社内で使うSaaSやクラウドサービスが増えるほど、アカウントとパスワードの管理、退職者のアクセス権の停止、サービスごとにばらばらな認証の強度に手が回らなくなっていないでしょうか。ID・認証の統制はセキュリティと情報システム部門の負担が重い領域で、製品ごとにできることや連携先、料金が大きく異なります。
国内外には多くのIDaaS製品があり、シングルサインオンに強いもの、多要素認証やアクセス制御を厚くしたもの、Active Directoryや人事システムとの連携を得意とするものまで特徴はさまざまです。自社の既存環境や課題に合う製品を選ぶには、どの観点で見比べればよいのでしょうか。
本記事では、国内外の主要なIDaaS製品を機能・対応SaaS連携・料金で横断的に比較します。製品の型ごとの特徴と向いている企業、選ぶときに見るべき軸、導入後につまずきやすいポイントまで整理しました。自社に合う製品を資料請求や問い合わせの対象として絞り込むための材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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IDaaS製品とは(SSO・多要素認証・ID一元管理でできること)
IDaaS(Identity as a Service、アイダース)は、複数のSaaSや社内システムで使うID・認証をクラウド上で一元的に管理する製品です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、IDaaSを次のように説明しています。
IDaaS (Identity as a Service:アイダース,アイディーアース) クラウド上の様々なサービスの ID 管理を一元的に行うクラウドサービスのこと。 SaaS(Software as a Service)等への認証(多要素認証,シングルサインオン)・認可(アクセスコントロール)・ID 管理・ID 連携を行う機能を有している。
出典:IPA「ゼロトラスト導入指南書」(2021年、独立行政法人情報処理推進機構)該当PDF
このようにIDaaS製品は、サービスごとにばらばらだったログインを一本化し、認証を強め、誰がどのシステムを使えるかを管理者がまとめて制御できるようにする仕組みです。1つの製品で認証・認可・ID管理・外部サービスとの連携までを担うため、SaaSの利用が広がった企業ほど効果が大きくなります。
IDaaS製品の主な機能
IDaaS製品は得意領域によって機能の厚みが異なりますが、おおむね以下の機能を備えています。製品ごとの対応状況は後述の比較表で確認できます。
| 詳細 | |
|---|---|
| シングルサインオン(SSO) | 一度メインのID管理に認証すれば、連携済みの複数のSaaSや社内システムへ自動でサインインできます。サービスごとにID・パスワードを入力する手間がなくなり、パスワードの使い回しも防げます。 |
| 多要素認証(MFA) | IDとパスワードに加え、スマートフォンアプリ・SMS・生体認証・FIDO2/パスキーなどの追加要素で本人確認を厳重にします。対応する方式は製品によって差があります。 |
| ID一元管理・プロビジョニング | アカウントの作成・変更・削除を一元管理し、連携先サービスへ自動で反映(プロビジョニング)します。入社・異動・退職にともなう権限変更や退職者アカウントの停止を、サービスごとに手作業せずに済みます。SCIM(ID情報をサービス間でやり取りする業界標準プロトコル。IETF RFC 7644)に対応する製品では自動連携の範囲が広がります。 |
| アクセス制御(認可) | どの利用者・端末・場所からアクセスを許可するかを制御します。管理者が許可した条件を満たす利用者だけがサービスを使えるようにします。 |
| 外部サービス・システム連携 | Microsoft 365・Google Workspace・各種SaaS・オンプレミスのActive Directoryや人事システムと連携します。既存の環境にどこまで接続できるかが製品選定の分かれ目になります。 |
| ログ・監査 | いつ誰がどのサービスにサインインしたかを記録し、不正アクセスの検知や監査対応に使えます。 |
出典・参考資料(2件)
- 参考資料:ゼロトラスト導入指南書(IDaaS・SSO・アクセスコントロール・ID管理の定義)|独立行政法人情報処理推進機構(https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2021/ngi93u0000002klo-att/000092243.pdf)
- 参考資料:RFC 7644 System for Cross-domain Identity Management: Protocol(SCIM)|IETF(https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc7644)
IDaaS製品を導入するメリット
IDaaS製品を導入すると、増え続けるSaaSのID管理にまつわる手間とリスクを一度に抑えられます。利用者はログインの回数が減り、パスワードを覚えたり使い回したりする必要がなくなります。管理者はアカウントの棚卸しや権限変更を1か所で行え、退職者のアクセス権をまとめて止められます。
セキュリティ面では、多要素認証やアクセス制御を全社のサービスに横断して効かせられる点が大きな利点です。サービスごとに認証の強度がばらつく状態を解消し、不正アクセスの入り口をふさぎます。サインインのログを一元的に残せるため、監査や内部統制への対応もしやすくなります。
IDaaS製品の主なタイプ(型別の特徴と向いている企業)
IDaaS製品は、得意とする領域によって大きく3つのタイプに分けられます。自社の課題がどこにあるかを基準に、どのタイプが合うかをまず見極めると、候補を絞り込みやすくなります。

| 特徴 | |
|---|---|
| 統合認証基盤・ID一元管理型 | 複数のSaaS・社内システムのIDと認証を一元化し、SSO・多要素認証・プロビジョニングを広く備える総合型。全社のID基盤をまとめて整えたい企業に向きます。該当する主な製品:Okta、Microsoft Entra ID、OneLogin、HENNGE One、JumpCloud ほか。 |
| SSO連携特化型 | まず複数サービスのシングルサインオンとパスワード管理の負担軽減に強みを持つ型。国産アプリや既存環境との連携を重視する企業に向きます。該当する主な製品:CloudGate UNO、トラスト・ログイン byGMO、Gluegent Gate ほか。 |
| 認証強化・セキュリティ特化型 | 多要素認証・リスクベース認証・ログ監査など、認証とセキュリティの強化に強みを持つ型。金融機関や高いセキュリティ要件を持つ企業に向きます。該当する主な製品:Cisco Secure Access by Duo、RSA ID Plus、SafeNet Trusted Access、IIJ IDサービス ほか。 |
また、同じ製品でも国産と外資で使い勝手が変わります。国産製品は日本語サポートや国内の業務慣行・国産SaaSとの連携に強く、外資製品はMicrosoft 365やGoogle Workspaceとの親和性や対応サービスの幅に強みがある傾向があります。この違いは後半の選び方で詳しく扱います。
自社がどのタイプに当てはまるか判断が難しい場合は、以下の診断ツールが役立ちます。SaaS統制・退職者アカウントの棚卸し・認証強化・国産志向といった課題に答えると、適合する製品が絞り込まれます。
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【比較表】主要IDaaS製品を機能・連携先・料金で比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定ができるよう、主要なIDaaS製品を機能・対応SaaS連携・料金・提供形態で横並びに整理します。料金は各社の公式情報にもとづく2026年10月時点の内容で、個別見積もりを基本とする製品は「要お問い合わせ」としています。
| サービス名 | Okta Workforce Identity Cloud | Microsoft Entra ID | OneLogin | HENNGE One | Soliton OneGate | JumpCloud | Entrust Identity | Keycloak | ID Entrance | トラストコネクト | Google Cloud Identity | CloudGate UNO | トラスト・ログイン byGMO | Gluegent Gate | Extic | ROBOT ID | infoScoop × Digital Workforce | Cisco Secure Access by Duo | RSA ID Plus | SafeNet Trusted Access | IIJ IDサービス | PassLogic | SeciossLink |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | 統合認証基盤型 | 統合認証基盤型 | 統合認証基盤型 | 統合認証基盤型 | 統合認証基盤型 | 統合認証基盤型 | 統合認証基盤型 | 統合認証基盤型 | 統合認証基盤型 | 統合認証基盤型 | 統合認証基盤型 | SSO連携特化型 | SSO連携特化型 | SSO連携特化型 | SSO連携特化型 | SSO連携特化型 | SSO連携特化型 | 認証強化型 | 認証強化型 | 認証強化型 | 認証強化型 | 認証強化型 | 認証強化型 |
| 提供形態 | 外資 クラウド型 | 外資 クラウド型 | 外資 クラウド型 | 国産 クラウド型 | 国産 クラウド型 | 外資 クラウド型 | 外資 クラウド型/オンプレ対応 | OSS 自己構築(オンプレ/クラウド) | 国産 クラウド型(SaaS) | 国産 クラウド/オンプレ対応(マネージド) | 外資 クラウド型 | 国産 クラウド型 | 国産 クラウド型 | 国産 クラウド型 | 国産 クラウド型 | 国産 クラウド型(パブリック/プライベート) | 国産 クラウド型(オンプレ連携) | 外資 クラウド型 | 外資 クラウド/オンプレ対応 | 外資 クラウド型 | 国産 クラウド型 | 国産 クラウド/オンプレ対応 | 国産 クラウド型 |
| 対応SSO連携 | 事前統合8,000超 (Okta Integration Network) | Microsoft 365・Azureの認証基盤 主要SaaSに対応 | 6,000超 (自動連携は233アプリ) | 480以上 連携が増えても追加課金なし | SAML/OIDC Wi-Fi・有線LAN・VPN認証も | 主要SaaS クラウドディレクトリ基盤 | SAML/OIDC対応 | OIDC・OAuth 2.0・SAML 2.0 | フォーム代理入力方式SSO 標準連携プロトコルは公式に明記なし | SAML+リバースプロキシ オンプレWebも改修せず統合 | SAML SSO(GoogleをIdP) 外部IdP連携も | Google Workspace・Microsoft 365・Salesforce・Slack等 | SAML・OIDC・フォームベース認証 | SAML・OpenID Connect・プロキシ認証 連携数は無制限 | SAML 2.0・フォームベース認証 | SAML 2.0 JIT方式で自動連携 | SAML+リバースプロキシ代行ログイン | 既存VPN・RDP・SaaS等へ後付け SSO含む | SSO・アクセス管理 (クラウド〜エアギャップ構成) | SaaS・VPN・VDI・オンプレアプリ | SAML 2.0・OpenID Connect | RADIUS・SAML 2.0 Microsoft 365・VPN・VDI | SAML・OpenID Connect |
| 多要素認証 | アプリ(Okta Verify)・FIDO2/パスキー・OTP アダプティブMFA | Authenticatorアプリ・パスキー(FIDO2) OATHトークン・証明書 | プッシュ・OTP・SMS・WebAuthn(FIDO2)・生体 アダプティブ(SmartFactor) | 多要素認証 (SSO・アクセス制御と統合) | デジタル証明書(CA標準搭載) FIDO2・顔認証・ICカード | FIDO2/WebAuthn・TOTP・プッシュ JumpCloud Go(端末連動のパスワードレス) | OTP・モバイルプッシュ・FIDO2/パスキー・AI顔認証 PKI証明書・スマートカード | パスキー(FIDO2/WebAuthn) 多要素認証 | ワンタイムパスワード・クライアント証明書・パスキー | 多要素認証・クライアント証明書 (方式の詳細は要確認) | 2段階認証・セキュリティキー | パスキー(FIDO2)ほか 全プランで無制限利用 | パスキー(FIDO2) ※パスワードレスは有料SSOプロ以上 | OTP・ICカード・FIDO/FIDO2・生体認証 クライアント証明書(端末認証) | TOTP・メールOTP・FIDO2(パスキー) | ワンタイムパスワード(TOTP準拠)・FIDO2 | ワンタイムパスワード・生体認証 | Duoプッシュ・FIDO2/パスキー・生体認証 OTP・ハードウェアトークン | ハード/ソフトトークン・プッシュ・生体・FIDO2/パスキー SMS/音声OTP・QRコード | OTP(ソフト/ハード)・プッシュ・FIDO・パターン認証 Premiumは証明書(PKI) | FIDO2・デバイス証明書・メールOTP アプリ(IIJ SmartKey)・統合Windows認証 | マトリックス認証軸 証明書・顔認証・アプリ等、全9種を組合せ | アプリ・メール・Web OTP・SlinkPass FIDO認証・証明書認証・統合Windows認証 |
| ID管理・プロビジョニング | SCIM対応 AD・Workday等の人事システム連携で自動化 | SCIM 2.0対応 オンプレAD同期・人事システム連携 | SCIM 1.1/2.0対応 AD連携・ロール単位で自動発行/停止 | プロビジョニング対応 ※対応SaaSは一部に限られる | 証明書の発行〜失効を一元管理 Entra ID/AD連携 | 人事システム連携で自動発行 AD同期・退職時の一括停止 | 証明書のライフサイクル管理 (PKI統合) | LDAP/Active Directory連携 | Active Directory連携 導入・運用サポート込み | 証明書のライフサイクル管理 設計〜運用をワンストップ代行 | AD/LDAP同期(GCDS) 外部SaaSの自動プロビジョニングはPremiumのみ | ID管理・アクセス制限 IP・デバイス証明書・国/地域・時間帯で制御 | AD・Entra ID・Microsoft 365・Google Workspace連携 | 人事システム・AD連携 退職/異動時の自動デプロビジョニング | 人事情報起点でID自動生成 AD・LDAP・DB・CSV・SCIM連携 | JITプロビジョニング CSVで一括登録/削除 | 入退社・人事異動時のID発行/停止を自動化 | デバイスヘルスチェック アダプティブ(適応型)アクセス制御 | IGA(ガバナンス) ライフサイクル管理・リスクベース認証 | シナリオベース(条件付き)アクセスポリシー | AD自動同期 グループ単位で認証/認可を制御 | ー(認証強化が中心) | ライフサイクル管理・自動同期 AD・Entra ID・CSVから集約 |
| 料金 | 月額940円〜(Starter) ※年契約・最低24万円/年 | 無料プランあり P1 月額1,049円〜(年払い) | 要お問い合わせ (30日間無料トライアル) | 月額400円〜(Identity IdP) ※税抜・200IDから | 月額150円〜(PKIプラン) 30日間無料トライアル | 要お問い合わせ (国内は代理店見積もり) | 要お問い合わせ | 無料(OSS) ※構築・運用は自社負担、商用サポートは要お問い合わせ | 月額150円〜(年額1,800円) 初期費用なし | 要お問い合わせ | 無料プランあり(50ユーザーまで) Premium 月額774円 | 月額400円〜(Standard Plus) 30日間無料トライアル | 無料プランあり SSOプロ 月額300円〜 | 月額250円〜(Professional) 初期費用無料 | 月額150円〜(IdP) ※税別・ID数で逓減 | 月額10万円(ユーザー数無制限) 初期費用1万円 | 月額約720円〜(1,000名規模) 規模が大きいほど単価が下がる | 月額3ドル〜(Essentials) 10ユーザーまで無料・30日間トライアル | 月額3ドル〜(C1) ※日本は代理店見積もり | 要お問い合わせ (トークン・サポート込みのall-inclusive) | 月額120円〜(SSOのみ) 初期費用0円 | 月額480円(クラウド版) 初期費用1万円・最小10ID | 月額150円〜(Standard) 30日間・10ライセンス無料トライアル |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※料金・機能は各社公式情報にもとづく2026年10月時点の内容です。海外製品は米ドル建て、国内価格や上位プランは要お問い合わせの場合があります。製品により課金単位(1ユーザー単価・定額)が異なります。
主要IDaaS製品の個別紹介
ここからは、主要なIDaaS製品を型ごとに個別に紹介します。各製品の機能・対応する連携先・料金・向いている企業を整理しました。
統合認証基盤・ID一元管理型
全社のID・認証をまとめて整えたい企業に向く、SSO・多要素認証・プロビジョニングを広く備えた製品です。
1. Okta Workforce Identity Cloud(Okta Japan株式会社)

Okta Workforce Identity Cloud は、従業員や委託先など「働く人」のIDを管理するクラウド型のIDaaSです。シングルサインオン(SSO)・多要素認証(MFA)・ユーザーディレクトリ・IDライフサイクル管理を1つのプラットフォームに統合しています。
連携アプリの事前統合は Okta Integration Network で8,000超(2026年9月時点)。SCIM標準に対応し、Workday・SAP SuccessFactors などの人事システムやオンプレミスの Active Directory と連携して、入社・異動・退職に伴うアカウントの発行・変更・失効を自動化できます。
料金は Starter が1ユーザー月額940円、Core Essentials が2,020円、Essentials が2,670円です(いずれも年単位請求、年間契約の最低額は240,000円、2026年9月時点)。人事システム連携によるアカウント自動化の基盤となる Lifecycle Management は、Core Essentials 以上に含まれます。
2. Microsoft Entra ID(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft Entra ID は、旧 Azure Active Directory が2023年に名称変更したクラウド型のID・アクセス管理(IAM)サービスです。Microsoft 365 や Azure のサインイン基盤そのものを担い、SSO・多要素認証・条件付きアクセスに加え、アカウントの自動プロビジョニングまで提供します。
Microsoft 365 や Azure を既に利用している組織は、追加の製品導入なしに MFA・条件付きアクセス・アカウント自動化を有効化できます。SCIM 2.0 に対応し、オンプレミス Active Directory との同期(Entra Connect Sync/Cloud Sync)や、Workday・SuccessFactors などの人事システム連携にも対応します。
無料で使える Free のほか、1ユーザー月額(年払い)で P1 が1,049円、P2 が1,499円です(2026年9月時点)。条件付きアクセスは P1 以上、サインインリスクに応じたリスクベース制御は P2 が必要で、入退社ワークフローなどのライフサイクル機能は Entra ID Governance アドオン(1,049円)が前提になります。
3. OneLogin(One Identity LLC)

社員・顧客・パートナーのID管理を一元化するクラウド型のIDaaSが OneLogin です。シングルサインオン・多要素認証・ディレクトリ連携に、アカウントの発行・変更・削除を自動化するユーザープロビジョニングを組み合わせています。
Active Directory 上の追加・変更・削除を検出し、あらかじめ設定したロール(部署・役職などの属性)に応じて連携先クラウドのアカウントを自動で生成・停止します。SCIM 1.1/2.0 に対応し、SSO連携は6,000超、うち自動プロビジョニングに対応するのは国内代理店集計で233アプリです。
米 One Identity(旧 OneLogin)が開発し、日本国内はサイバネットシステムなどの代理店経由で提供されます。円建ての料金は代理店によって異なり、公式には公開されていません(要問い合わせ)。30日間の無料トライアルが用意されています。
4. HENNGE One(HENNGE株式会社)

HENNGE One は、HENNGE株式会社が提供するSSO・多要素認証・アクセス制御を軸としたクラウド型のID統制基盤です。メール誤送信対策やクラウドサービスの利用監視(CASB)までを、Identity・DLP・Cybersecurity の3エディションで組み合わせられます。
契約ユーザー数は300万を超え(2026年5月発表)、東京証券取引所の上場企業の約2割が利用しています。SSOは連携先クラウドサービスが増えても追加課金がない料金設計で、対応サービスは公式サイトで480以上とされています。
料金は、ID統制を担う Identity Edition の IdP が1ユーザー月額400円、IdP Pro が600円、全機能を束ねる Suite は Basic 1,000円からです(いずれも税抜、2026年10月の新プラン、新規契約は200IDから)。退職者の連携先アカウント削除を自動化するユーザープロビジョニングは、対応SaaSが一部に限られる点には留意が必要です。
5. Soliton OneGate(株式会社ソリトンシステムズ)

Soliton OneGate は、デジタル証明書(クライアント証明書)による多要素認証を軸に、SSOとID管理を組み合わせた国産のクラウド型認証基盤です。株式会社ソリトンシステムズが開発し、認証局(CA)機能を標準で搭載しています。
証明書の発行から配布の自動化(Entra ID/AD連携)、失効までを、別途PKI基盤を構築せずに一元管理できます。クラウドSaaSのSSO(SAML/OIDC)だけでなく、Wi-Fi・有線LAN(IEEE802.1X EAP-TLS)やVPNのネットワーク認証もカバーし、FIDO2・顔認証・ICカード認証などを組み合わせられます。
料金は1ユーザー月額で、PKIプランが150円、ベーシックが300円、スタンダードが600円です(2026年9月時点、最小40〜200ユーザー)。政府情報システム向けのISMAPクラウドサービスリストに登録済みで、30日間の無料トライアルを利用できます。
6. JumpCloud(JumpCloud, Inc.)

JumpCloud は、クラウドディレクトリを中核に SSO・多要素認証・デバイス管理(MDM)・IT資産管理・パスワード管理を1つにまとめた「オープンディレクトリ・プラットフォーム」です。米 JumpCloud, Inc. が提供し、Windows・macOS・Linux・iOS・Android を横断して管理できます。
Active Directory を置き換える構成にも、既存のADとユーザー・グループ・パスワードを同期して段階的に移行する構成にも対応します。人事システム連携によるアカウントの自動発行と、退職時のワンクリック・オフボーディングで、IDのライフサイクルを一元管理できます。
日本法人はなく、国内は株式会社アクトなどの正規代理店経由で提供されます。公式の料金は米ドル建てで、SSOパッケージが1ユーザー月額11ドル(年払い)からなど機能別に分かれますが、国内の円建て価格は代理店の個別見積もりが基本です(2026年9月時点)。
7. Entrust Identity(Entrust Corporation)

公開鍵基盤(PKI)を長年の本業としてきた Entrust Corporation の、ID・アクセス管理/多要素認証の製品群が Entrust Identity です。クラウド型の Identity as a Service と、オンプレミス/ハイブリッドの Identity Enterprise から選べます。
OTP・モバイルプッシュ・FIDO2/パスキー・AI顔認証に加え、PKI証明書やスマートカード、モバイル仮想スマートカードといった高保証の認証方式を、単一ベンダーでカバーします。プライベートCA・マネージドPKI・PKIaaS の3形態を持ち、証明書の発行から失効までのライフサイクル管理と認証を一体で運用できます。
公式には50ユーザーから1,000万ユーザー超までの規模に対応するとされ、金融・政府機関を含む大規模導入の実績があります。国内は日立ソリューションズやエントラストジャパンなどの販売パートナー経由で、料金はすべて個別見積もりです(2026年9月時点)。
8. Keycloak(Keycloakプロジェクト/CNCF)

Keycloak は、Apache License 2.0 で公開されているオープンソースのID・アクセス管理(IAM)ソフトウェアです。特定企業が販売するSaaSではなく、CNCF(Cloud Native Computing Foundation)配下のプロジェクトとして開発され、自社のサーバーやコンテナ環境に構築して運用します。
OpenID Connect・OAuth 2.0・SAML 2.0 の標準プロトコルに対応し、SSO、パスキーを含む多要素認証、LDAP/Active Directory 連携、ソーシャルログインなどを追加のライセンス費用なしで利用できます。バージョン26.4以降は、パスキー(FIDO2/WebAuthn)が正式機能になりました。
ソフトウェアのライセンス費用は無償ですが、サーバー構築・データベース運用・バージョンアップや脆弱性対応は利用企業側の負担になります。商用サポートは Red Hat build of Keycloak や、国内では NRI(OpenStandia)などが提供しています(料金は要問い合わせ、2026年9月時点)。
9. ID Entrance(キヤノンITソリューションズ株式会社)

キヤノンITソリューションズ株式会社のSaaS型IDaaSが ID Entrance です。導入・運用サポートがライセンス価格に含まれ、SSO、サービス単位の認証ポリシー、IPアドレス制限、多要素認証(ワンタイムパスワード・クライアント証明書・パスキー)を備えます。
設定代行を含むサポートセンターの利用料が本体価格に含まれ、最小5ユーザー単位から契約できます。クライアント証明書は1IDあたり最大10デバイスまで登録でき、Active Directory連携や、SAML・OIDC非対応のWebアプリ向けのフォーム代理入力方式SSOにも対応します。
料金は本体が1ユーザー年額1,800円(月額換算150円、税抜)で、クライアント証明書は1デバイス年額2,400円、パスキー認証は1ユーザー年額600円などのオプションを追加します(2026年10月時点)。初期費用はかかりません。
10. トラストコネクト(NTTドコモビジネス株式会社)

トラストコネクトは、NTTドコモビジネス株式会社(旧 NTTコミュニケーションズ)が提供する認証統合(IDaaS)サービスです。認証エンジンに HPE IceWall を採用し、設計・構築から運用保守までを同社がワンストップで請け負うマネージド型で提供します。
オンプレミスのWebシステムはリバースプロキシー方式、クラウド(SaaS)はSAML認証で連携し、既存システムを改修せずにシングルサインオンへ統合できます。多要素認証やクライアント証明書のライフサイクル管理に対応し、DDoS対策・IPS・ファイアウォールを標準で備えます。
料金は公開されておらず、問い合わせによる見積もりとなります(2026年10月時点)。多要素認証の方式や対応SaaSの範囲など、詳細な仕様は提供元への確認が必要です。
11. Google Cloud Identity(Google LLC)

Google Cloud Identity は、メールやドキュメントを含む Google Workspace とは別に単体で契約できる、Google LLC のクラウド型IDaaSです。ユーザー・グループ・デバイスの一元管理とSSOを、無料の Free と有料の Premium の2エディションで提供します。
Free は50ユーザーまで無料で(増枠は申請・審査制)、Google をIdPとする構成も、外部IdPと連携して Google をサービスプロバイダにする構成も利用できます。2段階認証やセキュリティキーによる認証、Active Directory/LDAPとの同期(Google Cloud Directory Sync)に対応します。
外部SaaSへの自動プロビジョニングやコンテキストベースのアクセス制御、端末管理は有料の Premium のみです。Premium は1ユーザー月額774円(契約期間の縛りがないフレキシブルプラン)または年額7,740円で、14日間の無料トライアルがあります(2026年10月時点)。
SSO連携特化型
複数サービスのシングルサインオンとパスワード管理の負担軽減に強く、国産アプリや既存環境との連携を重視する企業に向く製品です。
12. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

株式会社インターナショナルシステムリサーチ(ISR)が100%自社開発する国産のIDaaSが CloudGate UNO です。SSO・多要素認証・アクセス制限・ID管理を1つにまとめ、ゼロトラストの考え方に基づく認証基盤として提供します。
Google Workspace・Microsoft 365・Salesforce・Slack など主要なクラウドサービスとSSOで連携し、IPアドレス・デバイス証明書・国/地域・時間帯・ブラウザといった条件でアクセスを制限できます。直近1年間で年間1億回以上の認証実績と99.99%の稼働率を公表しています。
料金は1ユーザー月額で、Standard Plus が400円、Enterprise Plus が500円、Smart Pack が600円です(いずれも税抜、新規は100IDから、2026年10月時点)。パスキー(FIDO2)によるパスワードレス認証は、上位プランに限らず全プラン・全ユーザーで無制限に利用できます。30日間の無料トライアルも用意されています。
パスワードレス認証への切り替えが運用の手間にどう効くかについて、提供元の株式会社インターナショナルシステムリサーチは、独自インタビューで具体的な事例を挙げています。

導入と同時にパスワードレス認証に切り替えた企業では、IT部門の業務の約20%を占めていたパスワード関連のヘルプデスク業務が「0%」になったという事例があります。
13. トラスト・ログイン byGMO(GMOグローバルサイン株式会社)

電子認証局を運営するGMOグローバルサイン株式会社が提供するクラウド型のID管理サービスが、トラスト・ログイン byGMO です。SSO・ID管理・多要素認証・アクセス制限を、基本機能を無料で使えるプランから提供します。
SAML・OIDC・フォームベース認証に対応し、一度パスキー(FIDO2)で認証すれば登録済みのSaaS全体にアクセスできる構成です。Active Directory・Microsoft Entra ID・Microsoft 365・Google Workspace と連携し、2026年には複数のグループ企業でSAML設定を共有する組織間連携(Hub and Spoke方式)も追加しました。
料金は、SSO・ID管理・アクセス制限を無料で使える SSOフリーのほか、パスワードレス機能まで含む SSOプロが1ユーザー月額300円、SaaS管理まで加えた SSOプロ+SaaS管理が500円です(いずれも税抜、30ID以上・12か月契約、2026年10月時点)。パスキー(FIDO2)などのパスワードレス機能は無料プランには含まれず、有料の SSOプロ以上が必要です。
14. Gluegent Gate(サイオステクノロジー株式会社)

2011年に提供を開始したサイオステクノロジー株式会社のIDaaSが Gluegent Gate(グルージェント ゲート)です。SSO・多要素認証・統合ID管理を軸に、公式サイトでは累計25万ユーザーの導入実績を示しています。
SAML・OpenID Connect・プロキシ認証に対応し、人事システムやActive Directoryと連携して退職・異動時のアカウント停止(デプロビジョニング)を自動化します。OTP・ICカード・FIDO/FIDO2・生体認証に加え、クライアント証明書を使った端末認証(端末認証WEB)も認証方式として組み合わせられます。
料金は1ユーザー月額で、無制限のSSO連携を含む Professional が250円、人事基盤連携に対応する Enterprise が500円、Unlimited が1,000円です(いずれも税別、1年契約、初期費用無料、2026年10月時点)。サービス単位で課金する Connects(100円)も選べます。
ユーザー単位課金のプランでは、利用するSaaSが増えても追加費用なくSSO連携先を広げられます。
15. Extic(エクスジェン・ネットワークス株式会社)

統合ID管理パッケージ「LDAP Manager」を手がけるエクスジェン・ネットワークス株式会社が、そのノウハウをクラウド化した国産IDaaSが Extic(エクスティック)です。人事情報を起点にしたID自動生成・ライフサイクル管理を中核に、その上にSSOと多要素認証を載せ、人事システムとの連携でアカウント運用の負担を軽くする点に強みがあります。
SAML 2.0によるSSOとフォームベース認証に対応し、Active Directory・LDAP・データベース・CSV・SCIMを通じてオンプレミス資産とクラウドSaaSのIDを連携します。第2要素はTOTP・メールOTP・FIDO2(パスキー)に対応します。日本国内リージョンで運用し、ISO/IEC 27001・27017を取得、SLA 99.9%を掲げています。
料金は用途別のコース制で、フル機能の Standard が1ID月額300円から、認証中心の IdP が150円から、ID管理中心の IdM が210円からです(いずれも税別、ID数に応じて逓減、2026年10月時点)。FIDO2オプションは月額50円からで、公共・教育・GIGAスクール向けの特別プランも用意されています。
横浜市教育委員会で28万人超のID管理に導入されるなど、大規模組織での利用実績があります。
16. ROBOT ID(ブルーテック株式会社)

業務で使う多数のアカウント情報を一括管理し、1つのID・パスワードで複数の業務アプリケーションにアクセスできるようにするのが、ブルーテック株式会社の ROBOT ID(ロボットアイディー)です。パブリッククラウド版と、自社のクラウド環境に構築するプライベートクラウド版があります。
SAML 2.0によるSSOに対応し、Just In Time(JIT)方式でアカウントを自動連携します。多要素認証はTOTPに準じたワンタイムパスワードと、指紋・顔認証などに使うFIDO2に対応します。管理者による社員アカウントの一括登録・削除、CSVでの一括処理、アクションログのCSV出力も行えます。
料金はユーザー数無制限で、パブリッククラウド版が初期費用1万円・月額10万円、プライベートクラウド版が98万円です(税区分の表記なし、2026年10月時点)。同社の Knowledge Suite を契約する企業は、月額利用料が95%割引または0円になります。
17. infoScoop × Digital Workforce(株式会社ユニリタ)

社内ポータルとSSO、ID管理を一体で提供する株式会社ユニリタのクラウドサービスが、infoScoop × Digital Workforce です。ポータル画面をSSOの入口として、クラウドとオンプレミスの社内システムの双方へのログインをまとめられます。
SAML認証に対応し、SAML非対応の社内システムにはリバースプロキシ型の代行ログインで、既存システムを改修せずに連携します。多要素認証はワンタイムパスワードや生体認証に対応します。入退社・人事異動時のID発行・停止を自動化し、ガジェットで組織・個人ごとにポータルの表示を出し分けられます。
料金は1ユーザー月額(税抜)で、ポータルとSSOのポータルプラン、ID管理まで含むIDaaSプラン、3機能すべてのプレミアムプランに分かれます。1,000名規模ではそれぞれ約720円・約1,220円・約1,450円で、5,000名規模ではプレミアムプランが約490円まで下がります(初期費用別途、1年契約、2026年10月時点)。ユーザー規模が大きいほど単価が下がり、各機能は単体でも契約できます。
認証強化・セキュリティ特化型
多要素認証・リスクベース認証・ログ監査など、認証とセキュリティの強化に強みを持つ製品です。高いセキュリティ要件を持つ企業に向きます。
ID一元管理よりも多要素認証そのものの強化を主目的にするなら、認証方式や料金を軸に多要素認証(MFA)システムを横断比較した以下の記事もあわせてご覧ください。
18. Cisco Secure Access by Duo(シスコシステムズ合同会社)

米国のスタートアップ Duo Security を源流とし、2018年にシスコが買収したアクセスセキュリティサービスが Cisco Secure Access by Duo(シスコ デュオ)です。国内ではシスコシステムズ合同会社が提供し、多要素認証・デバイスの健全性チェック・適応型(アダプティブ)アクセスポリシーを組み合わせて、ログインごとにアクセスの可否を判定します。
新しいID基盤を構築せず、既存のVPN・RDP・オンプレミスのアプリ・クラウドSaaSの認証ポイントへ後付けでMFAを被せられる点が設計の軸です。認証方式はDuoプッシュやFIDO2・パスキー、生体認証、ワンタイムパスワード、ハードウェアトークンまで幅広く選べます。
料金は1ユーザー月額(米ドル)で、SSOやトラステッドエンドポイントを含む Essentials が3ドル、デバイスヘルスチェックやリスクベース認証を加えた Advantage が6ドル、Premier が9ドルです(10ユーザーまでのFreeプランは無料、全有償プランに30日間の無料トライアル、2026年10月時点)。
VPNを使わずに社内リソースへアクセスできる Duo Network Gateway は、最上位の Premier プラン限定です。
19. RSA ID Plus(RSA Security Japan合同会社)

1990年代のハードウェアトークンによるワンタイムパスワードを源流とする、多要素認証の老舗が RSA ID Plus(SecurID)です。現在は認証・アクセス管理・アイデンティティガバナンスを統合する「RSA Unified Identity Platform」として再編され、国内ではテクマトリックス株式会社やSB C&S株式会社などの代理店経由で提供されています。
認証方式はハードウェアトークン・ソフトウェアトークン・プッシュ・生体認証・FIDO2/パスキー・SMS/音声OTP・QRコードまで網羅します。アクセス履歴を統計分析する独自エンジン「RSA Risk AI」によるリスクベース認証や、アクセス権の棚卸し・ライフサイクル管理を担うガバナンス機能(IGA)も備え、クラウドからオンプレミス、エアギャップ構成まで同一プラットフォームで運用できます。
料金は1ユーザー月額で、クラウド型のC1が3ドル、ハイブリッド対応のE1が5ドル、E2が7ドル、最上位のE3は要問い合わせです(RSA公式サイト掲載の単価。日本での価格は代理店見積もり、2026年10月時点)。政府機関や金融など高い保証レベルを求める組織向けに、FedRAMP Moderate認証を取得した政府向けエディションや、エアギャップ環境まで対応する展開構成を用意しています。
20. SafeNet Trusted Access(タレスDISジャパン株式会社)

決済カードやSIM、ハードウェアセキュリティモジュール(HSM)など物理セキュリティ・暗号領域で実績を持つ Thales が提供するクラウド型アクセス管理サービス(IDaaS)が SafeNet Trusted Access(STA)です。日本ではタレスDISジャパン株式会社が提供し、キヤノンマーケティングジャパンなどの代理店が販売・導入を支援します。
SSO・多要素認証・シナリオベース(条件付き)のアクセスポリシーを1つのプラットフォームに統合し、SaaS・VPN・VDI・オンプレミスのアプリケーションへのアクセスを保護します。認証方式はOTP(ソフト/ハード)、プッシュ、FIDO、パターン/グリッド認証に加え、最上位のSTA Premiumでは証明書(PKI)認証まで選べます。
ISO/IEC 27001・SOC 2 Type II・CSA STARを製品単位で取得しています。
プランはSTA Basic・STA・STA Premiumの3段階で、上位プランは下位の全機能を含みます。料金はトークン費用やサポート費用を含む一括(all-inclusive)ライセンスを掲げており、具体額は個別見積もりです。
21. IIJ IDサービス(株式会社インターネットイニシアティブ)

国内通信事業者の株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)が自社で開発・運用するクラウド型のID管理・認証サービスが IIJ IDサービスです。1つのIDで複数のクラウドサービスへログインできるシングルサインオン(SSO)を中核に、多要素認証・Active Directory連携・アクセス制御を提供します。
SSOはSAML 2.0とOpenID Connectに対応し、多要素認証はFIDO2・デバイス証明書認証(自社CA/外部CA)・メールOTP・スマートフォンアプリ「IIJ SmartKey」・統合Windows認証から選べます。ADのID・パスワード・グループ情報を自動同期し、グループ単位で認証・認可を制御できます。政府情報システム向けのISMAPクラウドサービスリストにも登録されています。
料金は初期費用0円で、SSOのみが1ID月額120円、多要素認証を加えると240円です(いずれも税抜、統合Windows認証は月額57,960円〜の別オプション、2026年10月時点)。連携するクラウドサービスが増えても料金は変わらず、多要素認証の要否で単価が二段階に分かれます。
22. PassLogic(パスロジ株式会社)

ログイン画面に表示される乱数表から、あらかじめ記憶したパターンの位置を読み取って数字を入力する独自のワンタイムパスワードを中核とする、パスロジ株式会社の国産多要素認証ソリューションが PassLogic(パスロジック)です。乱数表は毎回変わるため、入力する数字はログインのたびに異なります。
このマトリックス方式の認証に、クライアント証明書・顔認証・スマートフォンアプリ・ハードウェアトークンなどを重ねて、知識・所有物・生体の3要素による全9種類の認証方式を組み合わせられます。ハードウェアトークンやアプリを配布・管理せず、ブラウザだけで多要素認証を完結できる点が特徴です。
RADIUSやSAML 2.0でMicrosoft 365・Entra ID・VPN・VDIと連携し、提供環境はクラウド・オンプレミス・専用サーバー型クラウドから選べます。料金はクラウド版が1ID月額480円(最小10ID、初期費用10,000円)、オンプレミスのパッケージ版がサブスクリプションで最大1ID月額408円(最小20ID)です(税区分の明示なし、2026年10月時点)。
23. SeciossLink(株式会社セシオス)

ゼロトラストに対応した安全なログイン環境を掲げる、株式会社セシオスの国産クラウド型統合ID管理サービスが SeciossLink(セシオスリンク)です。ID管理(ライフサイクル管理・プロビジョニング)、シングルサインオン、多要素認証、アクセス制御を一体で提供します。
SSOはSAMLとOpenID Connectに対応し、多要素認証はアプリ・メール・Web OTP・専用アプリ「SlinkPass」・ハードウェアトークンのワンタイムパスワードに加え、Windows Hello等のFIDO認証・証明書認証・統合Windows認証を組み合わせられます。AD・Entra ID・CSVなどからIDを集約し、クラウドサービスへの自動同期(プロビジョニング)まで行えます。
料金は1ユーザー月額(税抜)で、Standardが150円、連携サービス数が無制限のEnterpriseが500円です。教育・研究機関向けには1ユーザー月額60円のEducationプランと、学術認証フェデレーション「学認(GakuNin)」向けのテンプレートを用意しています。30日間・10ライセンスの無料トライアルも利用できます。
IDaaS製品の選び方(比較すべき軸)
IDaaS製品は機能が重なる部分も多く、一覧を眺めるだけでは絞り込みにくいものです。ここでは比較の軸を整理したうえで、特に判断が割れやすい「国産か外資か」と「料金」を続けて掘り下げます。
比較すべき軸
製品を比べるときは、次の観点を自社の状況に当てはめて確認すると判断しやすくなります。
- 対応するSaaS連携の範囲:自社が使っているSaaSや社内システムに標準で対応しているかが出発点です。事前に連携設定が用意された(テンプレート化された)サービスが多いほど、導入後の設定負担は軽くなります。
- 多要素認証の方式:SMS・認証アプリ・生体認証・FIDO2/パスキーなど、自社のセキュリティ方針に合う方式があるかを見極めましょう。パスワードに依存しない方式に対応していれば、フィッシング対策が強まります。
- ID管理・プロビジョニングの自動化:入社・異動・退職にともなうアカウントの作成・変更・削除を自動で連携先に反映できるか、SCIMに対応しているかが分かれ目になります。ここが弱いと手作業の棚卸しが残ります。
- 既存システムとの連携:Active Directory・Microsoft 365・Google Workspace・人事システムなど、すでに使っている基盤とつながるかは要チェックです。合わないと、せっかくの一元管理が途中で分断されます。
- 自社規模への適合:小規模から使えるか、大企業の複雑な組織・多数のアカウントに耐えるか。料金プランの下限・上限と最低契約ユーザー数も合わせて見ておくと安心です。
- 料金・提供形態:ユーザー単位の月額か、機能別のプランか、無料枠・無料トライアルがあるか。詳しくは次の項目で扱います。
- サポート体制:日本語での問い合わせ・導入支援の有無や対応時間も確認ポイントです。社内に専任担当を置きにくい場合ほど効いてきます。
数万規模のID・監査対応・人事システム連携といった大企業ならではの要件を軸に絞り込みたい場合は、条件をそろえて比較した以下の記事もあわせてご確認ください。
国産IDaaSと外資IDaaSの選び分け
IDaaS製品は国産と外資で得意分野が分かれる傾向があり、既存環境との相性で選び分けると失敗が減ります。
国産製品は、日本語での管理画面・サポート・導入支援が手厚く、国内でよく使われる業務システムやグループウェアとの連携が整っていることが多い傾向です。社内に専任の担当を置きにくい企業や、日本語での手厚い支援を重視する企業に向きます。
外資製品は、Microsoft 365やGoogle Workspaceとの親和性が高く、対応するSaaSの幅や多要素認証・アクセス制御の設定の細かさに強みがある傾向です。グローバルに拠点がある企業や、海外製SaaSを多く使う企業で選ばれやすくなります。
判断の起点は「すでに自社の中心にある基盤は何か」です。Active DirectoryやMicrosoft 365を軸にしているなら親和性の高い製品が候補になり、国産SaaSやグループウェアを軸にしているなら国産製品が無理なくはまることが多くなります。自社の環境に合う具体的な製品は、前掲の比較表で連携先と料金を見比べて確認してください。
IDaaS製品の料金・提供形態の読み解き方
IDaaS製品の料金は、比較表で並べても単純には比べにくい部分です。課金の考え方をつかんでおくと、各製品の数字を正しく読み解けます。
多くの製品は、利用するユーザー1人あたりの月額(または年額)で課金します。基本的なSSOだけを含む下位プランと、多要素認証・自動プロビジョニング・高度なアクセス制御まで含む上位プランに分かれ、必要な機能によって単価が変わる形が一般的です。無料で使える枠や、一定人数・一定期間まで試せる無料トライアルを用意する製品もあります。
一方で、大企業向けや高度な要件に対応する製品では、料金を公開せず個別見積もりとするものも少なくありません。
比較するときは、月額の単価だけでなく、使いたい機能がどのプランに含まれるか、最低契約ユーザー数があるか、初期費用やオプション費用が別途かかるかまで合わせて見ると、導入後の総額を見誤りません。公開料金は具体値で、個別見積もりの製品は「要お問い合わせ」で示しています。
公開料金の主要な単価は上の比較表で確認できます。初期費用やオプション費用まで含めて実額を細かく積み上げて比べたい場合は、各社の公式料金ページに沿って一覧化した以下の記事も参考になります。
IDaaS製品の導入・運用で押さえる注意点
IDaaS製品は導入して終わりではなく、運用の設計で効果が大きく変わります。導入前に押さえておきたい点を整理します。
まず、導入前にアカウントの棚卸しを行い、誰がどのサービスを使っているかを把握します。IDが分散したまま一元管理に移すと、使われていないアカウントや退職者のアカウントがそのまま残り、かえってリスクになります。入社・異動・退職にともなう権限変更を自動で連携先に反映するプロビジョニングを設計し、退職時にアクセスを確実に失効させる運用を最初に決めておくことが重要です。
次に、既存のActive Directoryや人事システムとの連携を、どこまで自動化するかを見極めます。連携が中途半端だと、結局どこかで手作業が残り、一元管理の効果が薄れます。すべてのサービスを一度に移そうとせず、利用者の多いサービスや退職者管理の影響が大きいサービスから段階的に連携範囲を広げると、現場の混乱を抑えられます。
認証の強化は、利便性とのバランスを取りながら設計します。IPAは、社内外のすべてを信用せず、すべてのアクセスを確認するという「ゼロトラスト」の考え方を示しており、IDaaSはその入り口となる認証・認可を担います。利用者の状況に応じて認証の厳しさを変えるリスクベース認証や、パスワードに依存しない認証方式を取り入れると、安全性と使いやすさを両立しやすくなります。
どこまで厳しくするかは自社のリスクと業務への影響を見て決めます。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:ゼロトラスト導入指南書(ゼロトラスト・認証・認可・動的なアクセス制御の定義)|独立行政法人情報処理推進機構(https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2021/ngi93u0000002klo-att/000092243.pdf)
まとめ
IDaaS製品は、自社の課題を起点に型で絞り込むのが近道です。全社のID・認証をまとめて整えたいなら統合認証基盤・ID一元管理型、まずSSOとパスワード管理の負担を軽くしたいならSSO連携特化型、金融機関など高いセキュリティ要件があるなら認証強化・セキュリティ特化型が向きます。
そのうえで、対応するSaaS連携・多要素認証の方式・既存システムとの連携・料金を見比べ、国産か外資かを既存環境との相性で判断すると、候補が定まります。
IDaaSの基礎的な仕組みや、特に実績のある製品を厳選して比較検討したい場合は、以下の記事も参考になります。
IDaaSとは?おすすめ6選を徹底比較|メリットや選び方・導入事例も紹介
「IDaaSを比較したい」「IDaaSとは何?どのサービスがおすすめ?」 IDaaSとは、ID管理と認証をクラウド上で統合できる仕組みで、複数のクラウドサービスをまとめて管理したい企業に広がっています。 クラウドサービスの利用が増えた近年で…
気になる製品が見つかったら、まずは資料を取り寄せて、自社の使っているサービスに対応しているか、必要な機能がどのプランに含まれるかを確かめるのが確実です。下記から複数製品の資料をまとめて請求できます。
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IDaaS製品に関するよくある質問(FAQ)
Q. IDaaS製品とは何ですか?
A. IDaaS(Identity as a Service、アイダース)製品とは、複数のSaaSや社内システムで使うID・認証をクラウド上で一元的に管理する製品です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、IDaaSを「クラウド上の様々なサービスのID管理を一元的に行うクラウドサービス」と定義しています。
1つの製品でシングルサインオン(SSO)・多要素認証・アクセス制御・ID管理・ID連携を担うため、SaaSの利用が広がった企業ほど、ばらばらなログインの一本化と認証強化の効果が大きくなります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:ゼロトラスト導入指南書|独立行政法人情報処理推進機構(https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2021/ngi93u0000002klo-att/000092243.pdf)
Q. IDaaS製品とSSOツールの違いは何ですか?
A. IDaaS製品とSSOツールの違いは、カバーする範囲の広さです。SSO(シングルサインオン)はIDaaS製品が備える機能の1つで、IDaaS製品はそれに加えて多要素認証・ID一元管理・アクセス制御・プロビジョニングまでをまとめて担います。SSOだけを導入するとログインの手間は減りますが、退職者のアカウント停止や全社的な認証強化といった統制面はカバーしきれません。
まず複数サービスのSSOとパスワード管理の負担軽減に強いSSO連携特化型の製品もありますが、全社のID基盤をまとめて整えたい場合はID一元管理まで備えた製品を選ぶと過不足がありません。
Q. IDaaS製品を導入するとき、Active Directoryから完全に移行すべきですか?
A. IDaaS製品の導入にあたって、Active Directoryからの完全移行は必須ではなく、既存のActive Directoryと同期・連携させるハイブリッドな構成で運用するのが一般的です。多くの製品はActive Directoryのアカウント情報を自動同期し、クラウド側の認証やSaaS連携だけをIDaaSに任せられます。
すべてを一度に移そうとせず、利用者の多いサービスや退職者管理の影響が大きいところから段階的に連携範囲を広げると、現場の混乱を抑えられます。
Q. 中小企業でもIDaaS製品は必要ですか?
A. 中小企業でも、複数のSaaSを業務で使っているならIDaaS製品を導入する価値があります。利用するSaaSが増えるほど、ID・パスワードの管理や退職者のアクセス権停止の手間とリスクは、企業規模に関わらず膨らみます。まずは自社が使っているSaaSの数とアカウントの棚卸しから着手し、無料プランや低コストで始められる製品、日本語サポートが手厚い国産製品から検討すると無理がありません。
Q. IDaaS製品の多要素認証にはどのような方式がありますか?
A. IDaaS製品の多要素認証には、SMS・認証アプリのワンタイムパスワード・生体認証・FIDO2/パスキー・クライアント証明書・ハードウェアトークンなどの方式があり、対応する方式は製品によって異なります。利用者の場所・端末・アクセスのリスクに応じて要求する認証を動的に変えるリスクベース認証(アダプティブ認証)に対応する製品もあります。
フィッシング対策を重視するなら、パスワードに依存しないFIDO2/パスキーに対応しているかを確認するとよいでしょう。
Q. 国産IDaaS製品と外資IDaaS製品はどちらを選べばよいですか?
A. 国産か外資かは、すでに自社の中心にある既存環境との相性で選び分けると失敗が減ります。国産製品は日本語でのサポート・導入支援が手厚く、国内でよく使われる業務システムやグループウェアとの連携に強い傾向があります。
外資製品はMicrosoft 365やGoogle Workspaceとの親和性が高く、対応するSaaSの幅やアクセス制御の設定の細かさに強みがあります。Active DirectoryやMicrosoft 365が自社の軸なら親和性の高い製品、国産SaaSやグループウェアが軸なら国産製品が無理なくはまることが多くなります。
Q. IDaaS製品は無料で試せますか?
A. IDaaS製品の多くは、無料プランや一定期間の無料トライアルを用意しており、導入前に試せます。一定人数まで無料で使える製品、30日間ほどの無料トライアルを提供する製品、オープンソースでライセンス費用なしに自社構築できる製品まで幅があります。
ただし無料枠では自動プロビジョニングなど一部の機能が制限される場合があるため、使いたい機能がどのプランに含まれるかを資料や比較表で確かめてから試すのが確実です。
無料プラン・無料トライアル・OSSの違いをふまえて、無料で使える製品を比べたい場合は、以下の記事でタイプ別に整理しています。
Q. IDaaS製品の導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. IDaaS製品の導入期間は、自社の規模と連携するサービスの範囲によって変わります。SSOと多要素認証を一部のSaaSで使い始めるだけなら短期間で始められますが、Active Directoryや人事システムとの連携、全社のアカウント棚卸しとプロビジョニング設計まで含めると、相応の準備期間が必要です。
すべてを一度に進めず、影響の大きいサービスから段階的に導入範囲を広げる計画を立てると、無理なく運用に乗せられます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















