チェック業務まで含めて任せられます。
総合人材サービスのパーソルグループに属し、公式サイトでは「従業員1,000名以上の企業様に数多く導入いただいています」とうたう、大企業向けに特化したポジショニングが特徴です。そのため、小規模な企業では規模感が合わないこともあります。料金は従業員数や利用機能に応じた個別見積もりで、公開の価格表はありません。労務業務をシステムと運用でまるごと委託したい大企業に向いたサービスです。
5. Chatwork労務アシスタント(株式会社kubellパートナー)

Chatwork労務アシスタントは、労務部門の定常業務から専門手続きまでを一括で代行する労務業務代行サービスです。給与・賞与計算、勤怠データの集計・締め、年末調整の補助作業、入社・退社・休職復職に伴う手続き、従業員からの問い合わせ対応までを、ビジネスチャット「Chatwork」上でやり取りしながら任せられます。
社会保険の届出といった社労士の独占業務にあたる部分は受託対象外で、顧問社労士との連絡・連携をChatwork上で一元化してサポートする役割分担です。freee人事労務やマネーフォワード クラウド給与、SmartHRなど主要な人事労務クラウドとの連携にも対応します。
料金は契約期間(3・6・12ヶ月)を選べるチケット制で、12ヶ月プランは月額3.8万円から、給与計算のみの場合は従業員50名規模で月6万円からが目安です。契約時間の未使用分を翌月に繰り越せる点も特徴です。
まとめ
BPaaS代行は、クラウドシステムと業務運用を一体で任せられる外注の形で、経理・給与計算・労務・採用・情シス・カスタマーサポートと、業務領域ごとに得意な会社が分かれています。丸投げのBPOと違って共通のクラウド上で業務が見え、SaaS単体と違って運用まで任せられる点が、BPaaSが選ばれる理由です。
自社のどの業務を任せたいかを起点に、対応範囲・業務量への対応力・実績・セキュリティ・料金体系を見比べ、情報の取り扱いや契約終了後のデータの扱いといった注意点も確認したうえで、候補を数社に絞って見積もりを取るのが失敗しない進め方です。給与計算・経理の領域なら、本記事で紹介したBPaaS型のサービスから比較を始めてみてください。
給与計算そのものの委託先を、BPaaS型に限らず広く比べたい場合は、委託できる業務範囲・料金体系・規模別の選び方まで整理した次の記事が参考になります。
経理を任せたい場合は、BPaaS型に加えて記帳代行やBPOも含めた経理アウトソーシングを、委託できる業務範囲やタイプ別の選び方で比較した次の記事が役立ちます。
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よくある質問(FAQ)
Q. BPaaS(ビーパース)とは何ですか?
A. BPaaS(ビーパース/Business Process as a Service)とは、クラウド上のシステムと、そのシステムを使った実際の業務運用をセットで外部に委託できる仕組みです。給与計算ソフトや会計ソフトといったSaaSを道具として提供するだけでなく、その道具を使った記帳や給与計算などの実務そのものまで任せられる点が特徴です。
経理・給与計算・労務・採用・情シス・カスタマーサポートなど、業務領域ごとに得意な会社が分かれており、任せたい業務に合わせて提供会社を選びます。
Q. BPaaS代行とBPOの違いは何ですか?
A. BPaaS代行とBPOの違いは、委託先と自社が共通のクラウドシステム上で業務を進め、進捗や中身を自社から確認できる点です。BPOは人による業務代行が中心で、委託先が別のシステムやExcelで作業するため過程が見えにくくなりがちでした。
BPaaSはデータが共通のクラウドに蓄積されるため「丸投げして中が見えない」という不安が起きにくく、業務フローが標準化されて将来の内製化に戻しやすい点も、BPOと分けて語られる理由です。
Q. BPaaS代行に社会保険の手続きまで任せられますか?
A. 社会保険の資格取得・喪失届や算定基礎届などの行政への提出は、社会保険労務士(社労士)の独占業務にあたるため、BPaaS代行会社が代わりに提出することはできません。多くのサービスでは、BPaaS側が書類作成の補助や顧問社労士とのクラウド上の連携を担い、提出そのものは社労士が行うという役割分担をとります。
どこまでを代行会社が担い、どこからが社労士の領域になるかはサービスごとに差があるため、委託前に確認しておくと安心です。
出典・参考資料(1件)
Q. 属人化している業務が多くてもBPaaS代行は利用できますか?
A. BPaaS代行は、属人化している業務が多くても利用でき、相談の時点で業務が整理・可視化されている必要はありません。業務の棚卸しや可視化そのものから支援を受けられるサービスが多く、担当者に依存した業務を標準化された外部運用へ移すことで、退職による業務継続リスクを下げられます。現状がうまく整理できていない段階でも、まず相談してみる価値があります。
Q. 各地に分散した業務をBPaaS代行で集約できますか?
A. BPaaS代行では、拠点ごとに分散した業務を、段階的に一つの運用へ集約できる場合があります。たとえばカスタマーサポートでは、各地に分かれた問い合わせ窓口を段階的に一本化していく使い方ができます。どの範囲をどのくらいの期間で集約できるかはサービスや業務量によって変わるため、現状の体制を伝えたうえで進め方を相談するのが確実です。
Q. BPaaS代行を導入するとどのような効果が期待できますか?
A. BPaaS代行を導入すると、ノンコア業務の効率化、業務のブラックボックス化の解消、退職による業務継続リスクの低減、代行会社のノウハウ活用といった効果が期待できます。定型のバックオフィス業務を標準化された外部運用に移すことで、自社の担当者はコア業務に集中しやすくなります。委託先と共通のクラウド上で業務が見えるため、外注しながらも進捗や中身を把握できる点も、従来の外注にはない効果です。
Q. 中小企業や小規模な会社でもBPaaS代行を利用できますか?
A. BPaaS代行は、中小企業や小規模な会社でも利用できますが、サービスごとに想定する対象規模が異なる点に注意が必要です。月額3万円程度から始められる小規模向けのサービスがある一方、従業員1,000名以上の大企業に特化したサービスもあり、規模が合わないと料金や運用がかみ合わないことがあります。
専任のバックオフィス人材を置きにくい中小企業ほど、必要な業務を必要な分だけ任せられるBPaaS代行の利点が活きるため、自社の規模に合った対象企業のサービスを選ぶことが大切です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















