取引先から毎日のように届くFAX・電話・メール・Excelの注文を、担当者が基幹システムへ手入力している。転記ミスや在庫・納期の確認に追われ、取引先ごとの価格や注文条件が特定の担当者に属人化している。こうした受発注業務の負担を解消しようと、「受発注システムを作りたい」と考え始める企業は少なくありません。
しかし、いざ進めようとすると「そもそもどこに頼めばよいのか」「ゼロから開発するのか、既製のパッケージを自社向けに調整するのか」「費用はいくらかかるのか」といった疑問が次々と出てきます。IT開発の発注に慣れていないと、最初の一歩が踏み出しにくいものです。
本記事では、受発注システムの開発を依頼する先の種類と向き不向き、ゼロからの開発と既製パッケージのカスタマイズの違い、費用の目安、依頼から納品までの流れと準備、契約で失敗しないための注意点までを整理します。自社に合った頼み方を選び、次の一歩に進むための判断材料としてご活用ください。
目次
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受発注システムは「どこに・どう頼む」?依頼先3つの選択肢
受発注システムを用意する方法は、大きく3つに分かれます。開発会社(受託開発・SIer)に発注する、フリーランス・クラウドソーシングに依頼する、既製の受発注パッケージを導入して自社向けにカスタマイズする、の3つです。それぞれ向いているケースと費用感が異なるため、まずは全体像を押さえておきましょう。
開発会社(受託開発・SIer)に頼む
自社の業務に合わせてシステムを設計・開発してくれる会社に発注する方法です。要件整理から設計、開発、テスト、公開後の保守までを一貫して任せられるため、独自の商流や複雑な取引条件を抱える企業に向いています。大手のシステムインテグレーター(SIer)から中堅・中小の受託開発会社まで規模はさまざまで、規模の大小だけでなく、受発注業務や自社の業界への理解があるかが選定の分かれ目になります。
一方で、ゼロから作り込むほど初期費用と開発期間は大きくなり、公開後の保守・改修も継続的に発生します。「作りたいものが固まっていて、既製品では対応できない」段階の企業に適した選択肢です。
開発会社を選ぶときは、受発注システムや自社の業界での開発実績があるか、見積もりの内訳が具体的か、公開後の保守まで対応するかを確認しておきましょう。規模の大小よりも、自社の案件にどれだけ向き合ってくれるか(担当者の顔が見えるか、判断が早いか)が満足度を分けます。
フリーランス・クラウドソーシングに頼む
ランサーズ・クラウドワークス・ココナラなどのクラウドソーシングを通じて、個人のエンジニアに直接依頼する方法です。開発会社に比べて費用を抑えやすく、小規模な機能開発や一部の作り込みであれば現実的な選択肢になります。実際、これらのプラットフォームには受発注システム関連の案件や開発者が多数登録されています。
ただし、要件整理や進行管理を発注側が担う必要があり、公開後の保守や担当者の離脱といった継続性のリスクも考えておく必要があります。基幹システムとの連携や取引先ごとの複雑な価格設定まで含む大がかりな開発よりは、限定された範囲の開発に向いています。
既製の受発注パッケージを導入してカスタマイズする
受発注業務に必要な機能をあらかじめ備えたパッケージを導入し、自社の業務に合わせて必要な部分だけをカスタマイズする方法です。取引先別の価格設定・掛け払い・見積・分納といった企業間取引特有の機能が標準で用意されているため、ゼロから作るよりも初期費用・導入期間を抑えつつ、SaaSでは対応しきれない個社の商流にも寄せられる中間的な選択肢といえます。
「作りたいが、できればゼロから開発するほどの費用と期間はかけたくない」という場合に、まず検討する価値があります。具体的なサービスと公式料金は、記事後半のカスタマイズ対応の受発注パッケージという選択肢で紹介します。
3つの依頼先の違いを一覧で整理すると、次のようになります。
| 依頼先 | 開発会社(受託開発・SIer) | フリーランス・クラウドソーシング | 既製の受発注パッケージ+カスタマイズ |
|---|---|---|---|
| 向いているケース | 独自の商流・複雑な取引条件があり、既製品では対応できない。要件に合わせてゼロから作りたい | 小規模な機能開発・一部の作り込み。費用を抑えたい | 受発注の基本機能はそのまま使い、自社固有の部分だけ調整したい |
| 費用感 | 高め(数百万円〜。規模により数千万円規模にも) | 低め〜中程度(案件規模による) | 中程度(初期数百万円+月額数万円〜が目安) |
| 特徴 | 要件整理から保守まで一貫対応。自由度が高い反面、期間・保守負担は大きい | 費用を抑えやすいが、要件整理・進行管理は発注側。保守・継続性にリスク | 企業間取引の機能が標準装備。ゼロ開発より早く・安く、SaaSより柔軟 |
※費用感は一般的な目安であり、要件・規模により大きく異なります。
ゼロから開発する?既製パッケージを個社仕様に寄せる?自社に合うのはどちら
受発注システムを用意するとき、最初の大きな分かれ道が「ゼロから開発するか、既製の受発注パッケージを導入して個社仕様に寄せるか」です。ゼロからの開発は自由度が高い反面、費用・期間・保守負担が大きくなります。既製パッケージは導入が早く費用も抑えやすい一方、自社の商流に合わせられる範囲には限りがあります。判断の軸は、自社の受発注業務が既製品の想定からどれだけ外れているかです。
注文のやり取りをWeb化するだけなら、月額制で手軽に始められる既製のSaaS型受発注サービスで足りることもあります。取引先別価格・分納・基幹システム連携など自社固有の要件が増えるほど、カスタマイズ対応のパッケージや独自開発が必要になります。フリーランスへの依頼は小規模な開発に向くため、ここではゼロからの開発と既製パッケージのどちらが向くかを中心に見ていきます。

既製の受発注パッケージで足りる条件
受発注向けのパッケージには、企業間取引で必要になる機能が標準で備わっています。次のような業務項目が、既製パッケージの標準機能やカスタマイズの範囲で収まるなら、ゼロから開発する必要性は下がります。
- 注文の入口:FAX・電話・メール・Excelでの受注をWeb上の注文に置き換えられるか
- 取引先別の価格・掛け率:得意先ごとに異なる卸価格・掛け率を出し分けられるか
- 掛け払い・与信:請求書払い(掛け払い)や与信限度額を取引先ごとに設定できるか
- 見積・承認フロー:見積依頼や社内承認のワークフローに対応できるか
- 注文の単位・条件:最低ロット・荷姿・分納・受注残など、商品ごとの注文単位を扱えるか
- 基幹システム・EDI(電子データ交換)との連携:既存の販売管理・基幹システムやEDIと注文データを連携できるか
これらの多くは、受発注パッケージの標準機能や個別カスタマイズで対応できます。自社の要件がこの枠に収まるかを確認するのが、最初の判断になります。
SaaS・フルスクラッチ・パッケージがそれぞれどこで向き不向きが分かれるのかについて、受発注パッケージを提供する株式会社マルウェブの前山氏は、次のように説明しています。
BtoB取引は、企業ごとに価格体系、見積フロー、注文単位、承認ルール、基幹システムとの連携方法などが大きく異なります。SaaSは導入しやすい反面、こうした個別の要件に対応しづらい場合があります。一方のフルスクラッチは自由度こそ高いものの、初期費用や開発期間、将来の保守負担が大きくなります。
その中間として、BtoBに必要な機能を標準化したパッケージをベースにし、必要な部分だけを個別対応する形を取っています。こうすることで、コスト・導入スピード・柔軟性のバランスを取りやすくしています。
ゼロから開発したほうがよいケース
一方で、次のような場合はゼロからの開発(または大規模なカスタマイズ)が選択肢になります。
- 業界や自社に固有の商流・計算ロジックがあり、既製パッケージの想定から大きく外れる
- 既存の基幹システムや社内システムと深く結びついており、独自の連携や画面が必要
- 受発注だけでなく、生産・物流・請求などを含めた独自の業務全体を一体で作りたい
ゼロからの開発は自由度が高い反面、要件定義から設計・開発・テスト・保守までの負担が大きく、費用・期間ともにふくらみます。まずは既製パッケージで足りるかを確認し、「どうしても外れる部分がある」と分かってから、その部分だけを開発で補う、という進め方が現実的です。
既製のパッケージで足りるかを見極めるには、本記事で扱うカスタマイズ前提のパッケージだけでなく、より手軽なSaaS型も含めた受発注システムを横並びで見比べてみると判断しやすくなります。次の記事では、受発注システム全体を費用・機能・取引先の使いやすさで比較しています。
受発注システム開発・導入にかかる費用の目安
費用は依頼先と開発方法によって大きく変わります。ここでは、ゼロから開発する場合・フリーランスに頼む場合・既製パッケージを導入する場合に分けて、費用の考え方と目安を整理します。金額は要件や規模で大きく動くため、最終的な費用は相見積もりや公式の見積もりで確認してください。
ゼロから開発する場合の費用(人月単価・規模別)
受託開発の費用は、多くの場合「人月単価 × 必要な人月数(工数)」で見積もられます。人月とは1人のエンジニアが1か月稼働する作業量のことで、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の資料では1人月を160時間として換算しています。この工数に、エンジニアの役割(プロジェクトマネージャー・システムエンジニア・プログラマーなど)や難易度に応じた単価を掛け合わせて費用が決まります。
出典・参考資料(1件)
人月単価は技術者の役割や難易度によって幅があり、公的に定まった単価はありません。各社の見積もりで示される一般的な相場の目安としては、1人月あたりプログラマーで50万〜100万円台、システムエンジニアで60万〜160万円程度、プロジェクトマネージャーでは100万円を超えることもあります。
費用の総額は、作る機能の多さ・複雑さ(=工数)で決まります。受発注システムの場合、既存システムへの小規模な機能追加なら数十万〜100万円台が目安です。受注から請求までをWeb化する中規模開発なら数百万円、独自の商流や基幹システム連携まで作り込む大規模開発では1,000万円を超えることもあります。
幅が大きいのは、取引先別価格・分納・基幹システム連携など、どこまで自社固有の要件を作り込むかで工数が変わるためです。実額は複数社から相見積もりを取って確認しましょう。
フリーランス・クラウドソーシングに頼む場合の費用感
フリーランスやクラウドソーシングは、間接費が少なく依頼する範囲を限定できるため、費用を抑えやすいのが特徴です。受注フォームの作成や特定機能の開発といった小規模な案件であれば、数万円〜数十万円程度で依頼できることもあります。
一方で、受注から請求までの一連の仕組みをまとめて作る大きな開発には向きません。安さだけで選ぶと、要件整理や公開後の保守の負担が発注側に残る点も踏まえて判断しましょう。
既製パッケージ+カスタマイズの場合の費用(初期・月額)
既製の受発注パッケージを導入してカスタマイズする場合、費用は「パッケージの標準価格(初期費用)+カスタマイズ費用+月額の保守・利用料」という構成が一般的です。標準機能をベースにするため、ゼロからの開発に比べて初期費用と期間を抑えやすい一方、カスタマイズの規模が大きくなるほど費用は上がります。
目安としては、初期費用は数百万円規模、月額は保守・サーバー費を含めて数万円から十数万円程度に収まることが多いですが、カスタマイズの規模によって幅があります。各サービスが公式に提示している具体的な料金やモデルケースは、記事後半のカスタマイズ対応の受発注パッケージという選択肢で紹介します。
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受発注システムの開発を依頼する流れと最初の準備
依頼先を決めたら、実際の発注に進みます。開発の依頼は、準備→要件整理・RFP作成→相見積もり→比較・契約→開発・テスト→納品・保守、という流れで進むのが一般的です。ここでは、各段階で発注側がやるべきことを順に見ていきます。

まず今の受注〜請求の流れを書き出す(最初の準備)
最初にやるべきは、今の受注から請求までの業務の流れを書き出すことです。どの取引先から、どの入口(FAX・電話・メール・Excel)で注文が来て、誰がどのシステムに入力し、どこで在庫・納期・価格を確認し、どう請求しているのか。この現状の流れを1枚にまとめると、「どこを自動化したいのか」「どの業務が特殊なのか」が見え、依頼先への説明もぶれなくなります。
いきなり「こんなシステムが欲しい」と機能から考えるより、今の業務の困りごとを具体的に書き出すほうが、要件のずれを防げます。取引先ごとの価格や注文条件など、属人化している部分も合わせて洗い出しておきましょう。
要件整理とRFP(提案依頼書)に書く項目
現状を整理したら、依頼先に渡す提案依頼書(RFP)にまとめます。RFPは、依頼内容を複数の会社に同じ条件で伝え、提案と見積もりを比較するための書類です。一般的には、次のような項目を書きます。
- 解決したい課題・システム化の目的、対象とする業務範囲
- 必要な機能(取引先別価格・掛け払い・見積・分納・基幹連携など、受発注で欠かせない要件)
- 利用者・利用環境・連携したい既存システム
- 希望納期・予算の上限、提案してほしい内容と評価のポイント
機能要件(何ができるか)だけでなく、性能・可用性・運用保守・セキュリティといった非機能要件も書いておくと、提案の精度が上がります。非機能要件の考え方は、IPAが公開している「非機能要求グレード」が枠組みとして参考になります。
出典・参考資料(1件)
相見積もりは3〜5社/提案と見積もりの比較
RFPができたら、複数の会社に同じ内容で見積もりを依頼しましょう。相見積もりは3〜5社程度が現実的です。1〜2社では比較になりにくく、6社以上になると提案を検討するだけで手が回らなくなります。本命の数社に、比較のための数社を加えるイメージです。
比較するときは、金額だけでなく、提案内容・作業範囲・保守条件まで前提をそろえて見比べましょう。同じRFPを渡しているからこそ、各社がどこまでを見積もりに含めているか、どの部分を別途費用としているかの違いが見えてきます。
契約・開発・テスト・納品・保守までの流れ
依頼先と内容が固まったら、契約を結び、要件定義・設計・開発・テストへと進みます。開発中は進捗の共有と認識合わせを欠かさず、納品前には発注側も実際の業務を想定した受け入れテスト(UAT)に参加し、思っていた動きになっているかを確かめましょう。
公開して終わりではなく、その後の保守・改修まで見据えておくことも大切です。障害対応・データ修正・機能改修などをどこまで・いくらで引き受けてもらえるのか、契約の段階で保守の範囲と費用を確認しておきましょう。
依頼で失敗しないための契約形態と注意点
システム開発の契約には主に「請負契約」と「準委任契約」があり、どちらを選ぶかで責任の範囲や費用の考え方が変わります。違いを理解しておくと、契約時のトラブルを避けやすくなります。
契約形態(請負・準委任・ラボ型)の違いと使い分け
請負契約は、成果物の完成に対して報酬を支払う契約です。民法では次のように定められています。
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百三十二条|e-Gov 法令検索
請負では、受注者が仕事を完成させる責任を負い、発注側は完成した成果物に対して報酬を支払います。「作るものが明確に決まっている」開発に向いた契約形態です。
一方の準委任契約は、成果物の完成ではなく、業務の遂行そのものに対して報酬を支払う契約です。民法は、法律行為でない事務の委託について委任の規定を準用すると定めており、これが準委任にあたります。
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百五十六条|e-Gov 法令検索
準委任では、受注者は専門家として業務を適切に進める義務を負いますが、請負のように成果物の完成責任までは負いません。仕様が固まりきっていない段階や、要件を調整しながら進めたい開発に向いています。「ラボ型(ラボ契約)」と呼ばれる契約もありますが、これは民法上の契約類型ではなく、一定期間・一定の開発体制を確保して継続的に開発を委託する準委任型の運用を指す実務上の呼称です。
依頼で失敗しないための注意点
発注でよくある失敗は、契約前のすり合わせ不足から起こります。次の点に注意すると、「思っていたものと違う」「後から費用が膨らんだ」といったトラブルを避けやすくなります。
- 見積もりが「一式」表記だけになっていないか:内訳が不明なままだと、どこまでが費用に含まれるかが曖昧になり、追加費用の温床になります
- 要件定義を急いでいないか:1回の打ち合わせで要件を固めようとすると、仕様のずれが後工程で表面化します。現状の業務整理に時間をかけましょう
- 成果物の権利と保守条件が明確か:納品物の著作権の帰属、公開後の保守範囲・費用を契約書で確認しておきます
特に受発注システムは、取引先別の価格や分納など自社固有の条件が多く、要件のずれが起きやすい領域です。最初の準備(現状の業務の書き出し)に時間をかけ、依頼先と認識を合わせながら進めることが、失敗を避ける近道になります。
開発せずに導入できる?カスタマイズ対応の受発注パッケージという選択肢
「受発注業務をWeb化したいが、ゼロから開発するほどの費用と期間はかけにくい」という場合、カスタマイズ対応の受発注パッケージが現実的な選択肢になります。企業間取引に必要な機能を標準で備えつつ、自社の商流に合わせて必要な部分だけを個別にカスタマイズできるため、ゼロ開発より早く・費用を抑えて導入しやすいのが特徴です。
ここでは、カスタマイズに対応する代表的な受発注パッケージ・BtoB EC構築パッケージを紹介します。
紹介するサービスには、受発注に特化したシステムと、BtoB向けのEC構築パッケージが含まれます。BtoB EC構築パッケージは、取引先別価格・掛け払い・見積といった企業間取引の機能を備えており、既存の取引先との受発注をWeb化する用途にもそのまま使えます。
自社の用途(既存取引先との受発注が中心か、新規顧客も含むBtoB通販まで広げたいか)に合うかを、各サービスの説明と後述の比較表で確認してください。
1. DX BtoB Web受発注システム(株式会社マルウェブ)

DX BtoB Web受発注システムは、株式会社マルウェブが提供するパッケージ型の受発注システムです。FAX・電話・メールで行っている企業間の受発注をWeb化し、受注・見積・取引先別価格・注文条件などを一元管理できます。基盤には、企業間取引に必要な機能拡張に対応するMagento Open Source/Adobe Commerceを採用しています。
クイックオーダーやCSV発注、取引先別価格、見積依頼、納期・請求情報の確認といった機能を標準で備え、そのうえでERP・基幹システムとの連携やAI OCRなど、企業ごとの業務に合わせた拡張に個別対応します。
料金は標準パッケージが300万円、導入サポート・基本パックが150万円〜です(いずれも税抜、2026年10月時点の公式サイトによる)。保守は標準システム価格の15%を12分割して月次請求する形で、月額ライセンス料はかかりません。SaaSではなくパッケージ型で、必要な部分だけをカスタマイズできる点を、同社は強みとして挙げています。
出典・参考資料(1件)
2. アラジンEC(株式会社アイル)

アラジンECは、株式会社アイルが提供するBtoB専用のWeb受発注システムです。「基幹システム開発会社が作ったシステムで受発注業務をかんたんに」を掲げ、得意先ごとの購入可能商品・単価・決済方法の制御、掛け払い対応、最低ロット設定など、企業間取引特有の商習慣に標準で対応します。標準機能に加え、業界・取引形態に応じたカスタマイズを個別見積もりで提供する「カスタマイズ対応型パッケージ」というモデルです。
公式の料金ページには、カスタマイズ規模に応じたモデルケースが掲載されています(2026年9月時点。実際の金額は個別見積もり)。初期費用は小規模400万〜800万円・中規模800万〜1,500万円・大規模1,500万円〜、月額費用は7万〜15万円以上で、注文数や取引金額による従量課金のない月額固定型です。自社の販売管理パッケージ「アラジンオフィス」との標準連携も特徴です。
出典・参考資料(1件)
3. EC-ORANGE(株式会社エスキュービズム)

株式会社エスキュービズムのEC-ORANGEは、パッケージ型でありながらライセンス契約者にソースコードを開示するオープン設計を特徴とするEC構築パッケージです。特定ベンダーへの依存を避けつつ、自社の要件に合わせた作り込みや内製化への移行がしやすい構成を打ち出しています。BtoC・BtoB・BtoBtoBなど多様な取引形態に対応します。
法人顧客ごとの掛け率設定、与信・売掛管理、見積依頼・承認ワークフローといった企業間取引の機能を備え、基幹システムとの連携にも対応します。料金は要件定義にもとづく個別見積もりで、公式には具体的な金額の記載はありません(カスタマイズの内容や導入規模によって変動)。
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4. SI Web Shopping(株式会社DGビジネステクノロジー)

1996年に登場したSI Web Shoppingは、現在は株式会社DGビジネステクノロジー(デジタルガレージグループ)が提供するEC構築パッケージで、累計1,100サイトを超える導入実績があります。ソースコードとデータベース構造を完全に公開する方式で、開発会社への継続依存を避け、自社エンジニアへの内製化に移りやすい点を強みとしています。
掛け率・与信管理・承認フローといったBtoB取引に必要な機能を標準で備え、既存の基幹システムとのデータ連携にも対応します。中堅〜大規模・高トランザクションのEC運用に向いた構成で、料金は要問い合わせです(公式サイトに料金ページの記載なし)。
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5. HIT-MALL(アイテック阪急阪神株式会社)

阪急阪神東宝グループのアイテック阪急阪神株式会社が手がけるHIT-MALLは、BtoC ECに加え、BtoB EC・百貨店EC・ギフトECなど幅広い業態に対応するECサイト構築・運用サービスです。サイト制作から運用・システム運用・物流管理までをワンストップで支援します。マイクロサービス設計を採用し、標準機能に加えて顧客ごとの個別機能を柔軟に実装できる点を打ち出しています。
BtoB向けには、法人会員ごとの掛け率設定による卸売価格の自動計算、与信限度額の会員別設定、見積書の発行機能などを標準で搭載します。初期投資を抑えたクラウド版と、カスタマイズに対応するパッケージ版の2つを用意し、料金は個別見積もりです(導入費用は顧客ごとに個別見積もりと公式に明記)。
出典・参考資料(1件)
ここで紹介したサービスの機能・料金・連携対応を一覧で比較すると、次のとおりです。
| サービス名 | DX BtoB Web受発注システム | アラジンEC | EC-ORANGE | SI Web Shopping | HIT-MALL |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社マルウェブ | 株式会社アイル | 株式会社エスキュービズム | 株式会社DGビジネステクノロジー | アイテック阪急阪神株式会社 |
| 提供形態 | パッケージ型 (Magento/Adobe Commerceベース) | カスタマイズ対応型パッケージ (BtoB専用Web受発注) | パッケージ型 (ソースコード開示のオープン設計) | パッケージ型 (ソースコード・DB構造を完全公開) | パッケージ版/クラウド版 (マイクロサービス設計) |
| 個社カスタマイズ対応 | ●標準+必要部分を個別対応 | ●規模別の個別見積で対応 | ●ソース開示で作り込み・内製化も | ●ソース開示で作り込み・内製化も | ●マイクロサービスで個別実装 |
| 取引先別価格・掛け率 | ●条件別価格設定(標準) | ●得意先別単価・掛け率(標準) | ●掛率設定(標準) | ●バイヤー別の仕切り率(標準) | ●法人会員別の掛け率(標準) |
| 掛け払い・与信 | △請求書発行のみ(与信は記載なし) | ●掛売対応(与信審査は記載なし) | ●与信・締め日設定に対応 | ●与信・締め日設定に対応 | ●与信限度額を会員別に設定 |
| 見積・承認 | △見積依頼は標準(承認フローは記載なし) | △見積は標準(承認フローは別製品での対応となる場合あり) | ●見積・承認フローに対応 | ●見積・発注承認に対応 | △見積書は標準(承認フローは記載なし) |
| 基幹システム連携 | ●CSVは標準、ERP・APIは個別対応 | ●基幹連携に対応(他社ERPは要相談) | ●API・CSVで基幹連携 | ●EAIで基幹連携(標準) | ●ERP・WMSとAPI連携 |
| 初期費用 | 標準パッケージ300万円/導入サポート・基本パック150万円〜 (税抜、2026年10月時点) | 400万円〜 (公式モデルケース、規模で変動) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 月額ライセンス料なし (保守:標準価格の15%÷12、サーバー保守4万円〜は別途) | 7万円〜 (月額固定型、規模で変動) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
※表内の●は標準対応、△は一部対応または公式に記載のない項目です。機能の詳細や最新の料金は各社の公式情報をご確認ください。
まとめ
受発注システムの開発を依頼する先には、開発会社・フリーランス/クラウドソーシング・既製パッケージのカスタマイズという3つの選択肢があります。独自の商流で既製品では対応できないならゼロからの開発、費用を抑えて限定的に作るならフリーランス、受発注の基本機能を活かしつつ自社固有の部分だけ調整したいなら既製パッケージ、というのが大まかな分かれ方です。
進め方のコツは、いきなり機能から考えず、今の受注〜請求の流れを書き出して「どこが特殊なのか」を把握することです。そのうえで、まず既製パッケージで足りるかを確認し、外れる部分だけを開発で補う形が、費用と期間のバランスを取りやすい現実的な進め方といえます。費用の目安を押さえ、RFPを用意して3〜5社に相見積もりを取り、契約形態と保守条件まで確認して進めましょう。
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受発注システムの開発依頼に関するよくある質問(FAQ)
Q. 受発注システムの開発は、どこに依頼すればよいですか?
A. 受発注システムの開発先は、開発会社(受託開発・SIer)・フリーランス/クラウドソーシング・既製の受発注パッケージのカスタマイズの3つに大きく分かれます。独自の商流があり既製品では対応できないなら開発会社、費用を抑えて小規模に作るならフリーランス、受発注の基本機能はそのまま使い自社固有の部分だけ調整したいなら既製パッケージのカスタマイズが向いています。
まずは自社の受発注業務が既製品の想定からどれだけ外れるかを確認し、外れる部分が少なければ既製パッケージから検討するのが、費用と期間のバランスを取りやすい進め方です。
Q. 受発注システムは、ゼロから開発するのと既製パッケージのカスタマイズのどちらが安いですか?
A. 一般的には、既製の受発注パッケージをカスタマイズするほうが、ゼロからの開発より初期費用と期間を抑えやすいです。取引先別価格・掛け払い・見積・分納といった企業間取引の機能が標準で用意されているためです。
ただし、自社の商流が既製品の想定から大きく外れるほどカスタマイズの規模が膨らみ、費用はゼロ開発に近づきます。最終的な金額は要件・規模で大きく動くため、相見積もりや公式の見積もりで確認してください。
Q. 要件がまだ固まっていなくても、受発注システムの開発を相談できますか?
A. 要件が固まっていなくても相談できます。むしろ固める前の段階で相談するほうが、仕様のずれを防ぎやすくなります。 仕様を調整しながら進めたい段階では、成果物の完成ではなく業務の遂行に対して報酬を払う準委任契約が向いています。相談時に用意するのは、今の受注から請求までの業務の流れや、困っている場面を書き出したメモで十分です。
Q. 今のExcelの受注データは、新しい受発注システムに移せますか?
A. 移行は可能ですが、変更・取消の履歴が残っていないExcelデータは、残数や請求済みの数量が合わない注文が出ることがあります。 移行する対象期間と、数字が合わない注文をどう確定するかを事前に決めておくと、切り替え時の混乱を防げます。また、Excelの手作業の流れをそのまま持ち込むより、「何を管理したいのか」を整理し直してから設計したほうが、使いやすいシステムになります。
Q. 取引先がFAXをやめてくれなくても、受発注システムを作る意味はありますか?
A. 入口がFAXのままでも、受け付けた注文を台帳に登録して管理すれば、変更・分納・請求を追跡でき、転記ミスや確認作業の負担を減らせます。FAXの読み取りや入力そのものの手間まで減らしたい場合は、AI OCRなど入口の自動化を別途追加する形になります。まず社内の受注管理を整え、入口の自動化は後から足す、という進め方もできます。
FAX受注そのものを効率化する手段(クラウドFAX・AI-OCR・受発注システム)と費用の比較は『FAX受注を効率化する方法』でまとめています。
Q. EDIと受発注システムは何が違いますか?
A. EDIは取引先とのあらかじめ決めた形式でデータを交換する仕組みで、社内での注文の変更・分納・請求といった管理までは扱いません。一方の受発注システムは、受けた注文を社内で管理する仕組みです。EDIで受けた注文も社内の台帳で管理する必要があるため、EDIは注文の入口の1つと位置づけ、両者を連携させて使うのが一般的です。
EDIの対応プロトコルやデータ形式の違い、取引先ごとの違いを吸収する選び方は『EDIシステム比較21選』で解説しています。
Q. 受発注システムの開発は、何社に相見積もりを取ればよいですか?
A. 相見積もりは3〜5社程度が現実的です。 1〜2社では比較になりにくく、6社以上になると提案を検討するだけで手が回らなくなります。本命の数社に、比較のための数社を加えるのが効率的です。各社には同じRFP(提案依頼書)を渡し、金額だけでなく作業範囲や保守条件まで前提をそろえて比べましょう。
Q. 受発注システムの公開後の保守・改修の費用は、どう決まりますか?
A. 保守費用は「開発費の何割」と一律に決まるのではなく、障害対応・データ修正・機能改修・サーバー管理など、どこまでを引き受けてもらうかの範囲によって決まります。 既製パッケージでは、標準システム価格の一定割合(例: 15%)を月額で支払う形もあります。契約の段階で保守の範囲と費用を明確にし、軽微な修正は社内で対応して大きな改修だけ依頼する、といった分け方も検討しましょう。
Q. 受発注システムの開発を個人(フリーランス)に依頼しても問題ありませんか?
A. 小規模な機能開発や一部の作り込みであれば、フリーランスへの依頼は費用を抑えられる現実的な選択肢です。 一方で、要件整理や進行管理を発注側が担う必要があり、公開後の保守や担当者の離脱といった継続性のリスクもあります。基幹システムとの連携や取引先ごとの複雑な価格設定まで含む大がかりな開発よりは、範囲を限定した開発に向いています。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















