受注した案件ごとに売上と費用が立つビジネスでは、どの案件が利益を残し、どの案件が赤字だったのかが、締めてみるまで分からないことがあります。外注費や担当者の人件費、交通費といった費用が案件ごとに集計されず、全体の損益でしか採算を把握できていないと、手を打つタイミングを逃しがちです。
案件ごとの採算を見えるようにするには、何を原価として集め、どのタイミングで予算と実績を見比べ、どんな仕組みでそれを支えるのかを押さえる必要があります。進め方が分かれば、Excelで続けるのか専用のシステムを入れるのか、自社に合う選択肢も判断しやすくなります。
この記事では、プロジェクト(案件)ごとの経費・原価・収支を管理する考え方と進め方を整理し、集めるべき原価の内訳、Excelと専用システムの違い、案件別に原価と収支を集計できる仕組みのタイプと選び方までを解説します。案件採算を扱えるサービスを見比べて、自社に合う仕組みを選ぶための判断材料としてご活用ください。
目次
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プロジェクトの経費・収支管理とは
プロジェクトの経費・収支管理とは、案件(プロジェクト)ごとに売上と、それにかかった原価・経費を集計し、案件単位で採算(収支)を把握する取り組みです。会社全体の損益ではなく、「この案件はいくら儲かったのか」を案件ごとに見えるようにする点が、通常の経理との違いになります。
この考え方は、原価計算の標準的な整理では「個別原価計算」にあたります。受託開発やコンサルティング、制作のように案件ごとに個別に受注・生産する形態では、案件を一つの単位として原価を積み上げ、完了時に採算を確定します。原価計算の基準は、この方法を次のように定めています。
個別原価計算は、種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用する。個別原価計算にあつては、特定製造指図書について個別的に直接費および間接費を集計し、製品原価は、これを当該指図書に含まれる製品の生産完了時に算定する。
出典:原価計算基準 三一「個別原価計算」(企業会計審議会、昭和37年11月8日)
文言は製造業を前提にしていますが、「特定製造指図書」を「個々の案件」に読み替えれば、案件ごとに費用を集計し、完了時に採算を算定するプロジェクト原価管理の考え方そのものです。案件を単位に原価を積み上げることが、収支を見える化する出発点になります。
案件原価は何でできているか
案件ごとの原価を集めるには、まず原価が何でできているかを押さえておくと整理しやすくなります。原価計算の基準では、原価を発生の形態によって材料費・労務費・経費の3つに分類します。
- 材料費:物品の消費によって生じる原価。案件で使う材料や購入品、外注先に支給する部材などが該当します。
- 労務費:労務用役の消費によって生じる原価。案件に関わった担当者の賃金・給料のほか、賞与手当や福利費(社会保険料など)も含みます。
- 経費:材料費・労務費以外の原価。外注費や旅費交通費、減価償却費などが含まれます。
どの費目が中心になるかは業種で変わります。システム開発や制作、コンサルティングのように人の作業が価値の中心となるビジネスでは、材料費はほとんど発生せず、担当者の労務費(人件費)と外注費が原価の大半を占めるのが一般的です。
一方、建設業のように資材の材料費や協力会社への外注費の比重が大きく、工事が長期にわたる業種では、原価に含める費目の幅が広くなります。
こうした長期の案件では、完成時にまとめて損益を見るだけでなく、工事の進捗に応じて収益と原価を期間に配分して採算を把握する考え方も重要になります。企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」でも、一定の期間にわたり充足される工事については、進捗度に応じて収益を認識する扱いとされています。
さらに原価は、特定の案件に直接ひもづけられるかどうかで、直接費と間接費に分かれます。原価計算の基準でも、原価が一定単位の生産に関して直接的に認識できるかどうかで直接費と間接費に分けると定めています(原価計算基準 八)。
案件に直接かかる外注費や、その案件を担当したメンバーの人件費は直接費として案件に直課できます。一方、複数の案件にまたがる間接部門の人件費やオフィス賃料などの間接費は、特定の案件に直接ひもづけられません。
間接費は一定の基準で各案件に割り振ります。これを配賦といい、原価計算の基準は配賦のものさしとして直接作業時間などを挙げています。工数(作業時間)は、間接費を案件に配分する基準にもなります。
労務費を案件に割り当てるときは、一般的な実務では担当者の工数(作業時間)に時間単価を掛けて人件費を求めます。工数を正確に把握することが、労務費を実態に近づける鍵になります。
時間単価は、担当者の人件費(給与・賞与・社会保険料などの総額)を想定稼働時間で割って求めるのが一般的です。まずこの単価を人ごと(または職種ごと)に決めておくと、工数から労務費を案件に振り分けられるようになります。
たとえば受注額100万円の案件で、外注費が20万円、担当者が80時間作業し時間単価が5,000円なら労務費は40万円、オフィス賃料などの間接費を作業時間の比率で配賦して10万円が乗るとします。この案件の原価は20万円+40万円+10万円=70万円、粗利は30万円(粗利率30%)と計算できます。
案件原価は「その案件のために直接かかった費用(直接費)+共通費を一定基準で割り振った分(間接費)」として捉えると整理しやすくなります。

出典・参考資料(2件)
プロジェクト経費・収支管理の進め方
ここからは、案件の経費・収支を管理する具体的な進め方を見ていきます。原価管理は思いつきで数字を眺めることではなく、標準(計画)を立て、実際の発生額を記録し、計画と比べて差異の原因を分析し、次に生かすという一連の流れで回します。原価計算の基準も、原価計算の目的の一つに「原価管理に必要な原価資料を提供すること」「予算の編成ならびに予算統制のために必要な原価資料を提供すること」を挙げています。
費用が案件ごとに集計できていない状態からなら、まず案件ごとに番号を振り、発生する費用と工数をその案件にひもづけて記録する器を用意するのが出発点です。これができたうえで、①予算・見積の策定、②進行中の実績モニタリング、③完了後の実績確認、④次案件への改善、という4つのステップで回していきます。

①予算・見積の策定
案件を受注する前後に、売上(受注額)と、それにかかる原価の見積もりを立てます。外注費・材料費などの直接費に加え、担当者の想定工数から人件費を見積もり、間接費の配賦も見込んだうえで、目標とする利益を確保できる計画かを確認します。この見積もりが、後で実績と比べるときの基準になります。
②進行中の実績モニタリング:いつ・何を見るか
案件が動き出したら、発生した費用と投入した工数を随時記録し、計画(予算)と実績を見比べます。ここで見たいのは、予算に対して実績がどれだけ乖離しているか(予実差異)と、このまま進んだ場合に着地する見込みの収支です。
赤字になりそうな案件は、完了して締めてから気づくのでは手遅れになりがちです。月次や工程の節目といったタイミングで予実と着地見込みを確認しておくと、追加の外注や工数超過が利益を圧迫する前に、単価交渉や体制の見直しといった手を打てます。実績の記録がリアルタイムに近いほど、こうした早期の軌道修正がしやすくなります。
③完了後の実績確認
案件が完了したら、最終的な売上と原価を締めて、案件ごとの採算を確定します。計画と実績の差がどこで生じたのか、見積もりが甘かったのか、工数が想定より膨らんだのか、外注費がかさんだのかを分解して振り返ります。案件単位で損益がはっきりすると、どの種類の案件が利益を出しやすいかも見えてきます。
④次案件への改善
振り返りで見えた差異の原因を、次の案件の見積もりや進め方に反映します。見積もりの単価や工数の前提を実績に合わせて更新したり、配賦基準を見直したりすることで、計画の精度が上がっていきます。この改善を積み重ねることが、案件採算を安定させる近道です。
案件採算の管理でつまずきやすい課題
案件ごとの収支を管理しようとすると、多くの企業が同じような壁に突き当たります。進め方は分かっていても仕組みが追いつかず、採算の見える化が進まないケースです。代表的な課題と、その原因を整理します。
- 採算がリアルタイムに見えない:費用の集計が月締めや手作業に頼っていると、案件の損益が分かるのが完了後になり、問題のある案件に気づいたときには打つ手が限られています。
- 工数と費用が結びつかない:勤怠や工数の記録と、原価の集計が別々のツールに分かれていると、担当者の人件費が案件の原価に正しく反映されず、労務費が実態より軽く見えてしまいます。
- Excel管理が属人化する:案件ごとの収支表を個人が作り込んでいると、集計に時間がかかるうえ、担当者が変わると引き継げない、同時編集でファイルが分裂するといった問題が起きます。
- 赤字案件の発見が遅れる:上の3つが重なると、予算超過や採算の悪化に気づくのが遅れ、気づいたときには赤字が確定している、という事態になりがちです。
これらの課題の根っこには、費用・工数・案件の情報がばらばらに管理され、手作業でつなぎ合わせている状態があります。仕組みで解決するかを検討する前に、自社のどこに詰まりがあるのかを整理しておくと、必要な機能の当たりがつけやすくなります。
Excel管理と専用システムの違い
案件採算の管理は、まずExcelから始める企業が多い領域です。専用システムの導入を検討する前に、Excelでできること・難しくなることと、システムに置き換えると何が変わるかを並べて見ておきましょう。どちらが優れているという話ではなく、案件数や関わる人数によって向き不向きが分かれます。
| Excel管理と専用システムの比較 | 初期コスト | リアルタイム性 | 工数との連携 | 同時編集・共有 | 向いている規模 |
|---|---|---|---|---|---|
| Excel管理 | ほぼ不要(既存のソフトで始められる) | 手入力・集計に時間がかかり、最新の採算が見えにくい | 勤怠・工数を手で転記する必要がある | ファイルが分裂しやすく、属人化しやすい | 案件数・関与人数が少なく、管理がシンプルな場合 |
| 専用システム | 導入費用・月額費用がかかる | 費用・工数の入力が採算に即反映されやすい | 工数入力から労務費を自動で原価に取り込めるものが多い | 複数人が同じデータを見て更新できる | 案件数が多い、関わる人が多い、採算を早く掴みたい場合 |
※上記は一般的な傾向です。実際の機能や運用は製品・運用方法により異なります。
案件数が少なく、関わる人も限られているうちは、Excelでも十分に管理できます。一方、案件数が増え、複数の担当者が同時に費用や工数を記録するようになると、集計の手間や属人化、リアルタイム性の限界が表面化します。
はっきりした境界があるわけではありませんが、案件が月に十数件を超える、費用や工数を入力する人が数名を超える、といったあたりから、Excelでの集計負荷や属人化が無視できなくなります。自社の案件数と関わる人数を、仕組み化を検討する一つの目安にするとよいでしょう。
まずはExcelで管理を続ける場合でも、予算と実績を見比べる予実管理の型を押さえておくと集計の精度が上がります。差異分析のやり方やExcelでの予実管理表の作り方は、こちらの記事で具体的に解説しています。
案件別に原価・収支を集計できる仕組みのタイプ
案件別の原価・収支を扱える仕組みは、「何を軸に管理をまとめたいか」で大きく3つのタイプに分かれます。自社がどのタイプに近いかを、以下の説明と照らし合わせてみてください。

収支管理特化型(案件の原価・収支に絞って導入したい企業向け)
案件ごとの予算・実績、原価の集計、収支の可視化に機能を絞ったタイプです。会計や販売管理は既存のまま、案件採算の見える化だけを素早く始めたい企業に向いています。導入のハードルが比較的低く、プロジェクト型ビジネスの採算管理から着手しやすいのが特徴です。
工数・プロジェクト管理連携型(工数=労務費を原価に取り込みたい企業向け)
プロジェクト管理や工数管理を軸に、担当者の作業時間から労務費を算出して原価に反映できるタイプです。人件費が原価の大半を占める受託開発やコンサルティングのように、工数の正確な把握が採算を左右する企業に適しています。進捗管理と原価管理を一体で扱える点が強みです。
ERP・基幹統合型(会計・販売と一体で全社管理したい企業向け)
販売管理・会計・購買などの基幹業務と一体で、案件採算も扱えるタイプです。受注から請求、支払、会計までを同じ基盤でつなぎ、全社の数字と案件の採算を連動させたい企業に向いています。導入規模は大きくなりますが、部門をまたいだデータの一元管理を実現できます。
この記事の後半でも案件採算を扱えるサービスを紹介しますが、さらに多くのプロジェクト収支管理システムを製品単位で横並びに見比べたい場合は、こちらの記事がタイプ別の対応範囲・料金・案件別原価の作り方まで詳しく整理しています。
プロジェクト収支管理システム比較20選|タイプ別の選び方と料金、案件別原価の作り方を解説
案件が終わって締めてみるまで、その仕事が黒字だったのか赤字だったのか分からない状態になっていませんか。受託でビジネスを回している企業では、珍しくありません。売上は請求書で追えても、そこにぶつける原価は、メンバーの作業時間と外注費と経費に散ら…
自社に合う仕組みの選び方
タイプの見当がついたら、個別の製品を比べる軸を押さえておきましょう。案件採算を扱う仕組みは、次の観点で見比べると自社に必要な機能を絞り込めます。
原価の入力範囲で比べる
どこまでの費用を案件にひもづけて集計できるかは、製品によって幅があります。外注費や材料費などの直接費だけでなく、間接費を配賦して案件に割り振れるか、仕掛(進行中の案件に積み上がった原価)を管理できるかまで備わっていると、実態に近い採算を把握できます。自社が案件採算をどの粒度で見たいかに合わせて、必要な入力範囲があるかを見るとよいでしょう。
工数管理との連携で比べる
人件費が原価の多くを占める業態では、工数(作業時間)をどう原価に取り込むかが採算の精度を左右します。工数管理の機能を内蔵しているか、既存の勤怠・工数ツールと連携して労務費を自動で案件に按分できるかが見るポイントです。工数と費用を手作業でつなぐ運用から抜け出せるかが、導入効果の分かれ目になります。
予実・収支予測の有無で比べる
赤字案件を早く掴むには、予算と実績を比べる予実管理だけでなく、このまま進んだ場合の着地見込みを示す収支予測があると役立ちます。進行中の案件について、予実差異や着地見込みをダッシュボードで確認できるかを見ておくと、問題のある案件への対応が早くなります。過去の実績を締めるだけでなく、先を見られるかが選定のポイントです。
会計・基幹システムとの連携で比べる
案件採算の仕組みを単独で使うのか、会計ソフトや販売管理、勤怠といった既存のシステムと連携させるのかで、選ぶ製品は変わります。会計データや受注データを二重入力せずに取り込めるか、自社が使っている会計ソフトに対応しているかを確認しておくと、運用の手間を抑えられます。全社の数字と案件採算をつなぎたい場合は、基幹業務まで統合できるタイプが候補になります。
導入・運用の費用で比べる
費用は初期費用と月額費用の両面で見ます。ユーザー数に応じた課金か、機能や規模に応じた料金かは製品ごとに異なり、料金を公開せず個別見積もりとしている製品もあります。案件採算の見える化だけを小さく始めたいのか、全社の基幹業務まで一体で入れ替えたいのかによって、妥当な費用規模は変わります。得られる効果と運用にかかる手間・コストのバランスで見極めるとよいでしょう。
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案件別の原価・収支を扱えるサービス
ここからは、案件別に原価・収支を集計できる仕組みを具体的に見ていきます。収支管理に特化したもの、工数やプロジェクト管理と連携するもの、会計・基幹と一体で扱うERP型まで、タイプの異なるサービスを取り上げました。料金や対応範囲、案件採算で何ができるかを見比べて、自社に合う候補を絞り込んでください。
次の比較表には各サービスの「タイプ」列があるので、前の章で見当をつけた自社のタイプ(収支管理特化型/工数・プロジェクト管理連携型/ERP・基幹統合型)から候補を拾えます。
| 案件別の原価・収支を扱えるサービスの比較 | Oracle NetSuite | OBPM Neo | クラウドERP ZAC | OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューション | プロカン | Reforma PSA | MA-EYES | Lychee Redmine | SmileWorks |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | ERP・基幹統合型 | 工数・プロジェクト管理連携型 | ERP・基幹統合型 | ERP・基幹統合型 | 収支管理特化型 | 収支管理特化型 | 工数・プロジェクト管理連携型 | 工数・プロジェクト管理連携型 | ERP・基幹統合型 |
| 案件別の原価・収支管理 | PSAアドオンモジュール「SuiteProjects」で案件の予算・実績コスト・収益性を監視し、直接費・間接費を案件予算に配賦(標準の会計機能には含まれない) | 原価見積・実行予算・工程別原価・社員ランク別標準原価・仕掛計上・採算EVM・利益予実推移で案件の原価を細かく積み上げ(原価管理は上位のEnterprise Edition) | 案件別に売上・外注費・労務費・経費を集約し損益をリアルタイム可視化。個別原価計算を自動化(直接作業は直課、間接作業は再配賦) | 「個別収支」で引合い〜受注・売上・発注購買・外注支払・経費までを案件ごとに管理し収支の現状を把握(原価計算の詳細機能は公式ページで未確認) | 案件ごとに予算・実績・原価・外注費・経費を集約し収支をリアルタイム可視化(予算実績対比表) | 実行予算(利益計画)を入力すると案件別原価を自動計算。仕掛中でも案件別損益を把握 | 案件ごとに原価・売上を管理し、月別の予算と実績をグラフ比較。着地予測で締め後の赤字を防ぐ(標準はプロジェクト単位、製品・ジョブ単位も可) | コストマネジメントで予算とコストを比較し収支を可視化、EVMで進捗と採算を把握(独立した予実管理機能ではなく、プレミアム以上で利用) | 案件ごとに売上・仕入・稼働工数・経費を集約し、予算入力と実績対比・帳票発行(標準提供) |
| 工数管理の連携 | タイムシートで記録した工数を案件に適用し、総勘定元帳へ転記して会計処理 | 工数入力・工程別工数に対応し、社員ランク別標準原価で案件原価に反映 | 工数登録が案件別の労務費に自動集計。打刻システムとAPI/CSV連携 | 開発工数・稼動工数・Web日報入力に対応(工数から人件費への変換ロジックは公式ページで未確認) | Googleカレンダー連携で工数を入力し「工数×労務単価」で人件費換算(労務単価の設定方法は公式に明記なし) | 工数登録を前提に労務費配賦・共通費配賦で案件原価へ反映 | 勤怠と連動して工数入力。マスタの基準時間単価×作業時間で労務費を算出 | タイムマネジメントで工数を入力し、コストグループ単価×作業時間で費用を算出(プレミアム以上) | 稼働報告で工数入力(標準)。人件費の案件別自動配賦は給与ワークス契約+配賦機能オプション(月5,000円税別)が必要 |
| 会計・基幹システム連携 | 会計・販売・在庫・CRMを単一基盤に統合(同一基盤で会計と連携) | 勤怠・販売管理・会計システムと連携(Web API・自動取込・ETL。勘定奉行クラウドとのAPI連携実績) | 販売・購買・勤怠・管理会計を内包。財務会計は仕訳インポート対応システムと連携(勘定奉行クラウドはAPI) | OBIC7の会計情報・人事給与情報ソリューションと連携(他社システムとの連携仕様は公式に記載なし) | 弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードと連携(会計連携はオプション) | 財務会計システムへ仕訳データを出力(勘定奉行クラウド・弥生会計・マネーフォワード クラウド会計等。ファイル連携) | 販売・経理(会計)モジュールを内包。勘定奉行クラウドとAPI連携 | 会計・基幹システムとの連携は公式に記載なし(REST API・Teams/Slack連携あり) | 販売・購買・在庫・会計・給与を内包し自動仕訳。他社会計ソフト(勘定奉行・freee・マネーフォワード・弥生等)とも連携 |
| 料金(初期費用・月額) | 初期費用:要お問い合わせ 月額:要お問い合わせ(ベースライセンス+ユーザー数+データ量で決定) | 初期費用:要お問い合わせ(公式料金ページに記載なし) 月額:105,000円〜(税抜、最低10ライセンス、1年契約) | 初期費用:10万円(ZAC初期設定費用) 月額:モジュール×ライセンス数+保守6万円〜/月(単価は要お問い合わせ) | 初期費用:要お問い合わせ(非公開) 月額:要お問い合わせ(非公開) | 初期費用:150,000円〜(税込165,000円〜) 月額:30,000円〜(税込33,000円〜、利用人数で変動) | 初期費用:0円 月額:30,000円(税抜)〜(ライセンス従量制) | 初期費用:要お問い合わせ 月額:要お問い合わせ(SaaS/一括/SaaS+で異なる) | 初期費用:公式料金ページに記載なし 月額:ユーザー900〜2,100円(税別・10ユーザー単位。工数・EVM・コスト管理はプレミアム1,400円〜)+クラウド利用料5,000円/月〜 | 初期費用:0円〜(販売ERP 0円/標準30,000円ほか) 月額:5,000円〜(販売ERP基本。標準は最初のモジュール10,000円、2つ目以降各7,000円。税別・オプション別) |
| 提供形態 | クラウド(SaaS) | クラウド(シングルテナント) | クラウド | クラウド(プライベート型)・オンプレミス | クラウド | クラウド | クラウド(SaaS・一括・SaaS+) | クラウド・オンプレミス | クラウド(SaaS) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※料金・機能は2026年10月時点の各社公式サイトの公表情報に基づく概要です。公開されていない料金は「要お問い合わせ」としています。最新の料金・条件は各社の公式情報でご確認ください。
Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

Oracle NetSuite は、会計・販売・在庫・CRM などを単一の基盤に統合したクラウドERPです。公式サイトによると世界200か国以上・44,000社超で利用されています(2026年10月時点)。案件採算の管理は、PSA(プロフェッショナルサービス自動化)のアドオンモジュール「SuiteProjects」が担い、標準の会計機能には含まれない点に注意が必要です。
SuiteProjects では、案件の予算・見積・実績コスト・仕掛・収益性を監視し、直接費・間接費を案件予算に対して配賦できます。タイムシートで記録した作業時間は総勘定元帳に転記され、プロジェクト経費は申請から承認まで扱えます。会計と同じ基盤で案件の収益性をリアルタイムに把握できるのが強みです。
料金は公式では非公開で、ベースライセンスにユーザー数とデータ量を組み合わせて決まるため要お問い合わせです。中堅〜大企業や、海外展開・IPO準備・M&A後のグループ統合など、全社の基幹業務を1基盤にまとめたい企業に向きます。案件採算の見える化だけを小さく始めたい場合は過大になりやすい点を踏まえて検討するとよいでしょう。
出典・参考資料(2件)
OBPM Neo(株式会社システムインテグレータ)

OBPM Neo は、株式会社システムインテグレータが提供するプロジェクト管理・プロジェクト収支管理ツールです。原価見積と実行予算、工程別の原価、社員ランク別の標準原価、プロジェクト別採算のEVM、仕掛計上まで、案件の原価を細かく積み上げて管理できます。
収支予測として、受注の見込・実績、部門損益の見込・実績、プロジェクト利益の予実推移を確認できます。プロジェクト経費は経費伝票やプロジェクト経費入力で案件にひもづけて集計する仕組みで、立替経費の申請・承認を回す経費精算ツールとは位置づけが異なります。
SSO(シングルサインオン)に対応し、開発部門でISMS(ISO/IEC 27001)認証を取得しています。原価管理・見積管理・調達管理は上位のEnterprise Editionで提供されます。
料金は月額105,000円(税抜)からで、ボリュームディスカウント制、最低10ライセンス、契約は1年単位です(2026年10月時点)。初期費用は公式に記載がありません。無料トライアルの申込導線はありますが、期間・条件は公式に明記がないため確認が必要です。
クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

クラウドERP ZAC は、東証プライム上場の株式会社オロが提供する、案件・プロジェクト単位で業務が進む業種に特化した統合型クラウドERPです。IT・システム開発、広告・クリエイティブ、コンサルティング・士業などを主な対象とし、公式サイトでは1,100社超・約35万ライセンスの利用があるとされています。
プロジェクト別の収支管理を軸に、個別原価計算を自動化します。担当者が案件と作業項目を指定して工数を登録すると、自動的に案件別の労務費として集計され、直接作業は指定した案件に直課、間接作業は部門配下の案件へ再配賦されます。見積から受注・売上・請求・債権管理までの販売管理も、案件採算と同じデータ上で連動します。
料金はZAC初期設定費用10万円と保守費用(データセンター利用料)6万円〜/月に、機能(モジュール)×ライセンス数の利用料が加わる構成で、モジュール単価は製品資料での開示(要お問い合わせ、2026年10月時点)です。従業員50名以上が一つの目安とされます(同社Reforma PSAとの公式比較による)。運営会社のオロはISMS(ISO/IEC 27001)とプライバシーマークを取得しています。
OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューション(株式会社オービック)

OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューションは、株式会社オービックの基幹システム「OBIC7」が提供する、案件型ビジネス向けの機能群です。「個別収支」により、引合いから受注・売上・開発・発注購買・外注支払・旅費経費までを案件ごとに管理し、収支の現状をタイムリーに把握できます。進捗管理や工数管理も備えています。
会計情報や人事給与との連携により、案件の情報を全社の基幹業務とつなげられます。導入から運用までを自社で一貫して支援する「ワンストップ・ソリューション・サービス」を掲げ、コンサルティングSEチームが継続的にフォローします。導入対象は大手から中堅・中小企業までとされています。提供元のオービックは、ITRの調査でERP市場のベンダー別売上金額シェア1位(2024年度)と報告されています。
料金は公式サイトに記載がなく、要お問い合わせです(2026年10月時点)。クラウドは顧客ごとのプライベート型で提供されます。
出典・参考資料(2件)
プロカン(株式会社PROCAN)

プロカンは、株式会社PROCANが提供する、プロジェクト型ビジネス向けのクラウド収支管理システムです。IT・制作・建設など案件単位で進む受託型ビジネスに特化し、業種別に3つのラインナップ(プロカンIT/プロカン制作/プロカン建設工事)を展開しています。案件ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化します。
社内人員の工数を「工数×労務単価」で原価に換算し、外注費などの社外コストと合わせて案件ごとの粗利を見える化します。見積・請求・発注・経費精算・稟議承認までを1つの入力データから連続して処理でき、弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードといった会計ソフトとも連携します。中小企業を主な対象とし、IT導入補助金の対象サービスとして案内されています。
料金は初期費用150,000円〜(税込165,000円〜)、月額30,000円〜(税込33,000円〜)で、利用人数に応じて変動します(2026年10月時点)。
Reforma PSA(株式会社オロ)

Reforma PSA は、クラウドERP ZAC と同じ株式会社オロが、ZACの機能のうち案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化したクラウドERPです。IT・広告・イベント・コンサルティング・制作・設計など案件単位で進む業種を対象とし、従業員50名以下が一つの目安とされています。
実行予算(利益計画)を入力すると案件別の原価が自動計算され、仕掛中の案件でも損益をタイムリーに把握できます。従業員がプロジェクト・作業内容ごとに工数を登録すると、労務費配賦・共通費配賦の機能で案件原価に反映されます。販売・購買・勤怠工数・経費を一元化し、会計システムへは仕訳データを出力できます。
料金は初期費用0円、月額30,000円(税抜)からのライセンス従量制です(2026年10月時点)。導入期間は1〜2か月程度とされています(ZACは3〜6か月程度)。短期間・低コストで案件採算の見える化を始めたい成長企業に向く選択肢です。
MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

システム開発・SES(システムエンジニアリングサービス)・コンサルティング・広告など、人件費が主なコストとなるプロジェクト型ビジネスに向けたクラウド型ERPが、株式会社ビーブレイクシステムズの MA-EYES です。日々の工数登録から人件費・外注費・経費を案件原価へ反映し、部門別・案件別・顧客別で損益を可視化します。
工数は勤怠と連動して入力でき、メンバーのマスタに設定した基準時間の単価と実際の作業時間を掛け合わせて労務費を算出します。間接費・共通費の配賦基準は、工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった情報まで設定できます。
月別の原価の予算と実績をグラフで比較し、着地予測で締め後の赤字を防ぐ機能もあります。工事進行基準に対応し、ISO/IEC 27001とクラウドセキュリティ認証を取得しています。
料金は公式では非公開で要お問い合わせです(SaaS・一括・SaaS+の3つの導入形態から選択)。30日間の無料トライアルが用意されています(2026年10月時点)。
Lychee Redmine(株式会社アジャイルウェア)

Lychee Redmine は、株式会社アジャイルウェアが提供するプロジェクト管理ツールで、7,000社以上が利用しているとされています。工数管理・コスト管理・EVM(出来高管理)の機能を備え、プロジェクト管理を軸に案件のコストと収支を扱える点が特徴です。
コスト管理では、コストグループ別の単価で人件費を算出し、経費を登録して予算と収支を比較できます。独立した「予実管理」という機能としてではなく、EVMとコスト管理で予算と実績を比べる形です。EVMでは出来高(EV)や予算に対する進捗・コストの効率を表す指標(SPI・CPI)を算出し、進捗と採算を見られます。
これらの工数管理・EVM・コスト管理はプレミアムプラン以上で利用できます。ここでの経費は案件のコストとして登録するもので、立替経費を精算する経費精算ツールとは異なる点に注意してください。ISMS認証を取得しています(公式表記)。
料金はクラウド版でユーザー単価900円・1,400円・2,100円(いずれも税別・10ユーザー単位。工数管理・EVM・コスト管理は1,400円のプレミアムプラン以上)に、クラウド利用料5,000円/月〜(1クラウドサーバーあたり)が加わります。初期費用は公式料金ページに記載がありません(2026年10月時点)。
SmileWorks(株式会社スマイルワークス)

SmileWorks は、株式会社スマイルワークスが提供する中小企業向けの統合型クラウドERPです。販売・購買・会計・給与などの業務を1つのシステムに統合し、各業務の入力が会計仕訳まで自動で連動する設計で、プロジェクト別収支管理を主軸の一つに据えています。
案件ごとに売上・仕入・稼働工数・経費を集約し、案件ごとに予算を入力して実績と対比、関連する帳票を発行できます(標準提供)。ただし、稼働報告で入力した工数を人件費として案件別に自動配賦するには、給与計算の「給与ワークス」契約と配賦機能オプション(月額5,000円・税別)の追加が必要です。
料金は、販売管理に絞った販売ERPプランが初期費用0円・月額5,000円〜、標準プランが初期費用30,000円・月額10,000円〜(最初の機能モジュール。2つ目以降は各7,000円)です(いずれも税別、オプション別、2026年10月時点)。恒久的な無料プランはなく、申込月の翌月末まで無料で試せます。
まとめ
プロジェクトの経費・収支管理は、案件を単位に売上と原価(外注費などの直接費、工数から求める労務費、配賦する間接費)を集計し、採算を見える化する取り組みです。予算・見積を立て、進行中に予実差異と着地見込みを確認し、完了後に振り返って次の案件に生かす、という流れで回すと、赤字になりそうな案件を早い段階で掴めます。
案件数や関わる人数が増えてExcelでの集計が限界に近づいたら、仕組み化が選択肢になります。案件採算に絞って始めたいなら収支管理特化型、工数を原価に正確に取り込みたいなら工数・プロジェクト管理連携型、会計や販売と一体で全社管理したいならERP・基幹統合型が目安です。原価の入力範囲・工数連携・予実と収支予測・会計連携・費用の5つの軸で候補を見比べ、自社の規模と課題に合う仕組みを選んでください。
案件別の収支だけでなく、全社の予実管理や原価管理、経営レポートまで含めて管理会計の仕組みを広く比較検討したい場合は、カテゴリ全体をまとめた記事があります。目的・規模別の選び方やタイプごとの違いを横断的に整理しているので、本記事で掴んだ方向性をもとに候補を広げられます。
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よくある質問(FAQ)
Q. プロジェクトの経費・収支管理とは何ですか?
A. プロジェクトの経費・収支管理とは、案件(プロジェクト)ごとに売上と、それにかかった原価・経費を集計し、案件単位で採算(収支)を把握する取り組みです。会社全体の損益ではなく「この案件はいくら儲かったのか」を案件ごとに見える化する点が特徴で、原価計算の標準的な整理では、案件を一つの単位として原価を積み上げる「個別原価計算」にあたります。
Q. プロジェクトの経費・収支管理は、会計ソフトだけでは代替できないのですか?
A. プロジェクトの経費・収支管理は、一般的な会計ソフトだけでは代替しにくい場合が多いです。会計ソフトは勘定科目別や部門別に費用を集計することは得意ですが、外注費や工数から求めた労務費を案件単位にひもづけ、案件ごとに予算と実績を比べる仕組みは標準では持たないことが多いためです。
案件別の収支を見える化するには、案件採算に対応した収支管理システムや、会計と一体で案件原価を扱えるERPを使うことになります。
Q. プロジェクト原価の「間接費の配賦」とは何ですか?
A. 配賦とは、複数の案件にまたがって発生する間接費を、一定の基準で各案件に割り振ることです。特定の案件に直接ひもづけられる外注費や担当者の人件費(直接費)と違い、間接部門の人件費やオフィス賃料などの間接費は、特定の案件に直課できません。そこで直接作業時間(工数)などをものさしにして各案件へ配分し、実態に近い案件原価を求めます。
Q. 担当者の工数(作業時間)は、どのように案件の原価に取り込むのですか?
A. 工数は、作業時間に時間単価を掛けて労務費として案件原価に反映するのが一般的です。人件費が原価の大半を占める受託開発やコンサルティングでは、誰がどの案件に何時間使ったかを正確に把握できるかどうかが採算の精度を左右します。工数管理を内蔵する、または勤怠・工数ツールと連携する仕組みを使うと、工数から労務費を自動で案件に按分でき、Excelへの手作業の転記から抜け出せます。
Q. 小規模なチームや個人でも、案件ごとの収支管理は必要ですか?
A. 案件数や関わる人数が少ないうちは、Excelなど手元のツールでも十分に管理でき、必ずしも専用システムは必要ありません。ただし規模が小さくても、外注費や自分の工数を案件ごとにひもづけて採算を把握すること自体は、赤字案件を早く掴むうえで有効です。案件数が増える、複数人が同時に費用や工数を記録するようになる、採算を早く掴みたい、といった段階になったときが、仕組み化を検討する一つの目安です。
Q. ERP(基幹統合型)と収支管理に特化したツールは、どちらを選べばよいですか?
A. 案件採算の見える化だけを素早く・小さく始めたいなら収支管理特化型、会計や販売と一体で全社の数字まで扱いたいならERP・基幹統合型が目安です。特化型は会計や販売管理を既存のまま残して案件採算から着手でき、導入のハードルが比較的低いのが利点です。
一方ERP・基幹統合型は、受注から請求・会計までを同じ基盤でつなげられる反面、導入規模は大きくなります。自社がどこまでの業務を一体化したいかで選ぶとよいでしょう。
Q. 案件採算の仕組みを導入すると、既存の会計ソフトは入れ替えが必要ですか?
A. 必ずしも入れ替えは必要なく、既存の会計ソフトと連携して使える製品も多くあります。収支管理特化型や工数・プロジェクト管理連携型には、仕訳データを出力したり、主要な会計ソフトと連携したりして、会計はそのまま残せるものがあります。
一方、会計機能まで含むERP・基幹統合型を導入する場合は、会計も同じ基盤に統合する前提になります。二重入力を避けられるか、自社が使っている会計ソフトに対応しているかを、事前に確認しておくとよいでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















