契約書がどこにあるか分からず探すのに時間がかかる、更新期限を見落とす、作成や審査の進捗を担当者しか把握できない——契約の数が増えるほど、こうした契約業務の課題は大きくなります。
契約ライフサイクル管理(CLM/Contract Lifecycle Management)は、契約の作成から審査・締結・管理・更新までの一連の流れ全体を管理し、効率化する取り組みです。契約の締結だけを扱う電子契約とは異なり、締結の前後を含めて契約業務全体を対象とする点に特徴があります。
本記事では、CLMの意味と契約ライフサイクルの各段階、電子契約や契約書管理システムとの違い、CLMシステムの主な機能と選び方までを整理します。契約業務の効率化を検討する際の判断材料としてご活用ください。
目次
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契約ライフサイクル管理(CLM)とは
契約ライフサイクル管理(CLM)とは、契約の作成・審査・交渉・承認・締結から、締結後の管理・更新・終了までの一連の流れ全体を管理し、最適化する取り組みです。英語では Contract Lifecycle Management と表記し、契約ライフサイクルマネジメントと呼ばれることもあります。
考え方の中心にあるのは、契約を「締結して終わり」とせず、締結前の作成・審査から締結後の管理・更新までを一続きの業務として捉える点です。各工程を別々のツールや手作業で分断すると、契約書の所在や最新版が分からなくなり、更新期限の見落としも起きやすくなります。流れ全体を1つの基盤でつなぐことで、こうした分断による非効率やミスを抑えることがCLMの狙いです。
この一連の流れを支えるのが、CLMシステム(CLMツール)です。契約書のテンプレート管理や承認ワークフロー、全文検索、更新期限の通知などの機能で、契約業務の各段階を効率化します。
契約ライフサイクルの流れ(各段階の業務)
契約ライフサイクルは区分の仕方に幅がありますが、締結を境に「締結前(作成〜締結)」と「締結後(管理〜更新・終了)」に大きく分かれると捉えると整理しやすくなります。
- 作成:ひな形や過去の契約書をもとに、契約書のドラフトを作成します。取引内容に合わせて条文を調整する段階です。
- 審査(リーガルチェック):自社に不利な条項やリスクがないかを法務が確認し、修正します。事業部門から法務への審査依頼が発生する段階でもあります。
- 交渉:取引相手と契約条件をすり合わせ、修正案をやりとりします。複数回の版の往復が生じやすい段階です。
- 承認・締結:社内の稟議・承認を経て、契約を締結します。締結は紙への押印か、電子契約による電子署名で行います。
- 管理:締結済みの契約書を保管し、検索できる状態にします。契約内容・当事者・金額・期間などを台帳として整理する段階です。
- 更新・終了:契約期間の満了に合わせて、更新・再契約・終了を判断します。更新拒絶の通知期限など、期日の管理が重要になる段階です。
電子契約が担うのは、このうち「締結」の工程です。CLMは締結の前後を含めた流れ全体を対象とするため、カバーする範囲が広くなります。
CLMと電子契約・契約書管理システム・リーガルテックの違い
CLMは、電子契約や契約書管理システムと混同されやすい言葉です。それぞれが契約ライフサイクルのどこを守備範囲とするかを整理すると、違いがはっきりします。

| 守備範囲 | CLM(契約ライフサイクル管理) | 契約書管理システム | 電子契約 | AI契約書レビュー(リーガルテックの一種) |
|---|---|---|---|---|
| 主な守備範囲 | 作成・審査・交渉・承認・締結・管理・更新まで契約業務の全工程 | 主に締結後の契約書の保管・検索・期限管理 | 契約の締結(電子署名・電子押印) | 契約書の条文チェック・リスク検知・修正提案 |
| 契約業務フローでの位置づけ | 契約業務の流れ全体を1つの基盤で管理・自動化する | 締結後の「管理・更新」工程が中心 | 「締結」工程に特化 | 「審査」工程を支援 |
リーガルテックは、法務業務をITで支援するサービス全般を指す言葉です。AI契約書レビューや電子契約、CLMもリーガルテックに含まれます。CLMはそのなかで、契約業務の流れ全体を対象とする点が特徴といえます。
電子契約で締結した契約も、一定の要件を満たせば法的に有効です。電子署名法は、本人による電子署名が行われた電磁的記録について「真正に成立したものと推定する」と定めています(第3条)。
出典・参考資料(1件)
電子契約だけでは契約管理の課題が残る理由
電子契約を導入すると、押印や郵送の手間がなくなり、締結のスピードが上がります。ただし、電子契約が解決するのは締結の工程です。締結前の作成・審査・交渉のやりとりや、締結後の契約書の保管・検索・更新期限の管理は、電子契約の守備範囲の外に残ります。
締結はスムーズになっても、「契約書がどこにあるか分からない」「更新期限を見落とす」といった課題は、別の仕組みで対応する必要があります。この締結前後を含めて一続きで扱う考え方が、CLMです。
まず締結の工程から電子化を進めたい、電子契約サービス自体を比較したいという場合は、料金やタイプ別の選び方を以下の記事で解説しています。
契約業務の各段階で起きる課題(事業部側/法務側)
契約業務の課題は、関わる立場によって見え方が変わります。まず誰が契約業務に関わるのかを押さえたうえで、各段階の課題を整理します。
CLMに関わるのは誰か(対象部門)
契約業務に関わるのは法務部門だけではありません。契約を必要とする事業部門(営業・購買・開発など)が作成や審査依頼の起点となり、法務部門が内容を確認し、総務・情報システム部門が契約書の保管や電子化を担うこともあります。経営企画やDX推進部門が、全社的な契約業務の効率化として検討するケースも増えています。
CLMは、こうした複数の部門が関わる契約業務を1つの流れとして扱うため、関係者の間で起きる引き継ぎや確認の手間を減らす効果が期待できます。
以下は、契約業務の各段階で起きがちな課題を、依頼する事業部側と、確認・管理する法務側の2つの視点で整理したものです。
| 各段階の課題 | 作成・審査依頼 | 審査・修正 | 承認・締結 | 管理・更新 |
|---|---|---|---|---|
| 事業部側で起きがちな課題 | どのひな形を使えばよいか分からず、審査依頼の書き方も人によってばらつく | 法務のレビュー待ちで時間がかかり、進捗が見えない | 稟議や押印の手続きが煩雑で、締結までに日数がかかる | 締結した契約書の所在や最新版が分からない |
| 法務側で起きがちな課題 | 依頼がメールやチャットに分散し、必要な情報が揃わないまま届く | 修正の履歴や判断の根拠が残らず、対応が属人化する | 承認フローが可視化されず、どこで止まっているか追えない | 更新期限を一覧で把握できず、更新漏れや自動更新の見落としが起きる |
これらの課題は、契約書や依頼のやりとりが分散し、情報が一元化されていないことに共通の原因があります。CLMシステムは、こうした情報を1つの基盤に集約することで、各段階の課題に対応します。
CLMシステムの主な機能と効果
CLMシステムが各段階で何をしてくれるのかを、主な機能とその効果に分けて整理します。製品によって搭載する機能の範囲は異なりますが、代表的なものは次のとおりです。
- テンプレート・ひな形管理:承認済みのひな形から契約書を作成でき、条文のばらつきや古い版の使用を防ぎます。
- 審査依頼・ワークフロー:事業部から法務への審査依頼や、社内の承認・締結の流れをシステム上で管理し、進捗を可視化します。
- バージョン管理:交渉で往復する契約書の版を自動で記録し、どれが最新版かを明確にします。
- 電子契約サービスとの連携:締結の工程を電子契約サービスと連携して行い、締結済みの契約書を自動で取り込みます。
- 契約台帳の作成・全文検索:締結済みの契約書を台帳化し、当事者・金額・期間などの条件や全文から目的の契約書を探せます。
- 更新期限のアラート:契約の満了日や更新拒絶の通知期限が近づくと自動で通知し、更新漏れを防ぎます。
- 権限設定・アクセス管理:契約書ごとに閲覧・編集の権限を設定し、機密性の高い契約の取り扱いを制御します。
製品によっては、AIが契約書のリスク箇所を検知して修正案を提示する機能や、契約書から当事者・金額・期限などの項目を自動で抽出して台帳に反映する機能を備えるものもあります。手作業で行っていた確認や転記を減らせる点が、これらの機能の効果です。
CLMを導入する目的・メリット
CLMシステムを導入すると、契約業務は次のように変わります。
契約情報の一元管理と検索性の向上:契約書と関連するやりとりを1つの基盤に集約することで、「契約書がどこにあるか分からない」「最新版が特定できない」といった状態を解消します。全文検索や台帳から目的の契約書をすぐに取り出せるため、問い合わせ対応や監査の際の確認にかかる時間を短縮できます。
属人化の解消:審査の判断基準ややりとりの履歴がシステムに残るため、担当者が不在でも状況を把握でき、対応の質が人によって変わりにくくなります。ひな形やナレッジを共有することで、新任の担当者でも一定の水準で業務を進めやすくなります。
更新漏れなどのリスク低減:更新期限のアラートにより、意図しない自動更新や更新手続きの失念を防ぎます。権限設定やアクセス制御で、機密性の高い契約の取り扱いも管理できます。
承認・締結のスピード向上:審査依頼から承認・締結までの流れをシステム上で進めることで、どこで手続きが止まっているかが見えるようになり、締結までの日数を短縮しやすくなります。事業部門が契約のリスクをある程度把握したうえで依頼できれば、差し戻しややり直しも減らせます。
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CLMツールの選び方と導入の進め方
CLMツールは製品によって守備範囲や機能、料金体系が異なります。自社に合う製品を選ぶための比較ポイントと、導入を進める際の手順を整理します。
CLMツールを選ぶときの比較ポイント
契約ライフサイクルのどこまでをカバーするか:製品によって、作成・審査から締結後の管理まで一気通貫で扱うものと、締結後の管理に重点を置くものがあります。自社でとくに効率化したい工程(作成・審査の負担か、締結後の管理・更新か)を明確にし、その工程を得意とする製品を選ぶと、導入効果を実感しやすくなります。
締結(電子契約)をどう扱うか:締結の方法は製品によって異なり、自社で電子署名機能を持つものと、外部の電子契約サービスと連携して締結を行うものがあります。すでに特定の電子契約サービスを利用している場合は、その連携に対応しているかを確認すると、締結の工程をスムーズにつなげます。
必要な機能とAI活用の範囲:審査を効率化したいならAIによる契約書レビュー、締結後の管理を重視するなら台帳の自動作成や期限アラートなど、優先する機能から必要な範囲を見極めることが大切です。多機能であるほど良いとは限らず、使わない機能が多いと運用が複雑になる点にも注意が必要です。
セキュリティと権限管理:契約書は機密情報を含むため、通信の暗号化やアクセス制御、操作ログの記録といったセキュリティ機能は確認しておきたい観点です。部門や役職に応じて閲覧・編集の権限を細かく設定できるかも、全社で使ううえでの判断材料になります。
CLMツールの料金体系の考え方
CLMツールの料金は、公式サイトで具体的な金額を公開していない製品が多く、「要お問い合わせ」で個別見積りとなるケースが一般的です。費用感を把握するには、料金がどのような要素で決まるかという体系を押さえておくと、見積りを比較しやすくなります。
料金体系は、利用するアカウント数(ユーザー数)に応じて決まるもの、年間に管理する契約書の件数に応じて変動するもの、基本機能に加えてオプション機能を追加していくものなどがあります。初期費用と月額基本料金に、アカウント追加やオプションの費用を積み上げる構成が多く見られます。自社の利用人数や契約件数の規模を見積もったうえで問い合わせると、各社の料金を同じ前提で比較できます。
公開されている例は限られますが、中小企業向けには月額1万円程度から利用できるプランもあり、全社での本格導入ではアカウント数や契約件数に応じた個別見積りとなるのが一般的です。
金融・バックオフィス領域でのCLM選定観点
契約書の電子保存や法令への対応も、CLM選定の判断材料になります。とくに金融業やバックオフィス部門では、こうした観点の重要度が高まります。
電子帳簿保存法への対応:電子メールやクラウドでやりとりした契約書などの取引情報は、電子帳簿保存法により電磁的記録での保存が求められます。CLMで締結・保管した契約書データを、同法の保存要件に沿って管理できるかは、締結後の管理を担う製品を選ぶうえで確認したい観点です。保存要件の具体的な運用は、国税庁の一問一答などで確認できます。
法改正に合わせた契約書の更新:2026年(令和8年)1月1日施行の改正で、下請代金支払遅延等防止法(下請法)は「中小受託取引適正化法(取適法)」へと名称が改められ、対象の拡大や用語の変更が行われました。委託取引で使う契約書やテンプレートを最新の制度に合わせて更新・管理できるかも、確認したい観点です。
出典・参考資料(2件)
下請法から取適法への改正で具体的に何が変わったかは、「【2026年1月施行】下請法改正のポイント|取適法で変わる6つの点を条文で解説」で条文に沿って整理しています。委託取引の契約書を見直す際の参考にしてください。
AI契約書レビュー機能と弁護士法の関係:AIが契約書を審査する機能を使う際に気になるのが、弁護士でない者が報酬を得て法律事務を業として扱うことを禁じた弁護士法第72条(非弁行為の禁止)との関係です。この点について法務省はガイドラインを公表し、「通常該当しないと考えられる例」と「該当し得ると考えられる例」を要件ごとに整理しています。
AI契約書レビューが一律に適法または違法と判断されるものではなく、サービスの機能や使い方に応じて個別に判断されること、最終的な法的判断は裁判所に委ねられることを理解したうえで、法務担当者による確認を前提に活用するのが安全です。
CLM導入の進め方
CLMツールの導入は、現状の把握から段階的に進めると失敗しにくくなります。まず、契約業務のどの工程に課題があるかを洗い出し、効率化したい範囲を明確にします。次に、その範囲に必要な機能を整理し、候補となる製品を絞り込みます。
候補が定まったら、資料請求やトライアルで操作感や機能を確かめると、自社の運用に合うかを比較できます。導入時は、契約件数の多い部門や特定の契約種別から小さく始め、運用が定着してから全社へ広げる進め方が現実的です。導入後も、社内へのフィードバックを得ながら運用を見直すことで、効果を高めていけます。
CLMで契約業務を効率化するサービス
ここからは、契約の作成から締結後の管理までを一続きで扱える、代表的なCLMサービスを紹介します。締結の方法や得意とする工程はサービスごとに異なるため、自社で効率化したい範囲と照らし合わせて検討してください。
以下は、ご紹介するCLMサービスの比較表です。
| サービス名 | 法務オートメーション「OLGA」 | Hubble | ContractS CLM | LegalOn Cloud | Docusign CLM |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | GVA TECH株式会社 | 株式会社Hubble | ContractS株式会社 | 株式会社LegalOn Technologies | ドキュサイン・ジャパン株式会社 |
| 対応する契約業務の範囲 | 依頼受付〜作成・審査〜締結後の契約管理まで | 作成・レビュー・交渉〜締結〜締結後の管理まで | 作成〜交渉・承認・締結〜契約管理・更新まで | 案件受付〜AI審査〜締結〜契約管理・更新まで | 作成〜締結〜保管・検索・更新管理まで |
| AI契約書レビュー | ● | ● | ● | ◎(AI契約審査が主力) | △(AIアシストレビューは日本で2026年提供予定) |
| 締結(電子契約)の扱い | 外部電子契約サービス連携 (クラウドサイン・Docusign・GMOサイン) | 外部電子契約サービス連携 (クラウドサイン・Docusign・GMOサイン・Adobe Acrobat Sign) 自社署名機能なし | 自社「ContractS SIGN」 +クラウドサイン連携 | 自社サイン機能(署名技術は提携先) +外部電子契約サービス連携 | 自社「Docusign eSignature」で締結 |
| 更新期限アラート | ● | ● | ● | ● | ● |
| 外部連携 | メール・Slack・Teams、Salesforce、SSO、電子契約サービス ほか | Slack・Teams、Microsoft Word、電子契約サービス ほか | Salesforce・SAP・Slack・Teams・Box・kintone ほか | SharePoint・OneDrive、組織情報連携API ほか | Salesforce・SAP Ariba・Coupa ほか1,000以上の連携 |
| 料金体系 | 要お問い合わせ (中小企業向けプランは月額1万円〜・税別) | 要お問い合わせ (無料トライアルあり) | 要お問い合わせ (初期費用+月額+オプション、最低契約1年) | 要お問い合わせ (最低契約1年) | 要お問い合わせ |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※◎=主力機能、●=対応、△=提供予定・一部限定。上記は各サービスの一般的な機能傾向です。実際の機能の有無や提供形態(標準・オプション等)、料金は各社の最新情報をご確認ください。
ここで紹介したCLMサービスのほか、締結後の管理に重点を置くタイプも含めて契約管理システム全般を見比べたい場合は、以下の記事がタイプ別の選び方・料金の実額・電子帳簿保存法への対応まで整理しています。導入を具体的に検討する際の比較材料としてご覧ください。
1. 法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)

GVA TECH株式会社が提供する「OLGA(オルガ)」は、契約業務の依頼受付から作成・審査、締結後の契約管理までを1つの基盤でつなぐ法務オートメーションのクラウドサービスです。
事業部門はメール・Slack・Teamsといった普段のツールのまま法務へ依頼でき、専用アカウントを持たずにやりとりできます。受け付けた案件は契約書のバージョンや履歴とともに蓄積され、台帳が自動で生成されます。AI契約レビューのモジュールで契約書のリスク箇所を検出できるほか、締結はクラウドサイン・Docusign・GMOサインと連携し、締結済みの契約書を自動で取り込む仕組みです。
SalesforceなどのSFA・CRMと連携できる点も特徴で、契約の更新期限の通知にも対応します。料金は要お問い合わせですが、2026年7月に提供を開始した中小企業向けの契約管理プランは月額10,000円(税別)からとなっています。
事業部門からの契約相談の受付や、契約更新の管理が属人化している企業に向いています。
契約更新の管理を自動化した導入先で生じた効果について、GVA TECHの担当者は次のように述べています。

ある企業様では、法務相談の受付から回答までの工数が40%削減され、月間で数百時間の工数削減につながりました。また、数千件以上の契約更新管理を行っている企業様では、AIによる自動化によって、更新漏れによる不利益な契約更新やタイミングの失念がゼロになったという定量的な成果も出ています。
2. Hubble(株式会社Hubble)

「Hubble(ハブル)」は、株式会社Hubbleが提供する、契約書の作成・レビューから締結後の管理までを支える契約業務プラットフォームです。
WordやTeams・Slackと連携し、普段使うツール上で契約書のレビューや版管理を進められる点に強みがあります。やりとりのたびに版が自動で記録されるため、最新版がどれか分からなくなる状態を防げます。締結はクラウドサイン・Docusign・GMOサイン・Adobe Acrobat Signといった外部の電子契約サービスと連携して行い、締結済みの契約書は台帳へ自動で取り込まれます。
更新期限のアラートにも対応しており、締結後の管理まで一続きで扱えます。料金は要お問い合わせです。
WordやSlackなど普段使うツール上で、契約書の作成・レビューを進めたい企業に向く選択肢です。
契約書の台帳管理にかかっていた作業時間がどう変わったかについて、同社の担当者は具体的な事例を挙げています。

数値的な部分で申し上げやすい事例ですと、ある企業様では契約書の件数が多く、その管理作業に週1時間ほどかかっていらっしゃったのですが、Hubbleで契約書をPDF化してアップロードしていただくと、相手方や契約期間といった項目をAIがすべて自動で入力しますので、1時間かかっていた作業が5分で終わるようになりました。
3. ContractS CLM(ContractS株式会社)

契約の作成から締結後の管理までを一気通貫で扱う国産のCLMプラットフォームが、ContractS株式会社の「ContractS CLM(コントラクツ シーエルエム)」です。
公式には、契約業務を作成・交渉・レビュー・承認・締結・更新/変更・契約管理の段階で整理し、それぞれをシステム上で扱えるようにしています。締結は自社の電子締結機能「ContractS SIGN」に加え、クラウドサインとの連携にも対応します。
契約書のステータスやタスク、アクセス権限の管理、全文検索の機能を備え、Salesforce・SAP・kintoneなどの外部システムとの連携やAPIも提供しています。料金は初期費用と月額基本料金にオプションを加える構成で、アカウント数や年間の契約件数に応じて変動するため、要お問い合わせです。
作成から締結後の管理までを、国産ツールで一つにまとめて整えたい企業に適しています。
4. LegalOn Cloud(株式会社LegalOn Technologies)

AIによる契約審査を強みとする株式会社LegalOn Technologiesが提供する法務プラットフォームが「LegalOn Cloud(リーガルオン クラウド)」です。
多数の契約類型に対応するAI契約審査や、1,500点以上のひな形テンプレートを備え、契約書の作成・審査の工程を支援します。承認フロー付きの押印申請の機能を持ち、締結後は紙・電子の契約書を一元管理し、AIによる自動データ化や、契約終了日・更新拒絶期限の自動通知にも対応します。締結は自社のサイン機能(署名技術は提携先)に加え、外部の電子契約サービスで締結した契約の取り込みにも対応します。
料金は要お問い合わせで、最低契約期間は1年となっています。
AIによる契約審査で、法務のレビュー負担を軽くしたい企業に向いています。
5. Docusign CLM(ドキュサイン・ジャパン株式会社)

電子署名サービスのDocusignが提供するCLMが「Docusign CLM(ドキュサイン シーエルエム)」です。ドキュサイン・ジャパン株式会社が国内で提供しています。
テンプレートや条項ライブラリを使った契約書の作成、契約プロセスのワークフロー自動化に対応し、締結はDocusignの電子署名機能で完結します。締結済みの契約書を一元管理するリポジトリや、AIによる契約データの抽出・分析の機能を備え、SalesforceやSAP Aribaなど多数のシステムと連携できます。グローバルに展開しており、海外取引を含む契約管理にも対応しやすい点が特徴です。
料金は要お問い合わせです。海外取引を含め、電子署名から契約管理までを1つの基盤でそろえたい企業に適しています。
まとめ
契約ライフサイクル管理(CLM)は、契約の作成・審査・締結から、締結後の管理・更新までの流れ全体を1つの基盤で管理する取り組みです。締結だけを扱う電子契約や、締結後の保管が中心の契約書管理システムと比べて、カバーする範囲が広いことが特徴です。
CLMツールを選ぶ際は、自社が効率化したい工程(作成・審査か、締結後の管理か)を明確にし、締結の方法や必要な機能、料金体系を比較することが大切です。まずは候補となるサービスの資料を取り寄せ、自社の契約業務に合うかを確かめることから始めるとよいでしょう。
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よくある質問(FAQ)
Q. CLM(契約ライフサイクル管理)とは何ですか?
A. CLM(契約ライフサイクル管理)とは、契約の作成・審査・締結から、締結後の管理・更新までの一連の流れ全体を管理し、効率化する取り組みです。英語の Contract Lifecycle Management の略で、契約ライフサイクルマネジメントとも呼ばれます。契約の締結だけを扱う電子契約とは異なり、締結の前後を含めた契約業務全体を対象とする点が特徴です。
Q. CLMと電子契約は何が違いますか?
A. CLMと電子契約の違いは守備範囲にあり、電子契約が契約の「締結」工程に特化するのに対し、CLMは作成・審査・交渉・締結から締結後の管理・更新まで契約業務の流れ全体を対象とします。電子契約を導入すると押印や郵送の手間が省け締結のスピードは上がりますが、締結前の作成・審査のやりとりや、締結後の契約書の保管・検索・更新期限の管理は守備範囲の外に残ります。
「契約書がどこにあるか分からない」「更新期限を見落とす」といった課題まで含めて解決したい場合は、締結前後を一続きで扱うCLMの考え方が必要になります。
Q. CLMツールの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. CLMツールの導入期間は、対象とする契約業務の範囲や既存システムとの連携の有無によって変わり、締結機能だけの導入なら短期間で、契約業務全体を扱う本格導入では数か月程度かかることが一般的です。期間と負担を抑えるには、契約件数の多い部門や特定の契約種別から小さく始め、運用が定着してから全社へ広げる進め方が現実的です。
導入前に資料請求やトライアルで操作感を確かめておくと、定着までの期間を見積もりやすくなります。
Q. CLMツールは既存の業務システムと連携できますか?
A. 多くのCLMツールは、電子契約サービスや営業・業務システムと連携できます。締結の工程をクラウドサインなどの電子契約サービスと連携して行い、締結済みの契約書を自動で取り込む製品や、SalesforceなどのSFA・CRM、SlackやTeamsといったチャットツールと連携できる製品があります。
すでに利用しているシステムとの連携可否は製品ごとに異なるため、導入前に対応範囲を確認しておくと、契約業務をスムーズにつなげられます。
Q. CLMツールの導入費用はどのくらいかかりますか?
A. CLMツールの料金は「要お問い合わせ」で個別見積りとなる製品が多く、初期費用と月額基本料金に、利用アカウント数や契約件数、オプション機能に応じた費用を積み上げる構成が一般的です。中小企業向けに月額1万円程度から利用できるプランを用意する製品もあります。自社の利用人数や年間の契約件数の規模を見積もったうえで問い合わせると、各社の料金を同じ前提で比較しやすくなります。
Q. CLMで保存した契約書は電子帳簿保存法に対応できますか?
A. 電子メールやクラウドでやりとりした契約書などの取引情報は、電子帳簿保存法により電磁的記録での保存が求められており、この保存要件に沿って契約書データを管理できるかはCLMツール選定の確認ポイントです。電子帳簿保存法は、電子取引を行った場合に、その取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないと定めています。
保存要件の具体的な運用は国税庁の一問一答などで示されているため、締結後の管理を担う製品を選ぶ際は、要件に沿った保存に対応しているかを確認しておくと安心です。
Q. CLMのAI契約書レビュー機能は弁護士法に抵触しませんか?
A. AI契約書レビューが弁護士法第72条(非弁行為の禁止)に抵触するかは一律に決まるものではなく、法務省のガイドラインが、サービスの機能や使い方に応じて個別に判断する枠組みを示しています。同ガイドラインは「通常該当しないと考えられる例」と「該当し得ると考えられる例」を要件ごとに整理しており、最終的な法的判断は裁判所に委ねられるとしています。
AIによる契約書レビューは、法務担当者による確認を前提とした支援として活用し、最終的な判断は自社の法務や弁護士が担う運用にすると安全です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















