領収書の写真が申請に上がってきたら、金額と日付が合っているか、社内規程の上限を超えていないか、同じ領収書がもう一度出ていないかを1件ずつ確かめます。件数が数百に達する月末は、この確認だけで数日が消えていきます。
経費精算システムの「AI搭載」という表示は、この負担を減らす手がかりに見えます。ところが製品によって、AIが読み取るところまでなのか、申請内容のチェックまで引き受けるのか、仕訳や一次承認まで代わりにやるのかが違います。同じ「AI搭載」でも、自社の月末が軽くなる製品とそうでない製品に分かれます。
本記事では、AI機能を公式に掲げる20のサービスを、AIが担う工程の深さで3つのタイプに分けて比較します。読み取り精度を数値で公表しているのは、このうち3サービスだけです。AIの判断が外れたときに何が起きるか、誤読を人が直した記録が残るかも、公式にどこまで書かれているかを製品ごとに並べました。自社の申請業務に合う製品を絞り込む材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合うサービスを最短で見つけられるよう、30秒で終わる選定診断ツールもご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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AI搭載の経費精算システムとは?AIが担うのは入力・チェック・仕訳・承認のどこか
AI搭載の経費精算システムとは、領収書の読み取りや申請内容の確認といった、これまで人が手を動かしていた工程の一部を機械学習の技術で肩代わりする経費精算システムを指します。どの工程を肩代わりするかは製品ごとに違い、そこが選定の分かれ目になります。
本記事では、経費精算の流れを入力・チェック・仕訳・承認の4つの工程に分けて見ていきます。この4工程は、後半のタイプ分類・比較表・診断ツールでも同じ軸として使います。

申請から会計連携までの流れのどこにAIが入るのか
経費精算は、申請者が領収書の内容を入力して申請するところから始まります。上長が承認し、経理が社内規程との整合や証憑の不備を確認して、勘定科目と税区分を決めた仕訳データを会計システムへ渡し、最後に証憑を保存します。この一連の流れのうち、どこにAIが入るかで製品の性格が決まります。
入り口に近いほど、導入している製品が多くなります。領収書の読み取りはほぼすべての製品が備えている一方、申請内容の判定まで踏み込む製品は限られ、仕訳や一次承認まで扱う製品はさらに少なくなります。
ここから、4つの工程それぞれで何が起きるのかを見ていきます。
領収書の読み取りと入力を自動化する(AI-OCR)
撮影された領収書の画像から、日付・金額・取引先名などを読み取って申請フォームに書き込む工程です。読み取る項目は製品によって幅があり、日付と金額だけのものから、税率ごとに区分した合計額や適格請求書発行事業者の登録番号まで拾うものまであります。
読み取る項目が少ないと、申請者が残りを手で埋めることになります。「AI-OCR搭載」という表示だけでは入力がどこまで減るかは分からないため、読み取り対象の項目まで確認しておくと、導入後の落差を避けられます。
申請内容の不備・規程違反・二重申請を自動でチェックする
読み取ったデータや申請者が入力した内容を、社内規程や制度の要件に照らして判定する工程です。判定の対象になるのは、宿泊費や交際費の上限超過、領収書の添付漏れ、同じ領収書が別の申請で出ていないか、登録番号が実在する事業者のものか、といった項目です。
判定が走るタイミングにも違いがあります。申請者が申請ボタンを押した時点でその場に指摘が出る製品もあれば、承認へ回った後にまとめて検査する製品もあります。前者は差し戻し自体を減らし、後者は承認者と経理の確認作業を減らします。
注意したいのは、チェック機能があること自体と、そのチェックをAIが行っていることは別だという点です。あらかじめ設定した条件に当てはめるルールベースの判定でも、上限超過や必須項目の未入力は検知できます。製品ページで「AI」と書かれているのがどの機能かを見ておくと、実際の判定の幅を見誤らずに済みます。
勘定科目を判定して仕訳データを作る
読み取った取引先名や内容から勘定科目・税区分を推定し、会計システムへ渡す仕訳データを組み立てる工程です。過去の仕訳の傾向から候補を提示するものと、あらかじめ登録した条件で機械的に振り分けるものがあります。
推定した科目をそのまま確定させる製品は多くありません。候補を出して申請者や経理が選ぶ形が一般的で、その場合は科目を考える手間は減っても、確認する工程は残ります。どこまでを確定として扱うのか、後から直したときに元の値が残るのかは、製品ごとに違います。
一次承認・差し戻しを代行する
申請を全件検査し、不備がなければAIが一次承認まで実行し、不備があれば理由を添えて申請者へ差し戻す工程です。人が承認画面を開く回数そのものを減らすことを狙った作りで、扱える製品はまだ限られます。
この工程まで任せる場合、AIが承認したという記録が後からたどれるかが確認点になります。誰が何を根拠に承認したのかを説明できない状態は、社内の統制の面でも監査対応の面でも不安が残ります。承認の履歴がどこに、どの粒度で残るのかを、導入前に確かめておく必要があります。
「AI-OCR」「生成AI」「AIエージェント」は何が違うのか(製品説明の言葉を読み分ける)
ここまで見た4つの工程を、どの世代のAIが担っているのか。製品ページにはAI-OCR・生成AI・AIエージェントといった言葉が並びますが、指している技術の層が違います。

従来のOCRとAI-OCRの違い
OCR(光学的文字認識)は、画像の中の文字をテキストに変換する技術です。従来のOCRは、読み取る位置をあらかじめ指定した帳票の決まった枠から文字を拾う使い方が中心でした。
AI-OCRは、機械学習によって書式が定まっていない帳票からも項目を判別できる点が違います。領収書はレイアウトが店舗ごとにばらばらで、印字の濃さも折れ方もそろわないため、位置指定の方式では扱いにくい書類でした。この性質がAI-OCRと相性のよい理由です。
ただし、AI-OCRが行うのは画像からテキストを取り出すところまでです。取り出した金額が社内規程の範囲内かどうかは、次の層の判断になります。
生成AI・LLMが加わると何ができるようになるか
大規模言語モデル(LLM)を使う生成AIが加わると、文章として書かれた社内規程と申請内容を突き合わせる処理が扱えるようになります。「接待の参加者に社外の人が含まれる場合は氏名と会社名を記載する」といった規程の条文を読み、申請の記載がそれを満たしているかを判定する、といった使われ方です。
数値の大小や必須項目の有無で書ける条件は、生成AIを使わなくても判定できます。生成AIが効くのは、条件を数式や設定項目に落としきれない判断で、申請理由の妥当性や、規程の文言に照らした過不足の指摘がこれにあたります。
AIエージェントと従来の経費精算システムの違い
AIエージェントは、与えられた目的に対して必要な手順を自分で組み立てて実行するところが、これまでの2層と違います。経費精算では、申請を全件検査して不備の有無を判断し、問題がなければ承認へ進め、あれば理由を書いて差し戻す、という一連の動作を人の操作を挟まずに行う形です。
従来の経費精算システムも、条件分岐を設定すれば承認を自動化できました。違いは判断の主体にあります。条件分岐は人が書いたルールのとおりに動きますが、AIエージェントは規程を解釈して個々の申請に当てはめます。そのぶん、判断の根拠を後から確認できる仕組みが要ります。
また、この層の機能は経費精算システム本体ではなく別製品として提供されている場合があります。他社の経費精算システムにも接続できる独立したサービスとして売られていることもあるため、本体の標準機能なのか、追加で契約するものなのかは製品ごとに確認が要ります。
では、この層を提供している側は、AIエージェントに実際に何をさせているのか。株式会社マネーフォワードは、次のように話しています。

AI技術への注力という点では、昨年から一部ユーザーに対しAIエージェントを提供開始しています。AIが、申請の不備がないかをチェックし、領収書や請求書を自律的に収集します。
ChatGPTなどの汎用AIで経費精算のチェックは代替できるか
汎用の生成AIに領収書の画像を渡せば、金額や店舗名を読み取ることはできます。申請理由の文章を整えたり、経費の扱いについて一般的な考え方を尋ねたりする使い方も現実的です。
一方で、経費精算に求められるのは読み取りだけではありません。承認の記録を残し、証憑を検索できる形で保存し、会計システムへ仕訳を渡すところまでが業務です。汎用AIとのやり取りには、承認履歴も証憑の保存要件も検索機能も伴いません。
証憑の保存については、電子帳簿保存法が検索機能の確保を求めています。電子取引のデータ保存では、取引年月日その他の日付・取引金額・取引先を検索の条件として設定できることが要件とされています。
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に当たり、以下の要件を満たす検索機能を確保する必要があります。
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月)問48|国税庁
⑴ 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること。
⑵ 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
⑶ 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。
汎用AIは、専用システムの代わりというより、専用システムが扱わない場面を補う道具として位置づけるほうが実態に合います。
AIの読み取り精度はどこまで信頼できるか(誤読が起きたときの扱い)
製品ページには「高精度」という言葉がよく並びます。ここでは、公表されている数値をどう読めばよいのか、公表がないときに何を代わりに見ればよいのか、そして読み取りが外れたときに何が起きるのかを整理します。
公式が公表している読み取り精度と、その測定条件の読み方
本記事で取り上げた20サービスのうち、読み取り精度を数値で公表しているのは3サービスだけでした。残る17サービスは、公式サイトに精度の数値がありません。
しかも、公表されている3つの数値は同じものを測っていません。数値が高い2つは、AI-OCRが読み取った後にオペレーターが目視で確認・補正した最終的なデータ化精度で、AI単体の数値ではないと提供元自身が説明しています。残る1つはAI-OCRの読み取りについての数値ですが、そちらのほうが低く見えます。
人の確認を含めた値と含めない値が、同じ「精度」という言葉で並んでいるということです。どの製品が何を公表しているかは、比較表の「読み取り精度の公式公表」列に並べました。
数値が動く理由のひとつが何を1件と数えるかです。総務省が自治体向けにまとめたガイドブックには、同じ帳票を対象にした同じ検証で、数え方を変えると数値が変わることを示す記録があります。
2018年度の共同研究において、つくば市の帳票(20帳票)の正読率は文字単位で93.41%、項目単位で89.11%。行政分野で使われる申請書等の文字判読について、約9割の読取効果を確認した。
出典:自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(令和7年12月・第4版)事例18|総務省
文字を1件と数えれば93.41%、項目を1件と数えれば89.11%になります。1つの項目に含まれる文字のうち1文字でも外せば、その項目は誤りとして数えられるためです。読み取り精度の数値は、何を1件と数えたか、どんな帳票を対象にしたかが示されていなければ、数値どうしを比べられません。
あわせて注意したいのが、電子帳簿保存法の「4ポイントの大きさの文字を認識することができること」という要件です。これは読み取り精度の基準に見えますが、対象が違います。
国税関係書類のスキャナ保存に当たり、JIS X6933に準拠したテストチャートについては、JIS X6933における4ポイントの文字及びISO図形言語が100パーセント認識できる設定で入力しなければなりません。
出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和8年7月)問39|国税庁
ここでいう「認識できる」は、保存した画像を人がディスプレイや印刷で読み取れるかという見読性の話であって、AI-OCRがテキストを正しく抽出できるかという話ではありません。画像の品質については公的な基準がある一方、AI-OCRの抽出精度に同じような公的基準は見当たらないのが現状です。
数値が公表されていないこと自体は、読み取りが弱いことを意味しません。測定条件を示せない数値を出さない判断もあり得ます。数値の有無で優劣を決めるより、次に述べる「精度が出なかったときにどうなるか」を見るほうが、導入後の実感に近づきます。
精度が出ないときの補い方(オペレーター入力の併用など)
読み取りが外れる領収書は必ず出ます。感熱紙の印字がかすれていたり、折り目が文字に重なっていたり、手書きの但し書きが入っていたりするためです。問題は外れるかどうかではなく、外れた分をどう埋めるかにあります。
先ほどの総務省のガイドブックには、読み取れなかった分の扱いについても記録があります。「読み取りの精度は95%程度。読み取れない画像については、その画像のみがピックアップされて画面に表示される。それを人が見てテキストを入力する」という運用です。読み取れなかったものを人の手元に集める設計が、実務では効きます。
経費精算システムでも、同じ発想の補い方がいくつかあります。1つは、読み取り結果を申請者が確認・修正する画面を必ず挟む形です。もう1つは、サービス提供側のオペレーターが目視で入力・補正まで代行する形で、この場合は公表されている精度がAI単独の数値ではなく、人の確認を経た最終的な数値であることがあります。
オペレーター入力を使う場合、依頼した領収書が返ってくるまでに日数がかかります。翌営業日までに返る製品もあれば、1回の依頼で1枚までという制限がある製品もあり、締め日の直前にまとめて使えるとは限りません。料金の入り方は「AI機能つきの経費精算システムは料金がどう変わるか」で扱います。
AIの判断が外れたときに何が起きるか
読み取りだけでなく、規程違反や二重申請の判定も外れることがあります。とくに誤検知が起きやすいのが、適格請求書発行事業者の登録番号を照合する処理です。
登録番号の照合先である国税庁の公表サイトには、事業者の氏名または名称が登録どおりに表示されます。ところがレシートには屋号が印字されていることが多く、両者が一致しない場面がふつうに起きます。国税庁はこの点について次のように示しています。
この点、本サイトは、取引先から受領した請求書等に記載されている登録番号が取引時点において有効なものかを確認するために利用されるものであるため、その登録番号の有効性が確認できれば、一義的には有効な適格請求書等として取り扱うこととして差し支えありません(注)。
出典:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和8年5月改訂)問21-2|国税庁
名称の不一致がそのまま無効を意味するわけではない、ということです。自動チェックが「要確認」を返したときに、人がその意味を判断できる形で提示されるかが、運用の負担を左右します。
消費税額の突合でも同じことが起きます。適格請求書に記載する消費税額等の端数処理は「一の適格請求書につき、税率ごとに1回」と定められており、明細ごとに計算した消費税額の合計を記載することは認められていません。明細の積み上げと書類上の税額が一致しないのは正常な状態で、これを不整合として拾えば誤検知になります。
そして、AIが読み取った値や判定を人が直したときに、直した事実と直す前の値が残るか。ここは制度の側からも水準が示されています。国税庁は、訂正または削除の履歴の確保を満たすシステムの例として次を挙げています。
① 電磁的記録の記録事項に係る訂正・削除について、物理的にできない仕様とされているシステム
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月)問39|国税庁
② 電磁的記録の記録事項を直接に訂正又は削除を行った場合には、訂正・削除前の電磁的記録の記録事項に係る訂正・削除の内容について、記録・保存を行うとともに、事後に検索・閲覧・出力ができるシステム
直す前の値を残すだけでは足りず、後から探して見られる状態までが求められています。
ところが、読み取りや判定が外れたときにどう直すのかを公式サイトで説明している製品は、20サービスのうち11でした(修正の手順・オペレーターによる補正・警告の出し方・確信度による分岐のいずれかに具体的な記載があるものを数えています)。残る9サービスは、修正の動線にも判定が外れたときの扱いにも記載がありません。さらに、直した履歴がどう残るかまで説明していたのは1サービスだけです。
精度の数値と同じく、公表されていないこと自体が製品を絞る材料になります。比較表の「誤読・確信度が低いときの扱い」列で、公式に何が書かれているかを確かめてください。
AI搭載の経費精算システムを導入するメリット
AI機能に期待が集まるのは申請者側の入力ですが、月末に工数が集中しているのは確認する側です。ここでは、申請する側と確認する側で何がどう変わるのかを分けて見ていきます。
申請者側で減る手間
領収書を撮影すると日付・金額・取引先が入った状態で申請画面が開くため、打ち込む項目が減ります。金額の桁を打ち間違える、日付を前月のまま送ってしまうといった入力起因の差し戻しも、同時に減っていきます。
申請時点でその場に指摘が出る製品では、変化はもう一段大きくなります。上限を超えた申請や添付漏れがその場で分かるため、数日後に差し戻されて記憶をたどりながら直すという往復がなくなります。申請者にとっては、入力が速くなること以上にこちらの効果が実感されやすい部分です。
申請者の負担がどこまで軽くなるかは、撮影から申請までをスマートフォンだけで終えられるかにも左右されます。スマホでの操作性や無料で使える範囲を軸に候補を見たい場合は、以下の記事で主要なアプリの対応状況を比較しています。
経費精算アプリおすすめ比較16選|スマホ完結・無料枠・会計ソフト連携で選ぶ
「外出先で受け取った領収書を、そのままスマホで撮影して申請したい」「毎月の交通費を手入力する作業をなくしたい」——経費精算をめぐるこうした悩みは、スマホアプリの活用で軽減できます。 近年の経費精算アプリは、領収書をカメラで撮るだけでAI-O…
承認者・経理側で減る手間
承認者と経理の負担は、1件あたりの作業が重いというより、締め日の前後に件数が集中することから来ています。そこに差し戻しと再確認の往復が重なります。
自動チェックが効くのはこの部分です。規程違反や添付漏れ、二重申請が申請の段階でふるい落とされていれば、承認者が目を通すのは判断が必要なものだけになります。一次承認まで代行する製品なら、承認画面を開く回数そのものが減ります。
効き方を分けるのは、判定が申請の時点で走るのか、承認へ回った後に走るのかです。申請時点で指摘が出れば差し戻しそのものが減り、承認後に検査する仕組みなら承認者と経理が目を通す件数が減ります。読み取りの自動化だけを備えた製品では、申請の中身を1件ずつ見る作業がそのまま残ります。
AI機能つきの経費精算システムは料金がどう変わるか
AI機能が料金にどう反映されるかは、製品によって扱いが分かれます。基本料金に含まれる製品もあれば、オプションとして別に課金される製品もあり、後者では利用量に上限が設けられていることもあります。
オプション扱いの場合、課金の単位は主に2つです。1つは利用人数あたりの月額で、1ユーザーにつき月額100円といった形で加算されます。もう1つは読み取り枚数で、年間で読み取れる枚数の枠を月額いくらで買う形です。前者は全社に展開するほど積み上がり、後者は領収書の枚数が多い企業ほど効いてきます。
基本料金に含まれる製品でも、利用量の上限が設定されている場合があります。10IDにつき領収書の読み取りは月100回まで、といった形で、超過分は有償のオプションになります。月あたりの領収書の枚数を先に見積もっておくと、この上限が自社に足りるかを判断できます。
オペレーターによる入力代行を併用する製品では、そこにも費用が発生します。1枚あたりで課金される製品もあれば、上位プランでは無制限に使える製品もあり、どの規模から後者が有利になるかは申請件数によって変わります。
また、料金を非公開とし問い合わせで案内する製品も複数あります。大企業向けに個別の要件で構成する製品に多く、公開されている料金だけで候補を絞ると、こうした製品が最初から外れてしまいます。
公開されている金額の入り方は製品によって分かれ、利用人数の帯ごとに定額を置くものと、1ユーザーあたりの単価を積み上げるものがあります。実額は比較表の「初期費用」「月額費用」「AI機能の追加料金」列に並べました。自社の利用人数に近い記載があるかを確かめ、記載がない規模であれば、その規模での見積もりを資料請求時に依頼してください。
自社に必要なのはどのタイプか(AIが担う範囲で分ける3タイプ)
本記事で取り上げる20サービスを、AIがどの工程まで担うかで3つに分けます。分ける基準は、公式がAIの機能として説明しているものに置いています。機能そのものは備えていても、提供元がAIとして説明していないものは深さに数えていません。
| 特徴 | 向いている企業 | 該当する主なサービス | 詳細 | |
|---|---|---|---|---|
| 入力を自動化するタイプ | AI-OCRが領収書の日付・金額・取引先などを読み取り、申請フォームを自動で埋めます。規程違反のチェックや自動仕訳を備える製品もありますが、提供元がそれをAIとして説明していないものはこの型に含めています | 申請者の入力負担が課題の中心で、規程が比較的シンプルな企業。既存のワークフローや会計ソフトとの組み合わせを優先したい企業 | 楽楽精算、ハーモス経費、Concur Expense、ジンジャー経費、ジョブカン経費精算、invox経費精算、経費BANK、BIZUTTO経費、rakumo ケイヒ、WiMS/SaaS経費精算システム、PCA Hub 経費精算 | 比較表を見る |
| チェックまで引き受けるタイプ | 入力の自動化に加えて、社内規程違反・二重申請・記載不備・適格請求書の要件充足を、申請時点または承認前にAIが判定します | 経理の目視確認と差し戻しが月末に集中している企業。交際費・宿泊費の上限や参加者の記載など、規程に沿った確認項目が多い企業 | Bill One経費、弥生経費 Next、マネーフォワード クラウド経費、SAPPHIRE、ジュガール経費精算 | 比較表を見る |
| 仕訳・一次承認まで任せるタイプ | さらに勘定科目・税区分の自動仕訳や、不備がなければ一次承認まで実行し、あれば理由を添えて差し戻す工程まで扱います | 申請件数が多く、承認者と経理の工数そのものを削りたい企業。仕訳まで含めて会計システムへ渡す流れを一本化したい企業 | バクラク経費精算、freee経費精算、TOKIUM経費精算、Spendia | 比較表を見る |
※各タイプの区分は、提供元が公式にAIの機能として説明している範囲にもとづいています。個別の機能の搭載状況・提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
20サービスのうち11が入力を自動化するタイプに入ります。「AI搭載」と掲げる製品でも、提供元がAIの機能として説明しているのは入力の自動化までというものが最も多いのが現状です。
ここで1つ補足があります。この3つの分け方は、提供元がAIの機能として説明している範囲で分けたものです。入力を自動化するタイプに入る製品の中にも、規程違反の警告や二重申請の検知、自動仕訳を備えているものがあります。ただしそれらは、あらかじめ設定した条件に沿って判定する仕組みとして説明されており、提供元は「AI」とは呼んでいません。
確認作業を減らしたいだけであれば、判定がAIかどうかは本質ではありません。機能そのものの有無は、比較表の「AIが担う工程」列とその注記で確認してください。この分類は「提供元がどこまでをAIと呼んでいるか」を見るためのもので、自社の規程が複雑で条件を書ききれない場合にはじめて、AIと明示されている製品との差が効いてきます。
逆に、AIの搭載範囲を条件にせず、料金や既存システムとの相性から経費精算システム全般を見比べたいという場合もあります。その場合は、AI機能の有無を問わず主要な製品を料金・機能・使いやすさで横並びにした以下の記事をご覧ください。
領収書の入力を自動化して申請の手間を減らすタイプ
AI-OCRによる読み取りを中核に据えたタイプです。読み取る項目は製品ごとに幅があり、日付・金額・取引先の3項目にとどまるものから、税率ごとの合計額や適格請求書発行事業者の登録番号まで拾い、国税庁の公表データと照合するものまであります。
このタイプの製品にも、上限超過のアラートや自動仕訳を備えるものがあります。ただし提供元がそれをAIとして説明していない場合、判定はあらかじめ設定した条件に沿ったものと考えるほうが実態に近くなります。設定した条件から外れる申請の判断は人に残るため、規程の運用が複雑な企業では確認の手間が思ったほど減らないことがあります。
一方で、既存のワークフローや会計ソフトと組み合わせて使いやすい製品が多く、料金の選択肢も広い層です。AI-OCRをオプションとして必要な部署だけに付けられる製品もあります。
申請内容のチェックまでAIが引き受けるタイプ
読み取った内容や申請者の入力を、社内規程や制度の要件に照らして判定するところまで扱うタイプです。判定の対象は製品によって幅がありますが、上限超過・添付漏れ・二重申請・登録番号の有効性といった項目が中心になります。
判定が走るタイミングを確認しておくと、効果の出方を見積もれます。申請ボタンを押した時点で指摘が出る製品では差し戻し自体が減り、承認へ回った後に検査する製品では承認者と経理の確認が減ります。どちらの工数を減らしたいのかで、同じタイプの中でも向き不向きが分かれます。
判定項目の一覧をどこまで公開しているかは製品によって差があります。自社の規程で実際に判定させたい項目をいくつか挙げてから問い合わせると、比較が進めやすくなります。
仕訳や一次承認までAIに任せられるタイプ
勘定科目・税区分の判定や、承認そのものまで踏み込むタイプです。申請を全件検査して不備がなければ一次承認まで実行し、あれば理由を添えて差し戻す製品もあります。
ここで確認しておきたいことがあります。今回の20サービスのうち、本体の標準機能として一次承認の自動実行まで公式に掲げているのは1サービスだけでした。ほかは、他社の経費精算システムにも接続できる独立したサービスとして別に提供されているか、仕訳までを担う範囲にとどまります。別製品であれば、契約も料金も本体とは別になります。先行提供の段階で一部の利用企業にだけ開かれている機能もあります。
したがってこのタイプを見るときは、承認まで本体で担うのか、別製品を組み合わせる前提なのかを製品ごとに確かめてください。別製品との組み合わせになる場合は、料金の確認も本体だけでは足りません。
もう1つは、承認の記録の残り方です。AIが承認した申請について、何を根拠に通したのかを後からたどれるかは、内部統制の観点で確認が要ります。承認フローの履歴にAIの判定結果が残る作りになっているかを、導入前に確かめておいてください。
AI搭載の経費精算システムの選び方
タイプで範囲を絞ったら、次は自社の条件に当てはめて候補を1つに寄せていきます。前章までに挙げた観点を、自社の申請量・規程・既存システムに照らすとどうなるかを見ていきます。
自社の申請量と領収書の状態に対して、読み取り精度と誤読時の運用が要件を満たすか
出発点になるのは、月あたりの申請件数と領収書の枚数です。ここが読み取りの上限やオプション料金に直結します。あわせて確認しておきたいのが、上がってくる領収書の性質です。感熱紙のレシートが中心か、宿泊や交通の請求書が多いか、手書きの領収書が混じるかで、読み取りが外れる割合は変わります。
そのうえで決めておきたいのが、読み取りが外れた分を誰が埋めるのかです。申請者に修正させるなら修正画面の分かりやすさが、オペレーター入力に頼るなら1枚あたりの費用と返ってくるまでの日数が締め日に間に合うかが、それぞれ確認点になります。件数が多い企業ほど、この差が月末の余裕に効いてきます。
精度の数値が公表されていない製品が大半である以上、読み取りの実力は自社の領収書で確かめるほかありません。無料トライアルや試用の場が用意されているなら、次の手順で確かめると、社内で共有できる数字になります。
- 直近1か月に実際に申請された領収書から、30〜50枚を選びます。感熱紙のレシート、折り目のあるもの、手書きの但し書きが入ったもの、宿泊や交通の請求書を、自社の実際の比率どおりに混ぜてください
- 読み取り結果の正誤を項目ごとに数えます。日付・金額・取引先名・税率ごとの金額・登録番号のどれが外れたかを分けて記録してください
- 1枚のうち1項目でも外れたものを「手直しが要る枚数」として数えます。文字単位で数えると実感より高い数字になり、月末の手間を見誤ります
- 外れた分を直すのに何分かかったかを測ります。修正画面までの導線と、直した内容が履歴に残るかも、ここであわせて確かめてください
同じ50枚を複数の製品に通せば、公表値の有無にかかわらず横並びで比べられます。試用の期間と枚数の上限は製品によって違うため、申し込み前に確かめておいてください。
自社の承認フロー・社内規程を再現できるか
確認点になるのは、金額や部門による承認ルートの分岐、多段階の承認、代理承認といった運用が、そのまま設定できるかどうかです。ここが再現できないと、システムの外で例外運用が発生し、AIの判定も効かなくなります。
規程に沿った判定を期待する場合は、自社の規程のどの条項までを判定に反映できるかが焦点になります。金額の上限のように数値で書ける条件はほとんどの製品で扱えます。一方、参加者の属性や利用目的といった文章で書かれた条件をどこまで扱えるかは製品差が大きいため、自社の規程から実際に判定させたい条項をいくつか挙げて確認するのが確実です。
会計ソフト・法人カード・交通系ICと連携できるか
読み取りと判定で浮いた工数が、転記作業で戻ってきては意味がありません。使っている会計ソフトへ仕訳データをどの形式で渡せるか、その受け渡しに手作業が挟まらないかが確認点になります。
法人カードの利用明細や交通系ICカードの履歴を取り込めるかも、件数の削減に直結します。明細を自動で取り込めれば、領収書の読み取りという工程自体が発生しません。カード払いの比率が高い企業ほど、この連携の有無が実感に響きます。
また、こうした明細データをクラウドサービス経由で受け取る形は、電子帳簿保存法上の電子取引に当たります。取り込み方と保存の要件は次章で扱います。
交通費は、経路の検索や定期区間の控除など、領収書の読み取りとは別の仕組みで処理される費目です。ICカードの履歴の取り込み方や定期区間の自動控除まで詰めて確認したい場合は、以下の記事で各サービスの対応状況を扱っています。
電子帳簿保存法・インボイス制度の対応範囲が、自社の証憑の受け取り方と合っているか
制度対応は「対応済み」の一言では判断できません。紙の領収書を撮って保存するのか、メールやサイトから受け取ったデータを保存するのかで、満たすべき要件が変わるためです。要件そのものは次章で整理します。
選定の場面で先に必要なのは、自社に上がってくる証憑の内訳の把握です。紙が中心なのか、PDFやWeb明細が中心なのか、両方が混ざるのか。そのうえで、検討中の製品がどちらの保存に対応しているかを突き合わせることになります。JIIMA認証を手がかりにする場合も、認証の種別まで見る必要があります。
対応できる規模と、導入・定着のサポート体制
見ておきたいのは、利用人数の下限・上限、拠点や部門をまたぐ運用に耐えるか、権限の設計がどこまで細かくできるかです。少人数向けの料金体系が有利に見えても、拠点が増えると設定の作り込みが追いつかないことがあります。
導入時の設定支援と、稼働後の問い合わせ窓口も判断材料になります。AI機能を使う製品では、判定の条件を自社の規程に合わせて詰める作業が初期に発生します。ここを自社だけで進めるのか、提供元が伴走するのかで、稼働までの期間が変わります。
資料請求・商談で確かめておきたいこと
ここまで見てきたとおり、AIの実力に関わる部分は公式サイトに書かれていないことが少なくありません。公開情報で埋まらない差は、資料請求と商談で埋めるしかありません。そのまま使える確認項目を挙げておきます。
- 自社の領収書を持ち込んで試せるか。枚数と期間の上限はどれくらいか
- 読み取る項目は具体的に何か。税率ごとの金額と適格請求書発行事業者の登録番号は読むか
- 読み取れなかったとき、確信度が低いときに何が起きるか。人に回るのか、そのまま申請が通るのか
- 読み取り結果を後から直した場合、直す前の値と直した事実が残るか。それを後から検索して取り出せるか
- 二重申請と上限超過は、どういう条件で検知するか。自社の規程の条項をいくつか渡して、判定できるかを確かめる
- その判定は、あらかじめ設定した条件によるものか。設定は自社で変更できるか
- 自社の利用人数での月額はいくらか。AI機能に追加料金や読み取り件数の上限があるか
- JIIMA認証があるなら、その種別はスキャナ保存か電子取引か、あるいは両方か
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3つのタイプのどれに当てはまるか判断が難しい場合は、以下の診断をお使いください。30秒で自社の状況に合うサービスを絞り込めます。
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【比較表】AI搭載の経費精算システム20選を比較
ここからは、20サービスをタイプ別に並べて横並びで比較します。AIが担う工程・読み取り精度の公表状況・誤読時の扱いに加えて、月末の確認作業に直結する二重申請の検知と上限超過・規程違反の検知、自社の領収書で読み取りを試せる無料トライアル、料金と制度対応を並べました。
「AIが担う工程」の欄には、提供元が公式にAIの機能として説明しているものだけを記載しています。機能そのものがあるかどうかは、二重申請・上限超過の2列で確認してください。この2列は、判定があらかじめ設定した条件によるものかどうかも括弧で添えています。
【タイプ別比較表】領収書の入力を自動化して申請の手間を減らすタイプ
| サービス名 | 楽楽精算 | ハーモス経費 | Concur Expense | ジンジャー経費 | ジョブカン経費精算 | invox経費精算 | 経費BANK | BIZUTTO経費 | rakumo ケイヒ | WiMS/SaaS経費精算システム | PCA Hub 経費精算 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供元 | 株式会社ラクス | 株式会社ビズリーチ | 株式会社コンカー | jinjer株式会社 | 株式会社DONUTS | 株式会社invox | SBIビジネス・ソリューションズ株式会社 | アルプス システム インテグレーション株式会社 | rakumo株式会社 | 株式会社ソリューション・アンド・テクノロジー | ピー・シー・エー株式会社 |
| 初期費用 | 100,000円(税抜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円 | 0円 | 100,000円(税抜) ライトパック(30名以下)は無償 | 0円 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 30,000円〜(税抜) 利用従業員数に応じて変動。人数帯ごとの金額は公式に記載なし | 50名 29,000円/100名 41,000円/150名 53,000円/200名 65,000円/500名 137,000円/1,000名 237,000円(税別) 公式料金ページに50名刻み・1,000名までの料金表 | 要問い合わせ 人数帯ごとの金額は公式に記載なし | 1ユーザー 300円〜(税別) 最低利用人数・人数帯ごとの金額は公式に記載なし | 1ユーザー 400円(税抜) 最低利用料金 月5,500円(税込)。機能制限つきの無料プランあり | 基本料金 1,980円〜(税込2,178円、ミニマム)/9,800円(ベーシック)/29,800円(プロフェッショナル) +当月に精算した1ユーザー 300円(税込330円)。最低利用人数は公式に記載なし | 10ID 3,000円〜(税抜) 契約単位は10ID。10IDを超える規模の金額は公式に記載なし | 1ユーザー 250円〜(3〜30名のライトパック)/400円(31名以上、税抜) 標準プランの最少契約は10名。2年目以降は半額 | 1ユーザー 300円(税別) 1名から利用可。別途Google WorkspaceまたはMicrosoft 365の有料契約が必要 | 要問い合わせ 公式サイトに料金ページがなく、人数帯ごとの金額は公式に記載なし | 10名 6,600円/30名 19,800円/50名 33,000円/100名 66,000円/200名 121,000円/300名 165,000円 公式ランディングページには500名 247,500円の例も掲載 |
| AI機能の追加料金 | オプション 料金は要問い合わせ | 基本プランに含む | 要問い合わせ | 基本料金に含む | オプション 1ユーザー 100円(税別) | 基本料金に含む アクティブユーザー数×30件/月まで | オプション 領収書AI-OCR 月額2,000円〜(税抜、年間1,200枚が目安) | 基本料金に含む | 基本料金に含む | 要問い合わせ | 基本料金に含む 10IDにつき領収書100回/月まで。超過分は有償オプション |
| AIが担う工程 | 入力 ※承認まわりのAI機能(申請レビューAI・適格請求書チェックAIなど)は公式に「本機能は開発中であり内容は変更になる可能性があります」と記載。AIエージェントによる申請作成・社内ルール適合性の確認はβ版(2025年12月1日提供開始) | 入力 ※二重申請アラート・定期区間の自動控除は搭載。公式にAIの記載なし | 入力 ※経費規程のポリシーチェックは搭載。公式にAIの記載なし | 入力 ※規程違反チェック・自動仕訳は搭載。公式にAIの記載なし | 入力 ※上限超過アラート・入力漏れチェックは搭載。公式にAIの記載なし | 入力 | 入力 ※規程違反・登録番号の自動チェックは搭載。公式にAIの記載なし | 入力 ※勘定科目の自動割り当てを含む自動仕訳は搭載。公式にAIの記載なし | 入力 | 入力 ※承認画面の評価アイコンは判断を助ける表示。公式にAIの記載なし | 入力 ※部署ごとの予算超過チェックは搭載。公式にAIの記載なし |
| 読み取り精度の公式公表 | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし | 公表なし |
| 誤読・確信度が低いときの扱い | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 利用者が直した内容を学習して判定に反映 修正手順の詳細は公式に記載なし | 申請画面で編集・修正できる | 公式に記載なし | 登録番号が無効な場合は警告メッセージを表示 オペレーター入力の可否は公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 二重申請の検知 | あり(設定した申請ルールによる判定) | あり(判定方式は公式に記載なし) 二重申請アラート | 公式に記載なし 法人カード連携により二重申請を防ぐとの記載のみ | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 上限超過・規程違反の検知 | あり(設定した申請ルールによる判定) 申請ルール違反や二重申請チェック機能で承認時のチェックを効率化と公式に記載 | 公式に記載なし | あり(設定した経費規程による判定) 申請時にリアルタイムでポリシーチェック | あり(設定した経費規程による判定) 事前申請と事後申請の金額差異アラート・必須項目の入力漏れ防止。上限超過の個別検知は公式に記載なし | あり(設定した上限金額による判定) 申請フォーム・明細行ごとに上限金額を設定しアラート表示 | 公式に記載なし | あり(設定した社内規定による判定) 社内規定に反する申請を自動チェック | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし 承認画面に経路の評価アイコンを表示(承認者の判断を助ける表示) | あり(設定した部署別予算による判定) 申請時に予算超過を自動チェック。規程違反全般の検知は公式に記載なし |
| 無料トライアル | あり(期間は公式に記載なし) | あり(期間は公式に記載なし) | 公式に記載なし | 1か月 | 30日間 機能制限つきの無料プランもあり | あり(申込当日から。期間は公式に記載なし) | 公式に記載なし | 1か月(全機能・オプション含む) | あり(期間は公式に記載なし) | 公式に記載なし | 2か月 |
| 会計ソフト連携 | 対応 対応ソフト名は公式に記載なし | 対応 CSV等の取込に対応する会計ソフト(公式は連携実績100種類以上と訴求) | 対応 承認済み経費を仕訳データとしてERP・会計システムへ自動連携 | 対応 自動仕訳・各種データ出力(対応ソフト名は公式に記載なし) | 対応 ジョブカン会計とAPI連携/他社は仕訳データ出力 | 対応 マネーフォワード クラウド会計・弥生・勘定奉行・SAP・PCAクラウドほか | 対応 勘定奉行・弥生会計・PCA・SAP・OBIC7ほかを公式が列挙(CSV/API) | 対応 勘定奉行クラウドとAPI連携/他社は仕訳データ出力 | 対応 会計システムに合わせたCSV・TSV出力 | 対応 ERP・会計システムとAPI連携、FB形式出力(対応製品名は公式に記載なし) | 対応 PCA財務会計シリーズとAPI連携/他社はCSV出力 |
| JIIMA認証(種別) | スキャナ保存+電子取引 002500-04/613200-01 | スキャナ保存+電子取引 008900-00/613800-00 電子取引側は2026年8月16日が有効期限 | スキャナ保存のみ 002300-00 電子取引の認証は取得なし | スキャナ保存+電子取引 021100-00/628300-00 | 認証製品一覧に掲載なし(2026年7月24日現在) | 認証製品一覧に掲載なし(2026年7月24日現在) 別サービスのinvox電子帳簿保存がスキャナ保存・電子取引を取得 | スキャナ保存のみ 007200-01 電子取引の認証は取得なし | スキャナ保存+電子取引 007100-00/604700-00 | 認証製品一覧に掲載なし(2026年7月24日現在) | スキャナ保存のみ 009300-01 電子取引の認証は取得なし | スキャナ保存+電子取引 020200-00/627100-00 |
| インボイス対応 | ●登録番号の自動照合は公式に記載なし | ●登録番号を国税庁データベースと照合 | ●登録番号のチェック機能を実装 | ●登録番号を国税庁データと照合 | ●登録番号の検索機能を搭載 | ●国税庁のWeb-API機能で登録番号の有効性を照合 | ●登録番号を自動チェック | ●登録番号の自動照合は公式に記載なし | ●登録番号をAI OCRで読み取り | ●国税庁APIと連携して登録番号を確認 | ●登録番号の自動照合は公式に記載なし |
| 詳細情報 | サービス詳細 | サービス詳細 | 公式サイト | サービス詳細 | サービス詳細 | サービス詳細 | サービス詳細 | サービス詳細 | 公式サイト | サービス詳細 | 公式サイト |
※「AIが担う工程」は、提供元が公式にAIの機能として説明している範囲です。同じ工程をあらかじめ設定した条件で判定する製品もあるため、機能そのものの有無は「二重申請の検知」「上限超過・規程違反の検知」の各列でご確認ください。※料金は各社公式サイトに記載のある規模のみを掲載しています。記載のない人数規模については、その規模での見積もりが必要です。※JIIMA認証は製品のマニュアルにもとづく機能要件の確認であり、導入企業側の事務処理規程やシステム関係書類の備付け、初期設定は認証の範囲外です。※料金・機能は各社公式サイトの記載にもとづきます(2026年8月時点)。
【タイプ別比較表】申請内容のチェックまでAIが引き受けるタイプ
| サービス名 | Bill One経費 | 弥生経費 Next | マネーフォワード クラウド経費 | SAPPHIRE | ジュガール経費精算 |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Sansan株式会社 | 弥生株式会社 | 株式会社マネーフォワード | Miletos株式会社 | VeBuIn株式会社 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 弥生会計 Nextセット版は0円 エキスパートプランは要問い合わせ | 0円 | 要問い合わせ | 0円 |
| 月額費用 | 要問い合わせ 初期費用と年額費用で構成し、経費精算の件数に応じた個別見積もり。人数帯ごとの金額は公式に記載なし | 3名 年50,400円〜(税抜。弥生会計 Nextベーシックプランに経費3名分を含むセット版)/30名 年252,000円〜(税抜。エキスパートプラン) 追加1名あたり月400円(セット版)・月700円(エキスパートプラン、税抜) | 1名 2,480円(ひとり法人)/3名 4,480円(スモールビジネス)/5名 6,480円(ビジネス、6名以降は1名500円)※いずれも年払い時の月あたり・税抜 上位機能はコーポレート(1名200円)・エンタープライズ(1名400円)の追加プラン | 要問い合わせ ユーザー数に応じた課金体系。人数帯ごとの金額は公式に記載なし | 1ユーザー 300円(税別、経費精算プラン)/500円(ワークフロー+経費精算プラン) 1ユーザーから利用可。20ユーザー以下は年間契約が条件 |
| AI機能の追加料金 | 要問い合わせ | 基本料金に含む | 基本料金に含む 経費申請サポートエージェントは一部ユーザー向けの先行提供で、標準機能かオプションかは公式に記載なし | 要問い合わせ | 基本料金に含む |
| AIが担う工程 | 入力・チェック 申請内容の自動チェック、適格請求書・適格簡易請求書の要件判定、カード明細との金額突合 | 入力・チェック AI科目予測(対応は交通費関連のみ)、重複領収書の検知、不備検知。監査ルールは条件式によるチェックでAIの記載なし | 入力・チェック AIエージェントが社内の経費申請ルールと照合して科目の提案・修正提案を出す(先行提供)。条件設定によるエラー・アラート表示は標準 | 入力・チェック 領収書画像・カード決済情報・ICカード履歴等から申請データを自動生成し、15項目のチェックを申請時にリアルタイムで実行 | 入力・チェック 登録番号のリアルタイム判別、社内ルールに反する申請への事前警告、同一日・同一経路の重複申請の検知 |
| 読み取り精度の公式公表 | 99.9% データ化精度。Sansanが規定する条件を満たした場合との注記のみで測定条件は非公開。AI・OCRとオペレーター入力を経た値 | 公表なし | 公表なし | 公表なし 高精度という表現にとどまる | 領収書97%・請求書90%以上 測定条件は非公開 |
| 誤読・確信度が低いときの扱い | オペレーター入力を標準の工程として併用 通常はアップロードの翌営業日までにデータ化。データ化前も画像で確認可 | AIの科目提案は申請者が採用するか手で直すかを都度選択 監査ルールのエラーに該当すると申請できない | オペレーター入力(1枚20円、ダブルチェックを経ておよそ1営業日、1回の依頼につき1枚まで) エンタープライズプランは追加料金なしで無制限 | 不備・不正の検知時はその場で修正を求める 確信度の表示・修正履歴の残り方は公式に記載なし | 登録番号を読み取れない場合は手入力して申請できる 請求書は原本画像と申請内容を並べて修正できる |
| 二重申請の検知 | 公式に記載なし 申請内容の自動チェックの内訳は公式に記載なし | あり(AI) 重複した領収書をアップロードした時点で検知しアラート表示 | 公式に記載なし | あり(AI) 同一支払いの重複申請・領収書を分割した会議費や交際費の申請をチェック項目に明示 | あり(AI) 同一日・同一経路の精算申請を検知 |
| 上限超過・規程違反の検知 | 公式に記載なし 事前申請オプションで、申請済みの金額・期間の範囲内にビジネスカードの利用を制限(設定した条件による) | 公式に記載なし 監査ルール(設定した条件)で日付・金額・証憑・登録番号の不備を判定。上限金額・規程違反という条件設定は公式に記載なし | あり(設定した条件による判定) 設定した条件に応じて申請ミスにエラー・アラートを表示。AIエージェントによる社内ルールとの照合は一部ユーザー向けの先行提供 | あり(AI) 規定と日当の照合・不自然に高額な経費利用・申請期限の超過などを申請時に判定 | あり(AI) 社内ルールに反する申請に事前警告。上限金額の個別設定は公式に記載なし |
| 無料トライアル | 公式に記載なし | 最大2か月(弥生会計 Nextセット版) エキスパートプランは公式に記載なし | 1か月 | 公式に記載なし | 30日間 特設ページには最大90日間との記載もあり |
| 会計ソフト連携 | 対応 仕訳データをCSV・OpenAPIで出力(対応ソフト名は公式に記載なし) | 対応 弥生会計 Nextへ自動連携(同期間隔1分)/他社はCSV連携 | 対応 クラウド会計・会計PlusとAPI連携/勘定奉行・弥生会計・PCA会計等はCSV・API | 対応 上流の会計システムへの仕訳連携まで一気通貫で処理と公式に記載(対応製品名は公式に記載なし) | 対応 CSVエクスポート・API連携(対応ソフト名は公式に記載なし) |
| JIIMA認証(種別) | 「Bill One経費」名義での登録はなし 請求書受領の「Bill One」がスキャナ保存+電子取引を取得(004900-00/602800-00) | 認証製品一覧に掲載なし(2026年7月24日現在) 弥生会計 Nextは電子帳簿ソフトとして取得 | スキャナ保存+電子取引 000800-02/600700-01 | スキャナ保存+電子取引 「SAPPHIRE 経費精算」として016100-00/620100-00 | スキャナ保存のみ 「Jugaad経費精算」として006300-00 電子取引の認証は取得なし |
| インボイス対応 | ●適格請求書・適格簡易請求書の要件をAIが判定 | ●監査ルールで登録番号の未入力を検知 | ●登録番号の登録有無と取引日時点の有効性を自動判定 | ●国税庁のAPIで登録番号を即時確認 | ●申請時に登録事業者かをリアルタイムで自動判別 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | 公式サイト | 公式サイト |
※「AIが担う工程」は、提供元が公式にAIの機能として説明している範囲です。同じ工程をあらかじめ設定した条件で判定する製品もあるため、機能そのものの有無は「二重申請の検知」「上限超過・規程違反の検知」の各列でご確認ください。※料金は各社公式サイトに記載のある規模のみを掲載しています。記載のない人数規模については、その規模での見積もりが必要です。※JIIMA認証は製品のマニュアルにもとづく機能要件の確認であり、導入企業側の事務処理規程やシステム関係書類の備付け、初期設定は認証の範囲外です。※料金・機能は各社公式サイトの記載にもとづきます(2026年8月時点)。
【タイプ別比較表】仕訳や一次承認までAIに任せられるタイプ
| サービス名 | バクラク経費精算 | freee経費精算 | TOKIUM経費精算 | Spendia |
|---|---|---|---|---|
| 提供元 | 株式会社LayerX | フリー株式会社 | 株式会社TOKIUM | TISI株式会社 |
| 初期費用 | 0円 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 30,000円〜 人数帯ごとの金額は公式に記載なし(料金表はダウンロード制) | 基本料金 月7,500円〜(年払い時の月あたり、税抜)+当月に申請・承認した1IDあたり650円(税抜) 人数帯ごとの定額は設けず、その月に申請・承認したID数で変動 | 基本利用料 10,000円〜(税抜) アカウント数は無制限で人数では変動せず、領収書の件数に応じた従量課金。件数ごとの単価は公式に記載なし | 要問い合わせ 伝票数・申請数ではなくユーザー数に応じた課金体系。人数帯ごとの金額は公式に記載なし |
| AI機能の追加料金 | 要問い合わせ | 基本料金に含む | 基本料金に含む チェック・一次承認を担う「TOKIUM AI経費承認」は別製品で料金は要問い合わせ | オプション 領収書OCR・費目自動判定。料金は要問い合わせ |
| AIが担う工程 | 入力・チェック・仕訳・承認 AIが社内規定やマニュアルを参照してレビューし、確信度が高いものは自動で一次承認を実行と公式に記載 ※二重申請自動検知は機能一覧にあるが公式にAIの記載なし | 入力・チェック・仕訳 AI-OCRによる読み取り、勘定科目・承認経路・申請タイトルのAI予測、インボイス税区分の自動判定を公式が明示 ※証憑の重複自動チェックは搭載だが公式にAIの記載なし | 入力(本体)/チェック・一次承認(別製品) 本体が担うのは入力まで。チェックと一次承認は別製品「TOKIUM AI経費承認」が担当し、他社の経費精算システムにも接続できる(料金は公式に記載なし)。自動仕訳は搭載だが公式にAIの記載なし | 入力・チェック・仕訳 生成AIを活用したAI-OCR、AI検印機能(領収書の整合性・適格性・重複のチェック)、AI費目推奨を公式が明示 ※承認の自動実行は公式に記載なし。AI問合せは今後リリース予定 |
| 読み取り精度の公式公表 | 公表なし | 公表なし | 99%以上 AIと人による確認・補正を経た最終的なデータ化精度。AI-OCR単体の数値は非公開 | 公表なし |
| 誤読・確信度が低いときの扱い | 確信度が高いものは自動で一次承認を実行 確信度が低い場合の扱いは公式に記載なし | 差し戻し・却下・コメントという通常の申請フローで修正 専用の修正フローは公式に記載なし | オペレーターが目視で確認・補正(1枚につき2名のダブルチェック) オペレーターを介さずAI-OCRだけでデータ化する選択も可。AI経費承認のチェック結果は承認フローのタイムラインに履歴表示 | 公式に記載なし |
| 二重申請の検知 | あり(判定方式は公式に記載なし) 重複申請を自動検知 | あり(判定方式は公式に記載なし) 同一証憑の重複申請を自動検知 | あり(AI・別製品「TOKIUM AI経費承認」) 経理AIエージェントの紹介ページに規程・上限・重複のチェックと記載 | あり(AI) AI検印機能の標準チェック規則に重複チェックを明示 |
| 上限超過・規程違反の検知 | あり(AI) AI申請レビューが申請内容を自動チェックし規定違反を指摘 | 公式に記載なし 承認経路は金額による分岐を設定できる | あり(AI・別製品「TOKIUM AI経費承認」) 社内規程やマニュアルへの違反・添付漏れ・記載ミスを全件チェックし、不備がなければ一次承認、不備があれば理由を添えて差し戻し | あり(AI検印機能のカスタムチェック規則で設定) |
| 無料トライアル | 公式に記載なし | 30日間 | あり(期間は公式に記載なし) | 公式に記載なし |
| 会計ソフト連携 | 対応 freee会計との連携を公式が明示(他は主要会計ソフトとの記載にとどまる) | 対応 freee会計へワンクリックで反映/他社の会計ソフトを使ったまま導入可 | 対応 自動仕訳された状態で会計システム・ERPへ(36種類以上の連携実績を公式が訴求) | 対応 ERPのフロントとして仕訳を出力(対応製品名は公式に記載なし) |
| JIIMA認証(種別) | スキャナ保存+電子取引 「バクラク申請・経費精算」として020000-00/626900-00 | スキャナ保存+電子取引 「freee支出管理」として009001-00/607101-01 | スキャナ保存+電子取引 001100-01/601900-00 | 認証製品一覧に掲載なし(2026年7月24日現在) グループ会社の別システムとの連携で電子帳簿保存法に対応する構成 |
| インボイス対応 | ●登録番号の読み取り・照合と自動判定 | ●登録番号を読み取り、税区分を自動判定 | ●登録番号の記載ミスの検知は別製品「TOKIUM AI経費承認」 | ●登録番号の自動照合は公式に記載なし |
| 詳細情報 | サービス詳細 | サービス詳細 | サービス詳細 | 公式サイト |
※「AIが担う工程」は、提供元が公式にAIの機能として説明している範囲です。同じ工程をあらかじめ設定した条件で判定する製品もあるため、機能そのものの有無は「二重申請の検知」「上限超過・規程違反の検知」の各列でご確認ください。※料金は各社公式サイトに記載のある規模のみを掲載しています。記載のない人数規模については、その規模での見積もりが必要です。※JIIMA認証は製品のマニュアルにもとづく機能要件の確認であり、導入企業側の事務処理規程やシステム関係書類の備付け、初期設定は認証の範囲外です。※料金・機能は各社公式サイトの記載にもとづきます(2026年8月時点)。
AI搭載の経費精算システム20選(サービス個別紹介)
ここからは20サービスそれぞれについて、AIが担う工程、読み取り精度の公表状況、誤読が起きたときの扱い、料金、連携の範囲を順に見ていきます。
領収書の入力を自動化して申請の手間を減らすタイプ
申請者の入力負担を減らすことに軸足を置いた11サービスです。読み取る項目の範囲と、読み取れなかったときの補い方に差が出ます。
1. 楽楽精算(株式会社ラクス)

株式会社ラクスが提供するクラウド型の経費精算システムです。楽楽精算単体の累計導入社数は20,000社以上(2025年9月時点)で、経費精算のほかに請求書支払処理や汎用ワークフローも同じサービスで扱えます。
AI-OCR・画像認識・機械学習を使い、スマホで撮影した領収書のデータ化と申請の自動作成、入力補完を行うと公式が説明しています。
承認まわりのAI機能(申請レビューAI・適格請求書チェックAIなど)については、公式のAI機能ページに「本機能は開発中であり内容は変更になる可能性があります」と注記があります。ただし読み取り精度を示す数値の公表はなく、読み取り対象の項目についても公式ページに個別の記載は見当たりません。
同じ領収書が二重に申請されていないかを検知する機能は、2024年2月に追加されました。料金は初期費用100,000円・月額30,000円から(いずれも税抜)で、従業員数とオプションの内容によって変わります。AI-OCRはオプションとして提供され、追加料金の有無は公式に掲載されていません。
2. ハーモス経費(株式会社ビズリーチ)

旧称「eKeihi」として20年以上提供されてきた経費精算・請求書管理システムで、2022年11月に「HRMOS経費」としてブランドを刷新しました。2025年8月1日付の吸収合併により、運営会社は株式会社ビズリーチに移っています。
AI-OCRが読み取るのは領収書と請求書です。適格請求書発行事業者の登録番号(T番号)も読み取り対象で、国税庁のデータベースと照合して仕入税額控除の対象かどうかを判別します。読み取り精度の数値は公表されていません。
二重申請のアラートや定期区間の自動控除も備えますが、これらをAIの機能として説明する記載は確認できません。料金は50名で月額29,000円、100名で41,000円(いずれも税別)という人数刻みの段階制で、領収書AI-OCRは基本プランに含まれます。初期費用は公式料金ページに記載がなく、問い合わせが必要です。
3. Concur Expense(株式会社コンカー)

出張・経費管理のSAP Concurファミリーを構成する経費精算製品で、日本では2012年2月から株式会社コンカーが提供しています。
株式会社コンカーの発表によると、ITR「ITR Market View:予算・経費・サブスクリプション管理市場2026」において、Concur Travel & Expense が2025年度の経費精算市場でベンダー別売上金額シェア42.8%、2014年度から12年連続の首位とされています。
領収書の読み取りは「ExpenseIt」が担い、撮影した画像から日付・金額・経費科目・通貨・店舗名をAIが自動判定します。ユーザーが直した内容を学習して判定に反映する仕組みを公式が説明しているのは、20サービスのなかでは限られます。読み取り精度の数値の公表はありません。
経費規程に基づくポリシーチェックがリアルタイムで走るほか、法人カードや交通系ICカードの利用データを取り込んで明細を作れます。出張手配のConcur Travelと組み合わせた運用も可能です。料金は公式に現行の料金表が見当たらず、問い合わせが前提になります。
4. ジンジャー経費(jinjer株式会社)

統合型人事システム「ジンジャー」の経費精算モジュールで、勤怠・給与・人事労務と同じ従業員データベースを共有します。料金は1人あたり月額300円から(税別)で、利用する製品数と人数で決まります。無料トライアルは1か月です。
AI-OCRにはLINE株式会社の「CLOVA OCR」を採用しています。読み取り対象は当初の合計金額・利用日から、2022年12月に取引先名・内訳・内訳ごとの金額・軽減税率の区分へ、2023年9月に適格請求書発行事業者の登録番号へと広がりました。読み取り精度の数値は公式に公表されていませんが、誤読した場合は申請画面で編集できます。
一方、規程違反の確認と自動仕訳は、事前に設定した規程や勘定科目に沿って判定する仕組みで、公式の機能ページに「AI」「機械学習」の語はありません。
扱えるのは定期区間の控除、事前申請と事後申請の金額差異、必須項目の入力漏れで、上限超過や二重申請の個別検知についての記載は見当たりません。2026年7月に始まったシリーズ横断のAI Assistantも、対象は勤怠・人事労務・給与の3製品で、経費は含まれていません。
5. ジョブカン経費精算(株式会社DONUTS)

申請・承認のワークフローと一体で提供される経費精算システムです。株式会社DONUTSのジョブカンシリーズの一つで、料金は1ユーザー月額400円(税抜)から、最低利用料金は月額5,500円(税込)です。
領収書のAI-OCRは2026年4月に加わった機能ですが、標準機能ではなく1ユーザー月額100円(税別)のオプションで、この機能だけを単独で契約することはできません。読み取るのは取引年月日・取引金額・取引先名の3項目に限られ、読み取り精度の数値は公表されていません。誤読したときの修正手順についても公式の記載はありません。
上限金額を超えた申請へのアラート、入力漏れのチェック、インボイス登録番号の検索は備えていますが、いずれも公式にAIとして説明された機能ではありません。読み取った証憑から勘定科目を判定する「AI仕訳作成・出力機能」は姉妹製品のジョブカン証憑管理のもので、経費精算の機能ではない点にも注意が要ります。
6. invox経費精算(株式会社invox)

請求書受領や文書管理のサービスを展開する株式会社invoxが、2024年8月にシリーズへ加えた経費精算サービスです。初期費用は0円で、月額基本料金1,980円(税込2,178円)から、実際に精算を行ったアクティブユーザー1人あたり300円(税込330円)を加える従量課金型をとります。
領収書のデータ化はAI-OCRが行い、アクティブユーザー数×30件までは月内で追加料金がかかりません(超過分は30件ごとに1ユーザー分として計算されます)。適格請求書発行事業者の登録番号は国税庁のWeb-API機能で有効性を照合し、無効な場合は警告メッセージを付けて返します。
読み取り精度は2026年3月のアップデートで向上したと公式が案内していますが、精度を示す数値の公表はありません。オペレーターが人手でデータ化する仕組みは同社の請求書受領サービス側の機能で、経費精算でも選べるかは公式製品ページで確認できません。
7. 経費BANK(SBIビジネス・ソリューションズ株式会社)

10ID単位の契約で、初期費用0円・月額3,000円(税抜)から使える料金設計をとる経費精算システムです。提供元はSBIグループのSBIビジネス・ソリューションズ株式会社で、累計導入社数は1,500社(2024年4月時点)、利用企業の約8割が50ID以下という構成です。
領収書のAI-OCRは月額2,000円(税抜)からのオプションで、年間1,200枚が目安となります。請求書のAI-OCRは月額5,000円(税抜)からで別枠です。読み取る項目や精度の数値は公表されていないため、自社の領収書の枚数と種類に合うかは問い合わせで確かめる必要があります。
社内規程に反する申請の自動チェックと、適格請求書発行事業者の登録番号の自動チェックも備えます。ただし公式がAIとして説明しているのは領収書・請求書の読み取り部分です。証憑の電子保存は追加料金なしの標準機能として搭載されています。
8. BIZUTTO経費(アルプス システム インテグレーション株式会社)

30名以下の企業向けに、初期費用無償・1ユーザー月額250円(税抜)からの「ライトパック」を用意しているのが料金面の特徴です。標準プランは初期費用100,000円(税抜)・1ユーザー月額400円(税抜、31名以上)で、2年目の契約更新以降は月額が半額になります。提供元はアルプスアルパイングループのアルプス システム インテグレーション株式会社です。
領収書と請求書の双方にAI-OCRを備え、読み取った内容をそのままデータとして登録できます。読み取り対象の項目や精度を示す数値は公式に示されていないため、扱う証憑に合うかは無料トライアルで確かめる形になります。トライアルは全機能とオプションを1か月試せます。
勘定科目の自動割り当てを含む自動仕訳とインボイス制度への対応を備え、電子帳簿保存法ではスキャナ保存と電子取引の2つのJIIMA認証を取得しています。ただし、これらの判定を公式がAIとして説明している記載は確認できません。
9. rakumo ケイヒ(rakumo株式会社)

Google WorkspaceやMicrosoft 365の認証・ユーザー管理をそのまま使う構成の経費精算システムです。rakumoカレンダーに登録した外出予定から交通費を自動計算する使い方を公式が前面に置いています。単体の料金は1ユーザー月額300円(税別)、初期費用0円で、契約は12か月単位です。
領収書・レシートはスマホで撮影するとAI OCRが日付・金額・内容に加え、適格請求書発行事業者の登録番号まで読み取ります。2025年6月の改善で読み取り機能が強化されましたが、精度を示す数値は公表されていません。
費目・勘定科目は自社のルールに沿って設定でき、会計システムに合わせたCSV・TSV形式で仕訳データを出力できます。公式がAIとして挙げているのは領収書の読み取りで、申請内容の判定については触れられていません。利用にはGoogle WorkspaceまたはMicrosoft 365の有料契約が別途必要です。
10. WiMS/SaaS経費精算システム(株式会社ソリューション・アンド・テクノロジー)

多段階承認や申請内容による条件分岐、グループ会社をまたぐ承認に対応し、複雑な組織での運用を前提に設計された経費精算システムです。株式会社ソリューション・アンド・テクノロジーが提供する人事・会計のシステム群「WiMS/SaaS」のうち、会計領域のモジュールにあたります。
領収書はAI-OCRで日付・金額などを自動入力し、インボイス制度への対応として事業者登録番号の読み取りにも対応します。登録番号の確認は国税庁のAPIと連携する仕組みです。読み取り精度の数値は公表されていません。
承認画面には経路の「早」「安」「楽」を示す評価アイコンが出て、申請内容が適正かを承認者が確かめられます。これは判断を助ける表示で、AIが可否を判定する機能としての説明はありません。料金は公開されておらず、要件のヒアリングにもとづく個別見積もりになります。
11. PCA Hub 経費精算(ピー・シー・エー株式会社)

1980年設立の会計ソフトベンダー、ピー・シー・エー株式会社が2025年4月に提供を始めたクラウド型の経費精算サービスです。料金は10名のプランで月額6,600円、200名で121,000円と人数帯ごとの定額制で、2か月の無料体験が用意されています。
スマートフォン専用アプリで領収書や請求書を撮影すると、AI-OCRが金額や取引先などを自動で反映します。ただし読み取りには月間の回数上限があり、10IDにつき領収書100回・請求書20回・経路検索200回までで、超えた分は有償オプションでの追加になります。読み取り精度の公表はありません。
自動チェックとして公式に挙げられているのは、部署ごとに設定した予算を申請時に超えていないかを見る機能です。規程違反や二重申請の判定、誤読したときの修正・差し戻しの手順は、経費精算の公式資料では確認できません。仕訳データはPCA財務会計シリーズへAPIで直接渡せます。
申請内容のチェックまでAIが引き受けるタイプ
読み取りに加えて、規程違反や記載不備の判定まで扱う5サービスです。何を判定するか、判定がいつ走るかを見ていきます。
12. Bill One(ビルワン)経費(Sansan株式会社)

経費の支払いを全社員に配った専用のビジネスカードへ寄せ、立替払いそのものをなくす構成をとる経費精算サービスです。Sansan株式会社が2024年6月に提供を開始しました。領収書はOCR・AI・入力オペレーターの組み合わせでデータ化し、カードの利用明細と金額ベースで自動突合します。
領収書のデータ化精度は99.9%と公式が公表していますが、「Sansan株式会社が規定する条件を満たした場合」という注記が付き、サンプル数や対象とした領収書の種類までは開示されていません。人手による入力オペレーターはOCR・AIと並ぶ標準の工程として組み込まれており、データ化は通常アップロードの翌営業日までに完了します。データ化前でも、領収書は画像として確認できます。
AIによる判定として公式が挙げているのは、申請内容の自動チェック、適格請求書・適格簡易請求書の要件を満たすかの判定、領収書とカード明細の金額の突合の3つです。突合で差異があれば通知が出ますが、個別のチェック項目の内訳と、判定が承認の前後どちらで完了するかは公表されていません。料金は初期費用と年額費用で構成され、処理する経費精算の件数に応じた個別見積もりです。
13. 弥生経費 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Next の経費精算機能として2025年1月に提供が始まり、2026年4月からは経費精算だけを単体で契約できるエキスパートプランが加わりました。提供元は弥生株式会社です。単体プランは30ユーザー分を含む年額252,000円(税抜)からで、会計とセットで使う場合はベーシックプラン年額50,400円(税抜)に3名分の経費精算機能が含まれます。
公式がAIと明示している機能は3つあります。領収書から取引先名と一部の科目名を提案するAI科目予測、アップロードした時点で働く重複領収書の検知、申請の不足箇所を指摘する不備検知が該当します。科目予測が対応する経費タイプは交通費関連のみと公式サポートに注記があり(2024年10月時点)、提案を採用するか手で直すかは申請者が都度選ぶ作りです。
日付・金額・証憑・勘定科目・インボイス登録番号の未入力などを見る「監査ルール」は、AIではなく条件式によるチェックとして説明されています。判定が走るのは承認者へ回った後ではなく、申請者が保存または申請をクリックした時点で、エラーに該当する項目があると申請自体ができません。ただし、読み取り精度の数値は公式に公表されていません。
14. マネーフォワード クラウド経費(株式会社マネーフォワード)

領収書から読み取る項目を、公式が項目名まで挙げているサービスです。提供元は株式会社マネーフォワードで、日付・支払先・税率別の金額・税区分に加え、適格請求書発行事業者の登録番号と消費税額も読み取ります。読み取った登録番号は、国税庁に登録があるか、取引日の時点で有効かまで自動判定します。
読み取り精度については、公式の説明が「精度が向上している」という趣旨の記述にとどまり、正答率などの数値公表はありません。読み取れなかった分は1枚20円で人が代行入力するオペレーター入力で補え、オペレーター同士のダブルチェックを経ておよそ1営業日で明細が登録されます。1回の依頼につき1枚まで、依頼後のキャンセルはできず、エンタープライズプランのみ追加料金なしで無制限に使えます。
申請内容のチェックは、設定した条件に応じてエラーやアラートを表示する仕組みが標準です。これに加えて、社内の経費申請ルールと照合しながら科目の提案や修正提案を出すAIエージェント「経費申請サポートエージェント」が2025年12月25日から一部ユーザー向けに先行提供されていますが、標準機能かオプションかは公式に記載がありません。
15. SAPPHIRE(Miletos株式会社)

大企業向けを掲げるAI経費精算サービスで、提供元はMiletos株式会社です。領収書画像だけでなく、クレジットカードの決済情報、交通系ICカードの乗降履歴、入退館データ、出張管理システムの手配データまでを横断して読み込み、経費申請データそのものを自動生成します。花王グループでは国内全社3万人超が利用しています。
AIが見るチェック項目は、公式サイトに15項目が具体名で並んでいます。同一支払いの重複申請、領収書を分割した会議費・交際費申請、出張日以外の経費利用、人数を水増しした会議費・交際費申請などが挙げられ、判定は申請時にリアルタイムで走ると明記されています。適格請求書発行事業者の登録番号は、国税庁のAPIで即時に確認します。
読み取り精度は「高精度」という表現にとどまり、数値の公表はありません。不備や不正を検知した場合はその場で修正を求める運用ですが、AIの確信度の表示や、修正の履歴が証跡としてどう残るかについての説明は公式サイトで確認できません。料金も初期費用・月額とも非公開で、資料請求または問い合わせが必要です。
16. ジュガール経費精算(VeBuIn株式会社)

VeBuIn株式会社が提供するクラウド経費精算システムで、2024年6月に「SmartFlow」から現在の名称へ変わりました。料金は経費精算単体で1ユーザー月額300円(税別)、初期費用0円という単価制です(20ユーザー以下は年間契約が条件)。電子帳簿保存法のスキャナ保存については、JIIMA認証(認証番号006300-00)を取得しています。
AI-OCRの読み取り精度を数値で示している数少ない製品で、公式ページには領収書97%、請求書90%以上と記載があります。ただし何枚をどのような条件で測った数値かは示されていないため、自社の領収書でどの程度になるかは試用して確かめる必要があります。領収書の読み取り対象は、日付・店舗名・事業者登録番号・消費税率ごとの合計金額です。
チェック面では、インボイス制度に対応した事業者かどうかを申請時にリアルタイムで自動判別し、社内ルールに反する申請には事前に警告を出します。同一日・同一経路の重複申請も検知します。斜め撮影や破損、レジロール印字で登録番号を読み取れなかった場合は番号を手入力して申請でき、請求書は原本画像と申請内容を並べて修正できます。
仕訳や一次承認までAIに任せられるタイプ
仕訳の作成や一次承認まで踏み込む4サービスです。本体の標準機能か別製品かという違いにも触れながら見ていきます。
17. バクラク経費精算(株式会社LayerX)

領収書を撮影すると、AI-OCRが金額・日付・科目を読み取ります。複数枚をまとめて撮影した場合は1枚ずつに自動で分割されます。株式会社LayerXが提供する「バクラク」シリーズの一製品で、申請から承認までをスマートフォンアプリで完結できます。
申請内容はAI申請レビューが自動でチェックし、規定に反する箇所を指摘します。重複した申請の検知に加え、AIが内訳を推薦して勘定科目・税区分を仕訳するところまで対応しており、入力・チェック・仕訳の3工程がいずれも本体の機能として提供されています。
一方で、読み取り精度を示す数値は公式サイトでは公表されていません。AIの判定が外れた場合の修正の流れや、判断の根拠が履歴として残るかについても、公式サイト上に記載は見当たりません。
料金は公式サイトのトップページに月額30,000円〜と記載がありますが、料金ページは料金表のダウンロード制で、プラン別の金額やアカウント数に応じた課金の詳細は公開されていません。初期費用は無料と案内されています。
18. freee経費精算(フリー株式会社)

料金プラン上の正式名称は「freee支出管理 経費精算Plus」です。公式サイトは、利用中の会計ソフトを変更せずに導入できると案内しています。承認済みの経費データをワンクリックで会計登録へ反映できる点を、freee会計と組み合わせた場合の特徴として挙げています。
AI-OCRは日付・金額に加えて適格請求書発行事業者の登録番号まで読み取ります。読み取った内容と申請者の過去の申請・勘定科目・フォーム設定を学習し、勘定科目・内容・タグ・承認経路・申請タイトルまでを自動で予測します。証憑の重複は自動で検知され、インボイスの税区分も自動で判定されます。
予測された値は申請・承認の過程で人が確認する前提で、AIが承認そのものを代行する機能は案内されていません。読み取り精度を示す数値の公表もなく、判定が外れたときの専用の修正フローについての記載も見当たらないため、差し戻し・却下・コメントという通常の申請フローの機能で直すことになります。
料金は基本料金と従量課金の組み合わせです。基本料金は年払いで年90,000円(月あたり7,500円)、月払いで年120,000円(月あたり10,000円)、従量課金は1IDあたり月650円(いずれも税抜)。課金対象は当月に申請または承認を行ったユーザーだけで、下書き保存やコメントのみの操作は対象外です。
19. TOKIUM経費精算(株式会社TOKIUM)

領収書のデータ化を、AI-OCRと人のオペレーターの分担で行う経費精算システムです。撮影された画像はAI-OCRが読み取ったうえで、株式会社TOKIUMのオペレーターが目視で確認・補正します。1枚につき2名で確認するダブルチェック体制をとり、読み取りの確からしさが低い項目を人が補う設計です。
2026年4月以降は、オペレーターを介さずAI-OCRだけでデータ化する選択もできます。ただし公式が掲げる「99%以上」は、AI-OCR単体ではなく、AIと人による確認・補正を経た最終的なデータ化精度として書き分けられており、AI-OCR単体の精度を示す数値は公開されていません。
経費データは自動仕訳された状態で会計システムやERPへ渡す構成で、36種類以上との連携実績を公式が挙げています。料金は基本利用料が月額1万円〜(税抜)で、アカウント数は無制限、領収書の件数に応じた従量課金です。
申請の一次承認まで踏み込むのは、経費精算本体ではなく別製品の「TOKIUM AI経費承認」(2025年7月3日提供開始)です。領収書の添付漏れ、経費科目、参加者や日付の情報、適格請求書発行事業者登録番号の記載ミス、社内規程への違反を全件チェックし、不備がなければ一次承認、不備があれば該当箇所と理由を示して申請者へ差し戻します。
この別製品は他社の経費精算システムとも接続できる独立したサービスとして提供され、料金は公式に公開されていません。AIのチェック結果は、承認フローのタイムライン上にコメントとして履歴表示されます。ただし、出張の交通手段・宿泊先の提案や手配を扱う「TOKIUM AI出張手配」も、経費精算の標準機能ではなく連携する別製品です。
20. Spendia(TISI株式会社)

数千名から1万5,000名規模のグループ企業での導入事例を公開している経費精算システムです。TISI株式会社が提供し、ノーコードで自社の規程や承認ワークフローに合わせて設定できる点を掲げています。東京ガスでは、SAP S/4HANAへの移行と同時に会計フロントとして構築されました。
公式の機能一覧には、承認・経理チェックの作業時間を減らすAIエージェントと、請求書のAI-OCR(Remota連携)が並びます。領収書のOCRと費目の自動判定はオプションで、規程違反チェック・不正検知、自動仕訳と周辺システムへの仕訳出力も機能として挙げられています。
公式のAI機能ページでは、生成AIを活用したAI-OCRによる領収書・請求書の読み取り、AI検印機能による整合性・適格性・重複のチェック、AI費目推奨が説明されています。一方で、承認そのものを自動で実行する機能についての記載は見当たりません。読み取り精度を示す数値の公表もなく、判定が外れたときの扱いについての記載も確認できません。
料金は「ユーザー数に応じた課金体系」と公式が示すのみで、単価や最低利用金額は公開されていません。無料トライアルについての記載もないため、検討時は見積もりの取得が前提になります。
電子帳簿保存法・インボイス制度への対応
制度への対応は、AI機能とセットで確認する項目になっています。ここでは、経費精算で実際に問題になる範囲に絞って要件を整理します。
要件を見る前に、制度対応がシステム選びと結びつく事情を押さえておきます。導入の現場で何が起きているかについて、マネーフォワード クラウド経費を提供する株式会社マネーフォワードは次のように話しています。

導入の動機という点では、非生産的な時間の削減ももちろんですが、法令対応での電子帳簿保存法への対応が、依然として最も強い動機になっています。電子帳簿保存法の施行後、事務処理規定などを設けて電子データを原本として保存しているものの、業務フローは変更できておらず、結局紙ベースでの社内処理をおこなっている、というケースは多いです。紙と電子両方の保管を行っていて、二重運用で法令対応を乗り越えたもののそれを維持し続けるのがやはり大変だということで、しっかりシステム化しようという流れが続いています。
電子帳簿保存法(スキャナ保存・電子取引データ保存とJIIMA認証)
経費精算で扱う証憑は、受け取り方によって2つの制度に分かれます。紙の領収書を撮影して保存するのがスキャナ保存、メールやサイトから受け取ったデータを保存するのが電子取引データ保存です。多くの企業では両方が混在します。
スキャナ保存で満たすべき要件は次のとおりです。
国税関係書類のスキャナ保存に当たっては、真実性や可視性を確保するための要件を満たす必要があります(規則2)。
出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和8年7月)問10|国税庁
具体的な要件は、入力期間の制限(規2⑥一イ、ロ)、200dpi以上の解像度による読み取り、カラー画像による読み取り、タイムスタンプの付与(規2⑥二ロ)、ヴァージョン管理(規2⑥二ハ)、帳簿との相互関連性の保持(規2⑥三)、見読可能装置の備付け(規2⑥四)、検索機能の確保(規2⑥五)などです。
このうち経費精算のAI機能と関わりが深いのがヴァージョン管理(訂正又は削除の事実及び内容の確認等)です。領収書・請求書は重要書類にあたり、この要件は重要書類・一般書類・過去分重要書類のいずれでも必要とされています。タイムスタンプには一定の条件で代替の方法が用意されている一方、ヴァージョン管理には代替がありません。AIが読み取った値を人が直した記録が残るかどうかは、この要件に直結します。
一方、電子取引データ保存では、訂正削除の履歴は4つの措置のうちの1つという位置づけです。
次のいずれかの措置を行う(規4①)
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月)問18|国税庁
一 タイムスタンプが付された後の授受
二 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
三 データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用して、授受及び保存を行う
四 訂正削除の防止に関する事務処理規程を定め、備付け、運用する
ここで注意したいのが三号です。条文にあるとおり「授受及び保存を行う」ことが条件で、保存だけでは足りません。国税庁は、クラウド上のデータをダウンロードして保存するだけのシステムについて、タイムスタンプの付与か事務処理規程による管理が必要になると示しています。Web明細をダウンロードして取り込む使い方では、この三号のルートに乗らないということです。
両制度の関係については、国税庁が次のように整理しています。
スキャナ保存制度においては、真実性を確保するための要件の一つとして、訂正削除の履歴が残る(又は訂正削除ができない)システムでスキャナデータを保存することが必要です。他方、電子取引データ保存制度においては、訂正削除の履歴が残る(又は、訂正削除ができない)システムを利用するという方法がありますが、この方法による場合、電子取引データを保存するだけでなく授受も行う必要があります。
出典:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月)問37|国税庁
製品を選ぶときには、JIIMA認証が手がかりになります。国税庁は次のように説明しています。
公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(以下「JIIMA」といいます。)において、市販のソフトウェア及びソフトウェアサービス(以下「ソフトウェア等」といいます。)を対象に、電子帳簿保存法における機能要件適合性の確認(認証)を行っていますので、JIIMAが確認(認証)したソフトウェア等はスキャナ保存の機能要件を満たしているといえます。
出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和8年7月)問60|国税庁
ここで2点、押さえておく必要があります。1つは認証の種別です。認証は電子帳簿・スキャナ保存・電子書類・電子取引・デジタルシームレス保存の5種類に分かれており、経費精算システムは紙とデータの両方を扱うため、どの認証を持っているかで意味が変わります。
もう1つは認証が保証する範囲です。JIIMA自身が「本認証制度は、あくまで認証基準に基づき、スキャナ保存製品が電子帳簿保存法および電子帳簿保存法関連の施行規則、通達等に定められる機能を有することを製品のマニュアルのみで評価し認証するものであり、それ以外の事項を保証するものではありません」と示しています。
国税庁も、認証を受けた製品であっても初期設定や設定変更によって機能要件を満たさなくなる場合があること、システム関係書類の備付けなど機能以外の要件も満たす必要があることを注記しています。
認証は製品選びの入り口を絞る手がかりであって、導入した企業側の運用まで含めて要件が満たされるかは別に確認する、という位置づけになります。
この記事で取り上げた20サービスのうち、紙とデータの両方(スキャナ保存と電子取引)の認証を製品名で持つのは10サービス、スキャナ保存だけが4サービス、認証製品の一覧に製品名の掲載がないのが6サービスです(2026年7月24日現在のJIIMA認証製品一覧による。同じ提供元の別サービスが取得しているものは、掲載がない側に数えています)。
スキャナ保存だけの4サービスは、紙の領収書を撮って保存する運用は認証の範囲ですが、Web明細やPDFの領収書を扱う電子取引データ保存については認証を取得していません。「JIIMA認証あり」とだけ書かれた情報を見て選ぶと、この差は見えません。
掲載がない6サービスにも注意が要ります。このうち複数は、同じ提供元の別サービスが認証を取得しているケースでした。経費精算の製品ページに認証のロゴが載っていても、それが経費精算そのものに対する認証とは限りません。各サービスの認証の有無と種別は比較表の「JIIMA認証(種別)」列に、認証番号とあわせて記載しています。
認証には有効期限もあります。自社で確かめる場合は、次のリンクから種別ごとの認証製品一覧を開き、製品名で探してください。
スキャナ保存については、入力期間の数え方や、タイムスタンプの付与が不要になる条件など、社内の運用ルールを決める段階で確認する項目が残ります。
インボイス制度(適格請求書の保存と登録番号の確認)
買手が仕入税額控除を受けるには、消費税法第30条第7項により帳簿と請求書等を保存することが求められます。経費精算システムに領収書を保存させる理由は、ここにあります。
経費精算で上がってくる領収書やレシートの多くは、適格請求書ではなく適格簡易請求書にあたります。小売業や飲食店などが交付できる簡易な様式で、記載事項が適格請求書と異なります。
適格簡易請求書の記載事項は、適格請求書の記載事項よりも簡易なものとされており、適格請求書の記載事項と比べると、「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要である点、「税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」のいずれか一方の記載で足りる点が異なります。
出典:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和8年5月改訂)問58|国税庁
なお、具体的な記載事項は、次のとおりです。
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象課税資産の譲渡等である旨)
④ 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率 (※)
※ 「税率ごとに区分した消費税額等」と「適用税率」を両方記載することも可能です。
この違いは、AIによる要件チェックの読み方に影響します。宛名の記載は適格簡易請求書では不要で、消費税額等と適用税率もどちらか一方があれば足ります。一律の項目チェックで「宛名がない」「税額の記載がない」と指摘が出ても、それが不備とは限りません。
登録番号の確認については、国税庁が確認の方法を示しています。
登録番号の有効性を効率的に確認する方法として、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」の Web-API 機能又は公表情報ダウンロード機能を利用する、あるいはこれらの機能に対応している会計ソフト等を導入するなどの方法が考えられます。
出典:消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和8年5月改訂)問21|国税庁
製品の説明にある「国税庁データとの自動照合」は、この公表サイトのWeb-API機能または公表情報ダウンロード機能を指します。なお国税庁は、公表サイトの検索機能に対するスクレイピングを利用規約上禁止しているとも示しており、照合の方式は製品を選ぶ際の確認点になります。
公表サイトで確認できるのは、事業者の氏名または名称、所在地、登録番号、登録年月日、登録取消年月日・登録失効年月日といった事項です。金額や税率、税額は公表事項に含まれません。税率と税額の突合は公表サイトとは無関係で、製品側の計算とチェックの話になります。
また、すべての支出にインボイスが必要なわけではありません。3万円未満の公共交通機関による旅客の運送や、従業員に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)などは、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます。帳簿にはその取引に該当する旨(「3万円未満の鉄道料金」など)を記載する必要があります。
従業員が立替払いをしたレシートの扱いにも、社内側の準備が関わります。国税庁は、宛名に従業員名が記載された適格簡易請求書について、従業員が自社に所属していることが明らかとなる名簿の保存が併せて行われていれば、その保存をもって請求書等の保存要件を満たすとして差し支えないとしています。
名簿がなく立替払いを行った従業員を特定できない場合は、従業員が作成した立替金精算書の交付を受けて保存することが必要になります。
導入前後に社内で決めておくこと(AIに任せる範囲と人が判断する範囲)
製品に何を求めるかを決めたら、次は自社側で決めておくことがあります。ここを曖昧にしたまま稼働させると、AIの判定と現場の運用がかみ合わず、確認の手間がかえって増えることがあります。
AIに任せる工程と人が判断する工程の線引き
先に決めておきたいのは、どの申請までを自動で通し、どこから人が見るのかという線です。金額の閾値で分けるのか、勘定科目で分けるのか、初めて登場する取引先を含むかどうかで分けるのか。基準がないまま動かすと、現場の判断がばらつきます。
あわせて、人が確認する側の姿勢も設計に含める必要があります。総務省と経済産業省がまとめたAI事業者ガイドラインでは、次の考え方が示されています。
AI の出力結果が公平性を欠くことがないよう、AI に単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させる利用を検討する。なおその際には、人間の判断が自動化バイアスに左右されないような対策を講じるべきである
出典:AI事業者ガイドライン(第1.2版)令和8年3月31日 第2部 C.共通の指針|総務省・経済産業省
同ガイドラインは、自動化バイアスを「人間の判断や意思決定において、自動化されたシステムや技術への過度の信頼や依存が生じる現象」と定義しています。対策の例としては、AIの評価や判断を人が承認する際に、承認する理由や根拠を自分で考えてから承認すべきことなどが挙げられています。AIが通した申請を人が形式的に押すだけの運用は、確認しているようで確認になっていません。
また、このガイドラインは法令ではなく、事業者の自主的な取り組みを促す指針として位置づけられています。義務として扱うものではありませんが、線引きを設計するときの考え方として参考になります。
出典・参考資料(1件)
規程の解釈が分かれる申請・例外的な支出の扱い
規程に書かれていない支出や、複数の解釈が成り立つ申請は必ず出てきます。深夜のタクシー利用や休日に発生した会食、通常の枠を超える宿泊費などです。こうした申請をAIがどう扱い、扱えないときに誰へ回すのかも、決めておく対象になります。
あわせて、AIが何を基準に判定しているのかを申請者に開示しておくと、現場の納得感が変わります。差し戻された理由が分からないまま再申請を繰り返す状態は、申請者にとっても経理にとっても負担です。判定の基準を社内で共有し、基準そのものへの疑義を受け付ける窓口を置いておくと、運用が回りやすくなります。
内部統制の観点で残すと決めておく記録
製品側に監査証跡が残っていても、何をどこまで確認して残すかは自社で決める部分です。上場企業に適用される内部統制報告制度の実施基準では、ITに組み込む統制について次のように定義されています。
ITに係る業務処理統制とは、業務を管理するシステムにおいて、承認された業務が全て正確に処理、記録されることを確保するために業務プロセスに組み込まれたITに係る内部統制である。
出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(令和5年4月7日)Ⅰ 6.ITへの対応|企業会計審議会
ITに係る業務処理統制の具体例としては、以下のような項目が挙げられる。
・ 入力情報の完全性、正確性、正当性等を確保する統制
・ 例外処理(エラー)の修正と再処理
・ マスタ・データの維持管理
・ システムの利用に関する認証、操作範囲の限定などアクセスの管理
具体例に「例外処理(エラー)の修正と再処理」が挙げられている点は、経費精算に引き寄せて読めます。AIの誤読や誤判定を直す動線そのものを、統制として設計するという読み方です。誰が直したのか、直す前の値は何だったのか、直した理由は残るのか。この3点は稼働前に決めておく必要があります。
この実施基準が適用されるのは金融商品取引法の内部統制報告制度が及ぶ企業で、目的も財務報告の信頼性に限られます。非上場の企業に同じ義務があるわけではありませんが、どの記録を残すかを決めるときの枠組みとしては使えます。
社内規程・申請フロー側の見直し
AIに規程との照合を任せるなら、規程の側が判定できる形になっているかの見直しが要ります。「常識の範囲内で」「必要に応じて」といった書き方が残っていると、判定の基準を作れません。金額の上限、対象となる場面、必要な添付書類を、条項ごとに具体化しておく必要があります。
申請フローの側も同じです。承認者が複数いる、拠点ごとにルートが違う、代理承認が慣習で行われているといった運用は、システムに載せる前に整理が要ります。製品に合わせて変える部分と、製品側で再現してもらう部分を、選定と並行して決めておくと、稼働までの手戻りが減ります。
従業員の立替払いに関わる書類の準備も、この段階で洗い出しておきたいところです。前章で触れた従業員名簿の保存のように、製品の機能だけでは完結せず、社内で用意するものがあるためです。
まとめ
「AI搭載」という表示だけでは、自社の月末が軽くなるかは分かりません。AIが担うのが入力までなのか、申請内容のチェックまでなのか、仕訳や一次承認まで及ぶのかで、効く場所が変わるためです。本記事で取り上げた20サービスのうち、提供元がAIの機能として説明しているのが入力の自動化までという製品が、最も多い層を占めています。
候補を絞るときは、自社の負担が申請者の入力側にあるのか、確認する側にあるのかを先に決めてください。そのうえで、読み取り精度の数値は測定条件とあわせて読み、公表がない製品では読み取れなかった分をどう埋める設計になっているかを見ます。AIの判定が外れたときに人がその意味を判断できる形で示されるか、直した記録が後からたどれるかも、月末の運用に効いてきます。
制度への対応は「対応済み」の一言では判断できません。紙の領収書を撮るのか、データで受け取るのかで満たすべき要件が変わり、JIIMA認証も種別によって意味が異なります。自社に上がってくる証憑の内訳を把握してから、製品の対応範囲を確かめてください。
比較表と診断ツールで候補を絞り込んだら、気になったサービスの資料をまとめて取り寄せ、社内の規程と申請量に照らして検討を進めてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. AI搭載の経費精算システムとは何ですか?
A. AI搭載の経費精算システムとは、領収書の読み取りや申請内容の確認など、これまで人が手を動かしていた工程の一部を機械学習の技術で肩代わりする経費精算システムです。
肩代わりする範囲は製品ごとに違い、領収書を読み取って申請フォームを埋めるところまでの製品、社内規程違反や二重申請の判定まで行う製品、勘定科目の判定や一次承認まで実行する製品に分かれます。同じ「AI搭載」でも自動化される工程が違うため、自社の負担がどの工程にあるかを先に決めておくと候補を絞りやすくなります。
Q. AI搭載の経費精算システムを導入すれば、経費精算はAIだけで完全に自動化できますか?
A. AI搭載の経費精算システムでも、経費精算のすべてをAIだけで完結させることはできません。規程に書かれていない支出や、複数の解釈が成り立つ申請は必ず出るためです。
総務省・経済産業省のAI事業者ガイドラインも、AIに単独で判断させるだけでなく適切なタイミングで人間の判断を介在させる利用を検討すること、その際に人間の判断が自動化バイアスに左右されないような対策を講じるべきことを示しています(AI事業者ガイドライン(第1.2版)令和8年3月31日 第2部 C.共通の指針|総務省・経済産業省)。
同ガイドラインは法令ではなく事業者の自主的な取り組みを促す指針ですが、線引きを設計するときの考え方として参考になります。
製品を選ぶときは「どこまで自動化できるか」だけでなく、AIが扱えない申請を誰にどう回すのかまで含めて確認してください。
Q. AI搭載の経費精算システムで、入力の自動化だけを備えた製品でも経理の確認工数は減りますか?
A. 入力の自動化だけを備えた製品では、経理側の確認工数はあまり減りません。申請の中身を1件ずつ見る作業がそのまま残るためです。
読み取りの自動化で軽くなるのは、主に申請者の入力と入力起因の差し戻しです。月末に工数が集中する側の負担は、規程違反・添付漏れ・二重申請が申請の段階でふるい落とされて初めて動きます。本記事で取り上げた20サービスのうち11は、提供元がAIの機能として説明しているのが入力の自動化までにとどまる製品でした。
自社の負担が申請者の入力側にあるのか、確認する側にあるのかを見極めてから、必要な工程を担える製品を選んでください。
Q. AI搭載の経費精算システムで、読み取り精度が公表されていない製品はどう判断すればよいですか?
A. 読み取り精度の数値が公表されていない製品でも、数値の有無だけで優劣は判断できません。公表されている数値どうしも、測定条件が示されていなければ比べられないためです。
総務省のガイドブックには、同じ帳票を対象にした同じ検証で、正読率が文字単位では93.41%、項目単位では89.11%と記録されています(自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(令和7年12月・第4版)事例18|総務省)。何を1件と数えるかで数値が動くということです。
また、電子帳簿保存法の「4ポイントの大きさの文字を認識することができること」という要件は、保存した画像を人が読み取れるかという見読性の基準であって、AI-OCRがテキストを正しく抽出できるかを測るものではありません(電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和8年7月)問39|国税庁)。
数値を並べるより、読み取れなかった分をどう埋める設計になっているか——申請者が修正する画面の分かりやすさ、オペレーターによる入力代行の有無とその費用・所要日数——を確認するほうが、導入後の実感に近づきます。
Q. AI搭載の経費精算システムのAIが読み取りや判定を間違えたとき、その申請はどう扱われますか?
A. AIの確信度が低いときに人へ回すのか、判定結果のまま処理を進めるのかは製品ごとに設計が異なるため、比較検討の段階で個別に確認する必要があります。
あわせて見ておきたいのが、自動チェックの指摘が必ずしも不備を意味しない場面があることです。
たとえば登録番号の照合では、レシートの屋号と国税庁の公表サイトの表示名が一致しないことがふつうに起きますが、国税庁は登録番号の有効性が確認できれば一義的には有効な適格請求書等として取り扱って差し支えないとしています(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和8年5月改訂)問21-2|国税庁)。
自動チェックが「要確認」を返したときに、人がその意味を判断できる形で提示されるかどうかが、運用の負担を左右します。
Q. AI搭載の経費精算システムでは、AIが誤読した申請を後から修正した履歴は残りますか?
A. 修正履歴が残るかどうかに法令上の一律の答えはなく、その領収書を電子帳簿保存法のどちらの制度で保存しているかによって求められる水準が変わります。実際に履歴が残る作りかは、製品ごとの確認が必要です。
紙の領収書を撮影して保存するスキャナ保存では、ヴァージョン管理(訂正又は削除の事実及び内容の確認等、規2⑥二ハ)が要件のひとつとして必要です。一方、メールやサイトから受け取ったデータを保存する電子取引データ保存では、訂正削除の記録が残るシステムの利用は四つの措置のうちの一つという位置づけで、しかもそのシステムでデータの授受と保存の両方を行っている場合に限られます(規4①三)。
国税庁は、履歴の確保を満たすシステムの例として、訂正・削除前の記録事項について記録・保存を行うとともに事後に検索・閲覧・出力ができるシステムを挙げています。直す前の値を残すだけでなく、後から探して見られる状態までが求められるということです。
Q. AI搭載の経費精算システムのAI機能は、基本料金に含まれますか?
A. AI機能の料金の扱いは製品によって分かれ、基本料金に含まれる製品と、オプションとして別に課金される製品があります。
オプション扱いの場合、課金の単位は利用人数あたりの月額か、年間で読み取れる枚数の枠を月額いくらで買う形が中心です。前者は全社に展開するほど積み上がり、後者は領収書の枚数が多い企業ほど効いてきます。
基本料金に含まれる製品でも、10IDにつき領収書の読み取りは月100回まで、といった利用量の上限が設定されていることがあり、超過分は有償のオプションになります。オペレーターによる入力代行を併用する製品では、そこにも費用が発生します。
月あたりの領収書の枚数を先に見積もっておくと、上限や追加費用が自社に見合うかを判断できます。ただし、料金を非公開とし問い合わせで案内する製品も複数あるため、公開されている料金だけで候補を絞らないよう注意してください。
Q. AI-OCRやRPAだけでも経費精算は自動化できますか?
A. AI-OCRやRPAだけでも入力や転記の作業は減らせますが、申請から承認・保存までを一貫して扱うには、承認履歴の記録と証憑の保存・検索の仕組みを別に手当てする必要があります。
電子帳簿保存法は、電子取引データの保存にあたって、取引年月日その他の日付・取引金額・取引先を検索の条件として設定できることなどを求めています(電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月)問48|国税庁)。読み取りや転記の道具は、この保存と検索の要件までは面倒を見ません。
すでに稼働している仕組みに読み取りだけを足したいのか、申請から保存までを1つのシステムに載せたいのかで、選ぶ手段が変わります。
Q. ChatGPTなどの汎用AIで経費申請のチェックを自動化できますか?
A. 汎用AIでも領収書の文字を読み取ることはできますが、承認の記録を残し、証憑を検索できる形で保存し、会計システムへ仕訳を渡すところまでは代替できません。
経費精算に求められるのは読み取りだけではなく、誰がいつ何を承認したかの記録と、法令が求める形での証憑の保存までを含みます。汎用AIとのやり取りには、これらが伴いません。専用システムの代わりというより、専用システムが扱わない場面を補う道具として位置づけるほうが実態に合います。
Q. エクセルでも経費精算を自動化できますか?
A. エクセルでも計算式やテンプレートで集計を効率化することはできますが、承認履歴の管理、証憑の保存と検索、会計システムへの受け渡しまでを含めると、シートの外で運用ルールを作り込む必要が出てきます。
電子取引データの保存では、日付・取引金額・取引先を検索の条件として設定できることが要件とされており、ファイル名の付け方や索引簿による運用で対応する方法もあります。ただし、件数が増えるほどこの運用そのものが負担になります。申請件数が月に数百件に達し、規程に沿った確認に時間がかかっているなら、システムでまとめて扱うほうが現実的です。
Q. AI搭載の経費精算システムを導入すれば電子帳簿保存法に対応できますか?
A. AI機能の有無と電子帳簿保存法への対応は別の話で、「対応済み」という表示だけでは自社の要件を満たせるかは判断できません。
紙の領収書を撮影して保存するスキャナ保存と、メールやサイトから受け取ったデータを保存する電子取引データ保存では、満たすべき要件が違います。多くの企業では両方が混在するため、自社に上がってくる証憑の内訳を把握したうえで、製品の対応範囲を確かめる順序になります。
JIIMA認証は手がかりになりますが、認証は電子帳簿・スキャナ保存・電子書類・電子取引・デジタルシームレス保存の5種類に分かれており、種別まで見ないと意味が変わります。
国税庁も、認証を受けた製品であっても初期設定や設定変更によって機能要件を満たさなくなる場合があること、システム関係書類の備付けなど機能以外の要件も満たす必要があることを注記しています(電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(令和8年7月)問60・問61|国税庁)。
Q. AI搭載の経費精算システムでインボイス制度に対応するとき、確認すべき点は何ですか?
A. インボイス制度への対応では、AIによる要件チェックが一律の項目照合になっていないかを確認してください。経費精算で上がってくる領収書やレシートの多くは適格請求書ではなく適格簡易請求書にあたり、必要な記載事項が異なるためです。
適格簡易請求書では、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称(宛名)の記載が不要で、税率ごとに区分した消費税額等と適用税率はいずれか一方の記載で足ります(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和8年5月改訂)問58|国税庁)。「宛名がない」「税額の記載がない」という指摘が出ても、それが不備とは限りません。
あわせて、すべての支出にインボイスが必要なわけではない点も押さえておきます。3万円未満の公共交通機関による旅客の運送や、従業員に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)などは、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます。
登録番号の照合については、国税庁が公表サイトのWeb-API機能または公表情報ダウンロード機能の利用を挙げており、製品がどの方式で照合しているかも確認点になります。
Q. 中小企業でもAI搭載の経費精算システムを導入する価値はありますか?
A. 中小企業でも導入する価値はありますが、企業規模そのものより、申請件数と社内規程の複雑さで必要なタイプが変わります。
少人数でも領収書の枚数が多い企業なら、入力を自動化するタイプだけでも効果が出ます。一方、確認する側の負担が重い企業では、規程違反や二重申請の判定まで扱えないと、月末の作業はあまり動きません。この見極めは従業員数では決まりません。
料金の面では、利用人数の下限が設定されている製品や、最低利用料金が高めに設定されている製品もあります。少人数の企業ほど、読み取り件数の上限やオプションの課金単位が総額にどう効くかを、資料で確かめてから判断してください。
Q. AI搭載の経費精算システムの導入にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 導入までの期間は製品と自社の準備状況によって大きく変わり、期間を左右するのは主に、承認フローの再現と、AIに判定させる条件を自社の規程に合わせて詰める作業です。
金額や部門による承認ルートの分岐、多段階の承認、代理承認といった運用をそのまま設定できるかで、初期の作業量が決まります。加えて、規程の側に「常識の範囲内で」といった書き方が残っていると判定の基準を作れないため、条項の具体化が先に必要になります。会計ソフトや法人カードとの連携設定、証憑の受け取り方の棚卸しも同じ時期に発生します。
この作業を自社だけで進めるのか、提供元が伴走するのかで稼働までの期間は変わります。導入支援の範囲と稼働後の問い合わせ窓口を、選定の段階で確認しておいてください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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