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売掛金回収を弁護士に依頼するメリットとは?費用相場・使わない方がよいケースと他の回収手段を解説

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督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)のプレビュー

主要21サービスの料金・機能を無料で一覧比較

督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)

取引先に商品やサービスを納めたのに、支払期日を過ぎても売掛金が入金されない。督促の電話やメールを重ねても反応が薄く、自社の対応では回収が進まない。東京をはじめ都市部の企業間取引では、こうした未回収の売掛金を抱えて頭を悩ませる経営者や経理・管理部門の担当者が少なくありません。

回収の手段として最初に思い浮かぶのが「弁護士への依頼」です。ただ、実際に依頼すると自社で督促を続けるのと何がどう変わるのか、費用はいくらかかり、どのくらいの金額から依頼が見合うのかは、調べてもはっきりしないことが多いのではないでしょうか。

本記事では、売掛金の回収を弁護士に依頼するメリットを自社対応との違いから整理し、費用相場と費用対効果、弁護士に依頼しない方がよいケースまでを解説します。あわせて、弁護士が割に合わない少額・多数の未入金や継続取引先に向けて、督促の自動化や回収代行といった弁護士以外の手段も比較します。自社のケースに合った回収の進め方を判断する材料としてご活用ください。

売掛金回収を弁護士に依頼するメリット(自社の督促と何が変わるか)

売掛金の回収を弁護士に依頼すると、自社で督促を続ける場合と何が変わるのか。効き目のはっきりした4つのポイントに分けて見ていきます。

弁護士名義の請求で相手の対応が変わる

最も分かりやすい変化は、請求の差出人が「自社」から「弁護士」に変わることによる相手の受け止め方です。自社からの督促を無視していた取引先も、弁護士名で内容証明郵便が届くと「支払わなければ法的手続きに進む」という意思が伝わり、任意の支払いや分割の相談に応じるケースが出てきます。

弁護士は、支払いに応じない相手に対して交渉から法的手続きまで一貫して代理できます。「請求書を送り直す」段階で止まりがちな自社対応と違い、次の一手(支払督促・訴訟など)まで見据えた圧力を最初からかけられる点が違いです。

時効の完成を防ぐ手続きを確実に打てる

売掛金などの債権は、一定期間放置すると消滅時効にかかり、法律上は請求できなくなります。民法では、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年で時効によって消滅すると定められています。企業間取引の売掛金は支払期日が分かっているため、実務上は5年で時効にかかると考えておく必要があります。

(債権等の消滅時効)第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)第百六十六条|e-Gov法令検索

時効を止めるには、内容証明郵便による催告で6箇月の完成猶予を得たうえで、その間に裁判上の請求や支払督促といった手続きを取り、時効を更新(リセット)する必要があります。弁護士に依頼すれば、時効の残り期間を見て「まず催告で猶予を得て、その間に訴訟を起こす」といった段取りを確実に進められ、手続きの取りこぼしで債権を失うリスクを避けられます。

時効を止める手続きの詳しい仕組みは、後半の段階的な進め方と時効・証拠で解説します。

内容証明から強制執行までの法的手続きを代行してもらえる

相手が任意の支払いに応じない場合、回収は内容証明郵便による催告から、支払督促・少額訴訟・通常訴訟、そして財産の差押え(強制執行)へと段階的に進みます。これらは書式や期限が決まった裁判所の手続きで、自社の担当者が本業と並行して不備なく進めるのは負担が大きい領域です。

弁護士に依頼すれば、どの手続きが自社のケースに適しているかの判断から、書類の作成・裁判所への申立て・相手方との対応までを任せられます。特に、差押えによる強制的な回収には確定判決などの「債務名義」が必要で、この債務名義を取るための手続きを代理できるのは弁護士(一部は認定司法書士)に限られます。

取引先との交渉を任せて本業に戻れる

未回収の売掛金への対応は、督促の電話や交渉に時間と精神的な負担がかかり、担当者が本来の業務に集中できなくなりがちです。弁護士に依頼すると、相手方とのやり取りの窓口が弁護士に移り、支払いの督促や交渉から解放されます。

感情的になりやすい当事者同士の交渉を第三者である弁護士に委ねることで、冷静な条件交渉がしやすくなる面もあります。回収に費やしていた時間を本業に振り向けられることも、依頼の実務的なメリットです。

弁護士に依頼した場合の費用相場と費用対効果

弁護士への依頼を検討するうえで避けて通れないのが費用です。着手金・報酬金という費用の構造と金額の目安、そして回収額いくらから依頼が見合うのかという費用対効果を見ていきます。

着手金・報酬金という費用の構造

弁護士費用は、依頼時に支払う「着手金」と、回収に成功した場合に支払う「報酬金(成功報酬)」の2つが基本です。着手金は結果にかかわらず手続きを進めるために先に支払う費用で、報酬金は回収できた金額に応じて支払う成功報酬です。回収できなければ報酬金は発生しません。このほか、内容証明郵便の作成費用や、訴訟を起こす際の印紙代・郵券などの実費がかかります。

かつては弁護士会が統一的な報酬基準を定めていましたが、2004年(平成16年)4月に廃止され、現在は各弁護士・事務所が自由に料金を設定しています。そのため費用は依頼先によって異なり、正確な金額は見積もりで確認する必要があります。

2004年4月1日から弁護士会の「報酬基準」は廃止され、弁護士はそれぞれ自由に料金を定められるようになりました。
「着手金」は、結果に成功・不成功があるときに、結果にかかわらず弁護士が手続を進めるために着手時に支払う、いわばファイトマネーです。……「報酬金」は、結果の成功の程度に応じて支払う成功報酬のことです。したがって、完全に敗訴となれば、報酬金は発生しません。

出典:市民のための弁護士報酬ガイド|日本弁護士連合会

着手金と報酬金は、いずれも回収を目指す金額(請求額)や実際に回収できた金額に応じて決まるのが一般的です。したがって、請求額が大きいほど費用の絶対額も大きくなり、逆に少額の債権では着手金だけで回収見込み額の相当部分を占めることもあります。

金額の目安として、日本弁護士連合会が2008年に実施したアンケートでは、300万円を貸して返してもらえず返還を請求したケースについて、弁護士名で内容証明郵便を出す場合の手数料は2万〜3万円という回答が最も多くなっています。

さらに訴訟を起こして全額を回収した場合は、着手金20万円前後・報酬金30万円前後との回答が最多でした。あくまで一例で、現在は各事務所が自由に料金を設定しているため、実際の金額は依頼前の見積もりで着手金・報酬金・実費の合計を確認する必要があります。

出典・参考資料(1件)

回収額いくらならペイするか(費用対効果の考え方)

弁護士に依頼するかどうかは、「回収できる見込み額」から「弁護士費用と実費」を差し引いて手元に残る額で決まります。着手金は回収の成否にかかわらず先に発生するため、回収見込みが立たない相手に依頼すると、費用倒れ(かけた費用のほうが回収額を上回る状態)になりかねません。

判断の目安になるのは、次の3点です。相手に支払える資力があるか、請求額が着手金・報酬金や実費を差し引いても手元に残る規模か、そして時効までの残り期間に余裕があるか。

先ほどの費用感からすると、回収額が数万円から十数万円程度にとどまる少額債権では、着手金と実費だけで回収額の大半が消えて費用倒れになりやすいため、自社での内容証明や少額訴訟、督促自動化サービスなど費用を抑えた手段のほうが向きます。数十万円以上の債権で相手に資力がある場合は、弁護士への依頼が見合いやすくなります。次章で、依頼しない方がよいケースと代替手段を見ていきます。

弁護士だけでなく、サービサーや回収代行に頼んだ場合の手数料相場や、費用倒れになる金額の目安まで踏み込んで知りたい場合は、以下の記事で依頼先ごとの費用を整理しています。

料金や機能は各社の資料でまとめて比較できます 【無料】督促・売掛金回収代行の資料を
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弁護士に依頼しない方がよいケースと他の回収手段

弁護士への依頼は有効な手段ですが、すべてのケースで最善とは限りません。ここでは、弁護士に依頼しない方がよい代表的なケースと、それぞれに合う代替手段を整理します。

相手が無資力・倒産寸前で回収可能性が低い

相手に支払う資力がなく、倒産寸前の状態では、たとえ勝訴して差押えの手続きを取っても、差し押さえる財産がなければ回収はできません。この場合、着手金や実費だけが持ち出しになり、費用倒れになる可能性が高くなります。相手の資力に不安があるときは、弁護士に依頼する前に、取引先の支払能力や財産の有無を確認することが先決です。

回収額がごく少額で弁護士費用が見合わない

数万円から十数万円程度の少額債権では、着手金や実費が回収見込み額に対して割高になり、手元に残る額が小さくなりがちです。こうした少額の未入金には、自社で内容証明郵便を送る、支払督促や少額訴訟を自分で申し立てる、あるいは後述の督促自動化サービスを使うといった、費用を抑えた手段のほうが向いています。

継続取引先で関係を壊したくない

今後も取引を続けたい相手に対していきなり弁護士名で請求すると、相手が態度を硬化させ、取引関係そのものが終わってしまうおそれがあります。一時的な資金繰りの問題で支払いが遅れている継続取引先には、まずは自社からのていねいな督促や、事務的なリマインドで支払いを促す方が、関係を保ちながら回収できることがあります。

多数の未入金を継続的に回したい(少額多数の債権)

取引先や利用者が多く、少額の未入金が毎月多数発生する事業では、1件ずつ弁護士に依頼するのは現実的ではありません。こうしたケースでは、督促の連絡(メール・SMS・電話・郵送)を仕組みで自動化したり、請求から回収までを外部に委託したりする方が、人手をかけずに継続的に回収を回せます。具体的なサービスは、記事後半のサービスで自社の督促・回収を仕組み化するで紹介します。

「回収代行サービスに任せたいが、他人の債権を代わりに回収するのは違法ではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。売掛金の回収を報酬を得て代行できるのは、法律で認められた立場の者に限られます。弁護士・サービサー・認定司法書士という3者と、無許可業者との線引きを条文で確認します。

売掛金の回収を代行できる立場の整理。弁護士は債権の種類・金額に制限なく交渉から強制執行まで対応、認定司法書士は140万円以下の請求、サービサー(債権回収会社)は特定金銭債権のみで通常の売掛金は原則対象外、無資格の業者が報酬を得て代行するのは非弁行為で違法、という4区分を示した図解。

弁護士(回収できる債権に制限がない)

他人の債権の回収を、報酬を得て代理・交渉できる基本的な担い手が弁護士です。弁護士は債権の種類や金額に制限がなく、内容証明の作成から交渉、支払督促・訴訟・強制執行までを一貫して代理できます。次に述べるサービサーや認定司法書士は、いずれも弁護士法の例外として、限られた範囲で回収を扱える立場です。

サービサー(債権回収会社)は許可制で、対象は特定金銭債権に限られる

サービサー(債権回収会社)は、債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)に基づき、法務大臣の許可を受けた株式会社だけが営める業態です。弁護士法の特例として、他人から委託・譲受した債権の回収を業として行えます。

(営業の許可)第三条 債権管理回収業は、法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ、営むことができない。

出典:債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)第三条|e-Gov法令検索

ただし、サービサーが扱えるのは「特定金銭債権」に限られる点に注意が必要です。特定金銭債権とは、法務省の説明によれば、金融機関等の貸付債権、リース・クレジット債権、SPC(特定目的会社)が保有する債権などを指し、法律で範囲が限定されています。

企業間取引で発生する通常の売掛金(商品・サービスの掛け代金)は、原則としてこの特定金銭債権には含まれません。そのため、自社の売掛金の回収先としてサービサーを検討しても、対象外となるのが一般的です。

出典・参考資料(1件)

認定司法書士は140万円までの請求を扱える

法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)は、簡易裁判所で扱える範囲の請求について、代理や交渉ができます。その上限が140万円です。この金額は司法書士法そのものではなく、簡易裁判所の裁判権を定めた裁判所法に由来します。

(裁判権)第三十三条 簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
一 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)

出典:裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第三十三条|e-Gov法令検索

認定司法書士が簡易裁判所の訴訟代理などを行えるのは、司法書士法第3条2項に基づき法務大臣の認定を受けた者に限られます。請求額が140万円を超える債権は、認定司法書士の代理権の範囲を超えるため、弁護士に依頼することになります。

出典・参考資料(1件)

無資格の代行は違法(非弁行為)/悪質業者を見分ける

弁護士・サービサー・認定司法書士のいずれにも当たらない者が、報酬を得て他人の債権回収を業として行うことは、弁護士法が禁じる「非弁行為」に当たり違法です。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

出典:弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条|e-Gov法令検索

この規定に違反した場合、弁護士法第77条により2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められています。サービサー法や司法書士法による回収は、第72条ただし書の「他の法律に別段の定めがある場合」に当たる例外です。

「債権を買い取って回収します」「どんな債権でも回収代行します」とうたう無許可の業者は、非弁行為に該当するおそれがあります。依頼先を選ぶときは、弁護士か、法務大臣の許可を受けたサービサーか、認定司法書士かを確認し、資格・許可のない業者への依頼は避けてください。

出典・参考資料(1件)

なお、後述する督促自動化サービスや請求代行サービスは、自社(債権者)に代わって督促の連絡や請求事務を行うもので、督促段階での対応にとどめる、弁護士法人と連携するなど、非弁行為に当たらない形で設計されています。どの範囲までを代行しているかは、各サービスの説明で確認できます。

売掛金の回収手段を横断比較(自社督促・督促自動化・回収代行・弁護士)

売掛金の回収には、弁護士への依頼以外にもいくつかの手段があります。それぞれの費用・スピード・回収可能性・向いているケースを並べて、自社に合う手段を選ぶための視点を示します。

回収手段のタイプ別比較

以下は、売掛金の主な回収手段を、手段のタイプごとに比較した表です。実際の費用や適否はケースによって異なるため、大まかな傾向として捉えてください。

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自社での督促(電話・メール・内容証明)督促自動化サービス(メール・SMS・自動架電・郵送)請求・回収代行サービス(請求代行)弁護士・認定司法書士への依頼ファクタリング(売掛債権の早期資金化)
費用の目安低い(内容証明の実費程度)月額制・従量制(比較的低い)月額+手数料(回収額の数%〜)着手金+報酬金+実費手数料(買取額に対する割合)
着手までのスピード速い速い契約後は継続運用相談・受任後速い
回収可能性相手の任意の支払い次第初期〜中期督促の反応率を高める与信・保証と組み合わせて未回収リスクを軽減法的手続き・強制執行まで対応でき高い回収ではなく債権の売却による早期資金化
向いているケース支払い忘れ・一時的な遅延/継続取引先との関係を保ちたい少額・多数の未入金を継続的に回したい請求から回収までを丸ごと外部に委託したい高額債権/相手が支払いに応じない/法的手続きが必要回収を待たず先に資金化したい(支払期日前の債権が中心)

※上記は各手段の一般的な傾向です。実際の費用・対応範囲・適否は個別の状況や各サービス・依頼先により異なるため、詳細は各社・各事務所の情報をご確認ください。

大まかな使い分けは次のとおりです。相手が支払いに応じず法的手続きが必要な高額債権は弁護士、少額・多数の未入金は督促自動化、請求から回収までまとめて外部に任せたい場合は請求・回収代行、回収を待たず資金を確保したい場合はファクタリングが向きます。これらは排他的ではなく、日常の未入金は督促自動化で回し、こじれた高額案件だけ弁護士に、といった組み合わせも有効です。

回収を待たずに売掛債権を売却して早期に資金化するファクタリングについては、以下の記事で会社ごとの手数料や入金スピードを比較しています。

依頼先を選ぶときに見る点

弁護士や回収代行の依頼先を選ぶときは、次の点を確認すると自社に合う相手を見極めやすくなります。第一に、債権回収の実績・専門性です。BtoBの売掛金回収や自社の業界の取引慣行を扱った経験が豊富かどうかで、交渉や手続きの進め方が変わります。第二に、料金体系の明朗さです。着手金・報酬金・実費の内訳や、回収できなかった場合の費用を、依頼前に明確に説明してくれるかが選ぶ際のポイントになります。

第三に、対応の速さと連絡のしやすさです。時効が迫っている場合は特に、相談から着手までのスピードが回収の成否を左右します。東京など都市部では近くの事務所に相談できる利点がありますが、近年はオンラインでの打ち合わせに対応する事務所も増えているため、物理的な距離だけでなくサポート体制の充実度もあわせて見るとよいでしょう。

はじめて依頼する場合は、初回の相談を無料で受け付けている事務所も多いため、複数の事務所に相談して費用の見積もりと対応方針を比べると、依頼先を選びやすくなります。債権回収に対応する弁護士は、各地の弁護士会が運営する法律相談の窓口などから探すこともできます。特に単発で金額の大きい焦げ付きは、早い段階で弁護士に相談し、内容証明から法的手続きまでの方針を立てるのが有効です。

サービスで自社の督促・回収を仕組み化する

少額・多数の未入金や継続取引先への対応など、弁護士への依頼が割に合わないケースでは、督促や回収を仕組みで回すサービスが現実的な打ち手になります。ここでは、督促の連絡を自動化するサービスと、請求から回収までを代行するサービスを紹介します。

以下は、今回紹介する督促・回収サービスの比較表です。

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サービス名請求まるなげロボDHKクラウドオートコール債権回収ロボ
提供会社株式会社ROBOT PAYMENT株式会社電話放送局株式会社ROBOT PAYMENT
タイプ請求・回収代行+売掛金保証督促自動化(オートコール・IVR)多チャネル督促自動化(SaaS)
督促の手段メール・電話+弁護士法人による対応自動架電(オートコール・IVR)+SMS・メールメール・SMS・オートコール(IVR)・郵送の4チャネル
初期費用要問い合わせ50,000円〜要問い合わせ
月額費用月額利用料+手数料1.0%〜
(請求件数により変動)
50,000円〜
(月1,000件の応答まで含む)
要問い合わせ
売掛金保証●適格・与信通過債権に限り100%保証××
向いているケース新規取引先の与信から請求・回収・保証まで
まとめて外部に委託したい
少額・多数の入金案内を
無人の自動架電で回したい
督促の連絡を複数チャネルで仕組み化し
回収業務の工数を抑えたい
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

※料金・対応範囲・保証の条件は各社公式情報にもとづく2026年9月時点の情報です。最新の内容は各サービスの公式情報をご確認ください。

ここで取り上げた3サービスは、督促・回収を仕組み化する手段の一例です。依頼先のタイプ別の選び方や費用相場まで含めて、回収代行サービスを広く比較したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。

1. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求まるなげロボのウェブサイト

請求まるなげロボは、企業間取引の与信審査から請求書の発行・送付、代金回収、入金消込、督促までを株式会社ROBOT PAYMENTが代行する、請求業務の外部委託サービスです。督促は同社の担当窓口によるメール・電話に加え、弁護士法人が対応する体制をとっています。

特徴は、自社の審査で適格債権と判断され、かつ与信を通過した債権については、取引先からの入金の有無にかかわらず売掛金が支払われる保証がある点です。ただし保証されるのは適格債権かつ与信通過分に限られ、すでに焦げ付いた特定の売掛金を遡って回収する仕組みではありません。

新規取引先の与信を外部に委ね、今後の請求から回収・保証までをまとめて任せたい場合に向いています。与信を通過しなかった取引先分も、同じプラットフォーム上で請求書の発行・送付・入金消込を自社管理できます。

料金は月額利用料に加え、手数料が1.0%〜(取り扱う商材や金額により個別に算出)という体系です。与信審査は3営業日以内に行われ、毎月5営業日までに依頼した請求は当月末に支払われるサイクルで運用されます。

2. DHKクラウドオートコール(株式会社電話放送局)

DHKクラウドオートコール(オートコールIVR)のウェブサイト

DHKクラウドオートコールは、こちらから電話をかける発信業務を自動音声(IVR)で自動化する自動架電サービスです。取引先への入金案内や支払いのリマインドを、オペレーターの手をかけずに大量に発信できます。企業間取引の未収金のほか、家賃・公共料金・後払い決済など、定期的に発生する未収金の初期督促に使われています。

課金は「応答課金」を基本としており、たとえば100件架電して30件が応答した場合は30件分の課金となる考え方です。料金プランの目安は月額50,000円〜で、月間1,000件までの応答を含み、1,001件目からは固定電話21円・携帯電話32円(いずれも1件あたり)の従量課金が加わります。

Web管理画面から音声やコールフローの設定変更、応答データの確認ができ、API連携で既存システムに自動架電機能を組み込むこともできます。人手のかかる督促電話を仕組み化し、少額・多数の入金案内を無人で回したい場合に適しています。

督促の自動化を進める際に、取引先とのやり取りや顧客体験をどう扱うかについて、同サービスを提供する電話放送局の前田氏は次のように述べています。

前田氏
株式会社電話放送局 営業部 営業推進課 課長
前田氏
独自インタビューより

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。……だからこそ、まずは“自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。オートコールは使い方を間違えると社会問題になりかねません。だから当社としては、用途の相性を見極めて、やめた方がいいケースは止める。その線引きも含めて一緒に考えています。

3. 債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボのウェブサイト

債権回収ロボは、未入金の督促・回収業務を自動化するSaaSです。メール・SMS・オートコール(自動音声)・郵送の4つのチャネルを組み合わせた督促シナリオを設計し、自動で実行します。督促の連絡状況や取引先ごとの受信・返信履歴を一元管理でき、属人化しやすい督促業務を標準化できる点が特徴です。

債務者の決済手段や過去の支払い履歴に基づいて、最適なリマインドのタイミングを導く催促スケジュールの最適化技術で特許出願を行っています。同社の請求管理ロボとオプションのコネクターで連携すれば、請求から督促・回収までを一元管理することも可能です。

BtoBの売掛金からBtoCの継続課金の回収まで、幅広い未入金の督促に導入実績があります。督促の連絡を仕組みで回し、回収業務の工数を抑えたい事業者に向いています。

売掛金回収の段階的な進め方と時効・証拠

実際に売掛金を回収する際は、いきなり訴訟を起こすのではなく、段階を踏んで進めるのが一般的です。回収の流れと、途中で失敗しないための時効・証拠のポイントを見ていきます。自分で対応する場合の進め方の目安にもなります。

請求書→催促→内容証明→支払督促/少額訴訟→訴訟→強制執行の流れ

回収はまず、請求書の再送付や電話・メールでの催促から始めます。反応がなければ、内容証明郵便で正式に支払いを求めます。それでも支払われない場合は、裁判所を通じた手続きに進みます。代表的なのが支払督促と少額訴訟です。

売掛金回収を段階的に進める流れの図解。STEP1 請求書の再送付や電話・メールでの催促、STEP2 内容証明郵便で正式に請求し時効を6箇月猶予、STEP3 支払督促や少額訴訟など裁判所を通じた手続き、STEP4 争いがあれば通常訴訟に移行して判決を得る、STEP5 債務名義に基づく強制執行で財産を差し押さえて回収、という5段階を矢印でつないで示す。

支払督促は、裁判所書記官が債権者の申立てに基づいて相手方に支払いを命じる手続きで、書類審査のみで進みます。裁判所は次のように説明しています。

金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、支払督促を発する手続であり、債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます。

出典:支払督促|裁判所

支払督促は簡便で費用も抑えられますが、相手が2週間以内に異議を申し立てると、通常の民事訴訟に移行します。一方、少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に使える手続きで、原則として1回の審理で判決が出ます。ただし、同じ簡易裁判所で同じ年に利用できる回数は1人あたり10回までに制限されています。

(少額訴訟の要件等)第三百六十八条 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。

出典:民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三百六十八条|e-Gov法令検索

判決や仮執行宣言付きの支払督促などで「債務名義」を得ると、相手の預金や売掛金などの財産を差し押さえる強制執行に進めます。強制執行には債務名義が必要で、これは民事執行法で定められています。

どの段階で解決するかによって、回収までにかかる期間は変わります。内容証明を受けて相手が支払いに応じれば数週間で片づくこともありますが、支払督促や訴訟に進むと、相手の対応しだいで結論が出るまで数か月以上かかることもあります。急ぐ場合ほど、早い段階で着手することが大切です。

内容証明郵便の効力の限界(強制力はなく心理的圧力にとどまる)

内容証明郵便は「いつ・誰が・どんな内容の請求をしたか」を郵便局が証明するもので、時効の完成を一時的に猶予する催告としての効力や、相手への心理的な圧力としての効果があります。ただし、内容証明郵便そのものに支払いを強制する力はありません。強制執行によって財産を差し押さえるには、確定判決や仮執行宣言を付した支払督促などの債務名義が必要で、内容証明郵便はこれに含まれないためです。

つまり内容証明郵便は、回収の第一歩として有効ですが、それだけで回収が完了するわけではありません。相手が応じない場合は、催告で得た6箇月の猶予の間に支払督促や訴訟へ進む必要があります。

出典・参考資料(2件)

時効(消滅時効・完成猶予)と証拠書類の準備

前述のとおり、売掛金は原則5年で消滅時効にかかります。時効が迫っている場合、内容証明郵便による催告を行えば、その時から6箇月間は時効の完成が猶予されます。ただし、この猶予は一度きりで、再度の催告では効力が生じません。

(催告による時効の完成猶予)第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)第百五十条|e-Gov法令検索

猶予されている6箇月の間に裁判上の請求や支払督促を行えば、権利が確定するまで時効の完成が猶予され、確定すれば時効はそこから新たに進行し直します(更新)。また、相手が債務の存在を認めた場合(一部弁済や支払猶予の申し入れなど)も、その時点から時効が更新されます。時効を止めるには、催告で稼いだ6箇月の間に確実に次の手続きへ進むことが重要です。

あわせて、回収を有利に進めるには証拠書類の準備が欠かせません。契約書・発注書・納品書・請求書・取引先とのやり取りの記録などがそろっていれば、支払督促や訴訟をスムーズに進められます。日頃から取引の記録を残しておくことが、いざというときの回収可能性を高めます。

出典・参考資料(1件)

まとめ

売掛金の回収を弁護士に依頼すると、弁護士名義の請求による圧力、時効を止める手続き、内容証明から強制執行までの法的手続きの代行、交渉からの解放といったメリットが得られます。一方で、着手金・報酬金がかかるため、相手が無資力の場合や回収額がごく少額の場合は費用倒れになりやすく、弁護士以外の手段が向くこともあります。

少額・多数の未入金や継続取引先への対応には、督促の連絡を自動化するサービスや、請求から回収までを代行するサービスが現実的な選択肢です。自社のケース(回収額・相手の資力・取引継続の意思・急ぎ度)に照らして、弁護士・回収代行・督促自動化を使い分けることが、無理なく回収を進めるうえで有効です。まずは自社に合いそうなサービスの資料を取り寄せ、費用や対応範囲を比較することから始めてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 売掛金の回収を弁護士以外の業者に代行してもらうのは違法ではないですか?

A. 売掛金の回収を報酬を得て代行できるのは、弁護士、法務大臣の許可を受けたサービサー(債権回収会社)、請求額140万円までの認定司法書士に限られ、これらの資格・許可を持たない業者が報酬を得て回収を代行することは「非弁行為」として弁護士法第72条で禁止されています。ただし、企業間取引で発生する通常の売掛金は、サービサーが扱える特定金銭債権には原則として含まれない点に注意が必要です。

一方、督促自動化サービスや請求代行サービスは、債権者である自社に代わって督促の連絡や請求事務を行うもので、対応を督促段階にとどめる、弁護士法人と連携するなど、非弁行為に当たらない形で設計されています。「どんな債権でも買い取って回収します」とうたう無許可の業者への依頼は避け、依頼先が弁護士・認定司法書士・許可を受けたサービサーか、督促段階にとどまるサービスかを確認してください。

出典・参考資料(1件)

Q. 売掛金の消滅時効は何年ですか?時効の完成を止める方法はありますか?

A. 企業間取引の売掛金は、支払期日など権利を行使できることを知った時から原則5年で消滅時効にかかり、時効が完成すると法律上は請求できなくなります。時効を止めるには、内容証明郵便による催告で6箇月の完成猶予を得たうえで、その間に裁判上の請求や支払督促を行って時効を更新(リセット)する必要があります。

催告による猶予は一度きりで、再度の催告では効力が生じません。時効が迫っている場合は、猶予で稼いだ6箇月の間に確実に次の手続きへ進むことが重要です。手続きの取りこぼしで債権を失わないよう、時効の残り期間が短いときは早めに弁護士へ相談するのが安全です。

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Q. 売掛金回収を弁護士に依頼する費用は、回収額がいくらから見合いますか?

A. 回収できる見込み額から着手金・報酬金・実費を差し引いて手元に残る額で見合うかどうかが決まり、着手金は回収の成否にかかわらず先に発生するため、少額の債権や資力の乏しい相手では費用倒れになりやすくなります。弁護士費用は2004年に弁護士会の報酬基準が廃止されて事務所ごとに自由化されているため、一律の相場はなく、依頼前の見積もりで着手金・報酬金・実費の合計を確認することが欠かせません。

判断の目安は、相手に支払える資力があるか、請求額が費用を差し引いても手元に残る規模か、時効までの残り期間に余裕があるかの3点です。回収額がごく少額の場合は、自社での内容証明・支払督促や督促自動化サービスなど、費用を抑えた手段のほうが費用対効果で優れることがあります。

Q. 少額で件数の多い未入金の回収には、どの手段が向いていますか?

A. 1件あたりが少額で件数の多い未入金は、1件ずつ弁護士に依頼するより、督促の連絡(メール・SMS・自動架電・郵送)を自動化するサービスや、請求から回収までを代行するサービスで仕組み化する方が向いています。少額債権は着手金や実費が回収見込み額に対して割高になり、弁護士に依頼すると費用倒れになりやすいためです。

毎月多数の未入金が発生する事業では、督促を仕組みで回すことで人手をかけずに継続的に回収を進められます。自分で対応する場合は、60万円以下なら原則1回の審理で判決が出る少額訴訟や、書類審査で進む支払督促といった、費用を抑えた法的手続きも選択肢になります。

Q. 売掛金の回収は、弁護士と督促自動化・回収代行サービスでどう使い分ければよいですか?

A. 相手が支払いに応じず法的手続きや強制執行が必要な高額債権は弁護士、少額・多数の未入金や督促の効率化は督促自動化サービス、請求から回収までまとめて外部に任せたい場合は請求・回収代行サービスが向いています。回収を待たず先に資金化したい場合は、売掛債権を売却するファクタリングという選択肢もあります。

これらは排他的ではなく、日常の未入金は督促自動化で回し、こじれた高額案件だけ弁護士に依頼するといった組み合わせも有効です。自社のケース(回収額・相手の資力・取引継続の意思・急ぎ度)に照らして手段を選ぶとよいでしょう。

Q. 売掛金回収は近くの弁護士に依頼した方がよいですか?

A. 売掛金回収は必ずしも近くの弁護士に依頼する必要はなく、債権回収の実績・専門性、料金体系の明朗さ、対応の速さで選ぶのが基本です。東京など都市部では近くの事務所に対面で相談できる利点がありますが、近年はオンラインでの打ち合わせに対応する事務所が増えているため、物理的な距離だけで選ぶ必要は薄れています。

特に時効が迫っている場合は、相談から着手までのスピードが回収の成否を左右します。自社の業界の取引慣行やBtoBの売掛金回収を扱った経験が豊富か、着手金・報酬金・実費や回収できなかった場合の費用を依頼前に明確に説明してくれるかを確認して選ぶとよいでしょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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