脆弱性診断ツールを導入するなら、多くの企業に使われている実績のあるツールを選びたい、と考える担当者は少なくありません。公式サイトには「国内シェアNo.1」「市場シェア1位」といった言葉が並びますが、その根拠が第三者の調査なのか、提供会社自身の表明なのかは、見ただけでは分かりにくいのが実情です。
では、どのツールが実際に広く使われていて、その「シェア」はどこまで信頼してよいのでしょうか。自社で繰り返し回せる自動診断ツールから、ネットワークやクラウドまで継続的に監視する脆弱性管理ツール、無料で試せるオープンソースまで、選択肢の幅も広がっています。
本記事では、脆弱性診断ツールを市場シェア・国内シェア・導入実績で比較します。主要なツール18種類について、シェアや実績の数値を出典とともに整理し、「シェア1位」という表記の読み解き方、診断対象や料金を含めた選び方までをまとめました。自社の規模や運用体制に合うツールを、実績という裏づけとともに選ぶための検討材料としてご活用ください。
さらに、いくつかの質問に答えるだけで自社の条件に合うツールの候補が分かる選定診断ツールも、記事内に用意しています。
目次
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脆弱性診断ツールとは(定義と診断対象の前提)
脆弱性診断ツールとは、Webアプリケーションやサーバー、ネットワーク機器などに存在するセキュリティ上の弱点(脆弱性)を、攻撃者に悪用される前に検出するためのソフトウェアです。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった既知の攻撃手法に対して疑似的な検査を行い、どこに問題があるかをレポートとして出力します。
専門の診断会社に依頼する「診断サービス」と異なり、ツールは自社の担当者が導入して繰り返し実行できる点が特徴です。開発やリリースのたびに自分たちで検査を回せるため、運用コストを抑えながら継続的にセキュリティを確認したい企業に向いています。
診断できる対象(Web・API・プラットフォーム)
脆弱性診断ツールが検査できる対象は、製品によって範囲が異なります。自社が守りたい資産がどこにあるかによって、必要なツールも変わります。
- Webアプリケーション診断:会員サイトやECサイトなど、公開しているWebアプリの入力フォームや画面遷移を検査する
- API診断:画面を持たないAPIのリクエスト・レスポンスを対象に、認証やデータの扱いの不備を検査する
- プラットフォーム(ネットワーク)診断:サーバーOS・ミドルウェア・ネットワーク機器の設定不備や既知の脆弱性を検査する
Webアプリを中心に素早く回したいのか、社内システムやクラウド基盤まで含めて継続的に管理したいのかで、適したツールの種類は分かれます。この違いは後述のタイプ分類と選び方で詳しく整理します。
脆弱性診断ツールのシェア・導入実績をどう見るか
どのツールが広く使われているかを判断する手がかりは、調査会社による市場シェア、提供会社が公表する導入社数や診断実績、比較サイト上の資料請求数の3つです。それぞれ数える対象が違うため分けて見る必要があります。各ツールがどの市場区分で何位か、導入実績はどの程度かは、出典(第三者調査か自己申告か)を併記して主要な脆弱性診断ツールの比較表に一覧しました。

市場シェアの代表的な指標は、調査会社ITR(アイ・ティ・アール)の市場調査レポート「ITR Market View:サイバー・セキュリティ対策市場2026」です。脆弱性診断・管理の市場を区分ごとに分け、ベンダー別の売上金額シェアを算定しており、特定の市場区分で売上金額シェア1位(2024年度)と公表しているツールがあります。
ただし、このレポート本体(各社のシェア率の一覧)は有償で一般公開されていないため、本記事では各社が公表した「どの市場区分で1位か」という事実までを扱い、シェア率そのものには踏み込みません。第三者調査で順位を確認できるツールは限られ、多くのツールは提供会社が公表する導入社数や診断実績で利用の広がりを示しています。これらの数字を正しく読み解く視点を次に整理します。
「国内シェアNo.1」「市場シェア1位」表記の読み解き方
「シェアNo.1」という表記は訴求力がありますが、そのまま受け取る前に確認したい点がいくつかあります。同じ言葉でも、根拠の確かさには差があるためです。
第三者調査に基づくシェアか、自己申告か
最初に確かめたいのは、シェアの出どころです。ITRのような独立した調査会社が市場全体を調べて算定したシェアと、提供会社が自社の見解として表明しているシェアでは、裏づけの強さが異なります。
実際に、同じ製品であっても、ある紹介ページでは「ITR調べ・市場区分・年度つき」で根拠を明示しているのに対し、別のページでは出典を示さずに「国内シェアNo.1」とだけ書かれている、というケースがあります。出典・調査年度・指標(売上金額か導入社数か)が示されているかを確かめることで、その数字をどこまで信頼してよいかを判断できます。
どの「市場区分」での1位かを確認する
第三者調査に基づくシェアでも、「どの市場を対象にした1位か」で意味が変わります。同じITRのレポートでも、「SaaS型のWebアプリケーション脆弱性診断・管理市場」と、より広い「Webアプリケーション脆弱性診断・管理市場」のように、市場の切り方は複数あります。市場区分が違えば、それぞれ別のツールが1位になり得ます。
このように「シェア1位」という事実そのものは正しくても、どの市場区分・いつの時点・何を指標(売上金額か導入社数か)にした1位なのかをセットで確認しないと、ツール同士を正しく比べられません。比較表では、各ツールのシェア主張について市場区分名・年度・指標・出典を併記しています。
資料請求数ランキング(人気)と市場シェアは別物
比較サイトでよく見かける「資料請求数ランキング」も参考になりますが、市場シェアとは別の指標です。資料請求数ランキングは、そのサイト内でどれだけ資料が請求されたかという請求動向を集計したもので、市場全体での売上規模や利用社数を表すわけではありません。
検討初期の関心の高さを知る目安にはなりますが、「広く使われている実績」を見たい場合は、市場シェアや公式の導入実績とあわせて判断するのが確実です。
脆弱性診断ツールのタイプ(診断方式・提供形態で選ぶ)
脆弱性診断ツールは、診断の方式と提供形態によって大きく4つのタイプに分けられます。自社がどの使い方をしたいかを起点に、どのタイプが合うかを確認しましょう。

クラウド型(SaaS)の自動診断ツール
診断対象のURLを登録すると、クラウド上で自動的にクロール・スキャンを実行するタイプです。専用の環境を自社に構築する必要がなく、ブラウザから操作できるため、セキュリティ専任者がいない企業でも扱いやすいのが利点です。開発やリリースのたびに自分たちで繰り返し診断を回したい、Webアプリ中心の運用に向いています。
自動診断と手動診断を組み合わせて使えるツール
自動スキャンに加えて、診断シナリオの作成や手動での検査を組み合わせられるタイプです。複雑な画面遷移やログインが必要なページ、自動では検出しにくい脆弱性まで踏み込んで検査できます。診断の精度を重視し、専門知識を持つ担当者が運用する前提のツールです。
脆弱性管理(VM)プラットフォーム・継続診断ツール
Webアプリだけでなく、サーバー・ネットワーク機器・クラウド基盤といった自社資産全体を継続的にスキャンし、検出した脆弱性を一元管理するタイプです。資産の棚卸しからリスクの優先度づけ、対応状況の追跡までを担います。守るべき対象が広く、全社的に脆弱性を管理したい企業に向いています。
Webアプリの診断より、資産全体を継続的に管理することが主目的であれば、脆弱性管理ツールに絞って比較した記事が参考になります。SBOM対応や検出後の優先順位づけといった管理機能の違いまで踏まえて選べます。
無料・オープンソースの診断ツール
ライセンス費用をかけずに利用できる、オープンソースの診断ツールです。まず自社で脆弱性の有無を把握したい場合の入り口になりますが、導入・運用や結果の解釈に専門知識が求められ、サポートも基本的に提供されません。有償ツールとの使い分けは後述の選び方で整理します。
30秒で終わる脆弱性診断ツール選定診断
しかし、自社がどのタイプに適しているか、といった判断が難しいケースも存在します。そのような場合でも貴社の状況に合わせて最適なツールを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
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【比較表】主要な脆弱性診断ツールをシェア・導入実績・診断対象・料金で比較
ここからは、自社の要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、主要な脆弱性診断ツール18種を、シェア・導入実績・診断対象・診断方式・料金の観点で横並びに整理します。シェアや実績は、第三者調査(ITR)に基づくものか提供会社の公表によるものかを区別して記載しています。
| ツール名 | Aikido Security | AeyeScan | Securify | VAddy | SCT SECURE クラウドスキャン | Invicti/Acunetix | HCL AppScan | Vex | Burp Suite | ISM CloudOne | Nessus | Tenable VM | Qualys VMDR | Rapid7 InsightVM | OWASP ZAP | OpenVAS | Vuls | Nikto |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | SaaS自動 | SaaS自動 | SaaS自動 | SaaS自動 | SaaS自動 | SaaS自動 | SaaS自動 | 自動+手動 | 自動+手動 | VM継続 | VM継続 | VM継続 | VM継続 | VM継続 | 無料OSS | 無料OSS | 無料OSS | 無料OSS |
| シェア・導入実績 | 世界15万組織以上(開発元公式の自己申告・グローバル値。日本単独の数値ではない) | ITR調べ「SaaS型Webアプリケーション脆弱性診断・管理市場」売上金額シェア1位(2024年度・第三者調査)/有償契約500社以上(公式・2026-10-09時点) | 導入400社以上(公式・自己申告/公表時点の記載なし) | 導入企業ロゴ26社・運用10年超(公式・自己申告/累計導入社数の公表なし) | 導入200社以上(製品ページ)〜300社以上(2024年2月リリース)・累計診断1,500万回以上(2024年2月時点)/いずれも公式・自己申告 | 第三者調査なし(公式の性能訴求のみ・導入社数の公表なし) | Gartner Magic Quadrant 2025「Leader」評価(HCL公式表記・原本未確認) | ITR調べ「Webアプリケーション脆弱性診断・管理市場」売上金額シェア1位(2024年度・第三者調査)/数千サイトの診断実績(公式・自己申告) | 16,000組織で利用(公式・自己申告) | 導入9万社・世界55か国以上(公式・自己申告/IT資産管理・脆弱性管理ツール全体の累計で、脆弱性診断専用の実績ではない) | 提供元Tenable社全体で顧客4万社超(公式・自己申告/Nessus単体の導入数ではない) | 提供元Tenable社全体で顧客4万社超(公式・自己申告/本製品単体の導入数の公表なし) | 第三者調査なし(公式訴求の数値のみ・条件非明示/導入社数の公表なし) | 世界11,500社以上(公式・自己申告/時点の記載なし) | OSSのため市場シェア調査の母数外(公式は「世界で最も広く使われるWebアプリスキャナー」と記載・自己申告) | OSSのため市場シェア調査の母数外 | OSSのため市場シェア調査の母数外(日本発のOSS) | OSSのため市場シェア調査の母数外 |
| 診断対象 | Web・API・クラウド(コード〜本番) | Web・SPA(オプションでAPI・Androidアプリ) | Web・API(ASM=攻撃対象領域管理に対応) | Web・REST API | Web・ネットワーク機器 | Web・API | Web・API(DAST/SAST/IAST/SCA) | Web・API・SPA | Web・API | プラットフォーム(PC・スマートデバイス) | プラットフォーム・ネットワーク | プラットフォーム・Web・クラウド | プラットフォーム・ネットワーク・クラウド | プラットフォーム・クラウド | Web・API | ネットワーク・サーバー・機器 | プラットフォーム(サーバーのCVE) | Webサーバー |
| 診断方式 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動+手動 | 自動+手動 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動 | 自動 |
| 料金 | 月額5万円台〜(年間契約・利用者10人まで、AndGo経由) | 要お問い合わせ(One Shot/Businessプラン) | STARTER 月額5万円(年60万円・検査対象1 IP/FQDN)〜 | 初期費用0円・月額19,800円〜(税別・Professional) | 初年度 年額564,000円〜(税抜・3 IP/FQDNまで) | 要お問い合わせ(見積り制) | 要お問い合わせ | 年額660,000円〜(Vex Team・年間契約) | Community無料/Professional 499ドル〜/組織向けDASTは要お問い合わせ | 要お問い合わせ(価格表PDFを配布) | Nessus Professional 年4,790ドル〜(公式米ドル/日本円は要お問い合わせ) | 年額3,500ドル〜(100資産・公式米ドル/日本円は要お問い合わせ) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ(資産数に応じた見積り) | 無料(オープンソース) | 無料(Community Edition)/商用アプライアンスは要お問い合わせ | 無料(オープンソース) | 無料(オープンソース・GPL) |
| 無料トライアル・無料版 | 無料プランあり(2ユーザーまで) | 無料トライアルあり(2サイトまで) | 無料トライアルあり(最短即日) | 無料トライアルあり(1週間) | なし(簡易検査キャンペーンあり) | なし(デモ・評価は問い合わせ) | 無料トライアルあり(期間・条件の明示なし) | 無料トライアルあり(14日間・機能制限なし) | 無料版あり(Community Edition) | 無料トライアルあり(30日間) | 無料版あり(Nessus Essentials) | 無料トライアルあり(期間の記載なし) | 無料トライアルあり(30日間) | 無料トライアルあり(オンプレミス評価版・条件要確認) | 無料(オープンソース) | 無料(オープンソース) | 無料(オープンソース) | 無料(オープンソース) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | サービス詳細を見る | 公式サイト | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は各社公式情報・ITR調査に基づく(2026年10月時点)。料金・実績は変動するため最新は各社公式をご確認ください。
出典・参考資料(3件)
主要な脆弱性診断ツールの個別紹介
比較表で挙げた主要なツールを、タイプ別に紹介します。各ツールの診断方式・診断対象・シェアや導入実績・料金の特徴を確認し、自社の候補を絞り込む参考にしてください。
クラウド型(SaaS)の自動診断ツール
1. Aikido Security(開発元 Aikido Security BV・国内提供 株式会社AndGo)

Aikido Security は、ベルギーの Aikido Security BV が開発し、日本では株式会社AndGo が正規代理店として提供するクラウド型のセキュリティSaaSです。依存関係の脆弱性検査(SCA)や静的解析(SAST)、クラウド設定の検査(CSPM)、動的検査(DAST)などを1つのプラットフォームにまとめ、コードから本番環境までを対象にします。
導入実績は開発元公式サイトの「世界で15万組織以上」という表記が中心ですが、これはグローバルでの自己申告値であり、日本市場単独の数値ではありません。シェアの裏づけとして見る際は、第三者調査ではなく提供会社自身の公表値である点を踏まえて判断する必要があります。
検出した脆弱性に対し、AIが修正コードのプルリクエストを自動生成するAutoFixを備え、修正まで進めやすい設計です。日本での料金はAndGo経由で月額5万円台から(年間契約・利用者10人までの場合)で、2ユーザーまで使える無料プランも用意されています。
提供元の株式会社AndGoは、自動診断ツールを運用する現場で起きがちな課題について、次のように述べています。

当社がよくお聞きするのは、「アラートが多すぎて、何が重要か分からなくなって放置が始まる」という悩みです。Aikido Securityは、バラバラだったアラートを統一し、対応すべきアラートを絞れるようにします。結果として、消し込み工数を減少でき、セキュリティ運用を“手に負える状態”に寄せていけます。
2. AeyeScan(エーアイスキャン)(株式会社エーアイセキュリティラボ)

対象URLを登録すると、AIが利用者の操作に近い形でサイト内を自動巡回し、診断シナリオの生成からスキャンまでを自動化する、クラウド型のWebアプリケーション脆弱性診断ツールです。開発・提供元は株式会社エーアイセキュリティラボです。
調査会社ITRの「ITR Market View:サイバー・セキュリティ対策市場2026」で、SaaS型Webアプリケーション脆弱性診断・管理市場の売上金額シェア1位(2024年度)を獲得しています。導入実績も公式サイトで有償契約500社以上(2026-10-09時点)と公表されており、第三者調査に基づくシェアと公式の導入社数の両方を確認できます。
診断対象はWebアプリ・SPAに加え、オプションでAPI、2026年9月提供開始のAndroidアプリにも広がっています。料金はサイト数や用途に応じた個別見積もりで、One Shot(15日間・1サイト)とBusiness(1年間・サイト数無制限)のプランがあり、2サイトまで試せる無料トライアルも用意されています。
3. Securify(セキュリファイ)(株式会社スリーシェイク)

株式会社スリーシェイクのSecurifyは、ASM(攻撃対象領域管理)と脆弱性診断を1つのサービスで扱えるクラウド型ツールです。画面遷移の巡回から疑似攻撃の送信、応答の検証までを自動で実行し、診断の日時や頻度をスケジュール設定できます。
API経由での診断実行にも対応し、CI/CDパイプラインに組み込んで継続的に診断を回せます。導入実績は公式サイトで400社以上と記載されています(公表時点の記載はありません)。
脆弱性診断の料金は公開されており、STARTERが月額5万円(年間60万円・検査対象1 IP/FQDN)、BASICが月額10万円〜(検査対象3 IP/FQDN〜)で、いずれも診断回数の制限はありません。最短即日で使える無料トライアルもあります。
4. VAddy(バディ)(株式会社ビットフォレスト)

CI/CDパイプラインへの組み込みを前提に設計された、クラウド型のWebアプリケーション脆弱性診断ツールです。開発・運用は、クラウド型WAF「Scutum」と同じ株式会社ビットフォレストのチームが手がけています。
WebAPIやコマンドラインツール、cronからスキャンを起動でき、リリース前や夜間に繰り返し自動診断を回せます。スキャン回数は無制限で、診断対象はWebアプリケーションのほかREST APIサーバーにも対応します。公式サイトには導入企業26社のロゴとサービス開始から10年を超える運用実績が示されています(累計導入社数の公表はありません)。
料金は公開されており、初期費用0円・月額19,800円(税別)のProfessionalから、Enterprise(月額59,800円)、Advanced(月額99,800円)までの3プランで、診断できる項目数が5・11・18と分かれます。1週間の無料トライアルで試せます。
5. SCT SECURE クラウドスキャン(三和コムテック株式会社)

Webサイトとネットワーク機器をインターネット経由で毎日自動診断する、クラウド型のスキャンサービスです。提供元の三和コムテック株式会社は2004年から本サービスを展開し、累計の診断回数は1,500万回以上(2024年2月時点の公表値)に達しています。
導入実績は、製品ページでは「200社以上」、2024年2月のニュースリリースでは「300社以上」と公表時期によって表記が分かれます。PCI DSSが求める外部脆弱性診断(ASV診断)と同じテスト内容を採用し、ASV資格を持つ診断エンジンを使う点も特徴です。
料金は年単位の契約で、3 IP/FQDNまでで初年度が年額564,000円(税抜、ライセンス504,000円+初期設定60,000円)、2年目以降は504,000円です。4 IP/FQDN以降は1件ごとにライセンス140,000円が加算されます。製品を一定期間試すトライアルはなく、技術者がリモートで行う簡易検査キャンペーンが用意されています。
6. Invicti/Acunetix(Invicti Security Corp.)

大企業向けの「Invicti」(旧Netsparker)と、中堅・中小向けの「Acunetix」(現Invicti Web + API)という2ブランドを展開する、DAST(動的アプリケーションセキュリティテスト)ツールです。提供元は米国テキサス州のInvicti Security Corp.です。
稼働中のWebアプリケーションやAPIを外側から診断し、検出した脆弱性を自動で安全に再現して誤検知かどうかを機械的に確定するProof-Based Scanningを備えます。REST・GraphQL・SOAPのAPI探索やCI/CD・Jira連携にも対応します。公式サイトが掲げる検出精度などの数値は、いずれも提供元自身の訴求で第三者による検証は確認できていません。
料金は公式サイトに定価の記載がなく、デモや問い合わせをもとにした見積り制で、具体額は要お問い合わせとなります。日本国内では代理店(パートナー)経由での販売・サポートが中心です。
7. HCL AppScan(HCLSoftware)

2019年にIBMから取得された、アプリケーションセキュリティテストの製品群です。提供元はHCL Technologies傘下のHCLSoftwareで、クラウド型のAppScan on Cloudやデスクトップ版のAppScan Standardなど複数の製品が、DAST・SAST・IAST・SCAといった診断方式を製品ごとに提供します。
HCL公式によると、2025年のGartner Magic Quadrant for Application Security TestingでLeaderと評価されています(Gartner原本での確認は未実施)。静的解析では、独自の分析機能により誤検知を最大98%削減すると公式が訴求しています(算出条件の記載はなし)。
料金は公式サイトに記載がなく、初期費用・月額とも要お問い合わせです。AppScan on CloudとStandardには無料トライアルの案内がありますが、期間・条件は明示されていません。日本語の製品ページとヘルプは用意されているものの、国内の代理店や電話窓口は公式情報からは特定できませんでした。
自動診断と手動診断を組み合わせて使えるツール
8. Vex(株式会社ユービーセキュア)

株式会社ユービーセキュアが2007年から提供する、Webアプリケーション向けの脆弱性診断ツールです。対象URLに疑似的な攻撃リクエストを送るDAST方式を基盤に、ログイン後の画面遷移を再現するシナリオ診断やAPI診断まで自社で実行できます。
調査会社ITRの「ITR Market View:サイバー・セキュリティ対策市場2026」では、Webアプリケーション脆弱性診断・管理市場のベンダー別売上金額シェアで1位(2024年度実績)とされています。公式サイトでは数千サイトに及ぶ診断実績も公表されており、市場区分つきの第三者調査で利用の広がりを確認できるツールです。
ツール自体がシナリオ診断で手動的な検査に対応するほか、提供元のユービーセキュアはVexと診断士による手動診断を組み合わせた診断代行サービスも手がけています。自動スキャンを自社で回しつつ、精度が必要な場面は専門家に委ねる使い分けがしやすい点も特徴です。
料金は「Vex Team」が年額660,000円から(2026年10月時点の公式情報)で、機能制限のない14日間の無料トライアルが用意されています。年間ライセンス制のため、継続的に自社で診断を回す運用に向いています。
9. Burp Suite(PortSwigger Ltd.)

Webアプリケーションの手動セキュリティテスト向けのツールキットです。開発元は英国のPortSwigger Ltd.で、ブラウザとサーバーの間で通信を傍受・改変するインターセプトプロキシを中核に、リピーターやイントルーダーといった手動検査用のモジュールを備えます。
上位のProfessional版には自動の脆弱性スキャナー「Burp Scanner」が内蔵され、手動ツールと自動スキャンを1本で併用できます。公式サイトによると16,000の組織で利用されているとされ、国内外の診断ベンダーも実務で用いています。
無料のCommunity Editionから始められ、自動スキャナーを含むProfessionalは公式購入ページで499ドルと表示されています(課金単位は要確認)。組織向けの自動スキャン基盤であるDASTの価格は要お問い合わせです。
脆弱性管理(VM)プラットフォーム・継続診断ツール
10. ISM CloudOne(クオリティソフト株式会社)

クオリティソフト株式会社が提供するクラウド型のIT資産管理・セキュリティ対策ツールで、PCとスマートデバイスの資産管理に自動脆弱性診断やデバイス制御を組み合わせ、1つの管理コンソールで扱えます。管理サーバーの自社構築が不要で、在宅勤務や海外拠点の端末もインターネット経由で管理できます。
脆弱性対応では、端末のあるべき状態をまとめた「セキュリティ辞書」を1日1回各端末と突合し、どの端末に脆弱性があるかを自動でレポート化します。検知・可視化が中心で、是正は管理者が対象端末を選んで実行する運用です。Windows Updateの適用状況の管理も備えます。
公式サイトは「導入90,000社突破」「世界55か国以上での利用」を掲げていますが、これはIT資産管理・脆弱性管理ツール全体の累計導入社数であり、脆弱性診断専用の実績ではありません。料金は価格表PDFの配布のみで具体額は公開されておらず、30日間の無料トライアルから試せます。
11. Nessus(Tenable, Inc.)

1998年に公開されたソフトウェア型の脆弱性スキャナーです。Tenable, Inc.(日本法人はTenable Network Security Japan株式会社)が提供し、自社のサーバーやネットワーク機器などにインストールして、既知の脆弱性(CVE)や設定不備、コンプライアンス違反を自動で検出します。
公式ページによると336,000件以上のCVEをカバーし、450以上のポリシー・テンプレートを内蔵します。検出した脆弱性は、CVSS(脆弱性の深刻度を表す共通指標)・EPSS(悪用される可能性を示すスコア)や、独自指標のVPR(脆弱性優先度の格付け)で優先度付けされます。なお公式が示すTenable社全体の40,000社超という顧客数は、Nessus単体の導入数ではありません。
料金はサブスクリプション型で、脆弱性診断向けのNessus Professionalが1年4,790ドル、Webアプリスキャン等を追加したNessus Expertが1年6,790ドルです(公式の米ドル・税込価格、1ライセンス)。日本円価格は公式に掲載がなく、国内代理店経由の購入価格は要お問い合わせです。検証・学習向けの無償版Nessus Essentialsも提供されています。
12. Tenable Vulnerability Management(Tenable, Inc.)

Nessusの技術を基盤に、クラウドで管理する脆弱性管理プラットフォームで、旧称はTenable.io、公式の現行呼称は「Tenable One Vulnerability Management」です。Tenable, Inc.が提供し、OSを備えた物理・仮想デバイス、FQDNを持つWebアプリ、稼働中のクラウドリソースを対象に、資産の継続的な検出と評価を行います。
検出した脆弱性は、脅威インテリジェンスや悪用状況を反映するVPR(脆弱性優先度の格付け)で優先順位付けし、双方向チケッティングやガイド付きの修正手順で対応を支援します。インストール型のNessusと異なり、自社でスキャンを継続的に回すSaaS型の運用が前提です。
料金は資産数に応じた年額サブスクリプションで、100資産の構成が1年3,500ドル(公式の米ドル価格)です。日本円価格は公式に掲載がなく、国内の販売パートナー経由での見積もりが必要です。公式サポートへの問い合わせは英語での対応が条件とされ、日本語サポートの範囲はパートナーごとに確認が要ります。
13. Qualys VMDR(Qualys, Inc.)

米Qualys社がQualys Cloud Platform上で提供するクラウド型の脆弱性管理プラットフォームです。資産の発見・インベントリから継続的な脆弱性評価、優先順位付け、対応パッチの作成までを同一基盤で扱います。エンドポイントに導入するCloud Agentと、ネットワークスキャンを併用できます。
独自指標のTruRiskと「25を超えるリアルタイム脅威インテリジェンスソース」でリスクを定量化し、CVSSやEPSSだけでは誤りやすい優先順位付けを補う考え方を採ります。PCI 4.0を含むPCI ASV評価やCISベンチマーク評価にも対応します。
公式は「重大な脆弱性を最大85%削減」「MTTRを最大60%削減」などの数値を掲げますが、いずれもQualys自身が公表する値で、比較対象や条件は明示されていません。料金は公開されておらず要お問い合わせで、30日間の無料トライアルが用意されています。
14. Rapid7 InsightVM(Rapid7, Inc.)

現在は統合製品「Exposure Command」の一部として案内されている脆弱性管理ツールです。Rapid7, Inc.が提供し、自社環境にSecurity ConsoleとScan Engineを設置して資産をスキャンします。Insight Agentの併用や、クラウド・VMware・Active Directoryからの資産検出にも対応します。
内部スキャンの結果と外部の攻撃対象領域(アタックサーフェス)の情報を1つのリスクモデルで扱い、攻撃者が到達できるリスクを優先して修正順を絞り込みます。ServiceNowやJiraとのチケット連携も備えます。公式は世界で11,500社以上の顧客を公表しています(時点の記載なし)。
現在の公式ページには金額の掲載がなく、料金は資産数に応じた見積もりで要お問い合わせです。日本語のサイトと日本法人があり、オンプレミス評価用のダウンロードページも用意されていますが、日本語サポートの言語・対応時間は公式に明記されていません。
無料・オープンソースの診断ツール
15. OWASP ZAP(ZAP Dev Team/Checkmarx 支援)

ブラウザと対象Webアプリの間にプロキシとして入り、通信を傍受しながらスパイダー・受動スキャン・能動スキャンで脆弱性を検出する、無料・オープンソースのWebアプリケーション脆弱性スキャナー(DAST)です。公式は、世界で最も広く使われているWebアプリスキャナーと記載しています。
GUI・CLI・Docker・APIを備え、Automation Frameworkを使えばCI/CDに組み込んだ自動診断ができます。アドオンのマーケットプレイスで機能を拡張でき、コミュニティが活発な点も、無償で一次的なWeb診断を回したい場合の候補になります。
料金は無料(オープンソース)です。一方で誤検知の確認や複雑な認証フローの診断には手動の知見が必要で、サポートはコミュニティベースにとどまり、日本語の公式問い合わせ窓口はありません。オープンソースのため、調査会社の市場シェア調査の母数には含まれません。
16. OpenVAS(Greenbone AG)

IPで到達できるネットワーク機器・サーバーから、ルーターやVoIP機器、産業機器までを対象に、既知脆弱性や設定不備を検査するオープンソースの脆弱性スキャナーです。Greenbone社の脆弱性管理ソリューションのスキャンエンジンにあたります。
無償のGreenbone Community Edition(OpenVAS)は自社サーバーに構築して使え、ネットワークの脆弱性スキャンを費用をかけずに始められます。より広い範囲を継続的に管理したい場合は、エンタープライズフィード(10万件超の脆弱性テスト)を持つ商用アプライアンスへ移行できます。
料金はCommunity Editionが無料(オープンソース)、商用アプライアンスは環境に応じて変動し要問い合わせです。Community Editionは構築・運用に専門知識が要り、サポートはコミュニティベースで、Webアプリの深い動的診断よりネットワーク・サーバー・機器の検査が主眼です。
17. Vuls(Vuls プロジェクト)

NVD・JVN・OVALなどの脆弱性情報をもとに、Linux・FreeBSDサーバーにインストール済みのソフトウェアの既知脆弱性(CVE)を検出する、日本発の無料・オープンソースのエージェントレス脆弱性スキャナーです。
SSH経由のリモートモードと対象サーバー上で動かすローカルモード、高速なfastモードと詳細なdeepモードを使い分けられます。NVDに加えて日本語情報のJVNも参照し、Slack・Email通知と組み合わせれば定期的な脆弱性チェックを自動化できます。
料金は無料(オープンソース)です。対象はサーバーのインストール済みソフトの既知脆弱性が主眼で、WebアプリのDASTやペネトレーションテストは対象外です。導入・運用にはLinuxの知識が要り、サポートはコミュニティベースですが、国産OSSのため日本語の情報は比較的多く見つかります。
18. Nikto(CIRT.net)

Webサーバーを対象に、危険なファイルやCGI、古いバージョンのソフトウェア、設定不備といった既知項目を網羅的にチェックする、無料・オープンソースのコマンドライン型スキャナーです。Perl製で、Kali Linuxなどに標準同梱されています。
コマンドラインで軽量に動き、複数ポート・複数サーバーのスキャンやSSLに対応します。スキャン項目・プラグインのデータベースは頻繁に更新され、自動更新もできます。
料金は無料(オープンソース、GPL)です。Webアプリの深い動的診断より、Webサーバーの設定不備や既知項目のチェックが主眼で、スキャンは検知されやすく、誤検知の確認も手動の知見が要ります。サポートはコミュニティベースで、有償のベンダーサポートはありません。
脆弱性診断ツールの選び方(シェア・実績で失敗しない選定)
ここからは、脆弱性診断ツールを選ぶ際に確認したい観点を整理します。実績を安心材料にしつつ、自社の診断対象・予算・運用体制に合うかどうかで絞り込むのが失敗しない進め方です。
導入実績・シェアで選ぶ場合、何を見ればよいか
実績を判断材料にする場合は、数字の出どころと対象を必ず確認するのが要点です。第三者調査によるシェアであれば市場区分・調査年度・指標を、提供会社公表の実績であれば数える単位(契約社数・導入社数・診断サイト数)と時点を見ます。自社と近い規模・業種での導入実績があるかどうかも、運用後のイメージをつかむ手がかりになります。
広く使われているツールは情報や事例も見つけやすく、社内で導入の合意を得やすい利点もあります。
診断対象(Web・API・プラットフォーム)で選ぶ
守りたい範囲とツールの診断対象を一致させることが、この軸の要点です。公開しているWebアプリが中心ならWebアプリ診断に強いツールを選びます。外部公開APIがあればAPI診断への対応を、社内システムやクラウド基盤まで守りたいならプラットフォーム診断や脆弱性管理への対応を確認します。守りたい範囲とツールが検査できる範囲がずれていると、導入しても肝心の弱点を見逃すことになります。
外部公開するAPIがある場合、Webアプリ診断では拾いにくい認可の不備(OWASP API Top10)などAPI固有の観点を押さえておくと、対応範囲の見極めを誤りません。API診断で何を検査し、どう選ぶかは次の記事で解説しています。
料金・費用相場で選ぶ
料金体系は、診断対象の数(サイト数・IPアドレス数・資産数)や診断の頻度に応じた年額・月額のライセンス制が一般的です。診断する資産が増えるほど費用も上がるため、まず検査したい対象の数を把握してから見積もると過不足がありません。多くのツールが具体的な価格を公開せず「要お問い合わせ」としているため、無料トライアルや無料版で使い勝手を確かめてから見積もりを取ると、導入後のギャップを抑えられます。
自社の運用体制・サポートで選ぶ
ツールは導入して終わりではなく、定期的に診断を回し、検出された脆弱性を評価・修正する運用が続きます。セキュリティ専任者がいない場合は、専門知識がなくても結果を理解できる画面か、日本語の電話・メールサポートや導入時のトレーニングがあるかを確認します。
逆に専任のセキュリティ担当がいるなら、診断シナリオを細かく作り込めるツールのほうが精度を高められます。自社の体制に合わない高機能ツールは、使いこなせずに実績を活かせないおそれがあります。
無料OSSツールと有償ツール、どちらで始めるか
予算をかけずにまず脆弱性の有無を把握したい場合、オープンソースの診断ツールは有力な選択肢です。ライセンス費用がかからず、Webアプリ診断やネットワーク診断を自社で試せます。一方で、導入・設定や検出結果の解釈には専門知識が必要で、公式サポートは基本的にありません。検出漏れや誤検知の判断も自社で行う必要があります。
有償ツールは、サポート・レポートの分かりやすさ・継続的な検査パターンの更新・導入実績に裏打ちされた安定性で勝ります。セキュリティ人材が限られる企業や、継続的に責任を持って診断を回す必要がある場合は、実績のある有償ツールのほうが運用の負担を抑えられます。まず無料ツールで課題感をつかみ、本格運用で有償ツールに移行する進め方も現実的です。
自分で回すツールか、専門会社の診断サービスか(選び分け)
脆弱性診断には、本記事で扱う「自社で回すツール」のほかに、専門の診断会社に依頼する「診断サービス」という選択肢があります。どちらが自社に合うかは、診断の頻度・社内の体制・求める精度で分かれます。
ツールは、導入後は自社の担当者が何度でも診断を実行できるため、開発サイクルに合わせて繰り返し検査したい場合や、継続的なコストを抑えたい場合に向いています。一方、専門会社による診断サービスは、熟練の技術者が手動で深く検査し、報告書まで仕上げてくれるため、リリース前の総点検や、社外への説明責任が求められる場面で安心感があります。
ツールによる自動診断と専門家の手動診断の両方を手がける診断会社からは、ツールが効率的に担える範囲と、人の目が要る範囲の違いについて、次のような指摘があります。
ツールを使えば大量の項目を短期間で効率的に診断できますが、ビジネスロジックに関わる部分や、複数の脆弱性の組み合わせで一つの問題が起きるようなケースは、単一のツールでは取りこぼしやすい領域です。そこは人間の目で判断する必要が必ずありますので、両方を組み合わせて診断しています。
自社で回すツールを導入しつつ、重要なリリース時だけ専門会社の診断を併用する、といった組み合わせも一般的です。診断サービスも含めて総合的に比較・検討したい場合は、診断方法・費用相場・選び方を解説した次の記事で、主要な診断サービスを横並びに確認できます。
まとめ
脆弱性診断ツールをシェアや導入実績で選ぶ際は、「シェア1位」という表記をそのまま受け取るのではなく、第三者調査に基づくものか自己申告か、どの市場区分・年度・指標での数字かを確認することが出発点になります。資料請求数ランキングは市場シェアとは別の指標である点にも注意が必要です。
そのうえで、自社の診断対象(Web・API・プラットフォーム)、料金、運用体制に合うかで絞り込めば、実績という安心材料を活かしながら自社に適したツールを選べます。本記事の比較表と選定診断ツールを使って、候補を具体的に比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 脆弱性診断ツールとは何ですか?
A. 脆弱性診断ツールとは、Webアプリケーションやサーバーなどのセキュリティ上の弱点を、自社の担当者が繰り返し検出できるソフトウェアです。
専門の診断会社に依頼する「診断サービス」と異なり、導入後は開発やリリースのたびに自分たちで検査を実行できます。運用コストを抑えながら継続的にセキュリティを確認したい企業に向いており、診断できる対象(Web・API・プラットフォーム)は製品によって範囲が異なります。
Q. 脆弱性診断ツールの市場シェアと資料請求数ランキングは何が違うのですか?
A. 脆弱性診断ツールの市場シェアと資料請求数ランキングは、数えている対象がまったく異なる別々の指標です。
市場シェアは調査会社が市場全体の売上金額や利用規模を算定したもので、資料請求数ランキングは特定の比較サイト内でどれだけ資料が請求されたかという検討初期の関心度を集計したものです。資料請求数は人気の目安にはなりますが、市場全体での売上規模や利用社数を表すわけではありません。「広く使われている実績」を確かめたい場合は、市場シェアや公式の導入実績とあわせて判断するのが確実です。
Q. 脆弱性診断ツールの「国内シェアNo.1」という表記はどこまで信頼できますか?
A. 脆弱性診断ツールの「国内シェアNo.1」表記の信頼度は、その根拠が独立した第三者調査によるものか、提供会社自身の自己申告かによって変わります。
ITRのような調査会社が市場全体を調べて算定したシェアと、出典を示さずに掲げられたシェアでは、裏づけの強さが異なります。確認したいのは、出典・調査年度・指標(売上金額か導入社数か)、そして「どの市場区分での1位か」です。同じ調査でも市場の切り方が違えば別のツールが1位になり得るため、同じ条件のシェアどうしでなければツールを正しく比べられません。
専門家の評価を参考にする場合も、その評価が第三者によるものか提供会社の訴求かを同じ視点で見分けると判断を誤りにくくなります。
Q. 脆弱性診断は自分で回すツールと専門会社の診断サービスのどちらを選べばよいですか?
A. 脆弱性診断ツールと診断サービスのどちらが合うかは、診断の頻度・社内の体制・求める精度によって分かれます。
自社で回すツールは導入後に何度でも実行できるため、開発サイクルに合わせて繰り返し検査したい場合や継続的なコストを抑えたい場合に向きます。一方、専門会社の診断サービスは熟練の技術者が手動で深く検査し報告書まで仕上げるため、リリース前の総点検や社外への説明責任が求められる場面で安心感があります。ツールを日常的に回しつつ、重要なリリース時だけ診断サービスを併用する組み合わせも一般的です。
Q. 無料の脆弱性診断ツールと有償ツールはどちらを選ぶべきですか?
A. 無料ツールと有償ツールは、まず無料・オープンソースで課題感をつかみ、本格運用で有償ツールへ移行する進め方が現実的です。
オープンソースのツールはライセンス費用がかからず脆弱性の有無を自社で試せますが、導入・設定や検出結果の解釈に専門知識が必要で、公式サポートは基本的にありません。検出漏れや誤検知の判断も自社で行う必要があります。
有償ツールはサポートやレポートの分かりやすさ、検査パターンの継続的な更新、導入実績に裏打ちされた安定性で勝るため、セキュリティ人材が限られる企業や、継続的に責任を持って診断を回す必要がある場合に適します。
Q. 脆弱性診断ツールはWeb・API・プラットフォームのどこまで診断できますか?
A. 脆弱性診断ツールが検査できる範囲は製品によって異なり、自社が守りたい資産がどこにあるかに合わせて選ぶ必要があります。
公開しているWebアプリが中心ならWebアプリケーション診断、画面を持たないAPIを持つならAPI診断、サーバーOSやネットワーク機器・クラウド基盤まで含めて守りたいならプラットフォーム診断や脆弱性管理に対応したツールが必要です。守りたい範囲とツールが検査できる範囲がずれていると、導入しても肝心の弱点を見逃します。
まず自社の資産の所在を確認してから、対象範囲の合うツールを選ぶのが失敗しない進め方です。
Q. セキュリティの専任担当者がいなくても脆弱性診断ツールは使えますか?
A. 脆弱性診断ツールは、専任担当者がいない企業でも、結果を理解しやすい画面や日本語サポートを備えたクラウド型(SaaS)の自動診断ツールを選べば運用できます。
対象URLを登録するだけで自動的にクロール・スキャンを実行し、専門知識がなくても結果を把握しやすい製品が増えています。導入時のトレーニングや、日本語の電話・メールサポートの有無もあわせて確認すると、導入後につまずきにくくなります。逆に診断シナリオを細かく作り込める高機能なツールは専門知識を持つ担当者の運用が前提のため、自社の体制に合わせて選ぶことが大切です。
Q. 大規模組織でも信頼して使える脆弱性診断ツールはどう選べばよいですか?
A. 大規模組織で信頼して使える脆弱性診断ツールは、第三者調査に基づく市場シェアや、自社と近い規模・業種での導入実績を根拠に選ぶのが確実です。
守るべき資産が広い組織では、Webアプリだけでなくサーバー・ネットワーク機器・クラウド基盤までを継続的に監視し、一元管理できる脆弱性管理(VM)プラットフォーム型が適します。大量の資産を扱う際にリスクの優先度づけができるか、ServiceNowやJiraなどと連携して対応状況を追跡できるかも、組織規模での運用に耐えるかの判断材料になります。
広く使われているツールは情報や事例も見つけやすく、社内で導入の合意を得やすい利点もあります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















