PR・広報の仕事は、企画や取材対応、メディアリレーション、イベント運営など案件ごとに動くスタッフの時間と外注費で成り立っています。その原価が案件単位で見えず、「どの案件で利益が出ているのか」が月末にならないと分からない状態に、心当たりはないでしょうか。
複数の案件を並行して回すPR会社では、スタッフの工数と外注費を案件ごとに集計できないと、全社では黒字でも赤字案件が紛れていることに気づけません。表計算ソフトでの手集計は月1回が限界で、受注やリソース配分の判断が後手に回りがちです。こうした課題を解くために、案件(プロジェクト)単位で原価と損益を可視化できるシステムを、どのような観点で選べばよいのでしょうか。
本記事では、PR・広報会社に向く原価管理システムを、案件単位で原価・損益を管理するタイプと、販売・会計まで一元管理するタイプの2つに分けて比較・解説します。工数連動での労務費の集計、外注費の案件紐付け、会計・請求システムとの連携など、PR業に特有の選定観点を整理しました。自社の案件管理に合った仕組みを見つける材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
顧客から案件(プロジェクト)を受託するPR・広報・広告制作会社では、案件ごとに発生する労務費・外注費を原価として集計し、案件別・部門別の損益を把握できるかどうかが、システム選びの分かれ目になります。
案件ごとの売上と原価を突き合わせて採算を見たい受託・案件型の会社に向く一方、案件単位の売上を持たない事業会社の社内広報部門では、必要な機能が変わってきます。まずは、PR業の原価がどのような構造になっているかを整理します。
PR業向けに絞り込む前に、原価管理システムそのものを製品横断で広く見比べておきたい場合は、原価計算の方式・差異分析・配賦・会計連携といった選定軸で24製品を比較した以下の記事が参考になります。
また、PR業という業種に絞らず、原価管理を含む管理会計システム全般を目的・規模別に広く見比べたい場合は、以下の記事で全体像を確認できます。
PR業の原価構造と案件別損益管理の課題
ここからは、PR業の原価が何で構成され、なぜ案件単位で損益を見る必要があるのかを整理します。原価の中身をつかむと、どの機能を持つシステムを選ぶべきかが判断しやすくなります。
PR業の原価から案件別損益までの全体像は、次のとおりです。

PR業の原価は労務費・外注費が中心
PR・広報はモノを仕入れて加工する事業ではなく、スタッフが時間を使って企画・取材対応・メディアリレーション・レポーティングを行うサービス業です。そのため原価の大部分は、スタッフの稼働時間に人件費単価を掛けた労務費(人件費)と、デザイン・制作・媒体費・調査・イベント運営などの外注費で構成されます。材料費のような費目はほとんど発生しません。
この構造は、原価を正確につかむ難しさに直結します。労務費は「誰が・どの案件に・何時間使ったか」という工数を集計しなければ案件ごとに割り振れず、外注費も発注先ごとの請求を案件に紐づける手間がかかります。原価管理システムをPR業で選ぶときは、この工数と外注費を案件に集約できるかが出発点になります。
案件(プロジェクト)単位で損益を見る必要性
PR会社は、月額フィー型の顧問契約、単発のプロジェクト、成果連動型など、採算構造の異なる案件を同時に複数抱えるのが一般的です。案件ごとに投入する工数や外注費が変わるため、全社の損益計算書が黒字でも、その内訳には利益率の高い案件と赤字の案件が混在しています。
案件単位で原価と売上を突き合わせられれば、どの案件・どの顧客・どの担当チームで利益が出ているかが見えます。これは、継続案件の値付けの見直し、人員配置の最適化、採算の合わない案件の受注可否といった経営判断の土台になります。部門別・顧客別の損益まで分解できると、改善の打ち手がさらに具体的になります。
Excel・手作業の限界
多くのPR会社は、工数をスタッフの自己申告で集め、外注費の請求書と突き合わせて表計算ソフトで案件別に集計しています。この方法は案件数が増えるほど破綻しやすく、集計が月末の一括作業になるため、進行中の案件がいま黒字なのか赤字なのかをリアルタイムに追えません。
集計のタイミングが遅れると、赤字案件への追加投入を止められず、見積りの甘さにも気づけません。関数やシートの構造が特定の担当者に依存し、担当者が変わると引き継げないという属人化のリスクも抱えます。原価管理システムは、工数入力から案件別損益の可視化までを自動化し、こうした遅れと属人化を解消する役割を担います。
PR業向け原価管理システムのタイプ
PR業で使われる原価管理システムは、何を中心に管理するかで大きく2つのタイプに分かれます。自社が案件の採算管理を主目的とするのか、見積りや請求まで含めて基幹業務を一つにまとめたいのかで、選ぶタイプが変わります。
案件(プロジェクト)単位で原価・損益を管理するタイプ
案件ごとに工数・外注費・経費を集約し、案件別の原価と損益を可視化することに主眼を置いたタイプです。スタッフが入力した工数に人件費単価を掛けて労務費を算出し、外注先への発注・仕入を案件に紐づけて、予算と実績の差や粗利をリアルタイムに表示します。プロジェクト型ERP・プロジェクト収支管理システムと呼ばれる製品群がこれに当たり、案件採算の管理が中心のPR業では主流の選択肢です。
工数が原価の中心になるPR業と相性がよく、仕掛中の案件でも採算の見通しを立てられる点が強みです。見積りや請求の機能は製品によって搭載の有無や範囲が異なるため、既存の会計・請求の仕組みを活かしたい場合は連携の可否を確認しておきたい点です。
このタイプでも、単体で売上込みの損益まで出せるとは限りません。工数を主体に原価を積む製品では、売上と突き合わせた損益は会計・販売システムとの連携で補う設計が多くみられます。どこまで単体で完結するかは製品ごとに異なるため、比較表や個別紹介で各製品の前提を確認しておくと安心です。
このタイプ(プロジェクト収支管理システム)を業種を問わず幅広く見比べたい場合や、案件別の原価を工数・外注費からどう積み上げるのかを具体的に知りたい場合は、以下の記事が参考になります。
プロジェクト収支管理システム比較20選|タイプ別の選び方と料金、案件別原価の作り方を解説
案件が終わって締めてみるまで、その仕事が黒字だったのか赤字だったのか分からない状態になっていませんか。受託でビジネスを回している企業では、珍しくありません。売上は請求書で追えても、そこにぶつける原価は、メンバーの作業時間と外注費と経費に散ら…
販売・会計まで含めて一元管理するタイプ
見積り・受発注・請求といった販売管理を起点に、案件ごとの売上と原価を集約するタイプです。受注から請求・支払いまでを同じ案件番号で管理できるため、営業・制作・経理のデータが分断されず、見積りと実績の差も追いやすくなります。販売管理や基幹業務の一元化を優先したいPR企業に向きます。
このタイプは販売管理が土台のため、工数からの労務費集計は追加の機能や他サービスとの連携が前提になることがあります。案件原価のうち人件費の比重が高いPR業では、工数をどう取り込むかを導入時に確認しておくと、運用後のギャップを防げます。
2つのタイプの違いと、それぞれに該当する主なサービスを以下に整理します。
| タイプ | 案件(プロジェクト)単位で原価・損益を管理するタイプ | 販売・会計まで含めて一元管理するタイプ |
|---|---|---|
| 管理の中心 | 案件ごとの工数・外注費・経費の集約と案件別損益の可視化 | 見積り・受発注・請求を起点にした案件別の売上・原価の集約 |
| 向いているPR企業 | 案件採算の見える化を最優先し、工数から人件費原価を把握したい企業 | 販売管理や基幹業務を一つにまとめ、見積りから請求まで通して管理したい企業 |
| 該当する主なサービス | ZAC、Reforma PSA、プロカン、SMILE V Project Director、MA-EYES、マネーフォワード クラウド個別原価、LEEAD、CrowdLog、freee工数管理 | freee販売、楽楽販売 |
※上記は各タイプにおける一般的な傾向です。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態については各社情報をご確認ください。
PR業に合う原価管理システムの選び方
ここからは、PR業が原価管理システムを選ぶときに確認したい6つの観点を解説します。PR業の原価は工数と外注費が中心なので、この2つを案件に正しく取り込めるかを軸に、運用面やガバナンス面まで見ていきます。
工数を人件費原価に自動換算できるか
PR業の原価は労務費が中心のため、スタッフが入力した工数を人件費原価へ自動で換算できるかが最も重要な観点です。具体的には、メンバーごとの時間単価と作業時間を掛けて案件別の労務費を算出し、原価に反映する仕組みがあるかを確認しておきたい点です。
工数の入力はできても人件費への換算は別機能という製品や、換算ロジックを公式に明示していない製品もあります。原価の精度に直結する部分なので、単価の設定方法(職位別・個人別など)と、工数から原価への反映が自動か手動かを導入前に確かめておくと安心です。
外注費・経費を案件に紐づけられるか
PR業は制作・媒体・調査・イベント運営などの外注が多く、外注費が案件原価に占める比重が高くなります。発注・仕入の情報を案件に紐づけ、労務費と合わせて案件原価に反映できるかの確認が必要です。外注費が案件に結びつかないと、労務費だけの不完全な原価しか見えません。
複数の案件にまたがる共通費や間接費をどう扱うかも確認したい点です。一定の基準で各案件へ配賦できる製品なら、間接費まで含めた実態に近い案件損益を把握できます。
既存の会計・請求システムと連携できるか
すでに会計ソフトや請求システムを使っている場合、原価管理システムがそれらと連携できるかで運用負荷が変わります。会計データや請求データを二重入力せずに取り込めれば、経理の手間を増やさずに案件原価を集計できます。
連携の範囲は製品によって幅があり、API連携やCSV取り込みに対応するもの、特定の会計ソフトとの標準連携を備えるもの、連携を公式に明示していないものがあります。自社が使っているソフト名を挙げて、どこまで自動で連携できるかを個別に確認するのが確実です。
PR・広告業界の導入実績があるか
同じ案件型のビジネスでも、システム開発業と広告・PR業では工数の付け方や外注の構造が異なります。PR・広告・クリエイティブ業界での導入実績がある製品は、業界特有の運用に合う設定やテンプレートを備えていることが多く、導入後の調整が少なく済みます。
公式サイトの対応業種や導入事例に、広告・PR・制作業が挙がっているかを確認しておきたい点です。業界特化のラインナップを持つ製品もあるため、自社の業種に近い事例があるかを選定の判断材料にするとよいでしょう。
IPO・内部統制(電子承認・操作ログ)に対応できるか
この観点は、上場(IPO)を視野に入れる企業向けです。その予定がなければ読み飛ばして構いません。
上場(IPO)を準備する企業では、案件の数字の裏づけと内部統制の整備が求められます。金融商品取引法では、上場会社等に内部統制報告書の提出が義務づけられており(第24条の4の4第1項)、原価や損益の数字がどのように作られたかを説明できる状態が必要になります。
内部統制の基準では、「ITへの対応」が内部統制を構成する基本的要素の一つに位置づけられています。
内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。
出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(意見書 別紙1)|企業会計審議会・金融庁(2023年4月7日)https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20230407/1.pdf
このITへの対応は、システムの安全性を確保する全般統制と、承認された業務を正確に処理・記録する業務処理統制からなります。原価管理システムを選ぶときに見る「操作ログ・アクセス管理」は前者に、「電子承認(ワークフロー)」は後者に対応する機能です。上場を視野に入れるなら、承認フローと操作ログが残る製品を選ぶと、内部統制の要件に沿った運用がしやすくなります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:金融商品取引法 第24条の4の4第1項|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025)
- 出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに実施基準の改訂について(意見書)|企業会計審議会・金融庁 2023年4月7日(https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20230407/1.pdf)
導入後に現場で定着するか(工数入力の負荷)
案件別原価の精度は、スタッフが日々の工数を正しく入力し続けられるかにかかっています。入力の手間が重いと現場が入力を後回しにし、原価データが埋まらず、せっかく導入しても案件損益が見えないという事態になりかねません。
スマートフォンやカレンダー連携での入力、よく使う作業のテンプレート化など、現場の入力負荷を下げる工夫があるかを確認しておきたい点です。無料トライアルやデモで実際の入力画面を触り、自社のスタッフが毎日使い続けられる操作感かを見極めると、導入後の定着につながります。
自社がどのタイプに適しているか、どのサービスが合うかの判断が難しい場合は、いくつかの質問に答えると候補を絞り込める次の選定診断ツールを試してみてください。
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【比較表】PR業向け原価管理システムの比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定ができるよう、PR業向けの原価管理システムをタイプ別に分類し、料金・工数連動・対応業種・会計連携などの観点で横並びにご紹介します(料金・仕様は2026年10月時点の各社公式情報に基づきます)。
料金や想定企業規模を「要問い合わせ」「公式に明示なし」としている製品は、情報を隠しているわけではありません。利用規模で金額が変わる多機能なERP型は個別見積もりが中心で、工数管理が主体の製品やクラウド型は公開価格で始めやすい傾向があります。規模の目安は、最低利用人数(最低ID数)や月額の下限、導入事例の企業規模から読み取れます。
案件(プロジェクト)単位で原価・損益を管理するタイプの比較
| サービス名 | ZAC | Reforma PSA | プロカン | SMILE V Project Director | MA-EYES | マネーフォワード クラウド個別原価 | LEEAD | CrowdLog | freee工数管理 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 100,000円(初期設定費用) | 0円 | 150,000円〜(税込165,000円〜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円 |
| 月額費用 | モジュール×ライセンス数+保守60,000円〜/月(単価は要問い合わせ) | 30,000円〜(税抜、ライセンス従量制) | 30,000円〜(税込33,000円〜、利用人数で変動) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 1ユーザー600円〜(ベーシック)/1,500円〜(プレミアム)+別途基本料金 | 1ユーザー500円〜(メンバー・年払・税抜)、PM・管理者は2,000円。最低2ID |
| 工数→人件費原価の自動換算 | ●工数を案件別の労務費に自動集計 | ●労務費配賦(工数登録が前提) | ●工数×労務単価で換算 | ●社員別単価×工数で自動更新 | ●基準時間単価×工数で算出 | ●従業員別単価で労務費を按分 | △人件費原価を設定可(換算ロジックは公式に明記なし) | ●工数実績×人件費で原価を算出 | ●人件費原価を自動算出 |
| 外注費の案件紐付け | ●外注費・仕入を案件に紐付け | ●案件ごとに外注費を管理 | ●案件別に外注費・経費を集約 | ●発注・仕入を案件単位で管理 | ●購買・経費を案件原価に反映 | ●労務費・外注費・経費から原価を算出(売上込みの収支はクラウド会計Plus連携が前提) | ●外注費を案件に集計 | △経費を原価計上に設定可(外注費の専用機能は公式に明記なし) | △売上・仕入込みの案件収支はfreee販売連携が前提 |
| 工数管理 | 標準搭載(打刻システムとAPI/CSV連携) | 標準搭載(勤怠・日報) | 標準搭載(Googleカレンダー連携) | 標準搭載(勤怠「Universal 勤次郎」連携) | 標準搭載(勤怠連動・一括取込) | 標準搭載(勤怠連携4種) | 標準搭載(「LEEAD工数管理」) | 標準搭載(カレンダー・勤怠4種連携) | 標準搭載(本製品の中核機能) |
| 会計・請求連携 | 請求は標準搭載/会計は仕訳インポートで連携(勘定奉行クラウド等) | 請求は標準搭載/会計は仕訳ファイル連携(勘定奉行・MFクラウド会計・弥生等) | 請求は標準搭載/会計は弥生・freee・勘定奉行・マネーフォワードと連携 | 請求は標準搭載/会計は「SMILE V 2nd Edition 会計」と連携 | 請求は標準搭載/会計はAPI連携(勘定奉行クラウド等) | 請求は別製品/会計はクラウド会計Plusと連携 | 請求額の集計に対応/会計はCSV連携(直接API連携は公式に明記なし) | 会計連携は公式に明記なし(勤怠はKING OF TIME等4種) | freee販売・freee人事労務と連携(会計・請求は別製品) |
| PR・広告・制作業への対応 | ◎導入業種で最多(広告・PR・制作業 約4割) | ●広告業・制作業が対象 | ◎制作・広告向けの専用ラインナップ | ●広告・コンテンツ制作業が対象 | ◎広告業特化の「A ver.」あり | ●クリエイティブ業が対象 | ●クリエイティブ・広告/企画業が対象 | △業種の限定なし(PR・広告特化の明示なし) | △対象業種の明示なし |
| 想定企業規模 | 従業員50名〜(中堅〜大手) | 〜50名目安(成長企業・部門導入) | 中小〜中堅(公式に明示なし) | 公式に明示なし | SaaS版は中小〜/一括版は100名以上目安 | IPO準備・中堅〜上場企業 | 公式に明示なし(11〜100名規模の事例) | 業種・規模の限定なし | 公式に明示なし(最低2IDから・小規模〜) |
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド | 公式に記載なし | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
販売・会計まで含めて一元管理するタイプの比較
| サービス名 | freee販売 | 楽楽販売 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 要問い合わせ(公式に記載なし) | 200,000円(税抜、専任担当の導入支援3か月を含む) |
| 月額費用 | スターター 約5,000円/月(3名・年払・税抜)〜、スタンダード 約40,000円/月(10名) | 70,000円〜(税抜、利用ユーザー数で変動) |
| 工数→人件費原価の自動換算 | △単体では非対応(freee工数管理連携が前提) | △工数管理機能はあるが単価設定は公式非公開 |
| 外注費の案件紐付け | ●仕入登録で案件に紐付け | ●発注・間接費を案件単位で集計 |
| 工数管理 | 連携(freee工数管理=別契約) | 機能あり(粒度・単価設定は公式非公開) |
| 会計・請求連携 | 請求は標準搭載/freee会計と連携(仕訳連携は有料プラン) | 請求は標準搭載/勘定奉行(CSV)・freee会計(API)ほか連携 |
| PR・広告・制作業への対応 | △広告・制作の事例あり(業種特化の明示なし) | ●広告代理店・広告制作が対象 |
| 想定企業規模 | 個人・小規模〜中小企業(プラン別) | 公式に明示なし(6,000社導入) |
| 提供形態 | クラウド | クラウド |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
PR業向け原価管理システムの個別紹介
ここからは、各サービスの概要・特徴と、PR・広告業界での導入実績を同じ粒度でご紹介します。タイプごとに分けていますので、自社に合うタイプの中から比較してみてください。
案件(プロジェクト)単位で原価・損益を管理するタイプ
1. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

東証プライム上場の株式会社オロが開発・提供する、IT・広告・コンサルティングなど案件単位で業務が進むプロジェクト型業種向けの統合型クラウドERPです。プロジェクト別の収支管理を軸に、販売・購買・工数/勤怠・経費・管理会計を一元化します。
担当者が案件と作業項目を指定して入力した工数は案件別の労務費として自動集計され、直接作業は指定案件へ直課、間接作業は部門配下の案件へ再配賦されます。導入企業を業種別に見ると広告・PR・制作業が最も多く、契約1,000社突破時点(2024年7月)で約4割を占めます。
電子承認ワークフローと操作ログの自動保存を備え、上場準備の内部統制対応にも使えます。導入実績は公式で1,100社超とされています。料金は初期費用100,000円・保守60,000円〜/月に、機能モジュール×ライセンス数の課金が加わる形で、各モジュールの単価は要問い合わせです。
2. Reforma PSA(株式会社オロ)

ZACと同じ株式会社オロが提供する、案件・プロジェクト型ビジネス向けのクラウド型ERPです。公式ではZACの機能を案件管理向けの標準機能に絞ってパッケージ化した製品と位置づけ、IT・広告・イベント・コンサルティング・制作・設計などの業種を対象とします。
初期費用0円・月額30,000円(税抜)からで、導入期間の目安は1〜2か月と、ZAC(3〜6か月)より短い期間で始められます。従業員がプロジェクトと作業内容ごとに入力した工数をもとに、労務費配賦・共通費配賦で案件原価を算出します。
会計システムへは仕訳データをファイル連携でき、勘定奉行クラウドやマネーフォワード クラウド会計/Plus、弥生会計デスクトップ版などに対応します。導入実績は公式トップで500社以上とされています。
3. プロカン(株式会社PROCAN)

株式会社PROCANが提供する、案件単位で進む受託型ビジネス向けのクラウド収支管理システムです。IT・制作・建設工事などの業種別ラインナップを持ち、広告・PR代理店や制作会社は「プロカン制作」が対象となります。
社内人員の工数を「工数×労務単価」で原価に換算し、外注費などの社外コストと合わせて案件ごとの粗利を可視化します。見積書・請求書・発注書・経費精算書などの帳票作成から稟議承認までを一つの入力データで処理でき、会計ソフトは弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードと連携します。
料金は初期費用150,000円〜(税込165,000円〜)、月額30,000円〜(税込33,000円〜)で、利用人数に応じて変動します。イベント・広告・クリエイティブ業の株式会社シー・エヌ・エスでは、見積・請求にかかるリソースを30%削減した事例が公表されています。
4. SMILE V Project Director(株式会社OSK)

案件単位で、見込みの発生から受注・発注・仕入・売上・請求入金・支払までを一つの画面で管理するプロジェクト収支管理システムです(正式名称:SMILE V 2nd Edition Project Director)。株式会社OSKが開発し、株式会社大塚商会が販売とサポート窓口を担います。
社員ごとに設定した単価と入力工数を掛け合わせて案件ごとの労務費を自動更新し、勤怠管理「Universal 勤次郎」と連携して工数を原価へ反映します。対応業種にはソフトウェア・IT業と並んで広告・コンテンツ制作業が挙げられ、広告制作業の株式会社岩手広告社の導入事例が公開されています。
会計は「SMILE V 2nd Edition 会計」、申請・承認は「eValue V ワークフロー」と連携します。料金は公式に料金表がなく、初期費用・月額とも要お問い合わせです。
5. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

広告業界に特化した「A ver.」を持つのが特徴の、プロジェクト型ビジネス向けクラウド型ERPです。提供元は株式会社ビーブレイクシステムズで、システム開発・SES・コンサルティング向けと広告業界向けの2ラインナップを展開します。
工数にマスタの基準時間単価(個人別またはジョブグレード別)を掛けて労務費を算出し、プロジェクト原価に反映します。間接費の配賦基準は工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった非システム情報も設定できます。
2025年3月にISO/IEC 27001とクラウドセキュリティ認証を取得しています。導入形態はSaaS版・SaaS+版・一括版の3種類で、料金は利用人数・利用機能により変動する公式非公開のため要問い合わせで、30日間の無料トライアルがあります。
6. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

IPO準備企業や中堅〜上場企業のプロジェクト型ビジネスを対象とした、個別原価管理システムです。株式会社マネーフォワードが提供し、工数入力・費用データ連携・間接費の配賦・原価の可視化までを一連で扱います。
勘定科目ごとに従業員別の単価を設定して労務費を按分し、間接費は部門・プロジェクトへ多段階で配賦します。配賦基準は工数比率・従業員数比率・面積比率などから設定できます。売上を含めた案件別の損益まで見るには、マネーフォワード クラウド会計Plusとの組み合わせが前提です。
SOC 1 Type 2報告書の対象サービスに含まれ、上場準備の内部統制対応に用いられています。料金は契約内容・利用人数により変動し、公式では非公開のため要問い合わせです。
7. LEEAD(株式会社ETVOX)

プロジェクト会計に機能を絞った、クラウド型の収支管理サービスです。株式会社ETVOXが提供し、プロジェクトごとに売上・工数・費用の計画値と実績値を登録して、予実(予算対実績)を管理します。
部署横断・顧客別・独自グループ別のセグメント分析に対応し、事業全体との関連を見ながら個別案件の収益性を判断できます。工数・費用を案件に紐づけ、プロジェクト単位で人件費の原価を設定できます。対応業種にはクリエイティブ・広告/企画業が挙げられています。
累計登録ユーザー数は1,200件、登録プロジェクト数は3,500件(いずれも2025年11月時点・自社調べ)とされ、最短即日での導入に対応します。料金は公式非公開で、30日間の無料トライアルがあります。
8. CrowdLog(株式会社クラウドワークス)

東証上場の株式会社クラウドワークスが提供する、工数管理・プロジェクト管理ツールです。工数をプロジェクト・メンバー・業務項目の単位で集計し、プロジェクト別の損益を見える化します。
プロジェクトに登録された工数実績データを人件費と掛け合わせて原価を算出し、プロジェクトごとの売上・原価について予算の登録と実績の管理ができます。工数入力はカレンダー連携・勤怠ツール4種との連携・スマートフォン入力など、省力化の手段を複数備えます。
累計導入社数は900社以上(2026年1月末時点)とされています。料金はベーシックが1ユーザー月額600円〜、プレミアムが1,500円〜で、ここに非公開の基本料金が別途加わります。無料トライアルは7日間用意されています。
9. freee工数管理(フリー株式会社)

フリー株式会社が提供する「freee工数管理」(旧称「freeeプロジェクト管理」)は、工数管理と労務費管理を行うクラウドサービスです。工数入力からプロジェクトごとの人件費原価の自動算出、予実管理までを扱います。
売上・仕入を含めた案件別の収支を集計するには、販売管理の「freee販売」との連携が前提となり、セット割も用意されています。料金は1ユーザー月500円〜(メンバー・年払い・税抜)、プロジェクトマネージャーと管理者は月2,000円(年払い・税抜)で、初期費用はかかりません。
最低構成は管理者1IDとメンバー1IDの計2IDからで、30日間の無料トライアルがあります。導入事例のコクヨでは、月末の締め作業が5分程度にまで短縮されたと公表されています。
販売・会計まで含めて一元管理するタイプ
10. freee販売(フリー株式会社)

freee販売は、フリー株式会社が提供するクラウド型の販売管理システムです。見積・受注・売上・請求・入金を案件(プロジェクト)単位で扱い、案件ごとの売上・原価・粗利をfreee会計と連携して管理します。原価管理の専用製品ではなく、販売管理の機能の一つとして案件別の原価・粗利を持つ設計です。
PR業で原価の中心となる労務費(人件費原価)は、freee販売単体では算出しません。案件別の人件費を予算・実績で管理するには、スタンダードプランとfreee工数管理(別料金)の連携が前提です。外注費は仕入登録、またはfreee業務委託管理との連携(スタンダードプランのみ)で案件に紐づけます。
料金はユーザー数に応じた月額で、スタータープランが参考価格で3名利用の場合 約5,000円/月、スタンダードプランが10名利用の場合 約40,000円/月(いずれも年払い・税抜)です。案件別の原価推移レポートはスタンダードプランに含まれます。初期費用の有無や無料トライアル期間は公式ページに明記がないため、導入前に確認するとよいでしょう。
11. 楽楽販売(株式会社ラクス)

株式会社ラクスが提供する楽楽販売は、見積・受注・請求から売上・発注・原価・収支までをクラウド上で一元管理する販売管理システムです。受注(売上)と発注(原価)、間接費を案件単位で紐づけ、収支(予実)を自動で集計します。同社は東京証券取引所プライム市場に上場しています。
公式の対応業種には広告代理店・広告制作やコンサルティングが挙げられており、案件採算を扱うPR業の業務に沿います。工数(人件費)管理の機能はありますが、入力粒度や人件費単価の設定方法は公式に公開されていないため、労務費をどう案件原価へ取り込むかは導入前の確認が必要です。
料金は初期費用200,000円(税抜)と月額70,000円~(税抜)で、初期費用には専任担当による3か月間の導入支援が含まれます(月額はユーザー数などで変動)。管理画面や承認ワークフローをノンプログラミングで自社仕様にカスタマイズでき、無料トライアルも用意されています。
まとめ
PR業の原価は、スタッフの工数から生まれる労務費と、制作・媒体などの外注費が中心です。案件ごとにこの2つを集約できて初めて、どの案件で利益が出ているかが見え、受注や人員配置の判断に使えるようになります。システム選びでは、工数を人件費原価へ自動換算できるか、外注費を案件に紐づけられるか、既存の会計・請求と連携できるかを軸に確認するのが近道です。
案件採算の見える化を優先するなら案件単位で原価・損益を管理するタイプを、見積りから請求まで通して管理したいなら販売・会計まで一元管理するタイプを起点に検討するとよいでしょう。上場を視野に入れる場合は、電子承認や操作ログといった内部統制への対応も選定軸に加えてください。各サービスの詳しい料金や機能は、資料を取り寄せて見比べるのが確実です。
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よくある質問(FAQ)
Q. PR業における原価管理システムとは何ですか?
A. PR業における原価管理システムとは、案件(プロジェクト)ごとに発生する労務費や外注費を集計し、案件別・部門別の損益を可視化するシステムです。PR・広報の原価はスタッフの稼働時間から生まれる労務費と、制作・媒体・調査・イベント運営などの外注費が中心になります。原価管理システムは、工数の入力から案件別損益の表示までを自動化し、どの案件で利益が出ているかをリアルタイムに把握できるようにします。
Q. PR業向けの原価管理システムで案件別の損益はどのように算出しますか?
A. PR業向けの原価管理システムは、案件ごとに集約した労務費・外注費・経費を、その案件の売上と突き合わせて損益を算出します。労務費はスタッフが入力した工数、外注費は発注・仕入のデータから案件に紐づけて合算します。共通費・間接費を一定の基準で各案件へ配賦できる製品もあり、部門別・顧客別に分解できれば値付けの見直しや人員配置の判断にも使えます。
Q. PR業向けの原価管理システムは導入までどのくらいかかりますか?
A. 製品や規模により数日〜数か月と幅があります。クラウド型の収支管理ツールには最短即日や1〜2か月で始められる製品がある一方、全社でモジュールを組む統合型ERPは3〜6か月程度かかることもあります。導入支援の有無や範囲も期間に影響するため、希望時期を伝えて見積りと合わせて確認するとよいでしょう。
Q. 既存のExcelや会計システムのデータは移行できますか?
A. 多くの製品はCSVの取り込みや会計ソフトとの連携でデータを引き継げます。これまでExcelで管理していた案件・工数・取引先のデータは、CSV形式で初期インポートできる製品が一般的です。会計・請求データはAPIやCSVで連携できる範囲が製品ごとに異なるため、移行したいデータの種類を挙げて対応可否を確認しましょう。
Q. 原価管理システムはクラウドとオンプレミスのどちらが主流ですか?
A. PR業向けの案件型原価管理システムは、クラウドで提供される製品が主流です。本記事で比較した製品の多くもクラウド型で、インストール不要でブラウザから使え、スタッフの工数入力やリモートワークにも向きます。提供形態を公式に明示していない製品もあるため、オンプレミスが必要な場合は個別に確認してください。
Q. 小規模なPR会社でも原価管理システムを導入できますか?
A. 小規模なPR会社でも導入できます。月額3万円程度から、または1ユーザー月数百円から使える工数管理中心の製品があり、少人数・少数案件から無理なく始められます。まず工数入力と案件別損益の可視化に絞ったタイプから始め、規模拡大に合わせて販売・会計一元管理タイプへ広げる進め方も可能です。料金は人数・機能で変わるため各社資料で確認しましょう。
Q. 契約前に無料トライアルやデモで試せますか?
A. 30日間などの無料トライアルやデモを用意している製品が多くあります。工数入力のしやすさや画面の操作感は、実際に触ってみないと自社に合うか判断しにくい部分です。トライアルやデモで現場のスタッフが使い続けられるかを確かめると、導入後の定着の見通しが立てやすくなります。
Q. セキュリティや第三者認証はどこを確認すればよいですか?
A. ISMS(ISO/IEC 27001)などの情報セキュリティ認証や、SOC報告書などの第三者報告書の有無が目安になります。原価や損益は社内の機微な数字を含むため、アクセス管理・操作ログ・暗号化といった対策も確認したい点です。上場準備中なら内部統制に対応できるかと合わせて、公式サイトで認証・報告書を確かめましょう。
Q. 月額フィー型(顧問契約)の案件でも原価管理できますか?
A. 月額フィー型の案件も、1つの案件として登録して工数・外注費を紐づければ採算を管理できます。PR会社は顧問契約・単発プロジェクト・成果連動など、採算構造の異なる案件を併せ持つのが一般的です。契約形態を問わず案件単位で原価を集計できる製品を選べば、継続案件ごとの利益率も把握しやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















