自社サーバーやインストール型の会計ソフトで財務会計を運用していて、保守・更新やバックアップの負担、リモートワークや複数拠点からの入力のしにくさに悩んでいませんか。電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を機に、財務会計をクラウドへ移すことを検討する企業が増えています。
財務会計のクラウド化は、単にソフトを入れ替えるだけでなく、日々の記帳から決算書作成、法令対応、内部統制までの進め方そのものに関わります。自社の規模や業種に合ったサービスを選ぶには、どのような観点で比較すればよいのでしょうか。
本記事では、法人の財務会計をクラウドで回すための考え方を、オンプレミス型との違い・メリットと注意点・費用相場から整理します。そのうえで、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応、税理士との連携、上場準備で効く内部統制機能といった選び方の観点と、規模・業種別のクラウド会計ソフトの比較までをまとめました。自社に合うサービスを判断するための材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
一括ダウンロードする
財務会計のクラウド化とは(制度会計をクラウドで回すということ)
財務会計のクラウド化とは、仕訳入力・帳簿管理・決算書作成といった制度会計の業務を、自社サーバーにインストールしたソフトではなく、インターネット経由で利用するクラウドサービス(SaaS)で行うことを指します。ここでいう財務会計は、貸借対照表や損益計算書など外部に報告する決算書を作るための会計であり、個人事業主の確定申告ではなく、法人が日々行う記帳から決算までの業務が中心です。
クラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、学習した仕訳ルールに沿って記帳を自動化します。従来は手入力やExcelへの転記に頼っていた記帳・集計の工数を減らし、決算書の作成や電子帳簿保存法・インボイス制度への対応までを一つの基盤で進められる点が、オンプレミス型との大きな違いです。
オンプレミス型・インストール型会計との違い
オンプレミス型は、自社のサーバーやパソコンに会計ソフトをインストールして運用する形態です。買い切りで利用でき、社内ネットワーク内で完結するため外部との通信を最小限にできますが、サーバーの管理やバックアップ、法令改正に伴うバージョンアップを自社で行う必要があります。特定の端末に環境が固定されるため、リモートワークや複数拠点からの利用には向きません。
クラウド型は、ブラウザさえあればどの端末からでも利用でき、ソフトの更新や法令対応はサービス提供側が自動で反映します。データはサービス提供事業者のデータセンターに保管され、災害時にもデータを失いにくい一方、月額利用料が継続して発生し、インターネット接続が前提になります。自社サーバーの更新時期や、テレワーク・拠点分散が進んだタイミングが、クラウドへの移行を検討する典型的な契機です。

クラウド会計ソフトでできること(主な機能)
財務会計をクラウドで回すために、多くのサービスが共通して備える機能は次のとおりです。製品によって対応範囲や精度は異なるため、詳細は後述の比較表で確認してください。
| 内容 | |
|---|---|
| 明細の自動取得・自動仕訳 | 銀行口座・クレジットカード・電子マネーなどの明細を自動で取り込み、過去の仕訳を学習して勘定科目を提案・自動記帳します。手入力とExcel転記の工数を減らす中心的な機能です。 |
| 帳簿・決算書の作成 | 仕訳帳・総勘定元帳・補助元帳などの帳簿と、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書といった決算書を自動で集計・出力します。 |
| 電子帳簿保存法・インボイス対応 | 電子取引データの保存要件や、適格請求書(インボイス)の発行・保存に対応します。法令改正があってもサービス側の更新で最新の要件に追従できます。 |
| 外部サービス・システム連携 | 請求・経費精算・給与などの周辺システムや、基幹システム(ERP)とデータを連携し、二重入力を防ぎます。 |
| 税理士・会計事務所との共有 | 顧問の税理士や会計事務所を招待し、同じデータをリアルタイムに共有して記帳・決算のレビューを受けられます。 |
| 内部統制・権限管理 | 仕訳の承認フロー、ユーザーごとの権限設定、操作ログの記録などにより、組織的なチェック体制を整えます(中堅・上場準備向けの製品で充実)。 |
財務会計をクラウド化する4つのメリット
ここからは、財務会計をオンプレミス型からクラウドへ移すと何が変わるのかを、4つの観点から整理します。
保守・更新・サーバー管理の負担を減らせる
オンプレミス型では、サーバーの保守やデータのバックアップ、法令改正に合わせたソフトのバージョンアップを自社で担う必要があります。クラウド型ではこれらをサービス提供側が行うため、情報システム部門を持たない企業でも運用を続けやすくなります。税制改正や様式変更への対応も、利用者側の作業なく反映されます。
リモート・複数拠点から会計処理できる
ブラウザから利用できるため、本社・支店・在宅勤務など場所を問わず同じ会計データにアクセスできます。拠点ごとに入力したデータを本社でまとめて確認したり、顧問税理士と同じ画面を見ながら決算作業を進めたりといった運用が可能になり、紙やファイルの受け渡しに依存した業務を減らせます。
BCP(事業継続計画)対策になる
会計データを自社サーバーだけで保管していると、災害や機器故障でデータを失うリスクがあります。クラウド型ではデータがサービス提供事業者のデータセンターに保管され、定期的にバックアップされるため、オフィスが使えない状況でも別の端末から会計業務を再開しやすくなります。事業を止めないための備え(BCP)としても有効です。
電子帳簿保存法・インボイスなど法令対応が自動で最新化
電子帳簿保存法やインボイス制度のような会計関連の法令は、改正のたびに様式や保存要件が変わります。オンプレミス型では利用者がバージョンアップや設定変更で追従する必要がありますが、クラウド型ではサービス側の更新で最新の要件が反映されます。
そのため利用者は、改正の内容を個別に追いかけなくても、対応した状態で運用を続けやすくなります。制度ごとの具体的な要件と確認ポイントは、後述の「選び方」で整理します。
クラウド化で押さえておきたい注意点
メリットの一方で、クラウド化には導入前に理解しておくべき点もあります。オンプレミス型の買い切りと違い、月額または年額の利用料が継続して発生するため、利用規模や必要な機能に応じたプラン選びが総コストを左右します。インターネット接続が前提になるため、通信環境の確保も必要です。
また、既存のオンプレミス型ソフトからクラウドへ移す際は、過去の仕訳データや科目設定の移行作業が発生します。移行の手間や対応可否はサービスによって差があるため、乗り換えを前提に検討する場合は、後述の「導入・移行の進め方」も確認してください。
データを外部に預ける不安とセキュリティの考え方
会計データを社外のデータセンターに預けることへの不安は、クラウド化を検討する際によく挙がる論点です。多くのクラウド会計ソフトは、通信の暗号化、データの自動バックアップ、ユーザーごとのアクセス権限設定といった対策を講じています。
第三者認証(ISMSやSOC 2など)の取得状況や、データセンターの所在・運用体制を公開しているサービスもあり、こうした情報は自社のセキュリティ要件と照らして確認する判断材料になります。
自社サーバーで管理する場合も、機器の故障・盗難・ランサムウェアなどのリスクは避けられません。クラウドか自社管理かを、安全性の高さだけで一律に決めるのではなく、自社の運用体制で現実的に守れる方法はどちらかという観点で比較することが大切です。
財務会計クラウドの費用相場
クラウド会計ソフトの費用は、提供形態や対象とする企業規模によって幅があります。クラウド型(SaaS)の月額利用料は、中小企業・小規模事業者向けのプランで月額数千円程度から、中堅企業向けで月額1万〜3万円程度、内部統制や複数拠点に対応する上位プランでは月額数万円以上まで広がります。初期費用は無料のサービスも多い一方、導入時の設定支援やデータ移行を有償とする場合もあります。
会計事務所の巡回監査とセットで提供される製品や、基幹業務システム(ERP)と一体型の製品では、料金を公開せず個別見積もりとするケースが一般的です。費用はプラン構成や利用人数、オプションで変わるため、下記の比較表では各社が公表している範囲を記載し、非公表のものは「要お問い合わせ」としています。実際の金額は、必要な機能と利用規模を前提に各社へ確認することをおすすめします。
自社に合う財務会計クラウドの選び方
財務会計のクラウド化で失敗しないためには、複数の観点から候補を絞り込むことが重要です。企業規模や業種による向き不向きは次章「タイプ別の特徴」で詳しく整理するため、ここでは規模・業種を問わず共通して確認したい横断的な観点を取り上げます。
電子帳簿保存法・インボイス制度に対応しているか
クラウド会計ソフトを選ぶ際は、電子帳簿保存法とインボイス制度への対応を確認しておきましょう。電子帳簿保存法は帳簿や書類を電子データで保存することに関する制度で、3つの区分に分かれます。国税庁は次のように説明しています。
電子帳簿等保存制度とは、税法上保存等が必要な「帳簿」や「領収書・請求書・決算書など(国税関係書類)」を、紙ではなく電子データで保存することに関する制度をいい、3つの制度に区分されています。① 電子帳簿等保存【希望者のみ】/② スキャナ保存【希望者のみ】/③ 電子取引データ保存【法人・個人事業者は対応が必要です】
出典:電子帳簿保存法の内容が改正されました(令和4年12月改訂)|国税庁
このうち電子取引データ保存は法人・個人事業者が対応を求められるもので、要件は令和6年(2024年)1月1日以後にやり取りする電子取引データに適用されています。会計ソフトがこの保存要件を満たしているかが確認のポイントになります。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、仕入税額控除の方式として令和5年(2023年)10月1日から始まった制度です。適格請求書の発行・受領・保存に対応しているかも確認しておきたい点です。国税庁は制度を次のように説明しています。
令和5年 10 月1日から、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始されます。インボイス制度の下では、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者である「インボイス発行事業者」(適格請求書発行事業者)が交付する「インボイス」(適格請求書)等の保存が仕入税額控除の要件となります。
出典:適格請求書等保存方式(インボイス制度)の概要(令和4年12月改訂)|国税庁
対応範囲は製品やプランによって差があるため、自社の取引で発生する帳票(請求書・領収書・契約書など)が保存・発行の対象として網羅されているかを個別に確かめておくと安心です。クラウド型であれば、こうした法令改正にサービス側の更新で追従できるのが利点です。
出典・参考資料(3件)
- 出典:電子帳簿保存法の内容が改正されました(令和4年12月改訂)|国税庁(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0023003-082.pdf)
- 出典:適格請求書等保存方式(インボイス制度)の概要|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/300416.pdf)
- 参考資料:電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/index.htm)
既存システム・銀行やカードの明細と連携できるか
記帳の自動化の効果は、連携できるデータの範囲で決まります。自社が利用する銀行口座・クレジットカード・電子マネーの明細を取り込めるか、請求・経費精算・給与などの周辺システムや基幹システム(ERP)とデータを連携できるかを確認しておきましょう。特に、受発注や販売管理のデータがリアルタイムで会計に反映される仕組みがあると、二重入力や転記ミスを防げます。
API連携に対応している場合は、自社の既存システムとどこまで自動でつなげるかが選定の分かれ目になります。
税理士・会計事務所と連携できるか
自社で記帳し、顧問税理士に決算・申告を依頼する企業では、税理士が同じデータを確認できるかが運用のしやすさを左右します。多くのクラウド会計ソフトは、税理士・会計事務所を招待してデータを共有する機能を備えており、画面を見ながら助言を受けたり、決算前のチェックをリアルタイムで進めたりできます。導入前に、顧問税理士が対応しているソフトを確認しておくと、乗り換え後の連携がスムーズです。
経理の専任者を置きにくい企業では、ソフトの提供に加えて記帳代行・決算・申告までを一体で受けられるサービスも選択肢になります。
内部統制・連結・IFRSに対応しているか(上場準備で効く)
中堅企業や上場準備中の企業では、仕訳の正確性を組織的に担保する内部統制機能が選定の軸になります。具体的には、仕訳の作成・編集・削除の履歴を残す操作ログ、入力した仕訳を上長が承認してから確定する承認フロー、ユーザーごとの権限管理などです。グループ経営では連結決算への対応、海外展開では国際会計基準(IFRS)や多通貨への対応が必要になる場合もあります。
これらの機能は中小企業向けの標準プランには含まれないことが多く、上位エディションや上場準備向けの製品で提供されます。将来の成長や上場を視野に入れる場合は、同じ基盤のまま上位プランへ移行できるか、連結・内部統制に対応した製品群を持つベンダーかを確認しておくと、再度の乗り換えを避けられます。
グループ経営で連結決算そのものをクラウド化したい場合は、単体の会計ソフトとは別に、連結会計に特化したシステムを検討する選択肢もあります。製品ごとの機能・料金・対応会計基準は次の記事で比較しています。
タイプ別の特徴(規模・業種で選ぶ3タイプ)
財務会計クラウドは、重視するポイントによって大きく3つのタイプに分かれます。自社がどのタイプに当てはまるかを把握すると、候補を絞り込みやすくなります。
中小企業・成長企業向け(導入のしやすさ・自動化重視)
導入のしやすさと記帳の自動化を重視するタイプです。明細の自動取得・自動仕訳やレシートの取り込みで日々の記帳を省力化し、初期費用を抑えて始められる製品が中心です。会計の専任者を置きにくい新設法人や中小企業、これから経理体制を整える成長企業に向いています。ソフトに加えて記帳代行・決算・申告までを一体で受けられる形態もこのタイプに含まれ、社内に経理リソースが乏しい企業の選択肢になります。
中堅・上場準備企業向け(内部統制・連結・IFRSに耐える基盤)
上場準備や監査対応に向けて、仕訳承認・権限管理・操作ログといった内部統制機能や、部門別・グループ連結への対応を備えたタイプです。自社で内部統制を整えて回す製品と、会計事務所の巡回監査・経営助言とセットで回す製品の両方がこのタイプに含まれます。
製品によって想定する規模は異なり、内部統制機能は備えつつ対象は中小中心で、中堅規模には同じベンダーの上位シリーズで対応するものもあります。事業拡大に合わせて上位エディションへ移行できる製品を選ぶと、成長段階での乗り換えを避けられます。
特定業種特化(建設・社会福祉法人など)
業種固有の会計処理や帳票に対応したタイプです。建設業では工事別の原価管理(プロジェクト別原価管理)、社会福祉法人では社会福祉法人会計基準に沿った事業・拠点・サービス区分での会計など、汎用の会計ソフトではカバーしきれない要件に対応します。
一定規模以上の医療法人では医療法人会計基準、公益法人では公益法人会計基準に沿った区分経理や帳票が求められ、こうした業種に特化したエディションを用意するベンダーもあります。自社の業種に専用対応があるかが選定の起点になります。
各タイプに該当する主なサービスを以下に整理します。詳細な機能・料金は後述の比較表とサービス紹介で確認してください。
| 向いている企業 | 主な特徴 | 代表的なサービス | |
|---|---|---|---|
| 中小企業・成長企業向け | 新設法人・中小企業・成長企業。導入のしやすさと記帳の自動化を重視 | 明細の自動取得・自動仕訳、低い初期費用、記帳代行とのセット提供も | 弥生会計 Next、freee会計、マネーフォワード クラウド会計、ジョブカン会計 など |
| 中堅・上場準備企業向け | 中堅企業・上場準備企業。内部統制・連結・監査対応を重視 | 仕訳承認・権限管理・操作ログ、部門別・連結対応、会計事務所連携 | マネーフォワード クラウド会計Plus、勘定奉行クラウド、PCAクラウド 会計、FXクラウドシリーズ など |
| 特定業種特化 | 建設業・社会福祉法人・医療法人・公益法人など業種固有の会計が必要な法人 | 工事別原価管理や業種別の会計基準・帳票への対応 | 勘定奉行クラウド 建設業編、PCAクラウド 社会福祉法人会計 など |
自社がどのタイプに当てはまるか判断が難しい場合は、下記の「30秒で終わる選定診断ツール」で、いくつかの質問に答えるだけで候補を絞り込めます。
30秒で終わる財務会計クラウド選定診断
一括ダウンロードする
【比較表】財務会計クラウドの比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせた客観的な比較・選定ができるよう、主要な財務会計クラウドを3つのタイプ別に分類してご紹介します。料金や機能は各社が公表している情報にもとづき、公表されていない項目は「要お問い合わせ」としています。
本記事は、法人の財務会計(制度会計)を対象にサービスを整理しています。個人事業主向けの製品や、管理会計を含めたより幅広いクラウド会計ソフトを規模・タイプ別に見比べたい場合は、カテゴリ全体を横断して比較した次の記事もあわせてご覧ください。
中小企業・成長企業向けの比較
| サービス名 | 弥生会計 Next | Tenbook(テンブック) | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 | ジョブカン会計 | かんたんクラウド会計(MJS) | SmileWorks(スマイルワークス) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態・対象規模 | クラウド会計 法人向け(中小・成長企業) | クラウド会計+記帳代行 創業期〜中小(売上5億円目安) | クラウド会計 個人事業主〜上場企業 | クラウド会計 ひとり法人〜中小(〜50名) | クラウド会計 中小企業・個人事業主 | クラウド会計 小規模・中小企業 | 統合型クラウドERP(会計機能) 小規模〜中堅企業 |
| 主な会計機能(明細取得・自動仕訳・決算書) | ● | ●(記帳代行で決算まで対応) | ● | ● | ● | ● | ●(業務データから自動仕訳) |
| 内部統制機能(承認・権限・ログ) | × | × | △(エンタープライズで対応) | ×(上位版Plusで対応) | △(上位プランで権限・承認・ログ) | × | △(承認はワークフローオプション) |
| 電子帳簿保存法・インボイス対応 | ●(JIIMA優良な電子帳簿認証) | ● | ●(JIIMA認証取得) | ●(JIIMA認証取得) | ● | ●(電子取引はファイルBOX) | ●(会計ワークスがJIIMA認証) |
| 外部連携(銀行明細・税理士連携) | ●(金融機関2,500以上・税理士共有) | ●(銀行・カード連携/会計事務所が運用) | ●(1,000超サービス連携・税理士連携) | ●(2,300以上連携・税理士連携) | ●(銀行・カード連携・シリーズ連携) | ●(銀行・カード連携・会計事務所連携) | ●(銀行明細取込・API連携) |
| 料金(月額目安) | 月2,900円〜 (エントリー年契約・税抜) | 月29,500円〜 (免税事業者。課税43,500円〜) | 月2,980円〜 (ひとり法人・年払い税抜) | 月2,480円〜 (ひとり法人・年払い税抜) | 月2,500円〜 (スタートアップ・3ユーザー) | 月2,160円〜 (Basic・税抜) | 月10,000円〜 (標準プラン・初期費用30,000円) |
| 無料トライアル・体験 | ●(最大2か月) | △(10bookソフト単体は30日間) | ●(30日間) | ●(1ヶ月) | ●(30日間) | ●(2か月) | ●(最大2ヶ月) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※本表は2026年10月時点で各社が公表している情報をもとに作成しています。機能の搭載有無や提供形態(標準・オプション等)、最新の料金・プランは各社の公式情報をご確認ください。
中堅・上場準備企業向けの比較
| サービス名 | マネーフォワード クラウド会計Plus | 勘定奉行クラウド | PCAクラウド 会計 | TKC FXクラウドシリーズ | クラウド発展会計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態・対象規模 | クラウド会計(内部統制対応) IPO準備・中堅〜上場 | クラウド会計 小規模〜中小(中堅は奉行V) | クラウド会計 中小〜中堅企業 | クラウド会計(会計事務所関与前提) 小規模〜上場 | クラウド会計(会計事務所向け) 会計事務所と顧問先企業 |
| 主な会計機能(明細取得・自動仕訳・決算書) | ● | ● | ● | ● | ● |
| 内部統制機能(承認・権限・ログ) | ●(仕訳承認・権限・ログ・監査法人連携) | ●(仕訳承認に対応) | ●(仕訳承認に対応) | ●(FX4クラウドで内部統制対応) | △(権限設定・自動監査に対応) |
| 電子帳簿保存法・インボイス対応 | ● | ●(JIIMA認証4種取得) | ●(JIIMA認証取得) | ●(JIIMA認証取得) | ●(発展ストレージで対応) |
| 外部連携(銀行明細・税理士連携) | ●(2,300以上連携・監査法人連携・API) | ●(金融機関連携・税理士共有・API) | ●(銀行・カード連携・API) | ●(銀行・信販連携・会計事務所関与) | ●(銀行・カード連携・会計事務所連携) |
| 料金(月額目安) | 要お問い合わせ (利用ID数に応じる) | 月7,750円〜 (Eシステム・年額税抜) | 月16,200円〜 (会計単体・税抜。hyper 19,200円〜) | 要お問い合わせ (会計事務所経由) | 要お問い合わせ (会計事務所経由) |
| 無料トライアル・体験 | ×(無料見積もり・相談あり) | ●(30日間) | ●(2ヶ月) | 要お問い合わせ (会計事務所経由) | ●(無料体験版あり) |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※本表は2026年10月時点で各社が公表している情報をもとに作成しています。機能の搭載有無や提供形態(標準・オプション等)、最新の料金・プランは各社の公式情報をご確認ください。
特定業種特化の比較
| サービス名 | 勘定奉行クラウド 建設業編 | PCAクラウド 社会福祉法人会計 |
|---|---|---|
| 提供形態・対象規模 | クラウド会計(建設業特化) 建設業(中小企業) | クラウド会計(社会福祉法人特化) 社会福祉法人 |
| 主な会計機能(明細取得・自動仕訳・決算書) | ● | ● |
| 内部統制機能(承認・権限・ログ) | ●(会計基盤はiクラウド共通) | ●(伝票・予算の承認権限設定) |
| 電子帳簿保存法・インボイス対応 | ●(改正電帳法・インボイス対応) | ●(JIIMA電子帳簿ソフト認証) |
| 外部連携(銀行明細・税理士連携) | ●(金融機関連携・API) | ●(銀行連携・PCA給与連動・API) |
| 料金(月額目安) | 月27,500円〜 (iAシステム・税抜) | 月19,200円〜 (シンプルプラン・税抜) |
| 無料トライアル・体験 | ●(30日間) | ●(2ヶ月) |
| 対応業種・準拠する会計基準 | 建設業 工事別原価管理に対応 | 社会福祉法人 社会福祉法人会計基準に準拠 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※本表は2026年10月時点で各社が公表している情報をもとに作成しています。機能の搭載有無や提供形態(標準・オプション等)、最新の料金・プランは各社の公式情報をご確認ください。
財務会計クラウド各サービスの特徴
ここからは、各サービスの特徴を規模・業種のタイプ別に紹介します。公式サイトのスクリーンショットとあわせて、どのような企業に向くかを整理しました。
中小企業・成長企業向けのサービス
導入のしやすさと記帳の自動化を重視する企業に向くサービスです。
1. 弥生会計 Next(弥生株式会社)

弥生会計 Next は、弥生株式会社が2025年4月にリリースした法人向けのクラウド会計ソフトです。従来提供してきた「弥生会計 オンライン」の後継にあたり、会計・請求書発行・経費精算・証憑管理を一つのサービスに統合し、これらのデータが会計処理へ自動で流れる構成を採用しています。
2,500以上の金融機関・クレジットカード等と連携して明細を自動取得し、AIが勘定科目を提案して記帳を自動化します。決算書の作成やインボイス制度・電子帳簿保存法への対応も同じ基盤で完結し、電子帳簿保存法ではJIIMA「優良な電子帳簿」認証を取得しています。
料金は税抜で、エントリープランが年契約の年額34,800円(月額換算2,900円)、ベーシックプランが年額50,400円、ベーシックプラスプランが年額84,000円です(2026年9月時点の公表額)。初期費用は0円で、最大2か月の無料体験が用意されています。
移行面では、デスクトップソフトの弥生会計や弥生会計 オンラインからのデータ移行に対応し、同社製品からの乗り換えがしやすい点が特徴です。freee会計やマネーフォワード クラウド会計など他社ソフトからの移行も、仕訳データを所定の形式でインポートする方法でサポートしています。
2. Tenbook(テンブック)(シンアカウンティングサービス株式会社)

Tenbook(テンブック)は、クラウド会計ソフト「10book」の提供に、記帳代行・決算・税務申告の代行を組み合わせた会計アウトソーシング型のサービスです。提供元のシンアカウンティングサービス株式会社は、公認会計士・税理士が代表を務めています。
契約者には自社開発の「10book」が無料で提供され、月次処理から決算書作成、法人税・所得税・消費税の申告までを原則3名のチーム体制で代行します。資料共有や相談はオンライン中心で、創業期から売上5億円程度までの企業を会計サービスの主な対象としています。
料金は初期費用0円で、決算時の決算料は不要です。月額費用は免税事業者向けが29,500円、課税事業者向けが43,500円で、取引件数や依頼範囲に応じて個別に見積もる形をとります。対応税目は法人税・所得税・消費税が中心で、相続税・贈与税などは含みません。
記帳代行を含む会計アウトソーシングが、どのような状況の企業で求められるのか。提供元のシンアカウンティングサービス株式会社は、相談の多い企業像を次のように説明しています。
分かりやすいのは、経理リソースが不足している企業です。特に新設法人だと、経理に時間も人も割けないですし、経理フローを構築する知識や経験も不足しがちです。
それと、経理担当者の退職などで業務が不安定になるケースもよくあります。属人的なフローになっていると引き継ぎが大変ですし、退職に伴って経理が回らなくなるリスクが出てきます。そこを専門家に任せることで、経理業務の安定性を提供したいと考えています。
3. freee会計(フリー株式会社)

簿記の知識が浅い担当者でも使えるUIを掲げるのが、フリー株式会社が提供するfreee会計です。個人事業主から新設法人・中小企業、IPO準備中・上場企業までを同じ基盤でカバーする統合型のクラウド会計ソフトです。
銀行口座・クレジットカード・POSレジなど1,000を超える外部サービスと連携して取引データを自動取得し、AI-OCRによる書類の読み取りや自動仕訳、ボタン操作での決算書作成までを一つのプラットフォームで行えます。電子帳簿保存法(JIIMA認証取得)やインボイス制度にも対応します。
法人向けは事業規模別の5プラン構成で、年払い時の月額はひとり法人2,980円、スターター5,480円、スタンダード8,980円(いずれも税抜、スターター以上は従量課金が別途発生)、上位にアドバンス・エンタープライズが続きます(2026年9月末時点)。初期費用は0円で、30日間の無料トライアルを利用できます。
4. マネーフォワード クラウド会計(株式会社マネーフォワード)

株式会社マネーフォワードが提供するマネーフォワード クラウド会計は、2,300以上の金融関連サービスと連携して明細を自動取得し、AIが勘定科目を提案して仕訳を自動化するクラウド会計ソフトです。
複式簿記に対応し、提案された勘定科目を利用者が確認・修正しながら記帳を進める運用のため、簿記の基礎を踏まえて自分で科目を扱いたい経理担当に向きます。請求書・経費・給与などの同社シリーズと同一基盤で連携でき、想定する対象はひとり法人から50名程度までの中小企業です。
料金は税抜で、年払い時の月額換算がひとり法人2,480円、スモールビジネス4,480円、ビジネス6,480円、月払いは3,980円からです(2026年9月末時点)。初期費用は0円で、1か月間の無料トライアルを用意しています。
5. ジョブカン会計(株式会社DONUTS)

勤怠管理・給与計算・経費精算などを揃える「ジョブカンシリーズ」の一つとして、株式会社DONUTSが提供するクラウド型の会計ソフトがジョブカン会計です。法人・個人事業主の双方に対応し、インボイス制度・電子帳簿保存法に対応します。
キーボード中心の入力と自動集計、複数帳簿をタブで切り替える操作性を備え、銀行・クレジットカード明細の自動取込や決算書の作成に対応します。有償オプション「ジョブカン証憑管理」を追加すると、請求書・領収書のAI-OCR読み取りやAI仕訳の作成も利用できます。
料金は初期費用0円で、スタートアップが月額2,500円(3ユーザーまで)、ビジネスが月額5,000円(5ユーザー、権限管理・承認・履歴管理を追加)、エンタープライズが月額50,000円(ユーザー数上限なし)の3プランです。契約前に30日間の無料トライアルがあり、期間中から電話サポートを利用できます。
6. かんたんクラウド会計(MJS)(株式会社ミロク情報サービス)

かんたんクラウド会計は、会計事務所・企業向けの業務ソフトを長年手がける株式会社ミロク情報サービス(MJS)が、中小・小規模事業者向けに提供するクラウド会計ソフトです。
あらかじめ取引例が登録されており、レシート画像から日付・金額・電話番号を読み取って仕訳データに変換できるため、簿記の経験がない担当者でも入力を進められる設計です。銀行口座・クレジットカードの連携による仕訳の自動化、決算書・消費税精算表・資金繰表の作成、インボイス制度・電子帳簿保存法にも対応します。
料金は税抜で、基本帳票と決算書出力に対応するBasicが月額2,160円、財務分析や資金繰などを加えたPlusが月額3,000円です(2026年6月時点)。標準で3アカウントまで利用でき、追加は1名あたり月額240円です。メール・チャットサポートは無料で、電話・遠隔操作サポートは月額360円のオプションになります。
7. SmileWorks(スマイルワークス)(株式会社スマイルワークス)

SmileWorks(スマイルワークス)は、販売管理・在庫・給与計算・経費精算などを一つにまとめた中小企業向けの統合型クラウドERPで、財務会計はその機能モジュール「会計ワークス」として提供されます。提供元は株式会社スマイルワークスです。
会計に特化したソフトとは異なり、販売・購買・在庫などの業務データから自動で会計仕訳を生成する統合設計が特徴で、売上・仕入・経費・社内工数をプロジェクト単位で集計する収支管理を主軸に据えています。会計ワークスは決算書・消費税申告書・e-Taxデータ出力に対応し、電子帳簿保存法ではJIIMAの電子帳簿ソフト法的要件認証を取得しています。
料金は、販売管理に絞った販売ERPプランが月額5,000円から、販売管理・財務会計・給与計算を機能単位で選べる標準プランが初期費用30,000円・月額10,000円からです(税区分の記載なし、2026年8月時点)。
上位には、カスタムプランやEnterpriseプランが用意されています。最大2か月の無料期間があります。
中堅・上場準備企業向けのサービス
内部統制や連結、監査対応に耐える基盤を求める企業に向くサービスです。自社で内部統制を整える製品と、会計事務所の巡回監査・経営助言とセットで使う製品の両方を含みます。
8. マネーフォワード クラウド会計Plus(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウドシリーズのうち、IPO準備や上場後の内部統制に対応する上位版が「マネーフォワード クラウド会計Plus」です。株式会社マネーフォワードが2020年2月に提供を開始しました。
中小企業向けのクラウド会計で培った自動仕訳やデータ自動取得の利便性を保ちつつ、仕訳の申請・承認フロー、業務分担に応じた権限設定、操作ログや仕訳更新履歴、監査法人とのシステム共有といった内部統制機能を加えています。月次決算の早期化と監査対応の効率化を狙う構成です。
料金は利用するID数に応じた見積もり方式で、監査法人や税理士法人など外部共有用のアカウントもIDの1つとして数えます。契約は年間単位で、経費精算・給与計算・債権管理などマネーフォワード クラウドの各サービスと同一基盤で連携できます。公式サイトでは導入実績を2,000社以上としています(2026年9月時点)。
内部統制の整備を進める企業が、どのような背景で導入を検討するのか。株式会社マネーフォワードの栗本賢人氏は、相談の傾向と上場企業での利用状況を次のように述べています。

最も多いのは、IPOや上場を目指していて内部統制をしっかり整えたい、J-SOX対応の必須要件に対応したいという中堅企業からのご相談です。導入の主導は経理の責任者が中心になることが多く、IPO準備など全社的な取り組みの文脈ではCFOが関与されるケースも少なくありません。
実績としては、2025年1月から6月にグロース市場へ上場承認された企業のうち、約半数がマネーフォワードのサービスを利用していたというデータ* もあります。IPO準備中の企業やCFOの方々から高い支持をいただいているサービスです。
*日本取引所グループの公表情報に基づき、2025年1月〜6月にグロース市場への上場が承認された企業のうち、上場時にマネーフォワードクラウドを有料で使用していたのユーザーの割合
9. 勘定奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

金融機関の入出金明細や領収書、Excelデータから仕訳を自動で起票し、月次決算の短縮につなげるのが、株式会社オービックビジネスコンサルタントの勘定奉行クラウドです。現行世代は「勘定奉行iクラウド」の名称で提供されています。
伝票明細の処理件数や機能に応じてE・J・A・B・Sの5つのエディションがあり、上位のSシステムでは管理会計に対応します。給与奉行や固定資産奉行など同社の奉行シリーズとAPI・データ連携でき、中堅・大企業やグループ企業向けには上位の奉行V ERPクラウドへ移行できる製品系列を持ちます。電子帳簿保存法のJIIMA認証4種を取得し、インボイス制度にも対応します。
基盤はMicrosoft Azureで月間稼働率99.9%を保証し、SOC1・SOC2 Type2報告書の取得やISMAPクラウドサービスリストへの登録を備えます。料金は税抜で、最小構成のEシステムが年額93,000円(月額換算7,750円)から、初期費用はエディションにより0〜70,000円です(2026年6月時点)。
販売はOBCのパートナー企業を通じて行われ、30日間の無料体験が用意されています。
10. PCAクラウド 会計(ピー・シー・エー株式会社)

ピー・シー・エー株式会社が、老舗パッケージソフト「PCA会計」をクラウド形態で提供するのがPCAクラウド 会計です。日常の伝票入力から元帳・試算表・決算書、経営分析帳票までを一連で作成できます。
中堅企業向けの上位グレード「PCAクラウド 会計 hyper」では、複数会社を企業グループとして登録する合算領域・子会社領域の作成、事業別・地域別のセグメント管理、部門の階層管理に対応します。仕訳の承認機能や予算管理、各種分析帳票を備え、電子帳簿保存法のJIIMA認証取得やインボイス制度への対応(関連製品との併用)も進んでいます。
提供基盤は、SLAを保証するデータセンター版、より廉価でWeb-APIを無償利用できるPCAクラウド on AWS、サブスクリプション型から選べます。料金は税抜で、会計 hyper単体が月額19,200円、標準グレードの会計単体が月額16,200円で、初期費用0円のイニシャル0プランが用意されています(2026年9月時点)。2か月の無料体験も利用できます。
グループの会計をクラウドで一元化すると、決算業務にどのような変化が生じるのか。ピー・シー・エー株式会社の田崎氏は、自社が支援した企業の事例を次のように紹介しています。

導入前は、グループ企業のデータ集計や確認作業に膨大な時間がかかり、月次決算が大幅に遅れていました。経営状況をリアルタイムに把握できないことが課題だったのです。導入後は、グループ全体の会計データをクラウドでリアルタイムに一元化・連携したことで、月次決算の期間を11日間短縮することに成功しました。これにより月初7営業日以内にグループ全体の正確な経営状況を可視化できるようになり、経営陣の意思決定スピードが大きく向上しています。
11. TKC FXクラウドシリーズ(株式会社TKC)

会計事務所による月次の巡回監査・経営助言とセットで使う点が、株式会社TKCのFXクラウドシリーズの特徴です。TKC全国会に所属する税理士・公認会計士事務所の関与を前提に設計された、中堅・中小企業向けのクラウド会計システム群です。
対象企業規模に応じて、小規模向けのFXまいスタークラウド、中小企業向けのFX2クラウド、中堅・上場準備企業向けのFX4クラウド、上場企業向けのFX5クラウドがそろいます。FX4クラウドは部門責任者への業績責任設定や内部統制・牽制への対応、FX5クラウドは連結決算や外貨別取引管理に対応します。
会計事務所が毎月訪問して帳簿の適法性・正確性・適時性を検証する巡回監査を前提に、月次試算表や決算書を金融機関へ開示する無償のTKCモニタリング情報サービス、記帳の適時性を第三者として示す記帳適時性証明書を備えます。市販されておらず、料金は会計事務所との顧問契約に応じるため要問い合わせです。
12. クラウド発展会計(日本ビズアップ株式会社)

日本ビズアップ株式会社のクラウド発展会計は、会計事務所と顧問先企業が同じデータを参照しながら記帳・決算を進める、会計事務所向けのクラウド会計システムです。1999年の設立以来、会計事務所業界向けにシステムを提供してきました。
インターネットバンキングの明細を取り込むBANK、通帳をAI-OCRで読み取って仕訳するAI-BANK、請求書やレシートを読み取るMONEYなど、入力工程の自動化機能を複数備えます。2025年12月には、証憑のデータ化から業績分析レポートの自動作成までを行う生成AIオプション(有償)も公開されました。手書きの現金出納帳をスキャンして仕訳するAI-MONEYは開発中です。
納税予測や決算診断、経営戦略診断といった経営助言(財務MAS)の帳票や、書面添付(第9号様式)の自動作成にも対応します。電子帳簿保存法・インボイス制度には「発展ストレージ」で対応します。顧問先企業は契約する会計事務所を通じて導入する構造のため、料金は要問い合わせとなります。
特定業種特化のサービス
建設業や社会福祉法人など、業種固有の会計処理が必要な企業に向くサービスです。
13. 勘定奉行クラウド 建設業編(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

汎用版の「勘定奉行iクラウド」に、建設業特有の工事別原価管理を加えた業種特化エディションです。株式会社オービックビジネスコンサルタントが提供し、改正電子帳簿保存法やインボイス制度に対応した会計機能をベースに、工事ごとの原価計算まで一つのシステムで扱えます。
工事ごとに細分化した仕訳から、間接費・労務費の配賦や複数配賦パターンの一括処理、月末月初の振替・振戻までを自動化します。日々の仕訳伝票から工事別の収支をリアルタイムに集計し、原価帳票で工事ごとの採算を確認できます。
基本機能のiAシステム、多角的な分析を加えたiBシステム、経営事項審査向けの書類作成など管理会計機能を加えたiSシステムの3段階から選べます。中小企業向けの料金はiAシステムで月額27,500円(税抜)からで、30日間の無料体験が用意されています。
14. PCAクラウド 社会福祉法人会計(ピー・シー・エー株式会社)

社会福祉法人会計基準(平成28年厚生労働省令第79号)に準拠した、ピー・シー・エー株式会社の業種特化クラウド会計です。介護・福祉施設を運営する社会福祉法人に向けて、法定の会計処理に対応する設計です。
会計の単位を事業区分・拠点区分・サービス区分の3階層で管理し、資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表を法人全体や区分別に出力できます。事業区分をまたいで発生した費用の配賦入力や、サービス間・拠点間・事業間の内部取引消去にも対応します。
WAM NETの「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」へのデータ連携や、介護サービス事業者経営情報データの作成に対応し、法定の外部開示業務を支援します。クラウド版は社会福祉法人会計のみのシンプルプランで月額19,200円(税抜)から利用でき、2ヶ月の無料体験が用意されています。
財務会計クラウド化の進め方(導入・移行の手順)
財務会計をクラウドへ移す際は、現状の整理から並行運用までを段階的に進めると、業務を止めずに移行できます。ここでは一般的な進め方と、既存ソフトからの乗り換えのポイントを整理します。
導入までのステップ
まず、現在の会計業務の流れと、連携したい銀行口座・カード・周辺システムを洗い出します。次に、必要な機能(法令対応・内部統制・業種対応など)を満たす候補を絞り、無料トライアルや資料で操作性と自社要件への適合を確かめておくとよいでしょう。導入を決めたら、勘定科目や部門などのマスタ設定、開始残高の登録を行い、一定期間は旧システムと並行運用して数値の一致を確認してから本稼働へ切り替えると安全です。

既存ソフト(弥生・勘定奉行・PCA等)からのデータ移行・乗り換え
オンプレミス型や他社のクラウド会計ソフトからの乗り換えでは、過去の仕訳データや科目設定をどこまで引き継げるかが実務上の論点です。多くのクラウド会計ソフトは、主要な会計ソフトからのデータインポートやCSVでの取り込みに対応し、データ移行を支援するサービスを用意しています。
特に、同じベンダーのインストール型からクラウド版へ移る場合は、専用の移行手順やインポート形式が用意されていることが多く、仕訳データを形式の編集なく引き継げるケースもあります。他社ソフトからの移行でも、移行元で仕訳データを所定の形式でエクスポートして取り込む方法が一般的です。各サービスがどの移行元に対応するかは、サービス紹介や比較表で確認できます。
引き継げるデータの範囲(仕訳・科目・残高)や年度数、移行作業が有償かどうかはサービスによって異なるため、乗り換えを前提に検討する場合は、現在使っているソフトからの移行可否を事前に確認してください。期中からの移行では、開始残高の設定と、移行前後で試算表の数値が一致するかの検証が重要になります。
まとめ
財務会計のクラウド化は、保守・更新やBCPの負担を軽くし、リモート・複数拠点での会計処理や法令対応の最新化を進められる一方、継続的な利用料やデータ移行の手間といった検討点もあります。
自社に合うサービスを選ぶには、電子帳簿保存法・インボイス制度への対応、既存システムや銀行明細との連携、税理士との連携、そして上場準備で効く内部統制・連結への対応といった観点を、自社の規模・業種と照らして比較することが近道です。
まずは候補となるサービスの資料を取り寄せ、機能と料金を具体的に比べてみることをおすすめします。下記から、気になるサービスの資料をまとめて請求できます。
一括ダウンロードする
よくある質問(FAQ)
Q. 財務会計のクラウド化とは何ですか?
A. 財務会計のクラウド化とは、仕訳入力・帳簿管理・決算書作成といった制度会計の業務を、自社サーバーのソフトではなくインターネット経由で利用するクラウドサービス(SaaS)で行うことです。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込んで記帳を自動化し、決算書の作成から電子帳簿保存法・インボイス制度への対応までを一つの基盤で進められます。
対象は個人事業主の確定申告ではなく、法人が日々行う記帳から決算までの業務が中心です。
Q. 財務会計のクラウド化はオンプレミス型(インストール型)と何が違いますか?
A. 最大の違いは、ソフトの更新・法令対応・バックアップをサービス提供側が自動で行い、ブラウザからどの端末でも会計データにアクセスできる点です。オンプレミス型は買い切りで社内ネットワーク内に完結する一方、サーバー管理やバージョンアップを自社で担い、利用端末が固定されます。クラウド型は月額の利用料が継続して発生し、インターネット接続が前提になります。
自社サーバーの更新時期や、テレワーク・拠点分散が進んだタイミングが、クラウドへの移行を検討する典型的な契機です。
Q. 既存の会計ソフト(弥生・勘定奉行・PCAなど)からクラウドへ乗り換え・データ移行はできますか?
A. 多くのクラウド会計ソフトが主要な会計ソフトからのデータインポートやCSV取り込みに対応しており、乗り換えは可能です。ただし、引き継げるデータの範囲や年度数、移行作業が有償かどうかは製品によって異なります。期の途中から移行する場合は、開始残高を設定し、移行前後で試算表の数値が一致するかを検証することが重要です。
乗り換えを前提に検討するときは、現在使っているソフトからの移行可否を事前に確認してください。
Q. クラウド会計ソフトは電子帳簿保存法に対応していますか?
A. 主要なクラウド会計ソフトは電子帳簿保存法に対応しており、法人・個人事業者に対応が求められる「電子取引データ保存」の要件を満たせます。電子帳簿保存法は帳簿や書類を電子データで保存する制度で、電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の3区分に分かれます。
このうち電子取引データ保存は、令和6年(2024年)1月1日以後にやり取りする電子取引データについて法人・個人事業者が対応を求められるものです(国税庁「電子帳簿保存法の内容が改正されました」)。クラウド型は法令改正をサービス側の更新で反映するため、利用者が保存要件を個別に追いかけなくても最新の要件に沿った運用を続けやすいのが利点です。
Q. クラウド会計ソフトはインボイス制度に対応していますか?
A. 多くのクラウド会計ソフトが適格請求書(インボイス)の発行・受領・保存に対応しています。インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として令和5年(2023年)10月1日から始まった制度です(国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」)。
対応範囲は製品やプランによって差があるため、自社の取引で扱う請求書・領収書が発行・保存の対象に含まれるかを個別に確認してください。
Q. 上場準備や内部統制のために、財務会計のクラウド化で必要な機能は何ですか?
A. 仕訳の承認フロー、ユーザーごとの権限管理、操作ログ(仕訳の作成・編集・削除の履歴)の記録が中心的な機能です。これらに加え、監査法人とのシステム共有、グループ経営での連結決算、海外展開での国際会計基準(IFRS)や多通貨への対応が求められる場合もあります。こうした機能は中小企業向けの標準プランには含まれないことが多く、上位エディションや上場準備向けの製品で提供されます。
将来の成長を見込むなら、同じ基盤のまま上位プランへ移行できる製品を選ぶと、再度の乗り換えを避けられます。
Q. 会計データをクラウドに預けるセキュリティは安全ですか?
A. 通信の暗号化・データの自動バックアップ・ユーザーごとのアクセス権限設定に加え、ISMSやSOC 2などの第三者認証を取得しているサービスも多く、自社サーバーで管理するより安全なケースもあります。自社管理でも、機器の故障・盗難・ランサムウェアのリスクは避けられません。
安全性の高さだけで一律に判断するのではなく、データセンターの所在や認証の取得状況を自社のセキュリティ要件と照らし、現実的に守れる方法はどちらかという観点で比較することが大切です。
Q. 財務会計のクラウド化で税理士・会計事務所と連携できますか?
A. 多くのクラウド会計ソフトが、税理士・会計事務所を招待して同じデータをリアルタイムに共有する機能を備えています。画面を見ながら助言を受けたり、決算前のチェックを進めたりできるため、自社で記帳して顧問税理士に決算・申告を依頼する運用がしやすくなります。導入前に顧問税理士が対応しているソフトを確認しておくと、乗り換え後の連携がスムーズです。
経理の専任者を置きにくい場合は、ソフトの提供に記帳代行・決算・申告までを組み合わせたサービスも選択肢になります。
Q. 無料で使える財務会計のクラウドソフトはありますか?
A. 一部の製品に機能や登録件数を制限した無料プランがあり、多くの製品で1〜2か月程度の無料トライアルが用意されています。財務会計を本格的に運用するには有料プランが前提になることが多いものの、無料トライアルで操作性や自社業務への適合を確かめてから導入を判断できます。まず試してから本契約に進むと、導入後のミスマッチを減らせます。
Q. 財務会計クラウドの費用はどのくらいかかりますか?
A. 中小・小規模向けのプランで月額数千円程度から、中堅企業向けで月額1万〜3万円程度、内部統制や複数拠点に対応する上位プランでは月額数万円以上が目安です。初期費用は無料の製品も多い一方、導入時の設定支援やデータ移行を有償とする場合があります。会計事務所の巡回監査とセットの製品や基幹システム(ERP)一体型の製品は、料金を公開せず個別見積もりとするのが一般的です。
必要な機能と利用人数で金額が変わるため、候補を絞ったうえで各社へ確認することをおすすめします。
Q. 中小企業向けと中堅・上場準備企業向けのクラウド会計ソフトは何が違いますか?
A. 中小企業向けは記帳の自動化と導入のしやすさを重視し、中堅・上場準備企業向けは仕訳承認・権限管理・操作ログといった内部統制機能や部門別・連結への対応を備える点が異なります。中小向けは初期費用を抑えて始めやすく、明細の自動取得や自動仕訳で日々の記帳を省力化します。中堅・上場準備向けは、監査対応で求められる証跡の整備や、会計事務所の巡回監査とセットでの運用に向きます。
成長を見込む場合は、同じベンダー内で上位エディションへ移行できる製品を選ぶと、乗り換えの負担を抑えられます。
Q. 財務会計のクラウド化はBCP(事業継続計画)対策になりますか?
A. なります。会計データがサービス提供事業者のデータセンターに保管・バックアップされるため、オフィスや自社サーバーが使えない状況でも別の端末から会計業務を再開しやすくなります。自社サーバーだけでデータを保管していると、災害や機器故障でデータを失うリスクがありますが、クラウド型はこの備えを事業者側のインフラで担えます。事業を止めないための対策の一つになります。
財務会計クラウドの料金・資料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、財務会計をクラウド化したい企業向けに、クラウド会計ソフトの最新資料を無料で一括請求できます。規模・業種別に機能や料金を見比べて、自社に合うサービスを効率的に検討できます。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















