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漁業向け給与計算ソフト比較8選|漁協・水産事業者の変形労働・歩合に対応する選び方

漁業向け給与計算ソフト 比較8選のサムネイル画像
給与計算ソフト比較表(2026年版)のプレビュー

主要14サービスの料金・機能を無料で一覧比較

給与計算ソフト比較表(2026年版)

漁期の水揚げに合わせて労働時間が増減し、日給・時給・歩合・固定給が入り混じる漁協や水産事業者の給与計算に、負担を感じていませんか。繁忙期は早朝の市場勤務でパートや季節労働者が増え、紙やエクセルでの集計では転記ミスや属人化が起きやすくなります。

さらに漁業は、労働基準法上の労働時間規制の扱いが一般の業種と異なり、自社の事業がどの区分に当たるかで給与計算の前提そのものが変わります。季節雇用者の入退社に伴う社会保険の手続きや、毎年の年末調整の工数も重なり、給与計算ソフトの導入や見直しを検討する漁協・水産事業者が増えています。

本記事では、漁協や水産事業者の給与計算に向く給与計算ソフト8サービスを比較・解説します。勤怠との連携方式や変形労働時間制・歩合給への対応、年末調整、料金といった観点を整理し、自社がどの労働時間規制の区分に当たるかという漁業特有の論点まで踏み込みました。漁協・水産事業者の担当者が、自社に合うソフトを判断するための材料としてご活用ください。

また、自社に合う候補を手早く絞り込めるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」も記事内にご用意しています。

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本記事の対象範囲(漁協・水産事業者向け)

本記事では、漁業協同組合(漁協)や、漁業・養殖・水産加工・水産流通に携わる事業者が、漁業特有の給与計算に対応できる給与計算ソフトを選べるよう、8サービスを比較します。組合員数・従業員数十名規模で、総務や経理の担当者が給与計算を兼務していることが多い組織を想定し、漁期の繁閑に伴う変動勤務や、日給・歩合・季節雇用が混在する給与形態に向く製品を取り上げます。

給与計算ソフトは業種を限定せず利用できる汎用の製品が中心のため、ここでは「漁業の働き方に合うか」という観点で絞り込んでいます。漁業という絞り込みを外して、業種を問わず幅広く候補を比較したい場合は、給与計算ソフト全般を機能・料金・選び方で横並びにした次の比較記事が出発点になります。

漁業・漁協の給与計算はなぜ難しいのか

漁業・漁協の給与計算が一般的な事務職中心の職場より複雑になるのは、漁期に左右される働き方と、多様な給与形態が重なるためです。まず押さえておきたい難所を整理します。

漁期の繁閑で労働時間が大きく変動する

水揚げが集中する漁期には、内勤の事務担当者まで早朝から市場に出て作業することがあり、残業が慢性化しがちです。一方で漁閑期は業務量が落ち着くため、月ごとに労働時間の山谷が大きくなります。この繁閑差をそのまま時間どおりに計算しようとすると、月による残業代の増減が読みにくく、勤怠の把握も紙の出勤簿では追いつかなくなります。

ただし後述のとおり、漁業・養殖では残業や休日労働に対する割増賃金そのものの扱いが一般の業種と異なります。自社の事業がどの区分に当たるかで、計算すべき割増が変わる点に注意が必要です。

日給・時給・歩合・固定給が混在する

漁業の現場では、固定給の職員に加えて、日給で働く作業員、時給のパート、水揚げ高や漁獲量に連動した歩合を受け取る従事者が同じ組織に混在することがあります。給与の計算根拠が人によって違うため、手当や控除の設定が煩雑になり、支給項目の設計を誤ると支払い漏れや過払いにつながります。歩合のように毎月実績が変わる支給は、エクセルの手入力では特にミスが起きやすい部分です。

季節労働者・パートの入退社が多い

漁期に合わせて短期の作業員やパートを多く雇用する組織では、その都度の従業員登録や社会保険の資格取得・喪失手続きが発生します。入退社が集中する時期には、給与データの初期設定だけで相当の工数がかかり、担当者の負担が一時的に増加します。

労働時間規制の適用が事業の種類で分かれる

漁業は、労働基準法が定める労働時間・休憩・休日の規定の適用関係が、一般の業種と異なります。純粋な漁業・養殖なのか、水産加工や流通なのかによって、残業や休日労働の割増賃金を計算する必要があるかどうかが変わるため、自社の事業がどの区分に当たるかを見極めたうえで計算の前提を決める必要があります。

この点は給与計算ソフトを選ぶうえでも重要なので、記事後半の「漁期の変形労働時間制・割増賃金への対応と注意点」で詳しく整理します。

漁業向け給与計算ソフトの選び方

ここからは、漁協・水産事業者が給与計算ソフトを選ぶときに確認したい観点を解説します。漁業特有の働き方に効く軸から順に見ていきます。

勤怠とどう連携できるか(連携方式と多拠点の一元管理)

漁期の繁閑で勤務が変わる職場ほど、勤怠データを給与計算へ正確に引き渡せるかが効率を左右します。連携の方式は製品によって異なり、同一シリーズの勤怠管理と自動で連携するもの、APIやCSVで外部の勤怠管理システムと接続するもの、連携自体を有償オプションとするものがあります。市場・加工場・事務所など複数の拠点で働く従業員の勤怠を一元管理できるかも、確認しておきたい点です。

紙の出勤簿やタイムカードを手集計している場合は、スマートフォンやICカードでの打刻に対応し、打刻データがそのまま給与計算に流れる仕組みを選ぶと、転記の手間とミスを減らせます。

漁業固有の給与計算(変形労働時間制・歩合/日給・季節雇用)に対応できるか

漁期の繁閑に合わせて所定労働時間を配分する運用をとる場合、1か月単位や1年単位の変形労働時間制の設定に対応しているかを確認します。また、日給・時給・歩合といった複数の計算根拠を支給項目として設定でき、水揚げ連動の歩合のように毎月変動する金額を取り込めるかも重要です。

たとえば水揚げ連動の歩合なら、毎月の水揚げ高や数量を明細に入力すると単価や歩率を掛けて自動計算できる製品もあります。毎月値が変わる支給ほど、手入力に頼らず計算式で吸収できるかを具体的に確認しておくとよいでしょう。

季節労働者やパートの入退社が多い組織では、従業員の登録・社会保険の資格取得喪失・日割り計算をどこまで効率よく処理できるかが、繁忙期の負担を左右します。

ここで見るのは製品の対応力です。自社に変形労働時間制や割増賃金の計算がそもそも必要かという法令上の前提は、後半の「漁期の変形労働時間制・割増賃金への対応と注意点」で整理します。

年末調整・給与明細電子化に対応し、料金とサポートが見合うか

毎年の年末調整までソフト内で完結できるか、給与明細を電子化して配信できるかは、担当者の年間の負担に直結します。給与明細の電子化は、所得税法により、受け取る従業員の承諾を得れば電磁的方法で提供でき、本人から請求があった場合は書面の交付が必要とされています。導入時は、こうした同意の取得や配信の運用に対応しているかを確認しておくと安心です。

料金は、クラウド型で月額数千円から利用できる少人数向けの製品から、組合の基幹業務まで含む統合型まで幅があります。総務が給与計算を兼務する組織では、導入後の操作のしやすさや、不明点を相談できるサポート体制も、料金と合わせて見ておきたい要素です。

出典・参考資料は以下のとおりです。

出典・参考資料(1件)

漁業向け給与計算ソフトのタイプ

漁業向けに使える給与計算ソフトは、運用の範囲によって大きく3つのタイプに分かれます。自社が「給与計算をクラウドで効率化したいのか」「販売や会計まで含めて組合業務全体を一体で扱いたいのか」「漁協専用の仕組みを使いたいのか」で、検討すべき製品が変わります。

自社の給与計算をクラウドで完結する標準タイプ

給与計算と年末調整、給与明細の配信を中心に、クラウドで完結する標準的なタイプです。月額数千円からの料金で導入でき、総務や経理が兼務で扱いやすい操作性を備えた製品が多いのが特徴です。同じシリーズや外部の勤怠管理と連携して打刻データを取り込めるため、まず給与計算の手作業を減らしたい漁協・水産事業者に向きます。

販売・会計・購買まで一体で扱う統合業務システム型

給与計算を、販売・購買・在庫・会計といった基幹業務と同じ仕組みの中で扱うタイプです。漁獲物の販売や資材の購買など、給与以外の業務もシステム化したい組織では、データを一元管理でき、部門ごとの収支把握までつなげられます。給与計算だけが目的なら標準タイプより重装備ですが、組合業務を広くデジタル化したい場合の選択肢になります。

漁協業務に特化した専用システム型

漁協の購買・販売・魚市場・組合員管理・財務会計などを統合する、漁協専用の基幹業務システムです。人事給与はその中のサブシステムとして位置づけられ、漁協固有の業務に合わせて構築される点が特徴です。汎用の給与計算ソフトとの違いや使い分けは、記事後半の「漁協向け専用ERPと汎用の給与計算ソフトの使い分け」で整理します。

各タイプに該当する主なサービスは次のとおりです。

← 横にスクロールできます →
タイプ自社の給与計算をクラウドで完結する標準タイプ販売・会計・購買まで一体で扱う統合業務システム型漁協業務に特化した専用システム型
特徴給与計算・年末調整・明細配信をクラウドで完結。低コストで導入しやすく、勤怠連携で打刻データを取り込める給与を販売・購買・会計などの基幹業務と同じ仕組みで管理。組合業務を広くデジタル化したい組織向け漁協の購買・販売・魚市場・組合員管理などを統合する専用の基幹業務システム。人事給与はサブシステム
該当する主なサービス弥生給与 Next、給与奉行クラウド、マネーフォワード クラウド給与、freee人事労務、給料王SmileWorks、SMILE V 2nd EditionISARI

しかし、自社がどのタイプに適しているか、といった判断が難しいケースも存在します。そのような場合でも貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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【比較表】漁業向け給与計算ソフトを比較

ここからは、漁協・水産事業者の給与計算に向く主要8サービスを、漁業の働き方に効く観点で比較します。提供形態・料金に加え、変形労働時間制への対応、勤怠との連携方式、年末調整、給与明細の電子化、対象規模を一覧で確認できます。

← 横にスクロールできます →
サービス名弥生給与 Next給与奉行クラウドマネーフォワード クラウド給与freee人事労務給料王SmileWorks(スマイルワークス)SMILE V 2nd EditionISARI
提供形態クラウド型クラウド型クラウド型クラウド型パッケージ版/クラウド版クラウド型(統合ERP)クラウド/オンプレミス要お問い合わせ
(オーダーメイド構築)
料金初期費用0円
月額1,700円〜7,000円(税抜)
初期費用0円〜70,000円
月額5,500円〜121,000円
初期費用0円
月額2,480円〜(税抜・年払い)
初期費用0円
月額2,000円〜(5名分・年払い)
クラウド版 月額3,278円〜5,478円
パッケージ版 初年度82,500円
初期費用0円〜
月額5,000円〜(税別・オプション別)
要お問い合わせ
(個別見積もり)
要お問い合わせ
歩合・日給●カスタム計算式●計算式で設定●カスタム項目●スタンダード以上要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ
変形労働時間制●要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ
勤怠連携●API連携●API・CSV連携●API・CSV連携●API連携・打刻内蔵△CSV取込・自社勤怠と同期●勤怠機能を内蔵要お問い合わせ要お問い合わせ
年末調整●ベーシックライト以上●△別製品と連携●管理者入力は全プラン●●要お問い合わせ要お問い合わせ
給与明細電子化●●●●●要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ
対象規模中小企業20名〜1,000名個人〜大企業小規模〜(従量制)中小企業・個人事業主小規模〜大企業要お問い合わせ漁協・魚市場
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト公式サイトサービス詳細を見るサービス詳細を見る公式サイト

※上記は各サービスの一般的な機能の傾向で、料金・機能は2026年10月時点の各社公式情報によります。実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)は各社情報をご確認ください。

※「歩合・日給」「変形労働時間制」は公式で対応(計算式での設定を含む)が確認できる製品を●とし、「要お問い合わせ」は公開情報で確認できないことを示します。なお純粋な漁業・養殖では変形労働時間制や法定の時間外・休日割増が前提にならない場合があります(後述)。

※統合業務システム型(SmileWorks・SMILE V 2nd Edition)と漁協専用システム型(ISARI)は、給与単体ではなく組合業務を一体で管理したい組織向けの選択肢として併記しています。給与機能の詳細は個別にご確認ください。

漁業向け給与計算ソフトの個別紹介

ここからは、先ほどのタイプごとに各サービスの特徴を紹介します。まずは、給与計算をクラウドで完結できる標準タイプから見ていきます。

自社の給与計算をクラウドで完結する標準タイプ

1. 弥生給与 Next(弥生株式会社)

弥生給与 Nextのウェブサイト

弥生給与 Nextは、弥生株式会社が提供するクラウド型の給与計算サービスです。給与・賞与計算から給与明細のWeb配信、年末調整までをクラウドで扱え、勤怠管理の弥生勤怠 Next(KING OF TIMEのOEM提供)や労務管理の弥生労務 Nextを、プランに応じて組み合わせられます。

残業手当は、1時間あたりの単価を自動計算する「計算単価」に対応し、割増率は明細項目の計算式に倍率を設定して扱います。早朝の市場勤務で発生する深夜割増のように漁業・養殖でも支払いが必要な割増は、計算式に設定しておけば毎月自動で計算できます。日給・時給や水揚げ連動の歩合のように変動する支給も、明細項目のカスタム計算式で設定できます(ベーシックライト以上)。

公式の料金プランでは、フレックスタイム制・変形労働時間制・裁量労働制での給与計算が全プランの対象とされています。

料金はエントリーの月額1,700円からベーシックプラスの月額7,000円まで(いずれも税抜・年契約時の月あたり)で、初期費用は0円、最大2か月間の無料体験を用意しています。公式サイトは20名以上と20名未満で案内を分けており、総務が給与計算を兼務する漁協・水産事業者でも段階的にプランを選べます。

2. 給与奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

給与奉行クラウドのウェブサイト

東証プライム上場の株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が展開する「奉行シリーズ」の一つが、クラウド型の給与奉行クラウドです。給与・賞与計算、年末調整の計算、給与明細・源泉徴収票の電子配付に対応します。

従業員規模に応じて20名までのiEシステムから1,000名までのiS+社員数拡張まで5段階のプランがあり、料金はiEシステムの月額5,500円から始まります。賞与支払届・算定基礎届・月額変更届など社会保険関連書類の電子申請にも対応するため、季節雇用者の入退社に伴う手続きが多い組織でも扱えます。

各種手当は、条件式や計算式テーブルを組み込んで自動計算する方式で、日給や変動する手当も項目として設定できます。勤怠は「奉行APIコネクトサービス」経由のAPI連携やCSV連携に対応し、KING OF TIMEやジョブカン勤怠管理など外部の勤怠管理システムから打刻データを取り込めます。

3. マネーフォワード クラウド給与(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド給与のウェブサイト

給与・賞与計算から給与明細のWeb発行、住民税情報のeLTAX連携までをカバーするのが、株式会社マネーフォワードのクラウド給与です。マネーフォワード クラウドシリーズ(会計・勤怠・人事管理)とのデータ連携を前提に設計され、年末調整は別製品のクラウド年末調整と連携して処理します。

勤怠連携はAPI連携とCSVインポートの両方に対応し、KING OF TIME・ジョブカン勤怠管理・Touch On Timeなど外部の勤怠管理システムと接続できます。すでに使っている勤怠システムを変えずに給与計算だけを切り替えたい組織に向く構成です。支給・控除のカスタム項目と独自計算式にも対応するため、日給や変動する手当を項目として設定できます。

料金は、経営者1名向けのひとり法人プランが年払いで月額2,480円、利用者3名以下のスモールビジネスプランが月額4,480円、4名以上のビジネスプランが月額6,480円です(いずれも税抜・年払い時の月額)。初期費用は0円で、1か月の無料お試しを利用できます。

4. freee人事労務(フリー株式会社)

freee人事労務のウェブサイト

勤怠管理・給与計算・年末調整・社会保険や雇用保険の手続きを一つのシステムに集約したのが、フリー株式会社のクラウドソフト「freee人事労務」です。会計ソフトのfreee会計への給与仕訳連携にも対応します。

公式の機能一覧には、時間外労働に加えて深夜・休日労働の賃金も自動計算して給与計算に反映すると記載されており、早朝勤務で深夜割増が生じる場面でも計算を任せられます。日給や歩合のように変動する手当を扱うカスタム項目は、スタンダードプランで1項目、アドバンスプランで複数に対応します(ミニマム・スタータープランは非対応)。

料金は5名分を基本単位とし、ミニマムプランが年払いで月額2,000円、6名目以降は1名ごとに月額400円が加算される従量制です。初期費用は0円で、はじめの1か月間は有料プランの機能を無料で試せます。従業員数の増減に応じて費用が変わるため、季節雇用で人数が変わる組織でも使えます。

5. 給料王(ソリマチ株式会社)

給料王のウェブサイト

会計ソフト「会計王」などを手がけるソリマチ株式会社が提供する給与計算ソフトが、給料王です。給与・賞与計算、年末調整、マイナンバー管理、社会保険・労働保険関連の書類作成までを一本化して処理できます。

買い切り型のパッケージ版に加えて、2026年4月から月額・年額課金のクラウド版が提供されています。クラウド版はプランごとにアカウント数と管理できる会社数が分かれ、複数の担当者や会計事務所・社労士との連携にも対応します。給与計算は個別入力と一覧入力の2方式を選べ、質問形式で初期設定を進める「らくらくエスコート」を備えています。

給料王本体に勤怠管理機能はありませんが、「勤怠データ取り込み」メニューで勤怠管理システムが出力したCSVを取り込め、ソリマチ自社のクラウド勤怠「安心データバンク de 勤怠」とは同期して連携します。クラウド版の料金は月額3,278円のライトから5,478円のプロフェッショナルまでで、年末調整はe-Tax・eLTAXに対応します。

販売・会計・購買まで一体で扱う統合業務システム型

続いて、給与計算を組合の基幹業務と一体で扱える統合業務システム型を紹介します。

6. SmileWorks(スマイルワークス)(株式会社スマイルワークス)

SmileWorks(スマイルワークス)のウェブサイト

株式会社スマイルワークスが運営する統合型クラウドERPで、販売管理・仕入・在庫・財務会計・給与計算・経費精算・勤怠管理を1つのシステムにまとめて扱えます。各業務の入力データから会計仕訳を自動生成する設計のため、組合の販売・購買から経理までを一元管理したい組織に向きます。

給与計算は「給与ワークス」モジュールが担い、勤怠管理・給与計算・賞与計算・年末調整・社会保険・マイナンバー管理に対応し、FBデータ出力による給与振込や住民税納付の一括処理も行えます。漁業特有の給与形態への個別対応は公式に明記がないため、導入前に確認しておくとよいでしょう。

料金はモジュールを選んで積み上げる「カフェテリア方式」です。標準プランは初期費用30,000円・月額10,000円(最初の1モジュール、5ID、税別)から始められ、2モジュール目以降は各7,000円が加算されます。販売管理に絞った販売ERPプランは初期0円・月額5,000円(税別)で、申込月の翌月末まで無料で試せる点も検討材料になります。

7. SMILE V 2nd Edition(株式会社OSK)

SMILE V 2nd Editionのウェブサイト

大塚商会グループの株式会社OSKが開発する統合基幹業務システムで、販売管理・会計・人事給与に加え、CRMやノーコード開発ツールまでを1つのパッケージで提供します。基幹系の「SMILE」と情報系の「eValue」のデータベースを統合し、二重入力を抑える設計を掲げています。

人事給与は基幹モジュールの1つとして組み込まれ、販売・会計と同じ基盤で扱えます。漁協・水産事業者の給与計算に特化した機能は公式ページでは確認できないため、組合の基幹業務を広くデジタル化する延長で給与も一体管理したい場合の選択肢として検討するとよいでしょう。

提供形態はクラウド版「SMILE V Air」(大塚商会のデータセンターから提供)とオンプレミスの両方から選べ、販売・会計・人事給与などで30日間の無料試用が用意されています。一方で初期費用・月額料金は公式に公開されておらず、構成に応じた個別見積もりが必要です。

漁協業務に特化した専用システム型

最後に、漁協の業務全体を統合する専用の基幹業務システムを紹介します。

8. ISARI(株式会社SJC)

ISARI(イサリ)のウェブサイト

株式会社SJCが開発・提供する、漁業協同組合・魚市場向けの統合基幹業務システム(ERP)です。給与計算専用のソフトではなく、漁協の業務全体を一つの仕組みで扱う製品で、人事給与はその中のサブシステムとして組み込まれています。

漁協向けのシステムは、購買・販売・魚市場・組合員管理・財務会計など12のサブシステムで構成され、必要な機能をサブシステム単位・メニュー単位で組み合わせて導入できます。概要では、人事・給与・減価償却などの外部パッケージソフトとデータ連携できるとされています。

給与計算にあたる人事給与サブシステムの機能詳細や、水揚げ連動の歩合・変形労働時間制といった漁業特有の計算への対応は、公式ページでは公開されていません。料金もあわせて公開されていないため、導入を検討する際は個別に問い合わせて確認する必要があります。

汎用の給与計算ソフトと比較検討する際は、まず自組織でシステム化したい範囲(給与計算だけか、購買・販売・魚市場まで含めるか)を整理したうえで問い合わせると、必要なサブシステムや概算費用、給与機能の対応範囲を把握しやすくなります。

漁協向け専用ERPと汎用の給与計算ソフトの使い分け

漁協が給与計算の仕組みを検討するとき、漁協業務に特化した専用の基幹業務システム(ERP)と、汎用の給与計算ソフトに勤怠管理を組み合わせる方法のどちらを選ぶかは、悩みどころになりやすい論点です。それぞれの向き不向きを整理します。

漁協専用の基幹業務システムは、購買・販売・魚市場・組合員管理・財務会計などを一つの仕組みで扱い、人事給与もそのサブシステムとして組み込まれています。組合固有の業務フローに合わせて構築されるため、給与計算を単体で導入するというより、組合業務全体をまとめてデジタル化したい場合に適します。

一方で、給与計算のサブシステムが漁業特有の給与形態にどこまで対応するかは製品の仕様によるため、導入前に機能の詳細や料金を個別に確認する必要があります。

汎用の給与計算ソフトは、給与計算・年末調整・明細配信に機能を絞り、月額数千円から導入できる製品が中心です。勤怠管理システムと連携させれば、打刻から給与計算までの流れを作れます。給与計算の手作業をまず減らしたい、低コストで始めたいという組織に向きます。

販売や購買などの業務は別のシステムで管理している、あるいは当面システム化する予定がない場合は、給与計算に特化した汎用ソフトのほうが導入しやすいでしょう。

具体的には、次の3点を比べると整理しやすくなります。

  • システム化する業務範囲(給与だけか、販売・購買・会計まで含めるか)
  • 初期費用と月額のコスト帯(汎用は月額数千円から、統合型・専用ERPは個別見積もり)
  • 給与機能が漁業の給与形態に対応するかを、導入前に確認する手間の大きさ

総じて、組合業務全体を一体で管理したいなら専用システムや統合業務システム型、給与計算の効率化をまず進めたいなら汎用の給与計算ソフトと勤怠管理の組み合わせ、という整理になります。自社で優先する業務範囲と予算をもとに、資料を取り寄せて比較するとよいでしょう。

漁期の変形労働時間制・割増賃金への対応と注意点

漁業の給与計算では、残業や休日労働の割増賃金をどう扱うかが、自社の事業の種類によって変わります。これは給与計算ソフトの機能以前の、計算の前提に関わる論点です。ここでは労働基準法の規定を整理し、漁協・水産事業者が注意すべき点を確認します。

事業区分ごとの適用関係を整理すると、次のようになります。

労働基準法41条による事業区分ごとの割増賃金の扱いを比較した図。漁業・養殖(別表第一第七号の採捕・養殖)は労働時間・休憩・休日の規定が適用除外となり、法定の時間外・休日割増や変形労働時間制は支払対象にならないが、深夜割増(22時〜翌5時)と年次有給休暇は必要。水産加工・販売・流通の事業は規定が通常どおり適用され、時間外・休日割増、変形労働時間制、深夜割増、年次有給休暇のいずれも必要。漁協など複数の事業を営む組織は従事する事業区分ごとに適用関係が分かれる。

漁業・養殖は労働時間・休憩・休日の規定が適用除外になる

労働基準法は、一定の事業に従事する労働者について、労働時間・休憩・休日に関する規定を適用しないと定めています。

第四十一条(労働時間等に関する規定の適用除外)この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者

出典:労働基準法 第四十一条|e-Gov法令検索

ここで挙げられている別表第一第七号は「動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業」と定められており、漁業や養殖はこの第七号に当たります。その結果、水産動植物の採捕や養殖に従事する労働者は、労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されません。

その結果、所定の労働時間を超えて働いても、法定の時間外労働や休日労働に対する割増賃金の支払対象にはなりません。繁閑に合わせて所定労働時間を配分する変形労働時間制も、これらの規定を前提とした仕組みのため、純粋な漁業・養殖では設定自体が前提とならない場面があります。

深夜割増と年次有給休暇は適用除外にならない

注意したいのは、適用除外されるのはあくまで「労働時間・休憩・休日に関する規定」に限られる点です。深夜労働に対する割増賃金は、これとは別に扱われます。

以下の者には、労働時間、休憩、休日に関する労基法の規定は適用されない。すなわち、法定時間外、休日労働を行っても、割増賃金の支払対象にならない。但し、深夜業については、適用除外されていないため、深夜労働を行った場合には、割増賃金の支払対象になる。
農業、畜産業、養蚕業、水産業に従事している者 労基法第41条

出典:労働基準法第41条の適用除外の範囲|茨城労働局(厚生労働省)

労働基準法第37条は、午後10時から午前5時までの深夜労働について、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払うよう定めています。早朝の市場勤務がこの時間帯にかかる場合、漁業・養殖であっても深夜割増の計算は必要です。また、年次有給休暇の規定も適用除外の対象外のため、漁業・養殖の従事者にも付与しなければなりません。

給与計算では「何を計算しなくてよく、何は必ず計算するか」を正しく切り分けることが重要になります。

水産加工・流通は適用対象。自社の事業区分の確認を

一方、同じ水産関連でも、水産加工のように物を製造・加工する事業や、水産物の販売・流通を行う事業は、労働時間・休憩・休日の規定が通常どおり適用されます。これらの事業では、時間外労働や休日労働の割増賃金が発生し、繁閑に対応する変形労働時間制も有効に機能します。

漁協のように採捕・販売・購買・金融など複数の事業を営む組織では、従事する事業によって適用関係が分かれるため、自社の事業がどの区分に当たるかを確認したうえで、給与計算の前提を整理することが大切です。判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士に確認することをおすすめします。

事業区分に応じて給与計算で見るべき優先順位

採捕・養殖が中心で、労働時間規制が適用除外になる漁協を考えます。この場合、法定の時間外・休日割増や変形労働時間制への対応は優先度が下がります。代わりに、歩合・日給の計算、季節雇用の入退社に伴う社会保険手続き、深夜割増、市場・加工場など多拠点の勤怠連携を優先して確認します。

一方、水産加工や流通を営む(または兼ねる)事業者は、これらに加えて変形労働時間制や時間外・休日割増への対応も重視します。自社の事業区分を確認したうえで、本記事の選び方や比較表の軸に優先順位をつけて見ると、候補を絞り込みやすくなります。

出典・参考資料は以下のとおりです。

出典・参考資料(2件)
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漁業で給与計算ソフトを導入すると変わること

給与計算ソフトを導入すると、紙やエクセルで行っていた作業がどう変わるのかを整理します。

まず、勤怠データと給与計算が連携することで、出勤簿やタイムカードからの転記が不要になり、集計ミスや確認の手間が減ります。スマートフォンやICカードでの打刻に対応した製品なら、市場や加工場など離れた場所で働く従業員の勤務時間も、その場で記録して給与計算に反映できます。

日給・時給・歩合といった複数の給与形態も、支給項目として設定しておけば毎月の計算が自動化され、担当者が人ごとに計算根拠を確認する負担が軽くなります。社会保険料や所得税の計算、年末調整まで対応する製品を使えば、法令や料率の改定にもソフトの更新で追従でき、属人化していた知識に頼らずに運用できます。給与明細を電子化すれば、印刷や配付の手間も省けます。

漁期で業務量が大きく変わる組織ほど、繁忙期に給与計算の手作業が積み重なる負担は大きくなります。ソフトの導入は、その負担を平準化し、担当者が確認や判断に時間を使えるようにする手段になります。

まとめ

漁協・水産事業者の給与計算には、漁業ならではの難しさがあります。漁期の繁閑による勤務の変動、日給・歩合・季節雇用が混在する給与形態、そして事業の種類で分かれる労働時間規制の適用関係です。給与計算ソフトを選ぶときは、勤怠との連携方式、変形労働時間制や歩合給への対応、年末調整や給与明細電子化、料金とサポートを、自社の働き方に照らして確認することが大切です。

給与計算をまず効率化したいなら汎用のクラウド給与、組合業務を広く一体で扱いたいなら統合業務システム型や漁協専用システムと、優先する業務範囲によって選ぶべき製品は変わります。本記事の比較表と選定診断ツールを使って候補を絞り込み、気になるサービスの資料を取り寄せて、自社に合う一つを見つけてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 漁業向け給与計算ソフトとは何ですか?

A. 漁業向け給与計算ソフトとは、漁期の繁閑による勤務の変動や、日給・時給・歩合・固定給が混在する漁業特有の給与形態に対応できる給与計算ソフトを指します。漁業だけの専用製品があるわけではなく、汎用の給与計算ソフトのうち、変形労働時間制の設定やカスタム計算式による歩合・日給の処理、勤怠連携に対応したものを、漁協・水産事業者の働き方に合わせて選ぶのが一般的です。

組合業務全体を扱う漁協専用ERPの人事給与サブシステムを使う方法もあります。

Q. 漁業・養殖の給与計算では残業代(割増賃金)の計算は必要ですか?

A. 純粋な漁業・養殖に従事する労働者については、労働基準法第41条により労働時間・休憩・休日に関する規定が適用除外となり、法定時間外労働や休日労働に対する割増賃金(残業代)の支払対象になりません。ただし、深夜労働(午後10時〜午前5時)の割増賃金と年次有給休暇は適用除外の対象外のため、早朝の市場勤務が深夜帯にかかる場合は深夜割増の計算が必要です。

また、水産加工や水産物の販売・流通を行う事業は労働時間の規定が通常どおり適用され、時間外・休日労働の割増賃金が発生します。漁協のように採捕・販売・購買など複数の事業を営む組織では、従事する事業区分によって扱いが分かれるため、自社の区分を確認したうえで給与計算の前提を整えることが大切です。

出典・参考資料(3件)

Q. 漁業向け給与計算ソフトは歩合や日給が混在する給与形態に対応できますか?

A. 多くのクラウド給与計算ソフトは、支給項目のカスタム計算式を使うことで、日給・時給や水揚げ連動の歩合のように毎月変動する支給にも対応できます。例えば弥生給与 Nextは明細項目のカスタム計算式(ベーシックライト以上)、マネーフォワード クラウド給与やfreee人事労務も独自計算式やカスタム項目で変動する手当を設定できます。

ただしプランによって使えるカスタム項目数に制限がある場合があるため、自社の支給パターンを扱えるかを導入前に確認するとよいでしょう。

Q. 漁協の給与計算には専用ERPと汎用の給与計算ソフトのどちらがよいですか?

A. 組合業務全体を一体でデジタル化したいなら漁協専用ERPや統合業務システム型、給与計算の効率化をまず進めたいなら汎用の給与計算ソフトと勤怠管理の組み合わせが向きます。漁協専用ERP(ISARIなど)は購買・販売・魚市場・組合員管理・財務会計などを統合し、人事給与はそのサブシステムとして組み込まれます。

一方、汎用の給与計算ソフトは月額数千円から導入でき、勤怠管理システムと連携させれば打刻から給与計算までの流れを作れます。販売や購買を別のシステムで管理している、あるいは当面システム化しない場合は汎用ソフトのほうが導入しやすく、自社で優先する業務範囲と予算をもとに判断するとよいでしょう。

Q. 漁業向け給与計算ソフトは季節労働者やパートの入退社手続きの負担を減らせますか?

A. 社会保険の資格取得・喪失届などの電子申請や、従業員登録・日割り計算に対応した給与計算ソフトを使えば、季節労働者やパートの入退社に伴う手続きの負担を減らせます。例えば給与奉行クラウドは算定基礎届・月額変更届など社会保険関連書類の電子申請に対応し、freee人事労務は社会保険や雇用保険の手続きまで一つのシステムに集約しています。

入退社が集中する漁期の前後でも、登録や手続きの手作業を減らし、担当者の負担が一時的に増えるのを抑えられます。

Q. 漁業向け給与計算ソフトはクラウド型とパッケージ型のどちらがよいですか?

A. 法令や料率の改定にソフトの更新で自動的に追従でき、多拠点の勤怠連携もしやすいクラウド型が、漁協・水産事業者には扱いやすい選択肢です。クラウド型は月額数千円から導入でき、市場や加工場など離れた拠点の勤怠もまとめて管理しやすい利点があります。買い切りのパッケージ型を好む場合でも、給料王のようにパッケージ版とクラウド版を同じ機能で選べる製品があります。

社内のインターネット環境や運用方針に合わせて選ぶとよいでしょう。

Q. 漁業向け給与計算ソフトの料金の目安はどれくらいですか?

A. 汎用のクラウド給与計算ソフトは月額数千円から導入でき初期費用0円の製品が多い一方、統合業務システム型や漁協専用ERPは個別見積もりとなるのが一般的です。

例えば弥生給与 Nextは月額1,700円から、マネーフォワード クラウド給与は月額2,480円から、給与奉行クラウドは月額5,500円から利用できます(弥生給与 Next・マネーフォワード クラウド給与は税抜表示、給与奉行クラウドは税区分が公式に明記されていません。いずれもプランや契約条件により変動します)。

一方、統合業務システムのSMILE V 2nd Editionや漁協専用ERPのISARIは料金が公開されておらず、構成に応じた個別の見積もりが必要です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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