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債権回収の流れをわかりやすく解説|督促・内容証明から支払督促・強制執行までの手順と費用・期間

債権回収の流れ|督促から強制執行までの手順・費用・期間のサムネイル画像
督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)のプレビュー

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督促・売掛金回収代行比較表(2026年版)

取引先に商品やサービスを提供したのに、支払期日を過ぎても代金が入金されない。そんな売掛金の未回収は、資金繰りにも取引関係にも影を落とします。

いざ回収に動こうとしても、「まず何をして、応じてもらえなければ次に何をするのか」という一連の順番が見えないと、動き出せません。放置すれば時効で回収できなくなるおそれもあります。

本記事では、債権回収の全体の流れを「督促→内容証明→法的手続き→債務名義の取得→強制執行」という5つのステップの地図として示します。あわせて、各段階で具体的に何をするのか、どれくらいの期間と費用がかかるのか、回収金額や相手の対応によってどう進む道が分かれるのかを解説します。

あわせて、どこまで自分で対応でき、どこから弁護士などの専門家や督促・回収代行サービスに任せるべきかの線引きも整理します。自社の状況に照らして、次の一手を判断する材料にしてください。

債権回収の全体フロー|督促から強制執行までの5ステップ

債権回収とは、取引先に対して持っている代金請求権(売掛金や貸付金などの債権)を、実際に支払ってもらって回収することです。相手が任意に支払わない場合は、柔らかい手段から段階的に強い手段へと進めていくのが基本の流れになります。

ここからは、債権回収の全体像を5つのステップで示します。いま自社がどの段階にいて、応じてもらえなければ次にどこへ進むのかを、まず地図として押さえてください。

債権回収の全体フローを5ステップで示した図。STEP1 督促(電話・メール)、STEP2 内容証明郵便による催告、STEP3 法的手続きの申立て(支払督促・民事調停・少額訴訟・通常訴訟)、STEP4 債務名義の取得、STEP5 強制執行の順に矢印でつながり、柔らかい手段から段階的に強い手段へ進むことを表す。
  1. 督促(電話・メール):支払期日の経過を伝え、入金を求める初動の連絡。まずは事務的なリマインドから始めます。
  2. 内容証明郵便による催告:「いつ・誰が・どんな内容を請求したか」を日本郵便が証明する書面で、正式に支払いを求めます。後の法的手続きの布石であり、時効を一時的に止める効果もあります。
  3. 法的手続きの申立て:任意の支払いに応じない場合、支払督促・民事調停・少額訴訟・通常訴訟のいずれかを、金額や相手の対応に応じて選びます。
  4. 債務名義の取得:確定判決や仮執行宣言付きの支払督促、和解・調停調書、公正証書(執行証書)など、強制執行の前提となる公的な文書を得ます。
  5. 強制執行:債務名義にもとづき、裁判所を通じて相手の預金・給与・不動産・動産などを差し押さえ、そこから回収します。

実際には、途中の段階で相手が支払いに応じれば、そこで回収は完了します。すべてのケースが強制執行まで進むわけではなく、多くは督促や内容証明、支払督促の段階で解決を目指すことになります。次章から、各ステップで具体的に何をするのかを見ていきましょう。

各段階で具体的に何をするか

ここからは、全体フローの5ステップと同じ順番で、それぞれの段階で実際に行うことを実務の粒度で解説します。所要期間や費用は次章の一覧表にまとめているため、本章では「何をするか」に絞って整理します。

① 電話・メールによる督促(初動)

最初の一手は、電話やメールでの支払いのリマインドです。入金がない理由が、単純な処理漏れや請求書の見落としであることも少なくありません。まずは事実確認を兼ねて、支払期日が過ぎている旨と入金予定を丁寧に問い合わせます。

この段階では、いつ・誰に・どのような連絡をし、相手がどう回答したかを記録に残すことが重要です。やり取りの履歴は、後の内容証明や法的手続きで「支払いを求めてきた経緯」を示す材料になります。連絡しても応答がない、支払いの約束が守られないという場合は、次の段階へ進みます。

あわせて、契約書・発注書・請求書・納品書といった取引の存在と金額を示す書類は、後の法的手続きで請求の根拠になります。督促と並行して、これらの書類ややり取りの記録をこの段階からそろえておくと、次の一手にスムーズに進めます。

自力の督促で越えてはいけない一線

自社で督促を行う場合でも、取り立ての方法には節度が求められます。深夜・早朝の執拗な電話、相手の勤務先や自宅へ押しかける、大声や威圧的な言動で支払いを迫るといった行為は、状況によっては脅迫や強要などの違法行為と評価されるおそれがあります。

回収を急ぐあまり行き過ぎた督促をすると、かえって自社が責任を問われかねません。督促はあくまで冷静・事務的に行い、相手が応じない場合は、実力行使ではなく内容証明郵便や法的手続きという正規の手段に切り替えるのが適切です。

② 内容証明郵便で催告する

電話やメールで応じてもらえない場合は、内容証明郵便で正式に支払いを求めます。内容証明郵便は、「いつ・誰が・誰に・どのような内容の文書を送ったか」を日本郵便が証明する制度で、通常は配達証明を付けて、相手に届いた事実まで残るようにします。

書面には、請求する債権の内容(取引の内容・金額)、支払期限、期限までに支払われない場合は法的手続きを検討する旨などを記載します。相手に「これ以上放置すれば裁判に進む」という本気度を伝えると同時に、支払いを求めた事実を証拠として固める狙いがあります。

内容証明による催告には、時効の完成を一時的に止める効果もあります(民法150条の「催告による時効の完成猶予」)。ただし止められるのは6か月間だけで、時効そのものがリセットされるわけではない点に注意が必要です。詳しくは後半の時効の章で解説します。

③ 法的手続きを申し立てる(支払督促・民事調停・少額訴訟・通常訴訟)

任意の支払いに応じない場合は、裁判所を通じた法的手続きに進みます。手続きは一つではなく、回収金額や相手が争ってくるかどうかに応じて、支払督促・民事調停・少額訴訟・通常訴訟から選びます。ここでは性質の近いものを2つのまとまりに分けて整理します。

支払督促・民事調停

支払督促は、簡易裁判所の裁判所書記官が、債権者の申立てにもとづいて相手に支払いを命じる手続きです(民事訴訟法382条)。書類審査だけで進み、裁判所に出向く必要が原則ないため、費用と手間を抑えて始められます。

相手が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てなければ、裁判所は債権者の申立てにより仮執行宣言を付し、これにもとづいて強制執行を申し立てられます。一方、相手が異議を申し立てると、請求額に応じて通常の民事訴訟に移行します。争いになりそうな相手には向かない反面、支払能力はあるのに支払わない相手には有効な手段です。

民事調停は、裁判所の調停委員を交えて話し合いで解決を図る手続きです。相手との関係を今後も続けたい場合や、分割払いなど柔軟な解決を目指したい場合に選択肢になります。話し合いがまとまり調停調書が作成されると、確定判決と同じ効力を持ちます。

出典・参考資料(2件)

少額訴訟・通常訴訟

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に使える簡易な訴訟手続きで、原則として1回の審理で判決が出ます(民事訴訟法368条)。手続きが早く、初めてでも取り組みやすい一方、同じ簡易裁判所で年に10回までという利用回数の制限があります。

請求額が60万円を超える場合や、事実関係に争いがあって本格的に立証が必要な場合は、通常訴訟で決着をつけます。判決が確定すれば強制執行の前提となる債務名義になりますが、その分、準備や審理に時間がかかります。金額と争いの度合いを見て、どの手続きが自社に合うかを見極めることになります。

出典・参考資料(2件)

④ 債務名義を取得する

強制執行に進むには、「債務名義」と呼ばれる公的な文書が必要です。債務名義は、その債権について強制執行してよいことを国が認めた文書で、民事執行法22条に列挙されています。代表的なものは、確定判決、仮執行宣言を付した判決、仮執行宣言を付した支払督促、和解調書・調停調書、そして強制執行を認める旨を記載した公正証書(執行証書)です。

前段階の手続きは、この債務名義を得るための道筋でもあります。支払督促で仮執行宣言を得る、少額訴訟や通常訴訟で判決を得る、調停で調停調書を作る——いずれも、次の強制執行に進むための「切符」を手に入れる工程だと捉えると、全体の流れが見通しやすくなります。

取引開始時に「強制執行認諾文言付きの公正証書」を作成しておくと、支払いが滞ったときに訴訟を経ずに強制執行へ進める場合があります。すでに債務名義がある状態と、これから取得する状態とでは進む道が変わるため、この点は分かれ道の章でも改めて触れます。

出典・参考資料(1件)

⑤ 強制執行で回収する(債権・動産・不動産の差押え)

債務名義を得ても相手が支払わない場合は、裁判所を通じて相手の財産を差し押さえ、そこから回収する強制執行に進みます。強制執行は、差し押さえる財産の種類によって大きく3つに分かれます。

  • 債権執行:相手の預金や給与、取引先への売掛金などの「債権」を差し押さえ、勤務先や銀行などから直接支払いを受けます。回収の確実性が高く、まず検討されることの多い方法です。
  • 動産執行:執行官が相手の占有する現金・商品・機械などの「動産」を差し押さえ、売却して換価します。対象の有無や価値を事前に見極める必要があります。
  • 不動産執行(強制競売):相手が所有する土地・建物を差し押さえて競売にかけ、売却代金から回収します。高額な回収が期待できる一方、予納金が高額で手続きも長期化します。

どの財産を差し押さえるかは、相手のどこに、どれだけの財産があるかによって決まります。差し押さえ先が分からなければ回収は難しくなるため、取引開始時から相手の取引銀行や資産の情報を把握しておくことが、いざというときの回収力を左右します。

いま相手の財産や口座が分からない場合でも、打つ手はあります。債務名義を得たうえで裁判所に「財産開示手続」を申し立てると、債務者本人に財産の状況を陳述させることができます。さらに「第三者からの情報取得手続」を使えば、金融機関から預貯金口座の情報を取得でき、これをもとに預金の差押えにつなげられます(いずれも民事執行法にもとづく手続き)。

ただし、勤務先(給与)の情報の取得は、養育費などの扶養義務に係る請求権や、生命・身体の侵害による損害賠償請求権を持つ債権者に限られ、一般の売掛金の回収では利用できません。売掛金の場合は、預貯金や不動産など財産そのものの差押えを軸に考えることになります。

出典・参考資料(4件)

各段階の所要期間と費用の目安【一覧表】

債権回収で気になるのが、「どの段階で、どれくらいの期間と費用がかかるのか」です。ここでは各段階の目安を一覧にまとめます。費用は、裁判所や日本郵便が公表している金額にもとづいています。

段階主な費用の目安期間の目安(実務上)
電話・メール督促自社対応なら実質0円(社内工数のみ)数日〜数週間
内容証明郵便加算料金として文書料480円(謄本1枚。2枚目以降は290円加算)+一般書留480円+配達証明350円。ほかに基本運賃作成〜到達で数日〜1週間程度
支払督促申立手数料(例:請求60万円で書面申立て5,700円/電子申立て5,500円)。郵便費用は申立手数料に一本化申立てから、相手が異議を出さなければ数週間〜1か月程度
民事調停申立手数料(請求額に応じて決まる)。事案により連絡用の郵便切手が必要な場合がある解決まで1〜数か月程度(話し合いの回数による)
少額訴訟・通常訴訟訴え提起の申立手数料(例:請求60万円で書面8,500円/電子7,400円、100万円で12,500円/11,400円、140万円で14,500円/13,400円)。郵便費用は申立手数料に一本化少額訴訟は原則1回の審理。通常訴訟は数か月〜1年程度
強制執行(債権執行)申立手数料4,000円+郵便料(裁判所ごとに異なる)差押命令の発令まで数週間程度
強制執行(動産執行)申立手数料は不要(執行官事件)。執行官への予納金(裁判所ごとに異なる。残額は返還)が必要差押えの実施まで数週間程度
強制執行(不動産競売)申立手数料4,000円(請求債権1個)+予納金(裁判所ごとの定額。東京地方裁判所では請求債権額に応じ80万〜200万円)+差押登記の登録免許税(確定請求債権額の0.4%)申立てから配当まで半年以上に及ぶことが多い

費用について、いくつか押さえておきたい前提があります。まず、裁判手続きのデジタル化にともなう改正民事訴訟法が2026年5月21日に施行され、支払督促・少額訴訟・通常訴訟の申立手数料は「書面申立て」と「電子申立て」で金額が異なる二本立てになり、従来は別に納めていた郵便費用(予納郵券)が申立手数料に一本化されました。上記の金額はこの現行制度にもとづくものです。

強制執行のうち動産執行では、収入印紙による申立手数料は不要で、執行官への予納金(裁判所ごとに異なる)が必要です。予納金は手続きの費用に充てられ、残額があれば返還されます。

期間欄は、法律で決まっている待機期間(支払督促に対する異議申立ての2週間など)を除き、事件全体が終わるまでの日数を公的機関が数値で公表しているわけではありません。あくまで実務上の目安であり、相手の対応や裁判所の混み具合によって変動する点にご注意ください。

出典・参考資料(4件)

進む道は何で変わるか|金額・債務名義の有無による分かれ道

債権回収の進み方は、一本道ではありません。回収する金額、相手が支払いを争うかどうか、すでに債務名義があるかどうかによって、選ぶべき手続きが変わります。自社のケースがどこに当てはまるかを確認してください。

状況選択肢の目安
相手に支払う意思がありそう(連絡は取れる)まずは電話・メール督促、応じなければ内容証明郵便で催告
支払能力はあるのに支払わない・争う姿勢は薄い支払督促(書類審査で進み、異議がなければ強制執行へ)
請求額が60万円以下少額訴訟(原則1回の審理で判決)も選択肢
請求額が140万円以下(簡易裁判所の案件)認定を受けた司法書士に簡易裁判所での代理を依頼できる
請求額が60万円超、または事実関係に争いがある通常訴訟で判決を得る(争いが大きいほど通常訴訟)
関係を継続したい・分割など柔軟に解決したい民事調停で話し合い、調停調書を作成
すでに債務名義がある(判決・執行証書など)強制執行を申し立て、相手の財産を差し押さえて回収
債務名義がないまず支払督促・訴訟・調停などで債務名義を取得してから強制執行へ

金額の基準は、誰に手続きを任せられるかにも関わります。請求額が60万円以下であれば少額訴訟が使え、140万円以下であれば、後述するように認定を受けた司法書士に簡易裁判所での代理を依頼できます。金額が大きい、争いが複雑といったケースでは、弁護士への依頼が現実的な選択肢になります。

最大の分かれ道は、債務名義があるかどうかです。強制執行は債務名義がなければ行えません。まだ判決や公正証書がない場合は、いきなり差押えはできず、支払督促や訴訟などで債務名義を得る工程が先に必要になります。

放置は禁物|消滅時効(原則5年)と時効を止める方法

債権回収で最も避けたいのが、時効による権利の消滅です。売掛金などの債権は、一定期間行使しないと時効によって消滅し、法的に請求できなくなります。現在の民法では、消滅時効は次のように定められています。

(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

出典:民法 第166条|e-Gov法令検索

売掛金や請負代金などの取引債権は、通常は支払期日を迎えれば権利を行使できると分かるため、原則として支払期日から5年で時効にかかります。2020年4月施行の改正前にあった職業別の短期消滅時効(1〜3年)は廃止されているため、古い情報に引きずられないよう注意しましょう。

時効の完成が近づいている場合や、すでに支払いが滞っている場合は、時効の進行を止める手を打つ必要があります。時効を止める方法は、大きく「完成猶予」と「更新」の2つに分かれます。

時効の「完成猶予」(催告・裁判上の請求など)

完成猶予は、一定期間だけ時効の完成を先延ばしにする仕組みです。代表的なのが、内容証明郵便による催告です。

(催告による時効の完成猶予)
第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

出典:民法 第150条|e-Gov法令検索

催告によって止められるのは6か月間だけで、その間に訴訟などの次の手を打たなければ、時効は再び進行します。また、催告を繰り返しても猶予期間は延長されません(民法150条2項)。内容証明はあくまで「時間を稼ぐ」手段であり、根本的な解決には裁判上の請求が必要です。

裁判上の請求・支払督促・民事調停などを行うと、その手続きが続いている間は時効が完成せず、権利が確定すれば次に述べる「更新」につながります(民法147条)。時効が迫っているなら、内容証明で6か月の猶予を確保しつつ、その間に法的手続きへ進むのが定石です。

時効の「更新」(承認・確定判決など)

更新は、それまで進行していた時効の期間がリセットされ、新たにゼロから進行し直す仕組みです。確定判決などで権利が確定したときのほか、相手が債務を「承認」したときにも時効は更新されます。

民法152条は「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」と定めています。実務では、相手からの一部弁済、支払猶予の申入れ、残高確認書への署名などが「承認」に当たり得ます。相手に一部でも支払ってもらう、あるいは債務を認める書面を取り交わすことは、回収に向けた一歩であると同時に、時効対策としても有効です。

出典・参考資料(2件)
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自分でやるか、外部に頼むか|督促・回収代行サービスの活用

ここまでの流れは、自社だけで進めることも、外部の専門家やサービスに任せることもできます。どこまで自力で対応し、どこから外部に頼むかは、回収金額・手間・相手の態度を踏まえて判断します。まずは線引きの考え方を整理し、そのうえで督促や回収を効率化するサービスを紹介します。

自力でできる範囲と、専門家に任せる範囲の線引き

電話・メールでの督促や内容証明郵便の作成・送付、支払督促や少額訴訟の申立ては、自社でも対応できる範囲です。少額で相手も支払意思がありそうなケースなら、まずは自力で進める方が費用を抑えられます。一方で、金額が大きい、相手が争ってくる、相手の財産の調査や強制執行まで見据える必要がある、といった場合は専門家の力が現実的になります。

他人の債権の取立てを、報酬を得る目的で代理・代行することは、法律に別段の定めがある場合を除き、弁護士(弁護士法人)にのみ認められています(弁護士法72条の非弁行為の禁止)。この「別段の定め」に当たるのが、認定を受けた司法書士と、サービサー(債権回収会社)です。

  • 弁護士:金額の上限なく、交渉から訴訟、強制執行までを代理できます。争いが大きい・高額なケースの中心的な依頼先です。
  • 認定司法書士:法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所で扱える請求額140万円以下の案件について代理できます(司法書士法3条、裁判所法33条1項1号)。ただし簡易裁判所の手続きに限られ、強制執行の代理は原則できないなどの範囲の制約があります。
  • サービサー(債権回収会社):法務大臣の許可を受けた株式会社ですが、取り扱えるのは金融機関の貸付債権やリース料・クレジット債権などの「特定金銭債権」に限られます。一般の商取引で生じた売掛金は原則として対象外で、サービサーには委託できない点に注意が必要です。

このように、一般の売掛金の回収そのものを外部に代理・代行してもらう場合、依頼できるのは基本的に弁護士(140万円以下の簡裁案件なら認定司法書士も)です。後述する督促・回収代行サービスは、この「回収の法的代理」ではなく、督促の連絡業務そのものを効率化・自動化するもので、役割が異なります。

出典・参考資料(4件)

弁護士に依頼する場合の費用は、依頼時に支払う着手金と、回収できた額に応じて支払う成功報酬で構成されるのが一般的です。金額は事務所や回収額によって幅があり、回収額が小さいと報酬が回収額を上回る「費用倒れ」になることもあります。

では、弁護士やサービサー、回収代行サービスに頼むと費用は具体的にいくらかかるのか。依頼先ごとの手数料の相場と、費用倒れを避けるための目安は、次の記事で詳しく解説しています。

回収代行とファクタリング(資金化)の違い

未回収の資金をなんとかしたいとき、督促・回収を「代行してもらう」ことと、売掛債権を「早期に資金化する」ことは、目的も仕組みも異なります。混同すると選択を誤るため、違いを押さえておきましょう。

督促・回収代行は、相手への支払い案内や督促の連絡業務を、電話・SMS・メールなどの手段で効率化・自動化する仕組みです。回収の実務負担を減らすことが狙いで、支払うのはあくまで取引先本人です。

一方、ファクタリングは、保有する売掛債権をファクタリング会社に売却して、支払期日前に現金化する手段です。すでに支払いが滞って回収が難しくなった債権を対象にするものではなく、資金繰りの前倒しが主目的である点で、回収そのものとは切り分けて考える必要があります。

回収が難しくなった債権向けの手段ではありませんが、支払期日前の売掛金を早めに資金化して資金繰りを整えたい場合は、ファクタリングの仕組みや手数料の相場、会社選びのポイントを次の記事にまとめています。

ここで紹介するのは、督促や回収の連絡業務を効率化・自動化するツールと、そもそもの未回収を防ぐ請求代行・売掛保証のサービスです。日常的に多くの督促が発生する事業者や、未回収を予防したい場合に向いています。目の前の1件の延滞をこれから法的に回収したい段階では、前述の手続き(督促・内容証明・法的手続き)や弁護士への依頼が中心になります。

より多くのサービスを比較したい場合や、依頼先タイプ別の選び方・費用相場まで一覧で見たい場合は、次の記事も参考になります。

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サービス名DHKクラウドオートコールオーロラSMS by メディアSMS請求まるなげロボ債権回収ロボLecto
主な役割自動架電(IVR)による督促SMSによる督促連絡請求〜回収の代行+売掛保証多チャネル督促の自動化督促〜回収〜消込の一元管理
督促チャネルオートコール(IVR)・SMSSMSメール・電話・弁護士法人メール・SMS
オートコール・郵送
メール・SMS
IVR・書面
回収業務の代行××●××
売掛金保証××●適格・与信通過債権を100%保証××
初期費用50,000円〜0円要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
月額費用50,000円〜
(月1,000件の応答を含む)
0円(基本料)
+送信成功分の従量
月額利用料+手数料1.0%〜要問い合わせ要問い合わせ
(基本料+督促数の従量)
詳細情報公式資料を見る公式資料を見る公式資料を見るオンライン相談を予約サービス詳細を見る

※比較表および各サービスの料金・機能は2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。

DHKクラウドオートコール(株式会社電話放送局)

DHKクラウドオートコールの公式サイトのスクリーンショット

DHKクラウドオートコールは、株式会社電話放送局が提供する、自動音声(IVR)で電話をかけるアウトバウンド型の自動架電サービスです。入金案内や督促の電話を自動音声で一斉に発信でき、担当者が1件ずつ架電する手間を減らせます。

課金は「応答課金」を採用しており、たとえば100件架電して30件が応答した場合は30件分の課金になります。料金プランの目安は月額50,000円からで、月額に月間1,000件までの応答が含まれ、1,001件目からは固定電話21円・携帯電話32円(いずれも1件あたり)の従量課金が発生します。

Web管理画面で音声やコールフローを設定でき、どこで通話が切られたかといったレポートで運用を改善できる点も特徴です。担当者が1件ずつ架電する手間を減らしながら、督促の到達状況を数値で把握できます。

督促を自動化するとき、提供元は入金案内という業務の特性をどう捉えているのか。同社へのインタビューでは、次のように語られています。

前田氏
株式会社電話放送局 営業部 営業推進課 課長
前田氏
独自インタビューより

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。だからこそ、まずは“自動化しても顧客体験を損ねにくい設計”をすることが大切だと考えています。
オートコールは使い方を間違えると社会問題になりかねません。だから当社としては、用途の相性を見極めて、やめた方がいいケースは止める。その線引きも含めて一緒に考えています。

オーロラSMS by メディアSMS(株式会社メディア4u)

オーロラSMS by メディアSMSの公式サイトのスクリーンショット

携帯電話番号あてに直接届くSMSは、電話やメールに比べて開封されやすく、支払いのリマインドや督促の初動に向いた連絡手段です。オーロラSMS by メディアSMSは、株式会社メディア4uが提供する法人向けのSMS配信サービスで、Web管理画面からの一斉送信やAPI連携による自動送信に対応します。

初期費用・月額基本料は0円で、送信に成功した分のみが課金される従量制です(送信単価は要問い合わせ)。最大2か月の無料トライアルが用意されており、督促のSMS運用を小さく試せます。受信にも対応しているため、送信後に相手から支払日の連絡を受け取るといった双方向のやり取りもできます。

請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

請求まるなげロボの公式サイトのスクリーンショット

未回収が起きてから動くのではなく、そもそも回収不能を防ぎたいというニーズに応えるのが請求まるなげロボです。株式会社ROBOT PAYMENTが提供する、企業間(BtoB)取引の請求業務に特化したアウトソーシングサービスで、与信審査・請求書の発行と送付・代金回収・入金消込・督促までをまとめて代行します。

特徴は、同社の審査で適格債権と判断され、かつ与信を通過した債権について、売掛金を100%保証する点です。保証対象の債権は、取引先からの実際の入金を待たずに支払われる運用のため、未回収リスクを移転しながら請求業務の手間も減らせます。

督促はメール・電話に加え、弁護士法人による対応も含まれます。料金は月額利用料に手数料(公式FAQでは1.0%〜と記載)を加える体系で、具体額は取扱内容に応じた個別見積もりです。

ただし、与信を通過しなかった取引先は保証の対象外となり、その分は引き続き自社での与信管理が必要になる点は理解しておきましょう。

債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボの公式サイトのスクリーンショット

債権回収ロボは、未入金の督促・回収業務を自動化するサービスです。メール・SMS・オートコール(自動音声)に加え、2026年9月からは郵送を含めた複数チャネルを組み合わせ、督促のシナリオを自動で実行します。督促の連絡を手作業で行う負担を減らし、いつ・誰に・どの手段で督促したかを履歴として一元管理できます。

債務者の属性や債権額に応じて督促シナリオを設計でき、支払い履歴などにもとづいて連絡のタイミングを最適化する仕組みを備えます。同社の請求管理サービスや外部の販売管理・請求管理システムとAPIで連携し、未収債権のデータをもとに督促を自動化するオプションも用意されています。料金は要見積もりのため、導入を検討する際は個別に問い合わせが必要です。

Lecto(Lecto株式会社)

Lectoの公式サイトのスクリーンショット

債権管理から督促・回収、入金消込までを一つの基盤に集約したのが、Lecto株式会社の「Lecto」です。メール・SMS・IVR(自動音声)・書面の複数チャネルによる督促の自動送信に加え、入金管理・消込・回収状況のダッシュボード分析までを一元管理できます。督促から入金確認までの一連のワークフローをまとめて自動化したい場合に適しています。

公式サイトでは、対象業種としてローン・クレジット・後払い・サブスクリプション・レンタル・エネルギーなど、継続課金や分割払いのビジネスモデルを挙げています。多数の顧客に対して繰り返し発生する督促を、効率よくさばきたい事業者に向いたサービスといえます。AIで顧客の状況を評価し、通知の頻度や手段の最適化を支援する機能も追加されています。料金は使用機能や取扱データ量に応じた個別見積もりです。

まとめ

債権回収は、電話・メールでの督促から始まり、内容証明郵便による催告、支払督促や訴訟などの法的手続き、債務名義の取得、そして強制執行へと、柔らかい手段から段階的に進めるのが基本の流れです。多くのケースは途中の段階で解決を目指せますが、いざというときのために全体の地図を押さえておくことが、迷わず動くための第一歩になります。

回収金額や相手の対応、債務名義の有無によって進む道は変わり、費用や期間も段階ごとに異なります。そして何より、放置すれば時効で権利そのものを失いかねません。まずは早めに督促と内容証明で時効の進行を止め、金額と状況に応じて自力対応か専門家への依頼かを選び、督促・回収の実務は必要に応じてサービスの活用で効率化していく。この組み立てで、あわてず着実に回収を進めてください。

自社に合う督促・回収サービスを探すなら、MCB FinTechカタログで関連サービスの資料をまとめて請求し、対応チャネルや保証の有無を比較できます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 債権回収の時効は何年ですか?

A. 売掛金や請負代金などの取引債権は、原則として支払期日から5年で時効により消滅します(民法166条)。正確には「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い方で時効が完成しますが、取引債権は通常、支払期日に権利を行使できると分かるため5年が目安になります。

2020年4月施行の改正前にあった職業別の短期消滅時効(1〜3年)は廃止されているため、古い基準に引きずられないよう注意してください。時効が迫っている場合は、内容証明郵便による催告で6か月間の完成猶予を得つつ、その間に裁判上の請求へ進むのが定石です。

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Q. 債務名義とは何ですか?

A. 債務名義とは、その債権について強制執行してよいことを国が公的に認めた文書のことです(民事執行法22条)。確定判決、仮執行宣言を付した判決や支払督促、和解調書・調停調書、強制執行を認める旨を記載した公正証書(執行証書)などが該当します。

強制執行は債務名義がなければ行えないため、まだ判決や公正証書がない場合は、支払督促や訴訟などで先に債務名義を取得する工程が必要になります。逆に、取引開始時に強制執行認諾文言付きの公正証書を作っておけば、訴訟を経ずに強制執行へ進める場合があります。

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Q. 内容証明郵便を送るだけで債権は回収できますか?

A. 内容証明郵便そのものには、相手に支払いを強制する法的な力はありません。内容証明は「いつ・誰が・どのような請求をしたか」を日本郵便が証明する書面で、支払いを求めた事実を証拠として残し、相手に「放置すれば裁判に進む」という本気度を伝える手段です。

加えて、催告として6か月間だけ時効の完成を止める効果があります(民法150条)。ただし猶予は6か月限りで、その間に支払督促や訴訟などの法的手続きに進まなければ時効は再び進行します。相手が任意に応じない場合は、内容証明で時間を確保しつつ、次の法的手続きへ移るのが実務的です。

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Q. 債権回収の支払督促と少額訴訟は何が違いますか?

A. 支払督促は書類審査だけで進み裁判所に出向く必要がない手続き、少額訴訟は60万円以下の請求について原則1回の審理で判決を得る手続きです。

支払督促は簡易裁判所の書記官が相手に支払いを命じるもので(民事訴訟法382条)、相手が2週間以内に異議を出さなければ仮執行宣言を経て強制執行に進めますが、異議が出ると通常訴訟に移行します。

一方、少額訴訟は60万円以下の金銭請求に限られ(同法368条)、その場で審理して判決が出る反面、同じ簡易裁判所で年10回までという利用回数の制限があります。相手が争ってこなさそうなら支払督促、少額で判決まで一気に進めたいなら少額訴訟、というのが使い分けの目安です。

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Q. 債権回収を弁護士や司法書士に依頼すべきなのはどんなときですか?

A. 金額が大きい、相手が支払いを争ってくる、財産調査や強制執行まで見据える必要がある場合は、弁護士への依頼が現実的です。少額で相手にも支払意思がありそうなケースなら、電話・メール督促や内容証明、支払督促・少額訴訟の申立ては自社でも対応でき、費用を抑えられます。

請求額が140万円以下の簡易裁判所の案件であれば、法務大臣の認定を受けた司法書士にも代理を依頼できます(ただし強制執行の代理は原則できないなどの範囲の制約があります)。他人の債権の取立てを報酬目的で代理・代行できるのは、原則として弁護士(140万円以下の簡裁案件なら認定司法書士も)に限られる点も押さえておきましょう。

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Q. 債権回収にかかる費用は総額でどれくらいですか?

A. 裁判所や郵便にかかる実費は各手続きで数百円〜数千円が中心で、外部の専門家に頼む場合はこれに弁護士・司法書士の報酬が加わります。

たとえば内容証明郵便は加算料金の合計で1,300円程度+基本運賃、支払督促の申立手数料は請求60万円で5,500〜5,700円、少額訴訟・通常訴訟の申立手数料は同60万円で7,400〜8,500円が目安です(2026年5月21日施行の改正民事訴訟法で郵便費用は申立手数料に一本化されました)。

強制執行は債権執行の申立手数料が4,000円程度、不動産競売では予納金が数十万〜200万円規模になることもあります。弁護士に依頼する場合の着手金・成功報酬は事務所や回収額によって異なるため、依頼前に見積もりを確認してください。総額は手続きの段階と外注の有無で大きく変わるため、上記はあくまで実務上の目安です。

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Q. 売掛金の回収を債権回収会社(サービサー)に任せられますか?

A. 一般の商取引で生じた売掛金は、原則として債権回収会社(サービサー)には委託できません。サービサーは法務大臣の許可を受けた株式会社ですが、取り扱えるのは金融機関の貸付債権やリース料・クレジット債権などの「特定金銭債権」に限られ、物品販売や役務提供の代金である一般の売掛金は対象外です(債権管理回収業に関する特別措置法2条)。

一般の売掛金の回収そのものを外部に代理・代行してもらう場合は、弁護士(140万円以下の簡裁案件なら認定司法書士も)が依頼先になります。本文で紹介した督促・回収代行サービスは、回収の法的代理ではなく督促の連絡業務そのものを効率化・自動化するもので、役割が異なります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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