「AI BPO」という言葉を、ベンダーの提案や業界記事、社内のDX推進の場面で目にする機会が増えています。業務のアウトソーシング(BPO)は知っていても、そこに「AI」が付くと何がどう変わるのか、イメージが湧きにくいのではないでしょうか。
背景には、バックオフィスの人手不足と、生成AIやAI-OCR(画像から文字を読み取る技術)が実務で使えるようになったことがあります。AIが定型処理を肩代わりし、人が確認と判断に回る——この組み合わせで業務を外部に任せる形が「AI BPO」です。
本記事では、AI BPOとは何か、従来のBPOやRPAとの違い、経理をはじめ任せられる業務とAI・人の分担、メリットと注意点、そして費用の考え方から導入の進め方まで、委託する側の視点で整理します。自社の経理・バックオフィスをAIと人に任せる選択肢が現実的かどうか、判断の材料にしてください。
目次
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AI BPOとは?AIと人がどう役割分担するのか
AI BPOとは、業務の外部委託(BPO:ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に生成AIやAI-OCRなどのAI技術を組み合わせ、AIが定型処理を高速に担い、人が確認と判断を受け持つ委託の形態です。作業そのものを丸ごと人が代行する従来型とは異なり、処理の多くをAIが引き受けたうえで、品質と正確性は人がチェックして担保します。
この「AIが処理し、人が確かめる」という分担は、サービスを提供する各社が共通して掲げる考え方です。たとえば経理・バックオフィス向けのAI-BPOを提供するマネーフォワードは、公式サイトでこれを「AIと人の協働による新たなBPOの形」としています。従来は人が担っていた業務をAIで高速化し、専門スタッフが正確性を担保すると説明しています。
重要なのは、AI BPOは「AIがすべてを自動でこなす」サービスではないという点です。AIは判断に迷う例外処理や、最終的な正しさの確認まではひとりで完結できません。だからこそ人が後ろで確認する工程が設計に組み込まれており、ここがAI BPOを理解するうえでの要になります。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:AI-BPOとは|マネーフォワード
では、AIと人の工程は実際にどのように切り分けられているのでしょうか。AI BPOを提供する事業者からは、ひとつの作業を工程単位で分け、AIと人に割り振っているという説明が得られました。

一般的なオンライン秘書サービスは、窓口担当がいて、後ろにチームがいるという構成ですが、私たちの場合はディレクターが窓口に立ち、AIに渡すべき工程、人に渡すべき工程、あるいはその両方を連携させる工程を設計します。たとえば作業Aにプロセスが10個あるとしたら、そのうちプロセス1から4はAIにやらせた方が速度も出て網羅的にできる、プロセス5で人を入れて、プロセス6からは再度AIに対応させる、といった業務設計をすることで、速度と質の両方を実現しています。
この工程単位の割り振りを整理すると、次のようになります。

従来のBPO・デジタルBPO(RPA)とAI BPOの違い
ここからは、AI BPOが従来のBPOやデジタルBPO(RPA)と何が違うのかを整理します。3つの方式は「誰が処理するか」「どんな業務まで扱えるか」が異なります。
| 比較軸 | 従来のBPO | デジタルBPO(RPA) | AI BPO |
|---|---|---|---|
| 処理の担い手 | 人(オペレーター)が作業を代行 | RPA(ソフトウェアのロボット)が代行し、人が運用 | AIが処理し、人が確認・判断 |
| 自動化のしかた | 手作業中心 | あらかじめ決めたルール(手順)どおりに自動実行 | 生成AI・AI-OCRが、ルール化しにくい入力も処理 |
| 扱える業務範囲 | 定型・非定型を問わず幅広いが、量に比例して人手が要る | ルール化できる定型業務が中心。例外に弱い | 定型に加え、半定型(表記ゆれのある書類の読み取り等)まで対応しやすい |
| 柔軟性・変化への強さ | 人が対応するため柔軟だがコストが増えやすい | 手順変更のたびに作り直しが必要 | 例外はAIが下処理し人が補うため、量の増減や例外に対応しやすい |
従来のBPOは人手が中心で、処理量が増えればその分だけ人のコストもかさみます。RPAを使うデジタルBPOは、決まった手順の定型業務を自動化できる一方、ルールから外れる例外や書式のばらつきには弱く、手順が変わるたびに作り直しが必要になりがちです。
AI BPOは、生成AIやAI-OCRが「ルールを書ききれない入力」もある程度こなせる点が特徴です。たとえば書式の異なる請求書の読み取りのように、RPAだけでは詰まりやすい処理をAIが下ごしらえし、最終確認を人が担います。量の増減や例外に対応しやすいのは、この二段構えによるものです。
AI BPOに任せられる業務|経理・バックオフィスでAIと人はどう分担するか
AI BPOで任せられる業務は、カスタマーサポート、データ入力、人事・採用など多岐にわたりますが、バックオフィスのなかでも効果が見えやすいのが経理・財務です。ここでは、経理を中心にAIと人がどう分担するかを具体的に見ていきます。
経理・財務でのAIと人の分担
経理業務では、請求書や領収書の読み取り、仕訳データの作成、経費精算の一次処理、入金消込(請求データと入金データの照合)といった定型度の高い作業をAIが担います。そのうえで、内容の妥当性チェックやイレギュラーな判断を人が受け持つ、という分担が組みやすくなっています。
- AIが得意な処理:請求書・領収書のAI-OCRによる読み取り、仕訳候補の作成、経費データの一次チェック、入金と請求の消込候補の抽出
- 人が受け持つ処理:AIの出力に誤りがないかの確認、勘定科目の最終判断、例外的な取引の処理、月次試算表のとりまとめ
実際のサービスでも、この役割分担はほぼ共通しています。たとえば経理アウトソーシングを提供するマネーフォワードのAI-BPOは、会計・税務・財務・労務などのアシスタント業務を対象に、AIが処理を高速化し専門スタッフが正確性を担保する体制を取っています。
経理以外のバックオフィス業務
経理のほかにも、問い合わせ対応(チャットボットと有人対応の組み合わせ)、紙やPDFからのデータ入力、採用まわりの事務など、定型処理と確認を切り分けられる業務はAI BPOと相性がよい領域です。
たとえば問い合わせ対応なら、よくある質問への一次回答をAIが下書きし、最終的な返信内容は人が確認して送る、といった分担が組めます。自社のどの業務が「AIで下処理し、人が確認する」形に分けられるかを棚卸しすると、任せる範囲が見えてきます。
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AI BPOを活用するメリット
ここからは、AI BPOを活用することで得られるメリットを、仕組みの面から整理します。売り文句としてではなく、「なぜそうなるのか」とあわせて見ていきます。
- 処理スピードと精度の両立:AIが定型処理を高速にこなし、人が確認に集中するため、スピードを上げながら見落としを抑えやすくなります。
- 業務量に応じた柔軟なコスト:自社で人を採用すると人件費は固定費になりますが、委託なら繁閑に応じて範囲を調整しやすく、コストを変動費に近づけられます。
- 対応量のスケール:処理の多くをAIが担うため、業務量が増えても人員を比例して増やさずに対応しやすくなります。
- 人材をコア業務へ振り向けられる:定型作業から社内の担当者を解放し、判断や企画といった付加価値の高い業務に時間を使えます。
いずれのメリットも、AIと人で工程を分担する仕組みから生まれる効果です。効果の大きさは委託する業務や自社の体制によって変わるため、導入前に自社の業務量と課題に当てはめて見積もることをおすすめします。
AI BPOが向いている企業・業務
AI BPOは、次のような企業・業務で効果が出やすい傾向があります。自社が当てはまるかを確認してみてください。
- 経理や請求・経費精算などの定型業務に人手を取られ、担当者がコア業務に集中できていない企業
- 繁忙期と閑散期で業務量の差が大きく、人員を固定で抱えると過不足が出やすい企業
- 担当者の退職や属人化でバックオフィスが止まりやすく、業務を仕組みとして外部に預けたい企業
- 請求書や領収書など、読み取り・転記の多い定型処理の比率が高い業務
AI BPO導入時の注意点
メリットの一方で、AI BPOには導入前に押さえておきたい注意点があります。できることだけでなく、限界と前提も理解しておくと、導入後のミスマッチを避けられます。
- AIの精度と人のチェック体制:AIの平均的な精度が高くても、特定のパターンで誤りが偏ることがあります。最終的に人が確認する工程をどこに置くかを、委託先と合意しておく必要があります。
- 情報セキュリティとデータの扱い:経理データなど機密情報を外部とやり取りするため、委託先のセキュリティ体制やデータの保管・削除の方針を確認します。
- 業務プロセスの可視化が前提:現状の業務フローが属人化したままだと、AIにも人にも渡せません。何を・どの順番で・誰が行っているかを整理することが導入の前提になります。
このうち、AIと人の線引きをどこに置くかは、サービスを提供する側も設計上の論点として捉えています。経理へのAI導入に取り組む事業者は、AIの活用を進める一方で、次のように述べています。

その一方、経理領域でAIを扱ううえで欠かせないのがセキュリティの観点です。AIに任せて良いものと、必ず人が処理すべきものの線引きを明確にし、最後は人が確認するプロセスをどこまで残すかを、丁寧に設計していきたいと考えています。
AIに任せられない業務|税務申告など士業の独占業務
AI BPOや経理アウトソーシングに任せられる範囲には、法律で定められた線引きがあります。記帳や月次のとりまとめまでは委託できますが、税務申告や税務相談は税理士(税理士法人)だけが行える独占業務で、AIにも委託先にも任せられません。
税理士法は、税務代理(申告などの代理)、税務書類の作成(申告書などの作成)、税務相談の3つを「税理士業務」と定め、税理士・税理士法人以外がこれを行うことを禁じています。
税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
出典:税理士法 第五十二条(税理士業務の制限)|e-Gov法令検索
一方で、会計帳簿の記帳の代行は税理士の独占業務ではありません。税理士法は記帳代行を「税理士業務に付随して行える財務に関する事務」と位置づけており、税理士でなくても請け負えます。記帳から月次試算表の作成まではAI BPO・経理アウトソーシングに任せられ、その先の税務申告・税務相談は税理士に依頼する、という分担になります。
実際のサービスもこの線引きに沿っています。マネーフォワードのAI-BPOは、公式に「公認会計士・税理士・弁護士等の法令上資格を必要とする独占業務は提供しておりません」とし、該当する範囲は提携先の士業から提供すると明記しています。委託を検討する際は、「どこまでを委託先に任せ、どこからは税理士が必要か」を最初に確認しておくと安心です。
出典・参考資料(2件)
AI BPOの委託先を選ぶときの確認ポイント
委託先を選ぶ際は、次の点を確認すると、導入後のギャップを抑えられます。
- AIと人の分担の設計:どの工程をAIが処理し、どこで人が確認するか。確認の責任範囲が契約で明確か。
- 対応できる業務範囲:記帳・請求・経費精算など、自社が任せたい業務に対応しているか。税務申告が必要な場合に提携税理士を案内できるか。
- 料金の決まり方:業務量や委託範囲に応じてどう料金が変わるか。繁閑に合わせて調整できるか。
- セキュリティと立ち上げ:データの扱いの方針と、契約から稼働までの期間や支援体制。
AI BPOの費用の考え方
AI BPOの費用は「業界一律の相場」として示しにくいサービスです。委託する業務の量と範囲、AIと人の分担の比率によって必要な体制が変わり、料金もそれに応じて決まるためです。多くのサービスが個別見積もりを基本としているのは、この理由によります。
金額を左右する主な要素は、次の3つに整理できます。
- 業務量:仕訳や請求の件数、処理すべき書類の量
- 委託範囲:記帳だけを切り出すのか、請求・経費・給与計算まで任せるのか
- 求める納期・体制:月次をいつまでに締めるか、どこまで人の確認を手厚くするか
目安として、経理・バックオフィス向けのサービスが公開している料金例を挙げます(2026年10月時点の各社公式情報)。いずれも一例・最低料金であり、実際の金額は見積もりで決まる点に注意してください。
- 幅広い業務に対応するAI BPO「ロコアシ」:初期費用0円、月10時間45,000円(税別)から。業務量に応じてプランを調整する形。
- 経理に特化した「マネーフォワード おまかせ経理」:従業員5名の企業が経理業務を委託した場合で月額10万円(税抜)からが公式の料金例。初期費用・標準プラン表は非公開で、個別見積もり。
費用を比べるときは、金額だけでなく「その料金でどこまでの業務を・どの納期で任せられるか」をあわせて確認すると、自社に合った委託先を見極めやすくなります。
出典・参考資料(2件)
- 参考資料:ロコアシ 公式サイト|株式会社ロコタビ
- 参考資料:マネーフォワード おまかせ経理
AI BPO単体の相場は示しにくいものの、経理を含むバックオフィス業務をまとめて外部に委託した場合の月額の桁感は、業務別・プラン別の相場からおおよそ掴めます。稟議や予算折衝に向けて先に金額のレンジを押さえておきたい方は、次の記事で俯瞰表と実サービスの料金例を確認してみてください。
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経理・バックオフィスをAIと人で受けるサービス
ここまで見てきたAI BPOのうち、経理・バックオフィスを「AIと人の協働」で受けることを掲げるサービスを紹介します。まずは特徴を一覧で見比べてください。
| サービス名 | ロコアシ | マネーフォワード おまかせ経理 |
|---|---|---|
| AIと人の分担 | 専任の「生成AIディレクター」が工程ごとにAIと人材の分担を設計 | AI-BPOとしてAIと専門スタッフが協働 (AIが処理を高速化し人が正確性を担保) |
| 任せられる業務の範囲 | 経理を含むノンコア業務全般 (人事・総務・Web運用・リサーチ・資料作成など) | 経理に特化 (記帳・請求書発行・入金消込・月末支払・給与計算・月次試算表・クラウド導入支援) ※税務申告は対象外 |
| 料金の目安 | 初期費用0円 月10時間45,000円〜(税別) | 個別見積もり 従業員5名で月額10万円〜(税抜・一例) |
| 特徴 | 小さく始めて範囲を広げられる 未消化時間は翌月繰越・契約から平均1週間で稼働 | マネーフォワード クラウド前提で経理を一括委託 利用にはクラウドへの切り替えが前提 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
ロコアシ(株式会社ロコタビ)

ロコアシは、公式に「AI×プロのハイブリッド型オンライン秘書・AI BPO」を掲げるサービスです。「生成AIディレクター」と呼ぶ専任担当者が窓口となり、ChatGPT・Claude・Geminiといった生成AIと専門人材を組み合わせて、経理を含む企業のノンコア業務を幅広く代行します。どの工程をAIに任せ、どこで人が受け持つかをディレクターが設計する点が特徴です。
月10時間のスモールプラン(45,000円/税別)から始められ、初期費用はかかりません。使いきれなかった時間は翌月に繰り越せるため、小さく試してから範囲を広げたい企業に向いています。
マネーフォワード おまかせ経理(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード おまかせ経理は、同社のAI-BPOブランドのもとで提供される、中小企業向けの経理アウトソーシングです。マネーフォワード クラウドの導入支援から、記帳代行、請求書発行・入金消込、月末支払・給与計算、月次試算表の作成までを任せられます。AI-BPOとしてAIと専門スタッフが協働し、処理をAIが高速化して正確性は人が担保する体制を掲げています。
料金は従業員5名で月額10万円(税抜)からが公式の一例で、業務範囲に応じた個別見積もりです。決算申告などの税務業務は税理士法の関係で範囲外とされ、士業の独占業務は提携先が対応します。利用にはマネーフォワード クラウドへの切り替えが前提となる点も確認しておきましょう。
ここで紹介したのはAIと人の協働を前面に掲げるサービスですが、経理の委託先はこのほかにも、記帳だけを切り出せるタイプから月次決算まで任せられるタイプまで幅広くあります。委託できる業務範囲・料金相場・タイプ別の選び方をまとめて見比べて検討したい方は、次の記事もあわせてご覧ください。
経理アウトソーシングおすすめ19選を比較|委託できる業務範囲・料金・タイプ別の選び方
経理担当者が一人に偏り、退職や産休で業務が止まってしまう。記帳や支払、経費精算といった定型作業に追われ、決算や資金繰りの分析に手が回らない。そんな悩みを抱える経営者や管理部門の方は少なくありません。 経理業務を外部の専門事業者に委託する「経…
AI BPO導入の進め方
最後に、AI BPOを導入するときの進め方を、一般的なステップで整理します。いきなり全業務を任せるのではなく、小さく試してから広げるのが定石です。

- 業務の棚卸しとAI適用領域の特定:いまの業務を書き出し、「AIで下処理し人が確認する」形に分けられる定型業務を見つけます。請求書や領収書の読み取りのような、読み取り・転記が多い処理から試すと効果が見えやすくなります。
- 委託先の選定と小規模なお試し:一部の業務から委託し、AIと人の分担や品質、コミュニケーションの進めやすさを確かめます。
- 効果測定と本格展開:工数の削減や品質を確認し、問題がなければ委託する業務範囲を広げていきます。
この進め方は、委託先が導入時に提示する流れともおおむね共通しています。自社だけで抱え込まず、業務設計の段階から委託先に相談すると、立ち上げがスムーズになります。
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まとめ
AI BPOは、AIが定型処理を高速に担い、人が確認と判断を受け持つ業務委託の形です。人手中心の従来BPOや、ルールベースのデジタルBPO(RPA)と比べて、例外や量の増減に対応しやすい点が違いになります。
経理・バックオフィスでは、記帳や請求処理、経費精算といった定型業務をAIと人で分担して任せられます。ただし税務申告や税務相談は税理士の独占業務で、委託できる範囲には線引きがあります。費用は業務量と範囲で決まるため、個別見積もりが基本です。
自社のどの業務を任せられるかを棚卸ししたうえで、まずは小さく試してみるのがおすすめです。経理をAIと人で受けるサービスの資料を見比べて、自社に合う委託先を検討してみてください。
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AI BPOに関するよくある質問(FAQ)
Q. AI BPOとは何ですか?
AI BPOとは、業務の外部委託(BPO)に生成AIやAI-OCRなどのAI技術を組み合わせ、AIが定型処理を高速に担い、人が確認と判断を受け持つ業務委託の形態です。AIがすべてを自動でこなすわけではなく、判断に迷う例外処理や最終的な正しさの確認は人が受け持つため、処理スピードと品質を両立しやすいのが特徴です。
Q. AI BPOとRPA(従来のBPO)の違いは何ですか?
AI BPOとRPA(デジタルBPO)の違いは、RPAがあらかじめ決めたルールどおりに定型業務を自動実行するのに対し、AI BPOは生成AIやAI-OCRでルール化しにくい入力まで処理し、最後は人が確認する点にあります。人が作業そのものを代行する従来のBPOとは、処理の多くをAIが引き受ける点で異なります。
RPAは手順が決まった作業の自動化に強い一方、書式のばらつきや例外に弱く、手順が変わるたびに作り直しが必要になりがちです。AI BPOは、書式の異なる請求書の読み取りのようなルール化しづらい処理をAIが下ごしらえし、人が最終確認を担うため、業務量の増減や例外に対応しやすいのが特徴です。
Q. AI BPOとBPaaSの違いは何ですか?
AI BPOとBPaaSの違いは、業務を外部に任せる点は共通しつつ、提供のされ方が異なる点にあります。AI BPOはAIと人が自社の業務に合わせて実務を代行する委託であるのに対し、BPaaS(Business Process as a Service)は定型業務の処理をクラウド基盤で標準化・パッケージ化し、月額や従量制で提供する形態を指します。
AI BPOは自社の業務フローに合わせて柔軟に設計しやすく、例外的な処理や最終確認まで委託先が担います。BPaaSは標準化された仕組みを使う分だけ導入しやすく費用も読みやすい一方、自社の個別事情に合わせた作り込みはしにくい傾向があります。自社の業務に合わせて任せたいか、標準化された仕組みを手早く使いたいかで選び分けるとよいでしょう。
Q. AI BPOはオンライン秘書や経理代行と何が違いますか?
AI BPOとオンライン秘書・経理代行は、作業を人が代行する従来型に対し、AI BPOが定型処理をAIに任せて人は確認と判断に回るよう工程を設計する点で異なります。同じ「経理などを外部に任せる」仕組みでも、処理のスピードや対応できる業務量を伸ばしやすいのが特徴です。
従来のオンライン秘書や経理代行は、窓口担当の後ろにいる人材チームが作業を進める構成が一般的です。AI BPOでは、ひとつの作業を工程単位で分け、AIに任せる工程と人が受け持つ工程を切り分けて組み立てます。実際、ロコアシのように「AI×プロのハイブリッド型オンライン秘書・AI BPO」を掲げ、専任のディレクターがAIと人の工程を設計するサービスもあります。
Q. AI BPOを導入すると、社内の経理担当者は不要になりますか?
AI BPOを導入しても、社内の経理担当者がまったく不要になるわけではありません。AI BPOはAIが定型処理を担い、人が確認と判断を受け持つ仕組みのため、自社側にも委託内容を確認したり、イレギュラーな判断を下したりする担当者が引き続き必要です。
むしろ狙いは、請求書の読み取りや仕訳といった定型作業から担当者を解放し、資金繰りの管理や経営判断に近い業務へ時間を振り向けることにあります。人員を減らすためというより、限られた人員をコア業務に集中させる選択肢として検討するのが現実的です。
Q. AI BPOはAIが処理すると聞きますが、品質や正確性は大丈夫ですか?
AI BPOでは、AIの処理結果を人が確認する工程が組み込まれているため、AIに任せきりにはしません。AIの平均的な精度が高くても、特定のパターンで誤りが偏ることがあるため、最終的な正確性は人のチェックで担保する設計が一般的です。
そのため委託先を選ぶ際は、どの工程をAIが処理し、どこで人が確認するのか、確認の責任範囲が契約で明確になっているかを確かめることが重要です。「AIがすべて自動でこなす」とうたうだけで人の確認工程が見えないサービスには注意しましょう。
Q. AI BPOに税務申告や決算まで任せられますか?
いいえ、税務申告や税務相談は税理士(税理士法人)だけが行える独占業務で、AI BPOや経理アウトソーシングには任せられません。委託できるのは記帳代行や月次試算表の作成などで、その先の申告・税務相談は税理士に依頼する分担になります。
税理士法は、税務代理・税務書類の作成・税務相談を「税理士業務」と定め、税理士・税理士法人以外がこれを行うことを禁じています(第52条)。一方で会計帳簿の記帳代行は独占業務ではないため、AI BPO・経理アウトソーシングでも請け負えます。委託先を選ぶ際は、税務申告が必要になった場合に提携税理士を案内できるかもあわせて確認すると安心です。
出典・参考資料(2件)
Q. AI BPOの費用はどのように決まりますか?相場はありますか?
AI BPOの費用は、「業界一律の相場」としては示しにくく、委託する業務量・委託範囲・求める納期や体制に応じて決まる個別見積もりが基本です。仕訳や請求の件数といった業務量、記帳だけか給与計算まで任せるかといった委託範囲、月次をいつまでに締めるかといった納期・体制によって、必要な体制と料金が変わるためです。
掲載サービスの公式の料金例や、金額が何で決まるかの詳しい考え方は、本文の「AI BPOの費用の考え方」で解説しています。
Q. 中小企業でもAI BPOは導入できますか?
はい、中小企業でもAI BPOは導入できます。経理・バックオフィス向けのサービスには、小規模から始められる料金プランを用意しているものが多く、従業員数の少ない企業を主な対象に掲げるサービスもあります。
本記事で紹介するサービスにも、月数時間・数万円規模のスモールプランから始められるものがあります。いきなり全業務を任せず、一部の定型業務から小さく試して範囲を広げられるため、人手や予算が限られる中小企業ほど検討する価値があります。
Q. AI BPOに経理データを預けても、セキュリティ面は安全ですか?
AI BPOの利用では経理データなど機密情報を外部とやり取りするため、委託先のセキュリティ体制とデータの保管・削除の方針を事前に確認することが前提になります。サービス側の対策任せにせず、委託する側が確かめるべき項目です。
具体的には、データの保管場所や暗号化、アクセス権限の管理、契約終了時のデータ削除の扱い、情報を扱うスタッフの管理体制などを確認します。経理情報は特に秘匿性が高いため、契約前にこれらを書面で確かめておくと、導入後のトラブルを避けられます。
Q. AI BPOは今使っている会計ソフトやクラウドと連携できますか?
AI BPOが現在の会計ソフトやクラウドと連携できるかは、サービスによって異なり、特定のクラウド会計ソフトの利用を前提とするものもあります。委託先が対応しているソフトや、クラウドの切り替えが前提になるかは、契約前に確認が必要です。
たとえばマネーフォワード おまかせ経理は、マネーフォワード クラウドの利用を前提とし、クラウドの導入支援もあわせて提供されます。一方、幅広いノンコア業務に対応するタイプでは、自社が使っているツールに合わせて作業を設計できる場合もあります。現在の会計ソフトを変えたくない場合は、その点を最初に伝えて対応可否を確かめておきましょう。
Q. AI BPOはどのくらいの期間で使い始められますか?
AI BPOを使い始めるまでの期間は委託する業務の範囲によって幅がありますが、一部の定型業務からであれば比較的短期間で稼働できます。AI BPOの導入は、業務の棚卸しとAIに任せる工程の設計が前提になるため、任せる範囲が広いほど準備に時間がかかります。
たとえばロコアシは、契約から平均1週間で稼働するとしています。まずは一部の業務から小さく試し、効果を確認しながら委託する範囲を広げていく進め方が一般的です。立ち上げをスムーズにするためにも、業務設計の段階から委託先に相談するとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















