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記帳代行と経理代行の違いとは?業務範囲・費用相場とどちらを選ぶべきかを解説

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経理の外注を検討し始めると、「記帳代行」と「経理代行」という2つの言葉を見かけます。どちらも経理を外部に任せるサービスですが、任せられる業務の範囲は大きく異なります。

この違いを理解しないまま依頼先を探すと、「記帳だけで十分だったのに割高な経理代行を契約してしまった」「記帳代行に頼んだのに請求書発行まで任せられると思っていた」といったミスマッチが起こります。

本記事では、記帳代行と経理代行で任せられる業務範囲の違いを対比で示したうえで、それぞれの費用相場、自社はどちらを選ぶべきかの判断軸、そして税務申告は誰に頼むのかという頼み先の全体像を整理します。最後に、記帳代行型から経理代行型まで、実際に依頼できるサービスを費用とともに紹介します。

自社に合った委託の形を見極め、経理の負担を軽くする第一歩を踏み出しましょう。

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記帳代行と経理代行の違い|記帳代行は経理代行の一部

結論から言うと、記帳代行は「帳簿づけ」に絞ったサービス、経理代行は記帳を含む経理業務全般を任せるサービスです。記帳代行で任せられる業務は、経理代行で任せられる業務の一部に含まれる関係にあります。まずは両者で何を任せられるのかを対比で確認します。

記帳代行と経理代行の業務範囲の入れ子関係を示す図。経理代行の枠の中に記帳代行の枠が含まれ、記帳代行は仕訳入力・記帳、帳簿の作成、試算表の作成を担う。経理代行はこれに加えて請求書の発行・送付、入金確認・消込、支払・振込、経費精算、給与計算、月次決算・月次レポートを上乗せする。決算書の確定・税務申告は記帳代行・経理代行では完結せず、税理士の独占業務として別に担う。
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仕訳入力・会計ソフトへの記帳各種帳簿の作成(仕訳帳・総勘定元帳など)試算表の作成請求書の発行・送付入金確認・消込支払・振込の代行経費精算給与計算月次決算・月次レポート決算書の作成・税務申告
記帳代行○○○×××××××
経理代行○○○○○○○○(対応会社による)○×(税理士の担当)

※対応範囲は各社のサービスメニューにより異なります。給与計算や決算連携の可否は依頼先に個別確認が必要です。

このように、経理代行は記帳代行の業務をすべて含んだうえで、請求・支払・給与計算・月次決算といった日々の経理業務まで引き受けます。一方の決算書作成や税務申告は、記帳代行・経理代行のどちらでも原則として範囲外で、税理士が担います(詳しくは後述します)。

記帳代行で任せられる業務

記帳代行は、日々の取引を会計ソフトに入力し、帳簿として整える業務を代行するサービスです。領収書・請求書・通帳のコピーなどを渡すと、仕訳を起こして会計ソフトに入力し、仕訳帳や総勘定元帳といった帳簿を作成します。

任せられる範囲は、大きく次の3つです。

  • 仕訳入力・記帳:取引を勘定科目ごとに仕訳し、会計ソフトへ入力する
  • 帳簿の作成:仕訳帳・総勘定元帳など、決算や申告の土台となる帳簿を整える
  • 試算表の作成:月次・年次の試算表を出し、収支の状況を確認できる形にする

請求書の発行や振込、給与計算といった「お金を動かす業務」や、取引先とのやり取りは含まれません。あくまで帳簿づけに特化している点が記帳代行の特徴です。

経理代行で任せられる業務

経理代行は、記帳に加えて、請求・支払・入金管理・給与計算・月次決算まで、経理部門の日常業務を幅広く引き受けるサービスです。記帳代行が「帳簿づけ」に限定されるのに対し、経理代行は「経理担当者の業務を外に出す」イメージに近くなります。

記帳代行の業務に、おおむね次のような業務が上乗せされます。

  • 請求書の発行・送付、入金確認・消込(入金データと請求データを照合して売掛金を消し込む処理)
  • 支払・振込の代行、経費精算の処理
  • 給与計算(対応する会社の場合)
  • 月次決算・月次レポートの作成

どこまでを引き受けるかは会社ごとに幅があるため、自社が任せたい業務が範囲に含まれるかは、依頼前に見積もりとあわせて確認することが欠かせません。給与計算に関わる社会保険の手続きは社会保険労務士、決算書の確定や税務申告は税理士の担当になる点にも注意が必要です。

記帳代行と経理代行の費用相場

ここからは、記帳代行と経理代行の費用相場を見ていきます。任せる業務範囲が広い経理代行のほうが高くなりますが、料金の決まり方が異なるため、単純な高い・安いだけでなく「何に対して払うのか」を押さえておくと比較しやすくなります。

前提として、記帳代行・経理代行や税理士の報酬には、公的に定められた料金基準はありません。公正取引委員会は資格者団体について「資格者団体が会員の収受する報酬について制限することについても、通常の事業者団体と同様に、独占禁止法上問題となる」との考え方を示しています。そのため、料金は各社・各事務所が自由に設定しています。

そのため「相場」は固定の定価ではなく、各社が公表する料金を同じ条件(仕訳数・業務範囲)で照合して掴むのが確実です。以下では、記帳代行型・経理代行型それぞれの料金の決まり方と目安を見ていきます。

出典・参考資料(1件)

記帳代行型の費用相場(仕訳数で決まる)

記帳代行の料金は、1か月あたりの仕訳数(取引の件数)に応じて決まるのが一般的です。取引が少ないほど安く、増えるほど段階的に上がります。本記事で紹介するサービスの公式料金を見ると、月50仕訳程度で月額2,980円〜5,500円前後、1仕訳あたりに換算すると数十円という水準が目安です(2026年10月時点)。

料金体系は、1仕訳ごとの従量制か、仕訳数のレンジごとに定額を設定する方式が主流です。いずれも仕訳数が料金の基準になっているため、自社の月間の取引件数を把握しておくと、各社の見積もりを同じ土俵で比べやすくなります。

資料整理の状況や紙の書類の多さ、修正対応の頻度によって実際の費用は変わるため、自社の取引件数と書類の整い方を把握したうえで見積もりを取ることが大切です。

記帳代行だけに絞って、より多くのサービスの1仕訳あたりの料金や、税理士に依頼した場合との費用の違いまで比べたい場合は、以下の記事で詳しく整理しています。

経理代行(フルBPO)型の費用相場(業務範囲で決まる)

経理代行の料金は、仕訳数よりも「どこまでの業務を任せるか」という業務範囲で決まります。記帳に請求・支払・給与計算・月次決算などが加わるほど月額は上がり、記帳代行型よりも一段高い水準になります。

フルBPO(経理業務をまとめて外部に委託する形)では、クラウド会計の導入支援まで含めて任せるサービスも多く、従業員数をもとにした個別見積りになるのが一般的です。記帳代行のように仕訳数だけで一律に決まらない点が、料金の見え方の違いになります。

任せる業務の幅と従業員規模によって、月数万円から十数万円以上まで費用には開きがあります。

経理代行は「経理担当者を1人雇うより安く、必要な業務だけ任せられるか」という視点で検討すると、自社の人件費と比較しやすくなります。

両者を並べると、記帳だけを外注する記帳代行型は月数千円〜数万円、経理全般を任せる経理代行(フルBPO)型は月3万円〜十数万円以上が目安です。任せる業務範囲の広さが、そのまま費用差に表れると考えておくとよいでしょう。

税務申告まで税理士(税理士法人)に依頼する場合は、記帳・経理の料金に決算・申告の報酬が加わります。本記事で紹介するミネルバ税務会計サポートは、記帳代行料(設立1期目で月15,000円〜)と決算・申告料(年90,000円〜)を分けて公開しています。これが、記帳から申告まで一貫して頼んだときの費用感の目安になります。

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自社は記帳代行と経理代行のどちらを選ぶべきか

記帳代行と経理代行のどちらが合うかは、社内に残したい業務の量・毎月の取引件数・事業の成長フェーズという3つの軸で考えると判断しやすくなります。ここでは、それぞれの型が向くケースを整理します。

記帳代行で足りるケースと経理代行が向くケースを対比した図。記帳代行で足りるのは、請求・支払を片手間で回せる取引量、仕訳や会計ソフト入力が本業を圧迫、まずは安く必要な部分だけ外注したい場合で、創業期・個人事業に有力。経理代行が向くのは、経理担当が退職予定や1人経理で属人化、請求・支払・給与計算まで丸ごと外注したい、月次決算を早く締めて経営判断に使いたい場合で、成長フェーズに向く。

記帳代行で足りるケース

毎月の取引件数がそれほど多くなく、請求書の発行や振込、入金確認といった日々の経理も社内で回せている段階で、帳簿づけの手間と専門性だけを外に出したい場合は、記帳代行で足りることが多いといえます。

具体的には、次のような状況が当てはまります。

  • 経営者や総務担当が請求・支払を片手間で回せる程度の取引量である
  • 仕訳や会計ソフトへの入力に時間がかかり、本業を圧迫している
  • まずは安く、必要な部分だけ外注して様子を見たい

記帳代行は仕訳数に応じた料金で始めやすいため、創業期や個人事業の段階では有力な選択肢になります。取引が増えて記帳だけでは追いつかなくなったら、後述する経理代行への切り替えを検討する流れが自然です。

経理代行(フルBPO)が向くケース

一方、事業の成長で取引や管理業務が増え、請求・支払・給与計算まで含めた経理業務そのものが負担になっている場合は、経理代行(フルBPO)が向きます。記帳だけを切り出しても、残る業務が多ければ社内の負担は大きく変わらないためです。

次のような状況では、経理代行を検討する価値があります。

  • 経理担当者が退職予定、または1人経理で業務が属人化しておりリスクが高い
  • 請求・支払・給与計算まで含めて、経理を丸ごと外に出したい
  • 月次決算を早く締めて、経営判断に使える数字を毎月そろえたい

経理担当者を新たに採用する場合の人件費と比べると、必要な業務だけを任せられる経理代行のほうが総額を抑えられるケースもあります。ただし出金のきっかけを外部に渡すことになるため、承認フローやチェック体制をどう保つかは契約前に確認しておきましょう。

経理代行の現場でも、退職や属人化をきっかけにした相談は多いといいます。経理アウトソーシングを手がけるWheat Accountingの佃氏は、自社で経理人材を抱える場合のコスト負担について次のように話しています。

佃誠吾氏
株式会社Wheat 代表取締役
佃誠吾氏
独自インタビューより

最近特に多いご相談は、「急な退職で経理が止まってしまった」「担当者にしかやり方がわからない」といった、退職と属人化にまつわる切実な課題です。自走できる経理人材を新たに採用する場合、年収600万〜700万円程度の費用負担が生じるだけでなく、採用後の教育や管理負担も決して軽くはありません。中小企業にとって、これほどの人件費を「固定費」として抱え続けることは、経営上の大きなリスクになりかねません。

税務申告は誰に頼む?記帳代行・経理代行では完結しない頼み先の全体像

記帳代行・経理代行を検討するうえで押さえておきたいのが、決算書の確定や税務申告は、記帳代行・経理代行では完結しないという点です。ここは法律で担い手が定められているため、頼み先の全体像を正しく理解しておく必要があります。

先に実務的な結論を述べると、記帳から税務申告までを1つの窓口でまとめたい場合は、税理士事務所か、提携税理士と連携する記帳代行・経理代行会社を選ぶと、依頼先を一本化できます。なぜ記帳・経理の代行だけでは申告まで完結しないのか、その担い手の線引きを以下で整理します。

税務申告・税務相談は税理士の独占業務

税務申告書の作成や税務相談は、税理士だけが業として行える「独占業務」です。税理士法第2条第1項は、税理士が行う業務として「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つを定めています。国税庁も、税理士業務の内容を次のように整理しています。

「税理士業務」とは、法第2条において、他人の求めに応じ、租税に関して、次に掲げる事務を行うことを業とすることをいう旨規定されています。
1 税務代理(法第2条第1項第1号)
2 税務書類の作成(法第2条第1項第2号)
3 税務相談(法第2条第1項第3号)

出典:国税庁「税理士制度に関するQ&A」問2-1(https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/qa/02.htm)

さらに税理士法第52条は「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない」と定めています。この3つの業務は税理士の資格がない記帳代行・経理代行の会社には任せられず、税務申告まで依頼したい場合は税理士(または税理士法人)が頼み先になります。

出典・参考資料(2件)

記帳代行は税理士法違反にならないのか

税理士資格のない会社が記帳代行を引き受けても、税理士法違反にはなりません。記帳(会計帳簿の記帳の代行)は、前述の「税務代理・税務書類の作成・税務相談」という3つの税理士業務のいずれにも当たらないためです。

国税庁も、非税理士に禁止されるのはこの3つの業務であると明示しています(税理士制度に関するQ&A 問6-1)。税理士法第52条が制限するのは「税理士業務」であり、そこに含まれない記帳の代行は、資格がない会社でも行えます。

法第2条第2項は、実務上、税理士業務と財務書類の作成や記帳の代行等の事務(以下「会計事務」といいます。)が併せて行われることが多いという実情を考慮して、税理士が税理士の名称を用いて、税理士業務に付随して、会計事務を行うことができることを明確にしたものであり、同項に規定するそれ以外の場合においても、税理士の名称を用いて会計事務を行うことは禁止されていません。

出典:国税庁「税理士制度に関するQ&A」問2-3(https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/qa/02.htm)

記帳そのものは独占業務の外にあるため、記帳代行・経理代行の会社に安心して依頼できます。心配な場合は、提携税理士によるチェック体制があるかを確認しておくとより安心です。

依頼先の選択肢(税理士事務所・代行会社・社労士)

ここまでを踏まえると、経理まわりの頼み先は業務によって次のように分かれます。自社が任せたい業務に合わせて、組み合わせて依頼するのが実務的です。

  • 記帳・経理業務:記帳代行会社・経理代行会社。税理士事務所でも記帳代行を受けている場合がある
  • 決算書の確定・税務申告・税務相談:税理士・税理士法人(独占業務)
  • 給与計算に伴う社会保険・労働保険の手続き:社会保険労務士が適切な依頼先になる場合がある

記帳そのものは、税理士事務所でも記帳代行・経理代行会社でも依頼できますが、向き不向きがあります。将来の税務申告・税務相談まで同じ窓口でまとめたいなら税理士事務所が向き、記帳・経理の実務量をできるだけ安く抑えたい・申告は別に考えるなら、料金が明快な記帳代行・経理代行会社が向きます。

記帳代行から経理代行への移行・委託範囲の広げ方

事業が成長すると、取引量や管理すべき業務が増え、記帳代行だけでは追いつかなくなることがあります。ここでは、委託範囲を段階的に広げるときの考え方を整理します。

成長に応じた委託範囲の広げ方

委託範囲を広げる判断は、どの業務が社内のボトルネックになっているかで考えると分かりやすくなります。記帳の次に負担が重くなりやすいのは請求書の発行や入金確認で、ここが回らなくなってきたら経理代行への拡大を検討する目安です。さらに支払・給与計算・月次決算まで任せたい段階になれば、フルBPO型が選択肢に入ります。

記帳代行の会社のなかには、経理・財務や人事労務のオプションを追加できるところもあり、同じ会社のまま委託範囲を広げられる場合があります。将来的に業務を広げる可能性があるなら、対応できる業務の幅も依頼先選びの判断材料になります。

同一業者に一括か、業務ごとに分けて依頼するか

委託範囲を広げるとき、記帳から経理業務までを同じ会社に一括で任せるか、業務ごとに別の会社へ分けて依頼するかという選択が出てきます。それぞれに利点があります。

同一業者に一括で任せると、データの受け渡しや進捗確認の窓口が1つにまとまり、連携の手間が減ります。一方、業務ごとに専門の会社へ分けると、それぞれの分野に強い会社を選べる利点がありますが、会社間でのデータ連携に手間がかかりやすくなります。多くの場合、やり取りの効率を重視して同一業者への一括委託が選ばれますが、自社の体制に合わせて検討するとよいでしょう。

委託範囲を変える際は、契約条件もあわせて確認しておくと安心です。経理代行は最低契約期間(半年〜1年程度)が設けられていることもあり、途中での見直しに制約が出る場合があります。

記帳代行・経理代行を利用するメリットとデメリット

記帳代行・経理代行の利用を決める前に、外注することの利点と注意点の両面を押さえておきましょう。ここでは代表的なものを整理します。

メリット

最大のメリットは、経理にかかっていた時間と手間を本業に振り向けられることです。あわせて、次のような利点があります。

  • 業務負担の軽減:記帳や請求処理の作業から解放され、経営者・担当者がコア業務に集中できる
  • 正確性の向上:経理の専門スタッフが処理するため、入力ミスや処理漏れを減らせる
  • 属人化・不正の防止:担当者1人に業務が集中する状態を避け、不在時のリスクやチェックの甘さを減らせる

これらの効果の表れ方は、委託範囲によって異なります。記帳代行は帳簿づけに絞るぶん、少ない取引でも安く始めやすく、お金を動かす業務は社内に残るため導入のハードルが低いのが利点です。一方の経理代行は、請求・支払・給与計算まで任せられるため、担当者の退職や属人化への備え、月次決算の早期化まで効果が広がります。

デメリット・注意点

一方で、外注だからこそ生じる注意点もあります。契約前に把握しておきたいのは次の3点です。

  • 社内にノウハウが蓄積しにくい:経理を外に出すぶん、社内に経理の知見が残りにくくなる
  • リアルタイム性が下がりやすい:書類を渡してから処理されるまでに時間差が生じ、即時の残高確認などには向きにくい
  • 情報漏洩のリスク:取引情報や口座情報を外部に渡すため、セキュリティ体制や秘密保持契約の確認が欠かせない

これらの注意点も、委託範囲で重みが変わります。とりわけ経理代行(フルBPO)で支払・振込まで任せる場合は、出金のきっかけと口座情報まで外部に委ねることになるため、承認フローやダブルチェックの体制づくりが欠かせません。記帳代行は帳簿づけに限られ、渡す情報も記帳用の証憑が中心となるぶん、出金リスク・情報漏洩の範囲ともに小さく済みます。

こうした注意点は、依頼先の選び方とコミュニケーションの取り方で軽減できます。チェック体制が整っているか、連絡がスムーズに取れるかを、見積もりの段階で確認しておきましょう。

外注先選びで実際にどのような失敗が起こりやすく、どう防げるのかを具体的に知っておきたい場合は、よくある失敗事例と業者選びのポイントをまとめた以下の記事も参考になります。

記帳代行・経理代行を依頼できるサービス

ここからは、記帳代行型から経理代行(フルBPO)型まで、実際に依頼できるサービスを紹介します。まずは料金と対応業務範囲を一覧で比較し、その後に各サービスの特徴を見ていきます。前述のとおり税務申告そのものは記帳代行・経理代行には含まれないため、申告まで一貫して対応できるのは税理士法人が運営するサービスや税理士と連携するサービスに限られます。

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サービス名はたらく記帳代行記帳代行ドットコムKANBEIミネルバ税務会計サポートTenbookWheat Accountingマネーフォワード おまかせ経理
タイプ記帳代行型記帳代行型記帳代行型
(会計BPOに拡張可)
記帳〜申告一貫型
(税理士法人)
記帳〜申告一貫型経理代行フルBPO型経理代行フルBPO型
対応業務の範囲仕訳入力・帳簿・試算表の作成に特化
(決算・申告は非対応)
証憑からの記帳・帳簿作成
(月次チェックは上位プラン)
記帳代行+経理財務・人事労務を
オプションで追加可
記帳代行+決算・税務申告まで
税理士法人内で一貫対応
記帳・月次・決算書作成・
法人税等の申告まで定額で一貫
記帳・請求・経費精算・振込・
給与計算・月次決算まで
MFクラウド導入支援+記帳・請求・
支払・給与計算・月次試算表まで
料金目安(月額)50仕訳まで2,980円〜
(税抜・以降50仕訳ごとに+3,000円)
50仕訳まで5,500円〜
(税込・1仕訳44円〜)
法人16,500円〜
(個人1,100円〜、税込)
記帳代行15,000円〜
+決算・申告料90,000円〜/年
29,500円〜(免税事業者)
43,500円〜(課税事業者、税別・決算料込み)
30,000円〜
(スモール・初年度キャンペーン価格)
月額10万円(従業員5名の一例)
※個別見積り
税務申告△提携税理士を紹介△提携税理士を紹介△提携税理士を紹介●税理士法人が一貫対応●会計士・税理士が対応△連携税理士が対応×税務は税理士が担当
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約

※税務申告の欄:●=税理士法人の運営や税理士の対応で申告まで一貫/△=自社では行わず提携・連携する税理士を紹介/×=対応なし(税理士へ別途依頼)。料金は2026年10月時点の各社公式情報にもとづく目安です。

はたらく記帳代行(記帳代行型)

はたらく記帳代行のウェブサイト

はたらく記帳代行は、仕訳数に応じたシンプルな料金で、記帳に絞って依頼できるサービスです。50仕訳まで月額2,980円、以降は50仕訳ごとに3,000円が加算される明快な料金体系で、「まずは帳簿づけだけを安く外注したい」というニーズに合います。

freeeやマネーフォワード クラウドへの入力に対応します。決算・税務申告そのものは扱わない記帳専業ですが、必要な場合は提携税理士法人を紹介する仕組みがあり、任せる範囲が分かりやすい点も特徴です。

記帳代行ドットコム(記帳代行型)

記帳代行ドットコムのウェブサイト

東証プライム上場のビジョングループが運営するのが、記帳代行ドットコムです。50仕訳まで月額5,500円、1仕訳あたり44円という単価を公開しており、取引件数に応じて料金が読みやすいのが利点です。シンプル・バリュー・プレミアムといったプランが用意され、マネーフォワード クラウドとの協業によるクラウド連携にも対応します。上場企業グループの運営という安心感を重視する会社に向きます。

KANBEI(記帳代行型・拡張対応)

KANBEI(カンベイ)のウェブサイト

freeeとマネーフォワード クラウドに特化しているのがKANBEIです。個人は月額1,100円〜、法人は月額16,500円〜と始めやすい料金ながら、記帳代行に経理・財務や人事労務のオプションを追加できる「会計BPO」への拡張に対応します。記帳代行から始めて、成長に応じて委託範囲を広げたい会社にとって、同じ窓口のまま段階的に任せられる点が魅力です。

ミネルバ税務会計サポート(記帳〜申告一貫型)

税務会計サポート(ミネルバ税理士法人)のウェブサイト

ミネルバ税務会計サポートは、税理士法人が運営し、記帳代行から決算・税務申告までを一貫して依頼できるサービスです。記帳代行プランは月100件未満で月額15,000円〜、決算・申告料は年額90,000円〜と、記帳代行料と税務申告料が別立てで公開されています。税務申告が税理士の独占業務であることが料金面でも分かる構成で、記帳から申告までを1つの窓口でまとめたい会社に適します。

Tenbook(テンブック)(記帳〜申告一貫型)

Tenbook(テンブック)のウェブサイト

記帳から月次処理、決算、法人税申告までを月額定額で一貫して担うクラウド型の経理代行サービスがTenbookです。免税事業者は月額29,500円〜、課税事業者は月額43,500円〜(いずれも決算料込み)という定額制で、毎月の費用が読みやすいのが特徴です。給与計算などはオプションで追加でき、記帳だけでなく申告までまとめて任せたい中小企業の受け皿になります。

Wheat Accounting(経理代行フルBPO型)

Wheat Accountingのウェブサイト

Wheat Accountingは、記帳に加えて請求書発行・経費精算・振込・給与計算・月次決算まで引き受ける経理代行フルBPO型のサービスです。月額30,000円〜という始めやすい価格帯で、創業期から数十名規模、1人経理の会社まで幅広く対応します。税務申告は連携する税理士、社会保険手続きは連携する社会保険労務士が担う体制を明示しており、頼み先の全体像が整理されている点も安心材料です。

マネーフォワード おまかせ経理(経理代行フルBPO型)

マネーフォワード おまかせ経理のウェブサイト

マネーフォワード おまかせ経理は、マネーフォワード クラウドの導入支援から記帳・請求・支払・給与計算・月次試算表までを一気通貫で担う経理代行サービスです。従業員5名規模で月額10万円という料金例が公開されており(一例)、クラウド会計を前提に経理全体をまとめて任せたい会社に向きます。自社でクラウド会計を使いつつ、その運用まで代行に任せたいケースに適したサービスです。

ここで取り上げた以外にも、経理を外部に任せられるサービスは数多くあります。委託できる業務範囲や料金、タイプ別の選び方まで含めて経理アウトソーシング全般を広く比較したい場合は、以下の記事をご覧ください。

まとめ

記帳代行は帳簿づけに絞ったサービス、経理代行は記帳を含む経理業務全般を任せるサービスで、記帳代行は経理代行の一部に含まれる関係にあります。料金は、記帳代行型が仕訳数で、経理代行型が業務範囲で決まるのが基本です。

自社に合うのは、社内に残したい業務の量・取引件数・成長フェーズで判断できます。帳簿づけだけを外注したいなら記帳代行、請求・支払・給与計算まで含めて負担を減らしたいなら経理代行が向きます。いずれの場合も、決算書の確定や税務申告は税理士の独占業務であり、記帳代行・経理代行では完結しない点を押さえておきましょう。

自社の取引件数と任せたい業務範囲を整理したうえで、複数のサービスの資料を取り寄せて比較すると、料金と対応範囲のミスマッチを避けられます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 記帳代行と経理代行の違いは何ですか?

A. 記帳代行と経理代行の違いは、記帳代行が帳簿づけ(仕訳入力・帳簿作成・試算表)に絞ったサービスなのに対し、経理代行は記帳に加えて請求書発行・支払・入金管理・給与計算・月次決算まで引き受ける点にあります。

記帳代行で任せられる業務は経理代行の一部に含まれ、「記帳代行は経理代行の一部」という入れ子の関係です。日々の請求や支払を社内で回せているなら記帳代行、経理業務そのものを外に出したいなら経理代行が目安になります。

Q. 記帳代行の費用相場はどのくらいですか?

A. 記帳代行の費用は、1か月あたりの仕訳数に応じて決まり、月50仕訳程度で月額2,980〜5,500円前後(1仕訳あたり数十円)が目安です(2026年10月時点)。

取引が少ないほど安く、仕訳数が増えるごとに段階的に上がります。紙の書類の多さや資料の整い方、修正対応の頻度によっても変わるため、自社の取引件数を把握したうえで見積もりを取ると実額がつかめます。

Q. 経理代行の費用相場はどのくらいですか?

A. 経理代行の費用は、仕訳数よりも「どこまでの業務を任せるか」という業務範囲で決まり、月数万円から十数万円以上まで開きがあります。

記帳に請求・支払・給与計算・月次決算が加わるほど月額は上がり、記帳代行型より一段高い水準になります。経理担当者を1人雇う場合の人件費と比べ、必要な業務だけを任せられるかという視点で検討すると、自社の状況と比較しやすくなります。

Q. 記帳代行だけ依頼して、確定申告は自分でできますか?

A. 記帳代行だけを依頼して、確定申告を自分で行うことは可能です。記帳代行で仕訳と帳簿が整っていれば、その帳簿をもとに申告書を作成できます。

ただし、税額の判断や特例の適用など専門的な判断が必要な場合は、税理士に相談・依頼したほうが安全です。税務相談や税務書類の作成は税理士の独占業務にあたるため、判断に迷う部分は税理士に任せる切り分けが現実的です。

Q. 記帳代行や経理代行に税務申告まで任せられますか?

A. 税務申告は記帳代行・経理代行の会社には任せられず、税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士(または税理士法人)だけが行える独占業務です(税理士法第2条・第52条)。

記帳から税務申告までを1つの窓口でまとめたい場合は、税理士事務所や、提携税理士と連携する経理代行会社を選ぶと、依頼先を一本化できます。

出典・参考資料(2件)

Q. 記帳代行を依頼するのは税理士法違反になりませんか?

A. 税理士資格のない会社に記帳代行を依頼しても、税理士法違反にはなりません。記帳(会計帳簿の記帳の代行)は、税理士の独占業務である「税務代理・税務書類の作成・税務相談」のいずれにも当たらないためです。

国税庁も、非税理士に禁止されるのはこの3つの業務であると示しています。記帳そのものは独占業務の外にあるため、記帳代行・経理代行の会社に安心して依頼できます。心配な場合は、提携税理士によるチェック体制があるかを確認しておくとより安心です。

出典・参考資料(1件)

Q. 記帳代行から始めて、後から経理代行に広げられますか?

A. 記帳代行から始めて、取引の増加に合わせて請求・支払・給与計算へと委託範囲を段階的に広げることは可能です。

記帳代行の会社のなかには、経理・財務や人事労務のオプションを追加でき、同じ窓口のまま委託範囲を広げられるところもあります。将来的に業務を広げる可能性があるなら、対応できる業務の幅も依頼先選びの判断材料になります。

Q. 経理代行に最低契約期間の縛りはありますか?

A. 経理代行は、半年〜1年程度の最低契約期間が設けられていることがあります。

記帳代行型は仕訳数に応じた月額で始めやすい一方、経理代行型は業務の引き継ぎに手間がかかるぶん、一定の契約期間を求められる場合があります。委託範囲を変える際は、料金だけでなく契約条件もあわせて確認しておくと安心です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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