複数の調査案件を並行して進めるうちに、どの案件が黒字でどの案件が赤字なのか、決算が締まるまで分からない状態になっていませんか。研究員が案件を兼務し、外注先への調査委託も重なると、工数や人件費、外注費を案件ごとに正しく割り振るのが難しくなります。表計算ソフトや老朽化した自社開発システムでの管理が限界に近づき、基幹システムの導入や刷新を検討するシンクタンク・調査会社が増えています。
案件単位で収支を把握し、研究員の工数・人件費や外注費まで一元管理するには、どのような観点でERP(基幹業務システム)を選べばよいのでしょうか。
本記事では、受託調査や案件単位で業務が進むシンクタンク・調査・リサーチ業に向けて、案件(調査プロジェクト)ごとの収支を管理できるプロジェクト型ERPを比較・解説します。案件別の採算管理、研究員の工数・人件費の配賦、外注調査費の管理といった業種特有の選定観点を整理しました。導入を検討する担当者が、自社に合うシステムを判断する材料としてご活用ください。
また、自社の案件管理の実態に合うサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事では、受託調査や委託研究のように案件(プロジェクト)単位で業務が進み、案件ごとの採算管理が経営の軸になるシンクタンク・調査・リサーチ業を対象に、プロジェクト型ERPを比較します。案件別の収支、研究員の工数と人件費の案件配賦、外注調査費の管理を軸に選定するため、会計処理や販売在庫管理を主目的とする汎用の基幹システムは対象から外しています。
調査業務の内容は、市場調査やアンケート、官公庁からの受託研究、経済・政策分析まで幅広く、企業規模も数十名の調査部門から数百名規模の調査会社までさまざまです。自社の規模や調査形態に合わせて読み進めてください。
業種や案件採算での絞り込みを外し、企業規模・提供形態・費用といった観点でERP全般を広く見比べたい場合は、以下の記事で統合基幹業務システムを横断的に比較しています。
シンクタンク・調査業がERPで解決できる課題
ここでは、シンクタンク・調査会社が抱えやすい業務課題を整理します。これらの課題への答えになるのが、会計や人事といった基幹業務に加えて、案件(プロジェクト)ごとに売上・原価・工数を集計して採算を管理できるプロジェクト型ERPです。
案件ごとの収支は、売上から案件原価を差し引いて損益を求める構造になっています。これから挙げる課題は、この原価を正しく積み上げられないことから生じます。

第一に、案件ごとの採算が決算まで見えないという課題があります。受注金額が同じでも、投入した研究員の工数や外注費によって案件ごとの利益は大きく変わりますが、表計算ソフトで管理していると、実際の採算が分かるのは決算を締めた後になりがちで、赤字案件に気づくのが遅れます。
第二に、研究員の工数・人件費を案件に正しく割り振れないという課題です。多くの研究員が複数の調査案件を兼務するため、誰がどの案件に何時間を費やしたかを記録できないと、人件費を案件の原価に反映できず、案件ごとの採算が曖昧になります。
第三に、外注調査の費用管理が分断しているという課題です。専門的な調査やデータ収集を外部に委託する場面は多く、外注費は案件原価の大きな部分を占めますが、発注・検収・支払いが会計システムと別々に管理されていると、どの案件にいくらかかったのかが見えにくくなります。
官公庁からの受託研究が多い会社では、原価計算にもとづく精算や工数の証跡を求められることもあり、案件ごとの原価と工数を記録として残せる仕組みの重要性がいっそう高まります。
加えて、自社開発のシステムや古い会計ソフトを使い続けていると、保守費用や改修の手間がかさみ、インボイス制度や電子帳簿保存法といった制度改正への追従も自前で対応することになります。これらの課題は、案件単位で収支・工数・原価を一元管理できるプロジェクト型ERPを導入することで、進行中から採算を把握しながら解消していけます。
シンクタンク・調査業向けERPの選び方
ここからは、シンクタンク・調査業がプロジェクト型ERPを選ぶ際に確認したい観点を解説します。自社の調査形態や規模に当てはめながら、どの機能が必要かを見極めてください。
案件別に収支・個別原価を管理できるか
最も重要なのは、案件(調査プロジェクト)単位で売上と原価を集計し、損益を把握できるかどうかです。会計機能だけを備えた製品では、全社や部門単位の損益は分かっても、案件ごとの採算までは追えません。案件ごとに個別原価を自動で計算し、進行中でも損益を確認できる製品を選ぶと、赤字案件の早期発見や見積もり精度の向上につながります。受注前の見積もりと実績を比較できるかも、あわせて確認したい点です。
研究員の工数・人件費を案件別に配賦できるか
調査業の原価の大半は、研究員の人件費が占めます。工数を入力し、それを基準単価で人件費に換算して案件原価へ反映できるかは、採算管理の精度を左右します。
複数案件を兼務する体制では、一人の作業時間を案件ごとに割り振れる仕組みが欠かせません。工数の入力が現場の負担にならないよう、入力画面の使いやすさやスマートフォン対応も見ておくとよいでしょう。間接費や共通費を工数・人数などの基準で配賦できると、より実態に近い案件損益を把握できます。
外注調査の発注〜検収〜支払いを一元管理できるか
外注費が案件原価に占める割合が高い場合は、発注・検収・支払いを案件にひも付けて管理できるかを確認しましょう。発注管理が会計と連動していれば、未検収や支払い漏れを防ぎ、案件原価に外注費を漏れなく計上できます。外部委託が多い調査会社ほど、この機能の有無が原価の正確さに直結します。発注書の作成から支払い実績の計上までを同じシステムで完結できるかを見極めてください。
会計・管理会計と連携し売上・利益を予測できるか
案件ごとの採算を積み上げた先に、全社の売上や利益の見通しを立てられるかも選定のポイントです。進行中の案件の着地見込みを集計できれば、期中の段階で全社の業績を予測し、経営判断に生かせます。財務会計と管理会計が連携している製品なら、案件の損益データを決算や予算管理にそのまま活用できます。経営層への報告資料を作る手間を減らせるかという観点でも比較するとよいでしょう。
導入形態(クラウド/オンプレミス)で選べるか
導入形態は、運用体制やセキュリティ要件に合わせて選びます。クラウド型は自社でサーバーを保有する必要がなく、法改正や税制改正への対応がアップデートで反映されるため、情報システム部門の負担を抑えられます。
官公庁からの受託が多く、データの保管場所に制約がある場合は、オンプレミス型やデータの保管先を選べる製品が候補になります。ただし案件採算に特化した製品はクラウド提供が中心のため、制約が強い場合は、クラウドでの保管リージョンを選べるかどうかもあわせて確認してください。
自社の規模が小さく運用担当者が限られるなら、保守の手間が少ないクラウド型が現実的な選択肢です。
とはいえ、自社の案件管理の実態に合うのがどの製品かは、観点を並べただけでは判断が難しいこともあります。次の診断では、いくつかの質問に答えるだけで、自社の状況に近いサービスを絞り込めます。ぜひご活用ください。
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【比較表】シンクタンク・調査業に適したプロジェクト型ERPを比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、シンクタンク・調査業に適したプロジェクト型ERPを横並びで比較します。案件別の収支管理、工数・人件費の配賦、外注管理、会計連携、導入形態、料金といった観点で整理しました。
この比較には、調査・リサーチ業を公式に対象として挙げる製品と、業種を限定しないものの案件単位の採算管理に使える統合型の製品の両方を含めています。案件ごとの収支や工数の管理を最優先する場合は「案件別の収支・個別原価」「工数・人件費の案件配賦」の列を、全社の基幹業務をまとめて統合したい場合は「会計・管理会計との連携」の列を重視して読み比べてください。
| サービス名 | Oracle NetSuite | Odoo導入・開発・業務統合支援 | クラウドERP ZAC | MA-EYES | Reforma PSA | プロカン |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 案件別の収支・個別原価 | △(アドオンのSuiteProjectsで対応) | △(プロジェクト機能で対応。支援範囲は要確認) | ● | ● | ● | ● |
| 工数・人件費の案件配賦 | △(アドオンのSuiteProjectsで対応) | △(タイムシートで対応。支援範囲は要確認) | ● | ● | ● | ● |
| 外注費の管理 | △(案件へのひも付けはSuiteProjects前提。標準の購買・買掛管理は対応) | △(Odoo本体の購買機能で対応。支援範囲は要確認) | ● | ● | ● | ● |
| 会計・管理会計との連携 | 会計・管理会計を内包(統合ERP) | 会計アプリを内包/会計ソフトへの仕訳連携も支援 | 管理会計を内包/財務会計へ仕訳連携 | 会計機能を内包/勘定奉行クラウド等と連携 | 会計ソフトへ仕訳連携(勘定奉行・弥生・マネーフォワード) | 会計ソフト連携(弥生・freee・勘定奉行・マネーフォワード) |
| 導入形態 | クラウド | クラウド/オンプレミス | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド |
| 料金の目安 | 要問い合わせ(年間ライセンス+初期費用) | Odoo本体 月22ドル/ユーザー〜(導入支援は別途見積もり) | 初期10万円+月額要問い合わせ+保守6万円〜/月 | 要問い合わせ | 初期0円+月額3万円(税抜)〜 | 初期10万円〜+月額2万円〜 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
シンクタンク・調査業に適したプロジェクト型ERP各サービスの詳細
ここからは、比較表で取り上げた各サービスの特徴を、案件採算管理の機能や導入形態、料金を中心に個別に紹介します。自社の調査形態や規模に照らし合わせながら確認してください。
1. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

Oracle NetSuiteは、会計・財務管理を中核に、受発注や在庫、CRMまでを単一のクラウド基盤へ統合したクラウドERPです。案件採算の管理は追加モジュールの「SuiteProjects」が担い、プロジェクト管理と時間・経費の記録、プロジェクト会計、請求を会計機能と一体で扱います。
プロジェクト会計では、購買発注を特定の案件に紐付けて直接費・間接費を案件予算に配賦し、請求可能・不可のコストを区別して把握できます。タイムシートで記録した作業時間はプロジェクトやタスクに割り当てられ、総勘定元帳に転記されて自動で会計処理されます。収益とコストの予算からマージンを予測し、実績と比較することもできます。
提供形態はOracle Cloud Infrastructure上のクラウドで、年2回のアップデートが自動で適用されます。料金は年間ライセンス料と初期費用が基本で、コア・プラットフォーム、オプションモジュール、ユーザー数の組み合わせで決まり、金額は個別見積もりです。
公式サイトでは200か国以上で利用されているとされ、海外拠点を含む連結・多通貨での経営管理を想定しているため、基幹システム全体を一つの基盤に統合したい中堅〜大企業に向きます。
出典・参考資料(1件)
企業がこうした統合型ERPの導入に動く背景について、提供元の日本オラクルは、導入のきっかけと選定の決め手を次のように説明しています。
大きく三つのパターンがあります。一つ目は、古くなったオンプレミスのシステムを刷新したいというケース。二つ目は、事業が成長してきて、バラバラだったシステムや業務のやり方を標準化したいというケース。三つ目は、M&Aのあとにグループ全体のシステムを統合して、データを可視化したいというケースです。
決め手という意味では、やはり経営者の方が「今見たい数字が、今すぐ見られるかどうか」を重視されます。現場の担当者にとっての使いやすさももちろん大事なのですが、最終的な意思決定の場面では、リアルタイムに正確な数字が出てくることが何より効いてきます。そこに応えられる点が、選んでいただける一番の理由になっていると考えています。
2. Odoo導入・開発・業務統合支援(株式会社マルウェブ)

株式会社マルウェブは、ベルギー発のオープンソースERP「Odoo」の導入を支援する事業者です。Odooは販売・会計・在庫・CRM・プロジェクトなど必要なアプリだけを選んで追加できる構成で、マルウェブは要件定義とフィット&ギャップ分析から、カスタマイズ開発、外部システム連携、データ移行、運用定着、公開後の運用支援までを支援工程として掲げています。
案件採算の管理に関わる機能として、Odooのタイムシートは計画工数と実績工数を比較し、請求可能時間を案件・タスク別に把握できます。ただしマルウェブがサービスページで対応アプリとして明記しているのは販売・会計・在庫・CRM・プロジェクト・ウェブサイトまでで、工数管理まで含めた支援範囲は資料請求や相談で確認する事項です。
Odoo本体のライセンスはアプリ数によらずユーザー数で決まり、カタログ掲載値はスタンダードが1ユーザー月22ドル、カスタムが33ドル(いずれも初回ユーザーへの12か月割引適用後)で、導入支援費用は別途個別見積もりです。日本とベトナムのハイブリッド体制で開発し、海外製ERPを日本の商習慣に合わせて調整するノウハウを強みとしています。導入期間は標準機能中心で2〜3か月が目安です。
出典・参考資料(1件)
どの業務からOdooを使い始め、どこまでを一度に統合するか、導入範囲の決め方についてマルウェブは次のように述べています。
判断の軸は大きく2点です。一つは、お客様が今どの業務をどのように運用していて、Odooのアプリで言えばどの領域を使うことになるのか。もう一つは、予算と優先順位です。この2点は要件定義とフィット&ギャップ分析の段階でお伝えしながら整理していきます。
3. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

クラウドERP ZACは、株式会社オロが提供する、案件・プロジェクト単位で業務が進む業種に特化した統合型クラウドERPです。公式の業種別ソリューションには「受託分析・調査業」も対象として挙がり、プロジェクト別の収支管理を軸に、販売管理・購買管理・勤怠/工数管理・経費管理・管理会計・内部統制を一元化します。
個別原価計算を自動化し、案件ごとに外注費・仕入・労務費を紐付けて集計します。担当者が案件と作業項目を指定して登録した工数は案件別の労務費として自動集計され、直接作業は指定案件へ直課、間接作業は部門配下の案件へ再配賦されます。共通費や販売費・一般管理費も、配賦基準に基づいて自動配賦できます。
料金は初期設定費用10万円と、機能(モジュール)×ライセンス数の月額に、保守費用6万円〜/月を加えた体系で、モジュール単価は製品資料での開示です。
導入実績は1,100社超・約35万ライセンス(公式、基準時点の明示なし)で、業種別では広告・PR・制作業が最多、次いでIT・システム業、士業・コンサルティング業と続きます(2024年時点の公式発表)。運営元の株式会社オロは東証プライム上場で、ISMS(ISO/IEC 27001)とプライバシーマークを取得しています。
リサーチ・調査業でも、日経リサーチ・日本リサーチセンター・現代文化研究所・ネオマーケティングなどが公式サイトで導入事例として紹介されており、調査案件のプロジェクト別収支管理に活用されています。
出典・参考資料(2件)
4. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

MA-EYESは、工数・原価をリアルタイムに集約してプロジェクト単位の損益を管理する、株式会社ビーブレイクシステムズのクラウド型ERPです。日々の工数登録から人件費・外注費・経費を案件原価へ反映し、部門別・案件別・顧客別など複数の切り口で損益を可視化します。対象業種には「調査・リサーチ業」も含まれます。
工数は勤怠と一緒に入力する方法と工数のみを入力する方法があり、マスタに設定した基準時間単価と作業時間を掛けて労務費を算出します。配賦基準は工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった非システム情報も設定できます。月別の原価の予算と実績をグラフで比較し、着地を予測する機能も備えます。
原価の把握単位は標準ではプロジェクトですが、製品やジョブなど別の単位にもカスタマイズできます。提供形態はSaaS・SaaS+・一括の3種類で、一括版は100名以上が目安です。料金は公式非公開で要問い合わせですが、30日間の無料トライアルが用意されています。ISO/IEC 27001とクラウドセキュリティ認証を2025年3月に取得しています。
出典・参考資料(1件)
5. Reforma PSA(株式会社オロ)

Reforma PSAは、クラウドERP「ZAC」と同じ株式会社オロが提供する案件管理システムです。公式の比較では、ZACの機能のうち案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化したものと説明され、従業員50名以下を目安とする中小・成長企業向けに位置づけられています。IT・広告・イベント・コンサルティング・制作・設計業などが対象です。
従業員がプロジェクトと作業内容ごとに工数を入力すると、予定と実績の工数を対比して労務費の上振れを把握でき、労務費配賦計算で案件原価に反映されます。実行予算を入力して案件別の原価を自動計算し、仕掛中でも案件別損益をタイムリーに確認できます。共通費の配賦計算も工数登録を前提に利用できます。
料金は初期費用0円、月額30,000円(税抜)からで、販売管理6,000円・購買管理2,000円・勤怠管理300円などの機能別ライセンスを人数分組み合わせて決まります。勘定奉行クラウドや弥生会計、マネーフォワード クラウド会計へのファイル連携に対応し、導入期間は1〜2か月程度が目安です。受託業務に係る内部統制の保証報告書であるSOC1を取得しています。
出典・参考資料(1件)
6. プロカン(株式会社PROCAN)

IT・制作・建設など案件単位で進む受託型ビジネスに向けて、株式会社PROCANが提供するのがクラウド型のプロジェクト収支管理システム「プロカン」です。案件ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化することを主眼とし、「プロカンIT」「プロカン制作」「プロカン建設工事」の3ラインナップを展開しています。
工数はGoogleカレンダーと連携して入力でき、工数に労務単価を掛けて人件費を原価に換算し、外注費などの社外コストと合わせて案件ごとの粗利を可視化します。予算実績対比表では、売上・原価・工数の予算に対する実績や、昨年対比を含む収支表を作成できます。見積・請求・発注・経費精算から承認までを、一つの入力データから続けて処理できる設計です。
会計ソフトは弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードとの連携が業種別ページで案内されています。料金は初期費用10万円(税込11万円)〜、月額2万円(税込2万2,000円)〜で、利用人数(ID数)に応じて変動します。IT導入補助金の対象とされ、中小企業の初期費用負担を抑えられる場合があります。プライバシーマークを取得しています。
出典・参考資料(1件)
シンクタンク・調査業向けERPの費用・料金の目安
プロジェクト型ERPの費用は、導入形態や利用人数、必要な機能の範囲によって変わります。ここでは、料金を比較する際に押さえておきたい費用の構造を整理します。
クラウド型は、初期費用と月額または年額の利用料で構成されるのが一般的です。利用料は、利用人数や案件数、使う機能の範囲に応じて決まる製品が多く、小規模から始めて段階的に広げられる料金体系もあります。サーバーを自社で保有しないため、初期の設備投資を抑えやすい点が特徴です。
料金水準の目安として、数十名規模の調査部門向けのクラウド型では、初期費用が0円から10万円程度、月額が2万円から3万円程度を基本に、利用人数や機能に応じて加算される製品が見られます。販売管理・購買管理・勤怠管理といった機能ごとに月額のライセンス単価が分かれている製品もあり、必要な機能だけを選んで費用を抑えられます。
一方、中堅から大企業向けの統合ERPや、プロジェクト採算管理を追加モジュールで実現する製品は、利用規模や構成に応じた個別見積もりが中心で、公開価格を示していないことが多いです。初期費用に数十万円以上、月額に保守費用を加えた体系の製品もあり、規模が大きいほど費用の幅は広がります。
オンプレミス型や大規模な導入では、ライセンス費用に加えて、要件定義や初期設定、既存システムからのデータ移行にかかる導入支援の費用が発生します。自社の業務に合わせたカスタマイズや、研究員への操作教育の範囲によっても費用は変わります。多くの製品で料金は個別見積もりとなるため、具体的な金額は資料請求や問い合わせで確認してください。
費用を比較する際は、月額料金だけでなく、導入支援費や保守費まで含めた導入後の総費用で見ることが大切です。工数入力を全研究員が行う場合は、利用人数が費用に影響するため、どの範囲までシステムを使うかを決めてから見積もりを取ると、製品間の比較がしやすくなります。
まとめ
シンクタンク・調査業がERPを選ぶうえで核になるのは、案件(調査プロジェクト)ごとに収支を管理できるかという一点です。研究員の工数・人件費を案件に配賦し、外注費を漏れなく計上できる製品を選ぶと、進行中の段階で採算を把握でき、赤字案件の早期発見や見積もり精度の向上につながります。
導入形態や規模への対応は製品ごとに異なります。自社の調査形態・規模・運用体制に合わせて、本記事の比較表と診断ツールを活用し、候補を絞り込んでください。気になるサービスは資料を取り寄せ、案件採算管理の機能や料金を具体的に比べることをおすすめします。
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よくある質問(FAQ)
Q. プロジェクト型ERP(案件別採算管理ができるERP)とは何ですか?
A. プロジェクト型ERPとは、会計や人事などの基幹業務に加えて、案件(プロジェクト)ごとに売上・原価・工数を集計し、採算をリアルタイムに管理できる基幹業務システムです。シンクタンク・調査業のように受託調査が案件単位で進み、案件ごとの採算が経営の軸になる業種で導入が進んでいます。全社や部門単位の損益だけでなく、1件ごとの調査プロジェクトが黒字か赤字かを把握できる点が特徴です。
Q. プロジェクト型ERPは一般的な会計ソフトや汎用ERPと何が違うのですか?
A. プロジェクト型ERPと会計ソフト・汎用ERPの違いは、案件単位で売上・原価・工数をひも付けて損益を管理できるかどうかにあります。会計ソフトや販売在庫管理が中心の汎用ERPは、全社・部門の損益は分かっても、調査案件ごとの採算までは追えないことが多いです。
研究員の工数や外注費を案件原価へ配賦し、進行中でも案件別の損益を確認したい場合は、プロジェクト(案件)採算管理に対応した製品を選ぶ必要があります。
Q. 数十名規模の小さな調査部門でもプロジェクト型ERPを導入できますか?
A. 数十名規模の調査部門や中小の調査会社でも導入できる製品はあります。従業員数十名以下を対象に、初期費用を抑えた月額制で提供されるクラウド型の案件収支管理システムが複数存在します。まずは工数管理と案件別収支に機能を絞って始め、事業の成長に合わせて会計や受発注まで広げる進め方もできます。運用担当者が限られる場合は、保守の手間が少ないクラウド型が現実的な選択肢です。
Q. 既存のExcelや会計ソフトからプロジェクト型ERPへスムーズに移行できますか?
A. 既存のExcelや会計ソフトからの移行は可能ですが、案件マスタや取引先、過去の実績データの整理と移行作業が必要です。多くのクラウド型ERPは、会計ソフトへの仕訳連携やデータの取り込みに対応しています。どのデータをどこまで引き継げるか、既存システムと連携できるかは製品によって異なるため、移行の範囲を資料請求や相談で確認しておくと、導入後の手戻りを防げます。
Q. プロジェクト型ERPの導入期間はどのくらいかかりますか?
A. プロジェクト型ERPの導入期間は、標準機能を中心に使う場合でおおむね1〜3か月が目安です。自社の業務に合わせたカスタマイズや、他システムとの連携、データ移行の範囲が広がるほど期間は長くなります。工数入力を全研究員に定着させる運用設計にも時間を要するため、繁忙期を避けてスケジュールを組むと移行がスムーズです。
Q. シンクタンク・調査業がプロジェクト型ERPを導入する費用の目安はどのくらいですか?
A. クラウド型の案件採算管理システムは、初期費用が0円から数十万円、月額が数万円程度から始められる製品が多く、利用人数や使う機能の範囲で変動します。統合型の大規模なERPや、カスタマイズ・データ移行を伴う導入では、別途ライセンス費用や導入支援費が加わり、料金は個別見積もりになるのが一般的です。比較の際は、月額だけでなく初期費用・導入支援費・保守費まで含めた総費用で見ることが大切です。
Q. クラウド型とオンプレミス型は、シンクタンク・調査業ではどちらを選べばよいですか?
A. 運用負担を抑えたい場合はクラウド型、データの保管場所に制約がある場合はオンプレミス型やデータ所在を選べる製品が向きます。クラウド型は自社でサーバーを持たず、法改正や税制改正への対応がアップデートで反映されるため、情報システム部門の負担を軽くできます。
一方、官公庁からの受託研究などでデータの保管場所が指定される場合は、保管先を選べる構成が必要になります。運用担当者が少ない中小の調査部門では、クラウド型が現実的な選択肢です。
Q. 複数案件を兼務する研究員の工数入力は、現場の運用負担になりませんか?
A. 工数入力の負担は、入力画面の使いやすさやスマートフォン・カレンダー連携といった仕組みで軽減できます。研究員が複数案件を兼務する調査業では、作業時間を案件ごとに割り振る工数入力が採算管理の精度を左右します。入力が滞ると案件原価が正しく積み上がらないため、現場が無理なく続けられる入力方法を備えた製品を選び、入力ルールを導入時に決めておくことが定着の鍵になります。
Q. プロジェクト型ERPはインボイス制度や電子帳簿保存法に対応できますか?
A. クラウド型のプロジェクト型ERPの多くは、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応が提供側のアップデートで反映されます。自社開発の古いシステムや旧式の会計ソフトでは、制度改正のたびに自前で改修する負担が生じますが、クラウド型なら法改正・税制改正への追従を提供側に任せられます。具体的な対応範囲や対応時期は製品によって異なるため、導入前に確認してください。
Q. プロジェクト型ERPは、既存の勤怠管理や給与・会計システムとも連携できますか?
A. 多くのプロジェクト型ERPは会計ソフトへの仕訳連携に対応し、勤怠や給与システムと連携できる製品もあります。工数を勤怠と一緒に入力できる製品や、算出した人件費・案件損益を会計システムへ連携できる製品があり、二重入力を減らせます。連携できるシステムの種類や連携方法(API・ファイル取り込みなど)は製品ごとに異なるため、自社で使っているシステム名を挙げて対応可否を確認するとよいでしょう。
Q. プロジェクト型ERPの導入にIT導入補助金などの補助金は使えますか?
A. 一部のプロジェクト型ERP・案件収支管理システムはIT導入補助金の対象ツールに登録されており、中小企業は初期費用や月額費用の一部に補助金を活用できる場合があります。対象かどうかや補助率、申請の要件は、年度ごとの制度内容と製品の登録状況によって変わります。補助金の活用を検討する場合は、対象ツールに登録されているか、申請を支援してもらえるかを導入前に確認してください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















