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採算管理とは?原価管理・予実管理との違いと、部門別・案件別の始め方

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管理会計システム比較表(2026年版)

会社全体では利益が出ているはずなのに、どの事業やどの案件が稼ぎ頭で、どれが足を引っ張っているのかを数字で説明できない。経営会議で「で、これは採算が取れているのか」と問われて言葉に詰まる。こうした悩みの背景には、損益を会社全体でしか見ておらず、部門や案件といった単位に分けて利益を把握できていない状態があります。

採算管理は、この「どの単位で儲かっているか」を見えるようにするための管理会計の手法です。ただ、原価管理や予実管理といった似た言葉との違いが分かりにくく、どこから手を付ければよいか迷いやすいテーマでもあります。

本記事では、採算管理の意味と近い言葉との違いを整理したうえで、部門別・案件別といった切り口の選び方、採算を測る計算式や指標、共通費の配賦の考え方、採算表の作り方までを解説します。あわせて、Excel管理の限界と、管理会計システムを使って効率化する方法まで、採算管理をこれから始める担当者が判断材料にできる形でまとめました。

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採算管理とは

採算管理とは、部門・事業・案件・製品・顧客といった単位ごとに、売上からその単位にかかった原価・費用を差し引いた利益を把握し、どの単位が利益を生んでいるかを継続的に見て改善していく管理のことです。「採算が取れている」とは、投じた費用を上回る収益が得られている状態を指し、採算管理はそれを会社全体ではなく細かい単位で捉え直す取り組みといえます。

ポイントは、利益を見る「単位」を分解することにあります。会社全体の決算では黒字でも、案件ごとに見れば赤字の仕事が混ざっていることは珍しくありません。採算管理では、売上と費用を部門や案件に紐づけて、どこで利益が出てどこで損失が出ているのかを数字で示します。これにより、値上げ・撤退・受注の可否といった経営判断の根拠が得られます。

採算管理は社内の意思決定のために行う管理会計の一分野であり、税務署や株主への報告を目的とする財務会計とは狙いが異なります。次章では、混同しやすい原価管理・予実管理・収支管理・管理会計との違いを整理します。

採算管理と原価管理・予実管理・収支管理・管理会計の違い

ここからは、採算管理と混同されやすい用語との違いを整理します。いずれも会社のお金や利益に関わる言葉ですが、見る目的・単位・期間が異なります。

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用語採算管理原価管理予実管理収支管理管理会計
主な目的部門・案件などの単位で利益が出ているかを把握し改善する製品やサービスにかかる原価を正確に把握し、ムダを抑える立てた予算と実績のズレを管理し、計画の達成度を見る会社全体のお金の出入り(収入と支出)を把握する社内の意思決定・業績管理のために会計情報を使う(上記を含む総称)
見る単位部門・事業・案件・製品・顧客製品・サービス1単位あたりの原価全社・部門などの予算区分会社全体・期間単位目的に応じて自由に設定
見る時間軸実績中心(将来の見込みも扱う)実績(標準原価との差異も分析)計画(予算)と実績の対比実際の入出金過去実績から将来予測まで

※上記は各用語の一般的な捉え方の整理です。企業や文献によって区分や呼び方は異なります。

特に混同しやすいのが原価管理です。原価管理は製品やサービスにかかる費用を正確に把握することが主眼で、採算管理はその原価と売上を突き合わせて「利益が出ているか」を判断する取り組みです。費用を正しく捉える原価管理は、採算管理の前提になります。原価管理について、企業会計審議会の「原価計算基準」は次のように定義しています。

原価管理とは、原価の標準を設定してこれを指示し、原価の実際の発生額を計算記録し、これを標準と比較して、その差異の原因を分析し、これに関する資料を経営管理者に報告し、原価能率を増進する措置を講ずることをいう。

出典:企業会計審議会「原価計算基準」一(三)(原価計算基準 全文)

予実管理は、立てた予算と実際の実績との差を管理して計画の達成度を見る取り組みで、採算管理とは「計画と比べる」か「単位ごとの利益を見る」かという着眼点が異なります。収支管理は会社全体の現金の出入りを把握するもので、利益ではなくお金の流れを見る点で採算管理と区別されます。そして管理会計は、これら社内の意思決定のための会計の総称であり、採算管理はその一分野に位置づけられます。

なぜ採算管理が必要か(全体は黒字でも隠れ赤字がある)

採算管理が必要になる最大の理由は、会社全体の損益だけを見ていると、個別の赤字が黒字に埋もれて見えなくなることにあります。

たとえば、3つの案件で合計の利益が出ていても、その内訳が「案件Aと案件Cで稼ぎ、案件Bは赤字」という構成であることがあります。全社の決算書を見るだけでは、案件Bの赤字は全体の黒字に埋もれ、問題として認識されません。結果として、赤字の仕事を受け続けたり、採算の悪い案件に人員を割き続けたりといった判断の誤りが起こります。

会社全体で見ると黒字でも、部門・案件に分けて見ると、黒字の案件Aと案件Cに埋もれて案件Bが赤字になっていることが見える、という採算管理の考え方を示した図解

採算を部門や案件の単位で見える化すると、どの仕事が利益を生んでいるかが数字で分かり、値上げ交渉・受注の可否・撤退ラインの設定といった判断に根拠を持たせられます。人員や予算をどこに配分すべきかを、感覚ではなく実績にもとづいて決められるようになる点が、採算管理の価値です。

採算管理の切り口と自社に合う見方

ここからは、採算をどの単位で見るかという「切り口」を解説します。採算管理は、部門別・事業別・プロジェクト別・製品別・顧客別など複数の単位で行えますが、自社の事業の形によって適した切り口は変わります。まずは全体像を一覧で示します。

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切り口部門別・事業別プロジェクト・案件別製品別・顧客別
向いている会社・業態複数の部門や事業を持つ企業全般受託開発・制作・士業・BPOなどのプロジェクト型ビジネス複数の製品・取引先を抱える製造業・卸売業など
見えるようになることどの部門・事業が利益を生み、どこが負担になっているか案件ごとの利益率、工数のかかりすぎで赤字になった案件どの製品・顧客が採算に貢献し、どこが値引き過多か

※上記は代表的な切り口の整理です。複数の切り口を組み合わせて管理することもあります。

部門別・事業別の採算管理

部門別・事業別の採算管理は、組織を部門や事業単位に分けて、それぞれの売上・費用・利益を把握する方法です。どの部門が全社の利益を支え、どこが赤字なのかを明確にできるため、業績評価や資源配分の基礎になります。各部門の数値に責任者を割り当てることで、数字に対する責任の所在もはっきりします。

一方で、複数の部門で共通して発生する費用(本社の管理費など)をどの部門にどれだけ負担させるかという配賦の問題が生じます。配賦の考え方は後の章で解説します。

プロジェクト・案件別の採算管理(工数ベース)

受託開発・制作・士業・BPO(業務プロセスの外部委託)など、案件ごとに人が動くプロジェクト型ビジネスでは、案件単位で採算を見ることが重要になります。これらの業態では、最大の費用が人件費であり、しかも「誰がどの案件に何時間かかわったか」が見えにくいという特徴があるためです。

案件ごとに売上と、投入した工数(時間)から換算した人件費・外注費を突き合わせることで、赤字案件を特定できます。見積もり時の想定工数と実績工数を比べれば、見積もりの精度向上や、値上げ交渉の根拠づくりにもつながります。

案件ごとに工数と原価を集めて収支を見える化する具体的な手順や、それを支えるツールについては、以下の記事で詳しく解説しています。受託開発・制作など、案件単位で採算を見たい方はあわせてご覧ください。

製品別・顧客別の採算管理

複数の製品や取引先を抱える製造業・卸売業などでは、製品別・顧客別に採算を見ることで、どの製品が利益を生み、どの顧客との取引が採算に合っているかを把握できます。製造業では、受注や製造の単位に番号(工番)を振り、その工番ごとに材料費・労務費・外注費を集計して採算を管理する方法がよく使われます。

顧客別に見ると、売上は大きいものの値引きや特別対応が多く、実は採算が悪い取引先が見つかることがあります。製品・顧客という単位で利益を捉えることは、価格設定や取引条件の見直しに直結します。

製品別に採算を見るときは、製品ごとの売上から材料費・仕入れなどの変動費を引いた利益を、販売数量とあわせて把握します。これで、どの製品が全体の利益をどれだけ支えているかが見えます。売れ筋でも採算の悪い製品と、数は出ないが利益率の高い製品を見分けられると、注力する製品や価格の判断につながります。顧客別では、その取引の粗利から、専任担当の人件費や物流・特別対応にかかった費用を割り当てて、取引単位の採算を評価します。いずれも、直接ひもづく費用と共通費を分けて集計する点は、部門別・案件別と同じです。

採算管理の計算式と主要指標

ここからは、採算を測るときに使う計算式と主要な指標を解説します。採算管理では、売上から費用を引いた利益を見ますが、何を費用として引くかによっていくつかの指標があります。

まずは粗利と採算率を基本として押さえます。そのうえで、プロジェクト型なら時間当たり採算、部門や製品の採算を固定費まで見たいなら限界利益・損益分岐点というように、自社の切り口に合わせて使い分けると判断しやすくなります。用語をひとつずつ見ていきましょう。

粗利・採算率

採算を見るうえで最も基本となるのが粗利(売上総利益)です。粗利は、売上高からその売上に直接かかった費用(材料費・外注費・直接人件費など)を差し引いた利益を指します。案件や部門ごとに粗利を出し、売上高に占める粗利の割合(採算率・粗利率)を見れば、どの単位がどれだけ効率よく利益を生んでいるかを比較できます。

採算率は「粗利 ÷ 売上高 × 100」で求めます。同じ売上でも採算率が低い案件は、費用のかけすぎや値引きの大きさが利益を圧迫している可能性があり、改善の対象になります。

限界利益・貢献利益

採算を考えるうえでは、費用を「変動費」と「固定費」に分けて捉えると判断がしやすくなります。変動費は売上に比例してかかる費用(原材料や仕入商品など)、固定費は売上に関わらず一定的にかかる費用(正社員の給与や家賃など)です。

このうち、売上高から変動費を差し引いた利益を限界利益といいます。限界利益は、その売上が固定費の回収や利益にどれだけ貢献しているかを示す指標で、損益分岐点の計算にも使われます。

貢献利益は、限界利益からさらに、その部門・製品に固有の固定費(専任の人件費や専用設備費など)を差し引いた利益を指すことが多く、その単位が全社の共通費や利益にどれだけ貢献しているかを見るときに使います。ただし貢献利益は文献によって定義に幅があるため、社内で「どこまでの費用を引いた利益を貢献利益と呼ぶか」を決めて統一して使うことが大切です。

限界利益・変動費・固定費の定義は、中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21でも次のように示されています。

固定費:売上に係わらず、一定的にかかる費用で、例えば、正社員の給与や店舗の家賃などです
変動費:売上に比例してかかる費用で、例えば、原材料や仕入商品などです

出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 J-Net21「損益分岐点を使った目標売上高」(J-Net21)

時間当たり採算(プロジェクト型の核心)

プロジェクト型ビジネスで採算を測るときの核心になるのが、時間当たりの採算です。これは、売上から外注費や経費を差し引いた利益を、その案件に投じた総時間で割って求めます。ここで人件費を引かずに時間で割るのは、投入した労働時間そのものをコストとして捉えるためで、工数のかかりすぎによる隠れ赤字を「1時間あたりいくら稼げたか」で可視化できます。

たとえば、売上120万円の受託案件で外注費・経費が計40万円かかったとします。差し引いた利益80万円を、その案件に投じた総作業時間200時間で割ると、時間当たり採算は80万円 ÷ 200時間=4,000円です。同じ利益でも作業に400時間かかっていれば2,000円まで下がります。粗利の金額だけを見ていると気づけない「時間をかけすぎた案件」の非効率が、時間当たりで見ると表面化します。

時間当たり採算を機能させるには、案件に紐づけて作業時間を記録する運用が前提になります。誰がどの案件に何時間かかわったかが分かって初めて、人件費を案件ごとに割り当てられるためです。

損益分岐点との関係

損益分岐点は、利益がゼロ(売上高=総費用)になる売上の水準を指します。採算管理では、案件や部門がこの水準を上回っているかを見ることで、撤退ラインや最低限確保すべき売上の目安を設定できます。損益分岐点となる売上高は、固定費と限界利益率(または変動費率)から次のように求められます。

損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率

出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 J-Net21「損益分岐点を使った目標売上高」(J-Net21)

限界利益率は「限界利益 ÷ 売上高」で求める割合で、変動費率(変動費 ÷ 売上高)を使えば「固定費 ÷(1 − 変動費率)」と表すこともできます。たとえば固定費が月300万円、限界利益率が40%の部門であれば、損益分岐点売上高は300万円 ÷ 0.4 = 750万円です。

月の売上が750万円を上回れば利益が出て、下回れば赤字になると分かります。損益分岐点を把握しておくと、「あといくら売れば黒字になるか」「この案件は続ける価値があるか」といった判断を数字で行えます。

共通費の配賦の考え方

部門別や案件別に採算を見ようとすると、特定の部門・案件に直接ひもづけられない費用(本社管理費・共有設備費など)をどう割り振るかという問題が出てきます。これが、採算管理でつまずきやすい共通費の配賦です。

費用は、特定の単位に直接ひもづけられる「直接費」と、複数の単位に共通してかかる「共通費」に分けられます。直接費はその単位にそのまま割り当て、共通費は一定の基準で各単位に割り振ります。この割り振りを配賦といいます。企業会計審議会の「原価計算基準」では、部門への費用の割り当てについて次のように定めています。

部門個別費は、原価部門における発生額を直接に当該部門に賦課し、部門共通費は、原価要素別に又はその性質に基づいて分類された原価要素群別にもしくは一括して、適当な配賦基準によって関係各部門に配賦する。

出典:企業会計審議会「原価計算基準」一七(原価計算基準 一七)

配賦の基準には、従業員の人数比・売上高比・作業時間(稼働時間)比などが実務でよく使われます。どの基準を選ぶかによって各単位の採算は変わるため、自社の実態に合った基準を選び、いちど決めたら期をまたいで固定して運用することが大切です。期ごとに基準を変えると、採算の良し悪しが基準の変更によるものか実態の変化によるものか判断できなくなります。

採算表の作り方(列構成と数字のイメージ)

採算表は、管理する単位(案件・部門など)を行に、売上・費用・利益の項目を列に並べた表です。案件別を例に、作り方を具体的に見ていきます。次は、案件別採算表のイメージです。

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案件案件A案件B案件C
売上高500万円300万円400万円
直接費(外注費・人件費など)320万円310万円250万円
粗利180万円-10万円150万円
採算率36%-3%38%

※数値は採算表の列構成を示すための例です。

この例では、全体では利益が出ていても、案件Bが赤字であることが一目で分かります。採算表を作る際は、まず売上と直接費を案件ごとに集計し、粗利と採算率を算出します。さらに精緻に見る場合は、共通費を配賦した後の利益や、限界利益の列を加えます。重要なのは、どの費用をどの単位に割り当てるかのルールを決め、毎回同じ基準で集計することです。

共通費を配賦した列を足すと、採算の見え方が変わることもあります。たとえば案件Aに、本社管理費などの共通費を売上高比で30万円配賦すると、配賦後の利益は180万円 − 30万円=150万円になります。直接費だけの粗利では黒字に見えても、共通費まで負担させると利益が大きく縮む案件や、わずかな黒字が赤字に転じる案件も出てきます。直接費までで見るか配賦後まで見るかは、何を判断したいか(日々の受注可否か、事業全体の採算か)に応じて決めます。表のどこまでを配賦後の数字にするかは、社内でそろえておきます。

採算管理の進め方とよくある失敗

採算表を作って終わりではなく、定期的に実績と突き合わせて改善につなげることで、はじめて採算管理は機能します。ここでは、実際に回していく手順と、つまずきやすい点を見ていきます。

PDCA・予実で回す運用(目標設定→実績突合→レビュー)

採算管理は、次の流れで継続的に回します。まず、部門や案件ごとに採算の目標(目標利益や目標採算率)を設定します。次に、売上と費用の実績を集計し、目標と実績を突き合わせます。そして、差が出た単位についてその原因を分析し、値上げ・費用削減・人員配置の見直しといった対策につなげます。

この目標と実績を比べる流れは、予実管理そのものと重なります。単位ごとの採算目標を予算として置き、月次などの周期で実績と突き合わせて差異を分析することで、問題の早期発見と改善の定着につなげられます。予算の立て方から差異分析の手順、Excelでの予実管理表の作り方までを具体的に知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。

採算管理でよくある失敗・注意点

採算管理でつまずきやすいのは、集計の前提が曖昧なまま運用を始めてしまうことです。費用の区分や配賦基準を決めずに集計すると、担当者によって数字の作り方が変わり、単位ごとの比較ができなくなります。

  • 配賦基準を決めていない、または期ごとに変えてしまい、採算の変化が実態によるものか判断できない
  • 人件費を案件に割り当てる前提となる工数の記録が運用されておらず、最大の費用が見えないまま採算を出している
  • 集計に手間がかかりすぎて、月次の締めに間に合わず、赤字の発見が後手に回る
  • 採算表を作ることが目的になり、結果を改善の打ち手に結びつけられていない

これらを避けるには、費用区分と配賦基準をあらかじめ決めて固定し、工数などの元データを記録する運用を定着させ、集計から改善までを無理なく回せる仕組みにしておくことが欠かせません。

Excel採算管理の限界とシステム移行の目安

採算管理は、案件数が少ないうちはExcelでも始められます。案件ごとに売上・外注費・人件費・経費・投入時間を月別に記録すれば、基本的な採算表は作れます。一方で、管理する単位や関係者が増えると、Excel運用には次のような限界が見えてきます。

  • 同時に進む案件や入力者が増えると、ファイルの集計・転記に時間がかかり、月次の締めに間に合わなくなる
  • 部門別・案件別・製品別など複数の切り口で同時に集計しようとすると、表の管理が煩雑になり属人化する
  • 配賦計算や予実の突き合わせを手作業で行うため、入力ミスやバージョン違いが起きやすい
  • 締めてからでないと採算が分からず、赤字の予兆をリアルタイムに把握できない

目安として、同時に進む案件が増えて集計が追いつかない、入力に関わる担当者が複数部門にまたがる、複数の切り口で採算を見たい、といった状態になったら、管理会計システムの導入を検討する段階といえます。次章では、採算管理をシステムで効率化する方法を解説します。

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採算管理に管理会計システムを活用する

Excelでの採算管理が限界に近づいたら、管理会計システムの活用が選択肢になります。管理会計システムは、会計システムから実績データを取り込み、部門別・事業別・プロジェクト別といった切り口の損益を集計し、予算と実績の差異を自動で可視化します。

予実の突合や、ツールによっては共通費の配賦の計算までを自動化できるため、属人化した集計から脱して、採算の見える化を継続しやすくなります。

ここで紹介するサービスは、部門別・事業別の損益や予実・KPIの管理を主な強みとしています。受託開発や制作のように案件ごとの工数原価を積み上げて採算を見たい場合は、プロジェクト収支管理に特化したツールのほうが適することもあるため、前述の案件別収支管理の記事もあわせてご確認ください。料金は利用規模や機能によって変わり、多くは資料請求・問い合わせで確認する形です。

ここでは、採算管理に活用できる代表的なサービスを紹介します。まずは各サービスの特徴を比較表にまとめました。

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サービス名DIGGLEX-KPIScale Cloud
提供形態クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)クラウド(SaaS)
損益を見る切り口部門別・事業別
(勘定科目より細かい粒度で損益管理)
部門・拠点・プロジェクト別部門・得意先・プロジェクト別
(親会社・子会社の数字整合にも対応)
予実管理●予算策定・予実突合・見込管理を一元化●予実差・異常値を自動検知しチャット通知●KPIを積み上げた予算策定・着地見込み更新
配賦(共通費の配分)●多段階配賦に対応(配賦元・先・基準を設定)公式に記載なし公式に記載なし
KPI・非財務指標の管理△財務・非財務指標を可視化(予実管理が主軸)●KPIツリーで部門・拠点・案件のKPIを一元管理●PL/BS/CFと先行・結果指標のKPIを関連づけて管理
会計システム連携freee会計・マネーフォワード・
勘定奉行クラウド・弥生などとAPI/CSV連携
会計ソフト・グループウェアとAPI連携
(CSV取込は公式記載なし)
勘定奉行クラウド・freee・Salesforce
・Googleスプレッドシート・CSV連携
料金要問い合わせ
(初期費用・月額とも非公開)
要問い合わせ
(初期費用・月額とも非公開)
月額15万円〜
(公式サイト、2026年9月時点。初期費用は要問い合わせ)
向いている企業部門別の損益を、配賦を含めて
継続的に見ていきたい企業
複数部門・拠点・案件のKPIと
予実を横断的に把握したい企業
複数事業・子会社を横断して
予実とKPIをそろえて採算を見たい企業
詳細情報公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

1. DIGGLE(ディグル株式会社)

DIGGLE(ディグル)のウェブサイト

DIGGLEは、予算・実績・見込をクラウド上で一元管理する、予実管理に特化した経営管理クラウドです。会計システムとAPI連携して実績データを取り込み、予算と実績の突き合わせを自動化することで、Excel中心の予実管理で起こりがちな属人化や集計の手間を解消します。

採算管理の観点では、勘定科目より細かい粒度での損益管理に対応し、配賦元・配賦先・配賦基準を柔軟に設定できる多段階の配賦機能を備えている点が特徴です。配賦ルールはワンクリックで切り替えられ、配賦後の数値を保存して比較することもできます。部門別の損益を、配賦を含めて継続的に見ていきたい企業に向いています。

2. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

X-KPI(クロスケーピーアイ)のウェブサイト

X-KPIは、複数の部門・拠点・プロジェクト単位のKPIと予実データをクラウド上で集約し、リアルタイムに可視化するKPI・予実管理ツールです。予算と実績のズレや異常値を自動で検知し、原因とともにチャットツールへ通知する仕組みを備えています。

専門知識がなくてもKPI項目やダッシュボードを設計・運用できるため、管理部門だけでなく現場社員まで巻き込んだ全社運用がしやすい点も特徴です。部門・拠点・プロジェクトといった複数の切り口で採算と予実を横断的に把握したい企業に適しています。

3. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

Scale Cloud(スケールクラウド)のウェブサイト

Scale Cloudは、財務数値(PL・BS・CF)と非財務数値(KPI)を関連づけて一元管理する経営管理クラウドです。各KPIの数値をもとにPLをシミュレーションでき、複数パターンでの予算作成や着地見込みの更新がしやすい点が特徴です。公式サイトでは月額15万円からと案内されています(2026年9月時点)。

部門・得意先・プロジェクトといった単位でのPL管理に対応し、親会社と子会社の数字を整合させてグループ全体を把握しやすくする機能も備えます。複数の事業や子会社を横断して、予実とKPIをそろえて採算を見たい企業に向いています。

Excelやスプレッドシートからシステムへ移行したとき、集計の手間がどの程度減るのかは導入を判断するうえでの材料になります。この点について、同社の広瀬氏はインタビューで導入企業の実績を次のように語っています。

広瀬氏
株式会社Scale Cloud 代表取締役
広瀬氏
独自インタビューより

数値的な効果で申し上げると、他社システムからの乗り換えでは、工数が約40%削減できたとおっしゃっていただいているケースがあります。Excelやスプレッドシートからのリプレースに関しても、工数が6分の1程度になったという声をいただいています。効率化という目線では、それぐらいのインパクトが出ています。

ここで紹介した3サービス以外にも、採算管理に使える管理会計システムは数多くあります。目的や企業規模からの選び方と、クラウド型・ERP型といったタイプごとの違いをまとめて比較したい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。

まとめ

採算管理は、部門・事業・案件・製品・顧客といった単位ごとに利益を把握し、会社全体の黒字に埋もれがちな隠れ赤字を見つけて改善していく管理会計の取り組みです。原価管理が費用を正確に把握することを主眼とするのに対し、採算管理はその原価と売上を突き合わせて利益を判断する点に違いがあります。

自社の事業の形に合った切り口を選び、粗利・限界利益・損益分岐点といった指標と、共通費の配賦の考え方を押さえたうえで、採算表を作って定期的に実績と突き合わせることが基本の流れです。管理する単位や関係者が増えてExcelでの集計が追いつかなくなったら、管理会計システムの活用で配賦や予実突合を自動化し、採算の見える化を継続しやすくできます。

まずは自社の採算をどの単位で見るかを決め、小さく採算表を作るところから始めてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 採算管理とは何ですか?

A. 採算管理とは、部門・事業・案件・製品・顧客といった単位ごとに、売上から原価・費用を差し引いた利益を把握し、どこで利益が出ているかを継続的に見て改善する管理会計の手法です。会社全体の損益ではなく、利益を見る単位を細かく分解する点が特徴で、値上げ・受注可否・撤退といった経営判断の根拠になります。

Q. 採算管理と原価管理の違いは何ですか?

A. 採算管理と原価管理の違いは、原価管理が「費用を正確に把握する」ことを目的とするのに対し、採算管理はその原価と売上を突き合わせて「利益が出ているか」を判断する点にあります。費用を正しく捉える原価管理は採算管理の前提にあたり、両者は対立するものではなく、段階の異なる取り組みです。

Q. 採算管理と予実管理はどう違いますか?

A. 採算管理と予実管理は、予実管理が立てた予算と実績のズレ(計画の達成度)を見るのに対し、採算管理は部門や案件など単位ごとに利益が出ているかを見るという着眼点の違いがあります。実務では両者は重なり合い、単位ごとの採算目標を予算として置いて実績と比較すれば、採算の把握と計画の達成度管理を同時に回せます。

Q. 「採算が合わない」とはどういう状態を指しますか?

A. 「採算が合わない」とは、ある案件や事業に投じた費用が、そこから得られる収益を上回り、利益が出ていない状態を指します。売上が立っていても、工数がかさんで人件費が売上を超えていれば採算は合いません。見かけの売上規模ではなく、投じた費用との差で判断するのがポイントです。

Q. 採算管理は何から始めればよいですか?

A. 採算管理は、利益を見る「単位」を決め、その単位ごとに売上と費用を集計できるようにすることから始めます。プロジェクト型のビジネスでは、最大の費用である人件費を案件に割り当てるため、まず案件ごとに作業時間(工数)を記録する運用づくりが出発点になります。あわせて、費用区分と配賦基準をあらかじめ決めておくと、担当者による集計のぶれを防げます。

Q. 採算管理はExcelでもできますか?

A. 採算管理は、案件や管理単位が少ないうちはExcelでも始められます。案件ごとに売上・外注費・人件費・経費・投入時間を月別に記録すれば、基本的な採算表は作れます。ただし、同時に進む案件や入力者が増える、複数の切り口で見たい、配賦や予実突合を手作業で行う、といった状況になると集計が追いつかなくなり、管理会計システムの導入を検討する段階になります。

Q. 採算管理と損益分岐点の計算は同じものですか?

A. 採算管理と損益分岐点の計算は、同じではありませんが密接に関係します。損益分岐点は利益がゼロになる売上高を求める「計算」であり、採算管理はその水準を案件や部門ごとに継続して追いかける「活動」です。損益分岐点を把握しておくと、採算管理のなかで撤退ラインや最低限確保すべき売上の目安を設定できます。

Q. 採算管理の配賦基準はどう決めればよいですか?

A. 採算管理の配賦基準は、共通費の発生実態にいちばん近い尺度を選ぶのが基本で、従業員の人数比・売上高比・作業時間(稼働時間)比などが実務でよく使われます。どの基準を選ぶかで各単位の採算は変わるため、自社の実態に合うものを選び、いちど決めたら期をまたいで固定して運用することが大切です。期ごとに変えると、採算の変化が実態によるものか基準変更によるものか判断できなくなります。

Q. 会社全体が黒字でも採算管理は必要ですか?

A. 会社全体が黒字でも、採算管理は必要です。全社では黒字でも、その内訳に赤字の案件や部門が混ざり、個別の赤字が黒字に埋もれて見えなくなることが多いためです。単位ごとに採算を見れば隠れた赤字を早期に発見でき、どの仕事に人員や予算を配分すべきかを数字にもとづいて判断できます。

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MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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