システム開発や受託開発、ITコンサルティングのように案件(プロジェクト)単位で業務が動く会社では、案件ごとの原価の大半を人件費が占めます。誰がどの案件に何時間かかわったかという工数が、そのまま案件の原価を左右します。
しかし、その工数をExcelやタイムシートで集計し、手作業で単価を掛けて案件に割り振る運用では、集計に手間がかかり、入力漏れや属人化も起きやすくなります。結果として案件ごとの採算が見えにくくなり、赤字案件の発見が遅れることも少なくありません。
案件別の収支を正確に把握し、進行中でも採算のズレに気づける状態をつくるには、どのような観点で原価管理システムを選べばよいのでしょうか。
本記事では、IT・コンサルティング業の案件別原価に対応する18製品を比較・解説します。対応する原価の範囲や工数から人件費への変換の仕組み、会計・勤怠システムとの連携、費用感といった、人月(工数)ベースで原価を管理するための選定観点を整理しました。自社の業務範囲や規模に合った製品を見つけるための材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事では、システム開発・SIer・受託開発・ITコンサルティングなど、案件(プロジェクト)単位で業務が動くIT・コンサルティング業に向けて、案件ごとの原価を把握し採算を管理できる製品を横断的に比較します。
取り上げるのは、工数(人月)を人件費の原価に変換し、案件単位で収支を追える製品です。予算と実績の対比が中心で案件別の人件費原価を扱わない製品や、原価を外注費・仕入だけで捉える製品は対象から外しています。
また、比較するのはすぐに導入できる既製の製品です。要件に合わせてゼロから作る受託開発(スクラッチ)は扱いません。
原価管理に限らず予実管理や経営分析まで含めた管理会計の仕組み全般を比べたい場合は、目的・規模別の選び方やタイプごとの違いまで解説した以下の記事が役立ちます。
IT・コンサルティング業で案件別原価の把握が難しい理由
ここでは、IT・コンサルティング業で案件別の原価管理が難しくなる理由と、システムで何が解決できるのかを整理します。
兼務・案件外の工数や準委任/請負の違いが原価を見えにくくする
原価の大半を人件費が占めるIT・コンサルティング業では、一人が複数の案件を兼務し、提案活動や社内業務といった案件に直接ひもづかない時間も日々発生します。この間接工数や案件外の時間をどの案件にどう割り振るかは判断が分かれやすく、担当者ごとにやり方が変わると、同じ案件でも集計のたびに原価がぶれます。
契約形態の違いも採算の見方を複雑にします。成果物の完成に対して対価が決まる請負では、工数が増えても売上は固定のため、工数の超過がそのまま利益を削ります。稼働時間に応じて対価が決まる準委任では、工数と売上がほぼ連動します。請負と準委任が混在すると、同じ工数でも採算の意味が変わり、一律の集計では実態をつかみにくくなります。
こうした工数をExcelやタイムシートで集計し、担当者が手で単価を掛けて案件へ割り振る運用では、集計に時間がかかるうえ入力漏れや二重入力も起きやすく、数字が安定しません。採算の判断材料として信頼しにくくなり、赤字案件の発見も遅れがちです。
システムで解決できること(案件別収支の可視化・工数と原価の脱Excel・会計連携)
原価管理システムを使うと、工数の入力から人件費原価への変換、案件別の収支集計までを一つの流れで処理できます。担当者が手で計算する部分が減り、集計のばらつきも抑えられます。

進行中の案件でも予算と実績を対比できるため、赤字の兆候を早い段階でつかみやすくなります。採算が崩れそうな案件に、終わってからではなく途中で手を打てる点が利点です。
勤怠や会計システムと連携できる製品では、二重入力を減らし、原価の数字を月次決算の仕訳までつなげられます。工数・勤怠・会計をまたいだデータの受け渡しを自動化できるかが、運用負担を分ける要素となります。
案件別原価に対応する製品・提供元の選び方
ここからは、自社の業務範囲と規模に合う製品を外さずに絞り込むための4つの観点を解説します。あわせて、無理なく定着させるための導入の進め方も最後に整理します。順に確認し、必要な機能の範囲を明確にしてから候補を比べてください。

対応する原価の範囲は自社の必要を満たすか
製品によって、扱える原価の範囲は分かれます。工数を集計して人件費だけを見るものから、外注費・経費まで含めて案件の粗利を出すもの、さらに間接費の配賦や標準原価と実際原価の差まで扱うものまで幅があります。
自社が案件の採算をどこまで細かく見たいかで、必要な範囲は変わります。人件費の集計だけで足りるのか、外注費・経費を含めた粗利まで必要か、月次決算の原価計算まで求めるのかを先に決めると、過不足のない製品を選びやすくなります。
案件・プロジェクト単位でどの粒度まで収支を追えるか
見積の人月から実績までを、一つの案件として続けて追えるかを確認しましょう。計画(見積)と実績の差を案件ごとに比べられると、採算のズレを早く見つけられます。
仕掛中(未完了)の案件でも損益を把握できるか、工程や担当者の単位まで分解できるかによって、使える深さが変わります。採算を細かく見たい場合は、分解できる粒度が合っているかまで見ておくと安心です。
工数管理・勤怠・会計システムと連携できるか
工数入力の仕組みを製品自体が持つか、既存の勤怠・会計システムと連携できるかを確認しましょう。勤怠と工数を別々に入力すると労働時間と工数がずれ、原価の信頼性が落ちやすくなります。
会計システムと連携できれば、算出した原価を仕訳までつなげられ、月次決算の手間を抑えられます。受注・売上を管理する販売管理や顧客管理の仕組みと連携できると、売上と原価を突き合わせて案件ごとの粗利を自動で把握できます。
提供形態(クラウド・オンプレミス)と費用感は自社に合うか
クラウド型は初期費用を抑えて始めやすく、オンプレミス型やパッケージ型は自社運用やカスタマイズの自由度が高い傾向があります。自社のITインフラ方針や、求めるカスタマイズの度合いに合わせて選びましょう。
費用は、初期費用無料・月額数万円から始められるものから、月額数十万円規模のERPまで幅があります。料金を公開せず個別見積もりとする製品も多いため、自社の利用人数や機能範囲での概算を早めに確認しておくとよいでしょう。
導入の進め方(スモールスタート)
最初からすべての機能を使おうとすると、現場の入力負担が増え、定着しないことがあります。まずは工数入力と案件別の集計から始め、会計連携や間接費の配賦は段階的に広げる進め方が、負担を抑えやすい方法です。
小さく始めて効果を確かめながら対象を広げると、現場が運用に慣れたうえで機能を増やせます。トライアルや一部の案件での先行利用に対応しているかも、確認しておきたい点です。
どの製品が自社の課題や業務範囲に合うのか迷うときは、以下の「30秒で終わる選定診断ツール」もお役立てください。
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【比較表】案件別原価・人月計算への対応と費用感
ここからは、自社の課題や要件に合わせて客観的に比較・選定できるよう、IT・コンサルティング業の案件別原価に対応する主要な製品を横並びで整理します。対応する原価の範囲や工数から人件費への変換の仕組み、会計・勤怠連携、費用感を一覧で見比べてください。
見分けるときは、まず案件別原価の対象の列を確かめると絞り込みやすくなります。人件費だけでなく外注費・経費まで案件ごとに集計したい場合は、クラウドERP ZAC・OBIC7・Reforma PSA・MA-EYES・プロカン・SMILE V 2nd Edition Project Director・マネーフォワード クラウド個別原価などが対象範囲を満たします。
一方で TimeCrowd(対象は人件費のみ)や TeamSpirit 工数(人件費中心で外注費は対象外)は工数と人件費の把握が主で、外注費・経費まで原価に含めるには会計システムとの連携や上位製品が前提になります。工数管理が中心の製品を候補にするときは、「工数→人件費の仕組み」と「会計・勤怠連携」の列もあわせて確認してください。
| サービス名 | OBPM Neo | クラウドERP ZAC | OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューション | Reforma PSA | MA-EYES | プロカン | Biz∫(ビズインテグラル) | SMILE V 2nd Edition Project Director | HUE Classic Project Management | マネーフォワード クラウド個別原価 | SmileWorks | LEEAD | Flagxs | 楽楽販売 | freee販売 | TimeCrowd | TeamSpirit 工数 | GRANDIT miraimil |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド | クラウド | オンプレミス/クラウド | クラウド | クラウド(SaaS/一括) | クラウド | ERPパッケージ(オンプレ/クラウド/ハイブリッド) | オンプレミス/クラウド | 明記なし | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド |
| 案件別原価の対象 | 人件費(工数・工程別原価) | 人件費・外注費・仕入・経費 | 人件費・外注費・経費(間接費配賦) | 人件費・外注費・経費 | 人件費・外注費・経費 | 人件費・外注費・経費 | 原価(間接費の多段階配賦に対応) | 人件費・外注費・経費 | 人件費・外注費 | 人件費・外注費・経費 | 人件費(配賦オプション)・仕入・経費 | 人件費・外注費・経費 | 人件費・外注費・経費 | 人件費・外注費(発注原価)・間接費 | 人件費(工数連携)・外注費・経費 | 人件費のみ(外注費・経費は対象外) | 人件費中心(外注費は対象外) | 人件費・外注費・経費 |
| 工数→人件費の仕組み | 社員ランク別の標準原価を設定 | 工数を労務費に自動集計(直課・再配賦)。単価設定は非公開 | 開発工数を案件別に集計(単価設定は非公開) | 工数登録→労務費配賦で案件原価に反映(単価設定は非公開) | 基準時間単価×作業時間(個人別・ジョブグレード別) | 工数×労務単価で換算(単価設定は非公開) | プロジェクト原価管理機能で原価を集計(工数→労務費の算出方式は非公開) | 工数入力・勤次郎連携で労務費を算出(単価設定は非公開) | 工数集計から人件費を算出・配賦(単価設定は非公開) | 従業員別単価を勘定科目別に設定し労務費を算出 | 配賦機能オプションで実働単価ベース配賦(給与ワークス連動) | 案件に人件費・工数を紐づけ(単価設定は非公開) | 要員グレード別単価×工数実績で自動換算 | 工数を原価・利益率に紐づけ(単価設定は非公開) | freee工数管理連携で人件費を反映(単体では自動算出なし) | チーム・ユーザー別に時間単価を設定し工数×単価で算出 | 標準単価×工数で算出(プロジェクト原価管理アドオン) | プロジェクト原価管理モジュールで対応(単価設定は非公開) |
| 収支・採算管理 | 案件別採算をEVMで予実管理 | 案件別損益をリアルタイム把握(仕掛中も対応) | 実行予算・実績・着地見通しを一元管理 | 実行予算入力で仕掛中も案件別損益を把握 | 案件別・部門別・顧客別の損益と着地予測 | 予算実績対比表で収支をリアルタイム可視化 | 予実管理・プロジェクト別予算管理 | 工程別予実と着地予測、収支帳票を出力 | 予実比較と赤字懸念案件の自動抽出 | プロジェクト原価推移表で可視化(予実対比は非公開) | 予算入力と実績対比、収支帳票を発行 | 計画と実績の差異、収支見通し・人員計画を確認 | 進行中案件の損益(P/L)をリアルタイム把握 | 案件単位の収支を自動集計(予実管理) | 案件別粗利と原価推移レポートで赤字予兆を検知 | 工数ベースの人件費・粗利をレポート(予実・売上突合は非対応) | 原価予実・着地予測を可視化(原価管理アドオン) | 実行予算・実績・差異照会、経営分析レポート |
| 会計・勤怠連携 | 勤怠・会計とAPI/ETL連携(会計へ原価出力) | 会計へ仕訳連携、勤怠打刻をAPI/CSV連携 | 同社OBIC7会計・人事給与とシームレス連携 | 会計へ仕訳連携(奉行・MF・弥生等)、勤怠を内包 | 勘定奉行クラウド等と連携、勤怠を内包 | 弥生・freee・勘定奉行・MF等と連携 | 会計・人事給与を同一ERP内に統合 | SMILE V会計・勤次郎(勤怠)と連携 | 会計へ仕訳データを自動連携、勤怠データを集約 | MFクラウド会計Plus・勤怠4種と連携 | 会計・給与・勤怠を同一ERP内に統合(他社会計連携も可) | CSV入出力(会計・勤怠連携は非公開) | 会計・勤怠連携なし(販売・会計機能を持たない) | 会計へ連携(奉行・freee・MF・弥生等) | freee会計と自動連携、人件費はfreee工数管理連携 | カレンダー・API連携(会計連携は非公開) | 勤怠と連携(整合性チェック)、MF個別原価等と外部連携 | 会計・人事・給与を同一ERP内に統合 |
| 対象企業規模 | 明記なし | 中堅〜大手(目安50名〜) | 大手・上場企業中心 | 小〜中規模(目安〜50名) | 中小〜大規模(提供形態で選択) | 中小企業中心 | 大手中心(中堅はBiz∫Optima) | 明記なし | 大手企業中心 | IPO準備〜中堅・上場企業 | 中小企業中心(小規模〜大企業) | 明記なし | 中〜大企業・SI企業 | 明記なし | 個人事業主〜中小企業 | 明記なし | 明記なし | 中堅・中小企業向け |
| 費用感(初期/月額) | 初期 要問い合わせ/月額105,000円〜(税別) | 初期10万円/月額 要問い合わせ(+保守6万円〜) | 初期・月額とも要問い合わせ | 初期0円/月額30,000円〜(税抜) | 初期・月額とも要問い合わせ | 初期150,000円〜(税込165,000円〜)/月額30,000円〜(税込33,000円〜) | 初期・月額とも要問い合わせ | 初期・月額とも要問い合わせ | 初期・月額とも要問い合わせ | 初期・月額とも要問い合わせ | 初期0円〜/月額5,000円〜(税別、プランにより変動) | 初期・月額とも要問い合わせ(30日間無料) | 初期・月額とも要問い合わせ | 初期200,000円/月額70,000円〜(税抜) | 初期0円/月額 約5,000円〜(スタンダードは約40,000円〜、税抜・要問い合わせ) | 初期・月額とも要問い合わせ | 初期 要問い合わせ/月額30,000円〜(工数+勤怠、税抜) | 初期 個別見積/月額45万円〜 |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
紹介するサービス
ここからは、比較表で取り上げた各製品について、機能・案件別原価や人月計算への対応・費用感を個別に解説します。自社の業務範囲や規模に照らしながら、資料請求の判断材料としてご覧ください。
1. OBPM Neo(株式会社システムインテグレータ)

株式会社システムインテグレータが開発するOBPM Neoは、PMBOKの10の知識エリアをカバーする統合型プロジェクト管理システムです。2008年提供の「SI Object Browser PM」を前身とし、2021年3月にクラウド版として提供が始まりました。システム開発業やSIerなど、プロジェクト単位で業務が進む企業を主な対象としています。
工数入力から原価・収支への反映を軸に、社員ランク別の標準原価設定、工程別原価、プロジェクト別の採算登録・照会に対応します。EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)で予算と進捗を定量的に評価でき、案件ごとの採算を追えます。
勤怠・販売管理・会計システムとはWeb APIやETLで連携し、月次の仕掛原価・完成原価を会計システムへ出力できます。料金は月額105,000円(税別)からで、Basic・Limited・Enterpriseの3エディションのうち、原価管理機能はEnterpriseエディションで利用できます。
2. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

クラウドERP ZACは、株式会社オロが提供する、案件・プロジェクト単位で業務が進む業種に向けた統合型クラウドERPです。IT・広告・コンサルティング・士業などを対象に、プロジェクト別の収支管理を軸として、販売管理・購買・勤怠や工数・経費・管理会計を一つにまとめます。
原価は案件単位で積み上げ、外注費・仕入・労務費を案件に紐付けて管理します。担当者が案件と作業項目を指定して入力した工数は案件別の労務費として自動集計され、直接作業は指定案件に直課、間接作業は部門配下の案件へ再配賦されます。予定と実績の労務費・作業時間を同じ画面で対比でき、仕掛中の案件損益も把握できます。
料金は初期設定費用10万円に、機能(モジュール)×ライセンス数の月額と保守費6万円〜/月を組み合わせる形で、各ライセンスの単価は要問い合わせです。提供元は東証プライム上場の株式会社オロで、導入実績は1,100社を超えると公式サイトに記載されています(2026年10月時点)。
3. OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューション(株式会社オービック)

OBIC7 プロジェクト管理統合ソリューションは、株式会社オービックの統合業務ソフトウェアOBIC7を構成するモジュールの一つです。IT関連業・コンサルティング業・設備工事業・広告関連業など、案件単位で収益を管理する業種に向けて、引合いから受注・売上・開発・発注購買・外注支払・旅費経費までを案件ごとに一元管理します。
原価管理では、実行予算の設定と実績・着地見通しの一元管理に加え、案件単位の直接費集計、仕掛/完成振替処理、間接費・共通費の配賦、標準原価から実際原価への洗替えに対応します。開発工数管理の機能も備え、案件別に工数実績を集計できます。
同じOBIC7の会計情報ソリューション・人事給与情報ソリューションとシームレスに連携できる点が、同一ベンダー内で統合する設計の特徴です。提供形態はオンプレミス型とプライベートクラウド型から選べ、料金は初期費用・月額とも非公開で、個別の問い合わせが必要です。
4. Reforma PSA(株式会社オロ)

Reforma PSAは、株式会社オロがZACと並行して提供するクラウド型の案件管理システムです。IT・広告・イベント・コンサルティング・制作・設計など、案件単位で業務が進む業種を対象に、販売管理・購買・勤怠や工数・経費を一元化し、プロジェクト別の予実と損益を可視化します。
従業員がプロジェクトと作業内容ごとに入力した工数は、労務費配賦計算で案件原価へ反映されます。共通費の配賦計算にも対応し、プロジェクト別に予定工数と実績(労務費)を対比できるため、仕掛中の案件でも損益をタイムリーに把握できます。
公式のZAC比較では、従業員50名以下を目安に、ZACの機能を案件・プロジェクト型の標準機能へ絞ってパッケージ化した製品と位置づけられています。初期費用は0円、月額は最低30,000円(税抜)からで、販売管理や勤怠などの機能別ライセンスをユーザー単位で選ぶ料金体系です。
5. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

MA-EYESは、株式会社ビーブレイクシステムズが提供するプロジェクト型ビジネス向けのクラウド型ERPです。日々の工数登録から人件費・外注費・経費を案件原価に反映し、部門別・案件別・顧客別など複数の切り口で損益を可視化します。システム開発・SES・コンサルティング向けのV ver.と、広告業向けのA ver.を展開しています。
労務費は、担当者マスタに設定した基準時間の単価と実際の作業時間を掛けて算出し、単価は個人別またはジョブグレード別に設定できます。間接費・共通費の配賦基準には、工数・人数・売上高・人件費比率に加え、面積や机の数といった非システム情報も指定できます。
原価の把握単位は標準のプロジェクトのほか、製品やジョブなどより細かい単位にも設定できます。提供形態はSaaS・SaaS+・一括の3種類で、料金は要問い合わせ、30日間の無料トライアルが用意されています。ISO/IEC 27001とクラウドセキュリティ認証を2025年3月に取得しています。
6. プロカン(株式会社PROCAN)

プロカンは、株式会社PROCANが提供する、案件単位で進行する受託型ビジネス向けのクラウド型収支管理システムです。案件ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化します。IT・制作・建設の分野で業種別のラインナップを用意しています。
工数はGoogleカレンダーと連携して入力を支援し、社内人員の工数を工数×労務単価で人件費に換算して、外注費などの社外コストと合わせ案件ごとの粗利を把握します。予算実績対比表では、売上・原価・工数の予算と実績、昨年対比を含む収支を確認できます。
見積・請求・発注・経費精算などの帳票作成から、デジタル稟議・承認までを一つの入力データで処理できます。会計ソフトは弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードとの連携が案内されています。料金は初期費用150,000円(税込165,000円)から、月額30,000円(税込33,000円)からで、利用人数に応じて変動します。
7. Biz∫(ビズインテグラル)(株式会社NTTデータ・ビズインテグラル)

Biz∫(ビズインテグラル)は、株式会社NTTデータ・ビズインテグラルが提供する国産のERPパッケージです。会計・販売購買・人事給与を、intra-mart基盤のワークフローとともに統合します。NTTデータ公式では年商500億円以上の大手企業を主な対象としつつ、サブスクリプション型の「Biz∫Optima」で中堅企業にも間口を広げています。
案件別の原価管理は、会計モジュール「Biz∫会計」のプロジェクト原価管理機能が担います。管理会計では予実管理や多段階の間接費配賦に対応し、IT業向けの業種別テンプレートではプロジェクト別予算管理も用意されています。
ライセンスは業務モジュール×指定ユーザー数の体系で、一般会計のみといった最小単位から段階的に導入できます。提供形態はオンプレミス・クラウド・ハイブリッドから選べます。料金は要お問い合わせで、採用社数は2,000社を突破したと公式会社概要に記載されています(2025年12月時点)。
8. SMILE V 2nd Edition Project Director(株式会社大塚商会)

株式会社大塚商会が販売するプロジェクト収支管理システムで、案件の見込み段階から受注・手配・進捗・計上までを一画面で把握し、プロジェクト収支を可視化します。ソフトウェア・IT、広告・コンテンツ制作、コンサルティングなどが導入業態として挙げられています。
Webの工数入力画面からプロジェクトごとの労務費を算出でき、勤怠管理システム「Universal 勤次郎」で登録した工数データも案件ごとの労務費として原価に反映できます。工程単位で予定と実績を比べ、異常値を早い段階で見つけられます。
プロジェクト別・部門別・サービスカテゴリー別など複数の切り口で収支管理帳票を出力でき、注残や見込みを含めた実績のシミュレーションで着地を予測できます。保守契約やコンサル料などの定額課金にも対応します。料金は公式サイトに記載がなく、個別の問い合わせが必要です。
9. HUE Classic Project Management(株式会社ワークスアプリケーションズ)

案件ごとの採算を可視化し、原価計上まで統合するプロジェクト収支管理システムです。株式会社ワークスアプリケーションズが提供し、工数集計から人件費の案件配賦、予定原価の積み上げ、予実比較、案件別収支までを扱います。
勤怠・経費・売上のデータを集約して月次締めに利用し、工程と配置人員の積み上げで予定原価を算出、計画当初・直近計画・完了見込みの推移を月別・科目別に比較できます。事前に設定したボーダーラインで、赤字が懸念される案件を自動で抽出します。
プロジェクト別の原価算出・仕訳データ作成・会計システムへの自動連携までをボタン一つで実行でき、協力会社管理と専用WEB-EDIによる外注発注にも対応します。情報サービス業や建設、コンサルティングなど、請負と準委任が混在する案件を想定した構成で、料金は要問い合わせです。
10. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

IPO準備期から中堅・上場企業のプロジェクト型ビジネスを対象に、株式会社マネーフォワードが提供する個別原価管理システムです。IT・システム開発業、SaaS・ソフトウェア業、クリエイティブ業、コンサルティング業などで、工数入力から原価の可視化までを一連で扱います。
工数は日次の時間入力・月次の割合入力・外部システムからの一括インポートに対応し、マネーフォワード クラウド勤怠やKING OF TIMEなど勤怠管理4種と連携して実労働時間を反映できます。勘定科目ごとに従業員別の単価を設定し、プロジェクトごとの労務費の内訳を算出します。
部門・勘定科目ごとの間接費を集計し、工数比率や従業員数比率などの基準でプロジェクトへ多段階に配賦できます。SOC 1 Type 2報告書の対象サービスに含まれます。料金は利用人数や契約内容によって変わり、公式サイトでは非公開のため問い合わせが必要です。
11. SmileWorks(株式会社スマイルワークス)

販売管理・財務会計・給与計算・勤怠を一つにまとめた、中小企業向けの統合型クラウドERPです。提供元は株式会社スマイルワークスで、そのなかのプロジェクト別収支管理を主軸に、売上・仕入・経費・社内工数を案件単位で集計できます。
案件ごとに予算を入力して実績と対比でき、受注額・売上額・原価を含む帳票を発行できます。従業員が案件単位で入力する稼働報告は標準機能ですが、工数を人件費として案件別に自動配賦するには、給与計算モジュールの契約と月額5,000円(税別)の配賦機能オプションが必要です。
料金は初期費用0円・月額5,000円(税別)の販売ERPプランから、初期30,000円・月額10,000円(税別)の標準プラン、大規模向けのEnterpriseプランまで、機能をモジュール単位で追加する構成です。申込月の翌月末まで無料で利用でき、公式表記では「最大2ヶ月無料」とされています。
12. LEEAD(株式会社ETVOX)

案件単位の収支分析に特化したクラウドサービスで、株式会社ETVOXが開発・提供しています。公式はクリエイティブ・広告/企画業、士業・コンサルティング業、IT・システム業を対象業種に挙げ、プロジェクト会計に絞ったシンプルな操作性を訴求しています。
プロジェクトごとに売上・人件費・外注費・経費・稼働工数を紐づけて管理し、計画値と実績値を登録して差異を比較できます。収支実績に加え、今後の収支見通しや人員計画を確認でき、計画と実績の差を把握できます。累計の登録ユーザー数は1,200件超、登録プロジェクト数は3,500件超と公式サイトに記載されています(2026年10月時点)。
部署・組織をまたいだ閲覧や、顧客ごとのグループ化、独自タグによる分析にも対応します。導入後30日間は無料で試せます。料金プランは企業の状況に応じて用意され、金額は公式サイトに記載がないため問い合わせが必要です。
13. Flagxs(フラッグス株式会社)

フラッグス株式会社が提供するクラウド型のプロジェクトマネジメントサービスで、WBSによる計画の標準化とタスク・工数データの一元管理を軸に、進捗管理からレポートまでを扱います。中〜大企業やSI企業を中心に想定されています。
2024年10月にプロジェクト損益管理とリソースアサイン管理の機能が加わりました。人件費を要員グレード別の単価で設定し、工数実績から自動で金額に換算して、プロジェクト単位の損益をリアルタイムに把握でき、進行中の案件単体の損益計算書を確認・共有できます。
月別の可用工数を入力して全社横断でアサイン状況を確認し、過剰なアサインを特定できます。本体はISO/IEC 27001とISO/IEC 27017を取得しています。販売管理・会計機能は備えないため、工数を起点にプロジェクトの損益を見る用途に向きます。料金はプランや利用人数により異なるため、問い合わせが必要です。
14. 楽楽販売(株式会社ラクス)

株式会社ラクスが提供するクラウド型の販売管理システムです。見積・受注・請求といった販売業務に加え、受注情報(売上)と発注情報(原価)、間接費などの追加原価を案件(プロジェクト)単位で紐づけ、収支をリアルタイムに集計できます。
工数と原価・利益率を紐づける工数管理機能も備えますが、工数の入力単位や人件費単価の設定方法、人件費への自動計算式は公式に公開されておらず、詳細は問い合わせが必要です。原価の積み上げは案件単位が基本で、品目別の原価計算や部門別の間接費配賦を専用機能として持つ特化型ではありません。
本記事では、販売管理を起点に受注・発注・間接費までを案件単位で紐づけて収支を見たい場合の選択肢として取り上げています。工数からの人件費の自動算出を主目的にする場合は、工数・原価に特化した製品との機能差を確認するとよいでしょう。
会計システムは勘定奉行クラウドやfreee会計など複数と連携できます。料金は初期費用200,000円(税抜)、月額70,000円〜(税抜)で、無料トライアルが用意されています。
15. freee販売(フリー株式会社)

フリー株式会社が2022年11月に提供を開始した、案件(プロジェクト)型ビジネス向けのクラウド型販売管理システムです。見積・受注・売上・請求・入金に加え、案件単位の原価・粗利を一元管理し、同社のクラウド会計ソフト「freee会計」と自動連携する構成を主軸にしています。
案件ごとに売上・仕入を登録すると案件別の売上・粗利が自動計算され、2024年12月追加の「原価推移レポート」で進行中案件の月別原価実績や赤字の予兆を確認できます。ただし人件費を原価に反映するには別製品「freee工数管理」との連携が前提で、freee販売単体では人件費を自動算出しません。
想定業種はIT・システム開発、コンサル、クリエイティブ・制作などの人件費比率が高い案件型ビジネスです。初期費用は0円で、月額はスタータープランが3名利用で約5,000円〜、スタンダードプランが10名利用で約40,000円〜(いずれも年払・税抜の参考価格で、正確な料金は要問い合わせ)です。
16. TimeCrowd(タイムクラウド株式会社)

業務時間を見える化するタイムトラッキングツールです。タイムクラウド株式会社が提供し、ブラウザ・Chrome拡張・スマートフォンアプリやカレンダー連携から工数をワンクリックで記録でき、二重登録を避けられます。
チームごと・ユーザーごとに時間単価を設定すると、工数×単価でプロジェクトごとの人件費・原価をレポートで即時に把握できます。公式サイトでは、メンバーの時間単価に基づく人件費の自動算出や、プロジェクトの収支をリアルタイムで確認できる点を訴求しています。
ただし扱える原価は工数×単価による人件費が中心で、外注費・経費の積み上げや売上・請求との突合、予算と実績の対比は公式情報から確認できません。料金は公式サイトに掲載がなく、要お問い合わせです。
17. TeamSpirit 工数(株式会社チームスピリット)

工数の記録・集計・承認を中心に据えた工数管理サービスで、株式会社チームスピリットが提供します。勤怠管理や経費精算など同社の製品と組み合わせて使え、プロジェクト・カテゴリを最大4階層で定義できます。
勤怠管理と連携して勤務時間との整合性をチェックし、勤怠・工数データを自動集計できる点が特徴です。人件費ベースの案件別原価や予実、着地予測を可視化するには、別製品「プロジェクト原価管理」(単独契約不可のアドオン)の併用が前提になります。
このアドオンではメンバーごとの標準単価と工数から原価を算出しますが、外注費を含む案件別原価の集計や間接費配賦、会計システムへの仕訳出力は公式ページで確認できません。料金は工数+勤怠のセットが月額30,000円〜(税抜・基本サポート込み)、プロジェクト原価管理が月額36,000円〜です。
18. GRANDIT miraimil(GRANDIT株式会社)

国産統合型ERP「GRANDIT」の知見を継いだ、中堅・中小企業向けのクラウドERPです。経理・債権・債務・販売・調達在庫・プロジェクト原価・経費・人事・給与など11業務を単一の共通マスタで連携させ、Webブラウザから利用します。
11業務のなかにプロジェクト原価管理が含まれ、販売・会計と連携して請求・支払・仕訳を自動化できます。インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も公式に明記されています(単体対応か連携経由かの詳細は要確認)。
公表されている月額費用は45万円〜(利用者10名・月1万伝票・財務+販売管理などの想定条件)で、無料プランはなく1か月の無料トライアルが用意されています。初期費用は個別見積で、導入は販売パートナー経由、導入期間は3〜6か月が目安です。
案件別原価・人月計算の考え方
ここでは、製品選定の判断を支える会計実務の考え方を整理します。背景知識にあたるため、製品比較を急ぐ場合は読み飛ばしても差し支えありません。案件別の原価管理は、会計実務でいう個別原価計算の枠組みに当たります。受注した案件ごとに原価を集計し、どの案件にどれだけコストがかかったかを明らかにする考え方です。
原価はまず費目別に分け、案件に直接ひもづく分(直接費)と、複数の案件にまたがる分(間接費)に大別して考えます。製造業の原価を定めた原価計算基準でも、原価要素を次のように分類するとされています。
費目別計算においては、原価要素を、原則として、形態別分類を基礎とし、これを直接費と間接費とに大別し、さらに必要に応じ機能別分類を加味して、たとえば次のように分類する。
出典:原価計算基準(企業会計審議会)第二章 一〇「費目別計算における原価要素の分類」
原価計算基準は製造業の原価を主な対象としていますが、原価を直接費と間接費に大別するこの考え方は、人件費が原価の中心となるIT・コンサルティング業にもそのまま当てはめられます。案件に直接かかわる作業時間は直接費、兼務や社内業務などの時間は間接費として扱います。
人月単価の考え方(役割別の単価・案件外の時間を反映する)
人月単価は、1人が1か月働いたときの人件費を金額で表した目安です。IT・受託開発の実務で広く使われる見方で、制度で定められた定義があるわけではありません。
役割や経験によって人件費は異なるため、役割別(ランク別)に単価を設定するのが一般的です。給与だけでなく、間接的にかかる費用も含めて時間当たりのコストを見積もると、案件の採算をより実態に近く捉えられます。
案件に直接ひもづかない間接費は、一定の基準で各案件へ割り振ります。この割り振りを配賦と呼びます。原価計算基準でも、間接費の配賦について次のように定めています。
出典:原価計算基準(企業会計審議会)第三章 三三「間接費の配賦」
- 個別原価計算における間接費は、原則として部門間接費として各指図書に配賦する。
- 間接費は、原則として予定配賦率をもって各指図書に配賦する。
ここでいう「指図書」は、受注した案件(プロジェクト)に読み替えられます。案件に直接かかわらない時間のコストを、工数の割合などの基準であらかじめ各案件に割り振っておくと、見積りの段階から採算を把握しやすくなります。
稼働していない時間や社内業務の時間にも人件費は発生します。これらを単価の計算に反映しないと、案件に乗せる原価が実態より小さく見え、採算を甘く見積もる原因となります。
見積(人月)と実績の差異を次の受注判断に活かす
見積の人月は、受注前に立てた計画上の原価です。実績の原価と比べ、差がどこから生まれたかを分けて見ると、次の見積りの精度を上げられます。
差は大きく、単価の差と工数(作業時間)の差に分けられます。原価計算基準の標準原価計算でも、直接労務費の差異を同じように分解するとされています。
直接労務費差異とは、標準原価による直接労務費と直接労務費の実際発生額との差額をいい、これを部門別又は作業種類別に賃金差異と作業時間差異とに分析する。
出典:原価計算基準(企業会計審議会)第四章 四六「標準原価計算制度における原価差異」
ここでの「標準原価」は見積り、「賃金差異」は単価のズレ、「作業時間差異」は工数のズレに読み替えられます。単価のズレは見積り単価の設定、工数のズレは作業量の見積りに原因があります。
どちらのズレが大きいかが分かれば、次の受注での見積り方を調整できます。単価のズレが大きい案件では単価設定を、工数のズレが大きい案件では作業量の見積りを見直す、といった形で次に活かせます。
稼働率と案件採算の見方
稼働率は、働いた時間のうち案件に直接かかわった時間の割合を表す目安です。これも実務で一般に使われる見方で、制度上の定義があるわけではありません。
稼働率が低いと、売上を生まない時間の人件費が増え、会社全体の採算を押し下げます。案件ごとの採算が黒字でも、空き時間が多ければ全体では利益が残りにくくなります。
案件単位の採算と、稼働率を通じて見る全体の採算の両方を追うと、赤字案件や空き時間の多い状況を早く把握できます。どちらか一方だけでは、採算の実態を見落とす恐れがあります。
ここで触れた配賦や、標準原価と実際原価の差異分析は、製造業をはじめ業種を問わず原価管理に共通する考え方です。IT・コンサルティング業に限らず、原価計算の方式・差異分析・配賦といった観点から原価管理システムを広く比較したい場合は、以下の記事が参考になります。
原価管理システム比較24選|原価計算の方式・差異分析・配賦で選ぶ
製品別・工事別・案件別の利益が、締めが終わるまで分からない。Excelの原価集計が担当者ひとりに集中していて、転記のたびに数字が合わなくなる。原価管理システムの検討は、たいていこうした行き詰まりから始まります。 ところが製品を並べてみると、…
まとめ
本記事では、IT・コンサルティング業の案件別原価に対応する製品の選び方と、人月計算を支える会計実務の考え方を整理しました。
製品選びでまず大切なのは、自社がどこまでの原価を、どの粒度で管理したいかを先に決めることです。工数の集計から始めたいのか、外注費・経費まで含めた案件粗利が必要か、会計連携や間接費の配賦まで求めるのかによって、合う製品は変わります。
自社の業務範囲・規模・連携の要件を整理したうえで、各社の資料を取り寄せて比較を進めてみてください。対応する原価の範囲や費用感を見比べることで、導入後の運用まで見据えた判断がしやすくなります。
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よくある質問(FAQ)
Q. 案件別原価管理とは何ですか?
A. 案件別原価管理とは、受注した案件(プロジェクト)ごとに人件費や外注費などの原価を集計し、案件単位で採算を把握する管理方法です。
会計実務でいう個別原価計算の枠組みに当たります。IT・コンサルティング業は原価の大半を人件費が占めるため、工数(人月)を単価で人件費に換算し、案件に割り当てて採算を見る点が特徴です。案件に直接かかわる時間は直接費、兼務や社内業務などの時間は間接費として扱います。
Q. IT・コンサルティング業の原価管理システムは何を基準に選べばよいですか?
A. IT・コンサルティング業の原価管理システムは、対応する原価の範囲、案件・プロジェクト単位で収支を追える粒度、工数管理・勤怠・会計システムとの連携、提供形態と費用感の4つの観点を軸に選び、スモールスタートできる導入の進め方もあわせて確認するのが基本です。
自社が案件の採算をどこまで細かく見たいかを先に決めると、過不足のない製品を絞り込めます。人件費の集計だけで足りるのか、外注費・経費を含めた粗利まで必要か、間接費の配賦や月次決算の原価計算まで求めるのかで、合う製品は変わります。
Q. Excelでの原価管理と比べて、原価管理システムを導入する利点は何ですか?
A. 原価管理システムを導入すると、工数の入力から人件費原価への変換、案件別の収支集計までを一つの流れで処理でき、集計の手間と属人化を抑えながら進行中の案件でも採算のズレに気づけます。
Excelやタイムシートでの手集計は入力漏れや二重入力が起きやすく、月次の締めが近づくほど負担が重くなります。勤怠・会計システムと連携できる製品なら、二重入力を減らし、算出した原価を月次決算の仕訳までつなげられます。
Q. 原価管理システムの費用はどのくらいかかりますか?
A. 原価管理システムの費用は、初期費用が無料で月額数万円から始められるものから、月額数十万円規模のERPまで幅があります。
本記事で取り上げた製品でも、初期費用0円・月額3万円程度から始められるクラウド型がある一方、月額45万円規模のERPもあります。料金を公開せず個別見積もりとする製品も多いため、自社の利用人数や必要な機能範囲での概算を早めに確認しておくとよいでしょう。
Q. 原価管理システムは既存の勤怠・会計システムと連携できますか?
A. 原価管理システムが既存の勤怠・会計システムと連携できるかは製品によって異なり、連携できる製品を選べば二重入力を減らし、算出した原価を月次決算の仕訳までつなげられます。
勤怠と工数を別々に入力すると労働時間と工数がずれ、原価の信頼性が落ちやすくなります。販売管理や顧客管理と連携できる製品なら、売上と原価を突き合わせて案件ごとの粗利も自動で把握できます。連携できるシステムの種類は製品ごとに差があるため、自社が使う勤怠・会計ソフトに対応しているかを事前に確認してください。
Q. 人月単価は全員一律で計算すべきですか?
A. 人月単価は全員一律ではなく、役割や経験に応じてランク別に単価を設定するのが一般的です。
役割によって人件費は異なるため、一律の単価では案件の採算を実態どおりに捉えられません。給与だけでなく間接的にかかる費用も含め、稼働していない時間や社内業務の時間も反映して単価を見積もると、採算を甘く見積もるのを防げます。多くの原価管理システムは、個人別またはランク別に単価を設定できます。
Q. 小規模な組織でも案件別の原価を記録する必要はありますか?
A. 小規模な組織でも、案件ごとに工数と原価を分けて記録しておくと、赤字案件を早く見つけられ、次の見積もりの精度を高められます。
人数が少ないうちは手集計でも回りますが、案件が増えるほど集計の負担と属人化が重くなります。まずは工数入力と案件別の集計だけをスモールスタートで始め、会計連携や間接費の配賦は後から広げられる製品を選ぶと、現場の負担を抑えながら定着させやすくなります。
Q. 失注した案件や提案にかかった工数はどう扱えばよいですか?
A. 失注した案件や提案にかかった工数は、売上を生まない時間として記録方法をあらかじめ決めておき、稼働率や間接費の形で把握するのが実務的です。
これらの時間を集計から外すと、実際にかかっている人件費が見えなくなり、稼働率を実態より高く見積もってしまいます。間接的な時間のコストを一定の基準で各案件に配賦するか、全体の採算を押し下げる要因として別に管理すると、採算の判断がぶれにくくなります。工数管理機能を持つ製品では、案件に直接ひもづかない時間も入力区分を分けて記録できます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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