社内からの情報漏えいや不正行為への備えとして、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開している「組織における内部不正防止ガイドライン」を確認するよう求められる場面が増えています。2013年の初版公開以降、社会環境や法改正に合わせて改訂が重ねられ、2022年4月には第5版が公開されました。
ただ、本体は100ページを超えるPDFで、「結局、何が書かれているのか」を短時間で把握しづらいという声もあります。
そこで本記事では、ガイドラインの中身を、5つの基本原則、10の対策の観点(全33項目)、第5版での主な改訂点、付録の33項目チェックシートを使った自社点検と着手の進め方という順で整理します。あわせて、点検で見つかった未対応の項目を埋めるための社内セキュリティソリューションも紹介します。
目次
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内部不正防止ガイドライン(IPA)とは
「組織における内部不正防止ガイドライン」は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開している、組織が内部不正対策を実務でどう進めればよいかを体系的にまとめた文書です。内部不正防止の体制づくり、対策の具体的な進め方、関連する法律までを一通り押さえられるため、自社の対策を見直す際の拠り所になります。発行の経緯と全体の構成は、IPA自身が次のように説明しています。
IPAでは、このような背景から、企業やその他の組織において必要な内部不正対策を効果的に実施可能とすることを目的として2013年に「組織における内部不正防止ガイドライン」を作成し、2022年4月に改訂版第5版を公開しました。
出典:組織における内部不正防止ガイドライン|IPA
本ガイドラインは、内部不正防止の重要性や対策の体制、関連する法律などの概要を平易な文体で説明しており、「基本方針」「資産管理」「技術的管理」「職場環境」「事後対策」等の10の観点のもと、合計33項目からなる具体的な対策を示しています。
想定読者は実務の担当者だけでなく経営層も含まれます。内部不正が発覚すると、損害賠償や取引先からの信頼低下など事業経営に大きな影響が及ぶため、経営者が関与して防止の体制を整えることが重要だとされています。
公式ページの最終更新日は2025年5月19日ですが、この更新は問い合わせ先の部署名・メールアドレスの変更であり、ガイドライン本文が2025年に改訂されたものではありません。現在の最新版は2022年4月公開の第5版です。
内部不正防止の5つの基本原則
ガイドラインは、犯罪のしやすさ(機会)や動機を減らして犯行を未然に防ぐ「状況的犯罪予防」(Cornish & Clarke 2003)の考え方を内部不正に応用し、対策の土台として次の5つの基本原則を挙げています。個々の対策は、この5つの原則のいずれかを実現するための手段という位置づけです。
本ガイドラインは、状況的犯罪予防の考え方を内部不正防止に応用し、以下の5つを基本原則としています。
出典:組織における内部不正防止ガイドライン 第5版(PDF)|IPA
- 犯行を難しくする(やりにくくする):対策を強化することで犯罪行為を難しくする
- 捕まるリスクを高める(やると見つかる):管理や監視を強化することで捕まるリスクを高める
- 犯行の見返りを減らす(割に合わない):標的を隠したり、排除したり、利益を得にくくすることで犯行を防ぐ
- 犯行の誘因を減らす(その気にさせない):犯罪を行う気持ちにさせないことで犯行を抑止する
- 犯罪の弁明をさせない(言い訳させない):犯行者による自らの行為の正当化理由を排除する

たとえばアクセス権の制限や持ち出しの制御は「犯行を難しくする」、操作ログの取得やモニタリングは「捕まるリスクを高める」、データの暗号化は持ち出されても使えない状態にして「見返りを減らす」に当たります。
また、公平な人事評価や相談しやすい職場づくりは不満による動機を抑える「犯行の誘因を減らす」、就業規則や秘密保持誓約書によるルールの明文化・周知は「知らなかった」という言い訳を防ぐ「犯罪の弁明をさせない」につながります。後述する具体的な対策は、いずれもこの5原則のどれかを実現する手段です。
原則のうち「犯行の誘因を減らす」が示すように、そもそも従業員や退職者がなぜ内部不正に走るのかを、人が不正に向かう理由と組織側に残る穴の両面から押さえておくと、自社のどこを重点的に対策すべきかが見えやすくなります。
10の対策の観点と全33項目
第5版では、具体的な内部不正対策を「基本方針」から「組織の管理」まで10の観点に分け、その下に合計33項目の対策を示しています。各項目は対策の指針、どのようなリスクがあるか、対策のポイントの3点で構成され、何のための対策かと、実施しない場合のリスクがあわせて分かる形になっています。
本節では、組織内において具体的な内部不正対策を講じるために、以下の10の観点から必要な対策をできる限り網羅的に示します。(中略)これら10の観点のもと33項目の対策を示しています。
出典:組織における内部不正防止ガイドライン 第5版(PDF)|IPA
10の観点と、それぞれで求められる主な対策は次のとおりです。観点名はガイドライン本体および付録の内部不正チェックシートの見出しに基づきます(公式ページの概要では「技術的管理」のように一部を略した表記も使われています)。
| 10の対策の観点 | 1. 基本方針 | 2. 資産管理 | 3. 物理的管理 | 4. 技術・運用管理 | 5. 原因究明と証拠確保 | 6. 人的管理 | 7. コンプライアンス | 8. 職場環境 | 9. 事後対策 | 10. 組織の管理 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| この観点で求められる主な対策(例) | 内部不正対策が経営者の責任であることを示す基本方針を策定し、役職員に周知する | 重要情報の格付け・秘密指定、アクセス権の指定、異動・退職時のID・アクセス権の即時削除、共有IDの禁止と個別認証 | 入退室の管理、情報機器・記録媒体の管理、処分時のデータの完全消去 | 媒体の持ち出し管理、私物機器の制限、ファイル共有・オンラインストレージの利用制限、暗号化、ログ・証跡の保護 | 重要情報へのアクセス履歴・操作履歴のログ・証跡を、定めた期間、安全に保護する | 全役職員への教育と定期的な更新、雇用終了時の秘密保持誓約書、終了時の情報返却・ID権限削除 | 就業規則・懲戒手続の整備、秘密保持誓約書の要請 | 公平な人事評価、良好なコミュニケーション、単独作業の制限 | 影響範囲の特定と被害の最小化、通報制度の整備、処罰の検討と事例の内部告知 | 経営者による総括責任者の任命、管理体制と対策の承認、対策項目の定期的な確認と経営者への報告 |
※観点名・対策内容は第5版(2022年4月)に基づく。各観点に複数の具体項目があり合計33項目。
この10観点のうち、日々の運用で継続的な記録や手当てを伴い後回しになりやすいのが技術・運用管理、原因究明と証拠確保、人的管理の3つです。技術・運用管理では、誰がどのファイルを操作し、どの媒体に持ち出したかといった操作の記録を残すことが求められます。
原因究明と証拠確保では、万一の際に「いつ・誰が・何をしたか」をたどれるよう、アクセス履歴や操作履歴のログを一定期間、安全に保護しておくことが推奨されています。人的管理では、退職時のアカウント削除や秘密保持誓約書といった、退職者を経路とした漏えいを防ぐ対策が中心になります。
ここで求められる「操作の記録」であるPC操作ログが、USBメモリへの持ち出しやWeb閲覧まで具体的に何を記録でき、どう取得・確認するのか、運用上の注意点とあわせて次の記事で整理しています。
上の表は10観点ごとの代表的な対策をまとめたものです。各観点の下には複数の具体的な対策項目が置かれ、第5版では合計33項目になります(過去の版や一部の解説では「30項目」と記されることもありますが、現行の第5版は33項目です)。33項目それぞれの個別のチェック内容は、次に挙げる付録「内部不正チェックシート」に項目単位で載っており、自社点検ではこのシートが実物の一覧になります。
出典・参考資料(1件)
第5版(2022年4月)の主な改訂点
第5版は、テレワークの普及、雇用・人材の流動化、個人情報保護法や不正競争防止法の改正といった社会環境の変化を踏まえて改訂されました。IPAは主な改訂点として次の5つを挙げています。
出典:組織における内部不正防止ガイドライン|IPA
- 内部不正による情報漏えいが事業経営に及ぼすリスクについて経営者に向けたメッセージを強化
- テレワーク等の広がりによる、組織外での秘密情報の取扱増加に伴うリスクを低減する対策を追記
- 雇用の流動化による退職者増加がもたらすリスクを低減する人的管理の対策を追記
- セキュリティ技術の急速な進展とそれらを適用する時の個人情報に配慮した運用の在り方を追記
- 重要な法改正に伴う必要な対策の増補・強化
経営者向けメッセージの強化と法改正への対応に加えて、担当者の実務に直接関わるのが、次に挙げるテレワーク・退職者・AIモニタリングの3点です。
テレワーク環境への対応
社外で秘密情報を扱う機会が増えたことを受け、通信の暗号化やクラウドサービスのアクセス権限の管理、テレワーク環境でのログ取得と証拠確保といった対策が追記されました。第5版では、テレワークに関わる対策が付録として一覧化されており、在宅勤務を前提にした体制づくりの参照先になります。
テレワーク時の対策そのものを体系的に詰めたい場合は、総務省が公開している「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」が、やるべき対策を13分類で整理しています。その全体像と、自社で何をやればよいかは次の記事にまとめています。
退職者・人的管理の強化
雇用の流動化で退職者が増えたことを背景に、人的管理の対策が強化されました。ガイドラインは、営業秘密の漏えい経路のうち最も多いのが中途退職者であることを、次のように示しています。
独立行政法人情報処理推進機構(以下、「IPA」という。)の調査において、営業秘密の漏えいがあった企業での漏えい経路について「中途退職者(役員・正規社員)による漏えい(36.3%)」、「現職従業員等の誤操作・誤認等による漏えい(21.2%)」、「現職従業員等のルール不徹底による漏えい(19.5%)」「現職従業員等による金銭目的等の具体的な動機をもった漏えい(8.0%)」と報告されています。
出典:組織における内部不正防止ガイドライン 第5版(PDF)|IPA(数値の原典:企業における営業秘密管理に関する実態調査2020)
これを踏まえ、退職予定者が秘密保持誓約書の提出を拒否するケースを想定した対応や、退職前後のログ収集・解析による抑止などが対策として示されています。退職時のアカウント・アクセス権の即時削除と合わせて、人が入れ替わる局面での情報管理が重視されています。
AIによるふるまい検知を使うときの留意点
AIを使ったふるまい検知などのモニタリング技術が広がったことを受け、個人情報に配慮した運用の在り方が追記されました。チェックシートでは、AI監視機能の有効性を評価すること、そしてモニタリングの目的を従業員に正しく伝えることを、次のように求めています。
出典:内部不正チェックシート(Excel)|IPA
- モニタリングシステムが提供するAI監視機能等(例:ふるまい解析機能)の有効性を評価していますか?
- 従業員の行動や心身の状態のモニタリングの目的が、従業員の適正かつ健全な就業を支援し、従業員を内部不正から保護するためであることを、就業規則で広く周知していますか?
33項目チェックシートで自社を点検し、何から着手するか
ガイドライン本体を読むだけでなく、自社の対策がどこまでできているかを点検するところまで進めると、次の一手が見えてきます。第5版には、10観点・33項目に沿って現状を確認できる付録の内部不正チェックシートが用意されています。
公式資料(第5版PDF・概要資料・チェックシートExcel)の入手先
ガイドラインの本体・概要資料・チェックシートは、いずれもIPAの公式ページから無料で入手できます。まずは実物を入手して、本文とチェックシートを手元に用意すると点検に進みやすくなります。
出典・参考資料(4件)
チェックシート(Excel・33項目)の使い方
内部不正チェックシートは、10観点ごとに具体的なチェック項目が並ぶExcel形式の資料で、各項目が「できている/できていない」を確認しながら、自社の対策状況を項目単位で把握できます。
ガイドライン本体は第5版(2022年4月)のままで、この付録チェックシートのみ2023年10月30日に差し替えられています。古いファイルを保管している場合は最新版を取得し直すと確実です。まずはシートを一通り埋めて、未対応の項目を洗い出すところから始めると、何に手を付けるべきかが具体的になります。
まず着手したい、コストをかけずに始められる項目
33項目のすべてを一度に満たすのは現実的ではありません。専任担当者を置きにくい企業では、ツールの導入を伴わず、ルールや書面の整備で始められる項目から着手すると負担を抑えられます。チェックシートでは、たとえば次のような項目が挙げられています。
- 基本方針の策定:「内部不正の対策が経営者の責任であることを組織内外に示す『基本方針』を策定し、役職員に周知徹底していますか?」
- 秘密保持誓約書の要請:「役職員に対して重要情報を保護する義務があることを理解させるために『秘密保持誓約書』等を要請していますか?」
- 退職時のID即時削除:「情報システムを管理・運営する担当者は、異動又は退職により不要となった利用者ID及びアクセス権を、ただちに削除していますか?」
- アクセスログ・証跡の保護:「重要情報へのアクセス履歴及び利用者の操作履歴等のログ・証跡を定めた期間に従って安全に保護していますか?(推奨)」
出典・参考資料(1件)
基本方針の策定や秘密保持誓約書の整備は書面とルールで始められます。一方、アクセスログの取得・保護のように、ツールがあると実施しやすくなる項目もあります。
「監視」ではなく「組織と従業員を守る取り組み」として進める
操作ログの取得やモニタリングは、従業員に「監視されている」という印象を与えかねず、社内の理解を得にくい対策でもあります。この点についてガイドラインは、モニタリングの目的が従業員を内部不正から守り、適正な就業を支援するためであることを就業規則で広く周知するよう求めています。目的を明確にして周知することは、従業員の協力を得ながら対策を進めるための論拠になります。
点検の結果、ツールで補いたい項目が見えてきたら、関連する社内セキュリティソリューションの資料をまとめて取り寄せて比較検討できます。
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未対応項目を埋める社内セキュリティソリューション
チェックシートで「まだできていない」と分かった項目のうち、ログの取得・保護や退職者の情報持ち出しの確認といった対策は、ツールやサービスを使うと実施しやすくなります。ガイドラインの対策の観点に当てはめると、たとえば次のように整理できます。
- 技術・運用管理:PCの操作ログ(ファイル操作・外部媒体の使用・印刷・Web閲覧など)を記録し、「誰が・いつ・何をしたか」を後から追えるようにする
- 原因究明と証拠確保:社内ネットワークの通信や端末のログを記録・解析し、不審な通信や情報の持ち出しの痕跡を事後にさかのぼって調べ、電子的な証拠を保全する
- 人的管理:退職者を経路とした漏えいに備え、退職者のPCを解析して情報の持ち出しがなかったかを確認する
ここで取り上げる3サービスは、ログの取得・ネットワークの記録・端末の調査といった特定の対策に絞った例です。社内セキュリティ全体でどのようなタイプのソリューションがあり、守りたい対象別にどう選べばよいかを広く見比べたい場合は、次の比較記事が出発点になります。
ここからは、これらの対策に対応する社内セキュリティソリューションを紹介します。以下はご紹介するサービスの比較表です。
| サービス名 | Network Blackbox | Eye"247" Work Smart Cloud | CoWorker 端末侵害診断サービス |
|---|---|---|---|
| 主な記録・調査対象 | 社内ネットワークを流れる通信(パケット) | PCの操作ログ(ファイル操作・USB等の外部媒体・印刷・Web閲覧など) | 会社管理のPC(退職者・在籍者の端末)のログを解析し、情報の持ち出しや侵害の痕跡を調査 |
| 提供形態 | ネットワークにミラーリング方式で設置し通信を継続記録(提供形態は非公開) | クラウド(SaaS)。端末に導入し操作ログを継続記録 | スポット/定期実施の診断(専用ツールで収集→解析) |
| 対応する対策の観点 | 技術・運用管理/原因究明と証拠確保 | 技術・運用管理/原因究明と証拠確保 | 原因究明と証拠確保/人的管理 |
| 料金 | 要お問い合わせ(非公開) | 初期費用0円/月額400〜1,100円・1台(台数に応じた従量制、税別) | 台数に応じて変動(要見積もり) |
| 提供会社 | 株式会社クワッドマイナージャパン | 株式会社フーバーブレイン | CoWorker株式会社 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
1. Network Blackbox(株式会社クワッドマイナージャパン)

Network Blackboxは、社内ネットワークを流れる通信をパケット単位で損失なく収集・保存し、不審な通信やデータの外部持ち出しを検知・調査できるNDR(ネットワーク検出・対応)ソリューションです。開発元は韓国のQuad Miners Inc.で、日本では日本法人の株式会社クワッドマイナージャパンが提供しています。
公式ページは、シグネチャによる既知の攻撃の検知に加えて、ネットワーク上のユーザー行為をメタデータとして記録し、通常と異なる行為を検知する方式を挙げています。あわせて、送受信データを保存・分析してファイルや内容を復元する方式も備えるとしています。
保存した通信をさかのぼって調べられるため、外部からの侵入や内部の不審な通信、データの持ち出しなど、ネットワーク上に痕跡が残る事象の事後調査(フォレンジック)に向いています。EDR(端末での検知・対応)やSIEM(ログの集約・分析)とはSyslogやREST APIで連携する設計で、既存のセキュリティ製品を置き換えるのではなく補完する位置づけです。
一方で、ネットワークの通信に現れないエンドポイント単体の操作やクラウドサービスへの不正ログインの検知は対象外で、その領域はEDRやID管理の仕組みと組み合わせる前提です。料金は公式・代理店ともに公開されておらず、要お問い合わせとなっています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:Network Blackbox|Quad Miners(公式サイト)(2026年10月時点)
2. Eye“247” Work Smart Cloud(株式会社フーバーブレイン)

PCの操作ログから「誰が・いつ・どこで・どれだけ・何を操作したか」を記録・可視化するクラウド型サービスが、株式会社フーバーブレインのEye“247” Work Smart Cloudです。同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、導入実績は3,000社以上(2026年10月時点)とされています。
記録できるログは、指定した拡張子のファイル操作、USBなど外部記憶装置の使用履歴、印刷履歴、Web閲覧履歴、クリップボード操作など多岐にわたります。個人情報を含むファイルを検知して追跡する機能もあり、ガイドラインの「技術・運用管理」が求める操作ログの取得や媒体の持ち出し管理に対応します。取得したログは、万一の際に操作の経緯をたどる「原因究明と証拠確保」にも役立ちます。
料金は初期費用無料で、契約台数に応じた1台あたりの月額従量制です。100台以上の場合は月額400円から(税別)で、最低契約は5台となっています。14日間の無料トライアルが用意されており、導入前に操作性を確認できます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:料金|Eye“247” Work Smart Cloud(公式サイト)(2026年11月時点)
3. CoWorker 端末侵害診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker 端末侵害診断サービスは、会社が管理するPCを解析して、退職者が機密情報を個人のドライブやクラウドストレージへ持ち出していないか、在籍社員の支給PCがランサムウェア感染や内部不正に関わっていないかを調べるサービスです。
同社は、AIエージェント「Blue Agent」を用いて、端末のログを解析して挙動を調べるフォレンジック(デジタル鑑識)をAIで高速化しているとしています。
退職者のPCから情報の持ち出しがなかったかを確認する用途は、ガイドラインの「原因究明と証拠確保」や、退職者を経路とした漏えいを防ぐ「人的管理」に対応します。
運用面では、実行ファイルをオンラインで受け取り、ダブルクリックするだけで調査に必要なデータが自動収集され、そのデータをクラウド経由で送付すると同社側で解析する流れで、担当者の手間を抑える設計です。機密情報をクラウドに預けることに不安がある場合は、現地での対応にも応じるとしています。料金は診断する台数に応じて変わるため、要お問い合わせとなっています。
出典・参考資料(1件)
- 出典:端末侵害診断サービス|CoWorker株式会社(公式サイト)(2026年10月時点)
退職者のPCを対象とした調査が実際にどの程度求められているかについて、提供元のCoWorker株式会社は次のように述べています。

ありがたいことに、フォレンジックに関するご相談は徐々に増えてきています。多いのは、退職された方のPCから情報の持ち出しがなかったかを確かめたいという、内部不正の調査のご相談です。
まとめ
「組織における内部不正防止ガイドライン」は、状況的犯罪予防の考え方に基づく5つの基本原則と、10の観点・全33項目の具体的な対策で構成されています。第5版(2022年4月)では、テレワーク環境への対応、退職者を経路とした漏えいへの人的管理の強化、AIモニタリングの個人情報への配慮などが追記されました。
まずは公式の33項目チェックシートで自社の現状を点検し、基本方針の策定や秘密保持誓約書の整備など、コストをかけずに始められる項目から着手するのが現実的です。そのうえで、操作ログの取得・保護や退職者PCの調査など、ツールやサービスがあると実施しやすい項目については、ガイドラインのどの観点に対応するかを確認しながら、自社の未対応項目に合うソリューションの資料を取り寄せて比較検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 組織における内部不正防止ガイドラインとは何ですか?
A. 組織における内部不正防止ガイドラインとは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2013年に公開した、企業などの組織が内部不正対策を効果的に実施できるようにするための文書です。現在の最新版は2022年4月に公開された第5版で、状況的犯罪予防の考え方に基づく5つの基本原則と、10の観点・全33項目の具体的な対策で構成されています。
本文・付録のチェックシートともIPAの公式ページから無料で入手できます。
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Q. 内部不正防止ガイドラインの対策は30項目ですか、33項目ですか?
A. 内部不正防止ガイドラインの対策は、最新の第5版(2022年4月公開)では10の観点に分かれた全33項目です。各観点のもとに複数の具体項目が置かれ、合計で33項目になります。項目数を30などと記す情報も見られますが、自社点検に使う現行の付録「内部不正チェックシート」も10観点・33項目で構成されているため、33項目を基準に点検するのが確実です。
出典・参考資料(1件)
Q. 内部不正防止ガイドラインのチェックシートはどこで入手できますか?
A. 内部不正防止ガイドラインのチェックシートは、IPAの公式ページからExcel形式で無料でダウンロードできます。10観点・33項目に沿って「できている/できていない」を項目単位で確認でき、自社の未対応項目を洗い出すのに使えます。このチェックシートは2023年10月30日に差し替えが行われているため、以前のファイルを保管している場合は最新版を取得し直すと確実です。
出典・参考資料(1件)
Q. 内部不正防止ガイドラインの第5版では何が変わりましたか?
A. 第5版では、テレワーク環境での秘密情報の取り扱い対策、雇用の流動化による退職者増加に対応する人的管理の強化、AIによるふるまい検知を使う際の個人情報への配慮、重要な法改正への対応、そして経営者向けメッセージの強化が追記されました。
なかでも担当者の実務に直接関わるのは、通信の暗号化やクラウドのアクセス権管理などのテレワーク対策と、退職時のアカウント即時削除・退職前後のログ収集といった退職者対策です。
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Q. 内部不正防止ガイドラインに沿って、中小企業はまず何から着手すべきですか?
A. 専任担当者を置きにくい中小企業は、ツールの導入を伴わず、ルールや書面の整備で始められる項目から着手するのが現実的です。チェックシートでは、基本方針の策定、秘密保持誓約書の要請、異動・退職時の利用者ID・アクセス権の即時削除などが挙げられています。
まずチェックシートで未対応項目を洗い出したうえで、アクセスログの取得・保護のようにツールがあると実施しやすい項目へ段階的に広げると、負担を抑えながら対策を進められます。
Q. 内部不正防止ガイドラインの最終更新日が2025年5月19日ですが、内容が改訂されたのですか?
A. 2025年5月19日の更新は、ガイドライン本文の改訂ではなく、問い合わせ先の部署名・メールアドレスの変更によるものです。ガイドライン本文の最新版は2022年4月に公開された第5版のままで、5つの基本原則や10観点・33項目の内容が2025年に変わったわけではありません。公式ページの表示日付だけで新版が出たと判断せず、版数(第5版)で確認すると確実です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















