決算や確定申告の時期が近づき、貸借対照表を作らなければならないものの、「仕訳帳や試算表は聞いたことはあるけれど、そこからどう1枚の貸借対照表にまとめればいいのか分からない」と手が止まっていないでしょうか。
貸借対照表は、日々の取引を仕訳帳に記録し、総勘定元帳・試算表を経て作成します。手順そのものは決まっているため、流れを一度つかめば、自分の事業の数字で1枚を作り上げられます。
本記事では、設立1期目の会社を設例に、試算表から完成した貸借対照表まで数字をつなげながら、貸借対照表の作り方を4ステップで解説します。
金額を入れた記入例(法人・個人事業主の両方)、エクセルでの作り方とテンプレート、左右の合計が合わないときの対処、個人事業主(青色申告)と法人で異なる点まで確認できます。手作業の集計を効率化したい場合に向けて、仕訳から決算書を自動で作成できるクラウド会計ソフトもあわせて紹介します。
目次
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貸借対照表の作り方は4ステップ(仕訳帳→総勘定元帳→試算表→貸借対照表)
貸借対照表は、日々の取引を記録した帳簿を積み上げて作成します。全体の流れは、①取引を仕訳帳に記帳する → ②総勘定元帳へ転記する → ③試算表を作成する → ④試算表から貸借対照表を作成するの4ステップです。まず全体像をつかんでから、各ステップで何をどこに書くのかを順番に確認していきましょう。

この流れは、国税庁「青色申告者のための貸借対照表作成の手引き」が示す記帳の手続きに沿ったものです。手引きでも「帳簿の記帳は、仕訳から始まります」とされ、仕訳帳・総勘定元帳・試算表を経て損益計算書・貸借対照表を作成する順序が示されています。
この記事では、設立1期目の小さな会社を設例に、仕訳の書き方を確認してから、1期分を集計した試算表をもとに完成した貸借対照表まで数字をつないで追っていきます。自分の帳簿に置き換えながら読み進めてみてください。
①取引を仕訳帳に記帳する
最初の作業は、発生した取引を仕訳帳に記録することです。仕訳とは、1つの取引を「借方(左側)」と「貸方(右側)」の2つの側面に分け、それぞれにあてはまる勘定科目と金額を割り当てる作業を指します。事業で生じる取引は、資産・負債・純資産(資本)・収益・費用のいずれかに必ず分類されます。
設例の会社では、たとえば次のような仕訳が生じます。仕訳帳には、取引の発生順に日付・勘定科目・金額を記載していきます。
| 取引の例 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 資本金として現金を元入れ | 現金 1,000,000 | 資本金 1,000,000 |
| 商品を掛けで仕入れ | 仕入 400,000 | 買掛金 400,000 |
| 商品を現金・掛けで販売 | 現金 300,000 売掛金 800,000 | 売上 1,100,000 |
| 備品を現金で購入 | 備品 300,000 | 現金 300,000 |
②総勘定元帳へ転記する
次に、仕訳帳の内容を総勘定元帳へ書き写します。総勘定元帳は、すべての取引を「現金」「売掛金」「買掛金」といった勘定科目ごとにまとめ直す帳簿です。仕訳帳が取引を時系列で並べるのに対し、総勘定元帳は同じ勘定科目の増減を1か所に集めます。
たとえば「現金」勘定なら、入金(借方)と出金(貸方)を集め、差額が現金の残高になります。この「取引ごと(仕訳帳)」から「勘定科目ごと(総勘定元帳)」への並べ替えが、後の集計を正確にする土台です。1期分のすべての勘定科目について残高を出すと、次のステップの試算表に集約されます。
③試算表を作成する
期末になったら、総勘定元帳の各勘定科目の残高を1枚にまとめた試算表を作成します。試算表は、各勘定から残高を集めて、借方の合計と貸方の合計が一致しているかを確認するために作る表です。設例の取引を集計し、後述の決算整理を反映すると、次の残高試算表になります。
なお、先ほどの仕訳帳の記入例は設例の取引の一部です。試算表は1期分のすべての取引を集計した結果で、たとえば普通預金の残高は、現金売上の預け入れや売掛金の回収など、記入例に挙げていない取引も反映したものです。
| 勘定科目 | 借方(円) | 貸方(円) |
|---|---|---|
| 現金 | 300,000 | |
| 普通預金 | 1,200,000 | |
| 売掛金 | 800,000 | |
| 商品 | 400,000 | |
| 備品 | 300,000 | |
| 買掛金 | 500,000 | |
| 短期借入金 | 700,000 | |
| 未払金 | 100,000 | |
| 資本金 | 1,000,000 | |
| 売上 | 5,000,000 | |
| 仕入・諸経費 | 4,300,000 | |
| 合計 | 7,300,000 | 7,300,000 |
ここで借方と貸方の合計が合わない場合は、仕訳や転記のどこかに誤りがあります。貸借対照表を作る前にこの段階で不一致を見つけておくと、後戻りの手間を減らせます。
決算整理仕訳(③と④の間に行う)
試算表を整えたら、貸借対照表を作る前に決算整理仕訳を行います。これは、期中の記帳だけでは正しい期間損益や期末残高にならない項目を、決算のタイミングで調整する仕訳です。
代表的なものに、固定資産の減価償却、売掛金に対する貸倒引当金の計上、商品の期末棚卸、前払費用・未払費用の計上などがあります。これらを反映しないと貸借対照表の資産・負債の金額が実態とずれるため、上の試算表は決算整理を反映した後の残高としています。
④試算表から貸借対照表を作成する
最後に、試算表の勘定科目を「資産」「負債」「純資産」に振り分けて貸借対照表に転記します。資産は左側(借方)、負債と純資産は右側(貸方)に配置し、収益・費用の科目(設例の売上・仕入など)は損益計算書へ回します。どの科目が資産・負債・純資産にあたるかは、後述の「貸借対照表の構成」で詳しく解説します。
このとき、損益計算書で計算した当期の利益(設例では売上5,000,000円−仕入・諸経費4,300,000円=700,000円)は、純資産の「繰越利益剰余金」に振り替えられます。これにより、設例の資産合計3,000,000円と、負債・純資産合計3,000,000円が一致します。左右の一致を確認できれば、貸借対照表は完成です。
出典・参考資料(1件)
【記入例】金額を入れた貸借対照表のサンプル
④で作成した貸借対照表を、完成形で確認しましょう。以下は、勘定科目を左右に並べる「勘定式」の貸借対照表の例です。左側(資産の部)の合計と、右側(負債の部・純資産の部)の合計が一致している点に注目してください。
| 資産の部 | 金額(円) | 負債の部・純資産の部 | 金額(円) |
|---|---|---|---|
| 現金 | 300,000 | 買掛金 | 500,000 |
| 普通預金 | 1,200,000 | 短期借入金 | 700,000 |
| 売掛金 | 800,000 | 未払金 | 100,000 |
| 商品 | 400,000 | 負債合計 | 1,300,000 |
| 備品 | 300,000 | 資本金 | 1,000,000 |
| 繰越利益剰余金 | 700,000 | ||
| 純資産合計 | 1,700,000 | ||
| 資産合計 | 3,000,000 | 負債・純資産合計 | 3,000,000 |
個人事業主の場合は、純資産の部の科目が法人と異なります。「資本金」「繰越利益剰余金」ではなく、開業時や追加で事業に入れた元手を示す「元入金」と、その年の所得(控除前の所得金額)を使います。同じ設例を個人事業主の様式に置き換えると、純資産の部は次のようになります。
| 資産の部 | 金額(円) | 負債の部・純資産の部 | 金額(円) |
|---|---|---|---|
| 現金 | 300,000 | 買掛金 | 500,000 |
| 普通預金 | 1,200,000 | 短期借入金 | 700,000 |
| 売掛金 | 800,000 | 未払金 | 100,000 |
| 商品 | 400,000 | 負債合計 | 1,300,000 |
| 備品 | 300,000 | 元入金 | 1,000,000 |
| 控除前の所得金額 | 700,000 | ||
| 元入金・所得の合計 | 1,700,000 | ||
| 資産合計 | 3,000,000 | 負債・純資産合計 | 3,000,000 |
様式の根拠は事業形態で異なります。法人(株式会社)の区分は会社計算規則、個人事業主は国税庁の青色申告決算書に添付する貸借対照表の様式に沿って作成します。資産・負債・純資産の3つに区分する基本の形は共通です。
貸借対照表の3つの作成方法(手書き・エクセル・会計ソフト)
貸借対照表を作る手段は、大きく「手書き・手計算」「エクセル」「会計ソフト」の3つに分かれます。取引件数や、どこまで手間を減らしたいかによって適した方法が変わります。それぞれの特徴を比較します。
| 作成方法の比較 | 導入コスト | 集計・計算の手間 | 転記・計算ミスのリスク | 仕訳から決算書までの自動化 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|---|
| 手書き・手計算 | ほぼ不要 | 大きい(すべて手計算) | 高い | なし | 取引が極めて少ない |
| エクセル | 無料〜低コスト | 数式である程度軽減 | 中(数式の設定ミス) | 限定的 | 取引が少なく費用を抑えたい |
| 会計ソフト | 月額数千円〜 | 小さい(自動集計) | 低い(自動転記) | あり(自動作成) | 取引が多い・正確さと効率を両立したい |
手書きは、ここまで見た手順をそのまま紙の帳簿で行う方法で、取引が極めて少ない場合に限られます。取引が増えるほど転記・集計の手間とミスのリスクが大きくなるため、多くの事業者はエクセルか会計ソフトを使います。ここからは、エクセルでの作り方を具体的に見ていきます。
貸借対照表をエクセルで作る方法とコピーして使えるテンプレート
専用のソフトを導入せずに作りたい場合は、エクセル(表計算ソフト)が選択肢になります。勘定科目と金額を入力し、合計を数式で計算することで、貸借対照表の形に整えられます。
エクセルでの作り方(セル配置と数式)
基本の流れは手書きと同じで、試算表で確定した各勘定科目の期末残高を、資産・負債・純資産に振り分けて入力します。左側に資産の科目、右側に負債・純資産の科目を並べると、勘定式の貸借対照表になります。
合計はSUM関数で計算します。たとえば資産の金額をB2〜B6に入力したなら、資産合計のセルに=SUM(B2:B6)と入れます。負債・純資産を右側のD列に並べたなら、合計は=SUM(D2:D7)です。さらに、左右一致の確認用セルに=IF(資産合計=負債純資産合計,"OK","不一致")と入れておくと、金額を直すたびに一致を自動でチェックできます。
コピーして使えるテンプレート
次の枠をエクセルにコピーし、科目と金額を自社のものに差し替えれば、そのままテンプレートとして使えます。空欄に試算表の残高を入力し、合計をSUMで計算してください。
| 資産の部 | 金額 | 負債・純資産の部 | 金額 |
|---|---|---|---|
| (流動資産:現金・預金・売掛金など) | (流動負債:買掛金・短期借入金など) | ||
| (固定資産:建物・備品など) | (固定負債:長期借入金など) | ||
| (純資産:資本金・繰越利益剰余金/個人は元入金・所得) | |||
| 資産合計 | =SUM | 負債・純資産合計 | =SUM |
より本格的なテンプレートが必要な場合は、後述するクラウド会計ソフト各社の公式サイトでも、無料のエクセルテンプレートが配布されています。いずれを使う場合も、自社で使う勘定科目が枠にあるかを確認し、不足する科目は行を追加して、追加した行が合計の数式の範囲に含まれているかを確かめておくと集計漏れを防げます。
貸借対照表の構成(資産の部・負債の部・純資産の部と流動・固定の区分)
科目を正しく振り分けるために、貸借対照表の構成を確認しておきましょう。貸借対照表は、決算日時点の財政状態(何を持っていて、その元手をどう調達したか)を表す書類で、左側の「資産の部」、右側の「負債の部」と「純資産の部」の3つで構成されます。
法人(株式会社)の貸借対照表の区分は、会社計算規則で次のように定められています。
(貸借対照表等の区分)第七十三条 貸借対照表等は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。一 資産 二 負債 三 純資産
出典:会社計算規則(2006年/平成18年法務省令第13号)第73条|e-Gov法令検索
さらに、資産の部は「流動資産」「固定資産」「繰延資産」に、負債の部は「流動負債」「固定負債」に区分します(会社計算規則第74条・第75条)。純資産の部は、株式会社の場合、株主資本(資本金・利益剰余金など)を中心に区分します(同第76条)。
流動と固定の分け方には、主に2つの基準があります。1つは、仕入・販売など通常の営業取引で生じた債権債務は流動に分類する考え方です。もう1つは、決算日の翌日から1年以内に回収・支払いの期限が来るものを流動、1年を超えるものを固定とする基準で、こちらは一般に「1年基準」と呼ばれます。
有価証券報告書を提出する会社では、資産・負債を流動性の高い順に並べる流動性配列法などが財務諸表等規則で定められています。中小企業や個人事業主にこの規則は直接適用されませんが、流動・固定の区分の考え方は、科目を振り分ける際の目安になります。
出典・参考資料(2件)
貸借対照表作成でつまずきやすいポイントと左右が合わないときの対処
作成の手順どおりに進めても、記載ルールの勘違いや転記ミスでつまずくことがあります。間違えやすい点と、左右の合計が合わないときの確認手順を押さえておきましょう。
間違えやすい記載ルール
総勘定元帳の勘定科目名と、貸借対照表に記載する科目名が異なるものがあります。代表的なのが次の2つです。
- 総勘定元帳の「繰越商品」は、貸借対照表では「商品」として記載する
- 総勘定元帳の「当座借越」は、貸借対照表では「短期借入金」として負債に記載する
また、貸倒引当金は負債ではなく、売掛金や受取手形などの資産から差し引く形(控除項目)で資産の部に表示します。減価償却累計額も同様に、対象の固定資産から控除する形で示します。これらを貸方に置いてしまうと左右の合計がずれる原因になります。
左右の合計が合わないときのチェックポイント
貸借対照表は、借方(資産)と貸方(負債・純資産)の合計が必ず一致します。これは複式簿記で1つの取引を借方・貸方の両方に記録する仕組みによるもので、国税庁の手引きでも試算表は「貸借の一致を確認するために作成」すると説明されています。合計が合わないときは、次の点を順に確認します。
- 各勘定科目の残高に、桁の間違いや異常な金額がないか
- 資産・負債・純資産への振り分けを間違えている科目がないか(貸倒引当金の位置など)
- 総勘定元帳から試算表、試算表から貸借対照表への転記漏れ・転記ミスがないか
- 決算整理仕訳(減価償却・貸倒引当金・棚卸など)の反映漏れがないか
試算表の段階で借方・貸方が一致していれば、貸借対照表の不一致は振り分けや転記の問題であることが多く、原因を絞り込みやすくなります。
個人事業主(青色申告)と法人で異なる貸借対照表の作り方
作成の基本手順は共通ですが、貸借対照表を「何のために・どの書類に添えて提出するか」は、個人事業主と法人で異なります。自分の立場に合わせて確認しましょう。
個人事業主(青色申告の提出書類と控除要件)
個人事業主の場合、貸借対照表は青色申告決算書の一部として作成し、確定申告書に添付して提出します。青色申告特別控除で最も控除額の大きい65万円(または55万円)の適用を受けるには、貸借対照表の作成・添付が要件となっています。国税庁の手引きでは、この要件が次のように示されています。
不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者(現金主義によることを選択している方を除きます。)で、これらの所得に係る取引を正規の簿記(一般的には複式簿記)の原則により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内(還付申告の場合も翌年3月15日まで)に提出する場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円又は55万円を控除することができます。
なお、65万円の青色申告特別控除を適用するためには、①e-Taxによる申告(確定申告書及び青色申告決算書のデータを送信)又は②電子帳簿保存を行うことが必要となります。
出典:青色申告者のための貸借対照表作成の手引き(令和3年分)|国税庁
まず55万円控除の前提が、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して期限内(原則として翌年3月15日まで)に提出することです。65万円控除を受けるには、これに加えて①e-Taxによる電子申告、または②電子帳簿保存のいずれかが必要になります。
電子帳簿保存のルートは、優良な電子帳簿の要件を満たして帳簿を電子データで備付け・保存し、所定の届出書を確定申告期限までに提出する方法です(令和4年1月1日以降、事前の税務署長の承認は不要になりました)。
これらの要件を満たさない場合や、簡易な記帳による場合の控除額は、最高10万円です。貸借対照表を作らずに申告すると、受けられる控除額が最高10万円まで下がる点に注意しましょう。
出典・参考資料(2件)
控除要件への対応や料金でソフトを選びたい場合は、青色申告に対応した会計ソフトを比較した次の記事が参考になります。
法人(決算での作成)
法人の場合、貸借対照表は決算で作成する計算書類の1つで、損益計算書などとともにまとめ、法人税の申告書に添付して提出します。純資産の部は、資本金や利益剰余金といった株式会社向けの科目で構成する点が個人事業主との違いです。
さらに株式会社には、作成した貸借対照表を公告する義務があります。会社法では次のように定められています。
第四百四十条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
出典:会社法(2005年/平成17年法律第86号)第440条|e-Gov法令検索
官報や日刊新聞紙で公告する場合は貸借対照表の要旨で足り、電子公告や自社ウェブサイトへの掲載による場合は、定時株主総会後5年間、その内容を継続して掲載します。個人事業主にはこうした公告義務はなく、この点も法人との違いの1つです。
出典・参考資料(1件)
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会計ソフトなら日々の仕訳から貸借対照表が自動で作成できる
ここまで見た手順は、取引が増えるほど総勘定元帳への転記や試算表の集計に時間がかかり、ミスも起きやすくなります。クラウド会計ソフトを使うと、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、仕訳から試算表・貸借対照表までを自動で作成できます。では、具体的にどのソフトで自動化できるのか、主なクラウド会計ソフトを紹介します。
まずは各サービスの対応範囲や料金を比較してみましょう。
| クラウド会計ソフトの比較 | 弥生会計 Next | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 |
|---|---|---|---|
| 対応事業形態 | 法人向け (個人は別製品) | 個人・法人 | 法人向け (個人は別製品) |
| 決算書(貸借対照表)の自動作成 | ●(貸借対照表・損益計算書) | ●(貸借対照表・損益計算書) | ●(貸借対照表・損益計算書・CF) |
| 明細の自動取得・AI自動仕訳 | ●(銀行・カード連携) | ●(1,000超と連携) | ●(銀行・カード連携) |
| 最小プランの月額(税抜・2026年9月時点) | 2,900円〜 (法人エントリー・年契約) | 980円〜 (個人・年払い。法人は2,980円〜) | 2,480円〜 (法人ひとり法人・年払い) |
| 無料体験 | ●(最大2か月) | ●(30日間) | ●(1か月) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※上記は2026年9月時点の各社公式情報に基づきます。料金は税抜で、最小プランの一例です。最新の料金・機能は各社公式サイトをご確認ください。
1. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Nextは、弥生株式会社が2025年4月に正式リリースした法人向けのクラウド会計サービスです。帳簿付けから決算書(貸借対照表・損益計算書)の作成までを一連の流れで進められ、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込んで仕訳を自動化します。
会計に加えて請求書発行・経費精算・証憑管理を1つのサービスに統合し、これらのデータが会計処理へ自動で連携する点が特徴です。
料金はエントリープランが年契約で月額2,900円(税抜)からで、初期費用はかかりません。最大2か月の無料体験もあり(決算書作成など一部機能は体験の対象外、2026年9月時点の公式料金ページによる)、初めて会計ソフトを使う法人でも始めやすい点が魅力です。個人事業主向けには別製品の「やよいの青色申告 オンライン」が提供されています。
2. freee会計(フリー株式会社)

個人事業主から法人まで幅広く対応するのがfreee会計です。フリー株式会社が提供するクラウド会計ソフトで、1,000を超える金融機関・サービスと連携し、取引データの自動取得から仕訳の自動化、決算書の作成までを一気通貫で行えます。簿記の経験が浅くても進められるよう、ガイド付きで入力を案内する設計を採用しています。
料金は、個人事業主向けのスターターが年払いで月額980円(税抜)から、法人向けのひとり法人プランが年払いで月額2,980円(税抜)からで、30日間の無料トライアルがあります(2026年9月時点の公式料金ページによる)。
有料課金ユーザーは個人事業主を含めて71万を超えると公式に示されています(2026年3月末時点)。個人・法人のどちらの貸借対照表の作成にも使える点が、2つの立場が混在する場面で選びやすいポイントです。
3. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

複式簿記に沿って帳簿と決算書を整えたい事業者に向くのが、株式会社マネーフォワードの法人向けクラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」です。ひとり法人や従業員50名以下の中小企業を主な対象とし、仕訳帳・総勘定元帳・試算表などの帳簿に加え、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書といった決算書を作成できます。
銀行やクレジットカードの明細を自動で取得し、AIが勘定科目を提案して仕訳を補助します。利用者が提案内容を確認・修正しながら進める運用のため、複式簿記の基本を押さえ、勘定科目を自分で扱いたい事業者に適しています。
料金はひとり法人プランが年払いで月額2,480円(税抜)からで、1か月の無料トライアルがあります(2026年9月時点の公式料金ページによる)。個人事業主向けには別製品の「マネーフォワード クラウド確定申告」が用意されています。
ここで取り上げた3つ以外にも会計ソフトは数多く、対応事業形態や料金、搭載機能はソフトごとに異なります。事業規模やタイプ別の選び方を踏まえて各ソフトを比較したい場合は、次の記事で主要なクラウド会計ソフトを横並びで確認できます。
【2026年】クラウド会計ソフト比較15選|規模・タイプ別の選び方と料金を解説
クラウド会計ソフトの導入を検討するとき、「製品が多すぎて自社に合うものが分からない」「インボイス制度や電子帳簿保存法に対応しているか不安」「手入力やExcelでの記帳から早く脱却したい」といった悩みに突き当たる担当者は少なくありません。 選…
まとめ
貸借対照表は、①仕訳帳への記帳、②総勘定元帳への転記、③試算表の作成(決算整理仕訳を反映)、④試算表から貸借対照表の作成という4ステップで作れます。資産を左側、負債・純資産を右側に配置し、損益計算書で計算した当期の利益を純資産に振り替えると、左右の合計が一致します。合計が合わないときは、科目の振り分けや転記、決算整理仕訳の反映漏れを順に確認しましょう。
個人事業主は青色申告決算書として、法人は決算の計算書類として作成し、提出先や純資産の表し方が異なります。取引が増えて手作業の集計が負担になってきた場合は、仕訳から貸借対照表までを自動で作成できるクラウド会計ソフトの活用も検討してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 貸借対照表とは何ですか?
A. 貸借対照表とは、決算日時点で事業が「何を持っているか(資産)」と「その元手をどう調達したか(負債・純資産)」を一覧にした決算書類です。左側に資産の部、右側に負債の部と純資産の部を並べ、左右の合計が必ず一致します。企業や個人事業主の財政状態(財務の健全性)を把握するための基本資料で、損益計算書・キャッシュフロー計算書とあわせて「財務三表」と呼ばれます。
Q. 貸借対照表と損益計算書(P/L)の違いは何ですか?
A. 貸借対照表と損益計算書の違いは、貸借対照表が決算日という「一時点」の財政状態を表すのに対し、損益計算書は一定「期間」の経営成績(収益・費用とその差である利益)を表す点にあります。
貸借対照表が「ある時点で何をどれだけ持っているか」を示すのに対し、損益計算書は「一年間でどれだけ稼いだか」を示すと整理すると分かりやすいでしょう。作成の過程では、資産・負債・純資産の科目を貸借対照表へ、収益・費用の科目を損益計算書へ振り分けます。
Q. 青色申告で貸借対照表がないと65万円の特別控除は受けられないのですか?
A. 貸借対照表を作成・添付しないと、青色申告特別控除の65万円・55万円は受けられず、控除額は最高10万円にとどまります。
65万円・55万円の控除を受けるには、複式簿記で記帳し、その記帳に基づく貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して、期限内(原則として翌年3月15日まで)に提出する必要があります。65万円の控除には、これに加えてe-Taxによる電子申告、または電子帳簿保存のいずれかが必要です。これらを満たさない青色申告者の控除額は最高10万円です。
出典・参考資料(2件)
Q. 貸借対照表の左右(借方・貸方)の合計が合わないときはどうすればよいですか?
A. まず試算表の段階で借方・貸方の合計が一致しているかを確認し、そのうえで科目の振り分けミス・転記漏れ・決算整理仕訳の反映漏れを順にチェックします。
貸借対照表は複式簿記の仕組み上、資産の合計と負債・純資産の合計が必ず一致します。試算表の時点で一致していれば、不一致の原因は貸借対照表への振り分けや転記にあることが多くなります。1円単位のズレは、端数処理や一部科目の転記漏れが典型的な原因です。貸倒引当金のように控除する形で表示する科目を貸方に置いていないかもあわせて確認しましょう。
Q. 貸借対照表の「△」と「▲」の違いは何ですか?
A. 「△」と「▲」はどちらもマイナス(負の金額や控除)を表す記号で、意味に明確な違いはありません。
貸借対照表や損益計算書では、金額の前にこれらの記号を付けて「その分を差し引く・マイナスである」ことを示します。たとえば、資産から控除する貸倒引当金や減価償却累計額、純資産がマイナスになっている場合の繰越利益剰余金などで使われます。どちらを使っても差し支えありませんが、1つの書類内では表記を統一しておくと読み手が混乱しません。
Q. 貸借対照表の「勘定式」と「報告式」の違いは何ですか?
A. 勘定式は資産を左・負債と純資産を右に左右対称で並べる形式、報告式は資産・負債・純資産を上から縦に並べる形式です。
本記事の記入例や、個人事業主の青色申告決算書に添付する貸借対照表は勘定式が一般的で、左右の合計が一致していることを一目で確認できます。一方の報告式は、上場企業の有価証券報告書など縦長のレイアウトで用いられることが多い形式です。どちらも記載する内容(資産・負債・純資産)は同じで、表示の並べ方が異なるだけです。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















