受発注業務をFAX・電話・Excelから専用のシステムへ移したいものの、既製のサービスでは自社の商習慣に合わず、「作る」しかなさそうだと感じていませんか。
受発注システムを外注で開発する場合、気になるのは「結局いくらかかるのか」「どう進めればよいのか」という点でしょう。費用は依頼先の種類と要件の複雑さで大きく変わるため、相場観と進め方の両方を先に押さえておくことが大切です。
本記事では、受発注システムの外注にかかる費用の目安と費用が決まる仕組み、外注する3つの方法、具体的な進め方、内製との比較、失敗しない依頼先の選び方を整理します。ゼロから開発を外注する以外に、受発注パッケージをカスタマイズして個社仕様に寄せる選択肢も含めて解説します。
自社の受発注業務をどの方法で・どこに任せるのが合うのか、判断の材料として読み進めてください。
目次
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受発注システムの外注にかかる費用の目安と、費用が決まる仕組み
はじめに、多くの担当者が最初に知りたい費用について解説します。受発注システムの外注費用に定価はなく、必要な人月(工数)と人月単価の掛け算で総額が決まります。要件の複雑さと依頼先の種類によって、金額は大きく変動します。
人月単価は職種やスキルで変わり、開発業界各社が公表する目安では、プログラマーで月60〜90万円、システムエンジニアで月90〜130万円、プロジェクトを統括する担当者では月120〜200万円程度とされます。上流の工程を担うほど単価は上がります。
受発注システムの場合、総額を左右するのは主に次の要素です。取引先ごとの価格・掛け率の管理、基幹システム(販売管理・会計)との連携、独自帳票の再現、取り扱う商品点数や取引件数の規模などで、個社対応の範囲が広がるほど人月が増え、費用も上がります。
具体的な金額は依頼先の種類で大きく異なります。フリーランスへの小規模な委託なら数十万円から、開発会社にゼロから設計を依頼するスクラッチ開発なら数百万円以上、要件が多ければ数千万円規模になることもあります。
総額は、機能ごとに必要な人月を積み上げ、それぞれに人月単価を掛けて合算して決まります。たとえば要件定義2人月・設計3人月・実装8人月・テスト3人月で合計16人月、人月単価を100万円とすると、おおよそ1,600万円という計算になります。
受発注システムに特化した公的な費用統計は公表されていないため、金額はあくまで一般的なシステム開発をもとにした目安です。見積もりの内訳は要件によって変わるため、複数社から相見積もりを取り、何にいくらかかるのかを具体的に確認するのが近道です。
出典・参考:
出典・参考資料(1件)
受発注システムを外注する3つの方法
ここからは、受発注システムの開発を外部に任せる方法を3つに分けて解説します。「開発会社へのスクラッチ開発」「フリーランスへの委託」「受発注パッケージのカスタマイズ」で、費用・期間・自由度・向いている企業が異なります。
| 費用の目安 | 開発期間の目安 | カスタマイズの自由度 | 運用・保守 | 向いている企業 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 開発会社にスクラッチ開発を依頼 | 数百万円〜(要件が多いと数千万円規模) | 数ヶ月〜1年以上 | 高い(ゼロから設計できる) | 保守契約を別途結ぶ | 独自の商流が複雑で、既製品では合わない企業 |
| フリーランス・クラウドソーシングに委託 | 数十万円〜 | 数週間〜数ヶ月 | 担当者の体制・スキルに依存 | 属人化しやすく継続性に注意 | 小規模・一部機能から安く試したい企業 |
| 受発注パッケージをカスタマイズ | パッケージ費用+個別対応費(数百万円規模が目安) | 数週間〜数ヶ月 | 標準機能+個別対応の範囲で中〜高 | 提供元の保守・アップデートを受けられる | 標準機能で大半をカバーでき、基幹連携など一部を個社対応したい企業 |
各方法の費用・期間は依頼先や要件により変動します。目安としてご覧ください。
開発会社にスクラッチ・ハーフスクラッチで依頼する
要件をゼロから設計し、自社専用のシステムを作り込む方法です。取引先ごとの複雑な価格体系や独自の業務フローを細部まで再現でき、自由度が最も高い反面、費用は数百万円以上、開発期間も数ヶ月から1年以上かかる傾向があります。
すべてをゼロから作る「フルスクラッチ」に対し、既存のフレームワークや部品を活用して開発範囲を絞る「ハーフスクラッチ」なら、費用と期間を抑えつつ個社対応の自由度も確保できます。既製品ではどうしても合わない独自の商習慣を抱える企業に向いた方法です。
フリーランス・クラウドソーシングに委託する
クラウドソーシングやマッチングサービスを通じて、個人の開発者に委託する方法です。開発会社に比べて費用を抑えやすく、小規模な機能や一部の作り込みから着手できます。受発注システムの開発案件を扱うプラットフォームも複数あります。
一方で、担当者個人のスキルや稼働状況に成果が左右されやすく、開発後の保守が属人化して引き継ぎに困るリスクもあります。要件が明確で範囲の限られた開発や、まず小さく試したい段階に適した方法といえます。
ただし、取引先ごとの価格管理や基幹システム連携を伴う複雑な受発注システムでは、フリーランス単独での開発は難しいことが多く、開発会社への依頼やパッケージのカスタマイズの方が現実的です。
受発注パッケージをカスタマイズして個社仕様に寄せる
受発注業務向けのパッケージ製品を土台に、自社に必要な部分だけをカスタマイズする方法です。標準機能で受発注の大半をカバーしつつ、取引先ごとの価格管理や基幹システム連携といった個社固有の要件を個別対応で追加します。ゼロから作らない分、スクラッチより費用と期間を抑えやすいのが利点です。
「既製のSaaSでは自社の商流に合わないが、フルスクラッチまでは必要ない」という場合に現実的な選択肢になります。本記事の後半で、この方法に対応したサービスを具体的に紹介します。
受発注システムの外注を進める手順
続いて、外注を実際に進める手順を工程順に解説します。各工程で発注者が何を決め、何を確認すべきかを押さえておくと、開発会社とのやり取りがスムーズになり、見積もりのブレも抑えられます。全体の流れは次のとおりです。

現状の受発注業務を整理する
最初に、いまの受発注業務を棚卸しします。受注チャネル(FAX・電話・メール・既存EDIなど)、取引先ごとの価格や掛け率、使っている帳票、処理の流れを洗い出し、どこに課題があるのかを明確にしておきましょう。この整理が、後の要件定義と見積もりの土台になります。
要件定義とRFP(提案依頼書)で作る範囲を決める
システムに求める機能と、標準化できる部分・個別対応が必要な部分を切り分けましょう。整理した内容をRFP(提案依頼書)としてまとめ、複数の開発会社に同じ条件で提示できるようにすると、提案と見積もりを公平に比べられます。ここで範囲が曖昧なまま進めると、後の追加費用の原因になります。
相見積もりを同じ条件で比較する
複数社から見積もりを取り、金額だけでなく対象範囲・前提条件・後回しにする機能・運用保守の範囲をそろえて比較しましょう。安さだけで選ぶと、含まれていない作業が後から追加費用として発生することがあります。見積もりに何が含まれ、何が別費用かを必ず確認しましょう。
契約形態(請負・準委任)を選ぶ
仕様が固まっている開発は成果物に責任を持つ「請負契約」、要件を固めながら進める段階は稼働に対して支払う「準委任契約」が適します。要件が流動的な部分は準委任、確定した部分は請負と、工程によって使い分ける進め方もあります。契約形態は責任範囲と費用の発生の仕方に直結するため、着手前に確認しておきましょう。
開発・テストから検収・運用保守へ引き継ぐ
開発が始まったら、各工程の成果物と進捗を定期的に確認しましょう。影響の大きい機能から段階的に開発・移行し、繁忙期を避けて切り替えると安全です。納品時には受け入れテスト(検収)で要件どおりに動くかを自社でも確かめ、稼働後の保守・改修の体制まで取り決めておくことが重要です。
受発注システムは外注すべきか、内製すべきか
ここでは、外注と内製のどちらが自社に合うかを判断するための軸を整理します。それぞれにメリットとデメリットがあり、社内の体制や求めるスピードによって適した選択は変わります。
| 初期費用 | 立ち上げまでの期間 | 必要な人材 | ノウハウの蓄積 | 向いているケース | |
|---|---|---|---|---|---|
| 外注 | 数十万〜数百万円以上(依頼先・要件による) | 要件が固まれば数週間〜数ヶ月で着手できる | 社内にエンジニアは不要(要件を伝える担当者は必要) | 社内に残りにくい | 開発人材がいない・短期間で立ち上げたい |
| 内製 | 採用・教育のコストが中心。すでに人材がいれば抑えられる場合も | 人材の確保・育成から始めると長期化しやすい | 設計・開発・保守を担うエンジニアの確保が前提 | 社内に蓄積され、継続的な改善がしやすい | 継続的に自社で改善したい・開発チームを育てたい |
費用・期間は体制や要件により変動します。目安としてご覧ください。
外注のメリットとデメリット
外注の最大のメリットは、専門的な技術と開発体制をすぐに活用でき、社内の人材を本業に集中させられる点です。自社にエンジニアがいなくても、要件さえ固めればシステムを形にできます。納期の管理やリスク対応も開発会社に委ねられます。
一方で、初期費用がまとまってかかり、仕様変更が重なると予算が膨らむことがあります。開発のノウハウが社内に蓄積されにくく、仕様の認識合わせにコミュニケーションの手間もかかります。委託先に依存しすぎると、保守や改修で身動きが取りにくくなる点にも注意が必要です。
外注が向く企業・内製が向く企業
社内に開発人材がいない、短期間で立ち上げたい、エンジニアが別の業務で手一杯といった場合は、外注が向いています。反対に、システムを継続的に改善していく方針で、社内に開発チームを育てたい企業は内製が選択肢になります。
現実的には、立ち上げは外注で素早く行い、運用しながら段階的に社内へノウハウを移していく進め方もよく取られます。自社のリソースと今後の方針に照らして選ぶとよいでしょう。
受発注システムならではの、外注で決めておくべき要件
一般的なシステム開発の進め方に加えて、受発注システムには固有の確認ポイントがあります。これらを要件定義の段階で開発会社に伝えておくと、後の手戻りを防げます。
取引先ごとの価格・独自帳票・基幹システム連携
受発注業務では、取引先ごとに異なる卸価格や掛け率、独自レイアウトの注文書・請求書の再現が求められます。これらは企業ごとに事情が異なるため、標準機能だけでは収まらず、個別対応が必要になりやすい部分です。
さらに、受注データを販売管理や会計といった基幹システムへ連携できるかも重要です。連携できないと転記作業が二重に発生し、効率化の効果が半減します。どのシステムと、どの範囲で連携するかを要件に含めておきましょう。
取引先の同意と、現場で使える操作性
受発注システムは取引先にも使ってもらって初めて効果が出るため、導入には取引先の同意と協力が欠かせません。相手が無理なく発注できる操作性か、既存の発注方法からスムーズに移行できるかを、要件の段階で考慮します。自社の都合だけで設計すると、取引先に使われず形骸化するおそれがあります。
EDI移行・電子帳簿保存法という外部要因
旧来の電話回線を使ったEDI(電子データ交換)は、固定電話のIP網への移行にともない、従来の通信方式がすでに提供を終了しています。NTT東日本・西日本は2017年の発表で、その終了時期を次のように示していました。
「INSネット ディジタル通信モード」の提供終了時期は2024年1月となります。
出典:固定電話のIP網への移行後のサービス及び移行スケジュールについて(別紙)|NTT東日本・NTT西日本
旧来の方式を使っていた受発注のデータ連携は、インターネットEDIなど現在の方式への移行が必要です。システムを新しく作る際は、現在のEDI標準に対応できる設計にしておきましょう。
あわせて、電子帳簿保存法への対応も確認しておきます。国税庁は、電子でやり取りした取引データの保存義務について次のように示しています。
申告所得税・法人税に関して帳簿・書類を保存する義務のある方が、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合には、その電子データ(電子取引データ)を保存しなければなりません。
出典:電子帳簿保存法 電子取引データの保存方法をご確認ください【令和6年1月以降用】|国税庁
受発注システムが扱う注文書・請求書・見積書はまさにこの対象です。電子取引データを法の要件に沿って保存できる仕組みを、要件に含めておきましょう。
受発注システムの外注を成功させるポイント
外注を成功させられるかは、依頼先の選び方と、発注者である自社の関わり方で大きく変わります。ここでは失敗を避けるための2つのポイントを解説します。
技術力だけでなく、受発注の業務理解で依頼先を選ぶ
依頼先は、技術力に加えて受発注や商流の業務を理解しているかで選びます。受発注システムは取引先ごとの価格や基幹連携など業務知識が前提になるため、プログラミングができるだけでは要件を正しく形にできません。同業種での開発実績があるかは有力な判断材料になります。
加えて、要件定義から運用保守まで一貫して対応できるか、法改正やEDI標準の変更に追随してくれるか、トラブル時のサポート体制が整っているかも確認しましょう。開発して終わりではなく、長く付き合える相手かという視点が重要です。
「丸投げ」にせず、発注者が業務知識を提供する
開発会社に任せきりの「丸投げ」は、受発注システムの開発で失敗する典型的なパターンです。開発会社は技術には強くても、自社の業務の細部までは把握できません。自社の商習慣や例外処理を伝えられるのは発注者だけです。
要件定義での業務知識の提供、設計レビューでの確認、受け入れテストへの参加など、発注者が関わるべき場面は少なくありません。社内で担当者を決め、開発会社と連携して進める体制を整えておくと、要件のズレや手戻りを防げます。
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ゼロから作らない選択肢:受発注パッケージをカスタマイズする
ここまで外注による開発を見てきましたが、受発注システムは必ずしもゼロから作る必要はありません。受発注業務向けのパッケージを土台にカスタマイズすれば、標準機能で大半をカバーしつつ、基幹連携などの個社要件だけを個別対応で加えられます。スクラッチより費用と期間を抑えやすい現実的な方法です。
ここでは、パッケージをベースに個社仕様へ寄せられる受発注システム・BtoB受発注プラットフォームを紹介します。標準機能と、カスタマイズ・基幹連携で対応できる範囲を比較してください。
| サービス名 | DX BtoB Web受発注システム | EC-ORANGE | SI Web Shopping | HIT-MALL(ヒットモール) | アラジンEC |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社マルウェブ | 株式会社エスキュービズム | 株式会社DGビジネステクノロジー | アイテック阪急阪神株式会社 | 株式会社アイル |
| 提供形態 | パッケージ型(Magento Open Source基盤・自社サーバー展開) | パッケージ型(ソースコード開示・ヘッドレス対応) | パッケージ型(ソースコード・DB構造を完全公開) | パッケージ版+クラウド版(マイクロサービス構成) | カスタマイズ対応型パッケージ(BtoB専用Web受発注) |
| 受発注の主な標準機能 | クイックオーダー・CSV発注、取引先別の条件別価格設定、見積依頼、Invoice対応請求書 | 見積依頼〜承認、法人アカウント発行、与信・掛率・締め日設定、法人注文一括帳票 | バイヤー別の掛け率・支払方法・締め日設定、自動見積・見積依頼、発注承認フロー、与信管理 | 法人会員別の掛け率・卸売価格自動計算、与信限度額・決済方法の会員別設定、見積書発行、商品番号一括注文 | 得意先別の商品・単価・決済制御、掛売対応、最低ロット・荷姿設定、見積機能、クローズサイト、リピート注文 |
| カスタマイズ・個社対応 | 標準パッケージ+個別カスタマイズ(別途見積り) | 要件定義に基づく個別開発。ソースコード開示で内製化も可能 | 業種別モデル+カスタマイズ。内製化移行支援あり | 標準機能+個別機能実装。クラウド版からパッケージ版へ移行可能 | 標準機能+カスタマイズ(規模別に小・中・大の3段階) |
| 基幹システム連携 | ERP・基幹システム連携は個別対応(別途見積り) | API・CSVで販売管理・在庫・会計と連携(OBIC7・SAP・GRANDIT等) | EAI連携で基幹システムとノンプログラミング連携 | ERP・WMS・販売管理とAPI連携 | 自社「アラジンオフィス」と標準連携、他社基幹とも連携可 |
| 初期費用 | 標準パッケージ300万円+導入サポート150万円〜(税抜。費用区分は要確認) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | モデルケース400万円〜(カスタマイズ規模で変動) |
| 月額費用 | サーバー保守 月額4万円〜ほか(別途) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | モデルケース7万円〜(月額固定型) |
| 向いている企業 | FAX・電話・メール中心の受発注をWeb化したい、SaaSでは自社の商流に合わせきれない企業 | 中堅〜大規模・大規模トランザクション、OMO/オムニチャネルを志向する企業 | 中堅〜大規模で、将来の内製化も視野に入れる企業 | 小規模から段階的に拡張したい、複数業態(BtoC・BtoB・ギフト等)を扱う企業 | 取引先ごとの商習慣が複雑なBtoB受発注をカスタマイズで実現したい企業 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
料金を公開していないサービスは「要問い合わせ」としています。多くの受発注パッケージは要件によって費用が変わるため、具体的な金額は資料請求や見積もりで確認できます。気になるサービスは資料を取り寄せて比べてみてください。
DX BtoB Web受発注システムの特徴と強み

株式会社マルウェブが提供する「DX BtoB Web受発注システム」は、FAX・電話・メール中心のBtoB受発注業務をWeb上に一元化するパッケージ型のシステムです。ECプラットフォームのMagento Open Sourceを基盤に構築し、自社のサーバーへ展開する形式を取っています。
特徴は、標準パッケージに個別カスタマイズを組み合わせられる構成です。取引先ごとの価格・見積・注文条件をシステムで管理でき、ERPや基幹システムとの連携、AI-OCR(AIによる文字認識)による注文書の取り込みなどは個別対応として別途見積もりで追加できます。既製のSaaSでは自社の商流に合わせきれない企業の受け皿になる設計です。
公式ページでは、FAX・電話・メール中心の受発注をWeb化したい企業、取引先ごとの価格や注文条件をシステムで管理したい企業、SaaS型では自社の商流に合わせきれない企業を対象として挙げています。標準パッケージの費用やカスタマイズの範囲は、自社の要件に応じて見積もりを確認するとよいでしょう。
なぜゼロからのスクラッチでもSaaSでもなく、パッケージ型という形を選んだのか。提供元である株式会社マルウェブは、BtoB取引の要件が企業ごとに大きく異なることをその理由として挙げています。
BtoB取引は、企業ごとに価格体系、見積フロー、注文単位、承認ルール、基幹システムとの連携方法などが大きく異なります。SaaSは導入しやすい反面、こうした個別の要件に対応しづらい場合があります。一方のフルスクラッチは自由度こそ高いものの、初期費用や開発期間、将来の保守負担が大きくなります。その中間として、BtoBに必要な機能を標準化したパッケージをベースにし、必要な部分だけを個別対応する形を取っています。こうすることで、コスト・導入スピード・柔軟性のバランスを取りやすくしています。
ここで取り上げたカスタマイズ対応のパッケージ以外にも、受発注システムにはクラウド型(SaaS)をはじめ多様な製品があります。費用・機能・取引先の使いやすさといった観点で主要なサービスを横並びで比較したい場合は、以下の記事で24製品をタイプ別の選び方とあわせて解説しています。導入する製品の候補を広げて検討したい方はご覧ください。
まとめ
受発注システムの外注費用は、必要な人月と人月単価、要件の複雑さと依頼先の種類で決まります。開発会社へのスクラッチ開発、フリーランスへの委託、受発注パッケージのカスタマイズという3つの方法があり、費用・期間・自由度がそれぞれ異なります。
進め方は、現状整理から要件定義・相見積もり・契約・開発・検収・運用保守までの工程を押さえ、取引先ごとの価格管理や基幹連携、EDI移行や電子帳簿保存法への対応といった受発注ならではの要件を要件定義に含めることが成功の鍵になります。依頼先は業務理解で選び、発注者も業務知識を提供して協力して進めましょう。
ゼロから作るか、パッケージをカスタマイズするか、自社の商流と予算に合った方法を比較・検討し、受発注業務の効率化を進めてください。
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受発注システムの外注に関するよくある質問(FAQ)
Q. 受発注システムの開発を外注する方法にはどんな種類がありますか?
A. 受発注システムの開発を外注する方法は、「開発会社へのスクラッチ開発」「フリーランス・クラウドソーシングへの委託」「受発注パッケージのカスタマイズ」の3つに大きく分かれます。
スクラッチ開発は自由度が最も高い反面で費用がかさみ、フリーランスへの委託は小規模・低予算から着手でき、パッケージのカスタマイズは標準機能を土台に個社要件だけを追加するため費用と期間を抑えやすい方法です。自社の商流の複雑さと予算に応じて選びます。
Q. 受発注システムの外注費用はどのように決まりますか?
A. 受発注システムの外注費用は、「必要な人月(工数)×エンジニアの人月単価」で総額が決まり、要件の複雑さと依頼先の種類によって大きく変わります。取引先ごとの価格・掛け率の管理、基幹システム連携、独自帳票の再現など、個社対応の範囲が広がるほど工数が増えて費用も上がります。
目安は、フリーランスへの小規模な委託で数十万円から、開発会社へのスクラッチ開発で数百万円以上、要件が多ければ数千万円規模になることもあります。
Q. 受発注システムの外注に、国の補助金は使えますか?
A. 国の「IT導入補助金」は事務局に登録されたITツールの導入を支援する制度で、対象ツールに該当する受発注パッケージの導入では費用の一部に補助を受けられる場合があります。一方、スクラッチ開発やツールの大幅なカスタマイズは対象外となることが多く、補助率や対象ツールは年度ごとに見直されます。活用を検討する場合は、IT導入補助金事務局の公式サイトで最新の対象条件を確認してください。
Q. 受発注システムは外注と内製のどちらを選ぶべきですか?
A. 受発注システムを外注すべきか内製すべきかは、社内に開発人材がいるか、そしてシステムを継続的に自社で改善していきたいかで判断します。開発人材がいない・短期間で立ち上げたい・エンジニアが他業務で手一杯という企業は外注が向き、社内に開発チームを育てて継続的に改善したい企業は内製が選択肢になります。立ち上げは外注で素早く行い、運用しながら社内へノウハウを移していく進め方も現実的です。
Q. 受発注システムのパッケージカスタマイズとスクラッチ開発は何が違いますか?
A. 両者の違いは、スクラッチが要件をゼロから設計して作り込むのに対し、パッケージカスタマイズは既製の受発注システムを土台に不足部分だけを追加する点です。パッケージカスタマイズは標準機能で受発注の大半をカバーできるため費用と期間を抑えやすく、提供元の保守やアップデートも受けられます。
一方スクラッチは自由度が高く、既製品では収まらない独自の商習慣を細部まで再現できます。「SaaSでは自社の商流に合わないが、フルスクラッチまでは必要ない」という場合はパッケージカスタマイズが現実的です。
Q. 受発注システムの外注では請負契約と準委任契約のどちらを結びますか?
A. 受発注システムの外注では、仕様が固まっている開発は成果物に責任を持つ「請負契約」、要件を固めながら進める段階は稼働に対して支払う「準委任契約」が適しています。要件が流動的な部分は準委任、確定した部分は請負と、工程によって使い分ける進め方もあります。契約形態は責任範囲と費用の発生の仕方に直結するため、着手前に確認しておきましょう。
Q. 受発注システムの導入に取引先の同意は必要ですか?
A. 受発注システムは取引先にも使ってもらって初めて効果が出るため、導入には取引先の同意と協力が欠かせません。相手が無理なく発注できる操作性か、既存の発注方法からスムーズに移行できるかを、要件の段階で考慮する必要があります。自社の都合だけで設計すると、取引先に使われず形骸化するおそれがあります。
Q. 受発注システムは既存の基幹システムと連携できますか?
A. 受発注システムは販売管理や会計といった基幹システムと連携できますが、連携の可否と範囲は依頼先や製品によって異なります。連携できないと受注データの転記作業が二重に発生し、効率化の効果が半減します。どのシステムと、どの範囲で連携するのかを要件定義の段階で明確にし、依頼先に伝えておくことが重要です。
Q. 受発注システムの外注にはどのくらいの開発期間がかかりますか?
A. 受発注システムの外注の開発期間は、依頼先と要件の複雑さによって数週間から1年以上まで幅があります。フリーランスへの委託や受発注パッケージのカスタマイズは数週間から数ヶ月、開発会社へのスクラッチ開発は数ヶ月から1年以上が目安です。繁忙期を避け、影響の大きい機能から段階的に移行すると安全に切り替えられます。
Q. FAX・電話中心の受発注を、いきなり全面的にシステムへ切り替えるべきですか?
A. 受発注システムへの切り替えは、いきなり全面刷新するのではなく、影響の大きい業務から段階的に移行するのが安全です。一度にすべてを置き換えると現場や取引先の混乱を招きやすいため、まず一部のチャネルや取引先から始め、繁忙期を避けて切り替えるとよいでしょう。取引先の同意を得ながら、無理のない範囲で対象を広げていくのが現実的です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















