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情報セキュリティ10大脅威2026とは?組織向けの順位一覧と企業の対策を解説

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独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、前年に社会的影響の大きかった事案をもとに「情報セキュリティ10大脅威」を毎年公表しています。2026年版の組織向け脅威は2026年1月29日に公開され、ランサムウェアやサプライチェーン攻撃に加えて、新たに「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めてランクインしました。

自社がどの脅威に、何から手を打つべきか。順位は把握できても、具体的な対策や必要なソリューションの種類までは結びつけにくいという担当者は少なくありません。本記事では、2026年版・組織向けの10大脅威の順位一覧と前年からの変化を整理し、脅威ごとの手口と組織の対策、対策を担うセキュリティソリューションの選び方までをまとめて解説します。

専任のセキュリティ担当者がいない企業でも優先順位を付けて対策を進められるよう、脅威ごとの手口と対策を具体的にまとめています。自社のセキュリティ対策を見直す検討材料としてご活用ください。

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【2026年版・組織編】情報セキュリティ10大脅威 順位一覧

はじめに、IPAが公表した2026年版の組織向け「情報セキュリティ10大脅威」の順位を一覧で確認します。順位の横には、各脅威が過去に選出された回数(連続選出回数)も示しました。

順位脅威(組織向け)初選出年10大脅威での取り扱い(2016年以降)
1位ランサム攻撃による被害2016年11年連続11回目
2位サプライチェーンや委託先を狙った攻撃2019年8年連続8回目
3位AIの利用をめぐるサイバーリスク2026年初選出
4位システムの脆弱性を悪用した攻撃2016年6年連続9回目
5位機密情報を狙った標的型攻撃2016年11年連続11回目
6位地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む)2025年2年連続2回目
7位内部不正による情報漏えい等2016年11年連続11回目
8位リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃2021年6年連続6回目
9位DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃)2016年2年連続7回目
10位ビジネスメール詐欺2018年9年連続9回目

※「初選出年」と選出回数は、現行の集計が始まった2016年以降を対象とした記録です。

1位のランサム攻撃による被害は11年連続で選出され、2位のサプライチェーンや委託先を狙った攻撃とともに前年から順位が変わっていません。一方で、3位の「AIの利用をめぐるサイバーリスク」は2026年版で初めて選出された脅威です。

出典・参考資料(1件)

情報セキュリティ10大脅威とは(選定の仕組み・組織編と個人編の違い)

情報セキュリティ10大脅威は、前年に発生し社会的に影響が大きかった情報セキュリティの事故や攻撃から、IPAが脅威候補を選びます。これを、研究者や企業の実務担当者など約250名からなる「10大脅威選考会」が審議・投票して決定します。2026年版の順位は、前年の被害の大きさや件数の傾向を反映した投票結果であり、各組織にとっての対策の優先度をそのまま示すものではありません。

10大脅威には「組織」向けと「個人」向けの2種類があります。本記事で扱うのは企業などの組織向けで、こちらは順位を付けて公表されます。個人向けは順位を付けず、脅威名を五十音順で記載する形式です。自社の対策を検討する際は、組織向けの脅威を参照します。

出典・参考資料(1件)

2025年版からの変化(新顔・不動・圏外化)

ここからは、2025年版と2026年版を見比べて、顔ぶれや順位がどう変わったかを確認します。前年との差分を押さえると、自社が新たに注意すべき脅威が見えてきます。

情報セキュリティ10大脅威(組織向け)の2025年版から2026年版への主な変化を示した図解。新規ランクインはAIの利用をめぐるサイバーリスク(3位)、圏外へは不注意による情報漏えい等(2025年版10位)、順位上昇は地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む・7位から6位)、順位下降は内部不正による情報漏えい等(4位から7位)とリモートワーク等を狙った攻撃(6位から8位)、上位不動は1位ランサム攻撃による被害と2位サプライチェーンや委託先を狙った攻撃。

最大の変化は、3位に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて入ったことです。生成AIの業務利用が広がるなかで、入力した情報の漏えいや、AIを悪用した攻撃の巧妙化などが脅威として位置づけられました。その一方で、2025年版では10位だった「不注意による情報漏えい等」が2026年版では10項目から外れています。

上位の構図は大きく動いていません。1位のランサム攻撃、2位のサプライチェーンや委託先を狙った攻撃は両年版で同じ順位です。下表に、2025年版と2026年版の組織向け順位を並べました。

順位2025年版(組織向け)2026年版(組織向け)
1位ランサム攻撃による被害ランサム攻撃による被害
2位サプライチェーンや委託先を狙った攻撃サプライチェーンや委託先を狙った攻撃
3位システムの脆弱性を突いた攻撃AIの利用をめぐるサイバーリスク(新規)
4位内部不正による情報漏えい等システムの脆弱性を悪用した攻撃
5位機密情報等を狙った標的型攻撃機密情報を狙った標的型攻撃
6位リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む)
7位地政学的リスクに起因するサイバー攻撃内部不正による情報漏えい等
8位分散型サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃
9位ビジネスメール詐欺DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃)
10位不注意による情報漏えい等ビジネスメール詐欺

内部不正による情報漏えい等は4位から7位へ、リモートワーク等を狙った攻撃は6位から8位へと順位を下げました。地政学的リスクに起因するサイバー攻撃は7位から6位へ上がり、名称に「(情報戦を含む)」が加わっています。

また、「システムの脆弱性を悪用した攻撃」(2025年版は「突いた攻撃」)や「機密情報を狙った標的型攻撃」(同「機密情報等を狙った」)のように、順位だけでなく名称が一部変わった脅威もあります。

個人向けは、2025年版の時点ですでに順位を付けず五十音順で掲載する方式に変わっており、2026年版もこの形式を踏襲しています。

出典・参考資料(2件)

2026年 情報セキュリティ10大脅威と組織の対策

ここからは、2026年版・組織向けの10大脅威を1位から順に取り上げ、それぞれの手口・典型例と、組織が取るべき対策を解説します。記事の後半では、これらの対策を担うセキュリティソリューションを5つの種類に整理し、どの脅威に効くかとあわせて紹介します。手口と対策の詳細は、IPAが公開する解説書(組織編)にまとまっています。

出典・参考資料(1件)

1位:ランサム攻撃による被害

11年連続で選出されている、組織にとって最も深刻な脅威です。端末やサーバーのデータを暗号化して使えなくし、復旧と引き換えに金銭を要求します。近年は、暗号化の前にデータを盗み出し「公開されたくなければ支払え」と脅す二重の脅迫も広がっています。

警察庁の報告によると、令和6年(2024年)におけるランサムウェアの被害報告件数は222件と高水準で推移しました。組織規模別では大企業の被害が減る一方、中小企業の被害は前年より37%増加しています。侵入の入口は、VPN機器やリモートデスクトップ用機器が全体の8割以上を占めており、その原因として安易なID・パスワードや、管理されていない不要なアカウントの存在が挙げられています。

出典・参考資料(1件)

対策の基本は、侵入を許さないための入口の防御と、万一侵入されても復旧できる備えの両輪です。VPN機器などの脆弱性をふさぎ、多要素認証でアカウントの乗っ取りを防ぎます。あわせて、ネットワークを流れる通信を監視して不審な動きを早期に検知し、改ざんされにくい形でバックアップを取得して復旧できる体制を整えておくことが重要です。

予防・バックアップ・感染時の初動まで、ランサムウェア対策の全体像を手順に沿って確認したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

2位:サプライチェーンや委託先を狙った攻撃

標的とする企業を直接攻撃するのではなく、セキュリティ対策が手薄な取引先や業務委託先、利用しているソフトウェアを経由して侵入する攻撃です。自社の防御を固めていても、つながっている組織を踏み台にされると被害が及びます。

対策は自社だけで完結しません。委託先の選定時や契約時にセキュリティ要件を確認し、取引先と連携して対策状況を点検する取り組みが求められます。自社側では、委託先に付与するアクセス権限を必要最小限にとどめ、外部からの接続を監視することで、踏み台にされた際の影響を抑えられます。

こうしたサプライチェーンのリスクを背景に、取引先のセキュリティ水準を制度として評価する動きも始まっています。この制度動向について、SYNCHROの北口氏は製造業を例に次のように指摘しています。

北口氏
株式会社SYNCHRO 取締役CMO
北口氏
独自インタビューより

製造業については、今年度から新しく始まる政府のSCS評価制度(サプライチェーン・サイバーセキュリティ評価制度)への対応が大きなテーマになります。レベル1〜3は自己評価ですが、レベル4・5は第三者評価が必要となり、セキュリティレベルが低い企業様との取引が制限されるような制度設計になっています。中小企業様が狙われやすくなっている中で、そこを踏み台に取引先を遡っていくサプライチェーン攻撃のリスクも高まっており、評価制度への対応は急務です。

手口の種類や実際の被害事例、取引先まで含めた具体的な対策に踏み込みたい場合は、以下の記事で整理しています。

3位:AIの利用をめぐるサイバーリスク

2026年版で初めて選出された脅威です。生成AIの業務利用が広がるなかで、入力した機密情報が外部に漏れるリスクや、AIが生成した誤った情報をうのみにするリスク、さらに攻撃者がAIを使ってフィッシングメールやマルウェアを効率的に作成するリスクなどが含まれます。

対策としては、まず社内で生成AIの利用ルールを定めることが出発点になります。入力してよい情報の範囲を明確にし、業務で使うサービスを把握したうえで、許可していないツールの利用(シャドーAI)を防ぎます。攻撃側の高度化に対しては、巧妙化したメールを見抜くための従業員教育と、メールやエンドポイントでの多層的な検知を組み合わせます。

許可していないツールの利用(シャドーAI)を把握・制御する仕組みを具体的に検討したい場合は、以下の記事でAIガバナンスツールのタイプと選び方を解説しています。

4位:システムの脆弱性を悪用した攻撃

OSやソフトウェア、ネットワーク機器に存在する脆弱性(セキュリティ上の欠陥)を突いて侵入する攻撃です。修正プログラムが公開される前の欠陥を突くゼロデイ攻撃もあり、公開された脆弱性は攻撃者に悪用されるまでの時間が短くなっています。前述のとおり、ランサムウェアの主要な侵入経路もVPN機器などの脆弱性でした。

基本の対策は、修正プログラム(パッチ)を速やかに適用し、ソフトウェアを最新の状態に保つことです。あわせて、自社にどのような機器やソフトウェアがあり、どこに脆弱性が残っているかを定期的に診断して把握しておくと、優先して手を打つべき箇所が明確になります。

5位:機密情報を狙った標的型攻撃

特定の組織を狙い、取引先や関係者を装ったメールなどで侵入し、機密情報を盗み出す攻撃です。業務に関係があるように見せかけた巧妙な文面で添付ファイルを開かせたり、不正なサイトへ誘導したりします。侵入後は、気づかれないように社内で感染を広げながら目的の情報に近づきます。

対策は、入口・内部・出口の多層で考えます。不審なメールをメールの段階でブロックし、従業員が開いてしまった場合でもエンドポイントで不審な挙動を検知します。侵入後の内部での動き(横展開)を見つけるために、ネットワークの通信を監視する仕組みも有効です。あわせて、標的型攻撃メールを見抜く訓練で従業員の対応力を高めます。

6位:地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む)

国家間の対立や国際情勢を背景としたサイバー攻撃です。重要インフラや特定の産業を狙った攻撃、偽情報の拡散による社会の混乱などが含まれ、企業も取引関係や事業内容によっては標的になり得ます。2026年版では前年より順位を上げ、名称に「情報戦を含む」が加わりました。

この脅威は個社だけで防ぎきれる性質ではありませんが、基本的なセキュリティ対策を徹底することが土台になります。公的機関が発信する注意喚起や脅威情報を継続的に確認し、自社の事業に関わる動向を把握したうえで、重要なシステムの防御と監視を強化しておくことが備えになります。

7位:内部不正による情報漏えい等

従業員や退職者、業務委託先の関係者が、権限を悪用して情報を持ち出す脅威です。外部からの攻撃と異なり、正規のアクセス権を持つ人物による行為のため、気づきにくいという特徴があります。退職時に顧客情報を持ち出す事例などが代表例です。

対策の中心は、アクセス権限の管理と行動の記録です。業務に必要な範囲だけに権限を絞り、退職・異動時には速やかに権限を見直します。誰がどの情報にアクセスしたかのログを残して不審な操作を検知できるようにし、重要データの大量ダウンロードや外部への持ち出しを制限する仕組みを組み合わせます。

内部不正がなぜ起きるのかを人的・組織的な要因の両面から理解し、防止策の前提を押さえたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

8位:リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃

在宅勤務などで使うVPN機器やリモートアクセスの仕組み、私物端末の脆弱性を狙う攻撃です。社外から社内ネットワークへ接続する経路が増えたことで、攻撃者にとっての侵入口も広がりました。ランサムウェアの主要な侵入経路とも重なります。

対策としては、VPN機器を最新の状態に保ち、接続時には多要素認証を必須にします。接続元の端末や場所、時間帯に応じてアクセスを制限し、業務で利用する端末の状態を管理することで、不正な接続を防ぎます。社外からのアクセスを前提に、利用者ごとに最小限の権限を与える設計が有効です。

9位:DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃)

多数の端末から大量の通信を送りつけ、Webサイトやオンラインサービスをつながりにくくしたりダウンさせたりする攻撃です。サービス停止による機会損失や、他の攻撃から目をそらすための陽動として使われることもあります。

対策は、大量の通信を検知して遮断するDDoS対策サービスやCDN(コンテンツ配信網)の利用が中心です。通信量を常時監視して異常を早期に把握し、攻撃を受けた際の切り分けや復旧の手順をあらかじめ定めておくことで、サービス停止の影響を小さく抑えられます。

10位:ビジネスメール詐欺

経営者や取引先になりすましたメールで、担当者をだまして偽の口座へ送金させる詐欺です。英語でBEC(Business Email Compromise)とも呼ばれます。実在する取引を装った自然な文面が使われるため、担当者が気づかないまま送金してしまう被害が起きています。フィッシングの報告件数も令和6年には前年より約52万件(44%)多く報告されており、なりすましメールの脅威は高まっています。

出典・参考資料(1件)

対策は、技術と業務プロセスの両面で講じます。送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)やメールセキュリティサービスでなりすましメールを検知・遮断し、送金手続きでは、メールだけで判断せず電話など別の手段で相手に確認する承認フローを定めます。従業員への注意喚起とあわせることで、だまされるリスクを下げられます。

自社の対策の進め方(優先順位の付け方・中小企業は何から)

10の脅威を見渡すと、「結局、何から手を付ければよいのか」と迷いがちです。ここでは、限られた人手と予算で対策を進めるための優先順位の考え方を整理します。

まず押さえておきたいのは、10大脅威の順位がそのまま自社の対策の優先順位ではないという点です。順位は前年の社会全体での被害の大きさや件数の傾向を反映した投票結果であり、自社が守るべき資産や働き方によって、重点を置くべき脅威は変わります。顧客情報を多く扱う企業は情報漏えい、Webサービスを提供する企業はDDoS攻撃、というように、自社の事業に照らして優先度を考えます。

そのうえで、多くの脅威に共通して効く基本対策から着手すると費用対効果が高くなります。具体的には、修正プログラムを適用して脆弱性をふさぐこと、推測されにくいパスワードと多要素認証でアカウントを守ること、改ざんされにくい形でバックアップを取ることの3つです。

警察庁の報告でも、ランサムウェアの侵入の多くは安易なID・パスワードや管理されていないアカウントが原因とされており、これらの基本対策は複数の脅威の入口を同時にふさぎます。

専任の担当者を置きにくい中小企業では、自社だけですべてを担うのではなく、外部の専門サービスを活用して省力化する選択肢があります。脆弱性の診断やバックアップ、監視などを外部に任せられるサービスを使えば、少ない人手でも継続的に対策を運用できます。次の章では、脅威への対策を担うセキュリティソリューションの種類と選び方を整理します。

中小企業が具体的に何から着手し、どの程度の費用がかかるかまで知りたい場合は、以下の記事で優先順位と費用の目安をまとめています。

対策ソリューションの選び方・比較と個別紹介

ここからは、各脅威への対策を担うセキュリティソリューションを、種類ごとに整理して解説します。自社にどの対策が足りていないかを確認したうえで、該当する製品の資料を比較する流れで読み進めてください。

脅威に効くセキュリティソリューションの種類(中立の選び方)

10大脅威への対策は、おもに次の5つの種類のソリューションが担います。どれか1つで全てを守れるわけではなく、自社に不足している領域を見極めて組み合わせるのが基本です。

  • EDR・アンチウイルス(端末を守る):PCやサーバーなどの端末で、マルウェアの実行を防ぎ、不審な挙動を検知・対応します。ランサムウェアや脆弱性を悪用した攻撃、標的型攻撃への対策の中心です。
  • ネットワーク監視・NDR(通信を監視する):社内ネットワークを流れる通信を監視し、侵入後の内部での動き(横展開)や不審な通信を検知します。標的型攻撃や内部不正の早期発見、侵入後の調査に役立ちます。
  • メールセキュリティ(入口でだましを防ぐ):標的型攻撃メールやビジネスメール詐欺、迷惑メールを、メールサーバーに届く前に検知・遮断します。なりすまし対策(SPF・DKIM・DMARC)も担います。
  • 多要素認証・ID基盤(アカウントを守る):ID・パスワードに加えて複数の要素で本人を確認し、アカウントの乗っ取りを防ぎます。ランサムウェアやリモートワークを狙った攻撃の主要な入口である、認証の弱さをふさぎます。
  • 脆弱性診断・バックアップ(弱点を見つけ、復旧に備える):自社に残る脆弱性を定期的に診断して対処し、万一の際に復旧できるようバックアップを確保します。脆弱性を悪用した攻撃の予防と、ランサムウェアからの復旧を支えます。

以下は、本記事で紹介する対策ソリューションの比較表です。

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サービス名CloudGate UNONetwork BlackboxEye"247" Safety ZoneEye"247" Spam ShieldKATABAMI
対策カテゴリ多要素認証・ID基盤ネットワーク監視・NDREDR・アンチウイルスメールセキュリティ脆弱性診断・バックアップ
守る対象アカウント(認証)社内ネットワークの通信PC・サーバーなどの端末メール(受信・送信)システム全体(予防・復旧)
主に効く脅威フィッシングによる認証情報の窃取
リモートワークを狙った攻撃
標的型攻撃の侵入後の横展開
内部不正による情報持ち出し
ランサムウェア攻撃
脆弱性を悪用した攻撃(端末側)
ビジネスメール詐欺(BEC)
標的型攻撃メール
脆弱性を悪用した攻撃の予防
ランサムウェアからの復旧
導入方式クラウド型(IDaaS)通信のミラーリング方式端末にインストールクラウドゲートウェイ型
(MXレコード変更のみ)
パッケージ導入
(最短2週間・設置10分)
料金月額400円〜/ユーザー要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ1台 月額1,250円〜
無料トライアル30日間要お問い合わせ要お問い合わせ1か月要お問い合わせ
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

※料金・無料トライアルは2026年11月時点の各社公式情報によります。最新の条件は各社の資料・公式サイトでご確認ください。

1. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

CloudGate UNOのウェブサイト

CloudGate UNOは、株式会社インターナショナルシステムリサーチが自社開発するクラウド型のID基盤(IDaaS)です。シングルサインオン(一度の認証で複数のクラウドサービスへアクセスできる仕組み)に、多要素認証やパスキー(FIDO2)によるパスワードレス認証、きめ細かなアクセス制限を組み合わせ、アカウントの乗っ取りを防ぎます。

認証方式は、物理セキュリティキーや端末の生体認証、ワンタイムパスワードなどに対応します。パスキーによるパスワードレス認証はフィッシングに強く、ランサムウェアやリモートワークを狙った攻撃の入口となる認証の弱さをふさげる点が特徴です。アクセス制限は、端末・場所・時間帯の3つの軸で設定でき、私用端末からの利用禁止や特定拠点への限定も可能です。

直近1年間で1億回以上の認証実績と99.99%の稼働率を公表しています。料金はStandard Plusプランで月額400円(税抜)からで、30日間の無料体験を利用できます。

同じ多要素認証でも、認証方式によって攻撃への耐性は異なります。開発元であるインターナショナルシステムリサーチの平澤氏は、方式ごとの耐性の違いについて次のように述べています。

平澤氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部マーケティング部
平澤氏
独自インタビューより

当社が採用しているパスキーのパスワードレス認証は、フィッシング攻撃に対して非常に強い耐性を持ちます。SMS認証やワンタイムパスワードなどの一般的な多要素認証を突破する攻撃手法が顕在化する中、より安全な認証環境を提供します。

2. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackboxのウェブサイト

ネットワークを流れる全パケット(通信データ)を収集・保存し、脅威を可視化・分析するNDR(Network Detection and Response)製品です。株式会社クワッドマイナージャパンが提供し、収集・検知・ハンティング・フォレンジック・対応の5つの機能を1つの製品に備えます。

通信を複製するミラーリング方式で導入するため、既存ネットワークへの影響を抑えられます。ログ(イベントの記録)だけでなく通信そのものを保存するため、侵入後に攻撃がどう広がったかをパケット単位でさかのぼって調べられる点が強みです。標的型攻撃の内部での横展開や内部不正の検知、侵入後の原因調査に向いています。

シグネチャによる既知攻撃の検知に加え、攻撃手口を体系化したMITRE ATT&CKにもとづく脅威ハンティング機能を備えます。料金は要お問い合わせで、デモの申請を受け付けています。

3. Eye”247″ Safety Zone(株式会社フーバーブレイン)

Eye"247" Safety Zoneのウェブサイト

株式会社フーバーブレインが提供する、端末向けのセキュリティソフトです。マルウェアの侵入を防ぐEPP(端末保護)と、不審な挙動を検知・対応するEDRの両方の機能を1つの製品に備え、検知エンジンにはBitdefenderと共同開発したものを採用しています。

アプリケーションの動作を常時監視する振る舞い検知や、機械学習ベースの検知により、未知の脅威にも対応します。ランサムウェア対策として、保護対象のファイルを自動でバックアップし、被害に遭った際に直近の状態へ復元する機能を標準で搭載している点も特徴です。

危険なWebサイトやフィッシングサイトの自動ブロックも備え、端末を起点とするランサムウェアや脆弱性を悪用した攻撃への対策を担います。料金は導入台数や契約期間に応じた個別見積もりで、要お問い合わせです。

4. Eye”247″ Spam Shield(株式会社フーバーブレイン)

Eye"247" Spam Shieldのウェブサイト

完全クラウド型のメールセキュリティサービスです。自社のメールサーバーの手前(クラウドゲートウェイ)でメールをフィルタリングし、標的型攻撃メールや迷惑メール、ウイルスメールがメールサーバーに届く前に遮断します。株式会社フーバーブレインが提供しています。

導入はMXレコード(メールの宛先を指定する設定)を変更するだけで、端末へのソフトウェアのインストールは不要です。自己学習型のAIによるフィルタリングで検知精度を更新し続ける仕組みを備えます。受信対策に加えて、自社からの迷惑メール送信を防ぐ送信側の対策や、DMARC・SPF・DKIMによるなりすまし対策にも対応しており、標的型攻撃メールやビジネスメール詐欺への備えとなります。

1ドメインあたり100メールアカウントまで対応し、1か月の無償トライアルを利用できます。料金は要お問い合わせです。

5. KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージ(株式会社SYNCHRO)

KATABAMI サイバーセキュリティ対策パッケージのウェブサイト

株式会社SYNCHROが提供する、サイバーセキュリティ対策を「予防・復旧・補償」の3本柱でまとめたパッケージ型のサービスです。脆弱性診断から有事の復旧、サイバー保険までを1つにまとめている点が、単機能の製品との違いです。

予防では、社内ネットワークの内部から月次(年12回)で脆弱性を診断し、改善策を提示します。復旧では、隔離した通信経路を通じてデータを自動バックアップし、有事の際の復旧に備えます。補償では、あいおいニッセイ同和損害保険のサイバー保険を自動で付帯します。

脆弱性を悪用した攻撃の予防と、ランサムウェアに遭った際の復旧の両面を支える構成です。

公式サイトでは「最短2週間で利用開始」「設置10分」と案内しており、料金は1台あたり月額1,250円からと、専任担当者を置きにくい中小企業でも導入を検討しやすい設計です。

バックアップを取っていても、そのバックアップ自体が攻撃の対象になる点について、北口氏は次のように述べています。

北口氏
株式会社SYNCHRO 取締役CMO
北口氏
独自インタビューより

現状、ランサムウェア攻撃を受けた企業のうち、約8割近くでバックアップデータも潰されていると、警察からも発表されています。バックアップ経路は通常のネットワーク上にあるため、ランサムウェアを仕掛けてきた攻撃者にもたどり着けてしまうものがほとんどだからです。

ここで取り上げた5製品は、各タイプの一例です。守る対象別のタイプごとに、より多くの代表サービスと選び方をまとめて比較したい場合は、以下の記事をご覧ください。

まとめ

2026年版の組織向け「情報セキュリティ10大脅威」では、ランサム攻撃とサプライチェーンを狙った攻撃が引き続き上位を占め、新たに「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選出されました。自社が守るべき資産や働き方に照らして、重点を置く脅威を見極めることが対策の出発点になります。

多くの脅威に共通して効くのは、脆弱性をふさぐこと、多要素認証でアカウントを守ること、復旧できるバックアップを備えることといった基本対策です。そのうえで、EDR・ネットワーク監視・メールセキュリティ・多要素認証・脆弱性診断といったソリューションを、自社に不足している領域から組み合わせていくと、少ない人手でも対策を前に進められます。各ソリューションの資料は、下記からまとめて請求できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 情報セキュリティ10大脅威とは何ですか?

A. 情報セキュリティ10大脅威とは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が、前年に社会的影響の大きかった事案をもとに毎年公表する代表的な脅威の順位表です。研究者や企業の実務担当者など約250名からなる「10大脅威選考会」の審議・投票を経て決定され、企業などを対象とした「組織編」と、一般利用者を対象とした「個人編」の2種類があります。

出典・参考資料(1件)

Q. 情報セキュリティ10大脅威の組織向けと個人向けは何が違うのですか?

A. 情報セキュリティ10大脅威の組織向けと個人向けの違いは、対象と、順位の付け方です。組織向け(組織編)は企業などの組織を対象に1位から10位まで順位を付けて公表されますが、個人向け(個人編)は順位を付けず、脅威名を五十音順で掲載します。企業が自社の対策を検討する際は、組織向けの脅威を参照します。

Q. 情報セキュリティ10大脅威の順位は、そのまま自社の対策の優先度と考えてよいですか?

A. 情報セキュリティ10大脅威の順位は、そのまま自社の対策の優先度を示すものではありません。順位は、前年の社会全体での被害の大きさや件数の傾向を反映した選考会の投票結果であり、重点を置くべき脅威は、自社が守るべき資産や働き方によって変わります。顧客情報を多く扱う企業は情報漏えい、Webサービスを提供する企業はDDoS攻撃というように、自社の事業に照らして優先度を考えることが大切です。

Q. 情報セキュリティ10大脅威の2025年版と2026年版は何が違いますか?

A. 情報セキュリティ10大脅威の2026年版では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が3位に初めて選出され、2025年版で10位だった「不注意による情報漏えい等」が10項目から外れました。1位のランサム攻撃による被害と、2位のサプライチェーンや委託先を狙った攻撃は両年版で順位が変わっていません。

また、地政学的リスクに起因するサイバー攻撃は7位から6位へ上がり、名称に「(情報戦を含む)」が加わっています。

出典・参考資料(2件)

Q. 中小企業は情報セキュリティ10大脅威の対策を何から始めればよいですか?

A. 中小企業は、多くの脅威に共通して効く基本対策——修正プログラムの適用による脆弱性への対処、多要素認証によるアカウント保護、改ざんされにくい形でのバックアップ——の3つから着手すると費用対効果が高くなります。警察庁の報告でも、ランサムウェアの侵入の多くは安易なID・パスワードや管理されていないアカウントが原因とされており、これらの基本対策は複数の脅威の入口を同時にふさぎます。

専任の担当者を置きにくい場合は、脆弱性診断・バックアップ・監視などを外部の専門サービスに任せ、少ない人手でも対策を継続する選択肢もあります。

出典・参考資料(1件)

Q. 情報セキュリティ10大脅威の対策は、どのソリューションを選べばよいですか?

A. 情報セキュリティ10大脅威の対策は、1つの製品で全てを守れるわけではなく、自社に不足している領域を見極めて複数の種類を組み合わせるのが基本です。

対策を担うソリューションは、端末を守るEDR・アンチウイルス、通信を監視するネットワーク監視・NDR、入口でだましを防ぐメールセキュリティ、アカウントを守る多要素認証・ID基盤、弱点を見つけ復旧に備える脆弱性診断・バックアップの5種類に大きく分けられます。

自社に足りていない領域を確認したうえで、該当する製品の資料を比較して選ぶとよいでしょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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