国内のEC市場が成熟し、次の販路として海外の消費者への販売(越境EC)を検討する企業が増えています。とはいえ「本当に日本の商品が海外で売れるのか」「自社の規模や商材で成功できるのか」と、踏み出す前に確かめたい点は多いはずです。
判断の手がかりになるのが、すでに越境ECで成果を上げている日本企業の顔ぶれです。大手だけでなく、けん玉や文具、甲冑といったニッチな商材で海外の支持を集める中小企業まで、成功のかたちは一つではありません。
本記事では、越境ECで成功している日本企業を社名・商材・進出先とともに一覧で紹介し、公表されている実績、共通する成功要因、自社に近いパターンの見つけ方、参入の始め方と注意点まで解説します。あわせて、海外販売の立ち上げや運営を任せられる越境EC支援サービスも取り上げます。
自社の商材が海外で通用するのか、どこから手をつければよいのか。成功企業の実例から、具体的な検討を進めていきましょう。
目次
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越境ECで成功した日本企業一覧
まず、越境ECで成果を上げている日本企業を、何を・どこへ売っているのかがわかるかたちで一覧にまとめました。アパレルや美容機器といった定番の分野に加え、けん玉・甲冑・弁当箱のような、日本ならではのニッチな商材で海外のファンをつかんだ企業も含めています。
越境ECの売上を公表する企業は少なく、売上順の厳密なランキングは公開情報だけでは作りにくいのが実情です。そこで本記事では、社名・商材・進出先の一覧を先に示し、公表された実績がある企業はその数字をあとで取り上げます。
社名×商材×主な進出先で見る成功企業一覧
| 越境ECで成功している日本企業 | BE FORWARD(株式会社ビィ・フォアード) | ヤーマン(ヤーマン株式会社) | Tokyo Otaku Mode(Tokyo Otaku Mode Inc.) | あみあみ(大網株式会社) | メーカーズシャツ鎌倉(メーカーズシャツ鎌倉株式会社) | BENTO&CO(Bento&co Co., Ltd.) | SAMURAI STORE(サムライストア) | GLOKEN(一般社団法人グローバルけん玉ネットワーク) | Kakimori(カキモリ) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 商材 | 中古車・自動車部品 | 美容機器(美顔器など) | アニメ・ポップカルチャー関連グッズ | フィギュア・ホビー商品 | 日本製のシャツ・ネクタイ | 弁当箱・和の生活雑貨 | 甲冑・刀・和の工芸品 | けん玉(海外向けモデルを含む) | 文具(オーダーノート・インクなど) |
| 主な進出先 | 世界207の国と地域 | 中国ほか | 中国(Tmall Global)・欧米ほか | 米国・中国ほか | 米国・中国(上海)ほか | 欧米など97の国と地域以上 | 世界各国(worldwide shipping) | 米国など世界 | 海外(英語サイトで販売) |
| 越境ECの形態 | 自社の越境ECサイト(beforward.jp) | 海外モール(中国「Tmall」など) | 自社ECサイト+海外モール | 自社の越境ECサイト(amiami.com) | 自社グローバルストア(kamakurashirts.com)+海外実店舗 | 自社の越境ECサイト(bentoandco.com) | 自社の越境ECサイト(samuraistore.com) | 自社の越境ECサイト(英語対応) | 自社の越境ECサイト(kakimori.com) |
※各社の公式サイト・公式発表による(2026年10月時点)。商材・進出先は代表的なものを記載しています。掲載順は売上規模の順ではありません。
顔ぶれを見ると、販売する商品も進出先も企業によってさまざまです。中古車のように専業で世界展開する企業もあれば、文具やけん玉のように、日本独自の商材で特定の国のファンに深く刺さる企業もあります。自社と商材や規模が近い企業を手がかりに読み進めると、参入のイメージがつかみやすくなります。
公表実績で見る成功企業
「結局どこが一番売れているのか」を知りたいところですが、越境ECの売上を単独で公表している企業は多くありません。非上場企業が多く、上場企業でも海外事業の売上に現地法人や実店舗の分が含まれ、越境ECだけを切り出した数字が開示されないためです。ここでは、公式に数字を確認できた企業だけを、それぞれの実績が「いつ時点の・何の数字か」を明示して並べます。
公式に数字を確認できたのは、次の2社です。中古車輸出に特化した越境EC専業のBE FORWARDは、2024年6月期の売上高が1,180億円、世界販売台数は15.6万台にのぼります。専業のため、この売上高はそのまま越境ECの実績として読めます。
ヤーマンは、中国の大手ECモール「Tmall」の美容機器部門で販売実績1位を獲得しています(2025年4月期 決算短信で開示)。ただし同社の海外部門の売上は現地の販売業者や卸売への販売を含むもので、越境EC単独の金額ではありません。中国の化粧品市場の低迷を受けて海外部門の売上は前期比48.0%減の5,858百万円となっており、数字は市場環境でも動きます。
この2社でも公表された実績の基準(越境EC専業の売上高か、モール内の部門順位か)はそれぞれ異なり、横並びの売上ランキングにはできません。一覧で挙げた他の企業は越境ECの売上を公表していないため、本記事では順位を付けず「非公表」として扱っています。公開情報から確かめられる範囲で、どの企業がどれだけの規模かを把握する手がかりとしてご覧ください。
出典・参考資料(2件)
成功している日本企業に共通する成功要因
商材や規模は異なっても、越境ECで成果を上げている企業の取り組みには共通点があります。ここでは、一覧で紹介した企業の実際の動きから、再現しやすい4つの要因を整理します。
現地の好みや規制に合わせてローカライズする
同じ商品でも、売れるかどうかは現地の好みや売り方への適応で変わります。ヤーマンは中国市場に照準を合わせ、中国の大手ECモール「Tmall」の美容機器部門で販売実績1位を獲得しました。メーカーズシャツ鎌倉は、英語に対応し複数の通貨で購入できるグローバルストアを用意して、海外の顧客がそのまま買える環境を整えています。言語・通貨・決済を現地の当たり前に合わせることが、最初のつまずきを防ぎます。
日本ならではの商材で特定のファン層をつかむ
海外で大手と価格や品ぞろえで競うのは簡単ではありません。成果を上げている中小企業の多くは、日本でしか手に入りにくい商材で、狭くても熱量の高いファン層を狙っています。SAMURAI STOREは甲冑や刀、Kakimoriはオーダーメイドの文具、BENTO&COは弁当箱という日本独自の生活雑貨を、それぞれ海外の愛好家へ届けています。
GLOKENはけん玉の国際大会「けん玉ワールドカップ」を運営し、競技を通じて世界にファンのコミュニティを広げました。商材の独自性そのものが、海外での差別化になっています。
SNS・コンテンツで海外の認知を先につくる
販売を始める前に、海外で「知られている状態」をつくっておくと立ち上がりが速くなります。Tokyo Otaku Modeは、日本のポップカルチャーを紹介するFacebookページで1,700万を超える「いいね」(2015年5月時点)を集め、そのファン基盤を足がかりに中国の越境ECモール「Tmall Global」へ出店しました。
商品を並べてから集客するのではなく、関心を持つ人を先に集めておく順番が、海外でのスタートダッシュにつながります。
自社ECと海外モールを目的で使い分ける
海外へ売る経路は、自社で越境ECサイトを持つか、現地のECモールに出店するかの2通りが基本です。BE FORWARDやあみあみは自社サイトを軸に、ブランドの世界観と顧客データを自前で持ちながら世界へ販売しています。
一方、ヤーマンやTokyo Otaku Modeは、集客力のある現地モールに出店して、そのモールの利用者にすばやく届けました。どちらが優れているということではなく、商材・ブランド戦略・社内の体制に合わせて選ぶ、あるいは両方を併用するのが成功企業の共通した考え方です。
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自社に近いパターンを見つける
成功企業の一覧と要因を踏まえ、自社に近い進め方を探してみましょう。ここでは「販売経路」と「商材カテゴリ」の2つの切り口から、自社の体制や商品に近いパターンを整理します。
自社EC型とモール出店型で見る成功パターン

自社EC型は、BE FORWARD・あみあみ・メーカーズシャツ鎌倉・BENTO&COのように、自前のサイトでブランドの世界観を表現し、顧客との関係や購買データを自社に蓄積したい企業に向きます。立ち上げに手間はかかりますが、価格やデザインを自由に設計でき、ファンを囲い込みやすいのが強みです。
モール出店型は、ヤーマンやTokyo Otaku Modeのように、現地で多くの利用者を抱えるECモールの集客力を借りて、短期間で販売を立ち上げたい企業に向きます。モールの手数料はかかるものの、決済や物流の仕組みが整っているため、海外販売の経験が浅くても始めやすいのが利点です。まずモールで需要を確かめてから自社サイトを育てる、という段階的な進め方もよく採られています。
モール型と自社EC型は、かかる費用の構造や始めやすさ、将来の拡張性も異なります。それぞれの違いや具体的なプラットフォームの選び方を詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
商材カテゴリ別の傾向(海外で売れる日本商品)
成功企業の商材を見ると、海外で日本の商品が評価されやすい傾向が見えてきます。アニメ・ホビー分野は、Tokyo Otaku Modeやあみあみのように、日本のコンテンツ人気を背景に世界中のファンへ届きます。
甲冑のSAMURAI STORE、文具のKakimori、弁当箱のBENTO&CO、けん玉のGLOKENのように、日本の文化や職人技に根ざした商材は、現地では手に入らない希少性が購入の動機になります。
美容・健康分野ではヤーマンが中国市場で支持を集め、自動車・部品ではBE FORWARDが世界各地の顧客へ販売しています。自社の商材がどの傾向に近いかを考えると、狙うべき市場や見せ方の方向性が定まります。
なぜ今、越境ECなのか(市場規模と成長)
成功事例が増えている背景には、市場そのものの拡大があります。経済産業省の調査によると、2024年の日本国内の消費者向け(BtoC)EC市場規模は26兆1,225億円で、前年から5.1%増えました。物販分野のEC化率は9.8%です。
海外へ目を向けると、日本の事業者が中国の消費者へ販売した越境ECの金額は約2兆6,372億円(前年比8.5%増)、米国の消費者向けは約1.6兆円と推計されています。
中国向けと米国向けを合わせると約4.2兆円(前年比8.3%増)で、2つの巨大市場だけでもこの規模に達します。国内市場が成熟するなかで、成長余地の大きい海外需要を取りに行く動きが広がっている、というのが「今、越境EC」が注目される理由です。
出典・参考資料(1件)
越境ECの始め方とつまずきやすい落とし穴
自社に近いパターンが見えてきたら、実際の進め方と、先に知っておきたい注意点を確認します。越境ECは国内ECと違い、国境をまたぐことで生じる実務が加わります。ここでつまずくと、売れても利益が残らない事態になりかねません。
越境ECの始め方(基本ステップ)

進め方の大枠は共通しています。出発点は、自社の商材が受け入れられそうな国・地域を選ぶことです。続いて、自社で越境ECサイトを構築するか、現地のECモールに出店するかという販売経路を決める必要があります。
そのうえで、現地の言語・通貨・決済手段への対応と、国際配送や関税への対応方針を固めることになります。最後に、SNSや広告で現地の認知を獲得し、販売後の問い合わせ対応まで含めた運用体制の準備も欠かせません。どこかを飛ばすと後から手戻りが発生しやすいため、順番に固めていくことが大切です。
各ステップの具体的な進め方や、出店方法の選び方・費用・決済・物流の準備については、以下の記事で手順を追って解説しています。
つまずきやすい落とし穴(物流・関税・法規制・言語)
国境をまたぐことで、国内ECにはない次の4つの負担が生じます。
- 物流:国際配送は送料が高く、届くまでの日数も長くなります。配送方法や配送先の国によって条件が変わるため、価格設定に送料をどう織り込むかが利益を左右します。
- 関税・税制:輸入される商品には、品目ごとに異なる税率の関税や、現地の付加価値税(VAT)などが課されます。誰が負担するかを決めずに販売すると、受け取り時の想定外の請求で購入者とのトラブルになります。
- 法規制:進出先ごとに制度が異なり、特に食品・化粧品・医薬品ではカテゴリ固有の規制があります。輸出できる品目か、現地語のラベル表示や企業登録が必要かを、国ごとに確認する必要があります。
- 言語:商品説明やサイトだけでなく、購入者からの問い合わせ対応も現地の言語で行う必要があります。機械翻訳だけでは細かなニュアンスが伝わらず、信頼を損なう場面もあります。
関税については、公的機関が基本を次のように説明しています。
関税 (Customs Duty)とは、ある国から輸入される物品に対して課せられる税金のことを指す。関税は輸入品の税関での評価基準に関税率を掛けた金額で計算される。
出典:令和5年度版 英国VAT登録手続きガイドブック|日本貿易振興機構(ジェトロ)
特に中国向けは制度が複雑で、ジェトロの調査でも、販売の手法ごとに税関の監督方法が細かく分かれ、食品では輸出可能な品目やラベル表示、製造企業の登録など留意点が多いと指摘されています。進出先を決めたら、その国の制度を公的機関の情報で確認することが欠かせません。
出典・参考資料(2件)
関税をめぐっては、制度そのものが変わりつつある点にも注意が必要です。これまで少額の輸入品を免税としてきた「デミニミス(少額免税)」の仕組みは、米国やEUで撤廃・縮小が進んでおり、低価格帯の越境EC商品にも関税がかかる場面が増えています。各国の免税限度額の現状と、事業者が取るべき対応は以下の記事で整理しています。
失敗パターンから学ぶ
つまずきは、特定のパターンに集中します。1つ目は、日本向けのサイトや商品説明のまま海外へ展開してしまい、現地の好みや言語に合わず売れないケースです。2つ目は、物流費や関税を軽く見積もって価格を決めてしまい、売れても手元に利益が残らないケースです。3つ目は、「良い商品だから出せば売れる」と考えて集客施策を行わず、そもそも商品ページが見られないケースです。
これらの実務の難しさは、越境EC専業のBE FORWARDも認めるところです。同社は中古車輸出について、海外の顧客探しや各国語での商談、輸入規制・関税への対応、物流や通関の手配、海外送金や為替リスクなど、複数の実務が重なり「複合的な高いハードルがあります」と説明しています。
こうした実務を一つずつ自社でこなすのは負担が大きく、どこを自社で担い、どこを外部に任せるかの見極めが、失敗を避ける分かれ目になります。
越境ECを成功させるためのサービス活用
物流・関税・法規制・多言語対応といった越境EC特有の負担は、専門のサービスを使うことで自社の体制に合わせて補えます。ここからは、実務の一部または全部を外部に任せることも検討したい企業に向けて、サイトの構築、既存ECの越境対応、海外モールへの出店運営代行まで、自社の進め方に合わせて検討しやすいサービスを紹介します。
以下は、ここで紹介する越境EC支援サービスの比較表です。
| 越境EC支援サービス | マルウェブ(Magento / Adobe Commerce) | WorldShopping BIZ | Live Commerce | BEENOS Solutions(旧BeeCruise) | エフカフェ(中国越境EC運営代行) | GMOグローバルEC |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 支援タイプ | 自社ECサイト構築 (Magento / Adobe Commerce) | 既存ECにタグ設置 (購入代行型) | 自社ECサイト構築 (越境EC向けカート) | タグ設置+モール代理出店・運営代行 | 中国市場特化の運営代行 | 総合支援 (構築〜モール出品〜物流・コンサル) |
| 対応範囲 | 新規構築・リニューアル・保守運用 多言語・多通貨対応 BtoB向けカスタマイズ | 228の国と地域 多言語カート・海外決済・国際配送 多言語カスタマーサポート代行 | 多言語・多通貨対応 関税の事前払い(有償プラグイン) eBay・Amazon等の外部チャネル連携 | 自社EC越境化(Buyee Connect) Buyee.jp・Shopee等への代理出店 国際配送・海外マーケティング(18言語) | 天猫国際(Tmall Global)を主軸 JD国際・小紅書・抖音 上海現地法人による店舗運営・顧客対応 | 自社モール「Japan Finds」・eBay(他モールは順次連携) makeshop・Magento・Shopifyでの構築 海外物流・海外販売コンサルティング |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 33,000円(税込) | 0円 (各プラン共通) | 0円 (Buyee Connect。モール代理出店は要問い合わせ) | 250万円〜 (市場調査は20万円〜) | 0円 (Japan Finds byGMO/makeshop利用が前提。構築・物流は要問い合わせ) |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 5,500円(税込) | 6,138円〜 (プランにより異なる。別途決済手数料) | 0円 (基本。ダッシュボードはオプション月額5,500円) | 要問い合わせ | 0円 (Japan Finds byGMO。構築・物流は要問い合わせ) |
| 特徴 | Adobe Solution Partner認定 日本側ディレクションと海外開発チームの連携体制 | 連携済みカートならタグ1行で最短1営業日に開始 EC事業者側は売上手数料なし(購入代行手数料10%は海外購入者が負担) | 累計1,000サイト以上で利用 関税を商品代金と一緒に事前払いできる仕組み 30日間の無料体験あり | 越境EC支援件数7,000件以上 海外顧客600万人以上 ECカート連携30社以上 | 支援社数100社以上 累計流通総額150億円以上 立ち上げの目安は3〜6か月 | モール出品と自社EC構築の両方に対応 サイト構築・出品・物流・コンサルを一括で依頼できる |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
1. Magento / Adobe Commerce 構築・リニューアル支援(株式会社マルウェブ)

自社で本格的な越境ECサイトを構築したい企業に向くのが、株式会社マルウェブのMagento / Adobe Commerce構築・リニューアル支援です。多言語・多通貨に対応した大規模ECの構築を得意とし、Adobeのソリューションパートナーに認定されています。
新規構築だけでなく、既存サイトのリニューアルや保守、企業間取引(BtoB)向けのカスタマイズ、複数ストアの一元管理、外部システムとの連携まで対応します。日本側でディレクションを担い、海外の開発拠点と連携して進める体制が特徴です。
自社で越境ECサイトを構築する場合、販売ページの公開にとどまらず、決済や出荷、購入後のサポートまでを含めて設計する必要があります。実際の構築がどこまでの範囲に及ぶのか、同社の前山氏は独自インタビューで中国向けECの事例を次のように述べています。
一例として、中国向けECをMagentoで構築した案件では、受注・決済・出荷・アフターサービスまでを一つのEC基盤で整備し、中国の消費者向けにUIや運用をローカライズしました。単にECサイトを公開するだけでなく、正規の販売ルートと購入後のサポートまで含めた販売基盤を構築できたことが、大きな成果だと考えています。
2. WorldShopping BIZ(株式会社ジグザグ)

まず手軽に越境対応を始めたい企業には、株式会社ジグザグのWorldShopping BIZが選択肢になります。既存のECサイトにタグを1行設置するだけで、228の国と地域の消費者が購入できるようになる仕組みで、サイトを作り直す必要がありません。
料金は初期費用33,000円・月額5,500円(いずれも税込)で、売上に対する手数料はかかりません。購入代行の手数料は海外の購入者が負担し、11種類以上の海外決済に対応します。連携済みのカートなら最短1営業日で開始でき、まず小さく試したい企業に適した選択肢です。
3. Live Commerce(株式会社デジタルスタジオ)

株式会社デジタルスタジオのLive Commerceは、越境EC向けに設計された自社サイト構築型のカートシステムです。訪問者の国に応じて、言語・通貨・送料・決済方法を切り替えて表示する多言語・多通貨機能を備えます。
関税を商品代金と一緒に事前に支払える仕組みも用意されており、受け取り時の想定外の請求を防げます。累計1,000サイト以上で利用されており、自社でブランドサイトを持ちながら越境対応を進めたい企業に合います。
4. BEENOS Solutions(旧BeeCruise)の越境EC支援(BEENOS Solutions株式会社)

海外モールへの出店や運営を任せたい企業には、BEENOS Solutions株式会社の越境EC支援があります。同社はBEENOSグループの一員で、2026年4月の組織再編で旧BeeCruiseの越境EC事業を引き継ぎました。
既存のECサイトに購入支援サービス「Buyee Connect」を組み込んで海外販売へ対応させる仕組みは18言語に対応し、ECカートとの連携は30社以上に広がっています。これまでの支援件数は7,000件以上で、海外の顧客基盤は600万人以上にのぼります。人気キャラクターの公式旗艦店の運営を手がけた実績もあり、出店から運営までまとめて任せたい企業に向いた支援です。
5. エフカフェの中国越境EC運営代行(株式会社エフカフェ)

中国市場に絞って攻めたい企業には、株式会社エフカフェの中国越境EC運営代行が適しています。中国の越境ECモール「天猫国際(Tmall Global)」を主軸に、JD国際、小紅書(RED)、抖音(Douyin)といったプラットフォームでの販売を支援します。
上海に現地法人を構え、中国の商習慣に合わせた運営を代行できるのが強みです。これまでの支援社数は100社以上、支援した企業の累計流通総額は150億円以上にのぼります。市場調査から段階的に始められ、立ち上げの目安は3〜6か月です。
6. GMOグローバルECの越境EC支援(GMOグローバルEC株式会社)

GMOグローバルEC株式会社は、サイト構築から海外モールへの出品、物流、コンサルティングまでを一通り任せられる総合支援のサービスです。自社で運営する越境ECモール「Japan Finds byGMO」は、makeshopの利用を前提に、初期費用・月額・販売手数料・国際配送料をいずれも0円で使えます。
対応モールは自社モールとeBayが利用でき、Amazonなど他のモールへの連携も順次進められています。越境ECの支援実績は3,000社以上(基準日の記載なし)で、何から整えればよいか分からない段階からまとめて相談したい企業に向いています。
ここで取り上げたのは、越境ECを支援するサービスの一部です。サイト構築・運営代行・特化型といったタイプごとの違いや費用相場、自社に合う依頼先の選び方まで比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
越境ECで成功している日本企業は、中古車のBE FORWARDのような専業の大手から、けん玉のGLOKENや文具のKakimoriのように日本独自の商材でファンをつかむ中小企業まで、幅広く存在します。共通するのは、現地に合わせたローカライズ、商材の独自性、SNSでの先行した認知づくり、そして自社ECと海外モールの使い分けです。
市場は国内の成熟とともに海外へ広がっており、参入の余地は大きい一方で、物流・関税・法規制・言語という越境EC特有の実務が立ちはだかります。自社に近い成功パターンを手がかりに、どこを自社で担い、どこを支援サービスに任せるかを見極めることが、海外販売を軌道に乗せる近道です。自社の商材と体制に合ったサービスの資料を取り寄せて、具体的な一歩を踏み出してください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 越境ECとは何ですか?
A. 越境ECとは、インターネット通販を通じて海外の消費者に商品を販売する取引のことです。自社で海外向けのECサイトを構える方法と、海外の大手ECモールに出店する方法の2通りが基本です。
国内ECと違い、国際配送や関税、現地の言語・通貨・決済への対応といった、国境をまたぐことで生じる実務が加わります。経済産業省の調査では、日本の事業者が中国・米国の消費者へ販売した越境ECの金額は2024年で約4.2兆円に達しており、国内市場の成熟を背景に参入する企業が増えています。
Q. 中小企業でも越境ECで成功できますか?
A. 越境ECは中小企業でも成功しており、規模の大小よりも、現地で手に入りにくい独自の商材を持てるかが成果を左右します。
けん玉のGLOKEN、オーダーメイド文具のKakimori、甲冑・刀のSAMURAI STORE、弁当箱のBENTO&COのように、大手と価格や品ぞろえで競うのではなく、日本ならではの商材で狭くても熱量の高い海外のファン層をつかんだ中小企業が多くあります。自社の商材の独自性が、そのまま海外での差別化につながります。
Q. 越境ECで海外に売れやすい日本の商品は何ですか?
A. 成功企業の商材を見ると、アニメ・ホビー分野、日本の文化や職人技に根ざした商材、美容・健康分野が海外で評価されやすい傾向があります。
アニメ・ホビーはTokyo Otaku Modeやあみあみが日本のコンテンツ人気を背景に世界のファンへ届け、甲冑・文具・弁当箱・けん玉などは現地で手に入らない希少性が購入の動機になります。美容・健康ではヤーマンが中国市場で支持を集めました。自社の商材がどの傾向に近いかを考えると、狙う市場や見せ方の方向性が定まります。
Q. 越境ECは自社ECサイト型と海外モール出店型のどちらを選ぶべきですか?
A. どちらが優れているということはなく、ブランドの世界観と顧客データを自社に蓄積したいなら自社EC型、現地モールの集客力を借りて短期間で立ち上げたいならモール出店型が向きます。
自社EC型はBE FORWARDやあみあみのように価格やデザインを自由に設計でき、ファンを囲い込みやすい反面、立ち上げに手間がかかります。モール出店型はヤーマンやTokyo Otaku Modeのように決済や物流の仕組みが整っていて始めやすい一方、手数料がかかります。まずモールで需要を確かめてから自社サイトを育てる段階的な進め方や、両方を併用する企業もあります。
Q. 中国向けに越境ECを始めるとき、何に気をつければよいですか?
A. 中国向けの越境ECは制度が複雑で、販売手法ごとに税関の監督方法が分かれ、特に食品では輸出可能な品目やラベル表示、製造企業の登録などに留意が必要です。
販路としては「天猫国際(Tmall Global)」をはじめ、JD国際、小紅書(RED)、抖音(Douyin)といったプラットフォームがあります。制度面はジェトロの調査でも留意点が多いと指摘されているため、進出先を決めたら公的機関の情報で確認し、自社での対応が難しい場合は中国市場に特化した運営代行サービスを活用する方法もあります。
Q. 越境ECにかかる費用やコストにはどんなものがありますか?
A. 越境ECでは、国内ECにはない国際送料、輸入時の関税や付加価値税(VAT)、モール出店の手数料やサイト構築・運営の費用がかかります。
国際配送は送料が高く、配送方法や配送先の国によって条件が変わるため、価格にどう織り込むかが利益を左右します。これらのコストを軽く見積もって価格を決めると、売れても手元に利益が残らない事態になりかねません。支援サービスの料金も、既存サイトにタグを1行設置する月額数千円規模のものから、運営までまとめて任せる代行型まで幅があるため、自社の体制に合わせて見極めることが大切です。
Q. 越境ECで商品にかかる関税は誰が負担するのですか?
A. 関税は原則として輸入する国の購入者が受け取り時に負担しますが、販売者が事前に徴収して代わりに納める方法もあります。
関税は輸入品の種類に応じて異なる税率が課される税金で、誰が負担するかを決めずに販売すると、受け取り時の想定外の請求で購入者とのトラブルになります。関税を商品代金と一緒に事前に徴収できる仕組みを備えた越境EC向けのカート型サービスもあり、こうした機能を使うと受け取り時のトラブルを防げます。
出典・参考資料(1件)
Q. 越境ECの支援サービスはどう選べばよいですか?
A. 越境ECの支援サービスは、自社の目的と体制に合わせて「手軽に始める」「本格的に構築する」「運営まで任せる」のどのタイプが必要かで選びます。
まず小さく試したい企業は、既存ECサイトにタグを設置して越境対応を始められるタグ追加型が向きます。自社でブランドサイトを本格的に持ちたい企業は多言語・多通貨対応の構築型、海外モールへの出店や日々の運営まで任せたい企業は運営代行型が選択肢になります。
中小企業や海外販売の経験が浅い企業は、決済・物流・言語対応までカバーしてくれるサービスを選ぶと、越境EC特有の実務の負担を抑えて始められます。本記事で紹介したサービスの対応範囲と費用を資料で見比べ、自社に合うものを選んでください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















