クラウド移行やDXを進めるほど、守るべき情報資産と取引先・グループ会社から求められるセキュリティ要件は増えていきます。一方で、自社のIT戦略に沿ってセキュリティの方針や体制をどう設計すべきかを判断できる人材は、社内に十分いないという企業が少なくありません。対策が場当たり的になり、経営層に投資の根拠を示せないまま不安だけが積み上がっている、という声もよく聞かれます。
こうした課題を外部の専門家に任せようとしたとき、セキュリティコンサルティング会社・サービスにはどのような顔ぶれがあり、自社の課題にはどのタイプが合うのでしょうか。戦略・方針づくりを得意とする会社もあれば、現状のリスク診断に強い会社、CSIRTやSOCの構築・運用まで伴走する会社もあり、支援の範囲や契約の仕方は一様ではありません。
本記事では、IT戦略・経営に沿ってセキュリティの方針・体制づくりを任せられるセキュリティコンサル会社・サービス13社を、支援の目的別に3タイプへ分類して比較・解説します。各タイプの支援範囲や向いている企業に加え、選び方の評価基準、契約形態(スポット診断・顧問・プロジェクト)ごとの費用の考え方まで整理しました。自社に合う依頼先を絞り込むための判断材料としてご活用ください。
また、自社の課題や体制に合わせて最適な依頼先を最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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セキュリティコンサル会社とは|担う役割と情シスとの違い
セキュリティコンサル会社は、企業の情報セキュリティについて、方針・体制の設計から現状リスクの診断、事故対応の仕組みづくりまでを外部の立場で支援する会社・サービスです。製品を売ることが目的のベンダーとは異なり、自社の事業やIT環境に合わせて「何から・どの順番で・どこまで対策すべきか」を整理し、意思決定を助ける役割を担います。
担う仕事は、大きく3つの方向に分かれます。1つ目は、経営・IT戦略と結びつけたセキュリティ方針やポリシー、ガバナンスの設計です。2つ目は、リスクアセスメントや脆弱性診断で現状の弱点と優先順位を可視化する支援です。
3つ目は、CSIRTやSOCといった対応組織の構築・運用、インシデント発生時の初動から復旧までの伴走です。1社ですべてを担う総合型もあれば、いずれかに特化した会社もあります。
このうちCSIRTは、組織内のセキュリティ問題に対応するための専門チームを指します。JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)は、CSIRTを次のように定義しています。
CSIRT(シーサート: Computer Security Incident Response Team) とは、組織内の情報セキュリティ問題を専門に扱う、インシデント対応チームです。
出典:CSIRTマテリアル|JPCERTコーディネーションセンター
一方、SOCは監視・検知を担う組織を指しますが、CSIRTのように広く共有された公的な定義があるわけではなく、監視範囲や役割は会社ごとに幅があります。CSIRTの構築支援を依頼するのか、監視・運用まで任せるのかによって、頼むべき相手が変わる点を押さえておくとよいでしょう。
社内の情報システム部門(情シス)との違いは、役割分担で考えると整理しやすくなります。システムの日常的な運用・保守や社内からの問い合わせ対応は情シスが担い、セキュリティの方針設計やリスク評価、専門性が高いインシデント対応の仕組みづくりを外部のコンサルが担う、というのが一般的な分担の目安です。情シスの人員や専門知識が限られる企業ほど、戦略設計やリスク評価の部分を外部に任せる意義が大きくなります。
本記事は方針・体制づくりを任せる依頼先の選び方に絞っていますが、端末・ネットワーク・ID・データ・監視といった守る対象ごとに、どんなセキュリティ製品・サービスで実際に対策するのかを先に俯瞰したい場合は、守る対象別に代表的なソリューションを整理した以下の記事が参考になります。
IT戦略・経営と結びつけて考える意味
セキュリティ対策を個別のツール導入の積み重ねで進めると、投資の全体像が見えず、何がどこまで守れているのかを経営層に説明できなくなります。これを避けるには、自社のIT戦略や将来構想とセキュリティの方針を結びつけ、経営の意思決定として対策を進める視点が欠かせません。
この考え方は、国の指針にも表れています。経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が策定する「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」は、対象と狙いを次のように説明しています。
経済産業省では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)とともに、大企業及び中小企業(小規模事業者を除く)のうち、ITに関するシステムやサービス等を供給する企業及び経営戦略上ITの利活用が不可欠である企業の経営者を対象に、経営者のリーダーシップの下で、サイバーセキュリティ対策を推進するため、「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を策定しています。
出典:サイバーセキュリティ経営ガイドラインと支援ツール|経済産業省
同ガイドラインは、経営者が認識すべき「3原則」と、担当幹部(CISO等)に指示すべき「重要10項目」で構成されています。重要10項目には、対応方針の策定、リスク管理体制の構築、リスクの把握と計画、インシデント発生時の緊急対応体制の整備などが含まれ、コンサルに任せる支援の多くが、経営が指示すべき事項として公的に位置づけられていることがわかります。
IT戦略に沿って依頼先を選ぶとは、こうした経営課題に応える体制を外部と一緒につくることにほかなりません。
相談を検討すべきタイミング
外部への相談は、課題が顕在化してからではなく、意思決定の節目で検討すると効果が高まります。次のような場面は、方針・体制を見直す好機です。
基幹システムの更改やクラウド移行を控えている場合は、新しいIT環境の設計段階からセキュリティを組み込めるため、後追いの対策よりも手戻りが少なくなります。
DXや生成AIの業務活用を進める局面でも、扱うデータや接続先が増えるぶん、リスクの前提が変わります。また、上場準備や取引先・グループ会社からのセキュリティ要件への対応、過去にインシデントやヒヤリハットを経験した直後なども、現状を棚卸しして体制を立て直すタイミングといえます。
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依頼先を選ぶ3タイプ
ここからは、セキュリティコンサル会社・サービスを「自社が何を頼みたいか」を起点に3つのタイプへ整理します。まず自社の課題がどのタイプに近いかを見極めることで、顔ぶれの中から候補を絞りやすくなります。

以下の3タイプは、セキュリティ支援を「頼みたいこと」の目的別に整理した本記事独自のものです。国際的な指針であるNIST CSF 2.0(統治・特定・防御・検知・対応・復旧の6機能)とも土台の考え方を共有しますが、6機能と3タイプが一対一で対応するわけではありません。
IT戦略・経営と結びつけて方針・体制をつくるタイプ(戦略・ガバナンス策定)
自社のIT戦略や将来構想に沿って、セキュリティの方針・ポリシー・ガバナンスを経営目線で設計し、ロードマップやCISO機能の支援まで担うタイプです。「何から守るべきか」「投資の優先順位をどう決めるか」といった上流の判断を一緒に組み立てたい企業に向いています。経営・内部統制との接続を重視するため、稟議や取締役会での説明材料づくりにもつながります。
この領域には、戦略策定から診断・運用まで広く担う大手コンサルティングファームや、IT戦略コンサルを起点にセキュリティ全般を担う総合型が含まれます。1社で一気通貫に任せられる点が特徴で、方針づくりから投資判断まで経営の文脈で相談したい企業に向きます。
現状のリスクを把握する診断・アセスメントに強いタイプ(リスク可視化)
IT戦略に沿った対策は、まず自社の現状を正しく把握するところから始まります。リスクアセスメントや脆弱性診断、ペネトレーションテストによって、現状のどこに弱点があり、何から手を付けるべきかを可視化するタイプです。「まず自社の状態を客観的に把握したい」「投資判断の根拠となる数字がほしい」という段階の企業に適しています。可視化された結果は、経営層へ対策の必要性を説明する際の裏づけとしても使えます。
この領域には、戦略から実務まで広くカバーしつつ可視化ツールを提供する総合型や、ホワイトハッカーによる手動診断・ペネトレーションテストに強みを持つ専門型が含まれます。中小企業向けに、月次の脆弱性診断と対策方針の提示をセットにした伴走型もあります。
CSIRT/SOC 構築・運用・インシデント対応まで伴走するタイプ(運用・事故対応)
方針と体制が固まったら、次はそれを日々運用し、有事に動かすフェーズです。CSIRTやSOCの構築・運用、監視、標的型攻撃訓練、そしてインシデント発生時の初動から原因分析・復旧・再発防止までを実務として伴走するタイプです。
「有事に動ける体制を整えたい」「監視や事故対応を自社だけで回しきれない」という企業に向いています。平時の運用と有事の対応を継続的に支えるため、顧問型や運用委託の契約と相性がよい領域です。
この領域には、24時間体制のインシデント対応や脅威インテリジェンスを持つ専門型や、マネージド監視と総合インシデントレスポンスを提供する通信事業者系などが含まれます。緊急時の初動対応を起点に、復旧や再発防止まで一貫して支えられるかが見極めのポイントになります。
自社がどのタイプに適しているか判断が難しいときは、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。課題・体制・予算から、合う会社・サービスを絞り込めます。
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【比較表】タイプ別・支援範囲で比べるセキュリティコンサル会社・サービス
ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、主要なセキュリティコンサル会社・サービス13社を3つの目的別タイプに分類してご紹介します。まずはタイプごとの比較表で、戦略・ポリシー策定、リスク診断・アセスメント、CSIRT/SOC構築、運用・監視、インシデント対応という支援範囲の広さと、得意領域・契約形態・費用感・実績を横並びで確認してください。
各比較表の支援範囲の記号は、◎=特に強み、●=標準的に対応、△=一部・限定的に対応、×=対応メニューの明示なし、を表します。掲載内容は各社の公式情報に基づきます(2026年10月時点)。
戦略・ガバナンス策定タイプの比較
| 会社・サービス | アイディルートコンサルティング | デロイト トーマツ サイバー | EY Japan | アクセンチュア セキュリティ | プロティビティ | 三菱総研DCS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 戦略・ポリシー策定 | ● | ● | △成熟度評価が起点 | ● | ● | ● |
| リスク診断・アセスメント | ● | ● | ● | △ | ● | ● |
| CSIRT/SOC構築 | ● | △ | △ | △ | △ | △ |
| 運用・監視 | ● | ● | ● | ● | ● | △ |
| インシデント対応 | △ | ◎危機対応まで統合 | ● | ● | ● | × |
| 対応領域・特徴 | IT戦略×セキュリティ、GRC・ガバナンス、OT/IoT・医療特化 | 戦略・ガバナンス、経営の危機対応統合、大手ファーム体制 | 成熟度アセスメント、ガバナンス/内部統制接続、SOC高度化 | 経営戦略への組込み、グローバルMSS、AI基盤(mySecurity) | グローバル総合、リスク定量化、DX/クラウド/AIへの組込み | IT戦略直結の将来構想・RFP、ゼロトラスト、金融等の大規模インフラ |
| 契約形態 | プロジェクト(個別見積) | プロジェクト/マネージド個別 | プロジェクト/マネージド個別 | プロジェクト/マネージド個別 | プロジェクト/マネージド個別 | プロジェクト(個別見積) |
| 費用感 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ(ゼロトラスト診断は無料) |
| 企業規模・実績 | 従業員約170名(2016年設立) | 大企業・グローバル中心(デロイト トーマツ グループ) | EY Japan(グローバルネットワーク) | 国内約29,000人(エンタープライズ中心) | 25カ国・85拠点超/7,000人超(親会社 Robert Half) | 三菱総研・MUFGグループ(1970年設立) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
診断・アセスメントタイプの比較
| 会社・サービス | NRIセキュア | GMOサイバーセキュリティ byイエラエ | KATABAMI |
|---|---|---|---|
| 戦略・ポリシー策定 | ● | △ | × |
| リスク診断・アセスメント | ◎Secure SketCHで可視化 | ◎ホワイトハッカーの手動診断 | ●月次の内部脆弱性診断 |
| CSIRT/SOC構築 | △ | △ | × |
| 運用・監視 | ● | ● | △月次診断・相談会で伴走 |
| インシデント対応 | △ | ● | △復旧(バックアップ)・保険で補完 |
| 対応領域・特徴 | 戦略・ガバナンス(3領域)、Secure SketCHによる可視化、金融/政府実績 | 手動主体の高度な診断・ペネトレ、レッドチーム、NFT・AI領域の診断 | 予防(月次診断)・復旧(隔離バックアップ)・補償(保険)の統合、中小企業向け |
| 契約形態 | プロジェクト/顧問(Secure SketCHは年間) | プロジェクト(ASMは月額) | 月額・年額(継続) |
| 費用感 | 要問い合わせ(Secure SketCHはプラン制) | 要問い合わせ(ASMは月額制) | 1台月額1,250円〜(100ノード以下は年額90万〜150万円) |
| 企業規模・実績 | 連結815名(NRIグループ、金融・政府実績) | 従業員341名(GMOグループ、旧イエラエ) | 中小企業向け(最短2週間で導入) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | オンライン相談を予約 |
CSIRT・SOC運用・事故対応タイプの比較
| 会社・サービス | IBM X-Force | WideAngle | ボルタネットワークス | Cyber NEXT |
|---|---|---|---|---|
| 戦略・ポリシー策定 | × | △GRCコンサルで対応 | ● | ● |
| リスク診断・アセスメント | ● | △ | △ | ● |
| CSIRT/SOC構築 | △ | △ | ● | ● |
| 運用・監視 | △ | ◎SOCが24時間365日監視 | △ | △ |
| インシデント対応 | ◎24時間ホットライン・IRリテイナー | ● | △ | △相談窓口・訓練で対応 |
| 対応領域・特徴 | 事故対応・危機管理、グローバル脅威インテリジェンス、OT対応 | マネージド監視(SOC 24/365)、GRC、NTTグループ基盤 | 経営接続の伴走支援(中堅向け)、フェーズ別・納期明示 | 現状分析〜体制づくりの体系化、NIST CSF/CIS準拠、老舗SI実績 |
| 契約形態 | 年間契約(IRリテイナー) | マネージド(月額/年次)/プロジェクト | スポット/顧問/年間契約 | プロジェクト/期間制コンサル |
| 費用感 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ(初回相談・概算見積は無料) | 要問い合わせ(無料相談会あり) |
| 企業規模・実績 | IBM(グローバル脅威インテリジェンス) | NTTグループ基盤 | 中堅企業向け(DX認定) | 1,400超の提供実績(1968年創業・東証プライム) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
タイプ別・セキュリティコンサル会社・サービスの個別紹介
比較表で気になった会社・サービスについて、支援範囲や得意領域、向いている企業を個別に紹介します。自社の課題に近いタイプから読み進めてください。
IT戦略・経営と結びつけて方針・体制をつくるタイプ(戦略・ガバナンス策定)
戦略・方針づくりから、診断・運用まで広く担える会社を中心に紹介します。上流の意思決定を一緒に組み立てたい企業向けの選択肢です。
1. アイディルートコンサルティング(アイディルートコンサルティング株式会社)

IT戦略コンサルティングを起点に、セキュリティ戦略の立案からGRC・ガバナンス構築、CSIRT構築、製品の導入・運用支援までを一社で担う総合型のコンサルティングファームです。2016年の設立で、従業員は約170名です。
方針づくりから実装・運用までを一社に任せられるため、戦略を描く相手と手を動かす相手を分けずに進めたい企業に向いています。「何から・どこまで守るか」という上流の判断から一緒に組み立てられます。
プライバシーガバナンスやAIガバナンス、欧州サイバーレジリエンス法(CRA)への対応、セキュリティ格付けの取得支援など、新しい規制・ガバナンス領域のメニューを明示的に持ちます。OT/IoTや医療機関向けの領域特化メニューもそろえています。
2. デロイト トーマツ サイバー(デロイト トーマツ グループ)

デロイト トーマツ グループのサイバー専業会社です。サイバーリスクの戦略策定・ガバナンス構築を前面に据えつつ、監視・脅威インテリジェンス、インシデント対応、技術対応から経営の危機対応までを一気通貫で支援します。経営・内部統制の文脈とセキュリティを結びつけたい大企業・グローバル企業に向いた選択肢です。
特徴は、弁護士・デジタルフォレンジック・危機管理の専門家が連携する「サイバークライシス統合サービス」です。技術的なインシデント対応にとどまらず、当局報告やステークホルダー対応といった経営上の危機対応までを一つの枠組みで扱います。
2016年に設置したサイバーインテリジェンスセンターでは、セキュリティ監視と脅威インテリジェンス分析を24時間体制で提供します。防御から復旧までの運用を担う「Cyber Operate」も備え、戦略・ガバナンスと運用の双方を社内に用意しています。
3. EY Japan サイバーセキュリティコンサルティング(EY Japan)

セキュリティプログラムの成熟度を評価するアセスメントを起点とするサイバーセキュリティコンサルティングです。そこから診断(ペネトレーションテスト)、ID・アクセス権管理、データ保護・プライバシー、SOCの高度化、インシデント対応・デジタルフォレンジックまでを扱います。
現状の成熟度評価から運用・事故対応までを一社でカバーするため、まず自社の到達度を客観的に把握し、そこから優先順位を付けて対策を広げたい企業に適しています。EYストラテジー・アンド・コンサルティングと監査法人が関与し、ガバナンス・内部統制の文脈と接続しやすい点も挙げられます。
SOCの高度化やマネージドSOAR、ダークウェブ調査など、運用・脅威情報寄りのメニューも持ち、アセスメント後の実装・運用フェーズまで支援の幅を広げられます。
4. アクセンチュア セキュリティ(アクセンチュア株式会社)

アクセンチュア株式会社は、サイバーセキュリティを経営上の優先課題と位置づけるグローバルコンサルティングファームです。セキュアなビジネス戦略の設計・運用(サイバーストラテジー)を起点に、新たな脅威・規制への対応(サイバーレジリエンス)やデジタル基盤の保護(サイバープロテクション)までを扱います。国内の従業員は約29,000人です。
運用面では、サイバーフュージョンセンターによる24時間体制の監視・検知・対応と、AI駆動のプラットフォーム「mySecurity」を軸に、マネージド型のセキュリティサービスを提供します。戦略の設計から運用までを同じファームで進めたい企業に向いています。
量子コンピュータ時代を見据えたデータ保護や、OT・コネクテッド製品を対象とするサイバーフィジカル・セキュリティなどのメニューも持ちます。
5. プロティビティ サイバーセキュリティコンサルティング(Protiviti Japan)

25カ国・85拠点以上に7,000人超を擁するグローバルのコンサルティングファームで、親会社は米国のRobert Halfです。サイバーセキュリティを8つの領域でカバーし、戦略・プログラム策定からリスク評価、ペネトレーションテスト、マネージドセキュリティまでを一気通貫で支援します。
特徴の一つが、サイバーリスクを定量的なモデルで把握する「サイバーリスクの定量化」を独立したメニューとして持つ点です。投資判断の根拠となる数字を求める段階の企業にとって、経営層への説明材料づくりにつながります。
金融機関や流通小売をはじめ多様な業界に対応し、Big4出身で内部統制に20年以上携わったリーダーが在籍します。マネージドセキュリティサービスは契約型で提供されます。
6. 三菱総研DCS サイバーセキュリティコンサルティング(三菱総研DCS株式会社)

三菱総研DCS株式会社は、三菱総研グループおよび三菱UFJフィナンシャル・グループに属するIT企業です。リスク分析からIT将来構想・RFP(提案依頼書)策定、ITセキュリティの工程管理支援までを、構築・運用支援まで含めてワンストップで提供します。1970年の設立で、金融など大規模インフラの実績を背景にしています。
特定の技術やベンダーに縛られないベンダーフリーの立場で、IT将来構想やRFP策定といった上流の工程からセキュリティを組み込める点が特徴です。IT戦略と直結した整備を進めたい企業に向いています。
入口として、設問に回答するだけで必要なアドバイスが表示される無料のゼロトラスト診断を用意しています。まず現状を手軽に確認したい企業が、最初の一歩として使えます。
現状のリスクを把握する診断・アセスメントに強いタイプ(リスク可視化)
現状の弱点と優先順位を可視化し、投資判断の根拠づくりに強い会社・サービスを紹介します。まず自社の状態を把握したい段階の企業向けです。
診断・アセスメントそのものを依頼先として比べたい場合は、調査の進め方(アプローチ)別にサービスを整理し、費用相場・実施期間・成果物まで踏み込んだ以下の記事もあわせてご覧ください。
7. NRIセキュア(NRIセキュアテクノロジーズ株式会社)

野村総合研究所グループのセキュリティ専業企業、NRIセキュアテクノロジーズ株式会社が手がけるコンサルティングサービスです。コンサルタントの仕事を戦略・管理・実務の3領域に分け、セキュリティ戦略の策定からガバナンスの整備、診断・運用の最適化までを支援します。
診断・アセスメントの観点では、自己診断・可視化のSaaS「Secure SketCH」が中心的な役割を担います。Web上の設問に回答すると、自社だけでなくグループ会社・委託先の情報セキュリティ対策状況を可視化し、国内の統計データと比較できます。委託先管理に特化した「3rd PARTY」や、組織単位で可視化するオプションも用意されています。
金融機関や政府の政策支援で培った実績を持ち、PCI DSSのQSA資格も保有しています。コンサルティングと可視化ツールを組み合わせられるため、現状把握から改善までを一つの事業者に通して任せたい企業に向いた選択肢です。料金は支援内容に応じた個別見積もりで、公式には公開されていません。
8. GMOサイバーセキュリティ byイエラエ(GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社)

国内のホワイトハッカーを多数擁し、専門家による手動主体の脆弱性診断・ペネトレーションテストを中核に据えるサイバーセキュリティ専門企業です。運営はGMOインターネットグループ傘下のGMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社で、旧社名はイエラエセキュリティです。
脆弱性診断はWebアプリ・スマホアプリ・クラウド・ネットワークなど6種類、ペネトレーションテストは社内ネットワーク・IoT機器・物理侵入・レッドチーム演習など7種類をそろえ、NFT・ブロックチェーンやAIアプリケーションの診断にも対応します。
ツール型で攻撃面を継続的に点検する月額制の「GMOサイバー攻撃ネットde診断(ASM:攻撃対象領域の継続的な把握)」も提供しており、手動の深い診断と継続的な可視化を使い分けたい企業に向いています。フォレンジック・インシデント対応やコンサルティングも手がけるため、診断を起点に事故対応まで広げられます。料金は診断内容ごとの個別見積もりです。
9. KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ(株式会社SYNCHRO)

株式会社SYNCHROが開発した国産のセキュリティ技術「KATABAMI」をベースに、予防・復旧・補償を一つにまとめた中小企業向けのパッケージ型サービスです。専任のセキュリティ人材がいない企業でも導入しやすいよう、最短2週間での利用開始を掲げています。
診断・アセスメントの中心は、予防にあたる脆弱性診断「KATABAMI VDP」です。ネットワーク内部から月次(年12回)で約600項目を検査し、A〜Eの5段階評価と改善策をレポートで提示します。外部スキャンでは捉えにくい、複合機の初期パスワード放置や管理者権限の設定不備といった内部起点の弱点を洗い出せます。
検出した脆弱性への対策は原則として利用企業が主体で進める前提で、月次の相談会を通じて対応方法を説明しながら伴走します(対策の実装代行は別料金)。料金は1台あたり月額1,250円からで、100ノード以下の場合は年額90万〜150万円が目安です。復旧用の隔離バックアップやサイバー保険の自動付帯も組み合わせられます。
すでにUTMやEDRなどを導入している企業でも、それらが実際に機能しているかを外部の視点で確かめたいという相談は多いといいます。提供元である株式会社SYNCHROの北口氏は、客観的な診断を求めるニーズが高まっている背景を次のように説明します。

すでに対策をされている企業の場合は、UTM(ファイアウォール機能付きルーター)やアンチウイルスソフト、EDR、NDRなどが導入されています。ただ、それらが適切に機能しているかどうかは、やはりチェックしたくなるものです。すり抜けてきたウイルスの被害や、ファイアウォールが無効化されてエンドポイントに攻撃が届くような事例も増えていますので、現状の対策がどの程度機能しているかを客観的に診断したい、というニーズが多いです。
CSIRT/SOC 構築・運用・インシデント対応まで伴走するタイプ(運用・事故対応)
監視・運用から有事の対応まで、継続的に体制を支える会社を紹介します。平時と有事の両方で動ける体制を整えたい企業向けです。
このうち、EDRなどの導入後に発生する検知アラートの監視・初動対応だけを外部に委託したい場合は、代行範囲や課金単位、24時間監視の中身で選ぶMDRサービスの比較が具体的な検討材料になります。
10. IBM X-Force(日本アイ・ビー・エム株式会社)

攻撃者の視点でセキュリティを捉える専門チーム「X-Force」が、インシデント対応・脅威インテリジェンス・攻撃的セキュリティ(オフェンシブ)を一体で手がけるサービスです。ランサムウェアなどの有事には、24時間体制のグローバル・ホットラインと現場サポートで対応します。
フォレンジック分析やインシデント指揮、ディープウェブ・ダークウェブの調査で発生経緯と原因を突き止め、オフェンシブ・セキュリティで脆弱性の特定から優先順位付け・修復までを支援します。契約は年間サブスクリプション型のIRリテイナーで、事故が起きる前から対応体制を確保しておけます。
脅威動向をまとめた「X-Force Threat Intelligence Index」など、グローバルな脅威インテリジェンスを背景とした分析を受けられる点も特徴です。監視よりも有事の初動・危機管理や、OT(制御技術)環境への対応を重視する企業に向いています。
11. WideAngle(NTTドコモビジネス株式会社)

セキュリティオペレーションセンター(SOC)の専門家が24時間365日の監視・運用を担うマネージドセキュリティサービスを中核とする、総合リスクマネジメントサービスです。オンプレミス・クラウド・ハイブリッドなど多様なIT環境に対応します。
監視にとどまらず、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)の総合コンサルティング、総合インシデントレスポンス、サイバー情報を収集・分析するOSINTモニタリング、特権アクセス管理の導入支援までを揃えます。平時の監視・運用から有事の対応までを一社に任せたい企業に向いた構成です。
NTTグループの基盤と知見を背景に、マネージドサービスは月額または年次の契約型、コンサルティングはプロジェクト個別で提供されます。
12. ボルタネットワークス(Volta Networks Co., Ltd.)

「すべてのIT課題を、経営の言葉で解決する」を掲げ、社外CISO/CIO・セキュリティポリシー設計・CSIRT/SOC構築・IT-BCPなどを、経営層と現場の両方に並走して中長期で支援する伴走型のコンサルティングです。
支援メニューを「調査・構想」「実装・構築」「成長・変革」のフェーズ別に整理し、各サービスに納期の目安を示している点が特徴です。たとえばCSIRT/SOC構築支援は2〜4ヶ月、標的型攻撃訓練は4〜6週間といった目安が公開されています。
契約はスポット相談から年間契約・継続伴走まで幅があり、初回ヒアリングと概算見積もりは無料です。VPNやゼロトラストを含む中小企業向けの防御設計まで扱うため、経営に接続した伴走支援を求める中堅企業に向いています。
13. Cyber NEXT(株式会社シーイーシー)

1968年創業で東証プライムに上場する株式会社シーイーシーが、「Cyber NEXT」ブランドで提供するセキュリティコンサルティングです。1,400を超える企業・団体へのセキュリティサービス提供実績を掲げています。
現状分析(アセスメント・脆弱性診断・クラウド監査・ランサムウェア相談窓口など)から、組織強化(ポリシー策定・ISMS認証取得支援・CSIRT構築・CISOサポートなど)まで、支援範囲を体系立てて整理し、各メニューに実施期間の目安を示しています。情報セキュリティアセスメントは3〜6カ月、CISOサポートは3カ月からが目安です。
アセスメントはNIST CSF 2.0やCIS Controls、サイバーセキュリティ経営ガイドラインなどのフレームワークに準拠しています。現状把握から体制づくり・運用支援までを、実施期間の見通しを持って一社に任せたい企業に向いており、無料相談会も実施しています。
自社に合うセキュリティコンサル会社の選び方
候補を絞り込むために確認したい評価基準を6点に整理しました。支援範囲や実績のように比較表の列で確認できるものと、中立性や継続支援のように初回相談で見極めるものがあります。すべてを満たす会社を探すのではなく、自社の課題に直結する基準から重みづけして見ていくとよいでしょう。
- 専門領域と業種の実績が自社に合っているか:同じセキュリティでも、金融・医療・製造など業種ごとに守るべき規制や勘所は異なります。自社と近い業種・規模での支援実績があるかを、比較表の「対応領域・特徴」「企業規模・実績」列で確認できます。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS、自らのリスクアセスメントで必要なレベルを決め運用する仕組み)の取得支援など、目指す到達点に対応できるかも判断材料になります。
- 特定の製品に対して中立か:自社製品の販売が目的だと、提案が特定ツールに偏りがちです。複数の選択肢を比較したうえで自社に合うものを勧めてくれるか、提案の立ち位置を初回相談で確かめるとよいでしょう。
- 診断から運用まで一貫して支援できるか:現状把握だけで終わらず、方針策定・構築・運用まで任せられると、依頼先を分ける手間とすき間が減ります。比較表の戦略策定〜インシデント対応の各列で、どこまでをカバーするかを確認できます。段階的に依頼するか、一気通貫で任せるかは、社内の体制と予算で判断が分かれます。
- インシデント発生時に対応できる体制があるか:平時の支援が中心か、有事の初動・復旧まで動けるかは会社によって差があります。比較表のCSIRT/SOC構築・インシデント対応の列を見て、事故が起きたときに誰がどう動くかを事前に確認しておくとよいでしょう。
- 最新の脅威情報を継続的に提供できるか:攻撃の手口は変化し続けるため、一度の対策で終わりにはなりません。脅威インテリジェンスの提供や定期的な見直しの仕組みがあるかを確認し、顧問型の契約で継続的に支えてもらえるかを見ておくとよいでしょう。
- 伴走しながら社内に知見を残せるか:外部任せにし続けると、費用がかさむうえに社内にノウハウが蓄積されません。対策の背景や判断理由を共有し、将来的な内製化まで見据えて伴走してくれるかを確認すると、外部依存の失敗を避けやすくなります。
費用の考え方と契約形態(スポット診断・顧問・プロジェクト)
セキュリティコンサルの費用は、支援範囲・期間・企業規模によって大きく変わり、料金を公開せず個別見積もりとする会社が大半です。金額そのものよりも、どの契約形態が自社の課題に合うかを先に見極めると、予算化しやすくなります。主な契約形態は次の3つです。
- スポット診断(単発契約):リスクアセスメントや脆弱性診断など、範囲と期間を区切って一度だけ依頼する形です。「まず現状を把握したい」「特定システムだけ見てほしい」という場合に向き、費用の見通しを立てやすいのが利点です。診断結果を踏まえて、次の契約につなげる入り口としても使えます。
- 顧問(継続契約):月額などの定額で、相談対応や定期的な見直し、脅威情報の提供を継続的に受ける形です。社外CISOのように、意思決定を継続して支えてほしい場合に適しています。常に専門家に相談できる体制を、採用コストより抑えて持てる点が特徴です。
- プロジェクト(期間契約):ポリシー策定やCSIRT構築、大規模なシステム更改への対応など、明確な目標とゴールがある取り組みを、一定期間かけて進める形です。費用は規模に応じて幅があり、投資対効果を事前に見積もったうえで稟議にかける対象になります。
どの形態でも、見積もりを取る際は「成果物として何が残るか」「対応範囲に有事の初動が含まれるか」を明確にしておくと、費用の妥当性を判断しやすくなります。各社の契約形態と費用感の目安は、比較表の該当列もあわせてご確認ください。
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セキュリティコンサルを活用して得られる効果
外部の専門家を活用すると、対策そのものの質が上がるだけでなく、経営の意思決定にも変化が生まれます。主な効果は次の3点です。
- リスクが数字で見えるようになる:診断・アセスメントによって、守れていない箇所と優先度が可視化されます。「何となく不安」だった状態が、対応すべき課題のリストと優先順位に変わり、投資判断の土台ができます。
- 有事の初動が変わる:CSIRTや対応手順を整えておくと、インシデント発生時に誰が何をするかが決まっているため、初動の遅れや判断ミスを減らせます。事故が起きてから慌てる状態から、想定済みの対応を実行する状態へ移れます。
- 経営層の理解が深まり、稟議を通しやすくなる:可視化されたリスクと対策の優先順位があれば、セキュリティ投資の必要性を数字と根拠で説明できます。サイバーセキュリティ経営ガイドラインが示すように、対策は経営者がリーダーシップを持って進める課題であり、外部の整理は経営層への説明材料としても機能します。
支援実績の確認で導入後の姿をイメージする
これらの効果が自社でも得られるかは、依頼先の支援実績から見積もれます。たとえばシステム更改に合わせて方針から見直す支援では、対策の優先順位づけや限られた予算の重点配分といった成果につながりやすく、CSIRT構築の支援では、役割分担と連絡経路が整って有事の初動を早める体制づくりが期待できます。
各社の導入事例や実績は公式サイト・資料で公開されていることが多いため、自社と業種・規模・課題が近いケースがあるかを確認すると、導入後の姿を具体的にイメージしやすくなります。
依頼する前に押さえたい注意点
外部活用の効果を引き出すには、依頼の仕方にも注意が必要です。もっとも起きやすいのは、外部任せにし続けた結果、社内に知見が残らず、毎年同じ費用をかけ続ける状態に陥ることです。対策の背景や判断理由を共有してもらい、将来的に自社で回せる部分を増やしていく前提で依頼すると、費用対効果が見えやすくなります。
また、支援範囲があいまいなまま契約すると、「診断はしたが対策の実行は範囲外だった」といったすき間が生じます。どこまでを任せ、どこからを自社が担うのかを事前にすり合わせておくことが大切です。
中小企業では、過剰な体制を外部に求めるより、公的な対策指針を土台にしながら優先度の高いところから着実に進める方が、費用と効果のバランスを取りやすい場合もあります。自社の規模と課題に見合った範囲で依頼先を選ぶ視点を持ちましょう。
出典・参考資料(1件)
まとめ
本記事では、IT戦略・経営に沿ってセキュリティの方針・体制づくりを任せられるセキュリティコンサル会社・サービス13社を、戦略・ガバナンス策定、診断・アセスメント、CSIRT/SOC運用・事故対応の3タイプに分けて比較・解説しました。
依頼先選びでまず大切なのは、自社の課題がどのタイプに近いかを見極めることです。そのうえで、専門領域や業種の実績、製品への中立性、診断から運用までの一貫支援、有事の対応体制、脅威情報の継続提供、そして内製化を見据えた伴走の有無という評価基準で候補を絞り込み、契約形態(スポット診断・顧問・プロジェクト)を課題に合わせて選ぶと、投資の根拠を経営層にも説明しやすくなります。
MCB FinTechカタログでは、掲載している会社・サービスの資料を無料で請求できます。気になる依頼先の支援範囲・費用感・実績を見比べて、自社に合う相談先の検討を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 特定の製品に偏らない中立的なコンサルかどうかは、どう見分ければよいですか?
A. 自社や特定ベンダーの製品販売を主な収益源としていないか、複数の選択肢を比較したうえで提案してくれるかを確認するのが基本です。初回相談で「なぜその製品・構成を勧めるのか」の判断理由を具体的に説明できるか、他社製品との比較や見送る選択肢も示せるかを尋ねると、立ち位置が見えてきます。
販売代理やマネージドサービスを併せ持つ会社がすべて偏っているわけではありませんが、提案が特定ツールの導入ありきになっていないかは意識して見ておくとよいでしょう。比較表の「対応領域・特徴」や各社の実績から、幅広い環境を扱っているかも判断材料になります。
Q. セキュリティコンサル会社と社内の情シス(情報システム部門)はどう役割分担すればよいですか?
A. 一般的な役割分担の目安は、日常的なシステム運用・保守や社内からの問い合わせ対応は情シスが担い、セキュリティの方針設計・リスク評価・専門性の高いインシデント対応の仕組みづくりを外部のコンサルが担う形です。あくまで目安であり、社内の体制や専門人材の有無によって線引きは変わります。
情シスの人員や専門知識が限られる企業ほど、戦略設計やリスク評価の部分を外部に任せる意義が大きくなります。ただし外部に任せきりにすると社内に知見が残らないため、判断の背景を共有してもらいながら、将来的に自社で回せる範囲を広げていく前提で分担を決めるとよいでしょう。
Q. セキュリティコンサルの費用相場はどのくらいで、どう予算化すればよいですか?
A. セキュリティコンサルの費用は支援範囲・期間・企業規模によって大きく変わり、料金を公開せず個別見積もりとする会社が大半です。そのため、金額の相場だけで比べるより、スポット診断・顧問・プロジェクトのどの契約形態が自社の課題に合うかを先に見極めると予算化しやすくなります。
見積もりを取る際は「成果物として何が残るか」「対応範囲に有事の初動が含まれるか」を明確にしておくと、費用の妥当性を判断しやすくなります。中小企業向けには、月額制で脆弱性診断と対策方針の提示をセットにしたパッケージ型のように、費用の見通しを立てやすいサービスもあります。
Q. スポット診断・顧問・プロジェクトの契約形態は、どれを選べばよいですか?
A. 契約形態は頼みたいことで選び分けるのが基本で、現状をまず把握したいならスポット診断、継続して相談・見直しを支えてほしいなら顧問、ポリシー策定やCSIRT構築など明確なゴールがある取り組みならプロジェクトが目安になります。
スポット診断は範囲と期間を区切るため費用の見通しを立てやすく、次の契約への入り口にもなります。顧問は社外CISOのように意思決定を継続して支えてほしい場合に向き、プロジェクトはシステム更改など一定期間の大きな取り組みに適しています。複数を組み合わせ、まず診断してから顧問やプロジェクトへ進む形もよく取られます。
Q. 中堅・中小企業でもセキュリティコンサルを使う費用対効果はありますか?
A. 中堅・中小企業でも、専任のセキュリティ人材を自前で抱えるより、外部の専門知見を必要な範囲で活用するほうが費用対効果が高くなりやすいです。内部リソースが限られる企業ほど、採用・育成のコストをかけずに専門性を補える効果が大きくなります。
費用対効果は、インシデントによる損失や取引機会の逸失を防ぐ投資として捉えると判断しやすくなります。ただし過剰な体制を外部に求めるより、公的な対策指針を土台にしながら優先度の高いところから着実に進めるほうが、自社の規模に見合った費用と効果のバランスを取りやすい場合もあります。
Q. セキュリティコンサルへの初回相談では、何を準備すればよいですか?
A. 初回相談では、現状のIT・セキュリティ体制、過去のインシデントやヒヤリハットの経験、優先して解決したい課題の3点を整理しておくと話が進みやすくなります。完璧な資料をそろえる必要はなく、分かる範囲で現状と困りごとを言語化しておけば十分です。
あわせて、基幹システムの更改やクラウド移行、上場準備、取引先からのセキュリティ要件など、相談のきっかけになっている背景を伝えると、コンサル側が支援範囲や契約形態を提案しやすくなります。提案の立ち位置が特定製品に偏っていないかを確かめる場としても、初回相談は活用できます。
Q. DX・クラウド移行・生成AIの活用を進める場合、セキュリティコンサルはどう支援してくれますか?
A. DX・クラウド移行・生成AIを進める局面では、新しいIT環境の設計段階からセキュリティを組み込む形で支援を受けられるため、後追いの対策よりも手戻りを減らせます。扱うデータや外部との接続先が増えるとリスクの前提が変わるため、構想・設計の上流から関わってもらう意義が大きくなります。
具体的には、IT将来構想やRFP策定の段階でのセキュリティ要件の組み込み、クラウドやゼロトラストを前提とした方針づくり、生成AIの業務活用に伴うデータ保護の整理などが支援の対象になります。IT戦略とセキュリティを切り離さずに進めたい場合は、戦略・ガバナンス策定タイプの会社が相談先の起点になります。
Q. 複数のセキュリティコンサル会社から相見積もりを取るとき、何をそろえれば比較できますか?
A. 料金が個別見積もりとなる以上、各社に同じ前提(支援してほしい範囲・対象システム・期間・成果物・体制)を伝えて見積もりを依頼すると、金額と内容を横並びで比べられます。前提がばらばらだと「安いが範囲が狭い」「高いが運用まで含む」といった違いが金額差に埋もれてしまいます。
見積もりを受け取ったら、金額だけでなく、成果物の具体性(報告書の粒度・改善提案の有無)、対応範囲のすき間(診断だけか、対策の実行・再診断まで含むか)、契約後の体制までそろえて確認すると、費用対効果を判断しやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















