「請求管理」という業務を任されたものの、具体的に何を、どこまで指すのかをうまく説明できず戸惑っていませんか。請求書を作って送るだけの作業に見えて、実際には締め日の管理から入金の確認、消込(入金と請求の照合)、未入金への督促まで、売上を確実に回収するための一連の業務が含まれています。
本記事では、請求管理とは何かという定義と業務の範囲から、締めから代金回収までの業務の流れ、起こりやすい課題、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応、そして効率化の方法までを順に整理します。
読み終えるころには、請求管理の全体像を自分の言葉で説明でき、自社の請求業務のどこを見直せばよいかを判断できるようになります。業務の棚卸しや改善の第一歩として活用してください。
目次
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請求管理とは?業務の範囲(どこからどこまで)
請求管理とは、取引で発生した代金を取引先から確実に回収するために、請求書の発行から入金の確認・回収までを一連の業務として管理することです。請求書を作成・送付する作業だけを指すのではなく、その後の入金確認・消込・未回収分の督促までを含む点が特徴です。
具体的には、請求金額を確定する「締め」から始まり、請求書の作成・発行、送付、入金確認、入金消込、そして支払いが遅れた取引先への督促・代金回収までが請求管理の範囲に入ります。売上を計上しても代金を回収できなければ資金は増えないため、請求管理は会社の資金繰りを支える業務といえます。
請求の方法には、取引のたびに請求書を発行する「都度請求」と、一定期間の取引をまとめて締め日単位で請求する「締め請求(掛け売り請求)」の2種類があります。掛け売りとは、商品やサービスを先に提供し、代金を後からまとめて受け取る取引のことです。継続的に取引する企業間では締め請求が一般的で、締め日ごとに金額を集計する作業が請求管理の起点になります。
請求管理と似た言葉との違い(請求書発行・債権管理・売上管理)
請求管理は、請求書発行・債権管理・売上管理といった近い言葉としばしば混同されます。どこまでが請求管理の守備範囲かを整理しておくと、自社の業務分担やシステム選びで迷いにくくなります。
| 用語 | 請求管理 | 請求書発行 | 債権管理 | 売上管理 |
|---|---|---|---|---|
| 指す業務の範囲 | 請求書の発行〜送付〜入金確認〜消込〜督促・回収までの一連 | 請求書を作成して取引先に送るところまで | 売掛金など未回収の債権を記録・回収・管理する業務 | 受注・売上の計上や集計を管理する業務 |
| 請求管理との関係 | 請求〜回収を通して管理する考え方そのもの | 請求管理の一部(前半の工程) | 請求管理の後半(入金確認〜消込〜回収)と重なる | 売上計上が請求の前提になる隣接業務 |
※用語の使われ方は企業や文脈により幅があります。ここでは一般的な業務区分として整理しています。
このように、請求書発行は請求管理の入り口にあたる工程、債権管理は請求管理の後半(入金確認から回収まで)と重なる考え方です。請求管理は請求書発行より広く、回収まで見据えて管理する点で債権管理と目的を共有しています。
請求管理の後半と重なる「債権管理」は、業務フローや課題、効率化の方法を単独で整理した記事があります。入金確認から回収までの管理を掘り下げて知りたい方は、こちらもご覧ください。
請求管理の業務の流れ(6ステップ)
ここからは、請求管理が実際にどのような作業で進むのかを、締めから代金回収まで6つのステップに分けて見ていきます。各ステップで何をするかを押さえると、自社の業務のどこに手間がかかっているかを見極めやすくなります。

1. 請求の締め(請求金額の確定)
締め日を基準に、その期間の取引を集計して請求金額を確定します。締め請求では「毎月末締め」のように取引先ごとに締め日が決まっており、受注データや納品実績を突き合わせて金額を固めます。この集計の正確さが、後工程のミスを防ぐ土台になります。
2. 請求書の作成
確定した金額をもとに、取引先ごとの請求書を作成します。宛名・取引内容・金額・消費税・支払期限・振込先などを記載し、取引先の求める書式に合わせます。インボイス制度に対応する場合は、後述する適格請求書の記載事項を満たす必要があります。
3. 請求書の発行・送付
作成した請求書を、郵送・メール・電子データなどの方法で取引先に届けます。支払期限に間に合うよう、締め後すみやかに送付することが重要です。送付方法は取引先ごとに異なることが多く、紙とデータが混在すると管理が煩雑になりがちです。
4. 入金確認
支払期限を過ぎたら、請求額どおりに入金されているかを銀行口座の明細で確認します。振込名義が取引先名と異なる、複数の請求がまとめて振り込まれる、一部だけ入金される、といったケースがあり、どの請求に対する入金かを一件ずつ照らし合わせる必要があります。
5. 入金消込
確認した入金を、対応する請求と結びつけて「消し込む」作業です。消込によって、どの請求が回収済みで、どの請求が未回収かが明確になります。消込が滞ると未回収の見落としにつながるため、入金確認とセットで正確に行う必要があります。
6. 督促・代金回収
支払期限を過ぎても入金がない取引先には、メールや電話で支払いを促す督促を行います。それでも回収できない場合は、再請求や個別の交渉、法的手段へと段階的に対応します。督促は取引関係に配慮しながら進める必要があり、請求管理のなかでも神経を使う工程です。
請求管理を放置するリスクとよくある課題
請求管理を放置するとどうなる?
請求管理が行き届かないと、売上を計上していても代金を回収できず、手元資金が不足する原因になります。請求書の発行漏れや送付遅れがあれば入金そのものが遅れ、消込が滞れば未回収の請求を見落としかねません。
また、請求金額の誤りや二重請求は取引先の信頼を損ない、取引継続に影響することもあります。回収が遅れた売掛金が長期化すれば、最終的に回収不能(貸し倒れ)となるリスクも高まります。請求管理は、こうした資金繰りと信頼の両面のリスクを抑えるための業務といえます。
請求管理でよくある課題
請求管理は工程が多く、手作業に頼ると負担が集中しがちです。多くの企業で共通して挙がる課題を整理すると、自社に当てはまるものが見つかりやすくなります。
- 確認作業が多く手間がかかる:締め・作成・送付・入金確認・消込と工程が多く、取引先ごとに締め日や送付方法が異なるため、月末に作業が集中しやすくなります。
- 手作業によるミスが起こりやすい:金額の入力ミス、記載内容の誤り、送付漏れ・誤送信などが発生しやすく、気づかないまま取引先に届くと信頼を損ないます。
- 入金パターンが複雑で消込が難しい:複数請求のまとめ払い、一部入金、支払期日のずれ、振込名義の不一致などがあり、どの請求への入金かを一件ずつ照合する必要があります。
- 業務が属人化しやすい:担当者の経験や独自の管理表に依存すると、異動や退職のときに業務が滞り、引き継ぎも難しくなります。
- 保管・法対応の手間が増えている:請求書の控えや帳簿は一定期間の保管が必要で、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も加わり、紙とデータの管理が煩雑になっています。
請求管理に関わる法制度と保管のルール
請求管理では、請求書の記載事項、インボイス制度と電子帳簿保存法、書類の保管期間という3つの観点を押さえておく必要があります。いずれも請求書の作成・保管の方法に直接関わるため、根拠となる国税庁の情報とあわせて整理します。
請求書の記載事項とインボイス(適格請求書)
請求書に記載する項目は、発行日・宛先(取引先名)・発行者名・取引内容・金額・支払期限・振込先などが一般的です。これらは商慣習として広く使われているもので、一般的な請求書については法律で定められた決まった記載事項はありません。
一方、消費税の仕入税額控除に使う適格請求書(インボイス)には、法律で定められた記載事項があります。国税庁は適格請求書への記載事項を次のように定めています。
①書類作成者の氏名または名称および登録番号 ②取引年月日 ③取引内容(軽減税率の対象品目である旨) ④税率ごとに区分して合計した税込対価(又は税抜対価)の額及び適用税率 ⑤税率ごとに区分した消費税額等 ⑥書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
出典:No.6625 適格請求書等の記載事項|国税庁
この6項目のうち、従来の区分記載請求書に加えて必要になったのが「登録番号」「適用税率」「税率ごとに区分した消費税額等」です。適格請求書を発行するには、事前に税務署(国税庁)へ適格請求書発行事業者の登録を申請し、登録番号を受ける必要があります。
インボイス制度と電子帳簿保存法への対応
インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、2023年(令和5年)10月1日に始まりました。国税庁は制度の概要を次のように説明しています。
令和5年10月1日から、複数税率に対応した消費税額の仕入税額控除の方式として、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が開始しています。適格請求書等保存方式の下では、一定の事項が記載された帳簿及び「適格請求書(インボイス)」等の保存が仕入税額控除の要件となります。
出典:No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)|国税庁
あわせて、電子帳簿保存法への対応も必要です。メールやWebで請求書などを電子データでやりとりした場合、2024年(令和6年)1月以降は、そのデータを要件に従って電子のまま保存することが求められます。国税庁は電子取引データについて次のように案内しています。
令和6年1月からは保存要件に従った電子データの保存が必要ですので、そのために必要な準備をお願いします。請求書・領収書・契約書・見積書などに関する電子データを送付・受領した場合には、その電子データを一定の要件を満たした形で保存することが必要です。申告所得税・法人税に関して帳簿書類の保存義務がある全ての方にご対応いただく必要があります。
出典:電子取引データの保存方法(パンフレット)|国税庁
保存要件には、改ざんを防ぐための措置と、日付・金額・取引先で検索できる状態での保存が含まれます。紙に出力して保存する方法は経過措置として認められていた期間がありましたが、原則は電子データのまま要件を満たして保存する扱いです。
請求書を発行する側は、取引先が仕入税額控除に使えるよう適格請求書の記載事項を満たした請求書を発行・保存します。受け取る側は、受領した適格請求書と帳簿を保存します。いずれの立場でも、メールやWebでやりとりした請求書は紙に印刷して保存するのではなく、要件を満たした形で電子のまま保存する点が、従来からの大きな変更点です。
請求書・帳簿の保管期間
請求書の控えや帳簿は、法人か個人事業主かで保管期間が異なります。法人の場合、帳簿書類は原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保存が必要です(欠損金が生じた事業年度などは10年間)。
個人事業主の場合、帳簿は7年間、請求書・見積書・納品書などの書類は5年間の保存が目安です(青色申告・白色申告いずれも書類は5年)。「請求書は一律何年」と一括りにできないため、帳簿と書類を分けて確認するのが確実です。
加えて、消費税の仕入税額控除を受けるには、受け取った側(買手)も帳簿と適格請求書等を原則7年間保存する必要があります。インボイスは発行側だけでなく、受け取る側にも保存義務がある点に注意が必要です。
出典・参考資料(3件)
- 出典:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁
- 出典:No.2070 青色申告制度|国税庁
- 出典:No.6625 適格請求書等の記載事項(消費税法上の保存期間)|国税庁
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請求管理を効率化する3つの方法
請求管理の負担を減らす方法は、大きく3つに分けられます。自社の業務量や体制に合わせて、単独でも組み合わせても検討できます。
業務ルールを整備する
取引先ごとの締め日・送付方法・入金サイクルを一覧にまとめ、請求書のフォーマットや確認手順を標準化する方法です。コストをかけずに始められ、属人化やミスの一部を抑えられます。一方で、取引件数が増えると手作業の限界が見えやすく、根本的な工数削減には届きにくい面があります。
アウトソーシングを活用する
請求書の発行・送付や、与信・回収までを含む請求業務を外部の専門業者に委託する方法です。自社で担当者を育成・配置する負担を抑えられ、未回収リスクの移転まで対応できるサービスもあります。費用は月額利用料に加え請求金額や件数に応じた手数料がかかるのが一般的で、経理の人手が足りない場合や、請求・回収の業務ごと外部に手放したい場合に向いています。
システムを導入する
請求書の作成・発行から入金消込・督促までをソフトウェアで自動化する方法です。手作業のミスや属人化を抑えつつ、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応も仕組みで担保しやすくなります。システム導入は、請求書の作成から入金消込までを1つの仕組みで扱える点が、業務ルールの整備やアウトソーシングと異なります。どの工程が自動化され、どう選べばよいかを順に見ていきます。
システム導入で楽になる範囲
請求管理システムは、請求金額の集計や請求書の作成・送付を自動化し、月末に集中する手作業を減らします。入金データを取り込んで請求と自動で照合する消込機能を備えたものもあり、入金確認・消込の負担を抑えられます。複数人で状況を共有できるため属人化を防ぎやすく、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応した保存・発行を仕組みで担保できる点もメリットです。
システムを選ぶときの観点
自社に合うシステムを選ぶには、次の観点を確認します。
- 自社の業務範囲をカバーしているか:請求書の発行だけを効率化したいのか、入金消込・督促・債権管理まで任せたいのかで必要な機能が変わります。自社の課題がどの工程にあるかを起点に、対応範囲を見極めます。
- 既存システムと連携できるか:販売管理・会計ソフトや銀行口座と連携できると、データの二重入力や転記ミスを減らせます。すでに使っているシステムとの連携可否を確認します。
- 法令・税制の変更に対応しているか:インボイス制度や電子帳簿保存法の改正に継続的に対応しているかは、長く使ううえで重要な観点です。
- 導入後のサポート体制が整っているか:導入時の設定支援や、運用後の問い合わせ対応の手段・時間帯を確認しておくと、定着までの不安を抑えられます。
請求管理の課題を解決するサービス
ここからは、請求管理の課題を解決するサービスを紹介します。請求書の発行・送付の効率化を軸に、入金消込・督促・回収まで対応できるものを取り上げます。どの工程まで対応できるかはサービスごとに差があるため、まずは主な特徴を比較表で整理します。
| サービス名 | 請求管理ロボ | 請求まるなげロボ | マネーフォワード クラウド請求書Plus | invox発行請求書 |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド型システム | 請求業務の代行(アウトソーシング) | クラウド型システム | クラウド型システム |
| 対応範囲 | 請求書の発行・送付〜入金消込〜催促 (電話・SMSによる督促は「債権回収ロボ」連携で対応) | 与信審査〜発行・送付〜代金回収〜入金消込〜督促 (督促は弁護士法人対応も含む) | 請求書の発行・送付〜売上計上 (本格的な入金消込・債権管理は別製品「クラウド債権管理」と連携) | 請求書の発行・送付〜売上計上〜入金消込〜督促 |
| 入金消込 | ●自社システムで自動消込。全銀データ・CSV・バーチャル口座で自動照合し、AI消込学習にも対応 | ●代行会社が消込まで実施。差額発生時・振込名義の相違も代行対応 | △Plus単体では限定的。本格対応は別製品「クラウド債権管理」との連携が必要 | △ベーシックプラン(月額税込10,780円)以上+1件税込55円の従量課金で対応 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円 |
| 月額費用 | 要問い合わせ (月額+請求件数に応じた従量) | 要問い合わせ (月額利用料+手数料1.0%〜) | 要問い合わせ (従業員数または発行件数に応じて変動) | フリー0円/ミニマム1,980円 ベーシック9,800円/プロフェッショナル29,800円(税抜) |
| 向いている企業 | 発行から入金消込・催促までを自社で一気通貫に自動化したい企業 | 請求・回収業務ごと外部に委託し、与信通過した適格債権の未回収リスクも抑えたい企業 | 複雑な請求や承認フローが必要な中堅〜上場・IPO準備企業 | まず無料で請求書発行を試し、必要に応じて消込まで広げたい小規模〜中小企業 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る |
※対応範囲・入金消込の可否・料金は各サービスの公式情報にもとづく2026年10月時点の内容です。料金が「要問い合わせ」のサービスは公式に金額が公開されていないため、詳細は各社の資料請求・相談でご確認ください。
1. 請求管理ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求管理ロボは、株式会社ROBOT PAYMENTが提供するクラウド型の請求管理システムです。請求書の発行・送付から、集金、入金消込、未入金の自動催促までを1つのサービスで自動化できる点が特徴で、単発・定期定額・定期従量の請求タイプを設定し、希望の周期で請求書を自動発行できます。
入金消込では、全銀データ(全国銀行協会の規定にもとづく振込明細データ)やCSVの取り込みに加え、取引ごとに専用口座を割り当てるバーチャル口座の仕組みを使うと、振込名義が一致しなくても取引先を特定して自動で消し込めます。名義不一致を学習して次回以降に自動化するAI消込の機能も備えています。
未入金には自動の催促メールで対応し、電話・SMSを含む本格的な督促は同社の別サービス「債権回収ロボ」と連携して担います。
2. 請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求業務そのものを外部に委託したい企業に向くのが、請求まるなげロボです。企業間取引の与信審査(取引先の支払い能力を事前に確認すること)・請求書発行・送付・代金回収・入金消込・督促を株式会社ROBOT PAYMENTが代行します。同社の審査を通過した回収見込みのある債権(適格債権)については、売掛金を100%保証します。
与信を通過した取引については、取引先からの実際の入金を待たずに指定の営業日に支払われるため、未回収リスクを抑えながら資金化を早められます。未入金時の督促は、同社の担当窓口によるメール・電話のほか弁護士法人でも対応します。与信を通過しなかった取引分も、同じ画面上で請求書発行・送付・消込を自社管理でき、委託分と自社管理分を一元化できる点が特徴です。
3. マネーフォワード クラウド請求書Plus(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド請求書Plusは、中堅〜上場企業やIPO準備企業に向けた請求書発行システムです。受注データを分割・合算して請求書を作成する「請求締め」機能や、契約期間に応じた売上の按分、申請・承認ワークフローに対応し、内部統制を意識した請求業務を支えます。
作成できる帳票は請求書と見積書で、クラウド会計Plusとの連携により売上計上までデータを引き継げます。請求残高・債権残高の確認に対応し、入金消込・債権管理をより本格的に行う場合は、別製品「クラウド債権管理」とWebAPIで連携する構成になります。複雑な請求や承認フローを求める中堅以上の企業が候補にしやすいサービスです。
受注から請求、会計までを別々のシステムで扱うと、部門をまたいだ情報の受け渡しが手作業で生じやすくなります。同サービスを提供する株式会社マネーフォワードの栗本氏は、システム間が連携していない場合の請求業務の実務をこう説明しています。

この連携がない場合、経理の方が営業側のシステムに情報を拾いに行ったり、営業の方から経理に請求書の送信対応をお願いしたりと、人を介したやり取りが発生してしまいます。
4. invox発行請求書(株式会社invox)

請求データを取り込んで送付方法を指定するだけで、紙・電子を問わずインボイス制度に対応した請求書を発行できるのがinvox発行請求書です。発行・送付に加えて、売上計上・入金消込・督促までをまとめて自動化でき、見積書・納品書・支払通知書も同じ仕組みで発行できます。
料金は初期費用0円で、月額0円のフリープランから4段階が用意されています。ただし、オンラインバンク連携による入金消込はベーシックプラン(月額9,800円、税込10,780円)以上で、1件あたり55円(税込)の従量課金が加わります。無料プランで請求書発行を試しつつ、必要に応じて消込まで広げたい企業に向いています(料金は2026年10月時点)。
ここで取り上げたのは一部の例です。以下の記事では、請求書発行システムをタイプ別の選び方や機能、インボイス・電子帳簿保存法への対応まで22製品にわたって比較しています。自社に合うシステムを幅広く検討したい方は、あわせてご覧ください。
まとめ
請求管理とは、請求書の発行から入金確認・消込・督促・代金回収までを一連の業務として管理し、売上を確実に回収するための仕組みです。工程が多く手作業に頼るとミスや属人化が起こりやすいため、業務ルールの整備・アウトソーシング・システム導入といった手段で効率化する企業が増えています。
まずは自社の請求業務の流れを棚卸しし、どの工程に手間がかかっているかを見極めたうえで、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も踏まえて改善策を検討してみてください。各サービスの資料を取り寄せて比較すると、自社に合った進め方が見えてきます。
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請求管理に関するよくある質問(FAQ)
Q. 請求管理とは何ですか?
A. 請求管理とは、請求書の発行から入金確認・消込・督促・代金回収までを一連の業務として管理し、売上代金を確実に回収することです。請求書を作成・送付する作業だけでなく、その後の入金確認・未回収分の回収までを含む点が特徴で、会社の資金繰りを支える業務にあたります。
Q. 請求管理と債権管理は何が違いますか?
A. 請求管理は請求書の発行から回収までの全体を指し、債権管理はそのうち売掛金など未回収の債権を記録・回収・管理する後半部分を指します。請求管理のほうが範囲が広く、債権管理は請求管理の入金確認〜消込〜回収の工程と重なります。請求書を作成して送るところまでの「請求書発行」は請求管理の前半工程にあたり、この3つを並べると守備範囲の違いが整理できます。
Q. 請求書や帳簿の保管期間は何年ですか?
A. 法人は帳簿書類を原則7年間(欠損金が生じた事業年度などは最長10年間)、個人事業主は帳簿を7年間・請求書などの書類を5年間保存するのが原則です。加えて、消費税の仕入税額控除を受ける場合は、請求書を受け取った側も帳簿と適格請求書等を原則7年間保存する必要があります。「請求書は一律何年」とまとめず、帳簿と書類を分けて確認するのが確実です。
出典・参考資料(2件)
- 出典:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁
- 出典:No.2070 青色申告制度|国税庁
Q. 請求管理でインボイス制度・電子帳簿保存法にはどう対応すればよいですか?
A. インボイス制度では適格請求書の記載事項(登録番号・適用税率・税率ごとに区分した消費税額等)を満たした請求書を発行・保存し、電子帳簿保存法では電子でやりとりした請求書を要件に従って電子のまま保存します。2023年10月に始まったインボイス制度と、2024年1月以降に求められる電子取引データの電子保存は、いずれも請求書の作成・保存方法に直接関わります。
電子データの保存では、改ざんを防ぐ措置と、日付・金額・取引先で検索できる状態での保存が必要です。
出典・参考資料(3件)
- 出典:No.6625 適格請求書等の記載事項|国税庁
- 出典:No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)|国税庁
- 出典:電子取引データの保存方法(パンフレット・PDF)|国税庁
Q. 請求管理の入金消込を効率化するにはどうすればよいですか?
A. 入金データ(全銀データやCSV)を取り込んで請求と自動で照合する消込機能を持つ請求管理システムを使うと、入金確認・消込の手作業を大きく減らせます。消込が大変になるのは、振込名義が取引先名と一致しない、複数請求のまとめ払いや一部入金がある、といった照合の難しさが原因です。
取引ごとに専用口座を割り当てるバーチャル口座や、名義の揺れを学習して自動で消し込む仕組みを備えたサービスもあり、こうした機能で照合の負担を抑えられます。
Q. 請求管理はエクセルでもできますか?
A. 取引件数が少なければエクセルでも請求管理は可能ですが、件数が増えると入力ミス・関数の破損・属人化・同時編集のしにくさといった限界が出やすくなります。無料で手軽に始められる一方、入金消込の自動化やインボイス制度・電子帳簿保存法への対応は手作業で補う必要があります。月末の作業負担や法対応の手間が増えてきたら、システム導入を検討する目安になります。
Q. 請求管理はアウトソーシングとシステム導入のどちらを選べばよいですか?
A. 自社に業務を残しつつ効率化したいならシステム導入、業務そのものを手放して人手不足や未回収リスクまで減らしたいならアウトソーシングが向いています。システムは請求書の発行〜消込〜督促を自動化してコストを抑えやすく、アウトソーシングは与信審査・回収まで含めて外部に委託でき、売掛金の保証に対応するサービスもあります。自社のどの工程に手間がかかっているかを起点に、単独でも組み合わせても検討できます。
Q. 請求管理の属人化を防ぐにはどうすればよいですか?
A. 取引先ごとの締め日・送付方法・入金サイクルや確認手順をルール化・標準化し、担当者個人の管理表に依存しない状態をつくることが基本です。さらに、複数人で請求状況を共有できる請求管理システムを使うと、作業の手順や進捗が仕組みに残るため、担当者の異動や退職があっても業務が滞りにくく、引き継ぎもしやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















