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著作権譲渡契約書のひな形と書き方|27条・28条の特掲と締結前チェックの要点

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イラストやシステム、記事、動画などの制作物を外部とやり取りすると、「成果物の著作権を自社に移したい」「取引先から届いた著作権譲渡契約書を締結してよいか確かめたい」という場面が出てきます。著作権の譲渡は口頭でも成立し得ますが、譲渡の範囲や著作者人格権の扱いを曖昧にすると、後から「その使い方は認めていない」といった争いにつながります。

本記事では、そのまま下敷きに使える著作権譲渡契約書のひな形(全条文)を先に示し、各条で何を定めているかを注釈します。そのうえで、著作権法第27条・第28条の特掲(第61条第2項)、著作者人格権の不行使特約、対価・収入印紙・移転登録といった、締結前に外せない要点を条文の根拠とともに整理します。

さらに、ひな形をそのまま使う前に立場別で確認したい点と、自分で確認する・弁護士に依頼する・AI契約書レビューを使うという締結前チェックの選択肢を、費用感を添えて比較します。契約書を作る側にも、受け取った契約書を確認する側にも使える内容です。

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著作権譲渡契約書のひな形|全条文と各条の要点

著作権譲渡契約書とは、財産権としての著作権を、権利者(譲渡人)から相手方(譲受人)へ移すことを定める契約書です。制作を外注して代金を払っても著作権は自動的には発注者へ移らないため、譲り受ける側は契約書で権利を移す必要があります。著作権法第61条第1項は「著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる」と定めており、支分権・期間・地域を限った一部譲渡も可能です。

著作権譲渡契約書のひな形(全文)

以下は、著作物(イラスト・デザイン・プログラムなど)の著作権を譲り受ける場面を想定した基本的なひな形です。甲を譲渡人、乙を譲受人とし、空欄(◯◯)と別紙(譲渡対象の著作物)を取引に合わせて埋めれば、全文をそのままコピーして下敷きにできます。

著作権譲渡契約書

◯◯◯◯(以下「甲」という。)と◯◯◯◯(以下「乙」という。)は、甲が制作した著作物の著作権譲渡について、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的)
本契約は、甲が乙に対し、別紙記載の著作物(以下「本著作物」という。)に関する著作権を譲渡することを目的とする。

第2条(著作権の譲渡)
甲は乙に対し、本著作物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む一切の著作権)を譲渡する。

第3条(著作者人格権の不行使)
甲は、本著作物について、著作者人格権を行使しないものとする。

第4条(譲渡対価)
本著作権譲渡の対価は、金◯◯円(消費税込み)とする。

第5条(支払方法)
乙は、前条の対価を◯年◯月◯日までに、甲が指定する銀行口座へ振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。

第6条(本著作物の引渡し)
甲は乙に対し、◯年◯月◯日までに、本著作物のデータ一式を乙の指定する方法で引き渡す。

第7条(表明保証)
甲は、本著作物が第三者の著作権その他の権利を侵害していないこと、及び本著作権を譲渡する正当な権限を有することを表明し、保証する。

第8条(補償)
本著作物に関して第三者との間で権利侵害などの紛争が生じた場合、甲は自己の責任と費用でこれを解決し、乙に生じた損害を補償する。

第9条(移転登録への協力)
乙が本著作権の移転の登録を行う場合、甲は当該登録手続に必要な協力を行う。

第10条(契約解除)
甲又は乙は、相手方が本契約に違反し、相当の期間を定めて催告してもなお当該違反が是正されないときは、本契約を解除することができる。

第11条(損害賠償)
甲又は乙は、本契約に違反して相手方に損害を与えたときは、相手方に対し、その損害を賠償する責任を負う。

第12条(反社会的勢力の排除)
甲及び乙は、自己が暴力団その他の反社会的勢力に該当しないこと、及び将来にわたり該当しないことを相互に表明し、保証する。

第13条(協議・合意管轄)
本契約に定めのない事項又は解釈に疑義が生じた事項は、甲乙誠実に協議して解決する。本契約に関する紛争については、◯◯地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する。

◯年◯月◯日
甲:(住所・氏名)
乙:(住所・氏名)

出典・参考資料(1件)

特に押さえたい条項の要点

上のひな形で、特に押さえておきたい条項の意図を整理します。詳しい根拠はこのあとの各節で解説します。

  • 第2条(著作権の譲渡):「第27条及び第28条に定める権利を含む」の一文が最重要です。これを書かないと翻案権などが譲渡人に残ると推定されます(後述)。
  • 第3条(著作者人格権の不行使):著作者人格権は譲渡できないため、「行使しない」と約束してもらう形で対応します。
  • 第7条(表明保証):譲り受けた著作物が第三者の権利を侵害していた場合に備え、権利の非侵害と譲渡権限を保証してもらいます。
  • 第9条(移転登録への協力):二重譲渡などに備えて移転登録を行う場合に、相手の協力義務を定めておきます(移転登録は第三者対抗要件。後述)。
  • 第10条(契約解除)・第11条(損害賠償):相手が契約に違反して是正しないときに解除できること、違反で損害が生じたときに賠償責任を負うことを定めます。第8条が第三者との権利侵害紛争に備える補償であるのに対し、こちらは契約違反一般への備えという切り分けです。

公的な契約書作成支援ツールも利用できる

文化庁は、質問に沿って項目を入力・選択すると著作権に関する契約書の案(ひな型)を作成できる「著作権契約書作成支援システム」を無料で公開しています。ただし、このシステムが用意しているのは利用許諾・原稿執筆・イラスト作成などのひな型で、著作権の「譲渡」のひな型は提供対象外です。譲渡契約書は上記のひな形を下敷きにし、文化庁システムは利用許諾など別の契約類型の補助として使えます。

出典・参考資料(1件)

第27条・第28条を「含む」と明記しないと権利が残る(第61条第2項)

著作権譲渡契約書で最も見落とされやすく、かつ影響が大きいのが、著作権法第27条(翻訳権、翻案権等)と第28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)の扱いです。契約書に「著作権を譲渡する」とだけ書いても、この2つの権利は自動的には移りません。

著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。

出典:著作権法 第61条第2項|e-Gov 法令検索

第27条は翻訳・編曲・変形・脚色・映画化などの翻案に関する権利、第28条は二次的著作物の利用について原著作者が持つ権利です。たとえば譲り受けたイラストを加工して別の媒体に展開したり、キャラクターを使った続編やグッズを作ったりする場面で、これらの権利が必要になります。

条文は「留保されたものと推定する」と定めています。これは反証の余地がある推定であって、当然に移転しないと断定しているわけではありません。しかし争いを避けるには、ひな形の第2条のように「第27条及び第28条に定める権利を含む一切の著作権を譲渡する」と明記しておくのが実務上の対応です。この一文があるかどうかを、契約書を受け取ったときにも必ず確認しましょう。

著作者人格権は譲渡できない|不行使特約の書き方(第59条)

著作権(財産権)とは別に、著作者には「著作者人格権」があります。これは公表権(第18条)・氏名表示権(第19条)・同一性保持権(第20条)の3つからなり、たとえば無断で公表されない、制作者として名前を出す(または出さない)、意に反して作品を改変されない、といった権利です。

著作者が持つ2つの権利を対比した図解。左は財産権としての著作権で、契約で譲受人へ譲渡でき、譲渡時は第27条・第28条を含むと明記する。右は著作者人格権で、著作者の一身に専属し譲渡できず(第59条)、公表権(第18条)・氏名表示権(第19条)・同一性保持権(第20条)からなり、実務では不行使特約で対応する。

著作者人格権は、財産権としての著作権と異なり譲渡できません。

著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。

出典:著作権法 第59条|e-Gov 法令検索

そのため実務では、譲り受けた著作物を加工・改変したり、制作者名を表示せずに利用したりできるよう、ひな形の第3条のように「著作者人格権を行使しない」という不行使特約を結びます。改変や第三者への再利用を具体的に想定する場合は、第3条を「甲は、乙及び乙が指定する第三者に対し、本著作物に関する著作者人格権を行使しないものとする。」のように差し替えると、誰との関係で行使しないかが明確になります。

対価・収入印紙・移転登録の実務

権利の中身に加えて、締結前に確認しておきたい実務上の論点が3つあります。対価の定め方、収入印紙の要否、そして移転登録です。

対価と支払条件を明確にする

譲渡の対価は、金額だけでなく支払時期・支払方法まで定めます。制作物の納品(著作物の引渡し)と対価の支払をどの順序・タイミングで行うかは、どちらの立場かによって有利・不利が変わるため、ひな形の第4条〜第6条のように具体的な期日で特定しておくことが重要です。追加の利用範囲が後から発生しそうな場合は、対価に何が含まれるか(追加利用料の要否)も書き添えると、後日の認識違いを防げます。

収入印紙は必要か(紙は課税・電子契約は不要)

著作権は印紙税法上の「無体財産権」に含まれ、その譲渡に関する契約書は第1号文書(無体財産権の譲渡に関する契約書)として課税文書に当たります。つまり、紙で著作権譲渡契約書を作成する場合は収入印紙が必要です。

無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号および著作権をいいます。

出典:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

印紙税額は契約金額によって変わります。第1号文書では、金額の区分ごとに税額が定められており、一律いくらと単純化せず契約金額に応じた区分で確認します。主な区分は次のとおりです。

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契約金額(記載金額)1万円未満1万円以上 10万円以下10万円超 50万円以下50万円超 100万円以下100万円超 500万円以下500万円超 1,000万円以下1,000万円超 5,000万円以下契約金額の記載のないもの
印紙税額非課税200円400円1,000円2,000円1万円2万円200円

※第1号文書(本則税率)の主な区分。契約金額が5,000万円を超える場合はさらに高い区分が定められています。

出典・参考資料(1件)

一方、電子契約(電磁的記録)で締結する場合は、紙の文書を作成・交付しないため収入印紙は不要です。これは政府見解でも示されています。

文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。

出典:参議院議員櫻井充君提出印紙税に関する質問に対する答弁書(平成17年3月15日)|参議院

契約金額が大きいほど印紙税の負担も増えるため、電子契約への切り替えはコスト面でも有効です。

出典・参考資料(1件)

印紙税の負担を避けて電子契約で締結する場合は、どの電子契約システムを選ぶかが次の検討点になります。以下の記事で、料金やタイプ別の選び方を比較しています。

移転登録は第三者対抗要件になる

著作権の移転は、当事者間の合意で効力が生じます。ただし、同じ著作権が二重に譲渡されたような場合に、自分が権利者であることを第三者に主張するには、文化庁への移転登録が必要です。

次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
一 著作権の移転若しくは信託による変更又は処分の制限

出典:著作権法 第77条|e-Gov 法令検索

重要な著作物を譲り受ける場合は、ひな形の第9条のように移転登録への協力義務を定めておくと、必要が生じたときに登録を進めやすくなります。なお、ここでいう移転登録は著作権そのものの移転に関する対抗要件であり、2020年の著作権法改正で導入された利用権の「当然対抗制度」(ライセンスに関する制度)とは別の論点です。

ひな形をそのまま使う前に確認すること

ひな形は出発点であり、取引の内容によって足したり直したりすべき点があります。ここでは、締結前に立ち止まって確認したい論点を整理します。

そもそも譲渡でよいか(利用許諾との違い)

著作権を移す「譲渡」に対し、権利を手元に残して使うことだけを認める「利用許諾(ライセンス)」もあります。譲り受ける側は、自由に加工・再利用・第三者展開までしたいなら譲渡が向きますが、対価は高くなりがちです。譲り渡す側は、まとまった対価で手離れさせたいなら譲渡、継続的な収益を残したいなら利用許諾が候補になります。目的に対して譲渡が過不足ない手段かを、締結前に見極めることが望まれます。

著作権の譲渡と利用許諾(ライセンス)の違いを対比した図解。譲渡は著作権そのものを譲受人へ移し、自由に加工・再利用・第三者展開までできるが対価は高めで、手離れを重視する側に向く。利用許諾は権利を手元に残したまま認めた範囲の利用だけを許し、継続的な収益を残せるため範囲を限定して継続収益を重視する側に向く。

譲渡の対象と範囲を特定できているか

どの著作物を譲渡するのかは、ひな形の別紙で具体的に特定します。権利の範囲はひな形の第2条で定め(一切の著作権を譲渡)、「どの著作物を対象にするか」は別紙で特定する、という切り分けです。対象を別紙で特定しないまま「一切の著作権を譲渡する」とだけ書くと、どの成果物まで移ったのかで争いになりかねません。

制作途中の素材やラフ、関連データを含めるか、将来発生する成果物まで含めるかも決めておきましょう。著作権法第61条第1項は一部譲渡も認めているため、特定の媒体での利用に限って譲渡する、といった範囲の限定も可能です。別紙には、譲渡対象を後から特定できるよう次のような項目を記載しておくとよいでしょう。

  • 作品名・ファイル名
  • 種類・点数(例:ロゴ1点、イラスト3点)
  • 納品形式・バージョン(例:AI形式、PNG、v1.2)
  • 納品日・データの格納場所

表明保証・補償の範囲は妥当か

譲り受ける側は、第三者の権利を侵害していないことの保証(ひな形の第7条)があると安心です。一方、譲り渡す側にとっては補償の範囲が過大だと負担が重くなります。特に他者の素材を一部利用して制作した場合は、保証できる範囲を正直にすり合わせ、賠償の上限や対象を現実的な線に調整しましょう。

譲り受ける側・譲り渡す側それぞれの確認ポイント

同じ契約書でも、確認すべき点は立場で変わります。取引先から届いた契約書をそのまま締結してよいか迷ったときは、次の観点で読み直しましょう。

  • 譲り受ける側(発注者):第27条・第28条の特掲があるか、著作者人格権の不行使特約があるか、表明保証が入っているか。これらが欠けていると、せっかく譲り受けても使いたい範囲で使えないおそれがあります。
  • 譲り渡す側(制作者):対価が譲渡範囲に見合うか、不行使特約や補償の範囲が広すぎないか、将来の制作物まで巻き込む条項になっていないか。署名前に、引き受けきれない義務が紛れていないかを確認します。

締結前に契約書を確認する方法|自作・弁護士・AI契約書レビュー

ここまでの要点を押さえれば、ひな形をもとに契約書を整えること自体は可能です。そのうえで、締結前に「この内容で問題ないか」を確かめる方法には、大きく3つの選択肢があります。

  • 自分で確認する:市販のひな形や本記事のテンプレートを下敷きに、自社で作成・確認します。費用はほとんどかかりませんが、第27条・第28条の特掲や立場ごとの不利な条項を見落とすリスクが残ります。定型的で金額の小さい取引に向きます。
  • 弁護士に依頼する:弁護士に作成・レビューを依頼すると、自社の個別事情に沿った法的な妥当性まで確認できます。費用は1件あたり数万円から、または月額の顧問・サブスクリプション型のサービスを使う方法があり、金額が大きい取引や紛争リスクの高い契約で安心感があります。
  • AI契約書レビューを使う:契約書をアップロードすると、不足している条項や不利な記載をAIが自動で検出し、修正案を示します。月額制(本記事で紹介するサービスでは月額1万円前後から)で件数をこなしやすく、まず自社で一次チェックを回したい場合に向きます。重要な契約は、AIで一次チェックしたうえで弁護士に確認する併用も有効です。

締結前に条項の抜けや不利な記載を確認できるサービスを紹介します。弁護士に相談できるサービスと、AIで一次チェックするサービスがあり、それぞれに強みがあります。

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サービス名CLOUD LEGALLAWGUEOLGA
レビュー方式弁護士+AIAI(自社ナレッジ)AI(弁護士監修ひな型)
契約書の作成対応●●△レビュー・管理が主
料金目安月額11,000円〜(税込)
初期費用0円
要お問い合わせ
(個別見積もり)
要お問い合わせ
(中小企業向けは月額1万円〜/税別)
特徴弁護士に1〜2日でレビュー依頼。
Word上のAIレビューも完結
作成・編集・レビューを統合。
不足条項の提案・差分管理に強い
受付から契約管理まで一元化。
Word/PDFのリスク箇所をAI検出
詳細情報公式資料を見るオンライン相談を予約オンライン相談を予約

※料金・機能は各社の公開情報をもとにした2026年10月時点の目安です。最新の内容は各社の公式情報・資料でご確認ください。

CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)

CLOUD LEGALは、弁護士監修のAIと、弁護士・弁理士などの専門家体制を組み合わせた法務アウトソーシングサービスです。契約書の作成・レビュー、知的財産を含む法務相談までをオンラインで受けられ、月額11,000円(税込、2026年10月時点)から利用できます。法務の専任担当を置きにくい中小企業や制作事業者が、弁護士の確認をコストを抑えて受けたい場合の入り口になります。

Microsoft Word上でAIが不利な条文や欠落した条項を検出し、修正案を提示する「CloudLegal AIエディター」を備え、AIによる一次チェックと弁護士への相談を同じ窓口で進められます。著作権譲渡契約書のように、第27条・第28条の特掲や著作者人格権の扱いを専門家に確かめたい契約と相性がよい構成です。

締結を急ぐ場面では、レビューにどのくらい時間がかかるかも判断材料になります。同社の金沢由樹氏は、弁護士によるレビューの所要時間について次のように話しています。

金沢由樹氏
MOLTON株式会社 CSMO(最高営業・マーケティング責任者)
金沢由樹氏
独自インタビューより

特に分かりやすいのが対応スピードです。従来の顧問弁護士だと回答に1〜2週間かかることがありましたが、クラウドリーガルの弁護士相談や契約書レビュー・リーガチェックは1日、2日でお返しできています。また、クラウドリーガルで搭載しているリーガルAIも活用してさらに対応スピードを上げています。弁護士相談については、もちろん案件の種類や状況によって変わりますが、リードタイムが短くなるだけでも、現場の意思決定や契約の回転は変わってきます。

2. LAWGUE(ローグ)(FRAIM株式会社)

LAWGUE(ローグ)

LAWGUEは、契約書や社内規程などの文書を作成・編集・レビューするクラウド型のサービスです。自社の過去文書を反映したナレッジAIレビュー、不足している条項の提案、表記ゆれの自動検出、新旧の差分比較などを備え、ひな形から契約書を作りながら条項の漏れを整える作業に向いています。

自社のひな型を登録して使えるため、著作権譲渡契約書のように第27条・第28条の特掲や不行使特約を毎回同じ水準で盛り込みたい場合に、抜け漏れを抑えやすい設計です。料金は利用人数や用途に応じた個別見積もり(2026年10月時点)で、まず相談して自社に合う形を決めるスタイルです。

3. 法務オートメーション「OLGA」(GVA TECH株式会社)

法務オートメーション「OLGA」

OLGAは、法務案件の受付から契約書のレビュー・管理までを一元化する法務プラットフォームです。弁護士監修のひな型をベースにしたAI契約レビューのモジュールを備え、アップロードした契約書からリスク箇所を検出して修正案を示します。事業部はメールやチャットのまま法務へ依頼でき、やりとりが案件単位で蓄積される点も特徴です。

締結前のAIレビューで、著作権譲渡契約書の条項の抜けや不利な記載を自社で一次チェックしたい場合に活用できます。標準プランは機能ごとの個別見積もりですが、2026年7月には初期費用10万円(税別・初年度のみ)・月額1万円〜(税別・年間契約)の中小企業向け契約管理プランも新設されています。

ここで挙げたサービス以外も含め、契約書レビューサービスの選び方や各社の料金・レビュー体制をまとめて比較したい場合は、以下の記事が参考になります。締結前チェックを本格的に進めたい方はあわせてご覧ください。

まとめ

著作権譲渡契約書は、本記事のひな形を下敷きにすれば形を整えられます。そのうえで外せないのが、第27条・第28条を「含む」と明記すること(第61条第2項)、著作者人格権の不行使特約を置くこと(第59条)、そして対価・収入印紙・移転登録といった実務上の要点です。

ひな形はあくまで出発点なので、譲渡の範囲や立場ごとの不利な条項を締結前に確認します。自社だけで判断が難しい契約や金額の大きい取引では、弁護士によるレビューやAI契約書レビューを活用すると、見落としを抑えて安心して締結に進めます。

よくある質問(FAQ)

Q. 著作権譲渡契約書とは何ですか?

A. 著作権譲渡契約書とは、財産権としての著作権を、著作者などの権利者(譲渡人)から相手方(譲受人)へ移すことを定める契約書です。著作権法第61条第1項は「著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる」と定めており、権利の全部だけでなく、支分権・期間・地域を限った一部譲渡も可能です。イラスト・デザイン・プログラム・原稿などの制作物を発注者が自由に使えるようにする場面で用いられます。

出典・参考資料(1件)

Q. 著作権譲渡契約書に「すべての著作権を譲渡する」と書けば、第27条・第28条の権利も移りますか?

A. 「すべての著作権を譲渡する」とだけ書いても、第27条(翻案権等)と第28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)は譲渡人に留保されたものと推定されます(著作権法第61条第2項)。加工や続編・グッズ展開の権利を確実に得るには、「第27条及び第28条に定める権利を含む一切の著作権を譲渡する」と特掲します。契約書を受け取ったときも、この一文があるかを確認しましょう。

出典・参考資料(1件)

Q. 著作者人格権は著作権譲渡契約書で譲渡できますか?

A. 著作者人格権は、著作者の一身に専属する権利で、契約で譲渡することはできません(著作権法第59条)。公表権(第18条)・氏名表示権(第19条)・同一性保持権(第20条)からなり、財産権としての著作権とは別に著作者に残ります。そのため実務では、譲り受けた著作物を改変したり制作者名を表示せずに利用したりできるよう、「著作者人格権を行使しない」という不行使特約を結んで対応します。

出典・参考資料(1件)

Q. 外注で制作してもらった著作物は、代金を払えば自動的に発注者のものになりますか?

A. 制作代金を支払っても、著作権は自動的には発注者へ移りません。著作権は原則として制作した側に発生するため、発注者が権利を得るには著作権譲渡契約書で譲渡を受ける必要があります。その際も第27条・第28条の特掲と著作者人格権の不行使特約を忘れないことが重要です。なお従業員が職務上作成した著作物(職務著作)は要件を満たせば会社が著作者となり(著作権法第15条)、外注とは扱いが異なります。

Q. 著作権の譲渡と利用許諾(ライセンス)は、どちらを選べばよいですか?

A. 著作権の譲渡と利用許諾は、目的と立場で選び分けます。自由に加工・再利用・第三者への展開までしたい譲受側は譲渡、権利を手元に残して継続的な収益を得たい譲渡側は利用許諾が向きます。譲渡は手離れがよい反面、対価は高くなりがちです。相手の著作物を特定の範囲で使えれば足りる場合は、譲渡ではなく利用許諾契約で目的を達成できることもあります。目的に対して譲渡が過不足ない手段かを見極めるとよいでしょう。

Q. 口約束やメールだけの著作権譲渡でも有効ですか?

A. 著作権の譲渡は、口頭やメールの合意でも成立し得ますが、譲渡の範囲や条件をめぐる後日の争いを避けるため、契約書(電子契約を含む)で残すことが推奨されます。特に、第27条・第28条の特掲や著作者人格権の不行使特約といった要点は、口約束では抜け落ちやすく、後から「そこまでは認めていない」という食い違いの原因になります。移転登録を行う前提としても、書面化しておくほうが確実です。

Q. 著作権譲渡契約書に収入印紙は必要ですか?いくらかかりますか?

A. 紙で作成する著作権譲渡契約書は第1号文書として課税対象で収入印紙が必要ですが、電子契約で締結する場合は印紙税がかからず不要です。印紙税額は契約金額で変わり、記載金額が1万円未満は非課税、1万円以上10万円以下は200円といった区分があります(記載金額がなければ200円)。契約金額が大きいほど負担も増えるため、電子契約への切り替えはコスト面でも有効です。

出典・参考資料(2件)

Q. 著作権を譲り受けたら、文化庁への移転登録は必ず必要ですか?

A. 著作権の移転は当事者間の合意で効力が生じるため移転登録は締結の必須条件ではありませんが、二重譲渡などの際に権利者であることを第三者に主張するには文化庁への移転登録が必要です(著作権法第77条)。重要な著作物を譲り受けるなら、契約書に移転登録への協力義務を定めておくと進めやすくなります。なおこれは著作権の移転の対抗要件で、2020年改正の利用権「当然対抗制度」とは別の論点です。

出典・参考資料(1件)

Q. 著作権譲渡契約書のレビューは、弁護士とAI契約書レビューのどちらに頼むべきですか?

A. 金額が大きく紛争リスクの高い契約は弁護士、件数をこなす一次チェックはAI契約書レビューが向き、重要な契約は両者の併用も有効です。弁護士は自社の個別事情に沿った法的妥当性まで確認でき、AI契約書レビューは不足条項や不利な記載を素早く検出して修正案を示せます。まずAIで一次チェックし、要所は弁護士に確認すれば、コストを抑えつつ見落としを減らせます。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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