複数のSaaSや社内システムが増えるほど、ログインとパスワードの管理は煩雑になり、ヘルプデスクへのパスワードリセット依頼も積み重なっていきます。SSO(シングルサインオン)の導入や乗り換えを検討するなかで、カタログスペックだけでは実際の使い勝手やサポートの質が見えず、判断に迷っていませんか。
SSOがどんな仕組みで、認証を一本化しても安全なのかを確かめたい段階から、具体的な製品を比較して社内で検討する段階まで、知りたいことはさまざまです。実際に使っている企業の評判・口コミを手がかりに、自社に合うSSO製品をどう見極めればよいのでしょうか。
本記事では、主要なSSO製品を評判・口コミの傾向から読み解き、機能・料金・対応範囲まで比較します。使いやすさ・サポート・料金・連携・安定性という5つの観点での評価の傾向に加え、認証を一本化するうえで気になる安全性(パスワード漏洩時・障害時の備え)も整理しました。自社の課題に合う製品を絞り込むための材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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SSOの評判・口コミとは?何を見て選ぶか
ここからは、評判・口コミを手がかりに製品を見極める前提として、SSOの概要と、評判のどこに注目すべきかを整理します。
SSO(シングルサインオン)とは
SSO(シングルサインオン)は、1回の認証で複数のクラウドサービスや社内システムにログインできる仕組みです。認証基盤となるIdP(Identity Provider=認証を担う側)で本人確認を済ませると、連携先の各サービスには個別にパスワードを入力せずアクセスできます。
米国国立標準技術研究所(NIST)のデジタルID基準でも、利用者が連携先ごとに別々の認証情報を持たずに複数サービスを利用できる仕組みを、シングルサインオンと説明しています。IDの統制とログイン手段を一本化できる点が、SSOの基本的な役割です。
SSO導入で得られること
SSOを導入すると、利用者は覚えるパスワードが減り、サービスごとのログインの手間から解放されます。毎日のログイン操作が簡単になり、パスワードを忘れて再設定を依頼する回数も減らせます。
管理する側では、ID情報とアクセス権を一元管理でき、入退社に伴うアカウントの発行・停止もまとめて扱えます。多要素認証(MFA)やパスワードポリシーを連携先全体に一括で適用でき、セキュリティ運用の土台を整えられます。
一方で、こうした効果の大きさは連携するサービスの数や既存の運用体制によって変わります。削減効果を数値で断言する情報には出所が曖昧なものも多いため、口コミを読むときは「自社と近い環境でどう使われているか」を見るのが実際的です。
評判・口コミで確認したい5つの観点
評判・口コミは量が多く、星の数だけを見ても自社に合うかは判断できません。SSO製品では、次の5つの観点に分けて読み解くと、自社の課題と照らし合わせやすくなります。
- 使いやすさ・運用負荷:管理画面の分かりやすさ、初期設定やアカウント運用にかかる手間
- サポート体制:導入時の支援、問い合わせへの対応速度、日本語での対応可否
- 料金・コスト感:料金の分かりやすさ、機能に見合う価格か、上位プランで追加費用が生じないか
- 連携のしやすさ:Active Directoryや利用中のSaaSと無理なくつながるか、対応プロトコルの範囲
- 安定性・障害対応:サービスの稼働の安定度、障害時の情報提供や復旧の早さ
この5観点は、このあとの評判の傾向・比較表・選び方でも共通の軸として使います。自社がどこを重視するかを決めておくと、口コミの取捨選択がしやすくなります。
観点別に見るSSO評判の読み方とタイプ別の傾向
ここからは、先ほどの5つの観点について、評判のどこを見ればよいかと、製品のタイプ(国産・海外発・オンプレミス)で構造的にどう違うかを整理します。製品ごとの良い点・気になる点は後半の個別紹介で、機能・料金の一覧は比較表で扱います。
使いやすさ・運用負荷の読み方
使いやすさの口コミを読むときは、管理画面の分かりやすさと、初期設定・日々のアカウント運用にどれだけ手間がかかるかに注目するとよいでしょう。自社の情シス体制でその運用を回せるかを、投稿者の環境と照らし合わせて見ると判断しやすくなります。
タイプで見ると、国産IDaaSは管理画面やマニュアルが日本語で用意されています。海外発の製品は対応機能が幅広く設定の自由度が高いぶん、ポリシー設計に学習が必要です。オンプレミス型は自社構築のため、構成の自由度と運用の手間がともに大きくなります。
サポート体制の読み方
サポートの口コミでは、問い合わせの対応窓口・言語・時間帯と、導入時の支援の手厚さを確認することが大切です。対応時間や手段を公式に明記していない製品もあるため、口コミの印象は資料請求や問い合わせで裏を取るのが確実です。
国産IDaaSは、提供元が日本語で導入支援や問い合わせ対応を行います。海外発の製品は、ドキュメントが充実する一方、日本語サポートは国内代理店が担う形が多く、支援範囲は代理店によって変わります。どの窓口がどこまで対応するかを導入前に確かめておくと安心です。
料金・コスト感の読み方
料金の口コミでは、1ユーザーあたりの単価の分かりやすさと、必要な機能が含まれるプランかを見ます。タイプで見ると、国産IDaaSは単価を公開する製品が多く、海外発は米ドル建てや年間契約の最低額が設定される場合があり、オンプレミス型はライセンス購入と保守の個別見積りが基本です。
この「SSO連携を使うために上位プランへの移行を求められる」構造は、業界では「SSO税(SSO Tax)」と呼ばれることがあります。連携先のSaaS側でもSSO対応が上位プラン限定になっている場合があるため、SSO製品の料金だけでなく、つなぐ側の費用も含めて試算しておくと見積もりのずれを防げます。
出典・参考資料(1件)
料金は要問い合わせの製品も多く、予算の根拠を自分で組み立てるのは手間がかかります。主要なID管理システムの初期費用・月額ユーザー単価・最小契約人数を、公式料金ページ準拠の実額で一覧にした記事も用意しています。総額の試算を進めたい方はこちらもご覧ください。
連携のしやすさの読み方(AD・利用中SaaS)
連携の口コミで多いのは、既存のActive Directoryや日常的に使うSaaSと無理なくつながったかどうかです。読むときは、投稿者がつないでいる対象が自社と重なるかを見ると、自社での連携可否を推し量りやすくなります。
タイプで見ると、海外発の製品は事前構築済みの連携カタログが数千規模にのぼるものがあります。国産IDaaSは国内で広く使われるSaaSへの対応を押さえています。SAMLやOpenID Connectに対応しない社内システムは、代行入力方式やリバースプロキシ方式に対応する製品で連携できます。
安定性・障害対応の読み方
安定性の口コミでは、日々の稼働の安定度に加え、まれに生じる障害時の情報提供や復旧対応への言及に注目するとよいでしょう。障害の有無そのものより、状況がきちんと共有されたか・どの程度で復旧したかという運用面の記述が参考になります。
SSOは認証を集約するぶん、基盤が止まると連携先全体にログインできなくなります。稼働率や冗長性を公開している製品もあるため、口コミと公式の実績値の両方で確かめます。安定性と障害時の備えは、記事後半の「SSOは安全か」で具体的に扱います。
SSO製品は大きく、国内ベンダーが日本語のサポート・商習慣に合わせて提供する国産IDaaS型、対応SaaSや連携範囲が広い海外発IDaaS・IAM型、自社環境に構築して社内資産とのSSOを自社管理するオンプレミス型に分けられます。自社の環境がどのタイプに近いかを押さえると、評判の読み方も定まります。
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【比較表】主要SSO製品の評判・機能・料金
ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、主要なSSO製品を提供元・提供形態の3つのタイプに分類して一覧で比較します。評判の各観点に対応する客観的な軸(提供形態・料金・連携方式・多要素認証・無料枠など)を一覧で確かめられる構成です。
- 国産IDaaS型:国内ベンダーが提供し、日本語のサポート・管理画面・商習慣に合わせやすいSSO/IDaaS
- 海外発IDaaS・IAM型:対応SaaSや連携範囲が広く、アクセス管理やアカウントの自動発行・停止の機能が厚い
- オンプレミス型:自社環境に構築し、社内システムやレガシー資産とのSSOを自社管理で実現する
料金は各社の公式情報にもとづき、分かる範囲で具体的に記載しています。個別見積もりのものは「要お問い合わせ」としています。
| サービス名 | CloudGate UNO | トラスト・ログイン byGMO | HENNGE One | IIJ IDサービス | Gluegent Gate | Soliton OneGate | Extic | SeciossLink | ID Entrance | Online Service Gate | サテライトオフィス・シングルサインオン | ネクストセット・シングルサインオン for Microsoft 365 | Okta | Microsoft Entra ID | OneLogin | JumpCloud | Cisco Secure Access by Duo | Google Cloud Identity | HPE IceWall SSO | CloudLink |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | 国産IDaaS型 | 国産IDaaS型 | 国産IDaaS型 | 国産IDaaS型 | 国産IDaaS型 | 国産IDaaS型 | 国産IDaaS型 | 国産IDaaS型 | 国産IDaaS型 | 国産IDaaS型 | 国産IDaaS型 | 国産IDaaS型 | 海外発IDaaS・IAM型 | 海外発IDaaS・IAM型 | 海外発IDaaS・IAM型 | 海外発IDaaS・IAM型 | 海外発IDaaS・IAM型 | 海外発IDaaS・IAM型 | オンプレミス型 | オンプレミス型 |
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド(AD連携でオンプレ対応) | クラウド | クラウド | クラウド(オンプレ連携対応) | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド(オンプレAD連携) | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | オンプレミス(クラウド・仮想環境にも構築可) | オンプレミス(Linux/Windows Server・IaaS) |
| 月額料金(1ユーザー) | 400〜600円(税抜) | 0〜300円 (SSOフリー 0円/SSOプロ 300円・税抜・30ID〜) | 400〜2,500円 (IdP 400〜1,000円/Suite 1,000〜2,500円・税抜・新規200ID〜) | 120〜240円 (SSOのみ120円/SSO+MFA 240円・税抜) | 100〜1,000円 (Connects 100円/接続、Professional 250円・Enterprise 500円・Unlimited 1,000円・税別) | 150〜600円 (PKI 150/ベーシック 300/スタンダード 600・税別) | Standard 300円〜・IdP 150円〜・IdM 210円〜 (税別・ID数で逓減) | 150〜500円 (Standard 150円/Enterprise 500円/Education 60円・税抜) | 150円 (年額1,800円・税抜・5ユーザー単位) | 90〜150円 (100ユーザー以上・人数帯別・税抜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 940円〜 (Starter。Core Essentials 2,020円/Essentials 2,670円・年間契約最低額240,000円) | Free 0円/P1 1,049円/P2 1,499円 | 要問い合わせ(代理店により異なる) | 要問い合わせ (国内は代理店見積もり。SSOは米ドル建て$11〜) | Free $0(10ユーザーまで)/Essentials $3・Advantage $6・Premier $9 (米ドル・1ユーザー/月) | Free 0円(50ユーザーまで)/Premium 約645円〜($6・年間プラン) | 要問い合わせ(ライセンス購入+保守) | 要問い合わせ |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円 | 0円 | 要問い合わせ (アプライアンス利用時198,000円/台) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ (一部導入構築は有償) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円 | 20,000円(税抜・代理店により異なる) | 要問い合わせ | 0円(Freeプラン) | 0円 | 要問い合わせ | 要問い合わせ(初年度から保守契約必須) |
| SSO連携方式 | SAML 2.0・OIDC・フォームベース | SAML・OIDC・フォームベース・Basic | SAML | SAML 2.0・OpenID Connect | SAML(SP/IdP)・OIDC・プロキシ認証 | SAML・OIDC(SAML非対応は代理認証) | SAML 2.0・フォームベース | SAML・OpenID Connect | 公式に明記なし | SAML連携対応(詳細は公式に明記なし) | SAML(非対応アプリはフォーム自動入力=代行入力) | SAML(非対応アプリはフォームベース自動ログイン=代行入力) | SAML・OpenID Connect | SAML・OIDC・パスワードSSO | SAML・OpenID Connect(SCIM) | SAML・OIDC | SAML 2.0・OIDC(Duo SSO、Essentials以上)。既存VPN等はRADIUS連携 | SAML・OIDC | リバースプロキシ方式・エージェント方式。SAML IdP(IceWall Federation)を含む/OIDCは別売り | SAML(IdP)・OIDC(OP)。非対応システムはリバースプロキシ/代理認証 |
| 多要素認証(MFA) | パスキー(FIDO2)・生体認証・OTP・認証アプリ (全プラン無制限) | OTP・メールOTP・パスキー(FIDO2)・プッシュ通知 (パスワードレスはSSOプロ・有料) | 多要素認証・デバイス証明書(オプション) | FIDO2・デバイス証明書・メールOTP・SmartKey・統合Windows認証 | OTP・ICカード・FIDO/FIDO2・生体認証 | デジタル証明書・FIDO2・顔認証・ICカード・スマホ認証 | TOTP・メールOTP・FIDO2(パスキー) | OTP(アプリ/メール/Web)・FIDO認証・証明書認証・統合Windows認証 | OTP・Eメール認証・クライアント証明書・パスキー認証 | ワンタイムパスワード・デバイス証明書 | TOTP・SMS・メール・FIDO2.0・クライアント証明書・FeliCa/Mifare | 二要素認証(SMS・電話/アプリ承認)・FIDO2.0・TOTP・マトリクス認証・Felica/NFC・Bluetoothビーコン | Okta Verify・FastPass・FIDO2/WebAuthn・OTP・SMS/音声/メール (Adaptive MFAはCore Essentials以上) | Authenticator・パスキー(FIDO2)・Windows Hello・証明書・OATH・SMS/音声 (条件付きアクセスはP1以上) | OneLogin Protect(プッシュ/OTP)・SMS/メール/音声・WebAuthn(FIDO2)・生体 | 多要素認証・パスワードレス認証 | Duo Push・Verified Push・FIDO2/WebAuthn/パスキー・生体・OTP・電話/SMS・ハードウェアトークン | 2段階認証(2SV)・セキュリティキー | 別製品 IceWall MFA で対応(FIDO2・統合Windows認証等) | AuthWay連携でOTP・プッシュ型二経路・マトリクス認証・FIDO2(パスキー) |
| 連携できるSaaS | 主要SaaSに対応(公式の総数明記なし) | 連携テンプレート約9,000種類 | 480以上 | 連携数無制限(追加費用なし) | 無制限(Professional以上) | SAML連携数無制限 | AD/LDAP/DB/CSV/SCIM・各種SaaS(総数非公表) | Standardは限定/Enterprise・Educationは無制限 | 公式に明記なし | 約4,000のクラウドサービス | 多数のSaaSに対応(総数は公式に明記なし) | Microsoft 365中心+連携SaaS(総数非公表) | OIN 8,000以上 | アプリギャラリー数千 | SSO連携6,000以上(プロビジョニング対応は233) | 事前構築コネクタで連携(SCIM対応・総数非公表) | SaaSのSSO連携に対応(総数非公表) | 200以上の事前統合アプリ | 公式に明記なし | 公式に明記なし |
| 無料プラン・トライアル | 30日間トライアル | 無料プランあり(SSOフリー) | 要問い合わせ | トライアルあり | 要問い合わせ | 30日間トライアル | トライアルあり | 30日間トライアル(10ライセンス) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 30日間トライアル | 30日間トライアル | 無料プランあり(Free)/30日間トライアル | 30日間トライアル | 30日間トライアル | 無料プランあり(10ユーザーまで)/30日間トライアル | 無料プランあり(Free・50ユーザーまで)/Premium 14日間トライアル | 評価版あり | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※料金は各社公式情報にもとづく各社表記のままで、税区分・通貨は各社により異なります(一部はドル建て)。最新の価格・提供形態は各社情報をご確認ください。
主要SSO製品を紹介(良い点・気になる点)
ここからは、比較表で挙げた製品を3つのタイプ別に紹介します。各製品の良い点・気になる点に、機能・料金・対応範囲を添えて、自社の課題に合うかを判断できるようにまとめます。
国産IDaaS型(国産SSO)
国内ベンダーが提供し、日本語のサポートと使い慣れた管理画面で運用しやすいタイプです。Active Directoryとの連携や国内で広く使われるSaaSへの対応を重視する企業に向きます。
1. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

2008年のGoogle Workspace向けシングルサインオンを起点に、株式会社インターナショナルシステムリサーチが自社開発するクラウド型のID管理基盤です。SSO・多要素認証・アクセス制限・ID管理を一つに統合し、ゼロトラストの考え方で認証を一元化します。
良い点は、認証方式とアクセス制御の細かさです。パスキー(FIDO2)によるパスワードレス認証を全プラン・全ユーザーで無制限に使えるほか、アクセス制限を端末・場所・時間の3軸で設定できます。国産開発で日本語の管理画面とサポートを備えます。
料金は月額400円〜600円/ユーザー(税抜)で、Standard Plus 400円・Enterprise Plus 500円・Smart Pack 600円の3プランに分かれます。30日間の無料トライアルもあります。
気になる点は、費用の見積もりが立てにくいことです。初期費用と最低購入ID数(新規は100IDから)は公式料金ページに金額の記載がなく、連携できるSaaSの総数も公式に明示されていません。導入前に資料請求や問い合わせで確認しておくと安心です。
料金や機能だけでなく、導入後にどれだけ業務が軽くなるかも選定で気になる点です。提供元は、パスワードレス認証への切り替えによる業務削減について、MCB FinTechカタログの独自インタビューで次のように説明しています。

導入と同時にパスワードレス認証に切り替えた企業では、IT部門の業務の約20%を占めていたパスワード関連のヘルプデスク業務が「0%」になったという事例があります。また、他社サービスからの乗り換え事例もございます。通常、設定の移行には時間がかかるものですが、当社のサポートによりわずか1週間で完了させたケースもあります。
2. トラスト・ログイン byGMO(GMOグローバルサイン株式会社)

電子証明書・電子認証を本業とするGMOグローバルサイン株式会社が提供する、クラウド型のID管理サービス(IDaaS)です。SSO・ID管理・多要素認証・アクセス制限をそろえ、基本機能を無料プラン「SSOフリー」から使える点を前面に出しています。
無料プランはアカウント数も連携アプリ数も無制限で、初期費用の記載もなく、少人数から試せます。ただしパスキー(FIDO2)やプッシュ通知などのパスワードレス機能は有料のSSOプロ(月額300円/ID・税抜、30ID以上)が必要です。無料プランだけで多要素認証まで賄えるわけではない点は、料金を見るうえで押さえておきたいところです。
2026年には、親会社のSAML設定を複数のグループ企業で共有できる組織間連携(Hub and Spoke方式、月額200円/ID・税込220円)や、取引先のID管理に対応するプランを追加しました。連携アプリのテンプレートは公式サイトで9,000種類前後と案内されています。
3. HENNGE One(HENNGE株式会社)

契約ユーザー数300万超・契約企業数3,731社(2026年3月末時点)の導入実績を持つ、HENNGE株式会社のクラウドセキュリティ基盤です。SSO・多要素認証・アクセス制御によるID統制に、メール誤送信対策や脅威対策を組み合わせられます。公式サイトによると、東京証券取引所の上場企業の約20%が利用しています。
連携するクラウドサービスが増えても、SSO利用自体に追加課金が発生しない料金設計が特徴です。Identity・DLP・Cybersecurityの3つのエディションを単体でも、全機能を束ねたSuiteでも契約でき、必要な範囲から導入を広げられます。
2026年10月から新プランに移行し、全機能統合のSuiteは月額1,000円〜2,500円/ID、ID管理中心のIdPは400円〜1,000円/ID(いずれも税抜)です。新規契約は200IDからのため、小規模よりも一定規模の組織に向く価格帯といえます。
4. IIJ IDサービス(株式会社インターネットイニシアティブ)

国内通信事業者の株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)が、自社で開発・運用するクラウド型のID管理・認証サービスです。SSOを中核に、多要素認証・Active Directory連携・アクセス制御を提供します。
強みは、多要素認証の方式の幅広さです。FIDO2・デバイス証明書(自社CA/外部CA)・メールOTP・スマホアプリのSmartKey・統合Windows認証から選べます。ADのID・パスワード・グループ情報を自動同期し、グループ単位で認可を制御できます。既存のAD資産を持つ企業がクラウドへ連携を広げやすい構成です。
料金は初期費用0円で、SSOのみ120円/ID、SSO+多要素認証240円/ID(税抜、2026年10月時点)と認証の有無で2段階に分かれ、連携サービス数を増やしても追加費用はかかりません。政府調達で参照されるISMAPクラウドサービスリストにも登録済みです。
留意したいのは、多要素認証を使うには上位の240円プランが必要で、SSOのみの120円プランには含まれないことです。統合Windows認証は月額57,960円〜の別オプションで、サポートの対応時間・手段は公式サービスページに明記がありません。
5. Gluegent Gate(サイオステクノロジー株式会社)

人事システムと連携したアカウントの自動発行・停止を軸に、サイオステクノロジー株式会社が2011年から提供するIDaaSです。SSO・多要素認証・統合ID管理をそろえ、SaaSアクセスの統制を担います。公式サイトでは累計25万ユーザーの導入実績を掲げています。
退職・異動の情報が人事システムから反映されると、連携先SaaSのアカウント無効化やライセンス削除まで自動で伝播し、削除漏れ(幽霊ID)を防げます。多要素認証はOTP・ICカード・FIDO2・生体認証などを、サービスごとに組み合わせて設定できます。
料金は初期費用無料で、接続単位のConnectsが月額100円、ユーザー単位で無制限にSSO連携できるProfessionalが250円、人事基盤連携に対応するEnterpriseが500円(いずれも税別)です。1ライセンスから1年単位で契約できます。
注意したいのは、1ユーザー単位でSSO連携を無制限にするにはProfessional(250円)以上が必要で、接続単位のConnects(100円)とは課金の考え方が異なることです。無料トライアルの有無やサポートの対応時間は公式サイトに明記がなく、要問い合わせです。
6. Soliton OneGate(株式会社ソリトンシステムズ)

デジタル証明書(クライアント証明書)による多要素認証を軸に、SSOとID管理を組み合わせたクラウド型の認証基盤です。東証プライム上場の株式会社ソリトンシステムズが開発し、プレスリリースでは国産IDaaSと位置づけています。
認証局(CA)機能を標準搭載し、証明書の発行・配布・失効管理を外部のPKI基盤なしで完結できます。守備範囲も広く、SaaSのSSOだけでなく、Wi-Fi(IEEE802.1X EAP-TLS)やVPNなどのネットワーク認証、SAML非対応の社内システム(代理認証)まで1製品でカバーします。
料金はPKI 150円・ベーシック300円・スタンダード600円(いずれも1ユーザー月額)で、30日間の無料トライアルがあります。サービス単位でISMAPクラウドサービスリストに登録しており、官公庁や自治体のセキュリティ基準にも対応します。
気をつけたいのは、契約の最小ユーザー数が設定されていることです。PKIプランは200ユーザーから(Wi-Fi/VPN等の利用時は100)、ベーシックは70、スタンダードは40が目安で、発注は10ユーザー単位です。アプライアンス利用時は初期費用198,000円/台がかかり、手厚い運用支援は別途有償です。
7. Extic(エクスジェン・ネットワークス株式会社)

ID管理専業のエクスジェン・ネットワークス株式会社が、オンプレミス型「LDAP Manager」で培ったノウハウをクラウド化したIDaaSです。人事情報を起点にしたID自動生成・ライフサイクル管理を中核に据え、その上にSSOと多要素認証を載せる構成が特徴です。
AD・LDAP・データベース・CSV・各種SaaSへ横断的にIDを連携でき、入社から退職までのアカウント発行・停止を自動実行します。クラウドとオンプレミス資産を併用する環境のID統制に向き、公共・教育・GIGAスクール向けの低単価プランも用意されています。
料金は用途別にコースを選べ、フル機能のStandardが月額300円/ID〜、認証中心のIdPが150円/ID〜、ID管理中心のIdMが210円/ID〜(いずれも税別、ID数で逓減)です。横浜市教育委員会で28万人超のID管理に使われるなど、大規模導入の実績もあります。
導入前に押さえておきたいのは、Standard・IdP・IdMの3コースに分かれ、どこまでの機能が含まれるかを見極める必要があることです。初期費用は公式料金ページに記載がなく、1万ID以上の大規模契約は個別見積りのため、要問い合わせとなります。
8. SeciossLink(株式会社セシオス)

ID管理・SSO・多要素認証・アクセス制御に、EDR・SASEなどゼロトラスト関連製品との連携を組み合わせた国産のクラウド型統合ID管理サービスです。提供元は株式会社セシオスで、一般企業に加え大学・研究機関での利用も想定しています。
多要素認証はアプリ・メール・Web OTP・FIDO認証・証明書認証などを組み合わせられ、IPアドレス・時間帯・国・ユーザー属性でアクセスを制御できます。学術認証フェデレーション「学認(GakuNin)」にも対応し、30名未満の組織から3万人を超える規模まで幅広く使われています。
料金はStandardが月額150円、Enterpriseが500円(いずれも税抜・ユーザー単位)で、Enterpriseは連携サービス数が無制限です。教育機関向けのEducationプランは月額60円/ユーザー(税抜)と低く設定されています。初期費用は公式に記載がなく要問い合わせです。
注意点として、Standardプランは連携できるサービス数が限られ、無制限にするにはEnterprise(500円)が必要です。銀行振込での契約は50ライセンスからで、サポートの対応時間は平日10〜18時です。
9. ID Entrance(キヤノンITソリューションズ株式会社)

キヤノンITソリューションズ株式会社が開発し、キヤノンマーケティングジャパン株式会社が販売するクラウド型の統合ID管理サービスです。2023年12月に取り扱いを開始し、SSO・多要素認証・アクセス制御を提供します。
本体料金に、問い合わせ対応・設定支援・クラウドサービス連携支援・障害対応などの運用サポートが含まれる点が特徴です。5ユーザー単位から契約でき、認証方式はワンタイムパスワード・Eメール認証・クライアント証明書・パスキー認証から選べます。
料金は本体が年額1,800円/ユーザー(月額換算150円・税抜)で、クライアント証明書・Active Directory連携・パスキー認証・IDプロビジョニングはオプションです。価格を公式サイトに公開しており、サポート窓口の対応時間は平日9時〜17時です。
気になる点は、Active Directory連携・パスキー認証・IDプロビジョニングなどが本体料金に含まれないオプションで、使う機能によって費用が積み上がることです。対応するSSOプロトコルや連携できるクラウドサービスの数は公式ページに明示がありません。
10. Online Service Gate(ソフトバンク株式会社)

ソフトバンク株式会社が提供するIDaaSで、公式では約4,000のクラウドサービスへのシングルサインオンと強固なアクセス制御を実現すると説明しています。Microsoft 365・Google Workspace・Salesforceなどに対応します。
基本ライセンスは人数帯で単価が変わり、1ユーザー月額150円(100〜499ユーザー)から、2,000ユーザー以上では90円(いずれも税抜)まで下がります。SSOに加え、IPアドレス制限・ワンタイムパスワード・デバイス証明書・セキュアブラウザをオプションで追加できます。
最小ティアが100ユーザーからの設定のため、100ユーザー未満の料金は公式ページに記載がありません。Microsoft 365向けの誤送信対策(Mail Safe)やメールアーカイブ(Mail Vault)も用意されています。初期費用や無料トライアルの条件は明記がなく、要問い合わせです。
11. サテライトオフィス・シングルサインオン(株式会社サテライトオフィス)

Google Cloud Partnerである株式会社サテライトオフィスが提供するSSO製品です。Google Workspaceを主対象に、Microsoft 365・LINE WORKS・Dropbox Business・Salesforceなど複数のクラウドサービス向けのラインナップを持ちます。
認証手段の選択肢が公式ページ上で幅広く、TOTP・SMS・メール・FIDO2.0・クライアント証明書・FeliCa/Mifareカードに対応します。SAML対応アプリのほか、SAML非対応のWebアプリもフォーム自動入力などでログインさせられます。障害時に備えてAmazon EC2上に緊急用のSSOサーバーを用意する旨も記載されています。
Microsoft 365版は株式会社ネクストセットの提供で、版ごとに提供元が分かれる点には注意が必要です。ユーザー単価・初期費用・無料トライアルの条件は公式サービスページに記載がなく、要問い合わせとなります。
12. ネクストセット・シングルサインオン for Microsoft 365(株式会社ネクストセット)

Microsoft 365へのシングルサインオンに特化した、株式会社ネクストセットのクラウド型ID管理サービスです。ブラウザ利用だけでなく、Outlook・OneDrive・ActiveSyncなどのアプリ利用時の認証も対象にします。
IPアドレス・端末・クライアント証明書によるアクセス制御に対応し、認証手段は二要素認証(SMS/電話・アプリ承認)・FIDO2.0・TOTP・マトリクス認証など多様です。Active Directory同期やログイン履歴の1年保持も備えます。
料金は公式製品ページに金額の掲載がなく、30日間のトライアル導入を案内する要問い合わせ扱いです。同社は株式会社サテライトオフィスと事務所を共有するサテライトオフィスグループに属します。
海外発IDaaS・IAM型
対応するSaaSや連携の範囲が広く、アクセス管理やアカウントのライフサイクル自動化まで含めて統制したい企業に向くタイプです。対応SaaSの連携カタログが大規模な製品が多く、多数のクラウドを使う環境や海外拠点を持つ企業に向く構成です。
13. Okta(Okta Japan株式会社)

米国 Okta, Inc. が開発する従業員向けのクラウド型ID基盤で、日本では Okta Japan株式会社が提供しています。シングルサインオン・多要素認証・ユーザーディレクトリ・IDライフサイクル管理を1つにまとめ、SaaSへのアクセスとアカウントの発行・停止を集中管理できます。
連携の広さが持ち味で、事前構築済みの統合カタログ Okta Integration Network(OIN)は8,000超(2026年9月時点)に及びます。Workday などの人事システムやオンプレミスの Active Directory とも連携でき、多数のSaaSを使う環境やグローバル拠点でのID統制に対応できる構成です。
料金は1ユーザー月額940円の Starter から始まりますが、リスクベースの Adaptive MFA やアカウント自動化(Lifecycle Management)は Core Essentials(月額2,020円)以上に含まれ、いずれも年単位請求で年間契約の最低額は240,000円です。管理コンソールは日本語を含む3言語に対応し、30日間の無料トライアルも用意されています。
14. Microsoft Entra ID(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft 365 や Azure のサインイン基盤そのものを担うのが、Microsoft Entra ID(旧 Azure Active Directory)です。SSO・多要素認証・条件付きアクセスに、アカウントの自動作成・停止まで含むID・アクセス管理を、クラウドで提供します。
すでに Microsoft 365・Windows・Azure を使っている組織なら、別のMFA製品やアカウント自動化ツールを足さずに有効化できる点が特徴です。無償の Free でも「セキュリティの既定値群」で基本的なMFAを全ユーザーに強制でき、SaaSへのSSOも利用できます。
条件付きアクセスによる柔軟なMFA制御は、Microsoft Entra ID P1(1,049円/ユーザー・月)以上が必要です。サインインリスクに応じたリスクベース制御は P2(1,499円)、入社・異動・退職の自動化ワークフローは Governance アドオンが前提になります。非マイクロソフト中心の環境では、必要なライセンスを見極めてから検討すると見積もりのずれを防げます。
15. OneLogin(One Identity Japan合同会社)

OneLogin は米国発のクラウド型ID管理サービスで、2021年に One Identity(Quest Software 傘下)が買収しました。日本ではサイバネットシステムなどの国内代理店を通じて、日本語でのサポートと導入支援が提供されています。
Active Directory 上の追加・変更・削除を検出して連携先クラウドのアカウントへ自動反映する仕組みを備え、国内代理店はリアルタイム〜15分以内に反映されると説明しています。SSO連携できるアプリは6,000以上、うちアカウントの自動作成・削除まで対応するアプリは233件(国内代理店ペンティオ集計)です。
機械学習でログインのリスクを評価する SmartFactor Authentication(アダプティブMFA)にも対応します。円建ての月額料金は代理店により異なり、要お問い合わせで、初期費用は20,000円(税抜)とする代理店の公開例があります。30日間の無料評価版が用意されています。
16. JumpCloud(JumpCloud, Inc.)

クラウドディレクトリを中核に、SSO・多要素認証・デバイス管理(MDM)・IT資産管理・パスワード管理を1つにまとめた統合プラットフォームが JumpCloud です。米国 JumpCloud, Inc. が開発し、日本では株式会社アクトなどの正規代理店が販売・日本語サポートを担います。
Windows・macOS・Linux・iOS・iPadOS・Android を横断して管理でき、既存の Active Directory と双方向同期して段階的にクラウドへ移行する使い方にも対応します。公式は250,000社以上・160か国以上での利用を掲げています。
料金はパッケージが米ドル建てで、SSO は1ユーザー月額$11(年払い)からですが、国内は代理店経由の個別見積もり(円建ては要お問い合わせ)です。管理コンソールの日本語UIは公式に明記がなく、日本語での運用可否は代理店やトライアルで確かめておくと安心です。30日間のフルトライアルを利用できます。
17. Cisco Secure Access by Duo(シスコシステムズ合同会社)

Cisco Secure Access by Duo(Cisco Duo)は、アカウント発行の基盤になるというより、「誰が・どの端末から入るか」を見極めることに軸足を置く製品です。多要素認証・デバイスの健全性チェック・適応型アクセスポリシーで、アクセスの可否を判断します。元は Duo Security が開発し、2018年にシスコが買収しました。
既存のVPN・RDP・オンプレミスのWebアプリ・クラウドSaaSに後付けでMFAを被せられる点が特徴で、Duo Push や番号一致付きの Verified Duo Push、FIDO2/パスキーなどフィッシング耐性のある方式に対応します。ログインのたびに端末のOSやパッチの状態を確認するデバイストラストも組み合わせられます。
10ユーザーまで恒久無料の Free プランがあり、有償は Essentials が1ユーザー月額$3、Advantage $6、VPNなしで社内リソースへつなぐ Duo Network Gateway を含む Premier が$9です(いずれも米ドル)。
アクセス権の定期棚卸しや職務分掌まで管理するフルのIDガバナンスは範囲外とされることが多く、そこまで求める場合は Entra ID や Okta などのID基盤と組み合わせる前提になります。
18. Google Cloud Identity(グーグル合同会社)

Google Cloud Identity は、Gmail や Drive を含む Google Workspace とは別に、ID管理・SSO・デバイス管理だけを切り出して提供するIDaaSです。永年無料の Free Edition と、月額課金の Premium Edition の2つがあります。
Free Edition はデフォルト50ユーザーまで無料で、ディレクトリ管理・200以上のクラウドアプリへのSAML/OIDCベースSSO・2段階認証・基本的なデバイス管理を使えます。50ユーザーを超える場合も、申請と審査を経て無料で追加できます。
一方、Context-Aware Access や自動ユーザープロビジョニング、iOSデータ保護やリモートワイプといった高度な機能は Premium Edition 限定です。Free Edition には可用性保証(SLA)がなく、サポートはコミュニティのみのため、基幹用途では Premium(1ライセンス月額$6、年間プラン)や他社製品との比較が必要になります。
オンプレミス型
自社のサーバー環境に構築し、社内システムやレガシー資産とのSSOを自社の管理下で実現するタイプです。データを外部に預けにくい業種や、厳格な自社運用が求められる大企業で検討されます。
19. HPE IceWall SSO(日本ヒューレット・パッカード合同会社)

HPE IceWall SSOは、1997年に提供が始まった、複数のWebアプリケーションを一度の認証で使えるようにするシングルサインオン用のミドルウェアです。日本ヒューレット・パッカード合同会社が提供し、開発には株式会社SCCが協力しています。
SSOの実現方式は、クライアントと業務Webサーバーの間に置くリバースプロキシ方式と、Webサーバーにエージェントを組み込むエージェント方式の2つがあり、既存システムの構成に合わせてどちらかを選べます。リバースプロキシ方式ではバックエンドのWebサーバー側に特別な設定が通常不要で、エージェント方式ではURLの書き換えが要りません。
Active Directoryと連携し、ADのログオン情報を引き継いだSSOにも対応します。
SAMLのIdP機能(IceWall Federation)はSSOのライセンスに含まれ、追加費用なく利用できます。製品はオンプレミスに加え、AWSなどのクラウドや仮想化環境にも構築でき、Red Hat Enterprise LinuxやWindows Serverで動作します。料金は構成に応じた個別見積もりで要お問い合わせですが、評価版が用意されています。
保守は24時間対応と標準時間保守があり、国内の問い合わせ窓口も設けられています。
留意点は、多要素認証を加えるには別製品のIceWall MFAが必要で、OpenID Connect連携も別売りのIceWall Federation OIDCになることです。オンプレミス型のためライセンス購入と保守契約の個別見積りが基本で、導入には自社環境での構築が必要です。
20. CloudLink(株式会社アイピーキューブ)

CloudLinkは、Google WorkspaceやMicrosoft 365などのクラウドサービスと、企業内のWebシステムを一度の認証でつなぐシングルサインオン製品です。株式会社アイピーキューブが開発し、同社の統合認証基盤「IP3-ACE」を構成する製品の1つに位置づけられています。
SAML IdP/OIDC OPとして動作するCloudLink IdPに加え、SAMLやOIDCに対応しない社内システム向けのリバースプロキシ型SPゲートウェイと、アプリ組み込み型のSPエージェント(PHP版・Java版)を備えます。
プロトコルに対応していないレガシーな社内Webシステムも両方式でSSO化できる点が特徴で、ユーザー情報はActive DirectoryやLDAP、RDBMSなどから連携できます。
製品は自社のLinux・Windows Server環境やAWS・Azureなどのクラウド上に構築して利用し、SaaSとしての提供は公式に示されていません。料金はユーザー数や連携システムに応じた個別見積もりで要お問い合わせとなり、初年度から保守契約が必要です。公開されている利用者の口コミはごく少数(確認できたのは1件)で、評判だけで判断するより機能・料金・対応範囲で見極めるのが現実的です。
評判から読むSSOの選び方と気になる点
評判は読み方次第で判断材料にも迷いの種にもなります。ここでは、口コミを自社の選定にどう活かすかと、評判で繰り返し指摘される注意点を整理します。
評判をどう読んで自社に合う製品を絞るか
口コミを読むときは、評価の高低そのものより「どんな環境・規模の企業が、何を評価しているか」を見るとよいでしょう。自社と業種・従業員規模・利用中のSaaSが近い投稿は、導入後の体感に近い参考情報になります。
とくに連携は、自社でSSO化したい対象をリストにして照合するのが確実です。Active Directoryを運用しているか、SAMLやOpenID Connectに対応しない社内システムがあるか、によって向く製品が変わるため、連携に関する口コミは自社構成に引きつけて読むとよいでしょう。
サポートと料金は、必要な機能と条件を整理して比較すると判断しやすくなります。サポートは対応窓口と言語・時間帯を、料金は必要機能が含まれるプランを単位あたりで確認し、評判の印象と実際の条件を見比べて絞り込むとよいでしょう。
評判だけでは判断しにくい点
評判は、公開されている口コミの量に製品差があります。登場して間もない製品や利用者が限られる製品は口コミが少なく、評判だけでは実力をつかみにくいため、公式の料金・機能・対応範囲といった事実とあわせて見極めるのが確実です。
また、パスワード漏洩時や基盤障害時といった構造的なリスクは、評判の良し悪しとは別に押さえておくべき論点です。これらは次の「SSOは安全か」でまとめて扱います。
SSOは、ID管理をクラウドで統合するIDaaSが備える機能の一つです。評判だけでなく、ID管理全体のメリットや選び方、実際の導入事例まで踏まえて候補を見直したい場合は、IDaaSの基礎から主要な製品を比較した次の記事が参考になります。
SSOは安全か(パスワード漏洩・単一障害点・障害時の備え)
認証を一本化すると、「ここが破られたら全部にアクセスされるのでは」「基盤が止まったら何もできなくなるのでは」という不安がつきまといます。ここでは、パスワード漏洩時・単一障害点・障害時のそれぞれについて、仕組みと備えを公的機関や主要ベンダーの情報をもとに整理します。
パスワード漏洩への備え(認証方式と多要素認証)
SSOの主流であるフェデレーション方式(SAML・OpenID Connect)では、認証基盤であるIdPが署名付きのトークンで本人性を連携先に伝えます。NISTのデジタルID基準でも、このトークンはIdPによって暗号的に署名されるとされており、各連携先にパスワードそのものを渡さない設計です。そのため、連携先からパスワードが漏れる経路を減らせます。
一方で、認証を集約するIdP側の認証情報が破られると影響が広がります。この備えの基本が多要素認証(MFA)です。米国サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は、MFAを有効にしていれば、パスワードなど1つの要素が漏れても、第2の要素を提示できなければ攻撃者はアカウントにアクセスできない、と説明しています。
With MFA enabled, if one factor, such as a password, becomes compromised, unauthorized users will be unable to access the account if they cannot also provide the second factor.
出典:Implementing Phishing-Resistant MFA|米国サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)
さらにCISAは、MFAのなかでもFIDO/WebAuthnや公開鍵基盤(PKI)を用いるフィッシング耐性のある方式を最も安全な形と位置づけています。SSOを導入する際は、IdP側に多要素認証(MFA)を設定し、可能であればパスキー(FIDO2)のようなフィッシング耐性の高い方式を組み合わせると、漏洩への備えを厚くできます。
国内でも、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が不正ログイン対策として「一歩進んだ対策」に多要素認証の設定を推奨しています。IdP側への多要素認証の設定は、CISA・NISTと同様に国内のIPAも推奨する対策です。
出典・参考資料(4件)
- 出典:NIST Special Publication 800-63C-4「Digital Identity Guidelines: Federation and Assertions」|米国国立標準技術研究所(NIST)
- 出典:Implementing Phishing-Resistant MFA|米国サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)
- 参考資料:NIST Special Publication 800-63B-4「Digital Identity Guidelines: Authentication and Authenticator Management」|米国国立標準技術研究所(NIST)
- 出典:不正ログイン対策特集ページ|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
IdPに設定する多要素認証(MFA)は、製品によって対応する認証方式や料金が大きく異なります。SSO一体型から、既存の社内システムやVPNに認証だけを後付けする特化型まで、主要なMFA製品を認証方式・連携・料金で比較した記事も用意しています。認証の強化を具体的に検討する際はこちらもご覧ください。
MFA疲れ攻撃という落とし穴と対策
MFAを入れても、運用の隙を突く攻撃には注意が必要です。CISAは、承認を求めるプッシュ通知を大量に送りつけ、利用者が誤って、あるいは煩わしさから承認してしまうのを狙う手口を「MFA疲れ攻撃(プッシュ爆撃)」として注意喚起しています。
対策としてCISAが挙げるのが「番号マッチング」です。認証画面に表示された番号をアプリに入力しないと承認できない設定で、通知を押すだけの誤承認を防ぎます。番号マッチングはフィッシング耐性MFAほど強固ではないものの、すぐに導入しにくい組織にとって有効な暫定策とされています。SSO製品を選ぶ際は、こうした承認方式の設定に対応しているかも確認しておくと安心です。
単一障害点・障害時の備え
SSOは1つの認証基盤に集約する仕組みのため、そのIdPが停止すると連携先すべてにサインインできなくなります。Microsoftの公式ドキュメントも、自社環境のIdPがダウンすると、利用者がそのIdPにリダイレクトされる際にサインインできなくなる場合があると説明しています。認証を一本化することは、裏返せば基盤が止まったときの影響範囲も一本化することを意味します。
この備えとしてMicrosoftが推奨するのが、緊急用(ブレークグラス)アカウントの用意です。冗長性のために2つ以上を設け、通常の連携(フェデレーション)に依存しないクラウド専用のアカウントにしておくことで、障害時にも管理者が入れる経路を残せます。SSO製品を選ぶ際は、こうした緊急時のアクセス手段や、基盤の冗長性・稼働実績をベンダーに確認しておくとよいでしょう。
まとめ
本記事では、主要なSSO製品を評判・口コミの5つの観点(使いやすさ・サポート・料金・連携・安定性)から読み解き、機能・料金・安全性まで含めて整理しました。
製品選びでは、口コミの星の数より、自社と近い環境での評価と、連携したい対象への対応可否を軸に絞り込むのが近道です。日本語のサポートや国内SaaSとの連携を重視するなら国産IDaaS型、幅広いSaaSの統制や自動化を重視するなら海外発IDaaS・IAM型、自社環境での自社管理を重視するならオンプレミス型が、それぞれ有力な選択肢になります。
安全性の面では、IdPへの多要素認証の設定と、障害時の緊急用アカウント・冗長性の確認を忘れずに進めてください。
MCB FinTechカタログでは、ここで取り上げたSSO・IDaaS製品の資料を無料で請求できます。評判で気になった製品の料金や対応範囲を、各社の資料で見比べながら検討を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. SSO(シングルサインオン)とは何ですか?
A. SSO(シングルサインオン)とは、1回の認証で複数のクラウドサービスや社内システムにログインできる仕組みです。認証基盤であるIdP(Identity Provider)で本人確認を済ませると、連携先の各サービスには個別にパスワードを入力せずアクセスできます。ログインの手間とパスワード管理を減らし、ID・アクセス権を一元的に統制できる点が基本的な役割です。
Q. SSO(シングルサインオン)の評判・口コミはどこで見られますか?
A. SSO(シングルサインオン)の評判・口コミは、法人向けソフトのレビューサイトで、製品ごとの評点やユーザーレビューとして確認できます。ただし、これらは星の数や件数の集計が中心で、「なぜその評価になったのか」までは読み取りにくいことが多いです。
本記事では、使いやすさ・サポート・料金・連携・安定性の5つの観点に分けて評判の傾向を整理しているので、自社が重視する観点と照らし合わせてご活用ください。
Q. SSO(シングルサインオン)の口コミは信用できますか?
A. SSO(シングルサインオン)の口コミは、投稿報酬付きの募集や古い投稿も混在するため、個々の評価をうのみにせず、自社と近い業種・企業規模・利用環境の声を複数見比べて判断するのが確実です。レビューサイトによっては投稿への謝礼を開示している場合もあります。評価の高低そのものより、「どんな環境の企業が、何を評価しているか」に注目すると、導入後の体感に近い参考情報が得られます。
Q. 評判の良いSSO(シングルサインオン)製品はどれですか?
A. SSO(シングルサインオン)は、自社の環境や重視する観点によって「評判の良い製品」が変わるため、一律に決まる正解はありません。日本語のサポートや国内SaaSとの連携を重視するなら国産IDaaS型、幅広いSaaSの統制や自動化を重視するなら海外発IDaaS・IAM型、自社環境での自社管理を重視するならオンプレミス型が有力です。
本記事の比較表と、記事内の選定診断ツールを使うと、自社の課題に合う製品を絞り込みやすくなります。
Q. SSO(シングルサインオン)とMFA(多要素認証)の違いは何ですか?
A. SSO(シングルサインオン)は複数サービスへのログインを1回にまとめる「利便性」の仕組み、MFA(多要素認証)はパスワードに加えて別の要素で本人確認を強化する「安全性」の仕組みで、役割が異なります。SSOは認証を集約するぶん、その基盤が破られたときの影響が大きいため、IdP側にMFAを設定して両者を併用するのが基本です。多くのSSO/IDaaS製品はMFA機能を備えています。
Q. SSO(シングルサインオン)の導入費用の目安はどのくらいですか?
A. SSO(シングルサインオン)の費用は、クラウド型で1ユーザーあたり月額100円台〜600円程度が一つの目安で、多要素認証やアカウント自動化などの機能を含む上位プランほど高くなります。海外発の製品では年間契約の最低額が設定されている場合もあります。SSO製品本体の料金だけでなく、連携先SaaS側のプラン条件(後述のSSO税)も含めて総額で試算しておくと、見積もりのずれを防げます。
Q. SSO税(SSO Tax)とは何ですか?
A. SSO税(SSO Tax)とは、SaaSのSSO連携機能を使うために、上位プランへの移行など追加の費用負担を求められる構造を指す俗称です。SSO製品側だけでなく、つなぐ相手のSaaS側でSSO対応が上位プラン限定になっているケースで発生します。導入後に想定外のコストが生じやすい部分のため、連携したいSaaSそれぞれのSSO対応条件を事前に確認しておくことが大切です。
Q. 無料で使えるSSO(シングルサインオン)はありますか?
A. SSO(シングルサインオン)には、無料プランや無償エディションを用意した製品があります。少人数から無料で始められる国産IDaaS型や、すでに使う環境に付随して無償枠を利用できる製品などが候補です。どの製品に無料枠があるかは、本記事の比較表の「無料プラン・トライアル」列で確認できます。
ただし、多要素認証の一部方式や可用性保証(SLA)、高度なアクセス制御が有料プラン限定の場合が多いため、基幹用途では必要な機能が無料の範囲で賄えるかを確認してください。
Q. 中小企業でも導入しやすいSSO(シングルサインオン)はありますか?
A. SSO(シングルサインオン)には、少人数・無料プランから始められ、中小企業でも導入しやすい製品があります。1ライセンスや数ユーザー単位から契約できる国産IDaaS型や、無料プランのある製品が候補になります。一方、海外発の一部製品は最低契約IDや年間最低額が設定され、一定規模から向く価格帯のものもあるため、自社の人数規模に合う契約単位かを確認して選ぶと失敗を避けられます。
Q. 既存のActive Directory(AD)とSSO(シングルサインオン)は併用できますか?
A. SSO(シングルサインオン)は、多くのIDaaS製品がActive Directory(AD)との連携に対応しており、既存のADを活かしたハイブリッド構成で併用できます。ADのID・パスワード・グループ情報を同期し、グループ単位でアクセスを制御できる製品もあります。段階的にクラウドへ移行したい場合は、ADと双方向に同期できるかを公式情報や口コミで確認しておくと安心です。
Q. SAMLやOpenID Connectに対応していない社内システムでもSSO(シングルサインオン)化できますか?
A. SSO(シングルサインオン)は、SAMLやOpenID Connectに対応しない古い社内システムでも、代行入力(フォームベース認証)方式・リバースプロキシ方式・エージェント方式に対応した製品を使えばSSO化できます。レガシーシステムをSSOの対象に含めたい場合は、まず自社でSSO化したい対象を洗い出し、それらの方式に各製品が対応しているかを確認することが選定のポイントになります。
Q. SSO(シングルサインオン)の基盤に障害が起きるとどうなりますか?
A. SSO(シングルサインオン)は認証を1つの基盤に集約するため、そのIdPが停止すると、連携先のすべてのサービスにサインインできなくなる恐れがあります。これは認証を一本化することの裏返しで、単一障害点(SPOF)と呼ばれます。備えとして、通常の連携に依存しない緊急用(ブレークグラス)アカウントを複数用意しておくことや、基盤の冗長性・稼働実績をベンダーに確認しておくことが有効です。
詳しくは本記事の「SSOは安全か」の章で解説しています。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















