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エンドポイントセキュリティの導入|進め方6ステップと対策の種類・費用・選び方

エンドポイントセキュリティの導入|進め方6ステップと対策の種類・費用・選び方のサムネイル画像

テレワークやクラウドサービスの利用が広がり、守るべき端末はオフィスの中だけにとどまらなくなりました。社外に持ち出すパソコンやスマートフォンが増えるなかで、従来のウイルス対策ソフトだけで本当に守りきれるのか、不安を感じている企業は少なくありません。

そうした端末を狙った攻撃への備えが「エンドポイントセキュリティ」です。ただ、専任のセキュリティ担当者がいない場合、何から手を付け、どの対策を選び、導入後にどう運用すればよいのかが分かりにくいという声もよく聞かれます。

本記事では、エンドポイントセキュリティを自社の端末に導入する進め方を6つのステップで整理します。EPP・EDR・MDRといった対策の種類の違い、自社に合うサービスの選び方、費用の相場、導入後の運用体制までを順に解説するので、導入の全体像と最初の一歩をつかむための検討材料としてご活用ください。

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エンドポイントセキュリティ導入の進め方【6ステップ】

エンドポイントセキュリティの導入は、製品を選んで契約すれば終わりではありません。守る端末を把握し、必要な対策を決め、試してから広げ、運用の形を整える、という流れで進めると無理がありません。ここでは全体像を6つのステップに分けて解説します。

エンドポイントセキュリティ導入の進め方を6ステップで示した図解。STEP1 棚卸し(守る端末を洗い出す)、STEP2 要件定義(必要な対策と要件を決める)、STEP3 製品比較(候補を同じ基準で比較・選定)、STEP4 試験導入PoC(一部の端末で検証する)、STEP5 全社展開(対象端末を段階的に広げる)、STEP6 運用設計(監視・対応の形を整える)の順に矢印でつないだフロー図。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」も、対策の出発点を情報資産の洗い出しに置いています。

手順1 情報資産の洗い出し どのような情報資産があるか洗い出して重要度を判断する

出典:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

ステップ1:守る端末を棚卸しする

最初に行うのは、守る対象となる端末の洗い出しです。社員が使うパソコンだけでなく、サーバー、スマートフォン、タブレット、持ち出し用のノートパソコンまで、業務で使われている端末を一覧にします。

把握できていない端末は、対策から漏れて攻撃の入り口になりやすいためです。IPAのガイドラインも、資産管理台帳の作成から始めることを勧めています。

IT 資産管理は、単なるリスト作りや棚卸しではありません。事業を守るリスク管理であると同時に、資産の有効活用による業務効率化にもつながります。まずは『資産管理台帳(サンプル)』(付録6)を参考にして、一覧表や管理台帳の作成から始め、定期的な見直しを習慣化しましょう。

出典:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

台帳には、端末の種類・利用者・OS・設置場所などを記録しておくと、次のステップで必要な対策や対応OSを検討しやすくなります。

ステップ2:必要な対策と要件を決める

棚卸しができたら、自社に必要な対策の範囲を決めます。侵入を防ぐEPP(ウイルス対策を含む端末防御)だけで十分か、侵入された後に気づいて対応するEDRまで必要か、運用を自社で担えるか外部に任せるか、といった要件を整理します。各対策の違いは次章で詳しく解説します。

このとき、対応が必要なOS(Windows、macOS、スマートフォンのOSなど)、運用にかけられる人員、予算の上限もあわせて決めておくと、製品選びの軸が定まります。

ステップ3:製品を比較・選定する

要件が固まったら、候補となる製品・サービスを比較します。対象端末・検知の方式・運用のしやすさ・サポート体制・費用を同じ基準で見比べると、自社に合うものを絞り込めます。選び方の具体的な軸は自社に合うエンドポイントセキュリティの選び方で、費用の考え方は費用の相場と課金体系で解説します。

ステップ4:試験導入(PoC)で一部の端末から検証する

候補を決めたら、いきなり全社に入れず、まず一部の端末で試験導入(PoC)を行います。実際の業務環境で、検知の精度・誤検知の多さ・既存のソフトとの相性・端末への動作負荷を確認するためです。

この段階で管理画面の使い勝手や、アラートが出たときの対応の流れも試しておくと、全社展開後の運用イメージがつかめます。

ステップ5:全社へ展開する

試験導入で問題がなければ、対象端末を段階的に広げて全社展開します。部署や拠点ごとに順に入れていくと、トラブルが起きたときに影響範囲を抑えられます。展開時には、各端末へのインストール方法や、既存のウイルス対策ソフトからの切り替え手順も決めておきます。

ステップ6:運用設計で「入れて終わり」を防ぐ

導入後は、監視・アラート対応・定期的な見直しを続ける運用の形を決めます。エンドポイントセキュリティは、検知した後に誰がどう判断して対応するかを決めておかないと、効果が出ないためです。

IPAのガイドラインも、ウイルス対策ソフトの導入とあわせて、ログの取得と定期的なレビューを求めています。

情報機器及びシステムに関するログを取得し、異常を検知するため、定期的にレビューを行う 情報機器や情報システムに対する不審なアクセスを把握し、サイバー攻撃の予兆を検知して被害を防止するため、通信ログや認証ログを取得・保管するとともに、ログの改ざん防止を行った上で、定期的にレビューを行いましょう。

出典:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

自社で監視や夜間・休日の対応まで担えない場合は、運用を外部に任せる選択肢もあります。判断の仕方は自社運用と外部委託(MDR)の判断で解説します。

対策の種類(EPP・EDR・NGAV・XDR・MDR)の違いと導入メリット|導入判断の基礎

自社に必要な対策を見極めるには、エンドポイントセキュリティを構成する対策の種類を押さえておく必要があります。ここでは、導入を判断するうえで最低限知っておきたい用語の違いと、導入で得られる効果を整理します。

エンドポイントセキュリティとは・守る端末の範囲

エンドポイントセキュリティとは、ネットワークの末端(エンドポイント)にある端末を、サイバー攻撃から守る対策の総称です。守る対象は、社員のパソコンやスマートフォン、タブレットに加え、社内外のサーバーも含みます。

社外に出入りする端末が増え、社内と社外の境界を守るだけでは防ぎきれなくなったため、端末そのものを守る考え方が重視されるようになりました。

EPP・EDR・NGAV・XDR・MDRの役割の違い

エンドポイントセキュリティには、役割の異なる複数の対策があります。大きく分けると、侵入を防ぐもの(EPP・NGAV)、侵入された後に気づいて対応するもの(EDR・XDR)、運用を人に任せるもの(MDR)に整理できます。

エンドポイントセキュリティの対策の種類と守る段階の関係を示した図解。侵入される前の防御はEPPとNGAV、侵入された後の検知・対応はEDRとXDRが担う。MDRは侵入の前後をカバーする外部委託で、検知・対応の運用を技術と専門家の体制で代行する。侵入を防ぐ対策と侵入後に対応する対策を組み合わせる多層防御が基本。

このうちEDRについては、IPAのガイドラインに公的な定義があります。

EDR(Endpoint Detection and Response)ネットワークに接続されたパソコンやサーバー、スマートフォンなどの端末機器に侵入したウイルスやランサムウェアなどのサイバー攻撃を検出し、管理者に通知する技術です。

出典:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版(用語集)|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

EPP(Endpoint Protection Platform)は、端末に侵入しようとする脅威を検知して防ぐことを目的とした製品で、従来型のウイルス対策ソフトやNGAVもこれに含まれます。NGAV(次世代アンチウイルス)は、パターンファイルの照合だけに頼らず、未知のマルウェアも検出して防ぐソフトです。

XDR(Extended Detection and Response)は、EDRの監視範囲を端末の外側へ広げ、ネットワークやクラウド、メールなども横断して脅威を検知・対応します。

MDR(Managed Detection and Response)は、これらの製品を使った検知・対応の運用を、技術と専門家の体制で代行するサービスです。それぞれの役割を整理すると、次の表のようになります。

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種類EPP(ウイルス対策を含む)NGAV(次世代アンチウイルス)EDRXDRMDR
役割端末への脅威の侵入を防ぐ(事前の防御)パターン照合に頼らず未知のマルウェアも検出して防ぐ侵入後の不審な挙動を検知し、調査・対応を支援する端末に加えネットワーク・クラウド・メール等も横断して検知・対応する検知・対応の運用を技術と専門家の体制で代行する
主に防ぐ段階侵入される前侵入される前侵入された後侵入された後侵入の前後(運用全般)
位置づけ端末保護の土台高度化したEPPの一種EPPと併用する事後対応EDRの監視範囲を拡張製品ではなく運用の外部委託

※各対策の一般的な役割を整理したものです。用語の範囲や搭載機能はベンダーにより異なります。

ただし、EPP・NGAV・XDR・MDRには公的な日本語定義が定まっておらず、上記はセキュリティベンダーの公式資料に基づく整理です。NGAVという名称自体がベンダーごとに定義の異なる俗称である点にも注意が必要です。

出典・参考資料(3件)

なぜ併用(多層防御)が必要か

侵入を防ぐEPPだけでは、巧妙化する攻撃をすべて止めきれないことがあります。そのため、侵入を防ぐ対策と、侵入された後に気づいて対応する対策を組み合わせる「多層防御」が基本になります。

すでに対策を導入している企業でも、それをすり抜ける攻撃は現場の課題として認識されています。サイバーセキュリティ対策を手がける株式会社SYNCHROの北口氏は、対策済みの企業から寄せられる相談について次のように語っています。

北口氏
株式会社SYNCHRO 取締役CMO
北口氏
独自インタビューより

すでに対策をされている企業の場合は、UTM(ファイアウォール機能付きルーター)やアンチウイルスソフト、EDR、NDRなどが導入されています。ただ、それらが適切に機能しているかどうかは、やはりチェックしたくなるものです。すり抜けてきたウイルスの被害や、ファイアウォールが無効化されてエンドポイントに攻撃が届くような事例も増えていますので、現状の対策がどの程度機能しているかを客観的に診断したい、というニーズが多いです。

背景には、サイバー攻撃に関連する通信が増え続けている状況があります。情報通信研究機構(NICT)が観測した通信量は、2025年に過去最多を記録しました。

2025 年は,1 IP アドレスあたり年間約 250 万のパケットが観測され,観測開始以降で最多となり,増加傾向が引き続き確認されました。

出典:NICTER観測レポート2025|情報通信研究機構(NICT)サイバーセキュリティ研究所

これはダークネット(使われていないIPアドレス)で観測された通信の量で、自社に対する攻撃数そのものではありませんが、攻撃を試みる通信が増え続けている傾向を示す指標の一つです。侵入をゼロにし続けるのは難しいという前提に立ち、侵入された後に素早く気づいて対応できる備えが重要になります。

この「侵入後の検知・対応」を担うEDRについては、ネットワーク通信を監視して脅威を検知するNDR(Network Detection and Response)との違いも論点になります。EDRとNDRの違いや、端末とネットワークのどちらの層から整備すべきかを比較した記事もあるので、さらに具体的に見比べたい方はあわせてご覧ください。

導入で得られる効果(メリット)

エンドポイントセキュリティを導入する効果は、大きく3つに整理できます。1つ目は、未知のマルウェアやランサムウェアといった、従来のウイルス対策だけでは防ぎにくい脅威への対応力が高まることです。

2つ目は、万が一侵入を許しても、EDRによって不審な挙動を検知し、被害が広がる前に対応できることです。3つ目は、どの端末で何が起きたかを管理画面で把握できるようになり、担当者が状況を確認しやすくなることです。

こうした備えが必要とされる背景には、ランサムウェアによる被害が組織にとって最大の脅威であり続けている現状があります。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの脅威の1位が「ランサム攻撃による被害」で、11年連続11回目の選出となりました。

出典・参考資料(1件)

自社に合うエンドポイントセキュリティの選び方

製品を比較するときは、自社の環境と運用体制に照らして判断軸を定めると選びやすくなります。ここでは、特に確認しておきたい3つの観点を解説します。

対象端末・OS・必要な機能で絞り込めているか

まず、自社で使っている端末のOSに対応しているかを確認します。Windowsだけでなく、macOSや業務で使うスマートフォンのOSに対応しているかは、製品によって差があります。

そのうえで、ステップ2で決めた要件に照らし、侵入を防ぐEPPで足りるのか、侵入後の検知・対応を行うEDRまで必要なのかで候補が変わります。ランサムウェア対策としてファイルの自動バックアップが必要かなど、具体的な機能の要否も、この段階で洗い出しておきます。

既存環境との相性・管理画面・アラート運用は無理がないか

すでに使っているソフトや基幹システムと併用できるか、端末の動作が重くならないかは、試験導入で確認したい相性の問題です。特に、既存のウイルス対策ソフトと新しい製品を同時に動かすと不具合が出ることがあるため、切り替えか併用かの方針も決めておきます。

加えて、管理画面で検知状況を把握しやすいか、アラートが出たときに誰がどう対応するかを運用に落とし込めるかも重要です。検知の精度が高くても、通知が多すぎて対応しきれなければ、見逃しにつながります。

サポート体制と費用対効果が見合っているか

専任の担当者がいない企業ほど、導入時の設定支援や、インシデント発生時のサポートが受けられるかが選定の決め手になります。電話・メール・リモートでの支援の範囲や対応時間を確認しておきましょう。

費用については、守りたい端末の数と必要な機能に対して、価格が見合っているかという視点で判断します。検知・対応の運用まで自社で担うのが難しい場合は、運用を含むサービスとの総額で比べると、実態に近い比較ができます。

エンドポイントセキュリティの費用相場と課金体系

エンドポイントセキュリティの費用は、守る端末の台数に応じた課金が基本です。1端末あたりの月額または年額で料金が決まり、台数が増えるほど1台あたりの単価が下がるボリュームディスカウントを設けている製品もあります。

公開されている価格の例としては(2026年11月時点)、端末向けのセキュリティソフトで1ライセンスあたり年額4,200円程度から利用できます(Deep Instinct、国内代理店の公開価格)。Microsoft 365 E5に含まれる統合製品では、ユーザー1人あたり月額8,995円からという水準です(Microsoft Defender XDR、年払い)。

端末の侵害を事後に調べる診断型のサービスは、常時使うソフトのサブスクリプションではなく、診断1回ごとに端末1台あたりの単価で費用が決まります。たとえばCoWorkerの端末侵害診断サービスは1台あたり定価50万円程度(税別)で、台数に応じて単価が下がります。常時使う製品型とは費用の考え方が異なる点に注意が必要です。

出典・参考資料(3件)

一方で、多くの製品は料金を公開しておらず、導入台数や契約期間に応じた個別見積もりとなっています。正確な金額は、候補を絞ったうえで各社から見積もりを取るのが確実です。

中小企業では、IT導入補助金などの公的な補助制度で導入費用の一部をまかなえる場合もあります。対象となる製品や要件は年度ごとに変わるため、利用を検討する際は最新の公募要領を確認してください。

費用を比べるときは、ソフトのライセンス料だけでなく、導入時の初期費用や、運用を外部に任せる場合のサービス料も含めた総額で見ることが大切です。具体的な費用感は、記事後半のエンドポイントセキュリティ製品の比較と選択肢でサービスごとに確認できます。

導入でよくある失敗と回避策

エンドポイントセキュリティは、導入そのものよりも、導入後に効果を出し続けることが難しい対策です。ここでは、つまずきやすい点と、その回避策を整理します。

アラートが多すぎて対応が追いつかない

EDRを導入すると、不審な挙動の通知が多く上がることがあります。誤検知を含めて通知が増えると、対応しきれずに重要な警告を見逃す、いわゆるアラート疲れに陥りがちです。

回避策は、試験導入の段階で自社の環境に合わせて検知の設定を調整し、通知の優先度を決めておくことです。対応しきれない場合は、運用を外部に任せる選択肢(MDR)も検討します。

「入れただけ」で運用が形だけになる

検知の通知が上がっても誰も確認しない、ログは取っているが見返していない、といった状態になると、導入した対策は形だけになり、侵害に気づけません。「入れたこと」で安心してしまうのが落とし穴です。

回避策は、ステップ6の運用設計を導入前に固めておくことに加え、導入後も未対応の通知が溜まっていないかを定期的に点検し、運用が回っているかを確認することです。

既存のウイルス対策ソフトからの移行でつまずく

すでに別のウイルス対策ソフトを使っている場合、新しい製品をそのまま追加すると、二重に動いて不具合が出ることがあります。基本は、既存のソフトを停止・削除してから新しい製品に切り替えます。

回避策は、試験導入で切り替えの手順と動作を確認し、全社展開の際に端末ごとの移行手順を用意しておくことです。切り替えのタイミングで保護が途切れないよう、順序を決めて進めます。

自社運用と外部委託(MDR)の判断

導入後の運用を自社で担うか、外部に任せるかは、導入検討の段階で決めておきたい論点です。EDRやXDRは、検知した後に人が判断して対応してこそ効果を発揮するため、その体制を用意できるかが分かれ目になります。

自社で運用する場合は、検知内容を確認して対応を判断する担当者に加え、夜間や休日に攻撃を受けたときに動ける体制が必要です。専任のセキュリティ担当者がいない企業にとっては、ここが大きな負担になります。

運用を自社で抱えきれない場合は、MDRという選択肢があります。MDRは、技術と専門家の体制で検知・対応の運用を代行するサービスです。

MDR(マネージド検知・対応)は、テクノロジーと人間の専門知識を組み合わせて脅威ハンティング、モニタリング、対応を実行することで、脅威の影響を迅速に特定して抑制するサイバーセキュリティサービスです。

出典:MDR(Managed Detection and Response)とは|CrowdStrike

自社運用と外部委託は、どちらかに固定するものではありません。まずは自社で運用し、手が回らない範囲だけを外部に任せる、といった組み合わせも可能です。自社の人員・対応時間・予算を踏まえ、無理なく続けられる形を選びます。

運用の外部委託(MDR)を具体的に検討する場合は、代行してもらえる範囲や課金の単位、24時間監視の中身でサービスを比較した記事が、委託先選びの参考になります。

エンドポイントセキュリティ製品の比較と選択肢

ここからは、導入の候補となる製品・サービスを見ていきます。侵入を防ぐ端末向けセキュリティソフト、侵入後の検知・対応を担うEDR・XDR、そして端末がすでに侵害されていないかを調べる診断サービスまで、守り方の異なる選択肢を同じ基準で比較します。

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サービス名Eye「247」 Safety ZoneCoWorker 端末侵害診断サービスCrowdStrike FalconSentinelOne(Singularity Platform)Trend Vision OneMicrosoft Defender XDRPalo Alto Cortex XDRFFRI yaraiDeep Instinct
提供会社株式会社フーバーブレインCoWorker株式会社CrowdStrike, Inc.SentinelOne, Inc.トレンドマイクロ株式会社日本マイクロソフト(Microsoft)パロアルトネットワークス株式会社FFRIセキュリティDeep Instinct Ltd.
検知の方式EPP+EDR一体型(端末向けセキュリティソフト)端末侵害診断(AI+専門家による事後フォレンジック)NGAV+EDR/XDR(単一エージェント統合)EPP+EDR/XDR(単一エージェント統合)EPP+EDR/XDR(統合プラットフォーム)EDR/XDR(複数のDefender製品で有効化)EPP(NGAV)+EDR/XDR(単一エージェント統合)NGAV(ふるまい検知5エンジン)+EDR標準搭載予防特化型(ディープラーニングNGAV、実行前に阻止)
対象端末(対応OS)Windows・Windows Server・macOSWindows・Mac(最大100台まで一括診断)Windows・macOS・Linux/モバイル(Android・iOS)Windows・macOS・LinuxPC・サーバー・モバイル等(マルチOS)Windows・macOS・Linux・Android・iOSPC・サーバー(オンプレ・クラウド横断)Windows・Windows ServerのみWindows・macOS・Linux・Android・iOS・Chrome OS
運用支援(MDR・運用代行)導入設定〜駆除を電話・メール・リモートで支援(運用代行の記載なし)診断・解析・報告まで専門家が実施(速報1週間・最終1か月以内)MDR(Falcon Complete)・24時間365日の脅威ハンティングありMDR(Wayfinder)ありMDR(Managed XDR/Service One)ありMDR(Defender Experts、別売り・現状英語のみ)国内SIer経由のマネージドXDRありMDR(FFRI yarai Managed Service、70ライセンス〜)あり自社MDRなし(国内はCTCが24時間365日の保守・運用を提供)
費用の目安要問い合わせ(導入台数・契約期間による個別見積もり)診断1台あたりの単価制(定価50万円/台・税別、台数に応じて割引)月額7.99米ドル〜/台(海外公式のFalcon Go。国内価格は要問い合わせ)要問い合わせ(公式非開示)要問い合わせ(TrendAI Flexのクレジット制、価格非公開)Microsoft 365 E5に含む(¥8,995/ユーザー/月・年払い〜)ほか要問い合わせ(Prevent/Proとも非公開)要問い合わせ(1年更新のサブスクリプション)代理店(LANSCOPE)公開価格 年額4,200円/ライセンス〜
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※対応OS・費用などは各社の公開情報に基づく整理です(2026年11月時点)。費用は非公開のものを「要問い合わせ」と記載し、公開・参考価格も時点や提供形態により変わります。最新の詳細は各サービスの公式情報・資料でご確認ください。

このなかから、タイプごとの代表例として、常時端末を保護する端末向けセキュリティソフトと、すでに侵害されていないかを点検する診断サービスを個別に紹介します。守り方の異なる2つを取り上げることで、導入する製品と、現状を確認する手段の両面から検討できます。

Eye“247” Safety Zone(株式会社フーバーブレイン)

Eye“247” Safety Zone の公式サイト

Eye“247” Safety Zoneは、侵入を防ぐEPPと、侵入後の検知・対応を行うEDRを1つにまとめた端末向けセキュリティソフトです。株式会社フーバーブレインが提供し、検知エンジンにはBitdefenderと共同開発したものを採用しています。

アプリケーションの動作を常時監視する振る舞い検知で不審な動きを捉え、ランサムウェア対策としてファイルを自動でバックアップし、直近のバックアップから復元する機能を備えています。各端末の状況はブラウザ上の管理画面で一元的に確認でき、PCの資産管理としても使えます。専任のセキュリティ担当者を置きにくい中堅・中小企業での利用を想定したサービスです。

CoWorker 端末侵害診断サービス(CoWorker株式会社)

CoWorker 端末侵害診断サービス の公式サイト

CoWorker株式会社の端末侵害診断サービスは、常時動くソフトではなく、対象のパソコンがすでに侵害されていないかを後から調べる診断サービスです。退職者のPCからの情報持ち出しの確認、在籍社員の支給PCの定期的なチェック、生成AIの利用環境の調査という3つのメニューを提供しています。

自社開発のAI「Blue Agent」が端末のログを短時間で解析し、その結果をセキュリティの専門家が精査する二段構えで、マルウェア感染や情報の持ち出しの痕跡を調べます。速報は1週間以内、最終レポートと報告会は1か月以内に提供されます。導入済みのセキュリティ製品を入れ替えなくても、現状を点検する手段として使えるのが特徴です。

同社がこのサービスを開発した背景には、従来のフォレンジック調査が抱えていた費用と対応のタイミングの課題があります。CoWorker株式会社の一ノ瀬氏は、次のように語っています。

一ノ瀬氏
CoWorker株式会社 Sales Manager
一ノ瀬氏
独自インタビューより

フォレンジックはこれまで、1台あたり100万円から200万円ほどの費用がかかり、専門家も少ないという課題がありました。そこにAIの発達が組み合わさって、高速化・低価格化が実現できるようになったことが、このサービスを開発した大きなきっかけです。従来のフォレンジックは、何か大きな問題が起きてから重い腰を上げて対応するというイメージが強かったのですが、問題がまだ小さいうちに、より簡易でスピーディーに診断できるものが必要だと考えました。あわせて、攻撃者側もAIを使ってランサムウェアを高速化させていますので、年に1回ではなく、より定期的な診断が不可欠になってきているという背景もあります。

ここではエンドポイントを守る製品を中心に取り上げましたが、エンドポイント以外の社内セキュリティ対策も含めて全体像から比較検討したい場合は、守る対象別にソリューションのタイプと代表サービスを整理した次の記事が出発点になります。

まとめ

エンドポイントセキュリティの導入は、守る端末の棚卸しから始め、必要な対策を決め、試験導入で検証してから全社に広げ、運用の形を整える、という流れで進めると無理がありません。製品を選ぶときは、対応OSと必要な機能、既存環境との相性、サポート体制と費用を同じ基準で見比べることが大切です。

侵入を防ぐEPPと、侵入後に気づいて対応するEDRを組み合わせる多層防御が基本となり、運用を自社で担えない場合はMDRという選択肢もあります。まずは自社の端末と運用体制を踏まえて要件を整理し、候補となるサービスの資料を見比べるところから始めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. エンドポイントセキュリティとは何ですか?

A. エンドポイントセキュリティとは、パソコンやスマートフォン、サーバーなどネットワークの末端にある端末を、サイバー攻撃から守る対策の総称です。

社外に持ち出す端末が増え、社内と社外の境界だけを守る従来の考え方では防ぎきれなくなったため、端末そのものを守る対策として重視されるようになりました。侵入を防ぐEPPや、侵入された後に検知・対応するEDRなど、役割の異なる複数の技術で構成されます。

Q. エンドポイントセキュリティの導入にはどのくらいの費用がかかりますか?

A. エンドポイントセキュリティの費用は、守る端末の台数に応じた1台あたりの月額・年額が基本で、多くの製品は料金を公開しておらず、導入台数や契約期間に応じた個別見積もりになります。

比較するときは、ソフトのライセンス料だけでなく、導入時の初期費用や、運用を外部に任せる場合のサービス料を含めた総額で見ることが大切です。また、端末の侵害を事後に調べる診断型のサービスは、常時使うソフトのサブスクリプションではなく、診断1回ごとに端末1台あたりの単価で費用が決まる形が一般的です。正確な金額は、候補を絞ったうえで各社から見積もりを取るのが確実です。

Q. エンドポイントセキュリティの導入から運用開始までどのくらいの期間がかかりますか?

A. エンドポイントセキュリティの導入期間は、製品や対象端末の規模によって幅があります。一例として、対象が数十台程度なら数週間、全社規模では2〜3か月程度を見込んでおくと、スケジュールを組みやすくなります。端末の棚卸しから要件定義・製品比較・試験導入(PoC)・全社展開・運用設計までを順に踏むため、対象が少なければ短く、多いほど長くなります。

特に試験導入では、実際の業務環境で検知の精度や既存ソフトとの相性を確認する期間が必要です。スケジュールを組むときは、全社展開後に運用の形を定着させる期間もあわせて見込んでおくと無理がありません。

Q. エンドポイントセキュリティはEPP・EDR・MDRのどれを選べばよいですか?

A. 侵入を防ぎたいならEPP、侵入された後の検知・対応まで備えたいならEDR、その運用を自社で担えないなら外部委託のMDR、という形で自社に必要な範囲に合わせて選びます。

EPPとEDRは役割が異なるため、どちらか一方ではなく組み合わせる多層防御が基本です。端末の外側(ネットワークやクラウド、メールなど)まで横断して守りたい場合はXDRが選択肢になりますが、運用には高いスキルが求められるため、まずはEDRから始めて段階的に広げる進め方もあります。

EDRやXDRは検知した後に人が判断して対応してこそ効果が出るため、その体制を用意できない場合は運用ごと任せるMDRを検討します。

Q. エンドポイントセキュリティはEDRがあればEPPは不要ですか?

A. EDRがあってもEPPは必要で、両者は併用するのが基本です。

EPPは脅威が侵入する前に防ぐ事前対策、EDRは侵入された後の不審な挙動を検知して対応する事後対策で、役割が異なります。どちらか一方だけでは、防げたはずの脅威を取りこぼしたり、防ぎきれなかった脅威に気づけなかったりするリスクが残ります。EPPで侵入をできるだけ減らし、すり抜けた脅威にEDRで対応する、という組み合わせで守りを厚くするのが基本的な考え方です。

Q. 既存のウイルス対策ソフトは、エンドポイントセキュリティと併用すべきですか、置き換えるべきですか?

A. 端末防御(EPP)の機能が重複する場合は、既存のソフトを停止・削除してから新しい製品に置き換えるのが基本です。

同じ役割のウイルス対策ソフトを2つ同時に動かすと、二重に動いて不具合が出ることがあるためです。一方、既存のウイルス対策はそのままに、侵入後の検知・対応を担うEDRを足すような、役割が重ならない組み合わせは併用できます。置き換える場合は、試験導入で切り替えの手順と動作を確認し、保護が途切れないよう端末ごとに順序を決めて進めます。

Q. エンドポイントセキュリティは試験導入(PoC)をしてから全社に入れた方がよいですか?

A. いきなり全社に入れず、まず一部の端末で試験導入(PoC)を行ってから全社展開することをおすすめします。

実際の業務環境で、検知の精度・誤検知の多さ・既存ソフトとの相性・端末への動作負荷を確認できるためです。あわせて管理画面の使い勝手や、アラートが出たときの対応の流れも試しておくと、全社展開後の運用イメージがつかめ、「入れただけ」で効果が出ない失敗を防げます。

Q. 中小企業でもエンドポイントセキュリティ(EDR)の導入は必要ですか?

A. 専任のセキュリティ担当者を置きにくい中小企業こそ、エンドポイントセキュリティの導入が有効です。

ランサムウェアによる被害は組織にとって最大の脅威であり続けており、IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、組織向けの脅威の1位が「ランサム攻撃による被害」で11年連続の選出となっています。専任者を置けない場合でも、運用を外部に任せるMDRを使えば、限られた人員で検知・対応の体制を整えられます。

出典・参考資料(1件)

Q. エンドポイントセキュリティの運用は、自社と外部委託(MDR)のどちらがよいですか?

A. 検知内容を判断して対応する担当者と、夜間・休日も動ける体制を自社で用意できるかが分かれ目で、用意が難しい場合は外部委託(MDR)が向いています。

両者は固定の二択ではなく、自社で運用しつつ、手が回らない部分だけを委託する組み合わせも選べます。自社の人員・対応時間・予算に合わせて、無理なく続けられる形を選びましょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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