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個別原価計算に対応したERP比較|案件・プロジェクト別に原価を管理できる基幹システムとベンダーの選び方

個別原価計算に対応した ERP比較・ベンダーの選び方のサムネイル画像
ERP(統合基幹業務システム)比較表(2026年版)のプレビュー

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ERP(統合基幹業務システム)比較表(2026年版)

受託開発やコンサルティング、制作、建築といったプロジェクト型・受注型のビジネスでは、案件ごとにかかった労務費・外注費・経費を積み上げ、1件ずつの採算を見極める「個別原価計算」が欠かせません。Excelや会計ソフト単体で案件別の原価を集計していると、工数の按分や間接費の配賦が属人化し、仕掛中の案件の採算がリアルタイムに見えないという壁に突き当たります。

この壁を越える手段が、個別原価計算に標準対応したERP(統合基幹業務システム)です。ただし、ひと口に「原価管理ができるERP」といっても、案件採算に特化したプロジェクト型もあれば、会計を起点に個別原価管理モジュールを備えた製品、販売・購買・在庫まで含むフル統合型までさまざまです。どの製品がどのベンダーから提供され、自社の業態に合うのかは見分けにくいのが実情です。

本記事では、個別原価計算(案件・プロジェクト別の原価の積み上げ)に対応したERP・基幹システムを11製品、タイプ別に比較・解説します。工数の案件直課・間接費の自動配賦・進捗度に応じた原価振替といった対応機能の可否と、料金体系、提供ベンダーの導入実績を同じ土俵で整理しました。情シス・経理・経営企画の担当者が、自社に合う製品と依頼先を絞り込むための材料としてご活用ください。

また、自社の業態や要件に合うタイプを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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本記事の対象範囲

本記事が比較するのは、案件・プロジェクト・受注といった個別の単位で原価を積み上げる「個別原価計算」に標準対応したERP・基幹システムです。受託開発・SI、コンサルティング、広告・制作、建築・設備、保守など、1件ごとの採算を管理したい業態の読者を想定しています。

同じ原価管理でも、同種製品を反復生産する製造業の標準原価計算・総合原価計算を主眼とする製品や、工種別の積算に特化した建設業専用システムは、求められる計算の考え方が異なるため本記事の対象から外しています。

建築・設備・工事に関わる場合も、工事台帳や積算が主目的なら建設業専用システムが、案件単位の採算や工数原価の管理が主目的なら本記事で扱うプロジェクト型のERP(建設・工事に対応した製品を含む)が、それぞれ向きます。

これらの原価計算方式や差異分析まで含めて原価管理の仕組みを広く比べたい場合は、『原価管理システム比較24選|原価計算の方式・差異分析・配賦で選ぶ』をご参照ください。ERP全般を企業規模や提供形態から広く比較したい場合は、カテゴリ全体をまとめた比較記事を別途ご用意しています。

個別原価計算とは|ERPで案件・受注ごとに原価を積み上げる

個別原価計算は、受注案件やプロジェクトのように、種類の異なる成果物を1件ずつ作り上げる仕事で、その案件に直接かかった費用と、間接的にかかった費用を集計して原価を求める方法です。ここでは、よく似た言葉との違いと、ERPが担う計算の中身を整理します。

個別原価計算と総合原価計算・標準原価計算の違い

原価計算の方法は、何を単位に原価を集めるかで分かれます。原価計算の実務の指針である原価計算基準は、個別原価計算を次のように定めています。

個別原価計算は、種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用する。個別原価計算にあっては、特定製造指図書について個別的に直接費および間接費を集計し、製品原価は、これを当該指図書に含まれる製品の生産完了時に算定する。

出典:原価計算基準 基準三一(個別原価計算)|企業会計審議会

ここでいう「特定製造指図書」は、受託開発やコンサルティングでいえば1件の案件(プロジェクト)にあたります。案件ごとに直接費と間接費を集計し、完了した時点で原価を確定させるのが個別原価計算の考え方です。原価計算基準は、自社用の機械や工具の製作、試験研究、試作のように、特定の指図書を発行して行う仕事にもこの方法を適用するとしており、量産品以外の個別の仕事に広く当てはまります。

これに対して総合原価計算は、同じ製品を反復して連続的に作る生産形態に使われ、一定期間にかかった費用を集計して完成品と仕掛品に分ける方法です。標準原価計算は、材料や作業時間の消費量を科学的・統計的な調査にもとづいてあらかじめ見積もった「標準原価」で計算し、実際にかかった原価と比べて差異を分析する方法を指します。案件ごとの採算を1件単位で把握したい業態では、このうち個別原価計算が土台になります。

出典・参考資料(1件)

ERPでできること=工数の案件直課・間接費の配賦・原価振替・予実

個別原価計算に対応したERPは、案件ごとの原価を自動で積み上げるために、いくつかの機能を組み合わせています。原価計算基準の考え方に沿って整理すると、おおむね次のとおりです。

個別原価計算対応ERPが案件の原価を積み上げる流れの図解。工数を作業時間×賃率で案件に直課し、間接費を配賦基準で各案件へ配賦、完了前は仕掛品として積み上げ、完了・引き渡し時に売上原価へ振り替える4ステップ。
  • 工数(直接労務費)の案件直課:担当者が入力した作業時間に賃率を掛けて、その案件の直接労務費として割り当てます。原価計算基準も、直接労務費は「当該指図書に関する実際の作業時間又は作業量に、その賃率を乗じて計算する」と定めています。
  • 間接費の配賦:複数の案件に共通してかかる管理部門の人件費やツール費などを、一定の基準で各案件に割り振ります。原価計算基準では、間接費は原則として予定配賦率によって各指図書に配賦するとされています。
  • 仕掛品から売上原価への振替:完了前の案件に積み上がった原価は仕掛品として扱い、案件が完了・引き渡しとなった時点で売上原価へ振り替えます。原価計算基準は、製品原価を「当該指図書に含まれる製品の生産完了時に算定する」と定めており、完了前は仕掛品、完了時に原価が確定するという流れになります。
  • 進捗度に応じた原価・収益の計上(いわゆる工事進行基準):長期にわたる案件では、進み具合に応じて原価と収益を計上します。実務で「工事進行基準」や「原価比例法」と呼ばれる方法で、見積総原価に対する発生原価の割合で進捗度を測るのが代表的です。
  • 案件別の予実・粗利管理:見積り時の予算と、実際に積み上がった原価を突き合わせ、仕掛中でも案件ごとの採算や進捗を同じ画面で確認できるようにします。

「工事進行基準」は、かつて企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」で定められていた名称ですが、現在は企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」に移行し、第15号は廃止されています。

現行の基準では、一定の期間にわたって果たされる義務について進捗度を見積もり、その進捗度にもとづいて収益を認識する枠組みに整理されており、製品が掲げる「工事進行基準対応」は、この進捗度にもとづく原価・収益の計上を指すものと捉えると正確です。

出典・参考資料(2件)

Excel・会計ソフト単体の限界とシステム化を検討する目安

案件数が少ないうちは、Excelや会計ソフト単体でも案件別の原価管理は回ります。ただし、次のような兆候が出てきたら、個別原価計算に対応したシステムへの移行を検討する目安になります。

  • 担当者ごとに原価管理のExcelが分かれ、集計や転記のたびに値がずれる、更新が追いつかない
  • 間接費や共通費を案件へ配賦する計算が属人化し、担当者以外には検証できない
  • 仕掛中の案件の採算が月次決算を締めるまで見えず、赤字案件への手当てが遅れる
  • 工数入力・購買・会計が別々のツールに分かれ、案件原価を集めるのに手作業の突合が必要

工数や外注費・経費が自動で案件に集まり、仕掛中でも採算が見える状態をつくれるかどうかが、システム化で得られる価値の中心です。次章では、その実現のしかたが異なる3つのタイプを整理します。

個別原価計算対応ERPの3タイプ|自社に合うのはどの型か

個別原価計算に対応したERPは、どこを起点に案件原価を扱うかで性格が分かれます。ここでは、自社が「会計を起点にしたいのか、案件管理を主眼にしたいのか、販売・在庫まで1つの基盤に乗せたいのか」で見分けられるよう、3つのタイプに整理します。製品を絞り込むための機能・ベンダーの判断軸は後半の選び方にまとめているため、ここでは型の見極めに絞ります。

個別原価計算対応ERPの3タイプを示した図解。案件管理を起点とするプロジェクト型ERP、会計を起点とする会計システムの個別原価機能型、全社統合を起点とするフル統合ERP型の3つを、向く業態とともに並べている。

プロジェクト型ERP(工数・配賦・案件採算に特化)

案件(プロジェクト)を管理の単位に置き、工数の案件直課・間接費の自動配賦・進捗度に応じた原価振替・案件別の予実まで、個別原価計算の実務に正面から特化したタイプです。

受託開発・SI、コンサルティング、広告・制作など、人の稼働が原価の中心になる役務提供型のビジネスに向きます。会計や販売の機能は、案件採算を軸に必要な範囲でそろえる構成が多く、「1件ごとの採算をどれだけ精緻に見たいか」を最優先する企業に適しています。

会計システムの個別原価(原価管理)機能型

会計・基幹の会計を起点に、個別原価管理のモジュールを追加して、プロジェクト別の原価報告や労務費の配賦、進捗度に応じた原価振替を行うタイプです。すでに使っている会計基盤の延長で案件原価を扱えるため、月次決算の早期化と原価管理を同じ土台で回したい企業に向きます。会計の正確さと、個別原価計算の両立を重視する経理部門が主な利用者です。

販売・在庫・購買まで含むフル統合ERP型

会計だけでなく、販売・購買・在庫・固定資産までを1つのパッケージで統合し、その中で案件・プロジェクト別の個別原価管理を行うタイプです。物販や商社、製造委託を併せ持つ事業や、複数の業務を1つの基盤に乗せて全社最適を図りたい中堅〜グループ企業に向きます。導入の範囲が広い分、案件原価は「全社基盤の一機能」として位置づけられ、業務全体の統合と個別原価計算を同時に進めたい企業に適しています。

自社がどの型に近いか見当がついたら、次の診断ツールで要件を入力すると、適したタイプと製品の候補を絞り込めます。

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【比較表】個別原価計算対応ERPを料金・対応機能・提供ベンダーで比較

ここからは、個別原価計算に対応したERP11製品を、料金・ライセンス体系、工数の案件直課・間接費の自動配賦・進捗度に応じた原価振替・案件別予実、会計/販売/購買との統合範囲、提供形態、提供ベンダーの観点で横に並べて比較します。3つのタイプごとに表を分けているので、自社に近い型から確認してください。

表の記号の意味は次のとおりです。●は公式情報で標準機能として対応を確認できるもの、△はモジュール追加やオプション・条件付きで対応するもの、「公式記載なし」は公表情報では対応を確認できなかったもの(非対応とは限らず、対応可否は資料請求や問い合わせで確認してください)を表します。料金が公開されていない製品は「要問い合わせ」と記載しています。

プロジェクト型ERPの比較

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サービス名Oracle NetSuiteクラウドERP ZACMA-EYESReforma PSAfreee統合型ERPプロカン
提供ベンダー日本オラクル株式会社株式会社オロ株式会社ビーブレイクシステムズ株式会社オロfreee株式会社株式会社PROCAN
提供形態・対象規模クラウド(SaaS)/中堅〜大企業・海外展開企業クラウド(SaaS)/プロジェクト型業種(〜上場企業)クラウド(SaaS・一括)/プロジェクト型(〜1,000名)クラウド(SaaS)/50名以下のプロジェクト型クラウド(SaaS)/中小・成長企業(2〜数百名)クラウド(SaaS)/中小のプロジェクト型(IT・制作・建設)
工数の案件直課●PSAモジュール(SuiteProjects)追加で対応●直接作業を指定案件に直課●基準時間単価×作業時間で労務費を算出●労務費配賦計算(工数登録が前提)●時間入力×時間単価で工数コストを算出●工数×労務単価で人件費を原価換算
間接費の自動配賦●PSAモジュールで案件予算に配賦●間接作業を部門配下の案件へ再配賦●工数・人数・売上高・面積など多様な基準で配賦●共通費配賦計算(工数登録が前提)公式記載なし●外注費・間接費を按分して案件原価に算入
進捗度に応じた原価振替●完了率など複数ルールの収益認識公式記載なし●工事進行基準(進捗率に応じた売上計上)に対応公式記載なし公式記載なし公式記載なし
案件別の予実・粗利●見積と実績を突き合わせマージンを測定●予定・実績労務費と進捗率を同一画面で確認●月別原価の予算と実績をグラフ比較・着地予測●実行予算入力と工数予実対比で仕掛中でも損益把握●プロジェクト単位の予実管理・案件別原価分析●予算実績対比表で案件別の粗利を把握
統合範囲会計・販売・購買・在庫・CRM販売・購買・在庫・工数(会計は連携)会計・販売・購買・経費販売・購買・勤怠工数・経費(会計は連携)会計・販売・工数・給与(在庫は非対応)販売・購買・工数・経費(会計は連携)
料金個別見積(年間ライセンス+初期費用、要問い合わせ)初期10万円+モジュール×ライセンス+保守6万円〜/月(単価は要問い合わせ)要問い合わせ(提供形態により異なる)初期0円・月額30,000円(税抜)〜(ライセンス従量制)数十万〜数百万円(個別見積もり)初期150,000円〜(税込165,000円〜)・月額30,000円〜(税込33,000円〜)
詳細情報公式資料を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

会計システムの個別原価機能型の比較

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サービス名マネーフォワード クラウドERP勘定奉行iクラウド[個別原価管理編]
提供ベンダー株式会社マネーフォワード株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)
提供形態・対象規模クラウド(SaaS・コンポーネント型)/IPO準備・中堅〜上場企業クラウド(SaaS/Azure基盤)/中小企業向け
工数の案件直課△個別原価モジュールで対応●プロジェクトごとに労務費を計上
間接費の自動配賦△個別原価モジュールで対応●設定した基準に基づき自動配賦
進捗度に応じた原価振替公式記載なし●進捗度を基準に原価振替
案件別の予実・粗利●個別原価モジュールでプロジェクト別原価を管理●プロジェクト別原価報告書で粗利・予算を確認
統合範囲会計・請求・経費・人事労務(販売・在庫は他社連携)会計(財務会計+個別原価管理)
料金要問い合わせ(導入支援費用が発生)月額27,500円〜(iA、年額330,000円〜)・初期50,000円〜(初年度のみ)
詳細情報サービス詳細を見る公式サイト

フル統合ERP型の比較

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サービス名Biz∫(ビズインテグラル)Plaza-i奉行V ERPクラウド
提供ベンダー株式会社NTTデータ・ビズインテグラル株式会社ビジネス・アソシエイツ株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)
提供形態・対象規模オンプレ/クラウド/ハイブリッド/年商500億円以上の大手中心クラウド/オンプレ/中堅・中小・海外進出企業(50〜1,000名)クラウド(SaaS)/中堅〜上場・グループ・グローバル企業
工数の案件直課△プロジェクト原価管理で対応△プロジェクト管理(PRJ)で対応△会計の個別原価管理で対応
間接費の自動配賦●管理会計で多段階間接費配賦公式記載なし公式記載なし
進捗度に応じた原価振替公式記載なし公式記載なし公式記載なし
案件別の予実・粗利●プロジェクト原価管理・管理会計で予実管理●PRJモジュールで案件別のトータル採算管理●個別原価管理・案件別管理で予実を把握
統合範囲会計・販売・購買・在庫・人事給与会計・販売・購買・在庫(11モジュール・グローバル対応)会計・販売・仕入・在庫・人事労務
料金個別見積(要問い合わせ)個別見積(要問い合わせ)個別見積(要問い合わせ)
詳細情報サービス詳細を見る公式サイト公式サイト

タイプ別に見るおすすめの個別原価計算対応ERP

ここからは、3つのタイプごとに個別原価計算に対応したERPを紹介します。各製品の個別原価計算への対応内容・料金・提供ベンダーを整理しました。

プロジェクト型ERP(工数・配賦・案件採算に特化)

案件採算を軸に、工数の直課・間接費の配賦・案件別予実を精緻に扱える製品群です。人の稼働が原価の中心になる役務提供型のビジネスに適しています。

1. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

Oracle NetSuiteの公式サイト

日本オラクル株式会社が提供する、会計・販売・在庫・CRMを単一のクラウド基盤に統合したERPです。製品そのものはフル統合型ですが、アドオンのPSA(プロフェッショナル サービス オートメーション)モジュール「SuiteProjects」を加えると、工数・経費・プロジェクト会計・請求を同じ基盤で扱えます。案件採算の管理に対応できるため、本記事ではプロジェクト型として紹介します。

プロジェクト会計では、購買発注を特定の案件に紐付けて集計し、直接費・間接費を案件予算に対して配賦できます。タイムシートで記録した作業時間は総勘定元帳へ転記され、労働ベース・固定・完了率など複数のルールに沿った収益認識に対応します。

プロジェクト予算・見積り・仕掛と完了率・実績コストといった財務指標を監視し、見積を実際のトランザクションと突き合わせてマージンを測定できます。200か国以上で利用され、27以上の言語と190以上の通貨に対応する(公式サイト、2026年10月時点)基盤のため、海外拠点や多通貨での案件管理を1つのERPに乗せたい中堅〜大企業に向きます。

2. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

クラウドERP ZACの公式サイト

IT・広告・コンサル・士業など、案件単位で業務が進むプロジェクト型の業種に特化した統合型クラウドERPです。開発・提供元は東証プライム上場の株式会社オロで、プロジェクト別の収支管理を軸に、販売・購買・勤怠/工数・経費・管理会計を一元化します。

案件ごとに外注費・仕入・労務費を紐付けて原価を積み上げ、工数管理で登録した作業時間は自動的に案件別の労務費として集計されます。配賦は、直接作業を指定案件に直課し、間接作業を部門配下の案件へ再配賦する仕組みで、共通費・販売費・一般管理費の配賦にも対応します。

プロジェクト単位で予定・実績の労務費や作業時間、進捗率を同じ画面で確認でき、仕掛中の案件損益を追えます。導入実績は1,100社超(公式サイト、2026年10月確認)で、スタートアップから上場企業まで利用されています。

3. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

MA-EYESの公式サイト

プロジェクト単位の工数・原価・損益の管理に主眼を置いた、株式会社ビーブレイクシステムズのクラウド型ERPです。システム開発・SES・コンサルティング向けの「V ver.」と広告業向けの「A ver.」の2ラインナップがあり、日々の工数登録から人件費・外注費・経費を案件原価へ反映します。

労務費は、メンバーのマスタに設定した基準時間の単価と実際の作業時間を掛けて算出します。間接費・共通費の配賦基準には工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった非システム情報も設定でき、案件や製品・ジョブなど複数の単位で原価を把握できます。

月別の原価の予算と実績をグラフで比較し、着地予測により締め後の赤字を防ぐ運用ができます。進捗率に応じて売上を計上する工事進行基準にも対応し、SaaS・SaaS+・一括の3つの導入形態から選べます。

4. Reforma PSA(株式会社オロ)

Reforma PSAの公式サイト

同じく株式会社オロが提供する、案件・プロジェクト単位で進む業種向けのクラウドERPです。ZACの機能のうちプロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化した製品で、初期費用0円・月額30,000円(税抜)からと、短期間・低コストでの導入に軸足を置いています。

従業員がプロジェクトと作業内容ごとに工数を入力すると、労務費配賦計算で案件原価に反映され、外注費とあわせて案件ごとの原価が自動計算されます。共通費配賦計算で間接費の按分にも対応し、いずれも工数登録が前提となります。

実行予算(利益計画)を入力し、プロジェクト別工数(労務費)予実対比で予定と実績を突き合わせることで、仕掛中でも案件別の損益をタイムリーに把握できます。導入期間の目安は1〜2か月で、ZACより小規模な従業員50名以下を対象の目安としています。

5. freee統合型ERP(freee株式会社)

freee統合型ERPの公式サイト

クラウド会計 freee で知られるfreee株式会社が、2023年8月に提供を開始した中小・成長企業向けのクラウドERPです。IT・コンサル・広告など無形商材を扱うサービス業を主な対象に、会計・請求・工数・案件・経費・給与・人事労務を単一プラットフォームで統合します。

工数管理では時間入力と時間単価による工数コストの算出に対応し、プロジェクト単位の予実管理と案件別の売上・原価分析ができます。クラウド会計 freee の基盤上に構築されているため、既存の freee 会計ユーザーがそのまま拡張して使える導入経路も特徴です。

導入費用は数十万〜数百万円(個別見積もり)で、大企業向けERPと比べて低価格に抑えられています。一方で、製造業・流通業など有形商材を扱うビジネスや、海外拠点の会計統合・多通貨への対応は限定的とされます。

6. プロカン(株式会社PROCAN)

プロカンの公式サイト

案件単位で進むプロジェクト型ビジネスの収支管理に特化したクラウドシステムで、株式会社PROCANが提供しています。IT・システム開発向けの「プロカンIT」、制作・広告向けの「プロカン制作」、建設・工事向けの「プロカン建設工事」の業種別3ラインナップを展開しています。

案件ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化します。Googleカレンダーに登録した作業内容と連携して工数入力を支援し、工数に労務単価を掛けて人件費を原価換算したうえで、外注費などの社外コストと合わせて案件ごとの粗利を把握できます。

予算実績対比表で売上・原価・工数の予算と実績を突き合わせ、月をまたぐ中長期の案件も月次入力で管理できます。初期費用150,000円〜・月額30,000円〜(税込165,000円〜・33,000円〜)で、IT導入補助金の対象サービスとして案内されています。

ここで挙げたようなERPに限らず、案件ごとの収支・原価の管理に機能を絞ったシステムも視野に入れて比べたい場合は、以下の記事がタイプ別の選び方と料金、案件別原価の作り方まで整理しています。

会計システムの個別原価(原価管理)機能型

使っている会計基盤の延長で、プロジェクト別の原価報告や労務費配賦を扱える製品群です。月次決算と原価管理を同じ土台で回したい企業に向きます。

7. マネーフォワード クラウドERP(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウドERPの公式サイト

会計・請求・経費・債権債務・人事労務といったモジュールを1つから選んで組み合わせるコンポーネント型のクラウドERPで、株式会社マネーフォワードが提供しています。会計系のラインナップに個別原価モジュールが含まれ、使っている会計基盤の延長でプロジェクト別の原価を扱えます。公式ページではIPO準備・中堅〜上場企業向けと位置づけられています。

工数の直課や配賦の詳しい仕組みまでは公式情報で確認しづらいため、個別原価管理で対応できる範囲は資料請求で確かめることをおすすめします。

電子帳簿保存法・インボイス制度に対応し、JIIMA認証を取得しています。ワークフロー・アクセス管理・ログ管理・SAML認証によるSSOなど内部統制の機能もそろえています。モジュールを1つから導入して段階的に追加でき、公式では最短1ヶ月で導入可能としています(公式が比較する従来型ERPの平均導入期間は約5.3ヶ月)。

料金は初期設定の導入支援費用が発生し、月額は利用人数・プランで変動するため要お問い合わせです。マネーフォワード クラウド共通の1ヶ月無料トライアル(クレジットカード登録不要)がありますが、会計モジュールにあたる会計Plusの全機能は対象外と明記されています。

8. 勘定奉行iクラウド[個別原価管理編](株式会社オービックビジネスコンサルタント)

勘定奉行iクラウド[個別原価管理編]の公式サイト

勘定奉行iクラウドにプロジェクト別の個別原価管理機能を加えたエディションで、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供しています。財務会計と個別原価管理を一体で提供し、プロジェクト(案件)単位で請負金額・進捗状況・予定期間を一元管理できるほか、サブプロジェクト管理にも対応します。

プロジェクトごとの労務費計上、設定した基準に基づく自動配賦、進捗度を基準にした原価振替といった個別原価計算の処理に対応します。プロジェクト別原価報告書はワンタッチで出力でき、発生額・入金情報・粗利・予算を同一画面で確認できます。

料金は基本機能のiAシステムが月額27,500円〜(年額330,000円〜)・初期費用50,000円(初年度のみ)で、多角的分析を加えたiB、管理会計機能を加えたiSが用意されています。いずれも利用者1ユーザーに加えて税理士等の専門家ライセンス1ユーザーが無償で付属し、同じデータを参照できます。

販売・在庫・購買まで含むフル統合ERP型

会計に加えて販売・購買・在庫までを1つの基盤に統合し、その中で案件別の個別原価管理を行う製品群です。複数の業務を束ねて全社最適を図りたい中堅〜グループ企業に向きます。

9. Biz∫(ビズインテグラル)(株式会社NTTデータ・ビズインテグラル)

Biz∫(ビズインテグラル)の公式サイト

intra-mart基盤の国産ERPパッケージで、株式会社NTTデータ・ビズインテグラルが開発・提供しています。会計・債権債務・固定資産・管理会計に、販売・購買・在庫、人事給与までを1つの基盤に統合した製品です。

案件別の個別原価管理は会計モジュール「Biz∫会計」にプロジェクト原価管理として内包し、販売・購買・在庫は「Biz∫販売」でカバーします。ライセンスは業務モジュール×指定ユーザー数の体系で、一般会計のみといった最小単位から段階的に導入・追加できます。

対象は年商500億円以上の大手企業が中心で、サブスクリプション型のクラウド版「Biz∫Optima」により中堅企業にも間口を広げています。提供形態はオンプレミス・クラウド・ハイブリッドから選べ、料金は要お問い合わせです。採用社数は2025年12月時点で2,000社を突破しています(公式)。

10. Plaza-i(株式会社ビジネス・アソシエイツ)

Plaza-i(統合ERP)の公式サイト

公認会計士が設立した株式会社ビジネス・アソシエイツが自社開発・直販する、中堅・中小企業向けの統合ERPパッケージです。販売・物流在庫・購買・プロジェクト・一般会計・債権債務・固定資産など11のモジュールを、単一データベース・共有マスタ上で組み合わせて導入します。

案件別の個別原価管理は、プロジェクト管理モジュール(PRJ)が案件・プロジェクト単位のトータル採算管理を担います。輸入と輸出を自動計上する三国間貿易の処理にも、為替予約と連動した案件別採算管理で対応します。

多通貨(取扱外貨数に制限なし)・日英バイリンガル切替・在外子会社連結・複数会計基準(IFRS対応)を標準機能として搭載し、海外進出企業や外資系の日本法人を主な対象としています。クラウド・オンプレミスを選べ、料金は個別見積もりです。導入実績は700社以上、延べ4,600システム以上です(2026年5月、公式プレスリリース)。

11. 奉行V ERPクラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

奉行V ERPクラウドの公式サイト

会計・販売管理・人事労務の3領域を核としたSaaS型の統合ERPで、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供しています。証憑処理・固定資産管理・グループ経営管理・従業員向けセルフサービスまでを、Microsoft Azure基盤の1つのプラットフォームに統合します。

会計モジュールは個別原価管理や建設業会計に対応し、販売管理モジュールには案件別管理があります。個別原価管理で扱える工数や配賦の詳細は公式情報では限られるため、案件別原価の具体的な要件は資料請求で確認することをおすすめします。IFRS対応・新リース会計基準対応に加え、グループ全体の会計データ収集・照合を自動化する連結会計支援やグループ経営管理機能も備えます。

対象は中堅・成長・上場・グループ・グローバル企業で、超大手・グローバル最大手向けではなく中堅上位〜上場企業帯を主戦場とする製品です。料金は個別見積もりで要お問い合わせです。上場企業導入は1,736社(2026年8月末時点、公式)で、過去10年のIPO実現企業における奉行シリーズの導入率は50.8%です。

個別原価計算対応ERPの費用相場(初期費用・月額・ライセンス体系)

個別原価計算に対応したERPの料金は、課金の考え方によって見え方が大きく変わります。比較表の金額を読むときの土台として、ライセンス体系の違いを押さえておきます。

  • ユーザー課金型:利用する人数に応じて月額が決まる方式です。クラウド型の会計起点・プロジェクト型の製品に多く、少人数なら月額数万円から始められる一方、利用者が増えるほど費用も積み上がります。
  • モジュール課金型:会計・販売・購買・個別原価管理といった機能の単位で料金が決まる方式です。フル統合ERPに多く、必要な業務範囲が広いほど費用が上がりますが、全社の業務を1基盤に乗せられます。
  • 個別見積り型:導入規模や要件に応じて都度見積もる方式です。中堅〜大企業向けの統合ERPでは料金を公開していない製品が多く、導入範囲とカスタマイズの度合いで初期費用が大きく動きます。

初期費用は、クラウド型で数万円〜数十万円、オンプレミス型や大規模なフル統合ERPでは数百万円以上となることもあります。月額費用も、少人数のクラウド製品で数万円から、全社導入の統合ERPでは数十万円以上と幅があります。個別原価計算に必要な機能がどの料金プラン・モジュールに含まれるかは製品ごとに異なるため、資料請求や見積りで、自社の利用人数・業務範囲に対する総額を確認することが欠かせません。

個別原価計算対応ERP・提供ベンダーの選び方

タイプと費用の見当がついたら、候補をさらに絞り込む段階です。個別原価計算対応ERPとその提供ベンダーを見極めるときの観点を整理します。

必要な原価計算方式・配賦基準に対応しているか

個別原価計算といっても、自社に必要な計算の精度は業態で変わります。工数を作業時間×賃率で案件に直課できるか、間接費を配賦する基準(人数割・工数割・売上割など)を自社の実態に合わせて設定できるかが重要です。

配賦基準が固定で、自社の原価構造に合わない製品を選ぶと、算出された案件原価が実態とずれ、採算判断を誤る原因になります。部門や拠点をまたぐ配賦が必要なら、多段階の配賦に対応しているかも見極めどころです。製品ごとの対応は、比較表の「工数の案件直課」「間接費の自動配賦」列で確認できます。

仕掛品の管理・進捗度に応じた原価振替に対応しているか

案件が月をまたいで続く場合、完了前の原価を仕掛品として正しく管理し、完了・引き渡し時に売上原価へ振り替えられるかが重要です。長期の案件では、進捗度にもとづいて原価と収益を計上する方法(実務でいう工事進行基準・原価比例法)に対応していると、期をまたぐ案件の損益を実態に近づけられます。

自社の案件が単月で完結するのか、数カ月〜年単位で続くのかによって、必要な対応度合いは変わります。長期案件が多いほど、仕掛品管理と進捗度ベースの計上の作り込みを重視すべきです。各製品の対応は比較表の「進捗度に応じた原価振替」列に整理していますが、「公式記載なし」の製品も非対応とは限らないため、長期案件での利用は資料請求や問い合わせで確かめることをおすすめします。

会計・販売・購買との統合範囲が自社の業務に合うか

案件原価を集めるには、工数・購買・外注費・経費のデータが会計と1つにつながっている必要があります。すでに使っている会計システムがあるなら、その延長で個別原価管理を足せる会計起点型が導入の手間を抑えられます。

物販や在庫を伴う事業なら、販売・購買・在庫まで統合できるフル統合型が、二重入力や突合作業を減らします。自社のどの業務まで1つの基盤に乗せたいかを起点に、必要十分な統合範囲の製品を選ぶことが、過不足のない投資につながります。製品ごとの統合範囲は、比較表の「統合範囲」列で確認できます。

提供ベンダーの導入実績・サポート体制・継続性は十分か

ERPは導入して終わりではなく、運用の定着と改修を長く支えてもらう前提のシステムです。そのため、製品の機能だけでなく提供ベンダーを見極める視点が欠かせません。

自社と同じ業態・規模での導入実績があるか、導入時の要件定義や原価計算の設計まで伴走してくれるか、稼働後の問い合わせ対応や会計基準の改正への追従が続く体制かを確認します。

案件原価の仕組みは自社の原価構造に合わせた設定が要になるため、設定を任せられる知見と、長く提供を続けられる事業基盤を持つベンダーかどうかが、投資を回収できるかを左右します。各製品の提供ベンダーと導入実績は、比較表の「提供ベンダー」列と各製品の個別紹介で確認できます。

まとめ

個別原価計算に対応したERPは、案件・受注ごとに工数や外注費・経費を積み上げ、仕掛中でも採算が見える状態をつくるためのシステムです。製品は、案件採算に特化したプロジェクト型、会計を起点にした個別原価機能型、販売・在庫まで束ねるフル統合型の3タイプに分かれ、自社が「会計起点か・案件管理が主眼か・全社統合まで求めるか」で向く型が決まります。

選ぶ際は、必要な原価計算方式・配賦基準への対応、仕掛品管理と進捗度に応じた原価振替、会計・販売・購買との統合範囲、そして提供ベンダーの導入実績とサポート体制を照らし合わせることが要になります。気になる製品が見つかったら、料金や対応機能を自社の要件に当てはめて確かめるために、まずは資料を取り寄せて比較してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 個別原価計算とは何ですか?総合原価計算・標準原価計算と何が違いますか?

A. 個別原価計算とは、受注案件やプロジェクトのように種類の異なる仕事を1件ごとに区切り、その案件に直接かかった費用(直接費)と間接的にかかった費用(間接費)を集計して原価を求める方法です。

同じ製品を反復生産する業態で一定期間の費用を完成品と仕掛品に分ける総合原価計算、材料や作業時間の消費量をあらかじめ見積もった標準原価で計算し実際原価との差異を分析する標準原価計算とは、「何を単位に原価を集めるか」が異なります。案件ごとの採算を1件単位で把握したい受託開発・SI・コンサル・制作・建築などの業態では、個別原価計算が原価管理の土台になります。

出典・参考資料(1件)

Q. 個別原価計算対応ERPでは、工数の案件直課と間接費の配賦をどう設定しますか?

A. 個別原価計算対応ERPでは、担当者が入力した作業時間に賃率を掛けた金額をその案件の直接労務費として直課し、複数案件に共通する間接費は人数割・工数割・売上割などの配賦基準で各案件へ割り振るのが基本です。

配賦基準を自社の原価構造に合わせて設定できるか、部門や拠点をまたぐ多段階の配賦に対応できるかは製品で差があります。配賦基準が固定で自社の実態に合わない製品を選ぶと、算出された案件原価が実態とずれ、採算判断を誤る原因になるため、選定時に自社の配賦ルールを再現できるかを確認してください。

Q. 個別原価計算対応ERPは、仕掛品の管理や進捗度に応じた原価振替(工事進行基準)に対応していますか?

A. 完了前の原価を仕掛品として管理し完了時に売上原価へ振り替える機能は多くの個別原価計算対応ERPが備える一方、長期案件で進捗度に応じて原価・収益を計上する方法への対応は製品によって差が大きいです。

「工事進行基準」はかつての企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」で使われていた名称で、現在は同基準が廃止され、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」へ移行しています。

現行基準では、一定の期間にわたって果たされる義務の進捗度を見積もり、その進捗度にもとづいて収益を認識する枠組みに整理されており(発生原価を見積総原価で割る原価比例法が代表的)、製品が掲げる「工事進行基準対応」はこの進捗度ベースの計上を指すと捉えると正確です。

長期案件が多い場合は、どこまで対応するかを選定時に確認してください。

出典・参考資料(2件)

Q. 会計システムの個別原価機能型とプロジェクト型ERPは、どちらを選べばよいですか?

A. すでに使っている会計基盤の延長で月次決算と原価管理を同じ土台で回したいなら会計システムの個別原価機能型、案件採算を主眼に工数の直課・配賦・予実を精緻に扱いたいならプロジェクト型ERPが向きます。

会計起点型(勘定奉行iクラウド[個別原価管理編]・マネーフォワード クラウドERPなど)は経理部門が会計の正確さと原価管理を両立しやすく、プロジェクト型ERP(ZAC・MA-EYES・Reforma PSAなど)は人の稼働が原価の中心になる役務提供型のビジネスで案件損益をリアルタイムに追いやすいのが特徴です。

販売・在庫・購買まで1つの基盤に束ねたい中堅〜グループ企業は、フル統合ERP型も選択肢になります。

Q. Excelや会計ソフト単体から個別原価計算対応ERPへ移行する目安はありますか?

A. 原価管理のExcelが担当者ごとに分かれて値がずれる、間接費の配賦計算が属人化している、仕掛中の案件採算が月次決算まで見えない、工数・購買・会計が別ツールで突合に手間がかかる——こうした兆候が出たら移行の検討時期です。

案件数が少ないうちはExcelや会計ソフト単体でも案件別の原価管理は回りますが、工数や外注費・経費が自動で案件に集まり、仕掛中でも採算が見える状態をつくれるかどうかが、システム化で得られる価値の中心になります。

Q. 個別原価計算対応ERPの料金・ライセンス体系は、どう見ればよいですか?

A. 料金は主にユーザー課金型(利用人数で月額が決まる)・モジュール課金型(会計や個別原価管理など機能単位で決まる)・個別見積り型(規模と要件で都度見積もる)の3つに分かれ、同じ製品でも個別原価計算の機能がどのプラン・モジュールに含まれるかで総額が変わります。

クラウド型のプロジェクト型・会計起点型は少人数なら月額数万円から始められ、中堅〜大企業向けのフル統合ERPは料金非公開で個別見積りが多く、初期費用は導入範囲とカスタマイズの度合いで大きく動きます。比較表の金額だけで判断せず、自社の利用人数・業務範囲に対する総額を資料請求や見積りで確認するのが確実です。

Q. 個別原価計算対応ERPの導入には、どのくらいの期間がかかりますか?

A. 製品と導入範囲によりますが、小規模なプロジェクト型ERPでは1〜2か月程度、会計起点型でも数か月、販売・在庫まで含むフル統合ERPでは要件定義を含め半年以上かかることもあります。

個別原価計算は、配賦基準や原価の積み上げ方を自社の実態に合わせて設計する工程が要になるため、同じ製品でも設定の複雑さやデータ移行の量で期間は前後します。短期で立ち上げたい場合は、設定済みのテンプレートや導入支援サービスの有無もあわせて確認してください。

Q. 個別原価計算対応ERPは、既存の会計ソフトや販売管理システムとデータ連携できますか?

A. 多くの個別原価計算対応ERPがAPIやCSVによる他システム連携に対応していますが、連携できる範囲とリアルタイム性は製品で差があります。

工数・購買・外注費・経費のデータが会計と1つにつながってはじめて案件原価が自動で集まるため、すでに使っている会計・販売・勤怠システムと、どのデータをどの頻度で連携できるかが選定時のポイントになります。会計は別システムとの連携を前提とする製品もあるため、自社の既存システム構成と照らし合わせることが大切です。

Q. 個別原価計算対応ERPを選ぶとき、提供ベンダーは何を見て選べばよいですか?

A. 自社と同じ業態・規模での導入実績、要件定義や原価計算の設計まで伴走できる体制、稼働後のサポートと会計基準改正への追従、そして長く提供を続けられる事業基盤があるかを見ます。

ERPは導入して終わりではなく、運用の定着と改修を長く支えてもらう前提のシステムです。特に案件原価の仕組みは自社の原価構造に合わせた設定が要になるため、設定を任せられる知見と継続性を持つベンダーかどうかが、投資を回収できるかを左右します。

Q. 従業員50名以下の小規模でも、個別原価計算対応ERPは導入できますか?

A. はい、初期費用を抑えて短期間で始められる小規模向けのプロジェクト型ERPがあり、従業員50名以下の役務提供型ビジネスでも導入できます。

初期費用0円・月額数万円から、工数登録を前提に労務費の配賦と案件別損益を扱える製品があります。まずは案件採算の可視化に機能を絞った製品から始め、規模の拡大に応じて上位製品へ乗り換える進め方も現実的です。

Q. 製造業の標準原価計算や建設業向けの原価管理システムとは、何が違いますか?

A. 本記事が扱う個別原価計算対応ERPは案件・受注ごとに原価を積み上げる役務提供型・受注型ビジネス向けで、同種製品を反復生産する製造業の標準原価計算・総合原価計算や、工種別の積算に特化した建設業専用システムとは、求められる計算の考え方が異なります。

製造業向けは材料や作業時間の標準原価と実際原価の差異分析、建設業専用システムは積算や工事台帳が主眼になります。受託開発・コンサル・制作などで案件1件ごとの採算を見たい場合は、プロジェクト(案件)単位の個別原価計算に対応した製品を選ぶ必要があります。

Q. 海外拠点や多通貨での案件原価も、個別原価計算対応ERPで管理できますか?

A. 一部のフル統合ERPやグローバル対応のプロジェクト型ERPは、多通貨・多言語・在外子会社の連結やIFRSに対応し、海外拠点や外貨建て案件の原価も1つの基盤で管理できます。

一方、国内中心の中小向け製品は海外拠点の会計統合や多通貨への対応が限定的なことが多いため、海外展開がある場合は、対応通貨数・言語切替・会計基準(IFRSなど)への対応を選定条件に加えてください。

Q. クラウド型の個別原価計算対応ERPは、セキュリティや内部統制の面で問題ありませんか?

A. クラウド型の個別原価計算対応ERPは、データの暗号化や監視体制を備えたクラウド基盤上で運用され、ワークフロー承認・アクセス権限管理・操作ログ・SSO(シングルサインオン)など内部統制の機能をそろえた製品が多くあります。

電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を明記する製品もあり、IPO準備や上場企業で求められる内部統制の水準に合わせやすいのが特徴です。ただし対応範囲は製品で差があるため、自社に必要な承認フローや証跡管理、認証の仕組みを満たせるかを、資料やデモで確認してください。

Q. 個別原価計算対応ERPの導入にあたって、IT導入補助金などは使えますか?

A. 中小企業向けのクラウド製品を中心に、IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)など公的補助金の対象として案内されるものがあります。

補助率や上限額、対象となる経費は、申請する補助金の類型や年度ごとの公募要領によって変わり、ERP本体だけでなく導入支援費用が対象になる場合もあります。対象可否や申請手続きは製品・ベンダーによって異なるため、検討している製品の提供元に最新の対応状況を確認してください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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