食品の製造や卸・流通では、会計や販売管理に加えて、一般的な業務システムでは扱いきれない食品ならではの要件が現場に残ります。ロット管理や賞味期限のトレーサビリティ、配合・レシピにもとづく製造、定貫・不定貫が混在する商慣習などを個別のシステムやExcelで補ううちに、情報が分断して在庫や原価が見えにくくなります。
食品業向けERP(統合基幹業務システム)は、会計・販売・購買・在庫・生産を1つの基盤に統合しながら、食品業特有の要件に標準またはオプションで対応する製品です。ただし「食品業向け」と称する製品でも、得意とする業態(製造・卸・流通・小売)や、カバーする業務範囲、対応する食品特有機能はそれぞれ異なります。
本記事では、食品業向けのERP・基幹システム13製品を、対応業態・食品特有機能・提供形態・費用の観点で比較します。あわせて、自社の業態や規模に合う製品を見分ける選び方と、HACCP対応やトレーサビリティなど食品業ならではの選定軸を整理します。資料請求で具体的に比べる前の、候補を数社に絞り込む判断材料として活用してください。
目次
一括ダウンロードする
本記事で扱う「食品業向けERP」の範囲
はじめに、本記事が比較の対象とする範囲を整理します。ここでいう食品業向けERPは、食品の製造業・卸・流通業・小売業を対象に、会計や販売・購買・在庫・生産といった複数の基幹業務を1つの基盤で扱える製品を指します。生産管理や販売管理の単機能に特化したパッケージも、食品業の基幹として広く使われているため、業務範囲が基幹の一部にとどまる製品も、その得意領域を明示したうえで比較に含めています。
一方で、業種を限定しない汎用ERPそのものの比較や、ERPを含む統合基幹システム全般の選び方は、別の記事で広く扱っています。食品業に絞らず基幹システムの全体像から検討したい場合は、そちらもあわせて参照してください。
食品業向けERP(基幹システム)とは
ERPは、会計・販売・購買・在庫・生産・人事などの基幹業務を1つのデータベースで統合し、部門をまたいで情報を一元管理する仕組みです。食品業向けERPは、この統合基盤に、食品業の現場で欠かせない機能を組み込んだり、オプションで補ったりできる製品を指します。
食品業では、原材料を配合・加工して製品にする工程、使用期限のある原材料や製品のロット管理、取引先ごとに異なる単位や単価の商慣習などが、受注から出荷・会計までの流れに密接に関わります。汎用のERPや会計ソフトだけでは、これらを現場の運用に合わせて扱いきれず、別システムやExcelでの補完が必要になりがちです。食品業向けERPは、こうした要件を基幹の中で扱えるように設計されている点が特徴です。
食品業がERP・基幹システムの統合で直面しやすい課題
ここでは、食品業がシステムを統合・刷新するときにつまずきやすい点を整理します。
第一に、受注・在庫・製造・会計が別々のシステムやExcelに分かれていると、原材料の在庫や製品ごとの原価がリアルタイムで見えにくくなります。賞味期限の近い在庫の把握や、急な受注変更への対応も後手に回りがちです。
第二に、汎用のパッケージを導入しても、定貫・不定貫が混在する出荷や、取引先ごとの帳合・単価といった食品業の商慣習に合わず、現場がシステムの外で手作業を続けてしまうことがあります。機能が豊富でも、自社の業態に合っていなければ定着しません。
第三に、HACCPに沿った衛生管理や食品表示など、食品業に求められる制度対応は改正が続くため、導入して終わりではなく、制度変更に追従できる体制が欠かせません。これらの課題は、どの機能をどこまで基幹でカバーするかという選定の視点に直結します。
食品業向けERPに求められる機能(食品特有の要件)
ここからは、食品業向けERPを選ぶときに確認したい機能を、配合・レシピ、ロット・賞味期限のトレーサビリティ、定貫・分解加工などの商慣習、品質・HACCPの4つの観点で解説します。これらは後半の比較表でも対応状況を見る軸になります。

配合・レシピ管理と歩留まり・原価
食品の製造では、複数の原材料を一定の比率で配合し、加工して製品にします。このため、製品ごとの配合表(レシピ)を登録し、必要な原材料と数量を展開できる機能が、生産計画や原材料の所要量計算の土台になります。
加えて、加工の過程で生じる歩留まり(投入量に対する完成量の割合)や、1つの原材料から複数の製品ができる連産品、加工中に出る副産物の原価をどう配分するかも、食品業の原価計算では避けて通れません。
配合表にもとづいて理論原価を算出し、実際の使用量との差異を把握できると、製品ごとの採算が見えやすくなります。製品の価格改定が続く局面では、原材料費の変動を配合表から製品原価に反映できることが、経営判断の精度を左右します。
ロット・賞味期限の双方向トレーサビリティ
食品業では、原材料と製品をロット単位で管理し、どの原材料がどの製品に使われ、どこへ出荷されたかを追えることが欠かせません。この「追えること」を公的には次のように定義しています。
食品トレーサビリティとは、「食品の移動を把握できること」。各事業者が食品を取扱った際の記録を作成し保存しておくことで、食中毒など健康に影響を与える事故等が発生した際に、問題のある食品がどこから来たのかを調べ(遡及)、どこに行ったかを調べること(追跡)ができます。
出典:食品のトレーサビリティ|農林水産省
この「どこから来たか(遡及)」と「どこへ行ったか(追跡)」の両方向をたどれる状態が、食品業でいう双方向トレーサビリティです。製品に問題が見つかったときに、使用した原材料ロットと出荷先を素早く特定できれば、回収の範囲を最小限に絞り込めます。

食品衛生法の改正では、営業者が自主回収(リコール)を行う場合に自治体を通じて国へ報告する仕組みが整備され、リコール情報の報告が義務化されました。ロットを遡れる仕組みは、こうした回収対応の前提になります。
賞味期限・消費期限の管理も、トレーサビリティと一体で重要です。期限の近い在庫から引き当てる先入れ先出しや、期限順の出荷、期限切れ間近のロットの可視化ができると、廃棄ロスの削減と品質事故の予防につながります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:食品のトレーサビリティ|農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trace/index.html)
- 参考資料:食品衛生法の改正について(HACCPに沿った衛生管理の制度化など)|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197196.html)
基幹業務全体の統合よりも、ロットや賞味期限の在庫管理そのものを主眼に製品を探している場合は、在庫管理システムの比較記事もあわせてご覧ください。汎用・WMS・業種特化など業務範囲別のタイプから選べるよう整理しています。
定貫・バラ・分解加工など食品の商慣習への対応
食品業の受発注・出荷には、他業種にはない単位や取引の慣習があります。重量が一定の定貫品と、1個ずつ重さが異なる不定貫品が混在し、売上や在庫を重量とケース数の両面で管理する必要があります。精肉や水産のように、仕入れた枝肉や原魚を分解・加工して複数の商品にする業態では、1つの仕入れが複数の在庫に分かれる処理も欠かせません。
さらに、卸・流通では商慣習に沿った運用も求められます。取引先ごとの帳合(取引ルート)や単価、賞味期限の残日数で納品可否を判断する納入期限のルール、EDI(電子データ交換)やEOS(電子発注)での受発注などです。これらを標準でどこまで扱えるか、オプションやカスタマイズが前提かは、製品によって差が大きい部分です。自社の出荷・取引の形に合うかを、具体的な運用レベルで確認することが大切です。
品質管理・HACCP/食品表示などの品質要件
衛生管理の面では、HACCP(危害要因分析重要管理点)に沿った衛生管理が制度化されています。厚生労働省は、その対象を次のように示しています。
令和3年6月1日から、原則として、すべての食品等事業者の皆様にHACCPに沿った衛生管理に取り組んでいただくことになりました。
出典:HACCPに沿った衛生管理の制度化について|厚生労働省
2021年(令和3年)6月1日から、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています(農業・水産業の採取業など一部は対象外です)。
ERP側でHACCPそのものを代替するわけではありませんが、原材料のロット記録や製造履歴、温度などの記録を基幹の中で残せると、衛生管理の運用を支えやすくなります。記録機能をどこまで標準で備えるか、専用の品質管理システムとの連携を前提とするかは、製品ごとに確認したい点です。
食品表示の面では、加工食品の原料原産地表示制度が2017年(平成29年)9月1日から始まるなど、表示ルールは制度改正とともに変わり続けています。原材料や原産地、アレルゲンの情報を製品マスタで管理し、表示や規格書の作成に活かせるかも、食品業向けERPを評価する観点になります。
出典・参考資料(2件)
- 出典:HACCPに沿った衛生管理の制度化について|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html)
- 出典:新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報|消費者庁(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/index.html)
食品業向けERPのタイプと選び方
ここからは、数ある食品業向けERPから自社に合う製品を見分ける視点を整理します。業態・規模・製造方式・提供形態・制度対応・連携の順で確認すると、候補を絞り込みやすくなります。
業態で選ぶ(食品製造業/食品卸・流通業/全社統合型)
最初の分かれ目は、自社の業態に製品の得意領域が合っているかです。本記事では製品を大きく3つのタイプに分けています。

食品製造業向けは、配合・レシピ管理や製造指示、ロット・賞味期限のトレーサビリティ、製造原価を生産から原価まで一元化することに強みを持つタイプです。食品卸・流通業向けは、受発注や在庫、定貫・バラの荷姿、分解加工、EDI・賞味期限順出荷といった商慣習への対応を得意とします。
全社統合型は、会計・販売・購買・生産を1基盤に統合する作りに食品業種向けの機能を組み合わせるタイプで、小規模から大企業まで規模に応じた構成を選べます(複数拠点や連結を見据える企業にも対応します)。自社の主たる業務が製造・卸・全社統合のどこに重心があるかを見極めると、検討する製品群が絞られます。
製造方式で選ぶ(プロセス製造/組立製造)
製造業向けを検討する場合、自社の製造方式が製品の設計思想に合うかも重要です。食品の多くは、原材料を配合・混合して連続的に加工するプロセス製造に当たります。プロセス製造では、配合表による所要量計算、歩留まりや副産物の原価配分、ロット単位の品質管理が中心になります。
一方、部品を組み立てて製品にする組立製造(ディスクリート製造)を前提に設計されたシステムは、部品表(BOM)での管理が基本で、配合や歩留まりの扱いが食品の実態に合わないことがあります。製品がプロセス製造に対応しているか、配合表ベースの管理ができるかは、食品製造業では外せない確認点です。
食品に特化せず、製造業全般のERPを生産形態の違いから広く見比べたい場合は、次の比較記事が参考になります。配合型のプロセス製造だけでなく組立製造まで含めて、生産形態別に製品を整理しています。
提供形態(クラウド/オンプレミス)と基幹刷新のタイミング
提供形態は、クラウド(SaaS)か、自社サーバーに構築するオンプレミスかで、初期費用・運用負荷・拡張性が変わります。クラウドは初期費用を抑えやすく、法改正への対応やバージョンアップが提供側で行われる一方、カスタマイズの自由度はオンプレミスに劣る場合があります。自社の情報システム体制や、どこまで独自の運用を作り込みたいかで選びます。
基幹システムの刷新を考える契機として、老朽化した既存システムの保守期限がよく挙げられます。たとえばSAP社は、SAP ERP 6.0を含むSAP Business Suite 7の標準保守を2027年末まで(任意の延長保守は2030年末まで)提供すると公式に示しています。該当する基幹システムを使う企業では、これが「2027年問題」として刷新検討の契機になっています。
これはSAPの該当製品を使う企業に固有の論点で、食品業のすべてが一律に直面するわけではありませんが、老朽化した基幹を刷新する代表的なタイミングの1つとして押さえておくとよいでしょう。
出典・参考資料(1件)
- 出典:SAP S/4HANA maintenance until 2040 brings clarity and choice|SAP SE(https://news.sap.com/2020/02/sap-s4hana-maintenance-2040-clarity-choice/)
食品表示法改正などの制度変更に継続対応できるか
食品業の制度対応は、導入時点で満たすだけでは不十分で、改正に継続的に追従できるかが問われます。食品表示基準は内閣府令として随時改正され、原料原産地表示の対象拡大やアレルゲン表示の見直しなど、表示ルールは更新が続きます。
そのため、製品マスタの項目追加や帳票の変更といった制度対応を、ベンダーがアップデートとして提供する体制があるか、クラウドであれば自動で反映されるかを確認しておくと安心です。選定時には、過去の法改正にどう対応してきたか、保守契約にアップデートが含まれるかを具体的に尋ねるとよいでしょう。
既存システムとの連携・拡張性・運用支援体制
最後に、導入後に現場で使い続けられるかという観点です。既存の販売管理やECサイト、取引先とのEDIなどと連携が必要な場合、API連携やデータ連携の実績があるかを確認します。将来の事業拡大や多拠点展開に合わせて機能を追加できる拡張性も、長く使ううえで効いてきます。
あわせて、導入時の要件整理や定着支援、稼働後のサポート体制も見落とせません。食品業では、現場の運用に合わせた設定や、繁忙期の運用サポートが定着を左右します。機能の豊富さだけでなく、自社の業態を理解した支援を受けられるかを含めて評価すると、導入後のつまずきを減らせます。
汎用のシステムを入れたものの商慣習に合わず現場が使いこなせない、という失敗を避けるためにも、業態への適合と支援体制はセットで確認してください。
自社がどのタイプに合うか迷う場合は、業態・規模・重視する機能から候補を絞り込める診断を用意しました。いくつかの質問に答えると、条件に近い製品が表示されます。
一括ダウンロードする
【比較表】食品業向けERPシステム13選を比較
ここでは、本記事で紹介する食品業向けERP13製品を、対応業態・提供形態・食品特有機能(配合・レシピ、ロット・賞味期限トレーサビリティ、HACCP対応、不定貫・分解加工などの商慣習対応)・費用感・導入実績の観点で横並びに整理します。
食品特有機能は、公式情報で標準対応かオプションかを確認できたものはその区分を示し、確認できなかったものは「要確認」、公式サイトに記載が見当たらないものは「公式記載なし」と明記しています。各製品の詳細は、表の下の個別紹介で解説します。
| サービス名 | スーパーカクテルCore FOODs | TPiCS-X | スマートF(SmartF) | UM SaaS Cloud | Hi-PerBT KIT3 | MACCA(マッカ) | うるとらミート | アラジンオフィス | SMILE V 2nd Edition(FOODMASTER/Blendjin) | 豪商 | GEN KITCHEN(クラウドERP GEN) | Infor CloudSuite Food & Beverage | Ross ERP |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対応業態 | 食品製造・卸・小売 | 食品製造(加工・飲料) | 食品製造 | 食品製造(製造業汎用) | 食品製造 | 食品製造(中小) | 食肉加工・卸(食肉専用) | 食品製造・卸・製造小売・輸入商社 | 食品卸・食品製造 | 食品製造・加工 | 食品製造(B2B・D2C) | 食品・飲料メーカー(中堅〜大企業・グローバル) | 食品プロセス製造(化学・食品) |
| 提供形態 | クラウド | オンプレミス(クラウド運用も可) | クラウド | クラウド(Salesforce基盤) | クラウド(オンプレ可否は要確認) | クラウド | クラウド | オンプレミス/クラウド | オンプレミス/クラウド | オンプレミス(クラウド利用も可) | クラウド | クラウド | オンプレミス/クラウド |
| 配合・レシピ管理 | 要確認 | 標準(構成表/BOM) | 要確認 | 要確認 | 要確認 | レシピ情報で在庫予測(詳細仕様は要確認) | 非該当(食肉加工型) | オプション(生産管理) | 標準(生産革新Blendjin:配合表・多段階配合) | 対応(製品レシピ・歩留計算。標準/オプション区分は公式記載なし) | 要確認(構成表/BOMでの代替は要問い合わせ) | 対応(フォーミュラ/レシピ管理。日本語ページは明記なし) | 標準(レシピ・工程管理、力価計算) |
| ロット・賞味期限トレーサビリティ | 標準(生産管理モジュール) | オプション(製造履歴管理) | 対応(標準/オプション区分は要確認) | ロットトレースは標準(賞味期限は要確認) | 対応(標準/追加開発の区分は要確認) | 賞味期限管理あり(ロット追跡は要確認) | ロット・個体識別のトレースに対応(賞味期限は要確認) | 標準(食品向け構成。1/3ルール・逆転防止) | 対応(FOODMASTER/Blendjin。SMILE V販売本体はオプション) | 標準(賞味期限・産地・トレーサビリティ) | ロット・消費期限は標準(賞味期限・原料追跡は要確認) | 対応(双方向フードトレーサビリティ・賞味期限) | 標準(ロット別有効期限・双方向トレース) |
| HACCP対応 | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 記録機能あり(衛生チェック・製造日報) | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし | 公式記載なし |
| 不定貫・分解加工・商慣習対応 | 不定貫: 要確認/分解加工: 要確認/商慣習: 百貨店取引に対応 | 不定貫: 標準/分解加工: 要確認/商慣習: 要確認 | 不定貫: 事例あり/分解加工: 要確認/商慣習: 要確認 | 不定貫: 要確認/分解加工: 要確認(連産品は事例)/商慣習: 要確認 | 不定貫: 要確認/分解加工: 要確認/商慣習: リベート管理に対応 | 不定貫: 要確認/分解加工: 要確認/商慣習: 要確認 | 不定貫: 要確認/分解加工: 標準(枝肉解体)/商慣習: チェーンストア伝票・冷返に対応 | 不定貫: オプション/分解加工: 要確認/商慣習: 帳合・荷姿は標準 | 不定貫: 要確認/分解加工: 要確認/商慣習: 荷姿4種・得意先別単価に対応 | 不定貫: 対応/分解加工: 要確認/商慣習: EOS・委託販売に対応 | 不定貫: 要確認/分解加工: 要確認/商慣習: 掛け率・締め・都度請求に対応 | 不定貫: 要確認/分解加工: 要確認/商慣習: 要確認(国内は明記なし) | 不定貫: 標準/分解加工: 要確認/商慣習: 帳合・リベートに対応 |
| 費用感 | 要お問い合わせ | 初期:スタートパック1,253,000円〜/月額40,909円〜(税抜) | 初期50万円〜/月額5万円〜 | 月額35,000円〜(基本10ID)+モジュール各15,000円(税別) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | SMILE V Air 初期158,000円〜/月額20,620円〜(税別)。食品特化版は要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 月額20,000円+3,800円/アカウント(税別) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 導入実績 | Coreシリーズ累計6,500本以上(FOODs単独は非公表) | 2,140社(2026年9月時点・全業種) | 非公表(公式の総社数記載なし) | 非公表(公式事例12社) | 非公表(公式事例3件) | 非公表 | 非公表(公式事例1社) | 全体6,000社以上(食品に限らず・時点明示なし) | 非公表(累計社数の公式記載なし) | 食品業向け470社以上(時点記載なし) | 非公表 | 世界で食品・飲料1,000社超(英語ページ・対象範囲明記なし) | 世界2,500社以上・国内100社以上(2016年7月時点) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト |
※ 料金・機能・導入実績は2026年10月時点の各社公式サイトの公表情報に基づきます。食品特有機能(配合・レシピ、HACCP対応、不定貫・分解加工など)は公式サイトで標準/オプションの明記が少なく、対応の有無を確認できなかった項目は「要確認」、記載そのものが見当たらない項目は「公式記載なし」と表示しています。費用も個別見積もりが一般的なため「要お問い合わせ」が多くなっています。これらの区分や対応状況は公式での確認時点により変動する場合があるため、導入前に各社へご確認ください。
食品業向けERPシステム13選|業態タイプ別の個別紹介
ここからは、13製品を業態タイプ別に紹介します。それぞれの得意な業態・規模、食品特有機能への対応、提供形態、同業態での導入実績を具体的に見ていきます。
食品製造業向け(生産・配合/レシピ・トレーサビリティ重視)
まずは、配合・レシピ管理や製造指示、ロット・賞味期限のトレーサビリティ、製造原価の一元化に強みを持つ、食品製造業向けの製品です。
1. スーパーカクテルCore FOODs(株式会社内田洋行ITソリューションズ)

スーパーカクテルCore FOODsは、内田洋行グループの内田洋行ITソリューションズが開発する、食品の製造・卸売・小売を対象とした基幹業務パッケージです。販売・生産・原価の3つのモジュールと店舗管理(Core FOODs STORE)で構成され、各モジュールを個別に導入することもできます。生産管理機能はスーパーカクテルCore FOODs生産として提供されます。
導入実績はスーパーカクテルCoreシリーズ全体で累計6,500本以上とされ、FOODs単独の社数は公表されていません。
生産管理モジュールでは、原材料ロットや賞味期限・消費期限を軸にした出荷支援とトレーサビリティに対応し、製品から原材料ロット、出荷先までの履歴を双方向にたどれます。得意業種として菓子・調味料・調理惣菜・乳製品・鶏卵などの製造業が挙げられ、百貨店取引などの商慣習は店舗管理モジュールが扱います。
一方で、配合・レシピ管理の標準対応は公式サイトに明記されておらず、HACCP記録の具体的な機能も確認できません。これらが選定上重要な場合は、内容を確認しておくとよいでしょう。料金は事業規模や構成に応じた個別見積もりで、要お問い合わせです。
2. TPiCS-X(株式会社ティーピクス研究所)

ティーピクス研究所が1986年から提供する生産管理システムで、繰返生産・製番管理・一品生産が混在する現場を1つのシステムで扱えます。所要量計算(f-MRP)と製番管理を中核に、受注販売管理や製造履歴管理などをオプションで追加していく構成です。導入企業は2,140社と公表されています(2026年9月末時点)。
食品専用の製品ではなく、食品加工・飲料を含む幅広い製造業の導入業種の一つに位置づけられます。構成表(BOM)による配合管理と、構成ごとの不良率で所要量を割り増す歩留計算、不定貫の実績登録は標準機能です。HACCP対応については公式サイトに記載がありません。
食品で重視される原材料ロットから出荷先までの双方向トレースやロット別の使用期限・原価は、製造履歴管理オプション(サブスクリプションで月額12,273円から、税抜)として追加します。本体はサブスクリプションの場合、繰返生産・製番管理システムが月額40,909円(税抜、保守込み)からです。提供形態はオンプレミスのほか、クラウド上のリモートデスクトップ運用に対応します。
3. スマートF(株式会社ネクスタ)

スマートFは、ネクスタが提供する製造業向けのクラウド型業務改善プラットフォームです。在庫・購買・工程・原価・品質などの生産管理に、販売管理や営業支援を組み合わせて利用でき、食品・化粧品・医薬品などの業界別ページのなかに食品向けの専用ページも用意されています。
在庫管理ではバーコードを使ったロット管理とロットトレース・逆ロットトレース、賞味期限などに対応する期限管理(先入れ先出し・期限前の警告)を備えます。一方、配合・レシピ管理やHACCP対応は公式サイトに記載がありません。必要な機能や範囲だけで始め、後から拡張できるスモールスタートに対応する点も特徴です。
料金は初期費用50万円(サポート費込み)から、月額5万円からで、機能数・ライセンス数・端末数によって変わります。無料トライアルはなく、導入支援付きの有償トライアルのみです。公式サイトは、日付検品により賞味期限切れの製品出荷を99%防止した加工食品製造会社の事例を紹介しています(数値の算出条件・時点は非公表)。
4. UM SaaS Cloud(株式会社シナプスイノベーション)

シナプスイノベーションが提供する、Salesforceプラットフォーム上で動く製造業向けのクラウドERPです。見積から受発注、生産管理、原価管理までを、UM工程進捗・UM販売購買・UM原価などのモジュールを選んで利用します。食品専用の製品ではなく、製造業全般を対象としています。
在庫機能のロットトレースは基本パックの標準機能です。一方、賞味期限・加工日の管理や配合・レシピは公式の機能一覧に記載がなく、必要な場合は標準対応かアドオンかを確認する必要があります。食品の導入事例としては、天然とんこつラーメンの物販商品を加工・販売する一蘭があり、出荷のテレコ(取り違え)を年数回からゼロに、実在庫精度を99.9%超にしたと紹介されています。
料金は、基本パックが月額35,000円(10ID)、業務モジュールが各15,000円(10ID)からで、いずれも税別・年間契約です。初期の導入費用は個別見積もりとなります。
5. Hi-PerBT KIT3(株式会社日立ソリューションズ西日本)

日立ソリューションズ西日本が提供するHi-PerBT KIT3は、業務ごとのテンプレートをベースに、自社の業務へ追加開発(カスタマイズ)して構築する販売管理・生産管理システムです。パッケージとオーダーメイドの中間の位置づけで、食品製造業向けのテンプレートと専用資料が用意されています。
機能としては、生産時に付与したロットを出荷先まで追跡するロットトレース、期限にもとづく出荷引当、得意先ごとの出荷可能期間の確認、リベート管理などが案内されています。配合・レシピやHACCPへの対応は公式の機能ページで確認できず、テンプレートに対する追加開発を前提とする製品のため、食品特有機能の標準対応の範囲は要問い合わせです。
販売・購買・在庫管理に対応し、中堅・大企業での利用を想定した構成です。料金は公式サイトで公開されておらず、要お問い合わせです。
6. MACCA(株式会社ミュートネット)

ミュートネットのMACCAは、HACCPの運用支援を中心に据えた、食品製造業向けの生産管理システムです。主に10〜100名規模の中小の食品製造業を対象に、受注・在庫・出荷、製造指示と製造日報、従業員の衛生記録を1つのシステムで扱います。
製造計画とレシピ情報から数日後の原料在庫を予測する機能や、原料・半製品・製品の賞味期限管理、同一原料・同一ラインの日報を一覧できるインシデント対応向けの機能を備えます。入室前・製造前後の衛生チェックをタブレットで記録できる点も特徴です。一方、ロット単位での追跡や配合・レシピの詳細な仕様は公式サイトに記載がありません。
クラウド(ブラウザ)型でPC・タブレット・スマートフォンから利用でき、デジタル化・AI導入補助金の対象製品です。料金は公表されておらず要お問い合わせですが、一定期間の無料トライアルがあります。
7. うるとらミート(株式会社オプティマ)

うるとらミートは、オプティマが開発する食肉加工業専用の統合管理システムです。食肉の仕入から加工、在庫、出荷、売上、請求・支払、月次の買掛・売掛管理までを一括で扱います。配合・レシピ型の食品製造や一般的な食品卸向けではなく、食肉に業態を絞っている点が、本記事のほかの製品と性格が異なります。
食肉の個体識別番号・ロット番号によるトレーサビリティ、枝肉の解体・再加工・製品加工、計量器と連動したハンディターミナルでの入出荷・棚卸、歩留まりや原価を試算する原価シミュレーションに対応します。チェーンストア伝票や冷蔵返品(冷返)など、食肉流通の商慣習も機能として備えます。
配合・レシピ管理は食肉の業態上扱いません。賞味期限管理やHACCP対応は公式サイトでは確認できないため、必要な場合は問い合わせるとよいでしょう。提供形態はクラウド利用で、料金は要お問い合わせです。公式の導入事例は、食肉卸販売のリキフーヅ1社が掲載されています。
食品卸・流通業向け(受発注・在庫・定貫/バラ・EDI/商慣習重視)
次に、受発注・在庫管理や定貫・バラの荷姿、分解加工、EDI・賞味期限順出荷など、卸・流通業の商慣習への対応を得意とする製品です。
8. アラジンオフィス(株式会社アイル)

株式会社アイルの販売・購買・在庫管理パッケージで、食品製造・食品卸・食品製造小売・食品輸入商社に向けた食品業界向けの特設構成「アラジンオフィス for foods」を用意しています。受発注から在庫・売上・請求までを1つのパッケージで扱い、オンプレミスとクラウド(アラジンクラウド)のどちらでも導入できます。
食品向けの構成では、ロットNo.単位の在庫管理とロット別原価、入荷日からの賞味期限計算と古い期限を入力した際の逆転防止アラート、取引先ごとに納入可能な賞味期限残日数を設定する納入期限管理(1/3ルール)、一次店から三次店までの帳合管理、バラ・ボール・ケースの荷姿管理を標準機能として備えます。仕入先から得意先までをロットで結ぶトレースフォワード・バックも在庫管理機能に含まれます。
重量で取引する不定貫の管理と、工程別レシピ・所要量計算・歩留率一覧などの生産管理は、いずれもオプションでの追加対応です。食肉のカット・部位分解といった分解加工やHACCP対応は公式サイトに記載がないため、必要な場合は確認するとよいでしょう。
EDIはレガシーEDIと流通BMSの双方に対応するソフトとの連携メニューを持ちます。料金は要お問い合わせで、導入実績はアラジンオフィス全体で6,000社以上(時点の明示なし、食品業に限った社数は非公表)です。
9. SMILE V 2nd Edition(株式会社OSK/株式会社大塚商会)

中堅・中小企業向け統合業務パッケージ「SMILE V」シリーズの販売管理をベースに、株式会社OSKが開発し株式会社大塚商会が販売する製品です。食品業向けには、卸売業向けの業種特化版「SMILE V 2nd Edition FOODMASTER」と、配合・レシピ型の製造を対象とする生産管理「生産革新 Blendjin SMILE V 2nd Edition」が用意され、業態ごとに製品が分かれます。
食品卸向けのFOODMASTERは、1商品にバラ・ボール・ケース・合わせの最大4種の荷姿を設定し、荷姿単位と端数で在庫を持てます。荷姿別・得意先別・数量別・キャンペーンの各単価、社内管理用ロットNo.の自動採番とメーカー製造番号のサブロット管理、入荷日を基準にした賞味期限計算と売上入力時の接近・超過の警告に対応します。
食品製造向けの生産革新 Blendjinは、配合表にもとづく発注・生産指示、中間品を経る多段階配合、製品と原料を双方向にたどるロットトレース、ロットNo.ごとの有効期限を扱います。HACCP対応は卸・製造いずれの製品の公式ページにも記載がありません。提供形態はオンプレミスとクラウド(SMILE V Air)があり、料金は製品・構成によって異なるため要お問い合わせです。
10. 豪商(株式会社プラネックス)

株式会社プラネックスが、約5,000社の食品企業への調査・ヒアリングを基に開発した、食品業向けの販売・在庫・製造管理パッケージです。受発注・在庫・販売を中心に、不定貫品管理など卸・流通の商慣習に対応し、主に中小の食品事業者で、製造と販売・卸を兼ねる水産加工・菓子・食肉・大豆加工食品などの企業に導入されています。
製品レシピ管理と原価・歩留計算、賞味期限・産地管理・トレーサビリティを含むロット管理、不定貫品管理、品目ごとのアレルゲン情報管理を備えます。賞味期限・産地管理・トレーサビリティは公式が標準搭載と案内しますが、個々の機能が標準かオプションかの区別は公式ページに記載がなく、HACCP対応や定貫・分解加工の記載もありません。
提供形態はWindows Server・SQL Serverによる自社サーバー型が基本で、AWS・BIGLOBEなどのクラウド環境での利用例もあります。導入実績は公式(プラネックス)が470社以上、販売会社の流研が320社以上と案内しており(いずれも集計時点の記載なし)、約5,000社は導入数ではなく開発時に調査した食品企業数です。料金は要お問い合わせです。
全社統合型ERP(会計・販売・生産を1基盤に統合し食品業種に対応)
最後に、会計・販売・購買・生産を1つの基盤に統合する全社統合型の作りで、食品業種向けの機能を組み合わせた製品です。小規模から大企業まで、規模に応じて構成を選べます。
11. クラウドERP GEN/GEN KITCHEN(GEN株式会社)

GEN株式会社が業種別に9ラインで展開するノーコード型クラウドERPのうち、食品・化粧品製造業向けのラインがGEN KITCHENです。販売・購買・生産・在庫・原価を1つの基盤に統合し、受注から入金までのB2B・D2Cの両方のバックオフィス業務を扱います。
食品特有機能では、ロット管理とロット別の在庫数管理、消費期限および消費期限別の在庫数管理を標準機能として備えます。一方、賞味期限管理・配合(レシピ)管理・HACCP対応は公式サイトに記載がなく、原料から製品までのロットトレーサビリティも公式では確認できません。導入社数も公表されていないため、これらが選定上重要な場合は内容を確認しておくとよいでしょう。
料金は公式サイトで公開されており、月額は基本料金20,000円にアカウント単価3,800円を加えた従量制です(いずれも税別)。5アカウントの場合は、標準サポート「GMSPプログラム」の料金を含めて月額44,850円が例として示されています。初期費用は要お問い合わせで、IT導入補助金2025の対象ツールです。
12. Infor CloudSuite Food & Beverage(インフォアジャパン株式会社)

Infor CloudSuite Food & Beverageは、米Inforが提供する食品・飲料メーカー向けの業種特化型ERPです(日本語の公式ページでは「Infor F&B ERP」と表記されます)。
ベーカリー・飲料・乳製品・食肉・水産物などを対象とし、複数の国・言語・拠点に対応する構成を取れるため、多拠点やグローバル展開を視野に入れる中堅〜大企業向けの統合基盤です。
機能面では、サプライチェーン全体にわたる双方向のフードトレーサビリティ、賞味期限を含む規制対応、原材料管理による歩留まりの最適化などが公式に挙げられています。配合(フォーミュラ)・レシピ管理は英語ページに記載がある一方、日本語ページには明記がなく、HACCPや副産物の扱いも日本語ページでは確認できないため、国内での対応範囲は確認が必要です。
提供形態はクラウド(マルチテナント)で、公式の英語ページは食品・飲料企業1,000社超が利用すると記載しています(対象製品の範囲は明示されていません)。国内では、食用・工業用油脂メーカーのミヨシ油脂が2022年11月に導入を発表しています。料金は初期費用・月額とも公式に公開されておらず、要お問い合わせです。
13. Ross ERP(Aptean/国内提供 株式会社日立システムズ)

Ross ERPは、米Apteanが開発し、国内では株式会社日立システムズが提供する、化学・食品などのプロセス製造業向けのERPパッケージです。正式名称はAptean Process Manufacturing ERP Ross Editionで、生産管理・在庫管理・原価管理・会計を標準搭載したオールインワン構成を取ります。
原材料を配合・加工して製品にするプロセス製造を前提に設計されている点が特徴です。
食品特有機能では、レシピ・工程管理、規格値から100%換算重量を自動計算する力価単位品の2単位管理、ロット別の有効期限や検査結果の保持、原料と製品を双方向にたどるロットトレース、荷姿別・重量と数量の二重管理(不定貫品)を国内公式ページが挙げています。原価管理は標準原価・実際原価の品目別・工程別把握や原価シミュレーションに対応します。
対象は小規模から大規模までとされ、導入実績は世界2,500社以上・国内100社以上と案内されています(公式FAQは2016年7月時点の数値)。提供形態はオンプレミス(VMwareなどの仮想環境に対応)とクラウド(AWSなど)から選べ、料金は同時接続ユーザー数のライセンスで要お問い合わせです。
HACCP対応は公式ページに記載がなく、副産物の原価按分や歩留まり管理はApteanの英語ページにのみ挙げられているため、国内版での対応は日立システムズへの確認が必要です。
まとめ:業態・規模・必要機能の順で絞り込む
食品業向けERPは、まず自社の業態(製造・卸・流通・全社統合)に製品の得意領域が合うかで候補を絞り、次に企業規模や製造方式、提供形態で範囲を狭めるのが選びやすい順序です。そのうえで、配合・レシピ、ロット・賞味期限の双方向トレーサビリティ、定貫・分解加工、HACCPや食品表示への対応といった食品特有の要件を、標準対応かオプションかまで確認すると、導入後のミスマッチを防げます。
制度対応やシステム刷新は改正や保守期限とともに動くため、導入後も制度変更に追従でき、現場の運用を支援してくれるベンダーかどうかも、長く使ううえで重要です。
気になる製品が見つかったら、資料を取り寄せて機能・費用・導入実績を具体的に比較してください。下のボタンから、気になる製品の資料をまとめて取り寄せられます。
一括ダウンロードする
よくある質問(FAQ)
Q. 食品業向けERPとは何ですか?
A. 食品業向けERPとは、会計・販売・購買・在庫・生産などの基幹業務を1つの基盤に統合しつつ、配合・レシピ管理やロット・賞味期限のトレーサビリティ、定貫・分解加工といった食品業特有の要件に標準またはオプションで対応するシステムです。
汎用ERPや会計ソフトだけでは扱いきれない食品業の商慣習や品質管理を、基幹の中で扱える点が特徴です。生産管理や販売管理など基幹の一部に特化したパッケージも、食品業の基幹として広く使われています。
Q. 食品業向けERPと生産管理システムはどう違いますか?
A. 食品業向けERPと生産管理システムの違いは、ERPが会計・販売・購買・在庫・生産まで全社の基幹業務を1基盤に統合するのに対し、生産管理システムは生産(配合・工程・原価)に機能を絞っている点です。
製造現場の最適化を優先するなら生産管理システム、全社の情報を一元化したいならERPが向きます。ただし生産管理システムでも販売・在庫まで広くカバーする製品があり、両者の境界は製品ごとに幅があります。自社がどこまでの業務を1つの基盤にまとめたいかを基準に選ぶとよいでしょう。
Q. 食品業向けERPの導入にかかる費用はどれくらいですか?
A. 食品業向けERPの費用は、料金を公開している製品ではクラウド型で月額2万〜5万円程度から、初期費用は数十万円からが目安ですが、多くの製品は事業規模や構成に応じた個別見積もりです。
クラウド型には、初期費用数十万円・月額5万円程度から料金を公開する製品や、月額基本料に利用アカウント数の従量料金を加える体系の製品があります。一方、オンプレミス型や全社統合型は「要お問い合わせ」が多く、機能数・ライセンス数・導入支援の範囲によって総額が変わります。候補を数社に絞ってから見積もりを取り、初期費用と月額・保守費を並べて比較するのが確実です。
Q. 食品業向けERPを導入すればHACCP対応は完了しますか?
A. 食品業向けERPを導入しても、それだけでHACCP対応が完了するわけではありません。ERPは衛生管理そのものを代替するものではなく、原材料のロット記録・製造履歴・温度などの記録を基幹の中に残して、衛生管理の運用を支える位置づけです。
HACCPに沿った衛生管理は、2021年(令和3年)6月1日から原則としてすべての食品等事業者に求められています(農業・水産業の採取業など一部は対象外です)。記録機能をどこまで標準で備えるか、専用の品質管理システムとの連携を前提とするかは製品ごとに異なるため、選定時に確認しておくとよいでしょう。
出典・参考資料(1件)
- 出典:HACCPに沿った衛生管理の制度化について|厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html)
Q. 中小規模の食品製造業でも食品業向けERPを導入できますか?
A. 中小規模の食品製造業でも食品業向けERPは導入できます。従業員100名程度まで・単一拠点を想定した、クラウド型で初期費用を抑えやすい製品があります。
たとえばHACCPの運用支援に絞って10〜100名規模を対象とする製品や、必要な機能・範囲だけで始めて後から拡張できるスモールスタート対応の製品など、規模に応じた選択肢が揃っています。はじめから全社統合型の大規模な基盤を選ぶ必要はなく、自社の規模に合う導入範囲から検討するとよいでしょう。
Q. 食品業向けERPへExcelや既存システムのデータはどう移行しますか?
A. 食品業向けERPへのデータ移行は、品目・取引先・配合表(レシピ)などのマスタを整理したうえで、ベンダーの移行支援を受けて段階的に進めるのが基本です。
Excelや個別のシステムに分散した在庫・受注・原価のデータは、表記ゆれや重複を棚卸しして整えておくほど、移行後の在庫引当や原価計算の精度が上がります。
既存の販売管理やECサイト、取引先とのEDIと連携が必要な場合は、API連携・データ連携の実績があるベンダーかを確認しておくと安心です。一度にすべてを切り替えず、必要な業務から始めて広げるスモールスタートに対応した製品なら、現場の負荷と移行リスクを抑えられます。
Q. オンプレミスの食品業向けERPからクラウドへ移行できますか?
A. オンプレミスの食品業向けERPからクラウドへの移行は可能な場合が多いものの、同じ製品のクラウド版へ切り替えるか、別のクラウドERPへリプレースするかで、進め方と引き継げる資産が変わります。
老朽化した基幹システムの保守期限が、移行を検討する契機になりやすいです。たとえばSAP社は、SAP ERP 6.0を含むSAP Business Suite 7の標準保守を2027年末まで(任意の延長保守は2030年末まで)提供するとしており、該当する企業では「2027年問題」として刷新が意識されています。
移行時は、これまで作り込んだカスタマイズや帳票、ロット・賞味期限などの運用データをどこまで引き継げるかを製品ごとに確認することが大切です。クラウドは法改正対応やバージョンアップが提供側で行われる一方、カスタマイズの自由度はオンプレミスに劣る場合があるため、現行の運用をそのまま再現したいのか見直すのかを決めておくと移行がスムーズです。
出典・参考資料(1件)
- 出典:SAP S/4HANA maintenance until 2040 brings clarity and choice|SAP SE(https://news.sap.com/2020/02/sap-s4hana-maintenance-2040-clarity-choice/)
食品業向けERP・基幹システムの料金・資料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、食品業向けERP・基幹システムの最新資料を無料で一括請求できます。対応業態や食品特有機能、料金を並べて比較し、自社に合う製品を効率的に絞り込めます。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















