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OTセキュリティ対策の費用相場|診断・コンサル・監視の料金目安と依頼先の選び方

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工場の生産ラインや発電・インフラ設備を動かす制御システム(OT)が、サイバー攻撃の標的になるケースが現実に起きています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)も、プラントやインフラの制御システムが狙われ始めていると注意を促しており、ITの情報システムとは別に、OTそのものを守る対策が求められるようになりました。

とはいえ、いざ外部の専門会社に対策を頼もうとすると、最初に突き当たるのが「結局いくらかかるのか」という壁です。OTセキュリティ対策は脆弱性診断・コンサルティング・監視運用などサービスの種類が分かれており、しかもIT向けのセキュリティ費用の感覚がそのまま通じないため、予算のあたりを付けにくいのが実情です。

本記事では、OTセキュリティ対策を外部委託したときの費用を、脆弱性診断・リスクアセスメント・コンサルティング・SOC(監視運用)・IEC 62443認証取得支援というサービス種別ごとの実額レンジで示します。そのうえで、自社の規模別の総額イメージ、費用が上下する要因、OT特有の費用構造、依頼先の選び方、費用を抑える進め方まで整理しました。

数値は、出所をたどれる公表価格と、市場で語られる相場の目安を区別して示し、予算化の材料として使えるようにしています。

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OTセキュリティ対策の費用相場(サービス種別別)

OTセキュリティ対策の費用は、何を依頼するかで大きく変わります。まずは全体像をつかめるよう、主なサービス種別ごとの費用の目安を一覧にまとめました。

金額は、市場で語られる費用相場とベンダーの公表価格をもとにした編集部の概算です。OTセキュリティには公的な費用統計がないため、ここでは幅のある目安として示し、実際の見積もりは対象範囲や拠点数によって上下します。出所をたどれる公表価格は、各項目で個別に示します。

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OTセキュリティ診断・脆弱性診断リスクアセスメントセキュリティコンサルティングSOC・監視運用IEC 62443 認証取得支援
費用の目安50万〜500万円(レッドチーム演習等は〜800万円)数十万〜数百万円月50万〜200万円/スポット100万〜500万円月30万〜150万円(初期100万〜300万円)初回500万〜1,500万円以上(維持 年100万〜300万円)
単位・形態単発(調査の深さ・範囲で変動)1回顧問(月額)・スポット(案件)月額+初期費用プロジェクト+年次

※市場で語られる費用相場と、ベンダーの公表価格をもとにした編集部の概算(2026年10月時点)。OTセキュリティには公的な費用統計がなく、細かな内訳は幅のある目安です。出所をたどれる公表価格(KATABAMI・三井情報など)は各項目で個別に示します。

ここからは、種別ごとに金額の内訳と、額が振れる条件を見ていきます。

OTセキュリティ診断・脆弱性診断の費用

OTの脆弱性診断は、調査の深さによって費用が段階的に変わります。市場で語られる目安では、書面やネットワーク監視を中心とした軽い診断から、現場で踏み込んで調べる詳細診断まで、総額でおおむね50万〜500万円の幅があります。

  • ドキュメントレビュー(書面調査):50万〜150万円。構成図やポリシーを机上で点検する軽量な診断
  • パッシブ診断(ネットワーク監視型):150万〜300万円。通信を観察して資産や異常を洗い出す、現場を止めにくい方式
  • アクティブ診断(オンサイト詳細調査):200万〜500万円。現場に入って機器へ踏み込んで調べる詳細診断
  • レッドチーム演習(OT特化)やペネトレーションテスト:300万〜800万円程度。実際の攻撃を模して防御全体を試す最も踏み込んだ調査で、3か月規模では500万円からが目安とされることもあります
OTの脆弱性診断を調査の深さ別に4段階で示した図解。ドキュメントレビュー(書面調査)50万〜150万円、パッシブ診断(ネットワーク監視型)150万〜300万円、アクティブ診断(オンサイト詳細調査)200万〜500万円、レッドチーム演習300万〜800万円で、診断が深くなるほど費用が段階的に上がることを表す。

初めてOTの診断に取り組む中小規模の工場では、書面調査とパッシブ診断を組み合わせた「100万〜250万円程度」から着手する進め方が、市場では一つの目安とされています。

ベンダーが具体額を公表している例もあります。三井情報は、OTのリスク可視化とフォーティネット製OTセキュリティ機器の導入支援を組み合わせた「Fortinet OTスターターパック70」(従業員100〜500名規模向け)を、費用888,000円から案内しています。OT診断と簡易的な導入支援をまとめた入口の価格として参考になります。

出典・参考資料(1件)

リスクアセスメントの費用

リスクアセスメントは、工場のOT環境でどこにどんなリスクが潜むかを洗い出し、対策の優先順位を付ける作業です。費用の目安は1回あたり数十万〜数百万円で、対象拠点が複数にわたったり、資産の棚卸しから踏み込んだりすると100万〜400万円程度に達するケースもあります。

診断が「技術的な弱点を見つける」工程であるのに対し、リスクアセスメントは「見つかった弱点が事業にどう響くか」を評価して対策計画につなげる工程です。

両者を別々に見積もる会社もあれば、診断とセットで提供する会社もあり、単発で依頼するより診断と組み合わせたほうが割安になる場合があります。見積もりでは、どこまでが診断でどこからがアセスメントかの線引きを確かめておくと安心です。

リスクアセスメントを実際に外部へ依頼するとき、どのタイプの会社に頼めばよいか・費用相場や進め方はどう違うのかをさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事で提供会社をタイプ別に比較しています。

コンサルティング(スポット・顧問・常駐)の費用

コンサルティングの費用は契約形態で変わります。市場で語られる目安では、全体としては月50万〜200万円のレンジに収まりますが、関わり方によって次のように分かれます。

  • スポット支援(プロジェクト型):100万〜500万円/件。対策方針の策定など、期間を区切って依頼する形
  • 顧問型(リテイナー):月50万〜150万円。継続的に相談・助言を受ける形
  • 常駐支援:月100万〜200万円。担当者が自社に入り込んで支援する形

人日単価で見ると、シニアクラスで1日あたり15万〜40万円程度が目安とされ、大手系ファームでは40万〜60万円に達することもあります。大規模で長期のセキュリティ改善プログラムを包括的に依頼すると、総額で1,000万〜5,000万円以上になる例も示されています。

半年程度の包括的なコンサルティングで300万円前後という目安もあり、依頼する範囲と期間によって金額が大きく動くのがコンサルティングの特徴です。

SOC・監視運用の費用

SOC(セキュリティ・オペレーション・センター)による監視運用は、導入後も継続してかかる月額費用です。OT向けの監視では、月30万〜150万円が市場の目安とされ、監視の手厚さによって次のように分かれます。

  • OT特化型マネージドSOC:月80万〜150万円。OT環境を専門に監視する手厚い体制
  • IT/OT統合SOC:月60万〜120万円。ITとOTをまとめて監視する体制
  • アラート転送型:月30万〜70万円。検知したアラートを自社に転送する軽量な形

これらに加えて、センサーの設置やSIEMの初期設定として100万〜300万円程度の初期導入費がかかるのが一般的です。OTに限らない一般的なセキュリティ監視(24時間のSOC)であれば月30万〜80万円、EDRの運用代行(MDR)であれば月10万〜25万円といった目安も示されており、どこまでをOT専門の体制で見るかが費用を左右します。

IEC 62443 認証取得支援の費用

取引先や規制からIEC 62443認証の取得を求められた場合、その準備を支援してもらう費用は、市場の目安で初回取得が500万〜1,500万円以上、取得後の年次審査(維持)が年100万〜300万円です。

IEC 62443は、IEC(国際電気標準会議)が定める産業用オートメーション及び制御システム(IACS)のセキュリティに関する国際規格シリーズです。国内では、組織のマネジメントシステムを対象とする「CSMS適合性評価制度」(IEC 62443-2-1をもとにした認証基準)と、制御機器を対象とする「EDSA認証」が整備されています。

日本国内でも、2014年に制御機器のセキュリティを認定する「EDSA認証」、および制御システム運用組織のセキュリティマネジメントシステムを認定する「CSMS適合性評価制度」が確立し、日本語で認証を取得することが可能となっています。

出典:制御システムのセキュリティ|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

費用は、対象とする規格の区分(組織のマネジメント体制か、開発プロセスか、コンポーネントか)によって幅があり、認証審査そのものの費用と、取得を支援するコンサルの費用を分けて見積もる点に注意が必要です。

出典・参考資料(2件)

企業規模別の費用総額イメージ(初年度/継続年)

種別ごとの相場が分かったら、次に気になるのは「自社の規模だと総額でいくらになるか」です。ここでは、診断・対策・監視・認証といった費目を積み上げたときの総額イメージを、企業規模別に示します。いずれも市場で語られるモデルケースをもとにした幅のある目安で、自社の拠点数や既存対策の有無によって増減します。

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中小製造業(工場1〜2拠点)中堅製造業(複数拠点)大手製造業・重要インフラ
初年度の目安160万〜380万円1,920万〜4,540万円1億〜3億円以上
2〜3年目以降の年間目安530万〜1,060万円統合SOCの年額720万〜1,440万円を中心に継続グループSOCの年額3,000万〜1億円を中心に継続
主な内訳OT診断100〜200万+ネットワーク分離50〜150万+教育10〜30万、継続年はOT対応SOC(月40〜80万)など包括的OT診断300〜600万+コンサル12か月600〜1,800万+IT/OT統合SOC年720〜1,440万+IEC 62443-2-1支援300〜700万全拠点OT診断1,000〜3,000万+グループSOC年3,000万〜1億+IEC 62443複数認証1,500〜5,000万+専任コンサルチーム月200〜500万

※相場解説記事のモデルケースをもとにした市場の目安(2026年10月時点)。拠点数・OT資産数・既存対策の有無で総額は大きく変動します。

総額のレンジが広く見えるのには理由があります。初年度は診断・ネットワーク分離・教育といった一時費用が中心で、監視運用(SOC)の費用は、中小では2年目以降に本格化するため継続年の金額が初年度より大きく見えます。中堅・大手では初年度から統合SOCやコンサルを組み込むため、初年度の総額自体が大きくなります。

中小と中堅で金額が大きく開くのは、拠点数と体制(コンサルの常時関与・統合SOCの有無)の差によるものです。自社の拠点数・OT資産数が中間にある場合は、中小の積み上げに拠点ぶんの診断・監視を足した水準が目安になります。

自社が今どの費目から着手すべきかを、この積み上げに照らして考えると、予算化の見通しを立てやすくなります。

OTセキュリティ対策の費用がITより高くなる理由(OT特有の前提)

ここまでの金額を見て「ITのセキュリティ対策より高い」と感じた方も多いはずです。これは見積もりが割高なのではなく、OT(制御システム)がITとは異なる前提を抱えているためです。この違いを理解しておくと、見積もりの妥当性を判断でき、依頼先がOTを分かっているかを見極める材料にもなります。

そもそもOTが守るべき対象は、実際に攻撃を受けてきました。IPAは、制御システムへの攻撃事例として次のように説明しています。

実際にサイバー攻撃によって、2010年にはイランの核施設でウラン濃縮用の遠心分離機が機能不全に陥る事件が、2014年にはドイツの製鉄所で溶鉱炉が損壊する事件が、2015年および2016年にはウクライナで大規模な停電が引き起こされる等の事件が発生しており、制御システムのセキュリティ対策の見直しが急務となっています。

出典:制御システムのセキュリティ|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

こうしたOT環境を守る対策が費用面でITより重くなるのは、主に次の理由からです。

  • 可用性が最優先で、簡単に止められない:生産ラインは稼働を止められないため、ITで一般的な能動的スキャンや再起動を避け、通信を妨げないパッシブ診断など現場に合わせた手法を選ぶ必要があります。手間がかかる分、費用に反映されます
  • レガシー機器が多い:十年以上稼働する古い制御機器には最新のセキュリティソフトを入れられないことが多く、機器を入れ替えずに守る別の手立て(ネットワーク側での監視・分離)が必要になります
  • 現場立会い・オンサイト作業が前提になりやすい:工場の物理環境や制御機器の特性に合わせるため、現地での作業が増え、人日がかさみます

国も、こうしたOT特有の事情を踏まえた拠り所を示しています。経済産業省は、工場SWG(ワーキンググループ)での検討を経て「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン Ver 1.0」を2022年11月16日に策定しました。

本ガイドラインは、セキュリティ対策を行うに当たり参照すべき考え方やステップを示しているため、業界団体や個社が自らの工場を取り巻く環境を整理し必要な工場のセキュリティ対策を企画・実行していく際に役に立つガイドラインとなっています。

出典:「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン Ver 1.0」を策定しました|経済産業省(2022年11月16日)

依頼先を選ぶときは、こうした公的ガイドラインやOT特有の前提を踏まえた提案ができるかどうかが、ITセキュリティの延長で見積もる会社との差になります。

出典・参考資料(2件)

工場のセンサーやルーター、制御機器といったOT・IoT機器そのものにどんな脆弱性が潜み、どこから手を付けるべきかは、以下の記事で代表的な脆弱性の種類・実被害事例と対策の優先順位を整理しています。

OTセキュリティ対策の費用を左右する要因

同じ「OTセキュリティ対策」でも、見積もりは条件によって振れます。提示された金額が妥当かを判断するために、費用を上下させる主な要因を押さえておきましょう。

  • 拠点数とOT資産の数:守る工場や制御機器が多いほど、診断も監視も対象が増えて費用は上がります。1拠点か複数拠点かで総額が大きく変わります
  • 診断の深さ:書面調査からパッシブ診断、アクティブ診断へと踏み込むほど工数が増え、費用も段階的に上がります。まず浅い診断で全体像をつかみ、必要な箇所だけ深く見る進め方なら抑えられます
  • 契約形態:スポットで単発依頼するか、顧問として継続的に関わってもらうか、常駐してもらうかで費用の性質が変わります。関わりが深いほど月額は上がりますが、その分継続的な支援を受けられます
  • 既存対策の有無:すでにネットワーク構成図が整理されていたり、資産台帳があったりすると診断がスムーズに進み、費用を抑えられます。逆に現状把握から始める場合は工数が増えます

見積もりを取るときは、これらの要因が自社でどうなっているかを伝えると、過不足のない提案を受けやすくなります。複数社から相見積もりを取り、同じ条件で比べることも、妥当な金額を見極めるうえで有効です。

OTセキュリティ対策の依頼先(コンサル会社)の選び方

相場をつかんだら、次は「どこに・どう頼むか」です。依頼先は対策のどの段階にいるかで見るべき点が変わります。自社の状況に当てはめて確認してください。

OT実務の経験と、ITとの違いの理解があるか

最も重要なのが、OTとITの違いを理解しているかです。前の章で見たとおりOTは可用性を優先し現場を止められないため、ITの手法をそのまま持ち込む相手では現場に支障をきたしかねません。見極めには、過去のOT案件(どの業種の工場で何を診断・対策したか)の実績や、制御システム・産業プロトコルに関する知見を具体的に確認し、可能なら事例を挙げてもらいましょう。

成果物と対応範囲が明確か

「診断します」「支援します」という言葉だけで契約せず、何を成果物として受け取れるかを確認することが重要です。診断報告書に優先順位付きの対策案まで含まれるのか、対策の実装はどこまで支援してもらえるのか、報告後のフォローはあるのか。対応範囲の線引きが曖昧だと、後から追加費用が発生したり、期待した成果が得られなかったりします。

診断から運用まで一貫して任せられるか

現状把握(診断)、対策の実行、運用強化(監視)という段階を、同じ相手に一貫して任せられると、引き継ぎの手間やブレを減らせます。診断だけで終わる会社なのか、監視運用まで継続的に支えてくれる会社なのかは、長期の費用にも関わるため早めに確認しておくとよいでしょう。特定の製品に偏らず、自社に合う選択肢を中立に提案してくれるかどうかも、信頼できる依頼先を見極める目安になります。

費用を抑える進め方(段階的導入・補助金)

予算が一度に確保できない場合でも、進め方を工夫すれば初期投資を抑えられます。代表的なのが段階的導入と補助金の活用です。

まず軽い診断から段階的に進める

いきなり詳細診断や包括的なコンサルティングを依頼するのではなく、まず書面調査やパッシブ診断で全体像と優先順位をつかみ、リスクが高い箇所から順に対策を進める方法です。費用相場の項目で見たとおり、書面調査とパッシブ診断の組み合わせなら100万〜250万円程度から着手でき、そこで見えた重点箇所にだけ深い診断や対策を投じることで、無駄な出費を避けられます。

補助金を活用する(対象範囲に注意)

中小企業であれば、国の補助金を使える場合があります。従来「IT導入補助金」として実施されてきた制度は、令和7年度補正予算事業から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わり、その中の「セキュリティ対策推進枠」でサイバーセキュリティ対策に活用できます。現時点で内容を確認できる2025年の公募要領では、補助の条件が次のように定められています。

補助対象経費:サービス利用料(最大2年分)/補助率:1/2以内(小規模事業者は2/3以内)/補助額:5万円~150万円

出典:IT導入補助金2025 公募要領(セキュリティ対策推進枠)|サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局

ただし、この枠で補助対象になるのは、IPA(情報処理推進機構)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスの利用料(最大2年分)に限られます。本記事で扱ってきたOTの脆弱性診断・コンサルティング・IEC 62443認証取得支援といった単発の費用は、基本的にこの枠の対象にはなりにくい点に注意が必要です。

補助金を当てにする場合は、自社が使いたいサービスが対象リストに含まれるかを事前に確認しましょう。また、生産設備の更新に併せたOT対策であれば、ものづくり補助金のような設備投資向けの補助金が使える可能性もありますが、セキュリティ専用の枠ではなく対象や補助率も制度ごとに異なるため、最新の公募要領で確かめる必要があります。

出典・参考資料(2件)

工場・制御系を守るサービスと選択肢

費用の全体像をつかんだら、最後に「では自社の制御系を具体的にどう守るか」を考えます。OTセキュリティ対策を担うサービスには、工場の制御コンソールのように既存のセキュリティソフトを入れにくい環境でも導入できるもの、中小企業でも始めやすい月額型のものなど、特徴の異なる選択肢があります。ここでは、工場・制御系の可視化や診断に適したサービスを紹介します。

ここで挙げるのは診断や監視を担う実在のサービスで、コンサル会社そのものの価格表ではありません。料金を個別見積もりとする製品が多い中で、KATABAMIのように公表価格のあるサービスは、費用のあたりを付ける手がかりになります。

まずは主なサービスの特徴を一覧で比べ、そのうえで個別に見ていきます。

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サービス名Network BlackboxKATABAMIClaroty PlatformNozomi NetworksTXOne NetworksIndustrial OT Security(パロアルトネットワークス)
守り方の方式ネットワーク監視型(NDR/フルパケットキャプチャ)。通信をミラーリングで観察し検知・事後調査脆弱性診断型。ネットワーク内部から月次(年12回)で診断し対策を伴走(予防・復旧・補償のパッケージ)CPS保護プラットフォーム。パッシブ監視ほか複数手法で資産可視化・脅威検知・ネットワーク保護パッシブ監視型(Guardianセンサー)。資産可視化と異常・脅威検知OT特化の多層防御。エンドポイント保護・ネットワーク防御・媒体検査を製品群で提供次世代ファイアウォール基盤。ML/AIで機器を検出・分類し保護(仮想パッチ)
工場・制御系(OT)への適合汎用NDR。EDRを入れられない制御コンソールのある工場で導入事例ありネットワーク内部の脆弱性診断。工場のOT機器を含む中小の製造業にリモートで対応(製造業に注力)OT/IoT/IoMT/ビル設備など制御系に特化OT/ICS・重要インフラに特化工場・産業環境のOT/ICSに特化IoT/OT機器に対応(Industrial OT Security、IEC 62443に言及)
エージェント要否不要(ミラーリング方式で監視対象機器にソフト導入なし)不要(専用アプライアンスをネットワーク内部に設置)不要(既存のFW/スイッチ/NACを活用、パッシブ監視中心)パッシブ監視は不要。エンドポイントセンサー(Arc)は任意で導入製品による(エンドポイント保護Stellarは端末に導入/媒体検査Elementは導入不要)追加センサー不要(既存の次世代ファイアウォールで識別)
料金(公表状況)非公開(要問い合わせ)公表あり。1台1,250円/月〜(100ノード以下は年額90万〜150万円)非公開(要問い合わせ)非公開(要問い合わせ)非公開(要問い合わせ)非公開(要問い合わせ)
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※各社の公式情報による(2026年10月時点)。料金の公表状況・対応は変わる場合があるため、最新の情報は各社の資料・公式サイトで確認してください。

1. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackbox の公式サイト

Network Blackbox は、ネットワークを流れる全パケットを収集して脅威を可視化・分析するNDR(Network Detection and Response)です。通信を複製するミラーリング方式で導入するため、監視対象の機器にソフト(エージェント)を入れる必要がなく、稼働中の制御機器に触れずに監視できます。

実際に、Network Blackbox を国内で取り扱うフーバーブレインが公表した導入事例では、スマート工場化を進める大手製造業で、EPPやEDR(いずれも端末を守るセキュリティソフト)を導入できない制御コンソールが存在するという課題に対して採用されています。

フルパケットキャプチャを基盤に、収集・検知・脅威ハンティング・フォレンジック(事後の通信調査)・対応までを1製品で備えるのが特徴です。通信そのものを保存するため、インシデント発生後に何が起きたかをパケット単位でさかのぼって調べられます。料金は公式に非公開で、デモ申請の窓口が用意されています。

2. KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ(株式会社SYNCHRO)

KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージの公式サイト

KATABAMI は、脆弱性診断(予防)・バックアップによる復旧・サイバー保険による補償を1つにまとめたパッケージ型サービスです。中核となる脆弱性診断(VDP)は、専用のアプライアンスをネットワーク内部に置き、約600項目の検査を毎月(年12回)実施して、検出した脆弱性と対策案を月1回のペースで報告します。外部からのスキャンでは見つけにくい内部起点の脅威も拾える点が特徴です。

料金は公式LPで「1台1,250円/月〜」と明示され、100ノード(サーバー・ネットワーク機器・PC等の総数)以下であれば年額90万〜150万円が目安とされています。「設置10分」「最短2週間で利用開始」をうたい、専任のセキュリティ担当者がいない中小の製造業でも、外部委託の第一歩として費用を見通しながら着手しやすい設計です。

KATABAMIのソフトウェアとハードウェアはセキュアIoT認定のゴールドを取得しています。ただし、検出した脆弱性の対策実装そのものは標準サービスの範囲外で、希望する場合は別料金での委託になります。

本記事で見てきたとおり、工場の制御機器を含むネットワーク内部やオフィス内の脆弱性を調べる診断では、現場での立ち会い作業が費用を押し上げる要因になります。この点について、提供元である株式会社SYNCHROの北口氏は、従来の訪問型診断の実情を次のように説明しています。

北口氏
株式会社SYNCHRO 取締役CMO
北口氏
独自インタビューより

このようなオフィス内の脆弱性を調べるために、従来はお客様先まで足を運び、中に入って席を借りて調査する必要がありました。専門家が2人で出向いて期間中拘束されるため、どうしてもコストが高くなり、頻繁にはお願いしづらいのが実情です。結果として、年に1回程度の実施が一般的でした。一方で、新しい脆弱性は日々生まれており、生成AIの登場でそのスピードもさらに上がっています。

当社ではKATABAMIの通信経路を使い、リモートでネットワークの内側まで確認することができます。ネットワーク機器や複合機といったオフィス内の脆弱性診断を外から実施できますので、お客様側で場所や立ち会いの工数をご用意いただく必要がなく、コストを抑えて継続的にご提供できるのが大きな特徴です。

3. Claroty Platform(Claroty)

Claroty Platform の公式サイト

Claroty は、OT・IoT・医療機器・ビル設備といったサイバーフィジカルシステム全般のセキュリティを対象とするプラットフォームです。資産の可視化、脆弱性や攻撃経路の管理、ネットワーク保護、脅威検知、外部からのセキュアアクセス制御までを提供します。クラウド型(xDome)とオンプレミス型(CTD)の両方の提供形態があり、脅威リサーチ部門「Team82」による脆弱性情報の発信も行っています。

資産の検出には、通信を観察するパッシブ監視に加え、環境に合わせた複数の手法を組み合わせられます。既存のファイアウォールやスイッチを通じてネットワークの分離(セグメンテーション)ポリシーを適用できる点も特徴で、SIEMやSOAR(ログの集約・分析や対応の自動化を担う仕組み)といったSOCのツールとも連携します。

4. Nozomi Networks(Nozomi Networks)

Nozomi Networks の公式サイト

Nozomi Networks は、OT/IoT環境を対象とする産業用サイバーセキュリティのソリューションです。守り方の中心は、ネットワークトラフィックを受動的に観察するパッシブ監視で、「Guardian」センサーをミラーポートやタップに接続して資産の可視化と異常・脅威の検知を行います。通信を妨げず追加の負荷をかけにくいため、稼働を止められない工場の環境に向いています。

クラウド型の「Vantage」で複数拠点を一元管理できるほか、完全オンプレミスやエアギャップ環境にも対応します。受動監視だけでは取りにくい機器情報を取得する「Smart Polling」や、任意で導入するエンドポイントセンサー「Arc」も用意され、環境に応じて組み合わせられます。ISA/IEC 62443などへの対応ページも公開しています。

5. TXOne Networks(TXOne Networks)

TXOne Networks の公式サイト

産業環境に特化したOTセキュリティの専業ベンダーが、TXOne Networks です。「運用を止めない(zero operational disruption)」ことを掲げ、エンドポイント・ネットワーク・可搬媒体の検査・集中管理を製品群でそろえます。

ネットワークセキュリティの「Edge」は180以上の産業プロトコルに対応し、エンドポイント保護の「Stellar」は古いWindowsを含むレガシー機器を幅広くカバーします。

工場に持ち込む機器やリムーバブルメディアを、環境に入れる前にソフト導入なしで検査する「Element」、拠点横断で資産を可視化・集中管理する「Sennin」など、工場の運用実態に合わせた製品構成が特徴です。ISA/IEC 62443などの規格への対応を公表しています。ただし、導入実績数やコスト削減率などは、いずれもベンダーの公称値です。

6. Industrial OT Security(パロアルトネットワークス)

パロアルトネットワークスの IoT/OT セキュリティの公式サイト

パロアルトネットワークスの Industrial OT Security は、機械学習とAIを使って工場のOT機器やIoT機器を検出・分類し、リスク評価と保護を継続的に行うサービスです。同社の次世代ファイアウォールと組み合わせ、ネットワーク側の通信やログから機器を識別するため、対象機器に個別のセンサーを追加せずに資産を可視化できる構成とされています。

OT/IT/IoT機器の識別とプロファイリング、最小権限アクセスの推奨、セグメンテーションやゾーニング、仮想パッチ(Frontier Virtual Patching)による保護などを備えます。すでに同社のファイアウォール製品を導入している企業であれば、ネットワーク基盤を生かしてOTの可視化・保護を広げられる点が選択肢になります。

ここで取り上げたのは、工場や制御系の可視化・診断に重点を置いたサービスです。OT以外のパソコン・サーバー・ネットワークまで含め、守る対象ごとにどんな対策ソリューションがあり、どう選べばよいかを広く見比べたい場合は、以下の記事がタイプ別に整理しています。

まとめ

OTセキュリティ対策を外部委託したときの費用は、脆弱性診断が50万〜500万円、コンサルティングが月50万〜200万円、SOC・監視運用が月30万〜150万円、IEC 62443認証取得支援が初回500万〜1,500万円以上が市場の目安です。中小の工場なら初年度160万〜380万円から、規模が大きくなるほど総額は積み上がります。

金額の幅が広いのは、拠点数・診断の深さ・契約形態といった条件で変わるためです。OTはITと違って稼働を止められず、レガシー機器も多いため、費用がITより重くなりやすい前提を理解したうえで、OTの実務経験があり成果物の範囲が明確な依頼先を選ぶことが大切です。

まず軽い診断から段階的に進め、対象になる補助金があれば活用しながら、自社の規模と対象に金額レンジを当てはめて予算のあたりを付けましょう。各サービスの詳しい内容や料金は、資料をまとめて取り寄せて比較できます。気になるサービスがあれば、まずは資料を集めて比較検討を進めてください。

よくある質問(FAQ)

Q. OTセキュリティとは何ですか?

A. OTセキュリティとは、工場の生産ラインや発電・インフラ設備を動かす制御システム(OT)を、サイバー攻撃から守るための対策です。パソコンやサーバーなどの情報システムを守るITセキュリティとは対象が異なり、生産設備を止めずに守る必要がある点が特徴です。制御システムを狙った攻撃は国内外で実際に発生しており、ITの情報システムとは別に、OTそのものを守る対策が求められています。

Q. OTセキュリティ対策の費用相場はどのくらいですか?

A. OTセキュリティ対策の費用は依頼するサービスの種別によって分かれ、脆弱性診断が50万〜500万円、コンサルティングが月50万〜200万円、SOC(監視運用)が月30万〜150万円、IEC 62443認証取得支援が初回500万〜1,500万円以上が市場の目安です。

いずれも対象拠点数や診断の深さによって上下する幅のある目安で、単一ベンダーの提示額ではありません。実際の金額は、何をどこまで依頼するかで大きく変わります。

Q. OTセキュリティ対策の脆弱性診断・コンサルティング・SOC(監視)は何が違いますか?

A. この3つは役割が異なり、脆弱性診断は弱点の洗い出し、コンサルティングは対策方針の策定・助言、SOC(監視運用)は導入後に異常を継続して見張る運用です。診断は「どこに弱点があるか」を単発で調べる工程、コンサルティングはその結果をもとに「何をどう対策するか」を計画する工程、SOCは対策後に「攻撃の兆候がないか」を月額で見張り続ける運用にあたります。

費用も、診断とコンサルは単発やプロジェクト単位、SOCは月額という違いがあります。

Q. OTセキュリティ対策の費用はなぜITセキュリティより高くなるのですか?

A. OTセキュリティ対策がITより高くなりやすいのは、制御システムが可用性を最優先し簡単に止められないうえ、レガシー機器が多く、現場でのオンサイト作業が前提になりやすいからです。

生産ラインを止められないため、ITで一般的な能動的スキャンを避けて通信を妨げないパッシブ診断などを選ぶ必要があり、古い制御機器には最新のセキュリティソフトを入れられないことも多く、別の手立てが要ります。こうした手間が人日に反映され、費用が重くなります。

Q. 中小規模の工場はOTセキュリティ対策をいくらから始められますか?

A. 中小規模の工場では、書面調査とパッシブ診断を組み合わせた100万〜250万円程度から着手するのが市場の一つの目安です。いきなり詳細診断や包括的なコンサルティングを頼むのではなく、まず軽い診断で全体像と優先順位をつかみ、リスクの高い箇所から順に対策を進めると初期投資を抑えられます。

診断・対策・教育まで含めた初年度の総額イメージは160万〜380万円程度が目安とされ、翌年以降は監視運用が継続費として乗ってきます。

Q. OTセキュリティ対策に補助金は使えますか?

A. OTセキュリティ対策には「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金)の「セキュリティ対策推進枠」を使える場合がありますが、対象はIPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスの利用料(最大2年分)に限られます。補助額は5万〜150万円、補助率は1/2以内(小規模事業者は2/3以内)です。

OTの脆弱性診断・コンサルティング・IEC 62443認証取得支援といった単発の費用は、基本的にこの枠の対象になりにくいため、補助金を当てにする場合は自社が使いたいサービスが対象リストに含まれるかを事前に確認してください。

出典・参考資料(1件)

Q. IEC 62443認証の取得にはいくらかかりますか?

A. IEC 62443認証の取得支援は、初回取得で500万〜1,500万円以上、取得後の年次審査(維持)で年100万〜300万円が市場の目安です。IEC 62443は産業用の制御システムを対象とする国際規格シリーズで、対象とする規格の区分(組織のマネジメント体制か、開発プロセスか、コンポーネントか)によって費用に幅があります。

見積もりでは、認証審査そのものにかかる費用と、取得を支援するコンサルの費用を分けて確認しておくとよいでしょう。

Q. OTセキュリティ対策の依頼先(コンサル会社)はどう選べばよいですか?

A. OTセキュリティ対策の依頼先は、OT実務の経験とITとの違いの理解があること、成果物と対応範囲が明確なこと、診断から運用まで一貫して任せられることの3点で見極めるのが基本です。特に重要なのが、可用性を優先し現場を止められないというOT特有の前提を理解しているかどうかで、ITの手法をそのまま持ち込む相手では現場に支障をきたしかねません。

過去のOT案件の実績や成果物の具体性を確認し、できれば同じ条件で複数社から相見積もりを取って比べると、妥当な依頼先を選びやすくなります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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