財務システムの導入を検討するとき、多くの担当者がまず知りたいのは「自社に近い会社が実際に入れて、何がどう変わったのか」という具体的な事例です。決算にかかる日数や経理の工数がどれだけ減ったのか、どの製品でその効果が出たのかを確かめられれば、社内での稟議や比較検討の判断材料になります。
本記事では、公式に公表されている財務システムの導入事例を、決算の早期化・経理業務の工数削減・予実管理の高度化・内部統制の強化といった課題テーマ別に整理して紹介します。各事例で使われた製品名と、公表されている効果の数値もあわせて示します。
規模別・業種別に見た事例の傾向や、導入でつまずきやすいポイントと成功のコツ、自社の課題に合う財務システムのタイプの選び方まで整理しました。他社の事例を自社に当てはめて「どの製品を調べるべきか」を判断するための材料としてご活用ください。
目次
一括ダウンロードする
財務システムの導入事例 早見表(課題→打ち手→効果を一望)
はじめに、各社が公式に公表している財務システムの導入事例を、抱えていた課題・導入したシステム・公表されている効果の3点で一覧にまとめました。自社に近い規模・業種・課題の事例から読み進めると、効率よく参考にできます。
| 株式会社ゴーゴーカレーグループ(飲食/301〜500名・約100店舗) | 株式会社FOR YOU(IT・メディア/11〜50名) | ランサーズ株式会社(その他/51〜300名) | クラシコ株式会社(メディカルアパレル/51〜300名) | エッカ石油株式会社(サービス業・エネルギー/301〜500名) | 株式会社ボードルア(情報通信・ITインフラ/1,000〜2,000名) | 株式会社サイバーセキュリティクラウド(サイバーセキュリティ/100〜500名) | 株式会社Sun Asterisk(情報通信・ソフトウェア開発/2,000〜3,000名) | テクバン株式会社(IT・SES/従業員1,697名・8事業部) | 株式会社SmartHR(IT・メディア/グループ6社) | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 抱えていた課題 | 月次決算に時間がかかっていた | 月次決算の遅さ | 経理業務の工数 | 銀行振込作業の工数 | システム運用コストの負担 | 20以上のExcelに散在した予実データの集約 | 別システムでの予実管理の非効率 | 財務PLと非財務KPIが分散管理(KPIは全社1,000超) | 8事業部の予測管理を表計算ソフトで運用 | グループ各社で会計データ・運用がばらついていた |
| 導入したシステム | マネーフォワード クラウド会計Plus | マネーフォワード クラウド会計Plus | マネーフォワード クラウド会計Plus | マネーフォワードクラウド(会計Plus・クラウド債務支払) | マネーフォワード クラウド会計Plus | Scale Cloud | Scale Cloud | Scale Cloud | DIGGLE | マネーフォワード クラウド会計Plus |
| 公表されている効果 | 月次決算が7営業日に短縮(以前は月20日ごろ・最短でも15日) | 月次決算を約60日から4分の1程度に短縮 | 業務時間を30%以上削減(ワークフロー自動化・ペーパーレス化による) | 振込依頼入力が最少3時間→30分以内(工数83%以上削減) | システムのランニングコストを旧システム比5%削減 | 会議資料の作成時間が6分の1に | 乗り換えで集約〜レポーティングの作業時間を40%削減 | データ転記・差異計算の工数を約70%削減、PLとKPIを統合 | 分析・対応準備に使える時間が3日→2週間に増加、経常利益1.5倍 | グループ6社の会計データを統一し経理体制を効率化(定量値は非公表) |
※各社公式の導入事例ページ・プレスリリースの公表値。数値の時点・詳細は各節の出典を参照。
出典・参考資料(3件)
課題・目的別の財務システム導入事例
ここからは、早見表で挙げた事例を課題テーマ別に掘り下げ、どのような状況から何を導入して、どう変わったのかを見ていきます。自社が今いちばん解決したい課題に近いテーマから読むと、当てはめやすくなります。
決算・月次業務の早期化の事例
月次決算の遅さは、経営判断のスピードに直結する課題です。マネーフォワード クラウド会計Plusの公式導入事例では、飲食業の株式会社ゴーゴーカレーグループが、以前は月の20日ごろ(最短でも15日)までかかっていた月次決算を7営業日へ短縮しました。IT・メディアの株式会社FOR YOU(従業員11〜50名)は、約60日かかっていた月次決算を4分の1程度まで縮めたと公表しています。
いずれも、明細の自動取得・自動仕訳や決算書の自動作成といった機能で、締め処理の手作業を減らした結果とされています。
出典・参考資料(1件)
経理業務の工数削減・脱Excel(属人化の解消)の事例
経理の工数削減は、事例の数値がはっきり出やすいテーマです。マネーフォワード クラウド会計Plusの公式導入事例では、ランサーズ株式会社(従業員51〜300名)が、ワークフローの自動化とペーパーレス化により業務時間を30%以上削減したと公表しています。エッカ石油株式会社は、旧システムと比べてシステムのランニングコストを5%削減したとしています。
銀行振込のような支払業務でも効果が出ています。クラシコ株式会社では、同シリーズのマネーフォワード クラウド債務支払を使い、インターネットバンキングの振込依頼入力にかかる時間を最少3時間から30分以内へ短縮しました。振込作業の工数にして83%以上の削減にあたると公表しています。
予実管理の工数に絞った事例もあります。Scale Cloudの公式導入事例では、株式会社ボードルアが、20以上のExcelファイルに集約していた予実データをまとめ、会議資料の作成時間を6分の1にしたと紹介されています。
株式会社サイバーセキュリティクラウドは、別システムからの乗り換えで、データの集約から分析・レポーティングまでの作業時間を40%削減しました。いずれも、予算・実績・KPIを一つの基盤に集約したことによる効果です。
属人化の解消そのものを目的にしたタイプの選択肢もあります。予実・KPIをクラウドで一元管理するX-KPIは、Excelや定型フォームでの属人的な集計を仕組みに置き換えることを狙うツールで、提供元の親会社である株式会社日本経済社も自社の予実管理に導入しています。
出典・参考資料(3件)
予実管理・経営の可視化を高度化した事例
工数削減の先で、予実管理そのものの質を上げた事例もあります。DIGGLEの公式プレスリリースによると、テクバン株式会社は8事業部の予測管理を表計算ソフトで運用していた状態から、着地見込みの更新工数を削減し、差異分析と対応策の準備にあてられる時間を3日から2週間へと広げました。あわせて経常利益が1.5倍になったとしています。
集計に追われていた時間を、差異の要因分析と打ち手の検討にまわせるようになった事例です。
数値だけでなく、議論の質が変わった事例もあります。Scale Cloudの公式導入事例では、ソフトウェア開発の株式会社Sun Asteriskが、財務のPL(損益)と分散していた非財務KPIを統合し、月次の予実分析前に行っていたデータ転記や差異計算の工数を約70%削減したと公表しています。
あわせて、経営層と事業部が同じ目線で議論できるようになったとされています。財務の結果指標と現場の活動指標を一つの基盤でつなぐことで、数字を介した部門間の共通認識が生まれた事例です。
KPIと財務を一つの基盤でつなぐという発想が、どのような課題意識から生まれたのか。Scale Cloudの広瀬氏は、開発の背景を次のように述べています。
従来の管理会計では、財務データを部門別や得意先別など様々な切り口で分析するのですが、それだけでは「この結果にどうやって至ったのか」というプロセスがまったくわからないです。事業の状況を正しく理解するためには、結果だけでなくそこに至るプロセスも含めて把握しなければ、どこに問題があるのか見えてこない。これが管理会計の限界だと感じていました。
そのプロセスを把握するために何を見ればいいかというと、KPIのデータになります。ただ、実際にはマーケティング、セールス、カスタマーサクセスといった各部門がそれぞれバラバラなKPIを追っている状態で、情報が統合されていない。みんなが違うデータを見ているので、同じ景色を見ながら議論できていないことが多いと思われます。
予算達成は全チーム共通の目的であるはずなのに、そこに向かって一丸となって走れていない。それならば、まずは同じ景色を見て議論し、PDCAを回せる共通のプラットフォームを作るべきだと考えました。PLのデータも各部門のKPIデータも一箇所に集まった状態で、事業の全体像が誰にでもわかる。そういう仕組みを作りたいと思ったのが、Scale Cloud開発の背景です。
内部統制の強化・グループ/IPO準備の事例
上場準備やグループ経営では、決算の速さだけでなく、仕訳の承認や権限管理といった内部統制も課題になります。マネーフォワード クラウド会計Plusは、仕訳承認フロー・権限設定・操作ログ(仕訳更新履歴)といった内部統制機能を備えた会計システムで、IPO準備企業や上場企業、その子会社を対象に提供されています。
実際にどのような企業からの相談が多いのかについて、提供元のマネーフォワードは次のように説明しています。

最も多いのは、IPOや上場を目指していて内部統制をしっかり整えたい、J-SOX対応の必須要件に対応したいという中堅企業からのご相談です。導入の主導は経理の責任者が中心になることが多く、IPO準備など全社的な取り組みの文脈ではCFOが関与されるケースも少なくありません。
グループ全体を統一した事例として、SmartHRがグループ6社の会計データを同システムに統一し、経理体制を効率化したと公式導入事例で公表されています。提供元によると、システムの入れ替えに合わせて、勘定科目の考え方や承認フローといったルール面もグループ全体で統一したことが成功の鍵だったとされています。
システムの導入と同時に運用ルールをそろえた点が、グループ経営で内部統制を整えるうえでの参考になります。
規模別・業種別に見る財務システム導入事例の傾向
課題軸だけでは自社に重ねきれない場合は、規模や業種の近さでも事例を選べます。ここでは、これまで挙げた公式事例から読み取れる傾向を整理します。傾向はあくまで公表事例の範囲でのもので、自社に必ず当てはまるわけではない点にはご留意ください。
規模別(中小/中堅)で見る傾向とスモールスタート
中小規模の企業では、まずは月次決算の早期化や経理業務の工数削減といった、日々の実務の負担を下げる目的が中心になりやすい傾向があります。会計システムのなかには、課題感の強い領域から段階的・部分的に導入できるものもあり、既存の基幹システムを活かしつつ不足する機能を補う形で、小さく始めて広げる進め方が取りやすくなっています。
中堅・上場準備の規模になると、決算の速さに加えて、内部統制の整備やグループ・部門をまたいだ数字の統一が課題として重くなります。テクバン株式会社のように事業部が多い企業では予実の集約自体が負担になり、SmartHRのようにグループで会計データがばらつく企業では、データとルールの両方をそろえる必要が出てきます。
規模が上がるほど、単体の効率化から全社・グループの統合へと目的が移っていく傾向が読み取れます。
業種別(IT・サービス/飲食/エネルギー 等)で見る傾向
公表事例を業種別に見ると、ランサーズ株式会社・株式会社サイバーセキュリティクラウド・テクバン株式会社といったIT・サービス業では、事業や部門が多く、予実・KPIの集約や差異分析の効率化を目的とする事例が目立ちます。事業ごとにKPIの構造が異なるため、財務の数値と現場の活動指標をどう結びつけるかが論点になりやすい傾向です。
一方、株式会社ゴーゴーカレーグループ(飲食)やエッカ石油株式会社(エネルギー)のように、店舗・拠点を持つ事業では、月次決算の早期化やコスト削減といった、締め処理と全体最適の目的が前面に出ています。業種によって「何を最初に解決したいか」が変わるため、自社と同じ業種の事例があれば、目的の置き方の参考になります。
出典・参考資料(3件)
財務システム導入でつまずくポイントと成功のコツ
事例からは、効果だけでなく、導入時に気をつけたいポイントも読み取れます。稟議や計画づくりの前に押さえておくと、想定外のつまずきを避けやすくなります。
1つ目は、データ移行です。会計システムの乗り換えでは、勘定科目・部門・取引先などのマスタや開始残高、仕訳帳の移行が必要になります。マネーフォワード クラウド会計Plusでも乗り換え時は移行期間を設ける運用とされ、範囲や費用は状況に応じて個別に決まります。移行にかかる期間を導入スケジュールに織り込んでおくことが、初動のつまずきを避けるコツです。
2つ目は、運用ルールの統一です。SmartHRの事例では、システムの入れ替えに合わせて勘定科目の考え方や承認フローをグループ全体でそろえたことが成功の鍵だったとされています。システムを入れるだけでなく、誰がどの順で承認するか、科目をどう定義するかといったルールを同時に整えることで、導入効果が定着しやすくなります。
3つ目は、効果を測る期間の見立てです。仕訳入力などの日常的な使い勝手は導入初期から変わる一方、月次決算の短縮といった効果は、四半期・通期の決算を一通り回してから実感するケースが多いとされています。導入直後の数字だけで判断せず、一定期間の運用を前提に評価すると、現場と経営の期待値がそろいます。
インボイス制度や電子帳簿保存法への対応は、多くのクラウド会計システムが機能として備えています。ただし保存要件や運用の細部は制度ごとに異なるため、導入前に自社の運用に合うかを確認しておくと安心です。
電子帳簿保存法のメリットや対応時に押さえておきたいポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。制度への対応が自社に合うか気になる方はあわせてご確認ください。
出典・参考資料(4件)
一括ダウンロードする
自社に合う財務管理システムの選び方と比較
ここまでの事例を踏まえて、自社の課題にはどのタイプの財務システムが合うのかを整理し、事例で挙げたサービスを比較していきます。
本記事で事例を挙げた製品にとどまらず財務管理システムを幅広く比較したい場合は、以下の記事でおすすめ製品を機能・料金・タイプ別の選び方とあわせて整理しています。全体像から検討を始めたい方はこちらもご覧ください。
事例で使われた財務システムのタイプと自社の課題への合わせ方
「財務システム」と一口に言っても、得意とする領域はいくつかに分かれます。自社が最初に解決したい課題によって、見るべきタイプが変わります。

1つ目は、記帳・決算・申告を担う会計特化のタイプです。仕訳の自動化や決算書の作成、内部統制機能などを備え、月次決算の早期化や上場準備の内部統制強化を目的とする場合の中心になります。日々の記帳と決算の負担を下げたい企業に向いています。
2つ目は、予算・実績・見込みを管理する予実管理・管理会計のタイプです。会計システムからデータを取り込み、予算と実績の差異分析や着地見込みの更新、KPIの可視化を担います。事業部が多く、予実の集約や差異分析に時間がかかっている企業や、財務の数字と現場のKPIを結びつけて経営判断を速めたい企業に向いています。
このほか、グループ会社の決算を合算する連結会計のタイプや、資金繰り・資金管理に特化したタイプもあります。自社が「記帳・決算を効率化したい」のか「予実・経営管理を高度化したい」のかを起点に、必要なタイプを見極めると選定を進めやすくなります。実際の機能や料金は製品ごとに異なるため、次の比較表と各サービスの紹介で具体的に確認してください。
以下は、本記事で事例を挙げた財務システムの比較表です。
| サービス名 | DIGGLE(ディグル) | X-KPI(クロスケーピーアイ) | マネーフォワード クラウド会計Plus | Scale Cloud(スケールクラウド) |
|---|---|---|---|---|
| 主な強み・対象領域 | 予実管理特化 (予算策定・予実突合・着地見込みの管理) | KPI・予実の可視化 (部門横断のKPIをノーコードで一元管理、予実差・異常値を自動検知) | 会計特化+内部統制 (仕訳承認フロー・権限管理・操作ログ) | 経営管理・予実の高度化 (PL/BS/CFとKPIを関連づけて一元管理) |
| 代表的な導入事例 | テクバン株式会社(IT) | 株式会社日本経済社(広告/提供元の親会社が自社導入) | ゴーゴーカレーグループ(飲食)、ランサーズ(IT・上場)、SmartHR(グループ6社)ほか | 株式会社ボードルア、株式会社サイバーセキュリティクラウド ほか |
| 公表されている効果 | 差異分析・対応策の準備期間が3日から2週間に拡大 経常利益1.5倍 | 数値は非公表(定性事例) 予実データをクラウドで一元管理し、属人的な集計を解消 | 月次決算が7営業日に短縮/業務時間30%以上削減/銀行振込工数83%以上削減 など | 会議資料の作成時間が6分の1に/他社からの乗り換えで40%の工数削減 |
| こんな課題の会社に向く | 事業部が多く、Excelでの予実集約や着地見込みの更新に時間がかかっている会社 | 属人的なExcel集計をやめ、KPI・予実の可視化を仕組みで解消したい中堅〜大企業 | 月次決算の早期化や、IPO準備・グループ経営での内部統制強化を進めたい中堅〜上場企業 | KPIと財務をつないで予実管理を高度化し、経営の議論の質を上げたい会社 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | ミーティングを予約する | ミーティングを予約する |
※強み・対象領域・向き不向きは公式情報に基づく整理、効果の数値は各社公式の導入事例・プレスリリースの公表値です。詳細と出典は各サービスの紹介セクションをご覧ください。
ここからは、各サービスの特徴を個別に見ていきます。
1. DIGGLE(ディグル株式会社)

DIGGLEは、予算・実績・見込みをクラウド上で一元管理する予実管理特化のサービスです。会計システムからデータを取り込んで予実を突き合わせ、着地見込みの更新やレポーティングまでを一つの基盤で完結させ、Excel中心の予実管理で起こりがちな属人化や集計の非効率を解消することを狙います。
先に挙げたテクバン株式会社の事例のように、事業部が多く予実の集約に時間がかかっている企業での活用が進んでいます。富士キメラ総研の調査では、予実管理ソフトウェア(SaaS/PaaS区分、2024年度実績)でベンダーシェア1位とされています。
料金は要問い合わせで、Standard・Enterpriseの2プラン構成です(金額は非公開)。予算策定から差異分析までの一連の流れを効率化したい企業に向いた選択肢です。
2. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

複数部門・拠点・プロジェクトのKPIと予実データをクラウド上で集約し、リアルタイムに可視化するのがX-KPIです。予算と実績の差異や異常値を自動で検知し、原因とともにチャットツールへ通知する機能を備え、差異分析を担当者の手作業に依存させない運用ができます。
提供元の親会社である株式会社日本経済社も、自社の予実管理にX-KPIを導入しています。専門知識がなくてもKPI項目やダッシュボードを設計・運用できる点が特徴で、属人化した予実の集計を仕組みで解消したい企業に向いています。料金は要問い合わせです。
出典・参考資料(1件)
3. マネーフォワード クラウド会計Plus(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド会計Plusは、明細の自動取得・自動仕訳といった利便性に、仕訳承認フローや権限管理、操作ログ(仕訳更新履歴)といった内部統制機能を加えた会計システムです。IPO準備企業や中堅・上場企業、その子会社を対象としており、月次決算の早期化と監査対応の効率化を狙えます。
本記事で挙げた決算早期化・工数削減・グループ統一の事例の多くがこの製品によるもので、公式には導入社数2,000社以上と記載されています。経費精算や請求など同社のクラウドシリーズと同一基盤で連携できる点も特徴で、記帳・決算の効率化と内部統制の両方を進めたい企業に向いています。料金は個別見積もり(請求書払い・年間契約)です。
出典・参考資料(1件)
4. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

Scale Cloudは、財務数値(PL・BS・CF)と非財務のKPIを関連づけて一元管理する経営管理クラウドです。KPIを積み上げて予算を作成でき、複数パターンでの予算作成や着地見込みの更新、経営用・管理部用・事業部用など視点ごとのダッシュボードに対応します。
先に挙げた株式会社ボードルアや株式会社サイバーセキュリティクラウドの事例のように、予実管理の工数削減で成果が公表されています。予算・実績の効率化だけでなく、KPIと財務をつないで経営の議論の質を上げたい企業に向いた選択肢です。料金は公式サイトで月額15万円からと案内され、KPI設計のコンサルティングによる導入支援も提供されています。
出典・参考資料(2件)
まとめ
財務システムの導入事例を課題テーマ別に見てきました。決算の早期化では月次決算を7営業日や4分の1に短縮した事例、工数削減では業務時間30%以上や振込工数83%以上の削減、予実管理の高度化では差異分析に使える時間の拡大や経常利益1.5倍といった、公表された効果が確認できます。
自社に近い規模・業種・課題の事例を起点に、どのタイプの製品が合いそうかの当たりをつけるのが、選定の近道です。
気になる製品が見つかったら、資料を取り寄せて機能や料金、自社の課題への適合を具体的に確かめてみてください。
一括ダウンロードする
よくある質問(FAQ)
Q. 財務システムとは何ですか?
A. 財務システムとは、記帳・決算・申告を担う会計特化型や、予算・実績・見込みを管理する予実管理・管理会計型など、企業の財務・経理業務を効率化するシステムの総称です。このほか、グループ会社の決算を合算する連結会計型や、資金繰り・資金管理に特化したタイプもあります。得意とする領域がタイプごとに分かれるため、自社が最初に解決したい課題によって見るべきタイプが変わります。
Q. 財務システムの導入事例は、自社にどう当てはめて見ればよいですか?
A. 財務システムの導入事例は、自社に近い規模・業種・課題の事例を起点に、どのタイプの製品が合いそうかの当たりをつけるのが効率的な見方です。本記事では、決算早期化・経理業務の工数削減・予実管理の高度化・内部統制の強化といった課題テーマ別に事例を整理しているため、今いちばん解決したい課題に近いテーマから読むと自社に重ねやすくなります。
課題軸だけで重ねきれない場合は、規模別・業種別の傾向もあわせて参考にしてください。
Q. 財務システムの導入効果が出るまでには、どのくらいの期間がかかりますか?
A. 財務システムの効果を実感できる時期には幅があり、仕訳入力などの日常的な使い勝手は導入初期から変わる一方、月次決算の短縮といった効果は四半期・通期の決算を一通り回してから実感するケースが多いとされています。導入直後に決算日数が大きく縮むわけではなく、一定期間の運用を経て定着していく前提で計画すると、社内の期待値をそろえやすくなります。
Q. 中小企業でも、事例のような効果は出ますか?
A. 公表されている効果は各社の状況によるもので、規模や業種が近い事例ほど自社に重ねやすいものの、同じ効果が必ず出るとは限りません。中小規模の企業では、月次決算の早期化や経理業務の工数削減など日々の実務の負担を下げる目的が中心になりやすく、課題感の強い領域から段階的・部分的に導入して小さく始める進め方も取れます。自社に近い事例を目安にしつつ、資料請求で自社の要件に合うかを確かめるのが確実です。
Q. 会計特化型と予実管理型の財務システムは、どちらを選べばよいですか?
A. 財務システムは、記帳・決算を効率化したいなら会計特化型、予実・経営管理を高度化したいなら予実管理・管理会計型が向いています。月次決算の早期化や上場準備の内部統制強化が目的なら会計特化型、事業部が多く予実の集約や差異分析に時間がかかっている、あるいは財務の数字と現場のKPIを結びつけて経営判断を速めたいなら予実管理型が中心の選択肢になります。
予実管理型は会計システムからデータを取り込んで使うため、両方の課題がある場合は会計システムと連携させて使う構成も取れます。
Q. 財務システムの導入時に気をつけることは何ですか?
A. 財務システムの導入では、データ移行・運用ルールの統一・効果を測る期間の見立ての3点に気をつけると、想定外のつまずきを避けやすくなります。会計システムの乗り換えでは勘定科目や開始残高、仕訳帳の移行期間を導入スケジュールに織り込む必要があり、承認フローや科目の定義といった運用ルールも同時にそろえると導入効果が定着しやすくなります。
また、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応は、多くのクラウド会計システムが機能として備えています。ただし保存要件や運用の細部は制度ごとに異なるため、導入前に自社の運用に合うかを確認しておくと安心です。
財務管理システムの料金・資料を一括チェック
MCB FinTechカタログでは、予実管理・会計・経営管理など財務システムの最新資料を無料で一括請求できます。事例で気になったサービスの機能や料金を、まとめて比べられます。
一括ダウンロードする
MCB FinTechカタログに掲載しませんか?
MCB FinTechカタログでは、掲載企業様を募集しています。マネックスグループの金融実務ノウハウを活かした独自の評価軸と検索設計により、導入検討者が最適なサービスを効率的に発見できる法人向け比較プラットフォームです。掲載後は管理画面から料金表や導入事例を随時更新でき、常に最新の情報を訴求可能。まずは下記フォームより、お気軽にお問い合わせください。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















