複数の店舗や事業を抱えるようになると、会社全体では黒字でも「どの店・どの事業が稼ぎ頭で、どこが足を引っ張っているのか」が見えにくくなります。全社をひとまとめにした損益計算書だけでは、好調な部門の利益が不振な部門の赤字を覆い隠してしまうためです。
この見えにくさを解消するのが部門別会計です。部門ごとに損益を分けて把握する管理会計の手法で、儲かっている部門と赤字の部門を数字でつかみ、経営判断や採算の改善に生かせます。
本記事では、部門別会計の意味と財務会計との違い、導入するメリットを整理したうえで、自社で始めるときにつまずきやすい「部門の切り方」と「共通費(全社費用)の扱い」を具体的に解説します。2〜3部門のモデル数値を使った部門別損益計算書の見本や、会計ソフトの部門機能で実現する方法、段階的な導入手順もあわせて紹介します。
目次
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部門別会計とは?全社の損益を部門ごとに分けて見る管理会計
部門別会計とは、全社でまとめていた売上や費用を、店舗・事業・拠点などの部門ごとに分けて集計し、部門単位の損益を把握する管理会計の手法です。全社の損益計算書が1本だと「会社全体で黒字か赤字か」しか分かりませんが、部門別に分ければ「どの部門がいくら稼ぎ、どの部門が赤字なのか」が数字で見えるようになります。
目的は、部門ごとの採算を把握して経営判断に生かすことです。好調な部門にさらに投資する、不振な部門のコストを見直す、撤退や統合を検討する、といった判断は、部門別の損益が見えて初めて根拠を持って下せます。多店舗経営や複数事業を手がける企業ほど効果が大きく、法律で義務づけられた手続きではなく、自社の経営のために任意で始める点が特徴です。

財務会計との違い
部門別会計と対になる考え方が財務会計です。財務会計は、株主や金融機関、税務署といった社外の関係者に報告するための会計で、会社法や法人税法などのルールにもとづいて決算書を作成します。報告先が社外のため、作成の様式や期限が定められている制度的な会計です。
一方の部門別会計は、社内の経営判断のために行う管理会計の一種です。誰に向けて・どんな単位で・どこまで細かく作るかは自社で自由に決められ、決まった様式はありません。財務会計が「外部への報告」、部門別会計が「内部での意思決定」と、目的が異なると押さえておくと、次に出てくる部門の切り方や共通費の扱いも理解しやすくなります。
部門別会計を導入するメリット
ここからは、部門別会計を導入すると何が得られるのかを、3つの観点で見ていきます。いずれも「全社の数字では見えなかったものが、部門単位にすると見えてくる」という共通点があります。
儲かる部門・赤字部門が見える化できる
最大のメリットは、どの部門が利益を生み、どの部門が赤字なのかがはっきりすることです。全社では黒字に見えていても、内訳を部門別に分けると、好調な部門の利益で赤字部門の損失を埋めているだけだった、というケースは珍しくありません。赤字部門が数字で見えれば、その原因を売上・原価・固定費のどこにあるのかまで掘り下げて対策を打てます。
経営判断・採算改善に活かせる
部門別の損益が分かると、経営判断の精度が上がります。利益率の高い部門に人員や広告費を重点配分する、採算の合わない商品やサービスの価格を見直す、不振が続く店舗の立地や業態を再検討する、といった判断を、感覚ではなく数字にもとづいて行えます。部門ごとに損益の推移を追えば、打った施策が採算の改善につながっているかの検証もできます。
部門ごとの目標と責任が明確になる
部門別の損益を示すことは、現場の目標設定にもつながります。部門ごとに売上や利益の目標を立てれば、各部門の責任者が自部門の数字を意識して動くようになります。全社の数字だけを追っていたときには「自分の部門がどれだけ貢献しているか」が見えづらかったのが、部門別会計によって一人ひとりの働きが損益に反映される形になり、改善の当事者意識が生まれやすくなります。
部門の切り方(店舗別・事業部別・拠点別・製品別)
部門別会計を始めるうえで最初に決めるのが、何を1つの部門とするかという「部門の切り方」です。ここで押さえておきたいのは、組織図をそのまま写すのではなく、自社が損益を評価したい単位で切るという原則です。経営判断に使いたい切り口で分けておかないと、せっかく部門別に集計しても意思決定に生きません。
評価したい単位は会社によって異なります。飲食や小売のように店舗ごとの採算を見たい場合は店舗別に、複数の事業を手がけるなら事業部別に、地域ごとに拠点を構えているなら拠点別に切るのが自然です。製造業や卸売業では、製品やブランド単位で利益を見たいという理由から製品別に分けることもあります。
まずは「どの単位で儲かっているかを知りたいか」を起点に、1つか2つの軸で無理なく分けられる形から始めるのがおすすめです。
共通費(全社費用)の扱い|配賦する・しないの考え方
部門別会計で多くの人がつまずくのが、共通費の扱いです。共通費とは、本部の家賃や役員報酬、総務・経理部門の人件費など、特定の部門に直接ひもづけられない全社的な費用を指します。各部門の売上や、その部門だけで発生する費用(部門個別費)は迷わず振り分けられますが、共通費をどの部門にどう負担させるかは、そのまま各部門の利益を左右します。
共通費の扱いには「各部門に配賦する(割り振る)」考え方と「配賦せず全社でまとめて見る」考え方の2つがあり、どちらが正解と決まっているわけではありません。配賦すれば各部門の最終的な営業利益まで見えますが、配賦の基準しだいで部門の損益が黒にも赤にもなるため、基準の決め方が重要になります。まずはそれぞれの考え方と使い分けを押さえましょう。

配賦する場合の配賦基準の決め方
共通費を配賦するときは、その費用が発生する原因に近い基準で割り振るのが基本です。原因と関係のない基準で機械的に分けると、実態からかけ離れた損益になり、現場の納得も得にくくなります。代表的な共通費と配賦基準の組み合わせは次のとおりです。
| 共通費の例 | 本部の家賃・水道光熱費 | 本部人件費・総務費・経理費 | 広告宣伝費・全社システム利用料 |
|---|---|---|---|
| 配賦基準の例 | 各部門の床面積 | 各部門の従業員数 | 各部門の売上高 |
| 考え方 | スペースの使用割合に応じて負担させる | 人数に比例してかかる費用として分ける | 売上規模に応じて負担させる |
※配賦基準は一般的な対応例です。自社の費用の性質に合わせて選び、一度決めた基準は継続して使います。
共通的な費用を適切な基準で各部門に割り振るという考え方自体は、企業会計審議会が定めた原価計算基準にも裏づけがあります。同基準は「一七 部門個別費と部門共通費」で、部門共通費を発生の性質に応じた適当な配賦基準によって各部門に配賦すると定めています。これは製造業の製品原価計算を対象とした基準ですが、その発想は店舗別・事業別の部門別会計でも共通して使えます。
売上高・床面積・従業員数のうち、その費用が「何に比例して増減するか」に最も近い基準を選ぶのがポイントです。
まずは配賦せず部門利益(貢献利益)で見る
一方で、管理会計では一般に、導入の初期は共通費を無理に配賦しない方法が勧められます。共通費を配賦すると、配賦の計算そのものに手間がかかるうえ、基準しだいで部門の黒字・赤字が変わるため、現場から「なぜうちの部門がこの負担なのか」という不満が出やすくなるからです。
そこでまず見るのが、部門の売上から、その部門で直接発生した費用(変動費と部門個別の固定費)だけを差し引いた利益です。この利益は部門利益や貢献利益と呼ばれ、共通費の配賦基準に左右されずに「その部門が全社にどれだけ貢献しているか」を表します。
共通費は全社でまとめて別に把握し、各部門は貢献利益で評価する——この形なら、配賦のルール作りで立ち止まらずに部門別会計を始められます。慣れてきたら、共通費の配賦まで踏み込んで部門ごとの営業利益を出す、と段階を踏むのが現実的です。
部門別損益計算書の作り方(実数入りの見本)
ここまでの考え方を、具体的な数字で確認します。飲食店をA店・B店の2店舗で営む会社を例に、全社1本の損益を部門別に分けた損益計算書のモデルを見てみましょう(金額は仕組みを示すためのモデル例です)。
表は上から、売上高、変動費、売上高から変動費を引いた限界利益、各部門の個別固定費、それを引いた部門利益(貢献利益)、共通費の配賦額、配賦後の営業利益の順に並んでいます。
| 項目(金額:万円) | A店 | B店 | 全社合計 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,000 | 1,000 | 3,000 |
| 変動費(食材費など) | 800 | 450 | 1,250 |
| 限界利益(売上高−変動費) | 1,200 | 550 | 1,750 |
| 部門個別の固定費(各店の人件費・家賃など) | 850 | 520 | 1,370 |
| 部門利益(共通費の配賦前=貢献利益) | 350 | 30 | 380 |
| 共通費(本部費)の配賦額 | 160 | 80 | 240 |
| 営業利益(共通費の配賦後) | 190 | -50 | 140 |
※仕組みを示すためのモデル数値です。ここでは簡便に本部費240万円を売上高の比(2:1)で配賦しています(実際は費目ごとに床面積・従業員数など原因に近い基準を使い分けます)。
この表は、部門別会計の要点が一目で分かる形になっています。全社では営業利益140万円の黒字ですが、B店は共通費を配賦すると営業利益がマイナス50万円の赤字です。全社の数字だけを見ていたら気づけなかった赤字部門が、部門別に分けると見えてきます。
同時に、共通費を配賦する前の部門利益(貢献利益)を見ると、B店も30万円のプラスです。B店は本部費を負担する前なら全社に貢献しており、すぐに撤退すべきとは限りません。このように、配賦前の貢献利益と配賦後の営業利益を分けて見ると、「部門として黒字を生んでいるか」と「全社コストまで負担して黒字か」を切り分けて判断できます。自社の店舗や事業の数字を、この表の形に当てはめてみてください。
会計ソフトでの部門別会計の設定
部門別の損益計算書は表計算ソフトでも作れますが、仕訳が増えてくると手作業の集計はすぐに限界がきます。そこで実務で使われるのが、会計ソフトの部門機能です。多くのクラウド会計ソフトには、仕訳を入力するときに部門を指定しておくと、自動で部門別に集計してくれる仕組みが備わっています。
基本の流れはシンプルです。まず、会計ソフトに「A店」「B店」といった部門を登録します。次に、日々の仕訳を入力するときに、その取引がどの部門のものかを部門コードとして指定します。これだけで、部門別の損益計算書や残高試算表をソフトが自動で出力してくれます。部門を階層構造で登録できるソフトなら、「店舗」の下に「ホール」「キッチン」を置くといった細かい管理もできます。
ソフトによって、登録できる部門の数や階層の深さ、部門別の損益を表示できるプランの条件は異なります。たとえば無料や下位のプランでは部門数が数個までに制限され、部門別損益管理は上位プランで使える、という設計のソフトもあります。自社で切りたい部門の数と、使いたいプランで部門機能が使えるかを、導入前に確認しておくと安心です。具体的な対応ソフトは、このあと取り上げます。
部門別会計の導入手順(損益計算書の部門分けから段階的に)
最後に、ここまでの各論を踏まえた全体の進め方を整理します。部門別会計は、最初から共通費の配賦まで完璧に作り込もうとすると、ルール作りで立ち止まって続かなくなりがちです。損益計算書の部門分けから始めて、段階的に精度を上げていくのが定着のコツです。
- 評価したい単位で部門を決める(店舗別・事業部別など。まずは1〜2軸から)
- 売上と、部門ごとに直接ひもづく費用(変動費・部門個別の固定費)を部門に割り振り、部門利益(貢献利益)まで出す
- 会計ソフトに部門を登録し、仕訳に部門を指定して集計を自動化する
- 運用が回ってきたら、共通費の配賦基準を決めて部門ごとの営業利益まで出す
- 部門別の目標を立て、損益の推移を見ながら改善につなげる
ポイントは、2段階目までで一度形にして運用を始めてしまうことです。共通費の配賦(4段階目)は後からでも足せます。完璧を目指して準備が長引くより、粗くても部門別の数字を毎月見る習慣をつくるほうが、経営判断への効果は早く表れます。
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部門別会計に対応したクラウド会計ソフト
部門別会計を無理なく続けるには、部門機能を備えた会計ソフトを使うのが近道です。ここでは、仕訳への部門指定で部門別損益を自動集計できる代表的なクラウド会計ソフトを紹介します。登録できる部門の数や階層、部門別損益を使えるプランの条件に違いがあるため、自社の部門の切り方に合うかを見比べてください。
以下は、ここで紹介するクラウド会計ソフトの比較表です。
| サービス名 | 弥生会計 Next | Tenbook(テンブック) | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド会計ソフト | クラウド会計ソフト+記帳・決算・申告の代行 | クラウド会計ソフト | クラウド会計ソフト |
| 部門数・階層 | 最大10階層 | 個別対応(記帳代行で設計) | 無制限・5階層 (アドバンス以上) | 無制限・2階層 (ビジネスプラン。下位は2部門・1階層) |
| 部門別損益管理 | ●残高試算表を部門別に対比 | △予算・前期比較と合わせた分析に対応 | ●タグ機能で部門別に分析 | ●ビジネスプランで対応 |
| 対象規模 | 法人向け | 創業期〜中小企業(売上高10億円以下が目安) | 個人事業主〜上場企業(IPO準備含む) | ひとり法人〜中小(〜50名目安) |
| 料金目安(月額) | 2,900円〜(エントリー・年払い月額換算・税抜) | 要お問い合わせ(個別見積もり) | 2,980円〜(ひとり法人・年払い月額・税抜。スターター以上は従量課金別) | 2,480円〜(ひとり法人・年払い月額・税抜) |
| 無料お試し | 最大2か月 | ソフトは30日間(代行は要お問い合わせ) | 30日間 | 1か月 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※料金・機能は2026年10月時点の各社公式情報にもとづく目安です。プランにより条件が異なるため、最新の内容は各社の公式資料でご確認ください。料金が非公開のサービスは「要お問い合わせ」と記載しています。Tenbookは会計ソフトに経理代行を組み合わせたサービスで、部門の設定も個別に設計するため、自社で部門を設定する他の3製品とは提供形態が異なります。
1. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Next は、長年にわたり会計ソフトを提供してきた弥生株式会社の法人向けクラウド会計サービスです。金融機関やクレジットカードの明細を自動取得し、AIが勘定科目を提案して仕訳を自動化するほか、請求書発行・経費精算・証憑管理も一つにまとめ、これらのデータが会計処理へ自動で流れます。
部門別会計の面では、部門を最大10階層まで登録でき、残高試算表を部門ごとに対比して表示できます。店舗や事業部を階層で整理したい中小企業に向いています。
初期費用は0円で、月額はエントリープランが2,900円から(年払い換算・税抜)。ベーシックプラス相当の機能を最大2か月間無料で試せるため、部門の設定を含めて使い勝手を確かめてから導入できます。なお対象は法人で、個人事業主向けには別製品が用意されています。
2. Tenbook(テンブック)(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbook(テンブック)は、シンアカウンティングサービス株式会社が提供する、クラウド会計・経理ソフトと経理代行を組み合わせたサービスです。日々の記帳から決算書・申告書の作成までを提携の会計事務所が一気通貫で支援し、簿記の知識がなくても正確な数字を積み上げられる設計になっています。売上高10億円以下を目安とした中小企業の経理体制づくりを得意としています。
積み上げた数字をもとに、部門別・予算・前期比較といった分析の切り口でも経営情報を見られるようにしているといいます。自社の経理に人手を割きにくい企業が、部門別の損益把握まで専門家の支援を受けながら進められる点が特徴です。
ソフト単体の利用というより、経理業務そのものを任せたい企業に向いています。料金は体制や業務範囲に応じた個別見積もりのため、詳細は資料や問い合わせで確認してください。
部門別の損益把握も、日々の数字が正確に積み上がっていることが前提になります。この土台づくりの位置づけについて、同社の上田氏はインタビューで次のように述べています。
そのうえで、数字がきちんと積み上がる状態を作り、決算・申告まで責任を持つ。さらに、出来上がった数字をもとに経営分析など、事業に資する情報提供までつなげていく。私たちは「正確な情報を提供するための土台作り」をかなり重視しています。
3. freee会計(フリー株式会社)

簿記の知識が浅くても使える設計を掲げているのが、フリー株式会社のfreee会計です。個人事業主から中小企業、上場企業までを対象にした統合型のクラウド会計で、1,000を超える金融機関やサービスと連携して取引データを自動取得し、AIが仕訳を提案します。質問に答える形で記帳を進められるため、経理に不慣れな担当者でも扱いやすいのが強みです。
部門別会計の面では、タグ機能を使って部門別・取引先別に損益を分析できます。部門の登録数は上位プランほど柔軟で、アドバンスプラン以上では部門を無制限(5階層まで)に設定できます。複数部門を細かく管理したい成長企業にも対応しやすい設計です。法人向けは30日間の無料お試しから始められ、個人・法人を問わず自分で記帳したい事業者の受け皿になります。
4. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

ひとり法人・中小企業向けの標準的なクラウド会計ソフトが、株式会社マネーフォワードのマネーフォワード クラウド会計です。銀行やクレジットカードとデータ連携して明細を自動取得し、AIが勘定科目を提案して仕訳を自動化します。請求書・経費・給与など他のマネーフォワード クラウド製品と同じ基盤で連携し、バックオフィス全体をまとめて効率化できる点も特徴です。
部門別の損益管理には上位のビジネスプランで対応します。部門の登録数はプランによって異なり、下位プランでは2部門(1階層)まで、ビジネスプランでは部門を無制限(2階層)に登録できます。部門別・プロジェクト別に損益を分析したい中小企業に向いています。1か月の無料お試しから始められ、仕訳の自由度を保ちたい経理経験者にも扱いやすい設計です。
ここで紹介したのは、部門機能を備えた代表的なクラウド会計ソフトです。料金プランやタイプ別の向き不向きまで含めて、クラウド会計ソフト全体から選び直したい場合もあります。
以下の記事では、クラウド会計ソフトを規模・タイプ別の選び方や料金まで含めて幅広く比較しています。部門機能にこだわらず全体から候補を見直したい方は、あわせてご覧ください。
まとめ
部門別会計は、全社で1本だった損益計算書を店舗・事業・拠点などの単位に分け、部門ごとの損益を把握する管理会計の手法です。儲かる部門と赤字部門が数字で見えるようになり、経営判断や採算改善、部門ごとの目標設定に生かせます。社外へ報告する財務会計と違い、自社の経営のために任意で行う会計です。
始めるときは、まず評価したい単位で部門を切り、共通費は無理に配賦せず部門利益(貢献利益)から見るのが続けるコツです。慣れてきたら、床面積・従業員数・売上高など原因に近い基準で共通費を配賦し、部門ごとの営業利益まで出していきます。モデルの損益計算書に自社の数字を当てはめ、会計ソフトの部門機能を使えば、毎月の部門別の損益を手間をかけずに把握できます。
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部門別会計に関するよくある質問(FAQ)
Q. 部門別会計とは何ですか?
A. 部門別会計とは、全社で1本にまとめていた損益計算書を店舗・事業・拠点などの部門ごとに分け、部門単位の損益を把握する管理会計の手法です。会社全体の黒字・赤字しか分からなかった数字を部門別にすることで、どの部門が稼ぎ、どの部門が赤字なのかが見えるようになります。法律で定められた決算書とは別に、社内の経営判断のために任意で作るものです。
Q. 部門別会計はどんな会社に必要ですか?
A. 部門別会計は、複数の店舗や事業・拠点を持ち、全社の損益だけでは部門ごとの採算が見えなくなっている会社に向いています。法律で義務づけられた手続きではなく、社内の経営判断のために任意で行う管理会計のため、単一事業の小規模な会社では必ずしも必要ありません。店舗や事業を増やして「どこが儲かっているのか分からない」と感じ始めたら、導入を検討するタイミングです。
Q. 専用の会計ソフトがなくても部門別会計はできますか?
A. 部門別会計は、専用のシステムがなくてもExcelなどの表計算ソフトから始められます。売上と費用を部門ごとの列に分けて集計すれば、部門別の損益計算書は手作業でも作れます。ただし仕訳の件数が増えると手集計はミスも手間も増えるため、継続して運用するなら、仕訳に部門を指定するだけで自動集計できる会計ソフトの部門機能を使うのが現実的です。
Q. 部門別会計で、部門はどのくらい細かく分ければよいですか?
A. 部門別会計の部門は、最初から細かく分けず、自社が損益を評価したい単位で1〜2軸に絞って始めるのがおすすめです。いきなり店舗×商品×担当者のように多軸で分けると、仕訳への部門指定が煩雑になり運用が続きません。まずは「どの単位で儲かっているかを知りたいか」を基準に大きく分け、運用が回ってきてからキッチン・ホールのように階層を足して細かくしていくと、無理なく精度を上げられます。
Q. 複数部門にまたがる費用や兼務の社員の人件費はどう扱えばよいですか?
A. 複数部門にまたがる費用は、特定の部門に直接ひもづけられない共通費として扱い、各部門に配賦するか、配賦せず全社でまとめて把握します。たとえば2店舗を兼務する社員の人件費は、勤務時間の割合など実態に近い基準で各部門に按分します。
按分の基準を決めるのが難しい場合は、無理に割り振らず共通費として別建てにし、各部門は配賦前の部門利益(貢献利益)で評価する方法から始めると、ルール作りで立ち止まらずにすみます。
Q. 部門が赤字なら、その部門は閉鎖すべきですか?
A. 部門が赤字でも、共通費を配賦した後の営業利益だけで閉鎖を判断するのは早計です。共通費を配賦する前の部門利益(貢献利益)がプラスなら、その部門は本部費などの全社コストの一部を負担できており、閉鎖すると残った部門がその共通費を肩代わりして全社の利益がかえって減ることがあります。
配賦前の貢献利益と配賦後の営業利益を分けて見て、「部門として黒字を生んでいるか」「全社コストまで負担して黒字か」を切り分けてから判断してください。
Q. 部門別会計を導入してもうまく定着しません。原因は何ですか?
A. 部門別会計が定着しない原因の多くは、最初から共通費の配賦まで完璧に作り込もうとして、ルール作りで立ち止まってしまうことです。共通費の配賦基準を巡って議論が長引いたり、部門分けが細かすぎて毎月の集計が負担になったりすると、運用が続きません。まずは部門を大きく分けて配賦前の部門利益まで出す段階で運用を始め、毎月部門別の数字を見る習慣をつくってから精度を上げていくと、定着しやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















