経費精算と会計、ERPがそれぞれ別のシステムに分かれていて、申請されたデータを会計へ入力し直す作業や、部門・プロジェクトごとの原価への振り分けに手間を感じていませんか。拠点や子会社が増えるほど、経費と会計の分断は二重入力やミスの温床になり、月次決算の早期化を妨げます。
経費の申請・承認・精算から会計仕訳、部門別・プロジェクト別の原価管理までをERP(統合基幹業務システム)の中で一体に扱うと、こうした分断は解消できます。では、経費管理まで一体化できるERPを選ぶには、どのような観点で製品を比べればよいのでしょうか。
本記事では、経費管理まで一体に扱えるERP22製品を企業規模別に比較・解説します。経費精算システムを別に導入する場合との違いや、申請・承認フロー、AI-OCR、会計仕訳への連携、プロジェクト原価への紐付けといった選定観点を整理しました。経理・情報システム・経営企画の担当者が、自社に合うERPを判断するための材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事は、経費の申請・承認・精算から会計仕訳、部門別・プロジェクト別の原価への紐付けまでを、ERPの中で一体に扱える製品を探している企業を対象としています。会計や販売、在庫といった基幹業務とあわせて経費も一つの基盤でまとめたい、という要件を軸に22製品を企業規模別に整理しました。
経費精算だけを独立したツールで効率化したい場合は、料金や読み取り精度、会計ソフト連携などから経費精算システムを比較した以下の記事が参考になります。
経費管理に絞らず、企業規模・提供形態・費用といった幅広い観点でERP全体を比較したい場合は、以下の記事を出発点にしてください。
ERPの経費管理とは|経費精算システムとの違い
ここでは、ERPにおける経費管理がどこに位置づけられるのか、独立した経費精算システムと何が違うのかを整理します。

ERPは、会計・販売・購買・在庫・人事などの基幹業務を一つのデータベースで統合するシステムです。経費管理はこのうち会計領域に含まれ、交通費や接待費などの申請・承認・精算を行い、その結果を仕訳として会計へ渡し、部門やプロジェクトの原価へ振り分けるまでを同じ基盤の上で完結させます。経費のデータが会計・原価と最初からつながっている点が、ERPで経費を扱うことの本質です。
一方、経費精算システムは経費の申請・承認・精算に特化した専用ツールです。レシートのAI読み取りや交通費の自動計算、複雑な承認ルートの設定など、経費精算そのものの使い勝手では先行する製品が多く、既存の会計システムやERPへ仕訳データを連携させて使います。経費精算を独立したツールで運用し、その結果を会計側へ渡す構成です。
両者の違いは、経費のデータが会計・原価と「最初から一体か」「連携でつなぐか」にあります。ERP一体型は二重入力や転記が発生せず、経費を即座に部門・プロジェクトの原価へ反映できます。経費精算システム別導入は、経費精算の機能面で選択肢が広く、既存の会計資産を活かしながら経費精算だけを刷新できます。どちらが自社に合うかは、次の章で条件を挙げて整理します。
ERPで経費管理まで一体化すべきか|メリット・注意点と判断
経費管理までERPで一体化することには、明確な価値と見落とせない注意点の両方があります。ここでは一体化のメリットと注意点を整理したうえで、自社がどちらの構成に向くかを判断できるよう条件を示します。
一体化のメリット
最大のメリットは、経費のデータを会計へ入力し直す二重入力や転記がなくなることです。承認された経費はそのまま仕訳となり、支払や債務の管理まで同じ基盤でつながります。月次決算の締めで経費の反映を待つ時間が減り、決算の早期化に直結します。
経費を部門別・プロジェクト別の原価へ即座に紐付けられる点も、ERPならではの価値です。特にプロジェクト単位で採算を管理する企業では、立替経費や外注費を案件の実績原価にリアルタイムで反映でき、収支の見通しが立てやすくなります。経費精算システムを別に持つ構成では、原価への反映は連携の設計次第となり、タイムラグや手作業が残りがちです。
システムの数が減ることで、保守やアカウント管理、法制度改正への対応といった運用負荷を一本化できる点も、情報システム部門には見逃せない利点といえます。
一体化前に押さえる注意点
一方で、経費精算の機能面では専用システムに一歩譲る製品がある点には注意が必要です。複雑な承認ルートやレシートのAI読み取り精度、現場担当者が使うモバイルアプリの操作性などは、経費精算に特化した専用ツールが先行していることがあります。現場の入力しやすさを最優先するなら、ERPの経費機能が自社の求める水準に届くかを個別に確認しておきます。
導入の負荷も一体型のほうが大きくなりがちです。ERPは会計や販売を含む広い範囲を設定するため、経費管理だけを入れ替える場合と比べて導入期間や費用、社内の業務整理の手間が増えます。経費精算だけを早く改善したい場合に、ERP全体の刷新を同時に進めるのは負担が重いこともあります。
すでに会計システムやERPを運用していて、その資産を当面活かしたい場合は、経費精算システムを連携で足すほうが現実的なことも少なくありません。自社の既存システムの状況を踏まえて判断します。
ERP一体型が向くケース/経費精算システム別導入が向くケース
ここまでの価値と注意点を踏まえ、自社がどちらの構成に向くかを条件で整理します。次のような状況なら、経費管理までERPで一体化する構成が合いやすいといえます。
- 会計システムの刷新や新規導入をこれから検討しており、経費もあわせて一本化したい
- 経費を部門別・プロジェクト別の原価へリアルタイムに反映し、採算管理に使いたい
- 拠点や子会社が増え、経費と会計が分断されて二重入力や締めの遅れが起きている
反対に、次のような状況では経費精算システムを別に導入し、既存の会計・ERPへ連携させる構成が向きます。
- 既存の会計システムやERPを当面活かしたく、全体の刷新は予定していない
- 現場の入力しやすさや承認ルートの柔軟性など、経費精算そのものの使い勝手を最優先したい
- 経費精算だけを早く改善したく、ERP全体の導入負荷を同時に負うのは避けたい
本記事では、このうちERP一体型を選ぶ場合に候補となる製品を比較します。
ERPの経費管理で見るべき機能軸
ここからは、ERPの経費管理を比較するときに見るべき機能軸を解説します。製品ごとの対応状況は後半の比較表で確認できますが、まずは何を軸に見ればよいかを押さえておきます。
ERPでは、経費の申請・承認・精算から会計仕訳、部門・プロジェクト原価への反映までを同じ基盤で扱います。

申請・承認ワークフロー
経費の申請から承認までの流れを、自社の決裁規程どおりに組めるかを確認します。金額に応じて承認者を分岐させる、事前申請と事後精算を使い分ける、代理承認を設定するといった柔軟性は製品によって差があります。拠点やグループ会社ごとに異なる規程を持つ企業ほど、ワークフローの設定自由度が重要な選定軸になります。
経費入力の省力化(AI-OCR・交通費連携)
現場担当者の入力負担を減らす機能も見ておきたい観点です。領収書をスマートフォンで撮影してAI-OCR(文字を自動で読み取る技術)で取り込む、交通系ICカードや経路検索サービス(駅すぱあとなど)と連携して交通費を自動計算するといった入力支援があります。法人カードの利用明細の取り込みも含め、こうした機能が日々の精算のしやすさを左右します。利用者が多い企業ほど、入力のしやすさが全社の工数に効いてきます。
会計仕訳への自動連携
ERPで経費を扱う価値の核心が、精算結果を会計仕訳へ自動で反映できる点です。承認された経費がそのまま仕訳となり、支払データや債務管理へつながるため、経理が転記する手間がなくなります。経費精算システムを別に持つ場合はこの連携を設計・運用する必要があるのに対し、ERP一体型では標準で備わっているのが基本です。締め処理での抜け漏れチェックや、柔軟な締日設定ができるかもあわせて確認します。
部門別・プロジェクト別原価への紐付け
経費を部門やプロジェクトの原価へ紐付けられるかは、採算管理の精度に直結します。立替経費や外注費を案件ごとに登録し、プロジェクトの実績原価や予算と対比できる製品は、受注単位で収支を管理する業種に適しています。経費を単に精算して終わりにせず、どの部門・どの案件のコストだったのかを可視化できるかを見ます。
電子帳簿保存法・インボイス制度への対応
経費精算で受け取る請求書や領収書は、電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律、以下「電帳法」)やインボイス制度(適格請求書等保存方式)の対象です。メールで受け取った請求書や、Webでダウンロードした領収書などの電子取引データは、電帳法により電子データのまま保存することが義務付けられています。
電子取引データの保存では、タイムスタンプの付与や訂正・削除の履歴が残るシステムでの保存といった改ざん防止の措置と、日付・金額・取引先で検索できることが求められます。製品が「電帳法対応」と示す場合、こうした保存要件を満たせることを指すのが一般的です。
インボイス制度では、買手が仕入税額控除を受けるために、登録番号などが記載された適格請求書を受け取り保存する必要があり、経費精算の過程でこれを扱えるかも確認しておきます。各製品が具体的に何に対応しているかは、個別紹介と比較表で確認してください。
出典・参考資料(3件)
- 出典:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(電子帳簿保存法)第7条・第2条第5号|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000025)
- 参考資料:電子取引データの保存方法をご確認ください(令和4年1月以降用)|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0021011-068.pdf)
- 参考資料:適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き|国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-090.pdf)
企業規模別に見るERPの選び方
経費管理の機能軸を押さえたうえで、ここからは企業規模ごとに重視したい選び方の観点を整理します。同じ「経費管理まで一体化できるERP」でも、適した製品は企業規模によって変わります。
中小企業は導入のしやすさと会計との一体感で選ぶ
中小企業では、短期間で導入でき、会計と経費をまとめて始められるクラウドERPが選びやすい選択肢です。月額制で初期費用を抑えられ、AI-OCRや交通費連携など現場入力の省力化が標準で備わっている製品なら、専任の情報システム部門がなくても運用しやすくなります。会計を核に経費・請求・債権債務まで一体で扱えるか、自社の経理体制に合うかを見ます。
中堅企業は業務適合とプロジェクト原価の扱いで選ぶ
中堅企業では、自社の業務プロセスへの適合と拡張性が選定の軸になります。部門別の集計やプロジェクト別の原価管理まで経費を紐付けられるか、業種特有の業務に合わせて設定できるかを確認します。特にプロジェクト単位で採算を見る業種では、立替経費や外注費を案件原価へ反映できるプロジェクト型ERPが適しています。導入後の業務拡大に合わせて機能を追加できる拡張性もあわせて見ておきます。
大企業は内部統制とグループ・多拠点対応で選ぶ
大企業では、複雑な承認フローや職務分掌に耐える内部統制の仕組みと、グループ会社・多拠点・海外までカバーできる基盤が求められます。金額基準での承認分岐や代理承認、証跡の保存といった統制機能が自社の規程に合うか、連結や多通貨・多言語への対応が必要かを確認します。既存の人事や生産などの基幹システムとの連携や、段階的な導入のしやすさも大企業では重要な観点です。
海外拠点やグループ会社を抱える場合は、承認統制や監査証跡をどこまで担保すべきかを整理しておきます。多通貨・多言語や各国の会計制度・税務報告にどう対応するかも、製品を比べる前に自社の要件として洗い出しておきたい論点です。拠点ごとのシステム分散やExcel管理が経営判断に与える影響と、クラウドERPで押さえるべき内部統制・ガバナンスの確認項目を整理した資料があります。
クラウド型かオンプレミス型か
提供形態も選定を分ける観点です。クラウド型は初期費用を抑えて短期間で導入でき、法制度改正への対応やバージョンアップがベンダー側で行われるため運用負荷が軽くなります。オンプレミス型や自社専用のカスタマイズを重視する場合は、自社の要件に細かく合わせられる一方で、導入費用や保守の体制が必要です。規模や自社のIT体制、求めるカスタマイズの度合いに応じて選びます。
サポート体制とセキュリティ
導入後に安定して運用するには、ベンダーのサポート体制と製品のセキュリティも確認します。導入支援や運用中の問い合わせ対応がどこまで受けられるか、自社の業種や規模での導入実績があるかは、定着のしやすさに関わります。経費には請求書や口座情報などの機微なデータが含まれるため、アクセス権限の管理や第三者認証の取得状況もあわせて見ておきます。
しかし、自社がどのタイプに適しているか、といった判断が難しいケースも存在します。そのような場合でも自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
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【比較表】企業規模・経費管理機能でERPを比較
ここからは、経費管理まで扱えるERPを企業規模別に分けて比較します。経費の申請・承認ワークフロー、AI-OCRや交通費連携による入力の省力化、会計仕訳への連携、部門別・プロジェクト別原価への紐付け、料金や提供形態を一覧で確認してください。
中小企業向けのERP比較
凡例:●=公式に対応を確認/△=一部・オプション・条件つき/—=公式情報で確認できなかった項目(非対応とは限りません。最新の対応状況は各製品の資料・公式情報でご確認ください)
| サービス名 | マネーフォワード クラウドERP | freee 統合型ERP | SmileWorks | キャムマックス | Microsoft Dynamics 365 Business Central | GRANDIT miraimil |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド |
| 対象企業規模 | 中小企業 | 中小企業 | 中小企業 | 中小企業 | 中小〜中堅 | 中小〜中堅 |
| 申請・承認ワークフロー | ● | △金額分岐は明示なし | △承認WFはオプション | △金額分岐は記載なし | ● | △金額分岐は明示なし |
| AI-OCR・領収書読取 | ● | ● | △別オプション | — | △経費AIは日本未提供(preview) | — |
| 交通費の自動計算・IC/経路連携 | ● | △IC連携のみ | — | — | △IC/経路連携なし(海外製品) | — |
| 部門・プロジェクト別原価 | △部門別は可・PJ別配賦は別モジュール | △案件別は販売・工数管理で対応 | △原価配賦は別オプション | — | ● | △経費→原価の紐付けは要確認 |
| 料金 | 要お問い合わせ (経費はアクティブ課金制) | 要お問い合わせ | 初期0円/月5,000円〜 (税別・経費精算は別オプション) | 初期10万円/月9万円〜 (税抜) | 月額11,994円〜 (ユーザー単位・税別) | 月額45万円〜 (初期費用は個別見積) |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※上記は各タイプにおける一般的な機能の傾向です。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
中堅企業向けのERP比較
| サービス名 | Odoo導入・開発・業務統合支援 | クラウドERP ZAC | PROACTIVE | GRANDIT | Reforma PSA | MA-EYES | プロカン |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド(OSS) | クラウド | クラウド/オンプレミス | クラウド/オンプレミス | クラウド | クラウド | クラウド |
| 対象企業規模 | 中堅企業 | 中堅企業 | 中堅〜大企業 | 中堅企業 | 中小〜中堅 | 中堅企業 | 中小〜中堅 |
| 申請・承認ワークフロー | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| AI-OCR・領収書読取 | ● | ● | ● | — | — | — | — |
| 交通費の自動計算・IC/経路連携 | — | ●駅すぱあと連携オプション | ● | △経路/IC自動連携は記載なし | ●駅すぱあと連携はオプション | ● | — |
| 部門・プロジェクト別原価 | △顧客再請求は可・原価紐付けは要相談 | ● | △会計側の管理会計で対応 | ● | ● | ● | ● |
| 料金 | アプリ1つは無料 2つ以上はユーザー課金 | 要お問い合わせ | 初期2,000万円〜 (目安) | 要お問い合わせ | 初期0円/月3万円〜 (税抜・経費は別ライセンス) | 要お問い合わせ | 初期15万円/月3万円〜 (税抜) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※上記は各タイプにおける一般的な機能の傾向です。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
大企業向けのERP比較
| サービス名 | Oracle NetSuite | SAP S/4HANA Cloud | Oracle Fusion Cloud ERP | Microsoft Dynamics 365 Finance | Workday Financial Management | OBIC7 会計情報ソリューション | HUE | Biz∫(ビズインテグラル) | SuperStream-NX |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド/オンプレミス | クラウド | オンプレミス/クラウド | クラウド/オンプレミス |
| 対象企業規模 | 大企業 | 大企業 | 大企業 | 大企業 | 大企業 | 中堅〜大企業 | 大企業 | 大企業 | 中堅〜大企業 |
| 申請・承認ワークフロー | ● | △経費は別製品SAP Concur連携 | ● | ● | ● | △金額分岐は記載なし | ● | △金額分岐は記載なし | △金額分岐は記載なし |
| AI-OCR・領収書読取 | — | — | ● | △日本リージョン非対応 | ● | — | ● | — | ● |
| 交通費の自動計算・IC/経路連携 | — | — | — | — | — | — | ● | △IC精算のみ(経路連携は記載なし) | △駅すぱあと連携はオプション |
| 部門・プロジェクト別原価 | ● | △会計転記後に原価付替 | ● | ● | △コストセンター単位(PJ配分は要確認) | △起票時にPJ/部門を入力 | — | △会計側でPJ別収支 | — |
| 料金 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 月額31,484円〜 (ユーザー単位・税抜) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※上記は各タイプにおける一般的な機能の傾向です。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態(標準・オプション等)については各社情報をご確認ください。
経費管理まで扱えるERPの個別紹介
ここからは、比較表で取り上げたERPを企業規模別に個別紹介します。各製品が経費管理のどこまでをカバーし、どんな企業に向くかを具体的に見ていきます。
中小企業向けのERP
まずは、会計と経費をクラウドで手早く一体化したい中小企業に向く製品です。
1. マネーフォワード クラウドERP(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウドERPは、会計・請求・経費・債権債務・人事労務・勤怠・給与などのモジュールを1つから導入し、事業の成長に合わせて組み合わせを変えられるコンポーネント型のクラウドERPです。経費精算もこのモジュールの一つで、申請・承認・精算の結果を会計の仕訳へつなげられます。
経費の料金は月間のアクティブユーザー数に応じた従量課金制で、その月に経費明細の登録や申請を行わなかったユーザー分は課金されません(管理・承認権限のユーザーは対象)。ERP全体の月額と初期の導入支援費用は要問い合わせです。
会計Plusや個別原価といったモジュールと組み合わせれば、経費を会計の仕訳や部門別・プロジェクト別の原価の管理につなげやすくなります。電子帳簿保存法・インボイス制度に対応しJIIMA認証も取得しており、公式はITR「ERP市場2025」の2024年度予測で年商10億円未満の企業向けERPのシェア1位としています。
2. freee 統合型ERP(freee株式会社)

freee株式会社の統合型ERPは、freee会計・freee販売・freee人事を連携させ、受託型・請負型のビジネス向けに1名からでも使えるクラウドERPです。一度入力したデータが各製品へ自動で反映され、カスタマイズせずに業務フローを組める設計です。
特徴は案件別の収支管理で、freee工数管理で集計したプロジェクト別の人件費をfreee販売の案件に自動連携し、案件ごとの粗利・利益を可視化できます。経費や取引は会計へ流れ、見積書・発注書・請求書もfreee販売から発行できます。
インボイス制度・電子帳簿保存法に対応します(電子帳簿保存法の対象はfreee販売から発行した帳票)。統合ERPの月額は要問い合わせで、組み合わせるfreee販売はスタンダードプラン(10名利用)で約40,000円/月(年払い・税抜)が目安です。案件ごとに人件費まで含めた採算を把握したい受託型の企業に向きます。
3. SmileWorks(株式会社スマイルワークス)

販売・仕入・在庫から財務会計・給与・経費精算までを1つにまとめた中小企業向けの統合型クラウドERPが、株式会社スマイルワークスのスマイルワークス(SmileWorks)です。各業務で入力したデータから会計仕訳を自動で生成します。
経費精算と多段階の承認ワークフローはそれぞれ月額5,000円(税別)のオプションで追加でき、Microsoft提供エンジンによるAI-OCR(月額1,000円+チケット制)で証憑をデータ化できます。承認された取引は会計連動ボタンで部門別・補助科目付きの仕訳になります。
特徴はプロジェクト別収支管理で、売上・仕入・経費・社内工数を案件単位で集計し予実対比まで標準提供します(人件費の案件別自動配賦は配賦機能オプション月額5,000円税別)。料金は初期0円・月額5,000円(税別)の販売ERPプランから選べ、機能をモジュール単位で足していきたい企業に向きます。
4. キャムマックス(株式会社キャム)

キャムマックスは、株式会社キャムが提供する中小企業向けのクラウドERPです。製造業・卸売業・小売業など有形商材を扱う事業者向けに、販売管理・購買管理・在庫管理・生産管理・財務会計を1つのシステムで一元管理します。
財務会計は自動仕訳と経費精算の機能を備え、売上・入金・仕入・支払などの仕訳データを出力して会計ソフトに取り込めます。自動仕訳のCSV連携にはfreeeも追加されました。電子帳簿保存法には電子請求書オプション(初期30,000円+月額20,000円)で対応します。
料金は初期費用100,000円、月額は基本料金70,000円に1ライセンス(5アカウント分)20,000円を加えた90,000円から(いずれも税抜)で、契約は初回1年・自動更新です。60日間の無料トライアルで標準機能をすべて試せます。ECや実店舗など複数チャネルの受注を在庫・会計まで一体で扱いたい企業に向きます。
5. Microsoft Dynamics 365 Business Central(日本マイクロソフト株式会社)

日本マイクロソフト株式会社が提供するMicrosoft Dynamics 365 Business Centralは、財務・販売・購買・在庫・プロジェクト管理を1つにまとめた小中規模企業向けのAI搭載ERPです。Essentialsプラン単体で基幹業務を包括的に扱えます。
買掛金や販売注文のほか、経費精算を担うAIエージェント(Expense Agent)も用意されています。ただしこのAIエージェントは提供地域が限られるプレビュー段階で、日本での提供は公表されていないため、国内での利用可否は確認が必要です。
案件別の原価はプロジェクトマネジメント機能で管理でき、閲覧・承認が中心の利用者向けのTeam Membersライセンスではワークフロー承認を担えます。OutlookやExcel、Teamsとも連携します。
料金はEssentialsが月額相当¥11,994、Premiumが¥16,491、Team Membersが¥1,199(いずれもユーザー単位・年払い・税別)で、30日間の無料トライアルがあります。複数通貨・多言語・会社間取引に対応するため、海外拠点を含めて会計・経費を一本化したい企業にも向きます。
6. GRANDIT miraimil(GRANDIT株式会社)

GRANDIT miraimil(ミライミル)は、国産統合型ERP「GRANDIT」の知見を継いだ中堅・中小企業向けのクラウドERPです。経理・債権・債務・販売・調達在庫・プロジェクト原価管理・経費・人事・給与など11の基幹業務を、単一の共通マスタで連携させて使います。
経費もこの11業務の一つで、承認ワークフローを標準搭載し、販売と会計の連携で請求・支払・仕訳を自動化します。プロジェクト原価管理の業務も備わるため、経費を案件の原価へつなげられます。インボイス制度・電子帳簿保存法への対応も公式に掲げています。
月額費用は利用者10名・月間1万伝票・財務管理+販売管理といった想定条件で45万円からで、初期費用は個別見積、導入期間は3〜6か月が目安です。小規模から始めて拡張でき、GRANDITの機能を受け継ぎつつクラウドで、中小から中堅規模で経費から原価まで国産ERPで一体に運用したい企業に向きます。
中堅企業向けのERP
続いて、業務への適合性やプロジェクト原価の扱い、拡張性を重視する中堅企業に向く製品です。
7. Odoo導入・開発・業務統合支援(株式会社マルウェブ)

株式会社マルウェブが導入を支援する「Odoo(オドゥー)」は、ベルギーのOdoo S.A.が開発するオープンソースのクラウドERPです。販売・在庫・会計・プロジェクト・CRMなど80種類以上のアプリから、自社で使うものだけを選んで組み合わせられます。
マルウェブは要件定義とフィット&ギャップ分析から、カスタマイズ開発、会計ソフトへの仕訳連携などの外部システム連携、データ移行、運用・保守までを一貫して支援します。海外製ERPを日本の商習慣に合わせて調整してきた経験を持ち、販売・在庫・会計から始めて段階的にアプリを追加する進め方も提案しています。
Odoo本体の料金は、使うアプリが1つだけなら無料で、2つ以上はアプリ数を問わずユーザー数に応じた月額になります。自社の業務に合わせて機能を作り込みながら、会計やプロジェクトを含む基幹業務を必要な範囲から広げたい中堅企業に向く選択肢です。
必要な範囲から段階的に導入する場合、どの業務から始めてどこまで作り込むかをどう見極めるのか。導入を支援するマルウェブの担当者は、インタビューで判断の軸を次のように説明しています。
判断の軸は大きく2点です。一つは、お客様が今どの業務をどのように運用していて、Odooのアプリで言えばどの領域を使うことになるのか。もう一つは、予算と優先順位です。この2点は要件定義とフィット&ギャップ分析の段階でお伝えしながら整理していきます。
8. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

案件・プロジェクト単位で業務が進む業種に特化したクラウドERPが、東証プライム上場の株式会社オロが提供する「ZAC(ザック)」です。IT・広告・コンサルティング・士業などを主な対象とし、導入実績は1,100社を超えます。
経費管理を含む販売・購買・勤怠/工数・管理会計の各モジュールを、プロジェクト別の収支管理と同じ基盤で扱います。承認された経費や立替・外注費は案件別の原価へ集計され、工数から算出した労務費と合わせて案件損益をリアルタイムに把握できます。
仕訳データは財務会計システムへ連携でき、電子帳簿保存法・インボイス制度には自動アップデートで対応します。電子承認ワークフローや操作ログの保存による内部統制も備え、案件ごとの原価と採算をリアルタイムに管理したい中堅企業に適した構成です。
9. PROACTIVE(SCSK株式会社)

7,500社を超える導入実績を持つPROACTIVE(プロアクティブ)は、住友商事グループのSCSK株式会社が提供するERPです。年商100億円以上の中堅企業から大企業を主な対象としています。
会計モジュールに経費や債権・債務、固定資産などを備え、人事給与・販売・生産・建設の各領域とあわせて必要な範囲から段階的に導入できます。経費や承認申請はモバイル専用アプリから行え、申請・承認の結果を会計へつなげられます。
提供形態はSaaS・IaaS・オンプレミス・ハイブリッドから選べ、会計領域をSaaSで導入する場合の期間は最短約3か月とされています。初期費用はおよそ2,000万円からが目安とされ、業務領域の広い中堅から大企業の基盤刷新に向きます。
10. GRANDIT(インフォコム株式会社)

GRANDIT(グランディット)は、複数のIT企業が参加するコンソーシアム方式で開発された国産の統合型ERPで、インフォコム株式会社が開発・保守を担います。導入実績は1,500社以上です。
販売・購買・在庫・生産、経理・資産・経費、債権・債務、人事・給与のモジュールで構成され、経費伝票の現場入力と承認を会計と同じ基盤で管理します。ワークフローは各業務モジュールに標準で組み込まれ、金額基準による承認分岐や代理承認、申請履歴の保存による内部統制に対応します。
プロジェクト別の収支と個別原価を可視化するテンプレートなど、パートナー各社が提供するアドオンで業種特有の要件に合わせて拡張できる点が特徴です。導入・カスタマイズは国内70社以上のプライムパートナー経由で行う方式で、業務に合わせた作り込みを前提に基幹システムを統合したい中堅企業に向きます。
11. Reforma PSA(株式会社オロ)

先に紹介したZACと同じ株式会社オロが提供するReforma PSA(リフォルマ PSA)は、ZACの機能を案件・プロジェクト型ビジネス向けに絞ってパッケージ化した製品です。IT・広告・制作・コンサルティングなどの業種を対象とします。
販売・購買・勤怠/工数・経費の各管理を備え、プロジェクト別の予実と損益を可視化します。経費管理はプロジェクト別の登録・精算に対応し、オプションで「駅すぱあと」と連携して交通費を扱えます。工数から配賦した労務費と外注費は案件原価へ反映されます。
仕訳データは勘定奉行クラウドやマネーフォワード クラウド会計などの会計システムへファイル連携できます。初期費用は0円、月額3万円(税抜)からで、導入期間は1〜2か月程度とされており、案件単位の原価管理を早く低コストで始めたい企業に向きます。
12. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

株式会社ビーブレイクシステムズのクラウドERP「MA-EYES(エムエーアイズ)」は、システム開発・SES・コンサルティングなど人件費が主なコストになるプロジェクト型ビジネスを主な対象とします。
購買・経費管理モジュールで立替・仮払経費の申請から精算までをプロジェクト別の原価実績として扱い、日々の工数にマスタの基準時間単価を掛けて労務費を算出し案件原価へ反映します。間接費の配賦では、工数・人数・売上高といった基準に加えて、面積や机の数などの情報も配賦基準に設定できます。
原価の把握単位は標準のプロジェクトに加え、製品やジョブなどより細かい単位にも対応し、仕訳データは勘定奉行クラウドとAPI連携できます。SaaS・SaaS+・一括の3形態から選べ、ISO/IEC 27001とクラウドセキュリティ認証を取得しています。原価を細かな単位で管理したい中堅のプロジェクト型企業に向きます。
13. プロカン(株式会社PROCAN)

案件単位で進む受託型ビジネスの収支管理に特化したクラウドサービスが、株式会社PROCANの「プロカン」です。IT・システム開発、制作・広告、建設・工事の業種別ラインナップを用意しています。
案件ごとに予算・実績・原価・工数を集約し、収支をリアルタイムに可視化します。Googleカレンダーと連携して入力した工数を労務単価で人件費に換算し、外注費や間接費と合わせて案件ごとの粗利を把握できます。経費精算システム「楽楽精算」と連携すると、取り込んだ経費データを案件ごとに自動で振り分けられます。
見積・請求・発注・経費精算書などの帳票作成からデジタル稟議・承認までを一つの入力で処理でき、弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードの会計ソフトと連携します。初期費用は150,000円(税込165,000円)から、月額は30,000円(税込33,000円)からで、利用人数に応じて変動します。
大企業向けのERP
最後に、内部統制やグループ・多拠点への対応が求められる大企業に向く製品です。
14. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

日本オラクル株式会社が提供するOracle NetSuiteは、財務会計・購買・受注・在庫などの基幹業務を1つのクラウド基盤に統合する統合ERPです。経費を含む日々の取引データが会計・原価と最初からつながり、別システムへの転記なしに部門やプロジェクトの原価へ展開できます。
承認ワークフローや職務分掌、操作の監査証跡といった内部統制の仕組みを業務システム自体に組み込んでいる点が特徴で、取引が発生した時点のデータがそのまま統制の対象になります。27言語・190以上の通貨に対応し、海外拠点を含むグループ全体を同じ基盤で扱えます。
料金はベースライセンスに利用モジュールとユーザー数を組み合わせる構成で、具体額は要問い合わせです。M&A後のグループ統合や上場準備で、業務と内部統制を一体で整えたい大企業に向きます。
経費を含む取引データと内部統制を同じ基盤で扱うことが、実際の経理や内部監査の現場でどう働くのか。提供元の日本オラクルは、統制の仕組みを別のツールで持つ場合と対比して次のように述べています。
統制のためのツールを別で持っていると、業務システム側のデータをエクスポートして、突き合わせて、チェックして、という作業がどうしても発生します。ここがかなり労働集約的で、ミスも起きやすいんです。NetSuiteの場合は、取引が発生したその瞬間のデータがそのまま統制の対象になります。ワークフローによる承認や、不正につながりかねない操作の検知も、業務の流れの中で自動的に回っていきます。あとから人手で照合する作業そのものを減らせるので、内部監査や経理の方の負担を大きく軽くできるという声をよくいただきます。
15. SAP S/4HANA Cloud(SAPジャパン株式会社)

財務会計(FI)と管理会計(CO)を単一の仕訳テーブル「Universal Journal」に統合し、経費を含む会計処理を部門やセグメント別の原価・収益性へリアルタイムに展開できるクラウドERPです。提供はSAPジャパン株式会社で、開発元はドイツのSAP SEです。
グループ経営管理ではGroup Reportingにより、通貨換算やセグメント連結、内部取引照合、計画値の連結までを扱えるとしています。標準化志向のPublic Edition(GROW with SAP)とカスタマイズ・移行向けのPrivate Edition(RISE with SAP)の2系統から、規模や方針に合わせて選べます。
経費精算はS/4HANA Cloud本体のモジュールではなく、グループのSAP Concurが担う構成です。Concurで申請・承認した経費を会計へ連携して仕訳・支払につなげるため、経費まで一体で運用するにはConcurとの組み合わせが前提になります。
料金は公式の定価表が公開されておらず、個別見積もりが前提です。
16. Oracle Fusion Cloud ERP(日本オラクル株式会社)

JTBグループや兼松といった大手グループの財務基盤刷新に採用されてきた、日本オラクル株式会社提供のクラウドERPです。会計ハブや買掛金、売掛金、経費管理、収益管理などの財務機能(Oracle Financials)を中核に据えます。
同じOracleブランドのNetSuiteとは対象が異なる別製品で、モジュール単位で段階的に導入しやすい設計が大企業・グローバルグループ向けとされます。取引処理から予測・レポート作成まで、財務のプロセスに生成AIやAIエージェントを組み込む方針を公式が示しています。
調達やプロジェクト管理、経営管理(EPM)、SCMも同じスイートの領域として案内されています。料金は要お問い合わせで、連結対象の多い上場グループの基幹刷新を検討する企業に向きます。
17. Microsoft Dynamics 365 Finance(日本マイクロソフト株式会社)

WordやExcel、Microsoft 365との連携を前提に設計された、大企業向けの財務アプリケーションです。運営はMicrosoft Corporationで、国内の販売・サポートは日本マイクロソフト株式会社が担います。財務計画、会計と決算、税務管理、資金管理などを一つのアプリでカバーします。
57の国・地域と67言語に対応し、エンティティの複製で新しい子会社を立ち上げられるなど、多拠点・グローバル展開を想定しています。Copilotによる財務計画や債権回収の支援、台帳間取引を自動照合する会計調整エージェント(プレビュー段階)といったAI機能も備えます。
経費管理(Expense management)も備え、提出した経費をポリシー違反の自動チェックや監査証跡とともに承認し、プロジェクトコードや財務ディメンション別に会計へ反映できます。領収書の読み取り機能もありますが、公式の対応地域表では日本が対象外のため、国内での利用時は読み取りの運用を個別に確認しておきます。
料金はユーザー単位で、標準のDynamics 365 Financeが月額31,484円、高度な分析やCopilotクレジットを含むPremiumが月額44,977円です(いずれも年払い相当・税抜)。
18. Workday Financial Management(Workday, Inc.)

人事(HCM)のクラウドで知られるWorkdayが、人事と同じプラットフォーム上で提供する財務会計製品です。総勘定元帳や買掛金・売掛金、固定資産管理、グローバル連結、常時監査までを一つの基盤で扱います。
取引を継続的に点検する常時監査(Continuous Audit)や、例外・異常をAIが特定して対応を提示する仕組みを備え、エラーの検出から証跡収集までを担う会計監査エージェントも提供します。内部統制や監査対応を重視する大企業に向いた設計です。
経費管理(Workday Expenses)も同じ基盤に含まれます。AIが領収書を読み取って経費項目を自動で特定するほか、出張ポリシーの一元管理や承認閾値の設定、経費レポートのリスクスコアに応じた承認レビューの優先順位付けに対応します。
人事と財務のデータを同じ場所に集約できる点が、従業員にひもづく費用や組織情報を扱ううえでの強みとされます。料金は公式サイトに記載がなく、要お問い合わせです。
19. OBIC7 会計情報ソリューション(株式会社オービック)

会計を中核に据えた国産統合ERP「OBIC7」の会計領域を担うのが、株式会社オービックのOBIC7 会計情報ソリューションです。財務会計から管理会計、連結会計、グループ管理会計までを一体でカバーします。
旅費・経費ワークフローや社員支払管理、債務・支払管理を会計と統合し、すべての伝票でワークフロー承認機能を利用できます。部門別採算やセグメント別分析、プロジェクト原価管理にも対応し、経費を部門・案件の原価へ紐付けて管理できます。
開発から導入後のサポートまでを自社で一貫して提供する体制をとり、OBIC7シリーズ全体では累計29,000社超・250業種に導入されています。料金は業務要件に応じた個別構築が前提で、要お問い合わせです。
20. HUE(株式会社ワークスアプリケーションズ)

アドオン開発を避け、標準機能の組み合わせで大手企業の業務要件に応える「Fit to Standard」を掲げる、株式会社ワークスアプリケーションズのAI搭載型ERPです。会計・管理会計やサプライチェーン領域を中心に構成されます。
会計領域には経費精算(HUE Expense)が含まれます。出張費の事前概算申請と事後精算、役職・地域・距離に応じた日当計算、ICカードや駅すぱあととの連携に対応し、自社開発のAI-OCRエンジンが領収書の日付・金額を自動入力して勘定科目を推測します。
会計モジュール(HUE AC)側では、請求書を読み取る「OCR請求書払い」や残高照会を補助する残高AI分析も備えます。法改正や会計基準の改訂に伴うバージョンアップは、標準保守料の範囲で継続提供するとしています。
複雑な会計処理や大量データの処理を要する大手企業・上場企業を主な対象としており、中小向けの簡易版は提供していません。料金は処理件数や導入領域、グループ会社数により個別見積もりとなり、要問い合わせです。
21. Biz∫(ビズインテグラル)(株式会社NTTデータ・ビズインテグラル)

ワークフロー基盤「intra-mart」を土台にした、株式会社NTTデータ・ビズインテグラルの国産ERPパッケージです。会計・販売購買・人事給与を一つの基盤でカバーし、経費精算は会計フロント業務「Biz∫フロント」が担います。
会計領域は複数支払サイトや手形・電子記録債権、最大7台帳の資産管理、日本基準とIFRSの複数元帳に対応し、日本の経理実務に沿っています。「一般会計のみ」といった最小単位から、必要なモジュールとユーザー数を選んで段階的に導入できます。
提供形態はオンプレミスのほか、サブスクリプション型クラウド「Biz∫Optima」やハイブリッドを選べます。デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査では大手企業向けERPの2025年度出荷本数で1位とされ、採用社数は2,000社を超えています。料金は要お問い合わせです。
出典・参考資料(1件)
- 出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「基幹業務パッケージソフト(ERP)の市場展望2026年度版」大手企業向けERPパッケージ部門 2025年度年間出荷本数No.1(2026年7月9日 公式発表)|株式会社NTTデータ・ビズインテグラル(プレスリリース)
22. SuperStream-NX(キヤノンITソリューションズ株式会社)

1995年の発売以来シリーズ累計11,000社以上に導入されてきた、キヤノンITソリューションズ株式会社(旧スーパーストリーム)の国産ERPです。財務会計・管理会計を軸に、支払管理や経費精算管理、債権管理を統合会計の中で一体に扱います。
固定資産やリース資産は税務・IFRS・管理会計など最大5種類の台帳で並行管理でき、IFRS第16号にも対応します。登録した経費や資産の仕訳データは統合会計(GL)・支払管理(AP)へリアルタイムに連携され、転記の手間なく会計へ反映されます。
海外子会社を含むグループ導入にも対応し、現地の商習慣に必要な機能を備えると公式は説明しています。中堅から大企業・上場企業を主な対象とし、料金は要お問い合わせです。
まとめ
経費管理までERPで一体化すると、経費から会計仕訳、部門別・プロジェクト別の原価までが同じ基盤でつながり、二重入力の解消や決算の早期化、採算管理の精度向上につながります。一方で、経費精算そのものの使い勝手や導入負荷の面では、経費精算システムを別に導入する構成が向く場合もあります。既存の会計システムの状況や、経費を原価へどこまで紐付けたいかを踏まえて選びます。
製品選びでは、申請・承認ワークフローの柔軟性、AI-OCRや交通費連携による入力の省力化、会計仕訳への自動連携、部門別・プロジェクト別原価への紐付け、そして電帳法・インボイスへの対応を軸に、自社の規模と業務に合うかを確認してください。気になる製品は資料を取り寄せ、経費管理の対応範囲を具体的に比べてみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. ERPの経費管理とは何ですか?
A. ERPの経費管理とは、交通費や接待費などの申請・承認・精算を会計や販売といった基幹業務と同じ基盤で扱い、その結果を仕訳や部門・プロジェクトの原価へ直接つなげる仕組みです。経費のデータが会計・原価と最初から一体になっている点が、経費精算に特化した独立した専用ツールとの大きな違いです。
Q. ERPの経費管理と経費精算システムは何が違いますか?
A. 両者の違いは、経費のデータが会計・原価と「最初から一体か」「連携でつなぐか」にあります。ERP一体型は二重入力や転記が発生せず経費を即座に部門・プロジェクトの原価へ反映できるのに対し、経費精算システムは申請・承認・精算そのものの使い勝手に優れ、既存の会計システムへ仕訳データを連携させて使います。
経費精算の機能面を最優先するなら専用システム、会計・原価との一体運用を重視するならERPが向きます。
Q. 中小企業でも経費管理までERPで一体化すべきですか?
A. 中小企業がERPで経費まで一体化すべきかは、会計システムの刷新や新規導入をこれから検討しているかどうかが判断の分かれ目です。会計を核に経費・請求・債権債務までまとめて始めたい場合は、月額制で短期間に導入でき、AI-OCRや交通費連携など現場入力の省力化が標準で備わるクラウドERPが選びやすい選択肢です。
反対に、既存の会計システムを当面活かしたい場合は、経費精算システムを連携で足すほうが導入負荷は軽く済みます。
Q. 経費管理まで扱えるERPは既存の会計システムと連携できますか?
A. ERPで経費を扱う場合、多くは会計も同じERPに含まれるため、経費と会計は標準で一体に連携します。一方、既存の会計システムを残して経費やその他の業務だけERP側で扱いたい場合は、仕訳データをファイルやAPIで会計ソフトへ連携する製品を選びます。
勘定奉行クラウド・freee・マネーフォワード クラウド会計などへの連携可否は製品ごとに異なるため、既存資産を活かすか一本化するかを決めたうえで、各製品の連携方式を確認してください。
Q. 経費管理まで扱えるERPは電子帳簿保存法やインボイス制度に対応していますか?
A. 多くのERPが電子帳簿保存法・インボイス制度への対応をうたっていますが、対応の範囲は製品ごとに異なるため、個別の確認が必要です。電子取引データの保存要件(改ざん防止の措置と日付・金額・取引先での検索)や、買手が仕入税額控除を受けるための適格請求書の保存に各製品がどこまで対応するかは、資料請求や公式情報で確かめてください。
制度の詳しい内容は本文「ERPの経費管理で見るべき機能軸」の電子帳簿保存法・インボイス制度の項で解説しています。
Q. 経費管理まで扱えるERPの導入期間や費用はどのくらいですか?
A. ERPの導入期間と費用は提供形態と規模で大きく異なり、クラウド型は初期費用0円〜十数万円・月額制で1〜数か月、大規模なオンプレミス型では初期費用が数千万円規模になることもあります。中小企業向けのクラウドERPは短期間で低コストに始められる一方、中堅・大企業向けの統合ERPは要件定義やカスタマイズ、社内の業務整理を含むため、初期費用・導入期間ともに大きくなりがちです。
本記事の各製品紹介と比較表に料金や導入期間の目安を示しているので、候補を具体的に比べる材料としてご活用ください。
Q. ERPで経費をプロジェクト別の原価に紐付けて管理できますか?
A. プロジェクト型のERPを選べば、立替経費や外注費を案件ごとの実績原価へリアルタイムに反映し、工数から算出した労務費と合わせて案件損益を把握できます。IT・広告制作・コンサルティングなど受注単位で採算を見る業種では、経費を単に精算して終わりにせず、どの部門・どの案件のコストだったのかを可視化できる製品が適します。
経費精算システムを別に持つ構成では、原価への反映は連携の設計次第となり、タイムラグや手作業が残りがちです。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















