「開発にセキュリティを組み込む(シフトレフト)」という考え方は理解していても、SAST(静的解析)やコンテナの検査ツールを導入しただけで運用が回らず、検出された脆弱性が宙に浮いたままになっていないでしょうか。専任のセキュリティ人材を抱えにくい開発チームほど、リリース速度とセキュリティの両立に悩みがちです。
こうした負担を外部に預ける選択肢が「DevSecOpsのマネージドサービス」です。ただ、マネージドサービスという言葉だけでは「結局どこまで任せられて、何が自社に残るのか」が見えにくいのも実情です。
本記事では、DevSecOpsの運用のうち外部に任せられる範囲を作業単位で整理し、国内で使える3つの型(開発工程に組み込む継続検査SaaS/定期の脆弱性診断/伴走支援)の違い・選び方・費用感・導入の進め方を解説します。自社の開発体制に合う依頼先を見極める材料としてご活用ください。
目次
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DevSecOpsマネージドサービスとは
DevSecOpsのマネージドサービスとは、開発工程にセキュリティを組み込むDevSecOpsの運用を、専用のツールや外部の専門家に任せられるようにしたサービスの総称です。自社で検査ツールを運用し、結果を解釈し、対応まで回す一連の作業のうち、負担の大きい部分を外部に預けられる点がねらいです。
そもそもDevSecOpsは、デジタル庁のガイドラインで「開発と運用がシームレスに連携するDevOpsにセキュリティを組み込むことで、セキュリティを確保しつつ、開発スピードを損なわない開発の体制や手法」と定義されています。開発の途中でセキュリティを後付けするのではなく、設計から運用までの流れに検査と対策を織り込む考え方です。
このガイドライン自体は「セキュリティ・バイ・デザイン」という用語を用い、DevSecOpsを開発から運用までのライフサイクル全体でセキュリティを確保する方策と同じものとして位置づけています。
一般的に、開発から運用まで含めたシステム開発ライフサイクル全体でセキュリティ確保する方策を(とりわけソフトウェア開発においては)DevSecOps と呼ぶが、本書では政府情報システムの企画工程から設計工程、開発工程、運用工程まで含めた全てのシステム開発ライフサイクルにおいて、一貫したセキュリティを確保する方策のことを「セキュリティ・バイ・デザイン」と定義する。
出典:デジタル社会推進実践ガイドブック DS-200「政府情報システムにおけるセキュリティ・バイ・デザインガイドライン」(第二版)|デジタル庁
このガイドラインは政府情報システムを対象にした文書ですが、「開発から運用までのライフサイクル全体でセキュリティを確保する」という考え方の整理は、民間のソフトウェア開発にも広く当てはまります。マネージドサービスは、この運用を自社だけで抱えずに回すための現実的な手段です。
何を任せられて、何が自社に残るか(作業単位の仕分け)
DevSecOpsの運用は、いくつもの作業の積み重ねでできています。まずはその作業を1つずつ分け、どこを外部のツール・サービスに任せられて、どこが自社の判断として残るのかを整理します。検査そのものは任せられても、何を直すか・どのリスクを受け入れるかという意思決定は自社に残る、という線引きが全体像を掴むうえで重要です。
| DevSecOpsの運用(作業) | CI/CDパイプラインへのセキュリティ検査の組み込み | ソースコード・依存パッケージの検査(SAST/SCA/シークレット検出) | コンテナイメージ・クラウド設定の検査(CSPM/IaC) | 動作中のWebアプリ・APIの検査(DAST) | 検出された脆弱性のトリアージ・優先度づけ | 脆弱性の修正(改修) | リスクの受容・例外運用の最終判断 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 外部に任せられる範囲 | 検査ツールのパイプライン連携・設定・実行の自動化 | 検査の実行・検出・結果の一覧化(SaaSは自動、受託は専門家が実施) | 設定ミス・既知の脆弱性の自動検出と可視化 | 自動巡回スキャンの実行(SaaS)/専門家による手動診断(受託) | 深刻度の整理・推奨対応の提示(伴走支援では助言も) | 修正方針の提示・修正案(プルリクエスト)の自動生成 | (任せられない。判断材料の提供まで) |
| 自社に残る判断 | どの工程に・どの頻度で検査を挟むかの設計と合意 | 検出結果のうち自社の文脈で対応が必要なものの見極め | 本番環境へ反映する設定変更の承認 | 診断対象・診断シナリオの範囲の決定 | 事業影響を踏まえた対応順序の確定 | コードへの反映・レビュー・マージ(修正案の自動生成に対応するツールもある) | リスクを受け入れるか・いつまでに直すかの経営・開発判断 |
※上記は外部サービスの一般的な役割分担の整理です。実際に任せられる範囲はサービスの型・契約内容により異なります。
大きく見ると、「検査を実行して結果を出す」部分は外部に任せやすく、「自社の事業にとって何が問題で、どれを優先して直すか」という判断は自社に残ります。マネージドサービスを選ぶときは、この残る判断を自社の誰が担うのかまで想定しておくと、導入後のつまずきを避けられます。
DevOpsとの違い(どこでセキュリティを担うか)
DevOpsは開発(Development)と運用(Operations)を連携させ、リリースを速く・安定して回す考え方です。DevSecOpsはそこにセキュリティ(Security)を加え、検査や対策を開発の流れの中に組み込みます。
従来はリリース直前や公開後にまとめて脆弱性診断を行うことが多く、問題が見つかると大きな手戻りが発生していました。DevSecOpsでは検査を前倒しし、開発の各段階でこまめに弱点を見つけて直す点が異なります。
この「後付けでは追いつかない」という変化は、脆弱性の検査ツールを提供する現場でも同じように語られています。

正直なところ、昔は「セキュリティは運用側が最後に何とかするもの」という前提が強かったと思います。ですが今は攻撃の手口も複雑ですし、作ったあとに1回チェックして終わり、では追いつきません。
なぜDevSecOpsの運用を外部に任せるのか
ここからは、DevSecOpsを自社だけで回そうとすると何がボトルネックになるのか、そして外部に任せることで何が解決するのかを整理します。
自社運用のボトルネック
最初の壁は人材です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2024」は、DXを推進する人材の量の確保状況を2023年度に国内企業745社へ調査しています。
その調査では、量が大幅に不足しているとの回答が62.1%、やや不足しているが23.6%で、合わせて85.7%の企業が不足を感じていると報告されています。
この数字はDXを推進する人材全般の状況ですが、DevSecOpsのように開発とセキュリティを横断して担える人材の確保も、その一部として課題になりやすい領域です。
出典・参考資料(1件)
次に、ツールを導入しても運用しきれないという壁があります。SAST(静的解析)やSCA(依存パッケージの検査)、コンテナ・クラウド設定の検査ツールをCI/CDパイプラインに組み込むには、連携設定や検出結果のノイズ調整に手間がかかります。設定が中途半端なままだと検査が形骸化しがちです。
そして、検出した脆弱性がトリアージされず宙に浮く問題です。検査を回せても、「どれから直すか」を判断して改修まで持っていく人手が足りないと、検出結果だけが積み上がります。運用の仕組みがないまま検査だけ増やしても、セキュリティは改善しません。
外部に任せることで解決できること
マネージドサービスを使うと、検査ツールの運用や専門家による診断を外部に預けられるため、専任のセキュリティ担当を自前で抱えずにDevSecOpsの運用を回せます。リリース速度を落とさずにセキュリティを確保したいチームにとって、現実的な手段になります。
検査を開発の早い段階に組み込む利点は、公的なガイドラインでも整理されています。デジタル庁のガイドラインは、セキュリティ・バイ・デザイン(上流からの対策)の導入により「致命的なセキュリティ対策の漏れ等による上流工程作業等への手戻りを防止でき、納期の確保やセキュリティコストの低減が可能となる」としています。
後工程でまとめて問題が噴出する状態を避けられる点が、外部の仕組みを使ってでも運用を整える動機になります。
出典・参考資料(1件)
また、経済産業省とIPAの「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver3.0」は、経営者が取り組むべき重要10項目の中で「サイバーセキュリティ対策のための資源(予算、人材等)確保」を挙げています。自社で人材を抱えきれない場合に外部の力も含めて資源を確保するという判断は、セキュリティ投資を社内で説明するときの後ろ盾になります。
任せられるサービス・ツールの3つの型と違い
DevSecOpsの運用を外部に任せる手段は、大きく3つの型に分けられます。まずは下の早見表で全体像をつかみ、続いて型ごとの線引きを見ていきます。どれか1つに絞るのではなく、継続検査SaaSで日々の検査を自動化しつつ、節目で専門家の診断を受けるといった組み合わせも一般的です。
| 型 | 開発工程に組み込む継続検査SaaS | 定期の脆弱性診断(受託) | 伴走支援・運用代行 |
|---|---|---|---|
| 主な検査対象 | ソースコード・依存パッケージ・コンテナ・クラウド設定・Webアプリ/API | Webアプリ・API・ソースコード・ネットワークなど | 開発プロセス・設計・体制づくりまで含む |
| 検査の頻度 | 継続(コミットやスケジュールごとに毎回) | 都度(リリース前や年1回など特定時点) | 継続(プロジェクト/顧問契約) |
| 自動化の度合い | 高い(ツールが自動で検査) | 低〜中(専門家が手動で精査) | 人中心(専門家が自社に関与) |
| 自社に残る作業 | 検出結果の対応判断・修正 | 診断対象の決定・報告書に基づく改修 | 自社メンバーの関与・意思決定 |
| 費用感の目安 | 月額・年額のサブスクリプション(数万円〜) | ワンショットの個別見積り(数十万円〜。高度なペネトレーションテストは一千万円規模のことも) | 個別見積り(関与範囲で変動) |
※上記は各型の一般的な傾向です。実際の対象範囲・頻度・料金は各サービスの公式情報をご確認ください。
開発工程に組み込む継続検査SaaS(CI/CDに組み込み毎回自動で検査)
継続検査SaaSは、検査ツールをCI/CDパイプラインやソースコード管理に連携し、コミットやスケジュールのたびに自動で検査を回す型です。
ソースコードの静的解析や依存パッケージの検査、動作中のWebアプリを対象にした動的診断(DAST)などを、専門家の手を介さずに継続して実行できます。リリースを頻繁に行う自社開発のチームと相性がよく、月額制で始めやすい一方、検出された脆弱性をどう直すかの判断と修正は自社に残ります。
定期の脆弱性診断(専門家が特定時点で精査)
定期の脆弱性診断は、セキュリティの専門家がリリース前や年1回などの特定時点で、対象を手動中心に精査する型です。自動ツールでは拾いにくい複合的な攻撃経路や業務ロジックの欠陥まで踏み込める点が強みで、報告書と改修の助言が得られます。都度のワンショット契約が基本のため費用は案件ごとの見積りになりやすく、継続的な検査には別の仕組みが必要です。
伴走支援・運用代行(専門家が自社に入って運用を担う)
伴走支援・運用代行は、専門家が自社の開発プロセスに関与し、設計レビューや体制づくりまで含めてDevSecOpsを根付かせる型です。設計段階からのセキュリティレビュー、開発チーム内にセキュリティの旗振り役(セキュリティチャンピオン)を育てる支援などが含まれます。ツールや単発の診断では埋まらない「運用の仕組みそのもの」を整えたい場合に向き、関与範囲に応じた個別見積りになります。
国内では、トリアージや対応管理まで継続して肩代わりする純粋な「運用代行」は選択肢が限られ、専門の診断ベンダーが提供する設計開発支援・シフトレフト支援といった伴走メニューがこの役割を担うのが実態です。
自社に合う型の選び方
どの型が合うかは、自社の開発体制と求める精度で変わります。以下の観点を自社に当てはめて、組み合わせも含めて検討してください。
まずは下の図で、代表的な開発体制とそれに合う型の対応をつかんでください。詳しい観点は続けて解説します。

内製チームがCI/CDを回しているか?
自社のエンジニアが日常的にコードを書き、CI/CDでリリースを回しているなら、継続検査SaaSをパイプラインに組み込む価値が大きくなります。検査を開発の流れに自動で挟めるため、コードが変わるたびに弱点を早期に見つけられます。逆に開発を外部委託していて自社に開発環境がない場合は、リリース前の定期診断のほうが実態に合います。
リリース頻度はどれくらいか?
週に何度もデプロイするような高頻度のリリースでは、都度の手動診断では検査が追いつきません。自動で毎回検査する継続検査SaaSが前提になります。一方、大きな改修が年に数回程度であれば、そのタイミングで専門家の定期診断を受ける進め方でも十分なことがあります。
クラウド・コンテナを使っているか?
クラウド上にコンテナでサービスを動かしている場合、アプリの脆弱性だけでなく、クラウドの設定ミスやコンテナイメージの脆弱性も検査対象になります。これらを一括で継続検査できるSaaSを選ぶと、検査の抜け漏れを防ぎやすくなります。守る対象が広いほど、個別ツールの寄せ集めより統合型のほうが運用の負担は小さくなります。
監査対応や高い精度が必要か?
取引先や監査に提出する診断報告書が必要な場合や、金融・決済など高い精度が求められる領域では、専門家による手動診断を組み合わせます。自動ツールが拾う既知の脆弱性に加え、攻撃者視点のペネトレーションテストで実際に悪用可能かまで確かめられます。継続検査SaaSで日常の検査を自動化し、節目で定期診断を受ける二段構えが現実的です。
運用の仕組みから整えたいか?
ツールを入れても運用が回らない、社内にセキュリティの知見を残したいという場合は、伴走支援・運用代行が選択肢になります。設計段階からのレビューや、自社メンバーへの知見移転まで含めて関与してもらえるため、長期的に内製できる体制づくりにつながります。
外部に任せきりにせず自社で検査を回していきたい場合は、どの診断項目なら内製化できるか、CI/CDへの組み込みに何が必要かを次の記事で整理しています。内製と外部委託のどちらを選ぶか迷っている方は判断材料になります。
費用感と課金の考え方
費用は型によって課金の考え方が異なります。目安を把握しておくと、社内で予算を説明するときの材料になります。金額は各社の公式情報または当カタログの掲載情報に基づく2026年10月時点の参考値で、実際は対象範囲や契約条件で変わります。
継続検査SaaSは、月額または年額のサブスクリプション型が中心です。たとえばVAddyは月額19,800円から、Securifyの脆弱性診断は月額5万円から、Aikido Securityは年間契約・利用者10人までで月額5万円台からと案内されています。利用者数や検査対象数でライセンス規模が決まる形が一般的で、検査回数は無制限とするサービスが多く見られます。
定期の脆弱性診断は、対象や範囲ごとの個別見積り(ワンショット)が基本です。CoWorkerの脆弱性診断はソースコードAI診断が15万円、ソースコードと動的診断を組み合わせたプランが50万円から(MCB FinTechカタログ掲載情報、2026年10月時点)とされ、NRIセキュアのペネトレーションテストは800万円から(税別)と公式に示されています。
診断の深さや対象の広さで金額が大きく動くため、見積り時に範囲を明確にすることが重要です。
伴走支援・運用代行は、関与範囲に応じた個別見積りで、料金を公開していないサービスが多くなっています。この場合は「要問い合わせ」として、複数社から見積りを取って比較するのが現実的です。いずれの型も、検査費用だけでなく、残る自社作業(対応判断・改修)にかかる人手も含めて総額で捉えると、社内の投資対効果を説明しやすくなります。
導入の進め方
DevSecOpsの運用は、一度に全工程へ広げようとすると現場が追いつかず、検査が形骸化しがちです。無理なく根付かせるには、小さく始めて段階的に広げる進め方が向いています。
まずは重要度の高い1つのサービスやリポジトリに絞り、継続検査SaaSの無料プランやトライアルで検査を回してみます。検出結果のうち何を優先して直すかの運用ルールを小さな範囲で固めてから、対象のリポジトリやチームを少しずつ増やしていきます。検査を増やす前に「直すまでの流れ」を回せるようにしておくことが、脆弱性を宙に浮かせないコツです。
現場に定着させる段階では、開発チームの中にセキュリティの旗振り役(セキュリティチャンピオン)を置き、外部の伴走支援を受けながら知見を社内に残す進め方も有効です。設計段階からのレビューを組み合わせれば、後工程での手戻りを抑えられます。自社だけで仕組みづくりが難しい場合は、この部分を伴走支援に任せる判断もできます。
DevSecOpsの運用に使えるサービス
ここからは、DevSecOpsの運用に実際に使える主要なサービスを、開発工程に組み込む継続検査SaaSと、専門家による脆弱性診断・伴走支援に分けて紹介します。まずは対象・検査方式・費用感を横並びにした比較表で全体を確認してください。
| サービス名 | Aikido Security | CoWorker 脆弱性診断サービス | Securify | AeyeScan | VAddy | NRIセキュア | MBSD |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 型 | 継続検査SaaS | 脆弱性診断(受託) | 継続検査SaaS | 継続検査SaaS | 継続検査SaaS | 脆弱性診断(受託)+伴走支援 | 脆弱性診断(受託)+伴走支援 |
| 主な検査対象 | ソースコード・依存パッケージ・コンテナ・クラウド設定・Webアプリ/API | ソースコード・Webアプリ/API(設計書含む) | Webアプリ/API(ASM・CSPM・SBOMも) | Webアプリ/SPA/API/Androidアプリ | Webアプリ/APIサーバー | Web・プラットフォーム・スマホアプリ・API・クラウド・ソースコード ほか | Webアプリ・ネットワーク・スマホアプリ・IoT/OT ほか |
| 検査方式 | ツールによる自動検査 | AI自動解析+専門家の最終確認 | ツールによる自動検査(DAST) | ツールによる自動検査(AI巡回) | ツールによる自動検査(DAST) | 専門家による手動診断が主体 | 専門家による手動診断が主体 |
| CI/CD連携 | ● | ×受託診断のため該当せず | ● | ● | ● | ×受託診断のため該当せず | ×受託診断のため該当せず |
| 費用の目安 | 月額5万円台〜(年間契約・利用者10人まで) | 15万円(ソースコードAI診断)/50万円〜(動的診断セット) | 月額5万円〜(脆弱性診断STARTER) | 個別見積り(要お問い合わせ) | 月額19,800円〜(初期費用0円) | 個別見積り(ペネトレーションテストは800万円〜・税別) | 個別見積り(要お問い合わせ) |
| 無料トライアル | ●無料プラン(Developer)あり | × | ●最短即日 | ●2サイトまで | ●1週間 | × | × |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
ここで取り上げるのはDevSecOpsの運用に軸足を置いたサービスです。脆弱性診断サービス全般を診断方法・費用相場・選び方から幅広く見比べたい場合は、以下の記事で主要サービスを横並びで解説しています。全体像から絞り込みたい方はこちらもご覧ください。
1. Aikido Security(株式会社AndGo)

Aikido Securityは、依存パッケージの検査(SCA)、静的解析(SAST)、シークレット検出、クラウド設定の検査(CSPM)、コンテナイメージの検査、動的検査(DAST)などを1つのプラットフォームにまとめたセキュリティSaaSです。
公式サイトは製品をCode・Cloud・Attack・Protectの4区分で示し、コードから本番環境までを一気通貫で検査する位置づけを掲げています。日本市場では株式会社AndGoが正規代理店として提供し、管理画面とドキュメントが日本語に対応しています。
特徴は、検出にとどまらずAutoFixによって修正のプルリクエストを自動生成する点です。修正案はプルリクエストとして提示され、人がレビューしてマージする流れになるため、「検出から修正まで」の距離を縮められます。
依存パッケージについては、既知の脆弱性だけでなく、レジストリに紛れ込んだ悪意あるパッケージの検出やSBOM(ソフトウェア部品表)の出力にも対応します。無料のDeveloperプランがあり、小さく試してから広げやすい料金体系です。
2. CoWorker 脆弱性診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker株式会社の脆弱性診断サービスは、自社開発AI「Red Agent」による自動解析と、社内のセキュリティ専門家による最終確認を組み合わせた受託型の診断です。診断メニューはソースコードAI診断、動的脆弱性診断(Web/API診断)、実践攻撃シミュレーション診断(ペネトレーションテスト)の3つで、必要な範囲を段階的に選べます。
なかでもソースコードAI診断は、本番環境に影響を与えずにコードの弱点を洗い出せるため、開発の早い段階での作り込みに活用できます。AIによる網羅的な解析で診断のコストと期間を抑えつつ、専門家が最終確認する二段構えで精度を担保する設計です。
料金はソースコードAI診断が15万円、ソースコードと動的診断を組み合わせたプランが50万円からとされています(MCB FinTechカタログ掲載情報、2026年10月時点。最新は見積りをご確認ください)。
3. Securify(株式会社スリーシェイク)

Securify(セキュリファイ)は、株式会社スリーシェイクが提供するクラウド型の脆弱性診断サービスです。Webアプリ・APIの自動巡回診断(DAST)を中核に、ASM(攻撃対象領域管理)、CSPM、SBOMといった機能を備え、守る対象を広くカバーします。
スケジュール実行やAPI経由での診断実行に対応しており、ステージング環境へのデプロイ後に自動で診断を走らせるなど、開発パイプラインに組み込んだ継続検査を実現できます。
料金は脆弱性診断のSTARTERプランが月額5万円(検査対象1 IP/FQDN、診断回数の制限なし)からで、必要な機能を組み合わせて構成できます。最短即日で使える無料トライアルも用意されています。ツールによる自動診断を前提に、継続的にWebアプリの弱点を見つけたいチームに適しています。
4. AeyeScan(株式会社エーアイセキュリティラボ)

AIが人間の操作に近い形で画面を自動巡回し、診断シナリオを自動生成するのが、株式会社エーアイセキュリティラボのクラウド型Webアプリケーション脆弱性診断ツール「AeyeScan(エーアイスキャン)」です。専用サーバーの構築やソフトのインストールは不要で、ブラウザからログインしてすぐに診断を始められます。
公式の活用シーンにはCI/CDツールとのAPI連携が挙げられ、導入事例ではスケジュール機能による定期診断も示されています。有償契約は500社以上の実績があり、診断回数は定額で無制限とされています。料金は用途やサイト数に応じた個別見積りで、2サイトまでの無料トライアルから始められます。自動化しながら継続的にWebアプリを診断したいチームに向く選択肢です。
5. VAddy(株式会社ビットフォレスト)

開発者自身が診断を回す設計が特徴の、株式会社ビットフォレストによるクラウド型Webアプリケーション脆弱性診断ツールが「VAddy(バディ)」です。WebAPIやコマンドラインツール、cronを使ってCI/CDパイプラインに組み込み、夜間に繰り返し自動診断を実行できます。国内のクラウド型WAF「Scutum」の開発・運用チームが手がけている点も訴求されています。
初期費用は0円で、スキャン回数は無制限です。料金はProfessionalプランが月額19,800円からと明確で、1ヶ月単位で契約を始められます。1週間の無料トライアルがあり、終了時に自動課金されない点も試しやすさにつながります。まず低コストで継続的な自動診断を開発フローに組み込みたいチームに適しています。
6. NRIセキュア セキュリティ診断(NRIセキュアテクノロジーズ株式会社)

NRIセキュアテクノロジーズは、NRIグループのセキュリティ専業会社で、専門家による手動主体のセキュリティ診断・ペネトレーションテストを幅広く提供しています。Webアプリケーション、プラットフォーム、スマホアプリ、API、クラウド設定、ソースコードなど診断対象が広く、攻撃者視点のペネトレーションテストやレッドチームオペレーションまで含む包括的なラインアップが特徴です。
DevSecOpsの観点では、「設計開発支援」としてセキュアな設計・開発ガイドラインの整備、ソースコード診断、セキュアアプリケーション設計レビュー、脅威モデリングなどを提供し、開発工程にセキュリティを組み込む伴走支援に対応します。
診断は国際資格を持つ専門家が手動中心で行い、多くのメニューは個別見積り、ペネトレーションテストは800万円から(税別)と公式に示されています。監査対応や高い精度が求められる場面に向く選択肢です。
7. MBSD 脆弱性診断サービス(三井物産セキュアディレクション株式会社)

三井物産セキュアディレクション株式会社(MBSD)の脆弱性診断サービスは、セキュリティエンジニアが攻撃者の視点で脆弱性を診断・評価し、対処方法まで助言する手動主体の診断です。
Webアプリケーション診断を2001年から手がけ、公式サイトでは2017年4月から2024年3月までの脆弱性診断の累計実績を8,000件以上としています。Webアプリ・ネットワーク・スマホアプリ・ペネトレーションテストなど診断メニューが豊富です。
DevSecOpsに関わる点として、診断メニューに「DevSecOps対応診断(セキュリティチャンピオン)」や「シフトレフト支援サービス(設計レビュー・設計アドバイザリ)」を公式に掲げています。単発の診断だけでなく、開発工程の上流からセキュリティを組み込む伴走までカバーできる点が特徴です。料金は診断対象・範囲に応じた個別見積りです。
まとめ
DevSecOpsのマネージドサービスは、開発工程にセキュリティを組み込む運用のうち、検査の実行や専門家による診断を外部に預けられる選択肢です。検査は任せられても、何を優先して直すか・どのリスクを受け入れるかという判断は自社に残るため、残る作業の担い手まで想定して選ぶことが導入後のつまずきを防ぎます。
選び方の軸は、内製チームがCI/CDを回しているか、リリース頻度、クラウド・コンテナの利用、監査対応や求める精度です。日々の検査は継続検査SaaSで自動化し、節目で専門家の定期診断を受け、運用の仕組みづくりは伴走支援に任せるといった組み合わせが現実的です。まずは1つのサービスや無料トライアルから小さく始め、対応の流れを回せるようにしてから対象を広げてください。
よくある質問(FAQ)
Q. DevSecOpsマネージドサービスとは何ですか?
A. DevSecOpsマネージドサービスとは、開発工程にセキュリティを組み込むDevSecOpsの運用を、専用のツールや外部の専門家に任せられるようにしたサービスの総称です。自社で検査ツールを運用し、結果を解釈し、対応まで回す一連の作業のうち、負担の大きい部分を外部に預けられる点がねらいです。
DevSecOpsはデジタル庁のガイドラインで「開発と運用がシームレスに連携するDevOpsにセキュリティを組み込むことで、セキュリティを確保しつつ、開発スピードを損なわない開発の体制や手法」と整理されています。
出典・参考資料(1件)
Q. DevSecOpsマネージドサービスでは、何を外部に任せられて何が自社に残りますか?
A. DevSecOpsマネージドサービスでは、検査の実行と結果の可視化は外部に任せられますが、何を優先して直すか・どのリスクを受け入れるかという意思決定は自社に残ります。CI/CDへの検査の組み込み、ソースコードや依存パッケージ・コンテナ・クラウド設定の検査、脆弱性の検出と一覧化は、外部のツールや専門家が担えます。
一方で、検出結果のうち自社の事業にとって対応が必要なものの見極め、コードへの修正の反映、リスク受容の最終判断は自社の役割として残ります。選ぶ際は、この残る判断を自社の誰が担うのかまで想定しておくと、導入後のつまずきを避けられます。
Q. 継続検査SaaSと受託の脆弱性診断は何が違い、どう使い分ければよいですか?
A. 継続検査SaaSはCI/CDに組み込んで毎回自動で検査する型、受託の脆弱性診断は専門家がリリース前や年1回などの特定時点で手動中心に精査する型です。
日々のコード変更を早期に検査したいなら継続検査SaaS、自動ツールでは拾いにくい複合的な攻撃経路や業務ロジックの欠陥まで踏み込みたいなら受託診断が向きます。どちらか一方に絞る必要はなく、日常の検査は継続検査SaaSで自動化し、節目で専門家の定期診断を受ける二段構えが現実的です。
Q. DevSecOpsマネージドサービスの費用はどれくらいかかりますか?
A. 費用は型によって課金の考え方が異なり、継続検査SaaSは月額数万円から、受託の脆弱性診断は数十万〜数百万円のワンショット、伴走支援は関与範囲に応じた個別見積りが目安です。継続検査SaaSは月額・年額のサブスクリプション型が中心で、VAddyは月額19,800円から、Securifyの脆弱性診断は月額5万円からと案内されています。
受託診断はCoWorkerのソースコードAI診断が15万円、NRIセキュアのペネトレーションテストは800万円から(税別)とされ、対象の深さや範囲で大きく動きます。金額は2026年10月時点の各社公式情報等に基づく参考値で、実際は対象範囲や契約条件で変わります。
Q. DevSecOpsマネージドサービスは小さく始められますか?
A. DevSecOpsマネージドサービスは、重要度の高い1つのサービスやリポジトリに絞って小さく始められます。
一度に全工程へ広げると現場が追いつかず検査が形骸化しがちなため、まず継続検査SaaSの無料プランやトライアルで検査を回し、検出結果のうち何を優先して直すかの運用ルールを小さな範囲で固めてから、対象のリポジトリやチームを少しずつ増やす進め方が向いています。検査を増やす前に「直すまでの流れ」を回せるようにしておくことが、脆弱性を宙に浮かせないコツです。
Q. DevSecOpsマネージドサービスは無料で試せますか?
A. 継続検査SaaSの多くは無料プランや無料トライアルを用意しており、低コストで試してから広げられます。たとえばAikido Securityには無料のDeveloperプラン、Securifyには最短即日で使える無料トライアル、AeyeScanには2サイトまでの無料トライアル、VAddyには終了時に自動課金されない1週間の無料トライアルがあります。
一方、専門家による受託の脆弱性診断や伴走支援は案件ごとの契約が基本のため、無料での試用は一般的ではありません。
Q. 自社に開発環境がなく開発を外部委託していても使えますか?
A. 自社に開発環境がなく開発を外部に委託している場合は、CI/CDに組み込む継続検査SaaSより、リリース前などの定期的な脆弱性診断のほうが実態に合います。
継続検査SaaSは、自社のエンジニアが日常的にコードを書きCI/CDでリリースを回していることを前提に効果を発揮します。開発を委託している場合は、公開前や大きな改修のタイミングで専門家の診断を受け、報告書に基づいて委託先に改修を依頼する進め方が現実的です。
Q. DevSecOpsマネージドサービスを使うとリリース速度は落ちませんか?
A. DevSecOpsマネージドサービスは、むしろリリース速度を落とさずにセキュリティを確保するための手段です。継続検査SaaSは検査をCI/CDパイプラインに自動で組み込むため、人手を介さずコード変更のたびに弱点を早期に見つけられます。
デジタル庁のガイドラインも、上流からの対策により「致命的なセキュリティ対策の漏れ等による上流工程作業等への手戻りを防止でき、納期の確保やセキュリティコストの低減が可能となる」としており、後工程でまとめて問題が噴出する状態を避けられます。
出典・参考資料(1件)
Q. DevSecOpsマネージドサービスを導入すると、開発チームの日々の作業はどう変わりますか?
A. 検査の実行が自動化される一方で、検出された脆弱性を直すかどうかの判断と修正が、開発チームの日常業務に組み込まれます。従来のようにリリース直前や公開後にまとめて脆弱性診断を行うのではなく、コミットやスケジュールごとに検査結果が返るため、こまめに弱点を確認して対応する流れになります。
Aikido SecurityのAutoFixのように修正案をプルリクエストとして自動生成する仕組みもあり、人がレビューしてマージすることで「検出から修正まで」の距離を縮められます。
Q. クラウドやコンテナの設定ミスも検査できますか?
A. クラウドの設定ミスやコンテナイメージの脆弱性も、継続検査SaaSの多くが検査対象としてカバーしています。アプリケーションの脆弱性(SAST/DAST)に加え、クラウド設定の検査(CSPM)やコンテナイメージの検査を1つのプラットフォームで継続的に実行できるサービスがあり、Aikido SecurityやSecurifyがこれに当たります。
クラウド上にコンテナでサービスを動かしている場合は、守る対象が広いほど、個別ツールの寄せ集めより統合型のほうが検査の抜け漏れと運用の負担を抑えやすくなります。
Q. DevSecOpsマネージドサービスの導入は、セキュリティ投資として社内や経営にどう説明できますか?
A. 外部の力も含めてセキュリティの資源を確保する判断は、国の公式ガイドラインが経営者の取り組むべき項目として挙げており、社内説明の後ろ盾になります。
経済産業省とIPAの「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver3.0」は、経営者が取り組むべき重要10項目の中で「サイバーセキュリティ対策のための資源(予算、人材等)確保」を挙げています。自社で専門人材を抱えきれない場合に外部サービスで運用を補うことは、この資源確保にあたる現実的な選択肢として位置づけられます。
Q. DevSecOpsとDevOpsは何が違いますか?
A. DevSecOpsは、開発と運用を連携させるDevOpsにセキュリティ(Security)を加えた考え方で、検査や対策を開発の各段階に前倒しして組み込む点が異なります。セキュリティを運用担当に任せきりにせず、開発チームも日々の作業の中で担う点も特徴です。前倒しによる手戻り防止の効果は本文「DevOpsとの違い」で解説しています。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















