ランサムウェアや標的型攻撃による被害が、企業の規模を問わず相次いでいます。業務が止まり、取引先のデータまで人質に取られる被害も報告されており、サイバー攻撃への備えを見直す企業が増えています。
一方で、サイバー攻撃対策のソフトやツールは製品数が多く、何を基準に選べばよいか、どの製品が評価されているのかを見渡しにくいのが実情です。既存のウイルス対策ソフトだけでは未知の脅威を防ぎきれないため、自社に何を足せばよいか迷う場面も少なくありません。
本記事では、法人向けのサイバー攻撃対策ソフトを「守る対象」別に整理して比較・紹介します。端末・メール/Web・社内ネットワークの監視・被害時の復旧という領域ごとに、機能・提供形態・監視体制・料金を見比べられるようまとめました。自社の守りたい対象と予算に合う候補を絞り込むための材料としてご活用ください。
自社の守りたい対象や課題から候補を素早く絞り込みたい場合は、本記事の「30秒でわかる選定診断ツール」も活用できます。
目次
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守る対象別に見るサイバー攻撃対策ソフトのタイプ
サイバー攻撃対策ソフトは、守る対象によって得意な領域が分かれます。「自社がまず守りたいのはどこか」を決めると、見るべき製品の範囲を絞り込めます。ここでは、守る対象を軸に4つのタイプへ整理します。

端末(PC・サーバ)を守るタイプ
PCやサーバといった端末上で、マルウェアやランサムウェアの実行を検知・遮断するタイプです。従来のウイルス対策(EPP=端末を守る基本機能)に加え、ふるまいやAIで未知の攻撃を見つける次世代型の防御や、侵入後の調査・対応を担うEDR(Endpoint Detection and Response=端末での検知と対応)があります。
さらに、複数の領域を横断して相関分析するXDR(端末・ネットワーク・クラウドなどのログを統合して検知する仕組み)まで幅があります。
攻撃が最終的にたどり着く端末を直接守るため、まず押さえたい対象です。提供形態はクラウド型とオンプレミス型があり、運用体制に合わせて選べます。なお、XDR製品は端末を起点に監視・入口など複数の守る対象を横断するため、社内ネットワークの監視の観点でも候補になります。
ここで触れたEDRとXDRの違いや、XDRが監視できる範囲・他社製品のログを取り込めるかといった選び方を詳しく知りたい方は、XDR製品を比較した以下の記事もご覧ください。
メール・Web・ネットワークの入口を守るタイプ
標的型メールや不正サイト、ファイル経由の侵入を、社内に入る前の「入口」で止めるタイプです。添付ファイルを隔離環境で開いて安全性を調べるサンドボックス、WAF(Web Application Firewall=Webアプリケーションへの攻撃を遮断する仕組み)、複数の防御機能をまとめたUTM(統合脅威管理)や次世代ファイアウォールが含まれます。
このうちWAFは自社が公開するWebサイト・Webアプリ向けで、社内の端末・メール・ネットワークを守るならサンドボックスやUTM・次世代ファイアウォールが中心です。
攻撃の多くはメールやネットワークの入口から始まるため、端末対策と組み合わせて層を重ねる使い方が一般的です。
社内ネットワークを監視し検知・対応するタイプ
侵入を完全には防げない前提に立ち、社内ネットワークを流れる通信を監視して、不審な挙動や横方向への広がりを見つけるタイプです。ネットワーク上の通信から脅威を検知するNDR(Network Detection and Response=ネットワークでの検知と対応)が中心となります。
検知した後の調査・対応には専門知識と人手が要るため、監視と対応の運用を外部に委ねられるMDR(Managed Detection and Response=検知・対応の運用代行)やSOC(セキュリティ監視を担う専門チーム)とあわせて提供される製品もあります。運用の手が足りない企業に向くタイプです。
被害に備えて復旧できるようにするタイプ
ランサムウェアに感染してデータが暗号化されても、事業を止めないために「戻せる」状態を用意しておくタイプです。後から書き換えられないイミュータブル(改変不可)な形でデータを保管するバックアップや、災害時も含めた復旧(ディザスタリカバリ)の仕組みが該当します。
防御をすり抜けられた場合の最後の備えにあたり、防御・検知のタイプと組み合わせることで、被害に遭っても復旧できる体制を整えられます。
しかし、自社がどのタイプに適しているか、といった判断が難しいケースも存在します。そのような場合でも自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒でわかる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
30秒でわかる|自社に合うサイバー攻撃対策ソフト診断
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【比較表】守る対象別にサイバー攻撃対策ソフトを比較
ここからは、主要なサイバー攻撃対策ソフトを守る対象のタイプ別にまとめた比較表で見渡せるよう整理します。守る対象タイプ・対応する脅威・検知や防御の方式・提供形態・監視や運用の支援(MDR/SOC)・料金・導入実績を横並びで比べられます。
法人向けのセキュリティ製品は導入社数を公表しないベンダーが多く、公表値のある製品は一部に限られます。表は守る対象のタイプ(端末/入口/社内ネットワーク監視/復旧)ごとにまとめ、各タイプのなかでは公式に公表されている導入社数の多い順に並べ、公表していない製品は順位を付けず各タイプの後半に掲載しました(2026年10月時点の各社公式情報)。
守る対象が異なる製品を横断して総合順位を付けることはしていないため、まず自社が守りたい対象のタイプを選び、そのなかで候補を見比べてください。
監視・運用支援(MDR/SOC)の欄は、●が公式に提供を明記、△がオプション・代理店経由・限定提供、×が公式サイトで記載を確認できなかったことを表します(×は「提供できない」という断定ではなく、未確認という意味です)。
表中の用語のうち、ラテラルムーブメントは侵入後に社内を横移動して被害を広げる動き、C2通信は乗っ取った端末が攻撃者のサーバとやり取りする通信、エクスプロイトは脆弱性を突く攻撃を指します。
| サービス名 | Trend Vision One | Eye"247" Safety Zone | CrowdStrike Falcon | SentinelOne | Microsoft Defender XDR | Palo Alto Cortex XDR | FFRI yarai | FortiClient | AppGuard | PC Matic PRO | Eye"247" Safety Zone USAV Ⅵ | Check Point Quantum | SmartConnect Network & Security クラウド型UTM | ESET LiveGuard Advanced | 攻撃遮断くん | Cloudbric WAF+ | Darktrace | Vectra AI | Network Blackbox | KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ | Acronis Cyber Protect Cloud | 使えるデータプロテクト |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 守る対象タイプ | 端末(PC・サーバ) | 端末(PC・サーバ) | 端末(PC・サーバ) | 端末(PC・サーバ) | 端末(PC・サーバ) | 端末(PC・サーバ) | 端末(PC・サーバ) | 端末(PC・サーバ) | 端末(PC・サーバ) | 端末(PC・サーバ) | 入口(メール・Web・ネットワーク) | 入口(メール・Web・ネットワーク) | 入口(メール・Web・ネットワーク) | 入口(メール・Web・ネットワーク) | 入口(メール・Web・ネットワーク) | 入口(メール・Web・ネットワーク) | 社内ネットワーク監視(NDR) | 社内ネットワーク監視(NDR) | 社内ネットワーク監視(NDR) | 被害時の復旧 | 被害時の復旧 | 被害時の復旧 |
| 対応する主な脅威 | ランサムウェア・標的型攻撃・未知マルウェア(XDR横断) | 未知マルウェア・ランサムウェア・Web/ネットワーク攻撃 | ランサムウェア・ファイルレス攻撃・未知マルウェア・ID起点攻撃 | ランサムウェア・未知マルウェア・ファイルレス攻撃 | ランサムウェア・標的型攻撃・ID/メール/クラウド横断の脅威 | マルウェア感染後の挙動・内部不正・ラテラルムーブメント | 標的型攻撃・ゼロデイ・未知マルウェア・ランサムウェア | ランサムウェア・未知マルウェア(NGAV/EDR) | 未知マルウェア・ゼロデイ・ファイルレス攻撃(実行を遮断) | 未知マルウェア(許可外アプリの実行を遮断) | ネットワーク・端末・標的型メールへの攻撃(統合対策) | 既知の攻撃・エクスプロイト・不正侵入・C2通信(IPS/次世代ファイアウォール) | 不正侵入・ゼロデイ・マルウェア・スパム・不正Web | 未知マルウェア・ゼロデイ(メール等の添付ファイル) | SQLインジェクション・XSS等のWeb攻撃・DDoS・Bot | Web攻撃・DDoS・API攻撃・Bot・悪性IP | 内部不正・ラテラルムーブメント・ランサムウェア・未知の脅威 | ランサムウェア・ラテラルムーブメント・認証情報の悪用 | 不正侵入・内部不正・ラテラルムーブメント・情報持ち出し | ランサムウェア(脆弱性の予防+隔離バックアップ) | ランサムウェア・マルウェア(検知+バックアップの改ざん防止) | ランサムウェア(AI検知+バックアップ復旧) |
| 検知・防御の方式 | AI・機械学習+XDR相関分析 | ふるまい検知(ATC)+機械学習+EDR | 機械学習+IOA(振る舞い)+EDR/XDR | エージェントAI(Behavioral AI)+EDR/XDR+ロールバック | シグナル相関+自動攻撃かく乱(XDR) | 機械学習の行動分析+EDR/XDR(WildFire連携) | 5つのふるまい検知エンジン(シグネチャ非依存)+EDR | AI次世代アンチウイルス+EDR(サンドボックス連携) | プロセス封じ込め(OSプロテクト型・シグネチャ非依存) | アプリケーション・ホワイトリスト(許可リスト方式) | UTM(FW/IPS、サンドボックスはオプション)+EPP/EDR+標的型メール訓練 | シグネチャ+振る舞い検知+プロトコル検証(IPS)/サンドボックス(SandBlast) | UTM(FortiGate採用)。シグネチャ+アノマリのIPSで検知・遮断 | クラウドサンドボックス+機械学習(多段解析) | シグネチャ(専門家が運用)+クラウド型WAF | WAF(WAPPLESエンジン)+DDoS/API/Bot対策 | 自己学習型AIによる異常検知(NDR中心) | AI行動分析(150以上のAIモデル、教師あり/なし学習+相関) | フルパケットキャプチャ。シグネチャ+行為ベース(BAD)+コンテンツ分析 | ネットワーク内部からの脆弱性診断+隔離経路バックアップ | アンチマルウェア+EDR/XDR+バックアップ統合 | AI検知・防御(EDR)+イメージバックアップ |
| 提供形態 | SaaS(クラウド) | ソフトウェア(クラウド管理コンソール) | SaaS(クラウド)・単一エージェント | SaaS(単一エージェント+クラウド管理) | SaaS(クラウド) | SaaS(クラウド)・エージェント | オンプレミス/クラウド/マネージド | 統合エージェント+EMS(クラウド/オンプレ管理) | インストール型(エディション別) | インストール型+クラウド管理 | ハードウェア同梱の統合パッケージ(UTM+ソフト) | アプライアンス/仮想/クラウド | クラウド型(大阪DC集約、拠点に機器不要) | クラウド(ESET PROTECTのアドオン) | クラウド型WAF(エージェント型) | クラウド型WAFプラットフォーム | アプライアンス/ハイブリッド(オンプレ・クラウド) | SaaS/オンプレ・クラウド横断 | ミラーリング方式で導入(提供形態は公表なし) | アプライアンス+SaaS(予防・復旧・補償パッケージ) | SaaS(MSP/代理店経由が中心) | SaaS(クラウド)・国内データセンター |
| 監視・運用支援(MDR/SOC) | ●MDR・24時間365日サポート | ×運用代行の記載なし | ●MDR(Falcon Complete) | ●MDR(24時間365日) | △MDRは別売・英語のみ | ●MDR(Unit 42) | △マネージド(70ライセンス〜) | ×運用代行の記載なし | ×運用代行の記載なし | ×運用代行の記載なし | ×運用代行の記載なし | △代理店経由でSOC・保守 | ●監視分析・緊急遮断(オプション) | ×運用代行の記載なし | ●ルール運用代行・24時間365日 | ●専門家によるポリシー運用支援 | ●MDR(24時間365日SOC) | ●MXDR・マクニカ監視代行 | △運用代行は代理店提供 | △月次診断・伴走支援 | ●MDR(MSP/代理店経由) | △RMMで一元管理(MDRは記載なし) |
| 料金 | 要問い合わせ(クレジット制/TrendAI Flex) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | Microsoft 365 E5に含む(1ユーザー月額8,995円・年払い)/Defender for Business 月額449円 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 初期110,000円〜/月額38,500円〜(税抜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 月額1,250円/台〜 | 要問い合わせ | 月額2,400円〜 |
| 導入実績・規模 | 2.5万社超のエンタープライズ(公式) | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 非公表(製品単位。Check Point 全体では全世界10万組織超を保護と公表) | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 全世界 約1万社/国内240社超(公式・発表) | 全世界2,000社超(公式) | 非公表 | 非公表 | 非公表 | 非公表 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
おすすめのサイバー攻撃対策ソフト(守る対象別に紹介)
ここからは、守る対象別に主要なサイバー攻撃対策ソフトを紹介します。各製品の対策範囲・提供形態・料金・監視や運用の支援の有無を公式情報で確認しながら、自社がまず守りたい対象のタイプから読み進めてください。各製品に付けた番号は守る対象タイプごとの掲載順で、総合的な順位ではありません(導入実績順の比較は前掲の比較表をご覧ください)。
端末(PC・サーバ)を守るタイプ
まずは、PCやサーバといった端末そのものでマルウェアやランサムウェアの実行を検知・遮断し、侵入後の調査・対応まで担う製品を紹介します。
1. Eye”247″ Safety Zone(株式会社フーバーブレイン)

株式会社フーバーブレインのエンドポイントセキュリティ製品で、端末を守るEPPと、侵入後の検知・対応を担うEDRを1つの製品に組み込んでいます。検知エンジンはBitdefenderと共同開発したもので、機械学習とアプリの挙動を常時監視する振る舞い検知(ATC)により未知の脅威に対応します。
ランサムウェア対策として、不審な挙動を監視しながらファイルを自動でバックアップし、検知時にはクライアント側で直近のバックアップからリストアできる機能を標準で備えます。フィッシングサイトの自動ブロックやネットワーク攻撃の検出も含みます。
EDR機能を別オプションとして追加契約せず、単一製品の構成で利用できる点が構成上の特徴です。料金は公式に公開されておらず、要問い合わせとなります。
2. Trend Vision One(トレンドマイクロ株式会社)

エンドポイント・サーバー・クラウド・メール・ネットワークなど複数のレイヤーを単一コンソールで管理し、各レイヤーのデータを相関分析して攻撃の全体像を可視化するXDRを中核とした統合プラットフォームです。トレンドマイクロ株式会社がSaaS型で提供します。
2026年にライセンスはクレジットベースの「TrendAI Flex」へ一本化され、必要なソリューションにクレジットを割り当てて利用します。24時間365日のサポートや、検知・対応の運用を任せられるMDRもメニューとして用意されています。
全機能を30日間試せる無料体験が用意されており、料金は要問い合わせです。公式サイトでは、Gartnerのエンドポイント保護部門で2002年以来リーダーの一社に位置づけられたと示されています。
3. CrowdStrike Falcon(クラウドストライク合同会社)

米国CrowdStrike社が開発し、クラウドストライク合同会社が国内で提供するクラウドネイティブのエンドポイント保護プラットフォームです。次世代アンチウイルス・EDR・脅威ハンティング・ID保護などを単一の軽量エージェントから利用でき、モジュール追加で機能を広げられます。
次世代アンチウイルス(Falcon Prevent)は、機械学習と攻撃の兆候(IOA)をもとに未知のマルウェアやファイルレス攻撃を実行前に止める設計です。上位のFalcon Enterprise以上では、24時間365日体制で人間のアナリストが脅威を追跡するFalcon OverWatchも利用できます。
料金はグローバル公式価格で、Falcon Goが1デバイス月額7.99米ドル(年額59.99米ドル)から、フルEDRを含むFalcon Enterpriseが月額19.99米ドルです。日本円建ての正式価格は公開されておらず、国内は代理店経由の個別見積もりが基本です。
4. SentinelOne(SentinelOne Japan株式会社)

エンドポイント保護からEDR・XDR、クラウド保護までを単一の軽量エージェントと統合コンソールで束ねる「Singularity Platform」です。SentinelOne Japan株式会社が国内で提供します。エージェント側のAI(Behavioral AI)が挙動をリアルタイムに解析し、ランサムウェアの暗号化などの不正な動きを自律的に検知・隔離します。
暗号化の被害を受けた場合でも、OSを再構築せずにファイルを攻撃前の状態へ戻せる特許取得済みの1クリックロールバックを備えます(EDR/XDRを含む上位パッケージの機能)。個々のイベントを時系列・因果関係で自動的に相関づける特許技術Storylineにより、手動でログを追わずに攻撃の全体像を把握できます。
EDRデータの保持期間は標準14日で、365日への有償アップグレードを選べます。公式サイトでは、Gartnerのエンドポイント保護部門で6年連続リーダーに位置づけられたと示されています。料金は公式では非開示で、国内は代理店経由の見積もりが基本です。
5. Microsoft Defender XDR(日本マイクロソフト株式会社)

ID・エンドポイント・メール・クラウドアプリを横断して脅威を検知・対応するXDRプラットフォームで、日本マイクロソフト株式会社が提供します。単独で購入する製品ではなく、複数のDefender製品を展開することで統合レイヤーとして自動的に有効になる点が特徴です。
高い確度で攻撃を検知すると、侵害した端末をネットワークから自動的に切り離す自動デバイス隔離により、ランサムウェアの横展開を抑えます。ただしこれは被害拡大の防止が中心で、暗号化済みのファイルを復元する機能ではありません。
XDR機能はDefender製品の組み合わせ、またはMicrosoft 365 E5などのバンドルで有効化されます。Microsoft 365 E5は1ユーザー月額8,995円(年払い・Teams込み)で、中小企業向けのMicrosoft Defender for Businessは1ユーザー月額449円(年払い・税抜)です。
6. Palo Alto Cortex XDR(パロアルトネットワークス株式会社)

パロアルトネットワークス株式会社のXDRプラットフォームで、エンドポイントのマルウェア・エクスプロイト防御を基盤に、ネットワーク・クラウド・アイデンティティのデータをネイティブに統合して相関分析します。機械学習ベースの行動分析により、マルウェア感染後の挙動や内部不正、横方向への広がり、データの持ち出しを検出します。
関連する複数のアラートを1つのインシデントにまとめて根本原因を示すため、調査にかかる手間を抑えられます。エージェントを導入済みの端末はワンクリックでネットワークから隔離でき、未知ファイルは別サービスのWildFireと連携して動的に解析します。
検知・対応の運用を任せられるMDRや、脅威ハンティング、インシデントレスポンスも提供されます。料金は公式・代理店とも公開されておらず、要問い合わせです。
7. FFRI yarai(株式会社FFRIセキュリティ)

ウイルス定義ファイルに依存せず、プログラムの挙動を解析して脅威を検知する純国産の次世代エンドポイントセキュリティ製品です。株式会社FFRIセキュリティが開発し、脆弱性を突く攻撃を見るZDP、ファイル構造を調べるStatic分析、機械学習、HIPSなど5つの検知エンジンを組み合わせて、未知の脅威や亜種に対応します。
2018年11月以降はEDR機能を標準搭載し、追加費用なしで脅威ハンティング・端末隔離・マルウェア駆除・レポート出力まで利用できます。Microsoft DefenderやESETなど、既存のウイルス対策ソフトと同居して運用することも可能です。
提供形態はオンプレミス、クラウド(FFRI yarai Cloud)、マネージドサービスから選べ、最小契約はオンプレミス・クラウドで5ライセンス、マネージドサービスで70ライセンスです。料金は1年ごとに更新するサブスクリプションで、要問い合わせとなります。
8. FortiClient(フォーティネットジャパン合同会社)

米Fortinet社のエンドポイントセキュリティで、フォーティネットジャパン合同会社が国内で提供します。AIベースの次世代アンチウイルスやEDRに加え、ゼロトラストアクセス(ZTNA)・VPN・DLP(データ漏えい防止)までを単一のエージェントに統合しています。統合版は「FortiEndpoint」として案内されています。
FortiGate(UTM・次世代ファイアウォール)など同社のネットワーク製品と連携し、端末とネットワークをまたいだ検知・対応ができる点が構成上の特徴です。管理はFortiClient EMSで集中的に行い、クラウドサンドボックス(FortiSandbox)との連携で未知ファイルの動的解析にも対応します。
小規模向けのStandalone版から、EMSで管理する大規模構成まで段階的に選べます。国内の正式価格は公開されておらず、代理店経由の見積もりが基本です。
9. AppGuard(株式会社Blue Planet-works)

株式会社Blue Planet-worksが提供する、マルウェアを検知して駆除するのではなく、アプリケーションやプロセスの不正な振る舞いを実行段階で遮断(封じ込め)するエンドポイントセキュリティです。シグネチャに依存しないため、定義ファイルの更新なしで未知のマルウェアやゼロデイ、ファイルレス攻撃に対応する設計を掲げます。
スキャンや定義更新を行わないため端末への負荷が小さく、更新の難しい産業用PCやサーバにも適用しやすい方式です。企業規模や用途に応じて、中小向けのSBE、サーバ向けのServer、産業用のIndustrialなどのエディションに分かれています。
国内ベンダーが事業化しており、販売代理店を通じたサポート・導入支援を受けられます。法人向けの正式価格は公開されておらず、代理店経由の見積もりが基本です。
10. PC Matic PRO(PC Matic, Inc.)

米国PC Matic社が提供する、法人・官公庁・教育機関向けのエンドポイントアンチウイルスです。安全と判断したアプリケーションだけ実行を許可する「アプリケーション・ホワイトリスト(許可リスト)」方式を中核とし、既知・未知を問わず許可リストにないプログラムの実行を止めます。
検知する対象を探すブラックリスト型とは逆に、許可されたもの以外を動かさないという防御の考え方をとります。管理者向けには、クラウド上でのスケジュール機能やITアラート、保守レポート、Active Directoryとの連携が用意されています。
一方で、許可リストに未登録のアプリは実行までに登録待ちが発生しうる点が運用上の留意点です。開発・サポートは米国で行われ、日本語の窓口が設けられています。国内での提供条件や料金は公開情報が限られるため、要問い合わせとなります。
メール・Web・ネットワークの入口を守るタイプ
次に、標的型メールや不正サイト、ネットワークの入口で攻撃を止める製品を紹介します。
標的型攻撃メールへの対策を、フィルタリング・サンドボックス・無害化といった手段ごとにどこまで防げるかで比較したい方は、以下の記事で26サービスを整理しています。
11. Eye”247″ Safety Zone USAV Ⅵ(株式会社フーバーブレイン)

株式会社フーバーブレインが提供するEye”247″ Safety Zone USAV Ⅵは、Check Point製のUTM機器・エンドポイント対策ソフト・業務可視化ソフト・標的型攻撃メール訓練を1つにまとめた、ハードウェア同梱の統合パッケージです。ネットワークの入口から端末、従業員の業務まで1契約でまとめて対策できる点が特徴です。
構成の中心となるUTM(統合脅威管理)は、ファイアウォール・IPS・アンチウイルス・URLフィルタリングなどをアプライアンス1台で担います。電源断やソフトウェア障害の際にUTMを経由せず通信を通すバイパス機能「FONIC」を備え、障害時にネットワークが止まるリスクを抑える設計です。
クライアント数10〜200台の構成を想定し、専任のIT担当者を置きにくい中小企業に向く製品です。標的型攻撃メール訓練「FB SATMail」が年2回標準で付帯し、従業員の対応力を高める取り組みも含まれます。導入は販売代理店経由の個別見積もりとなります。
12. Check Point Quantum(チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社)

Check Point Quantumは、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社が提供する次世代ファイアウォール(NGFW)の製品群です。ファイアウォールを基盤に、侵入防止(IPS)・アンチウイルス・アンチボット・アプリケーション制御・URLフィルタリングといった防御機能を、同一のゲートウェイ上でまとめて動かす多層防御の構成をとります。
侵入防止機能は、通信を遮断するPrevent(防御)モードと、遮断せず検知だけを行うDetect(検知のみ)モードを切り替えられます。導入初期は検知のみで誤検知を調整し、安定してから遮断運用へ移すといった段階的な進め方がしやすい設計です。
大企業・データセンター向けの「Quantum Force」、中小企業向けの「Quantum Spark」、クラウド環境向けの製品まで、同一ブランド内で規模別のラインナップを揃えています。料金は公式サイトで公開されておらず、国内の販売代理店経由の見積もりとなるため、具体的な費用は要お問い合わせです。
13. SmartConnect Network & Security クラウド型UTM(NTTスマートコネクト株式会社)

SmartConnect Network & Security クラウド型UTMは、NTTスマートコネクト株式会社が提供する、機器を顧客拠点に置かないクラウド型のUTMサービスです。拠点のインターネット接続を同社の大阪データセンターに集約し、そこでファイアウォール・IPS・アンチウイルス・Webフィルタリングなどの防御機能をまとめて適用します。
採用製品はFortinet社の「FortiGate」で、不正侵入防御(IPS)を標準機能として備え、不正アクセスやゼロデイ攻撃などの脅威から保護します。有償オプションの「セキュリティ監視分析」を契約すると、同社の分析官がログを分析し、インシデント発生時の通知や緊急遮断まで代行します。
料金は初期費用110,000円(税込121,000円)から、月額38,500円(税込42,350円)からで、いずれも帯域などのプランにより変動し、最低利用期間は1年です。標準プランはサーバー・デバイス100台相当までを目安としており、複数拠点のセキュリティ設定を一元化したい企業に向く構成です。
14. ESET LiveGuard Advanced(ESET, spol. s r.o.)

ESET LiveGuard Advancedは、スロバキアのESET社が開発し、国内ではキヤノンマーケティングジャパン株式会社が提供するクラウドサンドボックスサービスです。エンドポイントが見つけた不審なファイルをクラウド上の解析環境へ自動送信し、ゼロデイ攻撃のような未知のマルウェアを検査して自動で防御します。
解析では、複数の機械学習モデルによる比較、サンドボックスでの振る舞い分析、スキャンエンジンによる異常分析を組み合わせ、単一の検知手法に頼らない設計です。公式資料では、大半のファイルが数分内に解析から防御まで完了するとしています。
利用にはクラウド型またはオンプレミス型の管理ツール「ESET PROTECT」での管理が前提で、単体での購入・利用はできません。既存のESET PROTECT環境にアドオンのライセンスを追加して機能を有効化する形で提供されます。料金は利用するプランやライセンス数により変わるため、具体的な金額は要お問い合わせです。
15. 攻撃遮断くん(株式会社サイバーセキュリティクラウド)

攻撃遮断くんは、株式会社サイバーセキュリティクラウドが提供する国産のクラウド型WAF(Web Application Firewall=Webアプリケーションへの攻撃を遮断する仕組み)です。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなど、WebサイトやWebアプリを狙う外部からの攻撃を検知・遮断し、改ざんや個人情報の漏えいを防ぎます。
攻撃データを分析してシグネチャ(検知ルール)を作成・更新する運用を専門家が代行するため、利用企業はWAFのルールを自前で運用する必要がありません。Webアプリ防御に加え、DDoS攻撃対策・Bot対策・IP制限やGeoIP制限を備え、サポートは24時間365日の日本語対応です。
料金は、サイト単位で申し込む「1サイトプラン」と複数サイトをまとめて守る「入れ放題プラン」があり、ピーク時のトラフィック量に応じて決まります。2026年6月のリニューアル(Neo版)で体系が改定されているため、最新の金額は公式の見積もりで確認する形になります。
16. Cloudbric WAF+(クラウドブリック株式会社)

Cloudbric WAF+は、クラウドブリック株式会社が提供するクラウド型のWeb攻撃対策プラットフォームです。WAF(Webアプリケーションファイアウォール)を中核に、DDoS攻撃の遮断・API保護・ボット対策・悪性IP遮断を1つのサービスにまとめて提供します。
WAFエンジンにはペンタセキュリティの「WAPPLES」技術を基盤に用い、導入後はセキュリティ専門家がポリシーを個別にカスタマイズして運用を支えます。料金プランには、アクセスが急増しても追加費用が発生しない定額の「トラフィック無制限プラン」が用意されています。
保護対象のFQDN数とデータ転送量を基準に、規模に応じて選べる複数のプランが用意されています。初期費用・月額費用や無料トライアルの条件は、公式サイトでの個別見積もり・問い合わせでの確認となります。
社内ネットワークを監視し検知・対応するタイプ
続いて、侵入後の不審な通信や挙動を社内ネットワークで監視し、検知後の対応まで外部に任せられる製品を紹介します。
17. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

社内ネットワークを流れる全パケットを収集し、脅威の検知から調査・対応までを担うNDR(ネットワークでの検知と対応)製品です。開発元は韓国のクワッドマイナーで、日本では日本法人である株式会社クワッドマイナージャパンが提供し、国内総代理店のフーバーブレインが2024年に資本参加しています。
シグネチャによる既知攻撃の検知に、利用者の行為パターンをもとに異常を見つける検出と、データ内容を復元するコンテンツ分析を組み合わせ、収集・検知・ハンティング・フォレンジック・対応の5機能を1製品に備えます。通信をミラーリングして取り込むためエージェントの導入が不要で、端末にソフトを入れにくい機器を含めてネットワーク全体を監視できます。
イベントログではなく通信そのものを保存するため、インシデント発生後に保存パケットをさかのぼり、通信の宛先や時系列、やり取りされたファイルを調べられる点が特徴です。検知後はSyslogやREST APIを通じてEDR・SIEMと連携し、遮断や隔離の指示にもつなげられます。料金は公開されておらず、個別見積もりとなります(デモの申請窓口あり)。
18. Darktrace(Darktrace Limited)

組織ごとの通常の通信を自己学習型のAIが学習し、そこからの逸脱によって既知・未知の脅威を検知する点を中核に据えた製品です。英国ケンブリッジで2013年に設立されたDarktraceが開発し、ネットワークを起点にメール・クラウド・アイデンティティ・エンドポイントまでを1つのプラットフォームで横断します。
検知した異常はAIが自動で調査して優先度を付け、デバイスの隔離やIPのブロックといった封じ込めをリアルタイムに実行します。ネットワーク検知を担うDarktrace/NETWORKは、2025年・2026年のGartner Magic Quadrant(NDR部門)で2年連続してリーダーに位置づけられています(公式発表)。
導入実績は世界で約10,000社、国内でも240社超(2026年2月時点)と公表されています。国内の販売やサポートは代理店経由が中心です。料金は公開されておらず、監視対象のデバイス数に応じた個別見積もりとなります。
19. Vectra AI(Vectra AI, Inc.)

米国で2011年に創業したVectra AIが開発する、ネットワークの通信挙動をAIで分析するNDR製品です。シグネチャ照合ではなく攻撃者の振る舞いの分析を主軸に、ランサムウェアやラテラルムーブメント(侵入後に社内で感染を広げる動き)、認証情報の悪用などを検知します。
検知エンジン「Attack Signal Intelligence」は、150以上のAIモデルで膨大なアラートを自動で分類・相関させ、対応すべき脅威を緊急度順に絞り込みます。対象はオンプレミスからマルチクラウド、ID基盤、Microsoft 365まで及び、CrowdStrikeやMicrosoft Defenderといった他社のEDR・SIEMとも連携します。
導入実績は世界で2,000社超、国内では三菱電機や遠鉄グループなどの採用を公式が示しています。国内の販売・監視サービス・トライアル相談はマクニカが窓口を担います。料金は公開されておらず、要問い合わせとなります。
被害に備えて復旧できるようにするタイプ
最後に、ランサムウェア被害に遭ってもデータを守り、元に戻せるよう備える製品を紹介します。
20. KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ(株式会社SYNCHRO)

株式会社SYNCHROが開発した排他的IPネットワーキング技術「KATABAMI」をベースに、サイバー攻撃対策を予防・復旧・補償の3つで一体提供するパッケージです。被害を受けても事業を止めないための「戻せる」備えまでを1つにまとめている点が、単機能のバックアップ製品との違いです。
復旧を担う「KATABAMI CRA」は、隔離された通信経路を通じてSYNCHROのセンター内NASへデータを自動バックアップし、24時間前までの状態から復旧できます。バックアップの経路と保管先を通常のネットワークから切り離して見えない状態に保つため、ランサムウェアにバックアップごと暗号化・削除される事態を避けやすい設計です。
あわせて、あいおいニッセイ同和損保のサイバー保険(賠償1億円・費用損害3,000万円)を、月次の脆弱性診断で一定の評価(D判定以上)まで改善した場合に自動付帯し、被害の芽を事前に減らす予防策も組み込んでいます。料金は公式サイトで1台あたり月額1,250円からと案内されています。
バックアップを「見えない経路」に隠す設計が必要になる背景について、提供元の株式会社SYNCHROはMCB FinTechカタログの取材で次のように述べています。

現状、ランサムウェア攻撃を受けた企業のうち、約8割近くでバックアップデータも潰されていると、警察からも発表されています。バックアップ経路は通常のネットワーク上にあるため、ランサムウェアを仕掛けてきた攻撃者にもたどり着けてしまうものがほとんどだからです。そこで当社は、KATABAMIを使ってバックアップを見えない経路で隠す仕組みを取り入れています。
21. Acronis Cyber Protect Cloud(Acronis International GmbH)

Acronis Cyber Protect Cloudは、バックアップやディザスタリカバリといったデータ保護と、アンチマルウェア・EDR/XDRなどのセキュリティを単一のコンソールに統合したSaaSです。データを「戻す」機能と端末の「検知・対応」を1つの製品でまかなえます。
バックアップとセキュリティを同じ基盤で動かすことで、バックアップファイル自体の改ざんを防ぎ、復元時に悪意あるファイルが再び入り込むのを抑える設計を採ります。ランサムウェア対策を、防御と被害後の復旧の両面から1製品でカバーできます。
提供はスイスのAcronis International GmbHによるもので、国内ではMSP(ITサービス事業者)や販売代理店を通じた導入が中心です。料金は保護対象や容量などに応じた従量制で、公式には金額を明示せず要問い合わせですが、クレジットカード不要の無料トライアルが用意されています。
22. 使えるデータプロテクト(使えるねっと株式会社)

使えるねっと株式会社が提供する、中小企業向けのクラウドバックアップ/データ保護サービスです。2026年1月に「使えるクラウドバックアップ」から名称を変え、バックアップを軸にセキュリティや復旧まで選べる構成へ再編されました。
PC・物理サーバー・仮想マシン・Microsoft 365など複数の環境を単一のサービスで保護し、データは国内(長野県)の自社データセンターにAES-256で暗号化して保管します。運営会社はISO27001(ISMS)認証を取得しています。
料金はプランパッケージとして3段階が公式に示されています。バックアップ中心の基本プランが月額2,400円から、AIによる検知・防御を加えるランサムウェア対策プランが月額3,320円から、障害時にクラウド上の仮想マシンへ切り替えるDR機能まで含むプランが月額10,700円からで、いずれも参考価格として案内されています。30日間の無料トライアルも利用できます。
サイバー攻撃対策ソフトとは?ウイルス対策ソフトとの違い
サイバー攻撃対策ソフトとは、マルウェア・ランサムウェア・標的型攻撃・不正アクセスといった攻撃から、企業の端末・ネットワーク・データを守るための製品群の総称です。従来のウイルス対策ソフトが「既知の不正プログラムを見つけて駆除する」役割を担うのに対し、未知の脅威の検知、侵入後の対応、被害時の復旧まで対象を広げている点が特徴です。
主なサイバー攻撃の種類と守るべき対策範囲(入口・内部・出口)
企業が直面する攻撃のうち、特に被害が大きいのがランサムウェアと標的型攻撃です。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの脅威の1位に「ランサム攻撃による被害」、5位に「機密情報を狙った標的型攻撃」が挙げられています。
出典・参考資料(1件)
ランサムウェアについて、警察庁は次のように説明しています。
ランサムウェアとは、感染すると端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状態にした上で、そのデータを復号する対価(金銭又は暗号資産)を要求する不正プログラムであり(中略)近年は、データを窃取したうえ、「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する二重恐喝の被害も多くみられる
出典:令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について|警察庁
こうした攻撃に備えるには、攻撃がたどる経路に沿って対策範囲を考えると整理しやすくなります。メールやネットワークから侵入を試みる「入口」、侵入後に社内で広がる動きを捉える「内部」、情報の持ち出しを食い止める「出口」の3段階です。どこか1点だけでは防ぎきれないため、複数の層を重ねる多層防御の考え方が基本となります。

被害が最も多いランサムウェアに絞って、予防・検知・復旧の3層でどの製品をどう組み合わせればよいかを詳しく知りたい方は、以下の記事で対策ソリューションを比較しています。
ランサムウェア対策ソリューションを比較|予防・検知・復旧の3層で選ぶ製品と多層防御の作り方
ウイルス対策ソフトは入れているのに、「これで本当に最新のランサムウェアを防げるのか」と不安を感じていませんか。基幹業務やファイル共有が暗号化されて止まれば、事業への影響は一製品の有無では測れない規模になります。何を追加すれば守れるのかが判断…
ウイルス対策ソフト(無料含む)では防げない未知の脅威(標的型・ランサムウェア)
従来のウイルス対策ソフトの多くは、既知の不正プログラムの特徴(シグネチャ)と照合して検知する仕組みを中心としています。この方式では、特徴がまだ登録されていない未知のマルウェアや、標的を定めて作り込まれた攻撃を取りこぼすことがあります。無料のソフトやOS標準の機能も、法人で求められる一括管理や運用支援の面で要件に届かない場合があります。
実際の被害は高い水準で続いています。警察庁によると、令和6年(2024年)のランサムウェアの被害報告件数は222件で、組織規模別では大企業が減少する一方、中小企業の被害は令和5年比で37%増加しました。特徴の照合だけに頼らず、ふるまいやAIで未知の攻撃を捉える防御や、侵入後の検知・対応を担う仕組みを足す必要性が高まっています。
出典・参考資料(1件)
サイバー攻撃対策ソフトの選び方(比較軸)
ここからは、自社に合う製品を絞り込むための比較軸を解説します。守る対象・提供形態・監視や運用・復旧・サポートや料金の順に、それぞれ何を確認し、どこで判断が分かれるかを整理します。
自社が守るべき対象・弱みをカバーできるか
最初に、自社のどこが狙われやすいかを棚卸しし、その弱みを埋められる製品かを確認することが重要です。たとえば警察庁の分析では、ランサムウェアの感染経路はVPNやリモートデスクトップ用の機器からの侵入が全体の8割以上を占めています。社外からの接続やネットワーク機器が多い環境なら、入口を守る製品や通信を監視する製品の優先度が上がります。
出典・参考資料(1件)
端末・メール/Web・社内ネットワーク・データのどこに守りが薄いかで、選ぶタイプが変わります。すでにウイルス対策を入れているなら、未知の脅威への対応や侵入後の検知・対応といった、手薄になりがちな領域を足す発想で候補を絞り込むのが基本です。
提供形態(クラウド型/オンプレミス型)が運用体制に合うか
提供形態は運用の負担とセキュリティ方針の両面に関わります。クラウド型は自社でサーバを持たずに導入でき、定義やソフトの更新が自動で適用されるため、専任の担当者が少ない企業でも運用しやすい形です。
一方、社内の情報を外部に預けない方針の企業や、独自の環境に合わせた細かな設定が必要な場合は、自社で機器を保有するオンプレミス型が適することがあります。多拠点やテレワークが前提なら、拠点に機器を置かずに運用できるクラウド型の方が管理の手間を抑えられます。自社のIT方針と担当者の人数を踏まえて判断するとよいでしょう。
監視・検知後の対応(SOC/MDR)を外部に任せられるか
検知の仕組みを入れても、鳴ったアラートを調べ、攻撃かどうかを判断し、対処するには専門知識と人手が要ります。ここで運用が回らないと、せっかくの検知が見過ごされ、対策が形だけになってしまいます。
自社に専任のセキュリティ担当がいない、あるいは24時間の監視まで手が回らない場合は、監視と検知後の対応を外部の専門チームに委ねられるMDRやSOC付きの製品が選択肢になります。社内で対応できる体制があるなら製品単体でよく、足りない部分だけ運用代行を足すという切り分けで考えます。
MDRサービスが実際にどこまで(検知の通知から調査・封じ込め・復旧支援まで)手を動かすかは各社で差があります。委託範囲や課金単位で見比べて選びたい方は、以下の記事をご覧ください。
ランサムウェア被害時の復旧まで備えられるか
防御と検知をどれだけ固めても、攻撃をすり抜けられる可能性はゼロにはなりません。ランサムウェアで業務データが暗号化されたとき、事業を止めずに戻せるかどうかが、被害の大きさを左右します。
通常のバックアップがあっても、それ自体を暗号化・削除されると復旧できないため、後から書き換えられないイミュータブルな保管や、隔離された復旧環境を備えているかを確認することが重要です。守りたいデータの重要度と、業務を止められる時間の許容度に照らして、復旧まで含めた備えが必要かを見極めます。
24時間365日サポート・料金・導入実績
攻撃は営業時間を選びません。インシデント発生時に連絡が取れるか、サポートの対応時間が24時間365日か平日日中のみか、日本語で相談できるかは、いざという場面で差が出ます。
料金は、端末数やユーザー数による課金、監視運用を含むかどうかで総額が変わります。最低契約数やオプションの条件を揃えて見積もりを比べると、実態に近い比較ができます。導入実績は、自社と同じ規模・業種での利用例があるかを見ると、運用イメージを掴みやすくなります。
サイバー攻撃対策ソフトの料金相場
サイバー攻撃対策ソフトの料金は、守る対象のタイプと、監視や運用の代行を含むかどうかで幅が出ます。以下は2026年10月時点における一般的な目安で、実際の金額は製品や自社の規模によって変わります。
端末を守るタイプは、1台(または1ユーザー)あたり月額数百円から千数百円程度が中心です。侵入後の検知・対応(EDR)や運用代行(MDR)を含むと、1台あたりの単価は上がります。メール・Web・ネットワークの入口を守るWAFやUTMは、月額数万円から十数万円規模が目安で、通信量や拠点数で変動します。
社内ネットワークの監視(NDR)やSOC/MDRによる運用代行は、人による運用を伴うため、月額数十万円規模になることもあります。被害に備える復旧・バックアップは、保護するデータ容量や台数に応じた課金が一般的です。法人向けの製品は個別見積もりとするベンダーが多く、具体的な金額は要お問い合わせとなるケースが少なくありません。
まとめ
本記事では、法人向けのサイバー攻撃対策ソフトを守る対象別に整理し、比較表・選び方・料金相場までを解説しました。
製品選びでまず重要なのは、自社がどこを守りたいかを決めることです。端末を直接守るタイプ、メール・Web・ネットワークの入口を守るタイプ、社内ネットワークを監視して検知・対応するタイプ、被害に備えて復旧できるようにするタイプのうち、手薄な領域を見極めて候補を絞ります。そのうえで提供形態・監視や運用の支援・料金・サポートを比べ、自社の体制と予算に合うものを選ぶと、過不足のない対策になります。
なお、サイバー攻撃対策ソフトは社内セキュリティ全体の一部です。端末・ネットワークだけでなく、ID・データ・監視運用まで守る対象を広げて検討したい方は、社内セキュリティソリューション全体を俯瞰した以下の記事が参考になります。
MCB FinTechカタログでは、これらのサイバー攻撃対策ソフトの詳細な資料を無料でまとめて請求できます。気になる製品の資料を見比べて、自社に合う対策の検討を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. サイバー攻撃対策ソフトとは何ですか?
A. サイバー攻撃対策ソフトとは、マルウェア・ランサムウェア・標的型攻撃・不正アクセスといった攻撃から、企業の端末・ネットワーク・データを守る製品群の総称です。
マルウェア対策やエンドポイント保護、ファイアウォール・WAF、社内通信の監視、バックアップによる復旧など、守る対象に応じて機能はさまざまです。1つの製品ですべてを担うわけではなく、守りたい対象に応じて複数を組み合わせ、層を重ねて守るのが一般的です。
Q. サイバー攻撃対策ソフトとウイルス対策ソフトは何が違いますか?
A. サイバー攻撃対策ソフトは、ウイルス対策ソフトが担う「既知の不正プログラムの検知・駆除」に加えて、未知の脅威の検知・侵入後の対応・被害時の復旧まで対象を広げている点が違いです。
従来のウイルス対策ソフトはシグネチャ(既知の特徴)との照合が中心のため、特徴がまだ登録されていない未知のマルウェアや、標的を定めて作り込まれた攻撃を取りこぼすことがあります。ふるまい検知やAIで未知の攻撃を捉える防御、侵入後の調査・対応を担うEDR(端末での検知と対応)などを組み合わせることで、ウイルス対策ソフトだけでは防ぎきれない攻撃に備えます。
Q. Windows Defenderや無料のウイルス対策ソフトだけで、法人のサイバー攻撃対策は十分ですか?
A. サイバー攻撃対策として、基本的なマルウェア対策には使えますが、法人で求められる端末の一括管理・運用支援・サポートや、未知の脅威への対応までは不足する場合があります。
無料のソフトやOS標準の機能は、多数の端末を集中管理したり、インシデント発生時にサポートを受けたりする面で、法人の要件に届かないことがあります。取引先からセキュリティ要件を課される場合や管理する端末数が多い場合は、運用・管理面も含めて有料の法人向け製品を検討するのが安全です。
Q. サイバー攻撃対策ソフトはクラウド型とオンプレミス型のどちらを選べばよいですか?
A. サイバー攻撃対策ソフトは、専任の担当者が少なく運用の手間を抑えたい場合はクラウド型、社内情報を外部に預けない方針や独自環境への細かな設定が必要な場合はオンプレミス型が向きます。
クラウド型はサーバを自社で持たずに導入でき、定義やソフトの更新が自動で適用されるため、多拠点やテレワーク環境でも管理しやすい形です。一方、独自の環境に合わせた細かな設定が必要な企業はオンプレミス型が適することがあります。どちらが向くかは、自社のIT体制と拠点の広がりに照らして決めます。
Q. サイバー攻撃対策ソフトの監視・対応は外部に任せられますか?(MDR・SOCとは)
A. サイバー攻撃対策ソフトは、MDRやSOC付きの製品を選べば、アラートの監視から検知後の調査・対応までを外部の専門チームに委ねられます。
MDR(Managed Detection and Response=検知・対応の運用代行)は監視と検知後の対応を外部が代行するサービス、SOCはセキュリティ監視を担う専門チームを指します。検知の仕組みを入れても、鳴ったアラートを判断し対処するには専門知識と人手が要るため、専任のセキュリティ担当がいない企業や、24時間の監視まで手が回らない企業に向く選択肢です。
Q. サイバー攻撃対策ソフトの料金相場はどのくらいですか?
A. サイバー攻撃対策ソフトの料金は、端末を守るタイプが1台(または1ユーザー)あたり月額数百円〜千数百円程度、WAFやUTMが月額数万円〜十数万円規模、監視・運用代行(SOC/MDR)を含むと月額数十万円規模になることもあります。
台数課金の製品は、最低契約台数やサポート費用、オプションの有無で総額が変わります。同じ条件で見積もりを揃えて比べると、実態に近い比較ができます。法人向けは個別見積もりとするベンダーが多く、具体的な金額は要問い合わせとなるケースも少なくありません。
Q. 中小企業でもサイバー攻撃対策ソフトは必要ですか?
A. サイバー攻撃対策ソフトの必要性は中小企業でも高まっています。警察庁によると、令和6年(2024年)のランサムウェア被害は、大企業が減少する一方で中小企業では令和5年比37%増加しました。
取引先のデータを預かる立場でも狙われるため、規模が小さくても被害は事業の停止や信用の低下に直結します。専任の担当者を置きにくい場合は、運用の手間が小さいクラウド型や、監視・対応を代行するMDR付きの製品から検討すると、負担を抑えつつ守りを固められます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
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