領収書や請求書を電子で保存し始めると、必ず出てくるのが「タイムスタンプは付けなければいけないのか」という疑問です。付与に費用がかかると聞いて身構える一方で、2022年の制度改正で「不要になった」という情報も目にして、自社はどちらなのか確信が持てない方が多いのではないでしょうか。
電子帳簿保存法のタイムスタンプは、保存の区分によって要否がはっきり分かれます。スキャナ保存・電子取引・電子帳簿等保存のどれに当てはまるかで答えが変わり、しかも要件を満たしたシステムを使えば、タイムスタンプそのものを付けずに運用できるケースも少なくありません。
本記事では、電子帳簿保存法のタイムスタンプがいつ必要で、どんな条件なら不要にできるのかを、保存区分別の早見表と自社判定の流れで整理します。必要な場合の要件・費用・手順、さらに要件を自動で満たせる経費精算システムまで、根拠となる施行規則の条文とあわせて解説します。経理・総務の担当者が、自社のやり方やシステムで足りるかを判断する材料としてご活用ください。
目次
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電子帳簿保存法でタイムスタンプは結局必要?不要?【保存区分別の早見表】
ここでは、電子帳簿保存法(以下、電帳法)のタイムスタンプが自社の場合に必要かどうかを、保存区分別に確認します。電帳法の保存は「スキャナ保存」「電子取引」「電子帳簿等保存」の3つに分かれ、タイムスタンプの要否はこの区分ごとに異なります。まず早見表で結論を押さえてください。
| 保存区分 | 対象となるデータの例 | タイムスタンプの要否 |
|---|---|---|
| スキャナ保存 | 紙で受け取った領収書・請求書をスキャン・撮影して電子保存 | 原則は必要。ただし訂正・削除の履歴が残る(または訂正削除できない)システムで期限内に保存すれば、タイムスタンプは不要にできる |
| 電子取引 | メール添付のPDF、ECサイトやクラウドで授受した請求書・領収書などの電子データ | 実質不要にできる。タイムスタンプ付与は4つの措置の1つで、訂正削除できないシステムや事務処理規程でも対応できる |
| 電子帳簿等保存 | 会計ソフトなどで最初から電子的に作成した帳簿・書類 | 規定なし(タイムスタンプは不要) |
タイムスタンプが論点になるのは、実質的にスキャナ保存と電子取引の2区分です。それぞれ根拠と考え方が異なるため、自社が扱う証憑がどの区分に当たるかを最初に切り分けてください。
スキャナ保存の場合
スキャナ保存は、紙で受け取った領収書や請求書をスキャナやスマートフォンで読み取り、電子データとして保存する方法です。電帳法施行規則第2条第6項は、スキャナ保存の要件のひとつとして、総務大臣が認定する時刻認証業務によるタイムスタンプの付与を定めています。
ただし同じ条文の中に、タイムスタンプを省ける仕組みも用意されています。入力期間内に保存したことを確認でき、かつ訂正・削除の履歴が残る(または訂正削除ができない)システムを使う場合は、タイムスタンプの付与が要件から除かれます。多くのクラウド型システムがこの方式で「タイムスタンプ不要」をうたっているのは、この規定に基づくものです。
注意したいのは、不要になるのはあくまでタイムスタンプであり、訂正・削除を確認できるシステムであること自体は引き続き必要だという点です。手作業でファイルを保存するだけの運用では、この要件を満たせません。
電子取引の場合
電子取引は、メール添付のPDFやECサイト・クラウド上でやり取りした請求書・領収書など、最初から電子データで授受した取引情報が対象です。2024年1月以降、電子取引データは電子のまま保存することが義務化されており、紙に印刷しての保存は認められません。
電子取引の保存では、データが改ざんされていないことを担保する「真実性の確保」として、次の4つの措置のいずれかを満たせばよいとされています。タイムスタンプはこのうちの一つの選択肢にすぎません。以下は施行規則第4条第1項の各号の柱書で、第二号・第三号の細目(イ・ロ)は省略しています。
一 当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された後、当該取引情報の授受を行うこと。
二 次に掲げる方法のいずれかにより、当該電磁的記録の記録事項にタイムスタンプを付すこと。
三 次に掲げる要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して当該取引情報の授受及び当該電磁的記録の保存を行うこと。
四 当該電磁的記録の記録事項について正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該電磁的記録の保存に併せて当該規程の備付けを行うこと。
出典:電子帳簿保存法施行規則 第4条第1項|e-Gov法令検索
第三号(訂正削除を確認できる/できないシステム)や第四号(事務処理規程の整備)を選べば、タイムスタンプを付けなくても電子取引の要件を満たせます。市販のクラウドサービスの多くは第三号の方式に対応しています。
タイムスタンプで対応する場合(第一号・第二号)は付与のタイミングに期限がありますが、システムや事務処理規程で対応する場合はタイムスタンプ自体が不要なため、付与期限を気にする必要はありません。いずれの場合も、受け取った電子データを電子のまま保存することが前提です。
第四号の事務処理規程は、正当な理由のない訂正・削除を防ぐための社内ルールを文書化し、その規程に沿って運用しながら備え付けておくものです。国税庁は電子取引データ用の事務処理規程のサンプルを公開しており、これを自社向けに整えれば、新たにシステムを導入せずに対応できます。
出典・参考資料(1件)
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電子帳簿等保存(電子作成データ)の場合
会計ソフトで作成した仕訳帳や総勘定元帳、自社で電子的に発行した請求書の控えなどは「電子帳簿等保存」に区分されます。この区分の保存要件は、システム関係書類の備付け・見読可能性の確保・検索機能の確保が中心で、タイムスタンプに関する規定は条文上ありません。
最初から電子で作ったデータは、スキャンや外部からの受領を経ていないため、タイムスタンプで原本性を担保する必要がないという整理です。自社が悩んでいる証憑が電子帳簿等保存に当たるなら、タイムスタンプは考えなくて構いません。
タイムスタンプを不要にできる条件【チェックリストで自社に当てはめる】
ここからは、タイムスタンプを不要にできる条件を具体的に確認します。早見表で「不要にできる」とした部分を、自社の会計・経費精算ソフトが満たしているかどうか、次の観点で当てはめてみてください。
訂正・削除の履歴が残る(またはできない)システムを使っているか
スキャナ保存・電子取引のいずれも、タイムスタンプを省く鍵になるのが「訂正・削除の事実と内容を確認できる、または訂正・削除ができないシステム」です。保存したデータを後から書き換えたり消したりした履歴がシステム上に残る仕組みであれば、タイムスタンプの代わりに真実性を担保できます。
自社の共有フォルダやローカルPCにファイルを置くだけの運用は、この条件を満たしません。削除や上書きの履歴が残らないためです。専用のクラウドサービスを使っているかどうかが、最初の分岐点になります。
入力期間内に保存できているか
スキャナ保存でタイムスタンプを不要にするには、訂正削除のシステム要件に加えて、書類の受領後、定められた入力期間内に保存したことを確認できることが前提になります。後述する付与期限と同じく、最長でも2か月とおおむね7営業日以内が目安です。クラウドサービスは保存日時を自動で記録するため、この確認が取りやすくなります。
電子取引は「システム」か「事務処理規程」で代替できているか
電子取引では、訂正削除できないシステム(第三号)を使う方法のほかに、正当な理由がない訂正・削除を防ぐ事務処理規程を整備・運用する方法(第四号)が認められています。国税庁は事務処理規程のサンプルを公開しており、これを自社向けに整えて備え付ければ、システムを新たに導入しなくても電子取引の要件を満たせます。
JIIMA認証で自社システムの対応を見分ける
自社の経費精算ソフトや会計ソフトが電帳法に対応しているかを手早く見分けたいときは、JIIMA(日本文書情報マネジメント協会)の認証が目印になります。スキャナ保存ソフト法的要件認証や電子取引ソフト法的要件認証を取得した製品は、法的要件を満たすことを第三者が確認済みのため、自社で個別の要件を一つずつ照合する手間を省けます。
JIIMA認証は法律上の義務ではなく、あくまで実務上の当たりを付ける目安である点は押さえておきましょう。
JIIMA認証にはどんな種類があり、電帳法のどの保存区分と対応しているのか、自社が使う製品の認証をどこで確認できるのかまで知りたい場合は、こちらの記事で整理しています。
出典・参考資料(1件)
自社はどっち?タイムスタンプ要否の判定フロー
ここまでの内容を、自社に当てはめる順序で整理します。次の流れで上から確認すれば、タイムスタンプが必要かどうかを判定できます。

- その証憑は「紙で受け取ってスキャン・撮影したもの(スキャナ保存)」か、「電子データで授受したもの(電子取引)」か、「自社が電子的に作成したもの(電子帳簿等保存)」か。電子帳簿等保存ならタイムスタンプは不要です。
- スキャナ保存・電子取引の場合、使っているのは訂正・削除の履歴が残る(またはできない)専用システムか。共有フォルダやローカル保存だけなら、この条件を満たせません。
- そのシステムで、受領から入力期間内に保存できているか(スキャナ保存)。電子取引なら、訂正削除できないシステムか事務処理規程のいずれかで代替できているか。
- 上記を満たせるならタイムスタンプは不要です。満たせない場合(手作業保存・非対応システム)は、タイムスタンプの付与が必要です。
要件対応のクラウドサービスを使えば2〜3の条件を自動で満たせるため、多くの企業では実質的にタイムスタンプを付けずに運用できます。逆に、自社で保存の仕組みを手組みしている場合や電帳法非対応のツールを使っている場合は、タイムスタンプの付与を検討することになります。
タイムスタンプが必要な場合の要件(付与期限・解像度・総務大臣認定)
タイムスタンプの付与が必要と判定した場合に、満たすべき要件を確認します。特にスキャナ保存では、付与期限・読み取りの解像度・タイムスタンプの認定について、施行規則と国税庁の取扱いで具体的な基準が定められています。
付与期限
施行規則の条文上は、入力(およびタイムスタンプの付与)を「速やかに」、または業務処理サイクルを採る場合は「その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに」行うことと定められています。この「通常の期間」について、国税庁の一問一答は具体的な日数の目安を示しています。
最長では、国税関係書類の受領等から2か月とおおむね7営業日以内に入力すればよいこととなります。
出典:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問23(令和4年6月)|国税庁
「最長2か月とおおむね7営業日以内」という日数は、条文そのものの文言ではなく、国税庁の一問一答(取扱通達に基づく解釈)で示されたものです。実務では、月次の締め処理に合わせて期限内に保存する運用が現実的です。
出典・参考資料(1件)
解像度・階調(スキャナ保存)
スキャナ保存では、読み取り時の画質にも基準があります。施行規則第2条第6項は、解像度を25.4ミリメートル当たり200ドット以上(200dpi以上)、赤・緑・青の各色の階調をそれぞれ256階調以上(約1,677万色のフルカラー)で読み取ることを求めています。
市販のスキャナや経費精算アプリのスマートフォン撮影機能は、この基準を満たす設定が標準になっているものが大半です。読み取った画像がぼやけて文字が判読できない場合は基準を満たさないため、撮影時の明るさやピントには注意が必要です。
総務大臣が認定するタイムスタンプであること
電帳法で使えるタイムスタンプは、どのようなものでも良いわけではありません。施行規則は「総務大臣が認定する時刻認証業務」によるタイムスタンプであることを要件としています。
当該国税関係書類の作成又は受領後、速やかに一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に総務大臣が認定する時刻認証業務(電磁的記録に記録された情報にタイムスタンプを付与する役務を提供する業務をいう。)に係るタイムスタンプ(次に掲げる要件を満たすものに限る。以下この号並びに第四条第一項第一号及び第二号において「タイムスタンプ」という。)を付すこと
出典:電子帳簿保存法施行規則 第2条第6項第二号ロ|e-Gov法令検索
この「総務大臣が認定する時刻認証業務」は、2021年に始まった認定制度に基づくものです。古い解説記事では「日本データ通信協会が認定するタイムスタンプ」と書かれていることがありますが、現在の条文上の根拠は総務大臣の認定に統一されています。
認定を受けた事業者は総務省のサイトで一覧が公開されており、無料の時刻配信サービスなどはこの認定に含まれないため、対応システムや認定事業者のサービスを利用するのが確実です。
出典・参考資料(2件)
タイムスタンプの用意・対応手順と費用
実際にタイムスタンプを用意する方法は、大きく2つに分かれます。認定事業者と直接契約する方法と、タイムスタンプ機能を内蔵したシステムを使う方法です。それぞれの手順と費用感を見ていきます。
認定事業者と直接契約する場合
総務大臣の認定を受けた時刻認証業務の事業者と契約し、自社の保存システムにタイムスタンプを組み込む方法です。付与のたびに課金される従量制が一般的で、保存する証憑が多い企業や、既存システムにタイムスタンプ機能だけを追加したい場合に向きます。導入にはシステム連携の設定が必要になるため、情報システム部門との調整を前提に検討することになります。
タイムスタンプ機能つきのシステムを使う場合
経費精算システムや証憑管理システムの中には、タイムスタンプの付与機能を備えたものや、訂正削除履歴によってタイムスタンプ自体を不要にできるものがあります。多くの企業にとっては、こちらのほうが導入・運用の負担が軽くなります。自社で認定事業者と契約せずとも、サービスの月額料金の範囲で電帳法対応を実現できるためです。
実際の運用は、受け取った領収書や請求書をシステムにアップロードすると、日時の記録やタイムスタンプ付与がシステム側で自動的に行われ、後から検索・確認できる形で保存される、という流れになります。担当者が個別にタイムスタンプを手配する手間はかかりません。
費用の目安
タイムスタンプを認定事業者から直接調達する場合、付与1回あたり数円から十数円程度の従量課金が一般的で、これに数千円から数万円程度の初期費用や月額の基本料金が加わります。付与件数が多い企業向けに、月額定額のプランを用意する事業者もあります。これらは法令で定められた金額ではなく利用するサービスによって異なるため、複数の見積もりを比較することをおすすめします。
一方、タイムスタンプ機能や訂正削除履歴を備えた経費精算システムを使う場合は、そのシステムの利用料に含まれることが多く、タイムスタンプのための追加費用が発生しないケースもあります。自社の証憑の量や既存システムとの兼ね合いを踏まえ、直接契約とシステム利用のどちらが合うかを判断してください。
「不要になった」で油断しない——運用と事務処理規程の注意点
タイムスタンプを不要にできるとわかると安心しがちですが、不要にするための条件を満たし続ける運用が欠かせません。ここでは、見落としやすい運用面の注意点を整理します。
まず、タイムスタンプが不要になるのは「訂正削除を確認できるシステムを、期限内の保存とあわせて使っている」ことが前提です。対応システムを導入していても、受領した証憑を放置して入力期間を過ぎてしまえば要件を満たせません。撮影・アップロードを後回しにしない社内ルールを決めておくことが重要です。
電子取引を事務処理規程で対応している場合は、規程を備え付けているだけでなく、その規程に沿った運用を実際に続けることが求められます。担当者の異動やツールの変更があったときに規程が形骸化しないよう、定期的な見直しが必要です。加えて、スキャナ保存では読み取り後の紙の原本の取り扱い(いつ廃棄してよいか)も社内で取り決めておくと、現場の迷いを防げます。
スキャナ保存の要件を一覧で確認したい方や、読み取り後の紙の原本をいつ廃棄してよいかの条件を詳しく知りたい方は、以下の記事で条件ごとに解説しています。
電子帳簿保存法のスキャナ保存とは?要件一覧と原本廃棄の条件を解説
紙で受け取った請求書や領収書をスキャンして電子データで保存し、できれば紙の原本は処分したい——そう考えたときにまず確認したいのが、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」制度です。スキャナ保存には解像度やタイムスタンプ、検索といった保存要件が定めら…
出典・参考資料(1件)
この「要件を満たし続ける運用の難しさ」は、実際の導入現場でも課題として挙がっています。経費精算システムを提供する企業へのインタビューでは、電帳法への対応をめぐる企業の実情が次のように語られています。

電子帳簿保存法の施行後、事務処理規定などを設けて電子データを原本として保存しているものの、業務フローは変更できておらず、結局紙ベースでの社内処理をおこなっている、というケースは多いです。紙と電子両方の保管を行っていて、二重運用で法令対応を乗り越えたもののそれを維持し続けるのがやはり大変だということで、しっかりシステム化しようという流れが続いています。
そもそもタイムスタンプとは?仕組みとハッシュ値
ここまで要否と要件を見てきましたが、最後にタイムスタンプそのものの仕組みを押さえておきます。仕組みを理解すると、なぜ改ざん防止に役立つのかが腑に落ちます。
タイムスタンプは、電子データに「その時刻にそのデータが存在していたこと(存在証明)」と「その時刻以降データが変更されていないこと(非改ざん証明)」を証明する技術です。総務省は、付与された時刻情報が改ざんされていないことを第三者機関が確認できる仕組みだと説明しています。
その裏側で使われているのがハッシュ値です。ハッシュ値は、元のデータから計算される短い値で、データがわずかでも変わると全く別の値になります。タイムスタンプは、保存時のハッシュ値と時刻情報を組み合わせて記録するため、後からデータが書き換えられれば、計算し直したハッシュ値が一致せず、改ざんを検知できる仕組みになっています。
出典・参考資料(1件)
- 参考資料:タイムスタンプについて|総務省
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タイムスタンプ要件に対応した経費精算・電子保存システム
ここからは、タイムスタンプの要件をシステム側で満たせる経費精算サービスを紹介します。訂正削除の履歴が残る保存や、要件を満たしたタイムスタンプ運用を標準機能として備えたサービスを選べば、自社で認定事業者と契約したり要件を個別に照合したりする手間を省けます。まずは主要なサービスを比較表で確認してください。
| サービス名 | 弥生経費 Next | マネーフォワード クラウド経費 | 楽楽精算 | BIZUTTO経費 |
|---|---|---|---|---|
| 電帳法対応(スキャナ保存・電子取引) | ● | ● | ● | ● |
| タイムスタンプの扱い | 自社でのタイムスタンプ付与は不要 (訂正削除履歴による代替) | 自社でのタイムスタンプ付与は不要 (JIIMAスキャナ保存・電子取引ソフト認証を取得) | 自社でのタイムスタンプ付与は不要 (JIIMAスキャナ保存・電子取引ソフト認証を取得) | 自社でのタイムスタンプ付与は不要 (JIIMAスキャナ保存・電子取引ソフト認証を取得) |
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 100,000円(税抜) | 100,000円(税抜) ライトパック(30名以下)は無償 |
| 月額費用 | 月4,200円〜(税抜・弥生会計 Next セット版) 経費単体のエキスパートプランは月21,000円〜(税抜・30名分) | 月2,480円〜(年払い時) アクティブユーザー従量課金 | 月30,000円〜(税抜) 従業員数・オプションに応じて変動 | 月400円/ユーザー〜(税抜・31名以上) ライトパックは月250円/ユーザー〜。2年目以降半額 |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※料金・認証状況は2026年9月時点の各社公式情報に基づきます。金額は税抜表記を含み、利用人数やオプションによって変動します。最新の詳細は各社の公式情報をご確認ください。
1. 弥生経費 Next(弥生株式会社)

弥生経費 Nextは、会計ソフトを提供する弥生が手がけるクラウド経費精算サービスです。領収書のスマートフォン撮影とAIによる科目予測、交通系ICカードの読み取りによる交通費精算に対応し、経費の申請・承認・精算をスマートフォン1台で完結できます。
電帳法への対応では、スキャナ保存・電子取引の両制度をカバーします。スキャナ保存では自社でタイムスタンプを付与するのではなく、入力期間内の保存を確認でき、訂正・削除の日時をユーザーが変更できない形式で保持する「タイムスタンプ代替機能」を採用しています。
電子取引でも、アップロード時の日時を管理者を含め誰も訂正・削除できない形式で記録する方式です。領収書のアップロード時に電帳法対応の形式かを自動でチェックする機能も備えます。
料金は、弥生シリーズと組み合わせるベーシックプランが年額50,400円(税抜・月額換算4,200円)からです。経費精算単体で使えるエキスパートプランは、年額252,000円(税抜・30ユーザー分、月額換算21,000円)から利用できます。初期費用は0円で、まずは弥生会計 Nextと合わせて経理業務全体を効率化したい企業に向いています。
2. マネーフォワード クラウド経費(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド経費は、領収書のOCR入力から交通費の経路検索、コーポレートカード連携、多段階の承認ワークフローまでをまとめて扱えるクラウド経費精算システムです。会計・請求書・給与などマネーフォワード クラウドの各サービスと連携できる点も特徴です。
電帳法対応では、スキャナ保存ソフト法的要件認証を2017年2月に取得しており、同社は経費精算ソフトとして第一号の認証と説明しています。加えて電子取引ソフト法的要件認証も2021年9月に取得済みで、JIIMA認証を裏づけとした電帳法対応を打ち出しています。実際の対応にあたっては、電帳法対応の申し込みが必要かなど契約条件を公式に確認しておくと安心です。
料金は、クラウド経費を単体契約する場合でひとり法人プランが月額2,480円(年払い時)から、複数名で使うビジネスプランが月額6,480円(年払い時)からです。初期費用は0円で、1か月の無料トライアルも用意されています。当月に経費精算を使った人数分だけ課金するアクティブユーザー課金を採用している点も、利用者数が月によって変動する企業に向いています。
3. 楽楽精算(株式会社ラクス)

楽楽精算は、経費精算・交通費精算・請求書支払処理などを幅広くカバーする経費精算システムです。AI-OCRによる領収書読み取りや交通系ICカード連携、会計ソフトへの自動仕訳連携など、経理の手作業を減らす機能を数多く備えています。
電帳法対応では、JIIMAのスキャナ保存ソフト法的要件認証と電子取引ソフト法的要件認証の両方を取得しています。認証取得済みの製品を使うことで、自社で要件を個別に確認する負担を抑えられます。公式サイトでは、デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査を出典とした電子帳簿保存法対応社数No.1の訴求も掲げています。
料金は、初期費用100,000円(税抜)、月額30,000円(税抜)からで、利用従業員数やオプション内容に応じて変動します。段階別の詳細な金額は公開されておらず、見積もりは問い合わせが前提です。導入前に実際の画面を試せる無料トライアルも用意されています。
4. BIZUTTO経費(アルプス システム インテグレーション株式会社)

BIZUTTO経費は、アルプス システム インテグレーションが提供する経費精算システムで、中小企業でも導入しやすい価格帯を打ち出しているのが特徴です。ペーパーレスとキャッシュレスを軸に、申請から承認・精算までをクラウド上で完結できます。
電帳法対応では、2022年7月にスキャナ保存ソフト法的要件認証と電子取引ソフト法的要件認証の2種のJIIMA認証を取得しています。認証取得済みのため、電帳法対応の個別要件を自社で一つずつ確認する手間を省けます。令和3年改正電帳法に則したスキャナ保存・検索機能を備えている点も明示されています。
料金は、標準プランが初期費用100,000円(税抜)、31名以上で1ユーザー月額400円(税抜)で、2年目以降は月額が半額になる設計です。30名以下向けのライトパックは初期費用が無償、月額250円(税抜)からと、小規模事業者でも始めやすい水準に設定されています。
ここで取り上げた4製品以外にも、電帳法対応をうたう経費精算システムは数多くあります。取得しているJIIMA認証の区分や対応する保存区分から、より多くの製品を横断的に比較したい場合は、以下の記事で32サービスをまとめています。
まとめ
電子帳簿保存法のタイムスタンプは、保存区分によって要否が分かれます。スキャナ保存は原則必要ながら、訂正削除の履歴が残るシステムと期限内保存で不要にでき、電子取引は4つの措置のいずれか(タイムスタンプ以外も可)で対応でき、電子帳簿等保存にはそもそも規定がありません。
自社がどの区分に当たり、使っているシステムが要件を満たすかを確認すれば、タイムスタンプを付けるべきかどうかを判断できます。手作業での保存や非対応ツールの利用が残っているなら、要件対応の経費精算システムへの切り替えが、タイムスタンプ運用を含めた電帳法対応を一度に解決する近道になります。各サービスの詳しい機能や料金は、資料を取り寄せて比較してみてください。
電帳法対応だけでなく、料金や機能、使いやすさも含めて経費精算システム全般から自社に合う一台を選びたい方は、選び方と主要サービスの比較を以下の記事で詳しく解説しています。
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よくある質問(FAQ)
Q. 電子帳簿保存法のタイムスタンプとは何ですか?
A. 電子帳簿保存法のタイムスタンプとは、電子保存した書類がその時刻に存在し、以降改ざんされていないことを証明するために、総務大臣が認定する時刻認証業務によって付与される時刻情報です。スキャナ保存や電子取引で保存するデータの「真実性の確保」の手段のひとつと位置づけられ、その要件は施行規則第2条第6項・第4条第1項が定めています。ただし後述のとおり、すべての保存区分で必須になるわけではありません。
Q. 電子帳簿保存法のタイムスタンプは、うちの会計・経費精算ソフトで足りますか?
A. 電子帳簿保存法のタイムスタンプは、訂正・削除の履歴が残る(または訂正削除ができない)クラウド型の会計・経費精算ソフトを、期限内の保存とあわせて使っていれば、付与しなくても要件を満たせるケースが大半です。自社のソフトが該当するか手早く見分けたいときは、JIIMA(日本文書情報マネジメント協会)の法的要件認証の有無が目安になります(法律上の義務ではなく、実務上の当たりを付ける目印です)。
一方、共有フォルダやローカルPCにファイルを置くだけの運用は、訂正削除の履歴が残らないため、この条件を満たせません。
Q. 電子帳簿保存法のスキャナ保存は、スマートフォンでの撮影でよいですか?
A. スマートフォンでの撮影でも、解像度200dpi以上・赤緑青それぞれ256階調以上(約1,677万色)で読み取れていれば、電子帳簿保存法のスキャナ保存として認められます。施行規則第2条第6項第二号イがこの解像度・階調を求めており、市販の経費精算アプリの撮影機能は、この基準を満たす設定が標準になっているものが大半です。
ただし、画像がぼやけて文字が判読できない場合は基準を満たさないため、撮影時の明るさやピントには注意してください。
Q. 電子帳簿保存法のタイムスタンプ付与や保存が遅れて期限を過ぎたらどうなりますか?
A. 期限を過ぎると、タイムスタンプを不要にする要件(入力期間内の保存)を満たせなくなり、スキャナ保存として認められない可能性があります。入力の期限について、国税庁の一問一答問23は「最長で受領等から2か月とおおむね7営業日以内」と示していますが、この日数は条文そのものの文言ではなく、取扱通達に基づく国税庁の解釈です。
対応システムを導入していても、証憑を放置して期限を過ぎれば要件を満たせません。撮影・アップロードを後回しにしない社内ルールを決めておくことが重要です。
Q. 電子帳簿保存法のスキャナ保存と電子取引は何が違いますか?
A. 電子帳簿保存法では、紙で受け取った書類をスキャン・撮影して電子保存するのが「スキャナ保存」、最初から電子データで授受した請求書・領収書などを保存するのが「電子取引」です。スキャナ保存は施行規則第2条第6項、電子取引は第4条第1項が要件を定めており、電子取引は2024年1月以降、電子データのまま保存することが義務化されています(紙に印刷しての保存は認められません)。
タイムスタンプの要否の考え方も異なり、電子取引では第4条第1項が定める4つの措置(タイムスタンプ付与のほか、訂正削除できないシステムや事務処理規程でも可)のいずれかを満たせばよいとされています。
Q. 電子帳簿保存法では無料のタイムスタンプを使ってもよいですか?
A. 電子帳簿保存法で使えるタイムスタンプは、総務大臣が認定する時刻認証業務によって付与されたものに限られ、無料で公開されている時刻配信サービスなどは要件を満たしません。施行規則第2条第6項第二号ロが「総務大臣が認定する時刻認証業務に係るタイムスタンプ」であることを要件としているためです。
認定を受けた事業者は総務省のサイトで一覧が公開されているので、対応システムや認定事業者のサービスを利用するのが確実です。古い解説記事にある「日本データ通信協会が認定するタイムスタンプ」という表記は旧制度のもので、現在の条文上の根拠は総務大臣の認定に統一されています。
Q. 電子帳簿等保存(電子的に作成した帳簿・書類)でも電子帳簿保存法のタイムスタンプは必要ですか?
A. 電子帳簿等保存では、タイムスタンプは必要ありません。会計ソフトで作成した帳簿や、自社が電子的に発行した請求書の控えなどは、施行規則上タイムスタンプに関する規定がなく、システム関係書類の備付け・見読可能性・検索機能の確保が保存要件の中心です。
最初から電子で作ったデータは、スキャンや外部からの受領を経ていないため、タイムスタンプで原本性を担保する必要がないという整理です。自社が悩んでいる証憑がこの区分に当たるなら、タイムスタンプは考えなくて構いません。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















