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【2026年1月施行】取適法に対応した契約書の作り方|記載事項・NG条項の修正例・点検チェックリスト

取適法に対応した契約書の作り方のサムネイル画像
契約書レビュー比較表(2026年版)のプレビュー

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契約書レビュー比較表(2026年版)

2026年1月に施行された取適法(中小受託取引適正化法、旧下請法)に合わせて、自社の業務委託契約書や発注書を見直すよう指示されたものの、具体的にどこをどう直せばよいか手が止まっていませんか。従業員数の基準が新たに加わったことで、これまで下請法の対象外だった企業も規制の対象になる可能性があり、発注側・受注側のどちらにとっても契約書の点検が必要になっています。

この記事では、取適法に対応するために契約書・発注書(発注時に明示する4条書面)へ入れるべき必須記載事項と、違反になりやすい条項の改定前・改定後の対比を前半にまとめます。あわせて、旧下請法から変わった改定ポイント、自社が規制対象になるかの判定、支払・検収のルール、電子化の扱い、点検用のチェックリストまで、公正取引委員会の公式資料と改正法の条文にもとづいて整理します。

まずは、自社のひな型に足りない記載事項と、直すべき条項から確認していきましょう。全取引先ぶんの契約書をどう効率よく巻き直すかという実務の進め方も、記事の後半で取り上げます。

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取適法に対応した契約書に書くべき必須記載事項(4条書面)

取適法では、委託事業者(発注する側)が中小受託事業者(受注する側)へ製造委託等をした場合、直ちに給付の内容や代金の額などを明示した書面を交付しなければなりません。これは旧下請法の「3条書面」にあたるもので、取適法では根拠条文が第4条になったため「4条書面」と呼ばれます。発注書や注文請書がこの役割を担うことが多く、継続取引では基本契約書とあわせて整えることになります。

公正取引委員会・中小企業庁の公式テキストは、4条書面で明示すべき事項を①〜⑫の12項目として示しています。①〜⑤・⑦・⑧は常に記載する中核項目で、⑥は検査を行う場合、⑨〜⑫は一括決済・電子記録債権・有償支給・未定事項がある場合に加わる条件付きの項目です。自社のひな型に抜けがないか、次の表で確認してください。

明示事項(4条書面)いつ必要か記載のポイント
①委託事業者・中小受託事業者の名称常に番号・記号等による明示も可
②製造委託等をした日常に発注日を明記する
③給付の内容常に役務提供・特定運送委託の場合は提供される役務の内容
④給付を受領する期日(役務は提供を受ける期日・期間)常に納期・役務提供期間を特定する
⑤給付を受領する場所(役務は提供を受ける場所)常に納入・提供の場所を記載
⑥検査を完了する期日検査する場合検査を行うときはその完了期日を記載
⑦代金の額常に具体額または算定方法を示す
⑧代金の支払期日常に受領日から60日以内で定める(後述)
⑨一括決済方式で支払う場合の金融機関名等該当する場合決済日などの条件を記載
⑩電子記録債権で支払う場合の額・満期日等該当する場合電子記録債権の額・満期日を記載
⑪原材料等を有償支給する場合の品名・数量・対価等該当する場合対価・引渡期日・決済期日・決済方法まで
⑫未定事項がある場合の理由と内容を定める予定期日該当する場合①〜⑪のうち正当な理由で定められない事項があるときに記載

解説記事によっては必須記載事項を「11項目」とする場合もありますが、これは未定事項(⑫)を1項目として数えるかどうかの違いです。公正取引委員会の公式テキストは①〜⑫の12項目として整理しています(うち⑨〜⑫は該当する場合の項目)。

記載事項をゼロから組み立てるのが不安な場合は、公正取引委員会が示す契約書のひな型が参考になります。このひな型は取適法とフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の双方に対応する共用の様式で、発注内容・納期・報酬の額・支払期日・支払方法などの記載欄が、上記の明示事項に対応しています。自社の発注書・契約書に不足している欄を補うかたちで活用できます。

出典・参考資料(3件)

違反になりやすい条項と修正例(改定前→改定後)

取適法は、委託事業者に対して11類型の禁止行為を定めています(第5条)。既存の契約書・発注書の条項が、知らないうちにこれらの禁止行為を前提にしていることがあります。ここでは、自社のひな型で違反になりやすい条項を取り上げ、取適法に沿った文言への直し方を改定前→改定後の対比で示します。

以下の修正文例は一般的な例であり、個別の取引に対する法的助言ではありません。自社の取引内容に合わせて調整してください。

ここでの着眼点は、受注側(中小受託事業者)にも役立ちます。発注側から受け取った契約書・発注書に、受領から60日を超える支払期日や手形払い、一方的な代金決定の条項がないかを同じ観点で確認し、見直しを求める材料として使えます。

支払期日が受領から60日を超えている条項

「検収完了後に支払う」「月末締め翌々月末払い」といった条項は、実際の支払いが給付の受領から60日を超えてしまうことがあります。取適法では、支払期日は検査をするかどうかを問わず受領日から起算して60日以内に定めなければなりません(第3条、支払遅延の禁止=第5条第1項第2号)。

改定前(違反になりやすい)改定後(取適法に沿う)
代金は、検収完了の翌月末日に支払う。代金は、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に定めた支払期日に支払う。

手形払いを前提にした支払条項

取適法では、2026年(令和8年)1月1日の施行日以後に発注する製造委託等の代金について、手形による支払いが原則として禁止されました(第5条第1項第2号)。電子記録債権や一括決済方式であっても、支払期日までに代金に相当する額の金銭と引き換えることが困難なものは使えません。手形払いを前提にした条項は、現金振込など期日までに現金化できる支払方法へ切り替えることが求められます。

改定前(違反になりやすい)改定後(取適法に沿う)
代金は、支払期日に約束手形を交付して支払う。代金は、支払期日までに、委託事業者の指定する中小受託事業者の口座へ振り込む方法により支払う。

手形払いの禁止については「2027年3月末まで猶予される」という情報もありますが、改正法の本則にも附則にも手形に関する経過措置は設けられていません。施行日である2026年1月1日以後の発注から原則禁止である点に注意してください。

代金の減額・買いたたきにつながる条項

「協議のうえ代金を減額できる」「歩引き」といった条項や、類似品・市価に比べて著しく低い代金を一方的に定める運用は、代金の減額の禁止(第5条第1項第3号)・買いたたきの禁止(同第5号)に触れるおそれがあります。合意があっても、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がない減額は認められません。

改定前(違反になりやすい)改定後(取適法に沿う)
委託事業者は、協議のうえ、代金から一定額を控除できる。代金の減額は行わない。中小受託事業者の責めに帰すべき理由(納品物の瑕疵など)がある場合に限り、その理由と減額の範囲を明示したうえで対応する。

価格協議に応じない前提の一方的な代金決定

取適法では、コスト上昇などが生じた場合に中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じない、必要な説明をしないといった一方的な代金決定が新たに禁止されました(協議に応じない一方的な代金決定の禁止=第5条第2項第4号)。「代金は委託事業者が決定し、変更しない」といった条項は、協議の余地を残す形に改める必要があります。

改定前(違反になりやすい)改定後(取適法に沿う)
代金は委託事業者が定めるものとし、契約期間中は変更しない。労務費・原材料費等のコスト変動が生じた場合、いずれの当事者も代金の見直しを協議として申し入れることができ、相手方は誠実に協議に応じる。

このほか、受領拒否(第5条第1項第1号)、返品(同第4号)、購入・利用強制(同第6号)、報復措置(同第7号)、有償支給原材料等の対価の早期決済(第5条第2項第1号)、不当な経済上の利益の提供要請(同第2号)、不当な給付内容の変更・やり直し(同第3号)も禁止行為です。

自社ひな型では、「委託事業者の判断で返品できる」「追加費用なしでやり直しを求められる」「自社製品の購入を条件にする」といった条項が該当しやすい箇所です。中小受託事業者の責めによらない返品・やり直しや、取引と無関係な購入の強制にあたらないよう、条件や費用負担を明記する形に改めることが求められます。

役務提供委託・特定運送委託の場合は、受領拒否と返品の禁止は適用されません。

出典・参考資料(2件)

違反した場合の罰則・勧告・公表

条項を直す動機づけとして、違反時にどのような措置があるかを押さえておきます。4条書面の明示義務・書面交付義務(第4条)や、取引記録の作成・保存義務(第7条)に違反した場合は、50万円以下の罰金が科されることがあります(第14条)。

一方、買いたたきなど第5条の禁止行為については、まず公正取引委員会が必要な措置をとるよう勧告します(第10条)。勧告した場合は、原則として事業者名・違反事実の概要・勧告の概要等が公表されます。勧告に従わないときは、独占禁止法にもとづく排除措置命令や課徴金納付命令が行われることがあります。

出典・参考資料(2件)

旧下請法から取適法で変わった改定ポイント一覧

旧下請法(下請代金支払遅延等防止法)を把握している場合は、取適法で何が変わったかを押さえると契約書の見直しが進めやすくなります。2025年(令和7年)5月23日に公布された改正法(令和7年法律第41号)により、法律名から適用対象まで次のように変わりました。各項目の詳細は、本記事の各セクションで扱っています。

項目旧下請法取適法(2026年1月1日施行)
法律名下請代金支払遅延等防止法(下請法)中小受託取引適正化法(取適法)
当事者の呼称親事業者/下請事業者委託事業者/中小受託事業者
発注時の書面3条書面4条書面(明示事項は①〜⑫)
適用対象の基準資本金基準資本金基準+従業員数基準
対象取引製造・修理・情報成果物作成・役務提供の各委託上記に特定運送委託を追加した5類型
価格協議明文の定めなし協議に応じない一方的な代金決定を禁止(明文化)
手形払い条件付きで可施行日以後の発注について原則禁止
書面の電子化電磁的方法による提供が可能電磁的方法が書面と同等の選択肢に。書面交付請求への対応義務を新設

法律の正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」で、略称が中小受託取引適正化法(取適法)です。契約書の文面で根拠法を引用する場合は、旧称の下請代金支払遅延等防止法の表記を更新します。

出典・参考資料(2件)

自社が取適法の対象になるか(資本金・従業員数×取引類型の判定)

取適法が適用されるかどうかは、取引の種類と、委託事業者・中小受託事業者それぞれの規模(資本金または従業員数)の組み合わせで決まります。対象となる取引は、製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託の5類型です。自社がどの類型に当たるかを確認したうえで、次の基準に照らします。

判定は、取引類型の確認から順に次のステップで進めます。

取適法の対象かどうかを判定する手順を示した縦フロー図。STEP1で取引が製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託の5類型のいずれかに当たるかを確認し、STEP2で資本金基準(発注側が基準額超・受注側が基準額以下または個人)で判定、STEP3で資本金基準で判定できない場合に新設の従業員数基準(発注側が常時使用する従業員300人超または100人超)で判定する。当てはまれば取適法の対象となり、判定は個別の発注の時点で行う。

まず資本金基準です。取引類型によって金額のラインが分かれます。

取引類型委託事業者(発注側)中小受託事業者(受注側)
製造委託・修理委託・特定運送委託、情報成果物作成委託(プログラム作成)、役務提供委託(運送・倉庫保管・情報処理)資本金3億円超資本金3億円以下または個人
資本金1千万円超〜3億円以下資本金1千万円以下または個人
上記以外の情報成果物作成委託・役務提供委託資本金5千万円超資本金5千万円以下または個人
資本金1千万円超〜5千万円以下資本金1千万円以下または個人

取適法で新たに加わったのが従業員数基準です。これは資本金基準が適用されない場合に適用される補充的な基準で、常時使用する従業員数で判定します。

資本金基準で判定できない場合は、取引類型に応じた従業員数で判定します。委託側がこの人数を超え、受注側がこの人数以下であれば対象です。

取引類型委託事業者(発注側)中小受託事業者(受注側)
製造委託・修理委託・特定運送委託、情報成果物作成委託(プログラム作成)、役務提供委託(運送・倉庫保管・情報処理)常時使用する従業員300人超従業員300人以下または個人
上記以外の情報成果物作成委託・役務提供委託常時使用する従業員100人超従業員100人以下または個人

資本金が小さく従来は下請法の対象外だった企業も、従業員数によっては取適法の対象になり得る点が、今回の大きな変更です。

適用対象かどうかは、基本契約の締結時ではなく、個別の発注(個別契約)の時点で判断されます。施行前に結んだ基本契約にもとづく、施行後の個別発注も対象になり得るため、既存取引の発注分についても確認が必要です。

出典・参考資料(2件)

支払・検収のルール(60日・遅延利息・取引記録の保存)

契約書の支払・検収に関する条項は、取適法のルールに沿っているかを点検しておきましょう。支払期日の起算点は条文で明確に定められています。

製造委託等代金の支払期日は、委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあつては、中小受託事業者からその委託に係る役務の提供を受けた日。以下同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。

出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 第3条|e-Gov法令検索

ポイントは、起算点が「給付を受領した日」であり、検査をするかどうかを問わないことです。「検収完了日から60日」という運用は認められません。支払期日を定めなかった場合は受領日が支払期日とみなされ、60日を超えて定めた場合は受領日から60日を経過する日の前日が支払期日とみなされます。

検査(検収)を行う場合は、その完了期日を4条書面に記載しますが(明示事項⑥)、支払期日の起算はあくまで給付の受領日で、検収の完了を待って起算することはできません。

支払いが遅れた場合は、遅延利息の支払義務があります。遅延利息の率は公正取引委員会規則で定められており、公式テキストでは年率14.6%と示されています。受領日から起算して60日を経過した日から実際に支払う日までの期間について、日数に応じて未払金額にこの率を乗じた額を支払います。

あわせて、取引の記録を作成・保存する義務があります(第7条、7条記録)。給付の内容・受領日・検査結果・代金額・支払期日・支払方法などを記載した書類または電磁的記録を作成し、規則で定めるところにより2年間保存しなければなりません。契約書とは別に、発注・受領・支払いの記録を残す運用も整えておくとよいでしょう。

出典・参考資料(2件)

契約書・発注書の電子化ルール

取適法では、4条書面の明示を書面だけでなく電磁的方法(電子メール・EDI等の送信や、USB・CD-R等の記録媒体の交付など)で行うことが、法律本体で書面と同等の選択肢として位置づけられました。取引先ごとに大量の発注書を交付する業務では、電子化が巻き直しの効率化につながります。

ここで押さえておきたいのが、電磁的方法による明示そのものには、中小受託事業者の承諾も申出も必要ないという点です。旧下請法では電子メール等で提供する際に「下請事業者の事前の承諾」が必要でしたが、取適法ではこの事前承諾が不要になりました。ただし無条件ではなく、明示事項が中小受託事業者のパソコンやスマートフォンの画面に文字・記号等で明確に表示される方式でなければなりません。

あわせて、電磁的方法で明示した場合でも、中小受託事業者から書面の交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付する義務が新設されました(第4条第2項)。ただし、中小受託事業者があらかじめ電磁的方法での提供を希望する旨を申し出ていた場合など(公正取引委員会規則で定める場合)は、この書面交付を要しません。

委託事業者は、前項の規定により同項に規定する事項を電磁的方法により明示した場合において、中小受託事業者から当該事項を記載した書面の交付を求められたときは、遅滞なく、公正取引委員会規則で定めるところにより、これを交付しなければならない。

出典:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 第4条第2項|e-Gov法令検索
出典・参考資料(2件)

4条書面の電子化をきっかけに、発注書や契約書のやり取りそのものを電子化して巻き直しの手間を減らしたい場合は、電子契約システムの比較が参考になります。対応機能や料金をタイプ別に整理しています。

取適法対応の契約書点検チェックリスト

ここまでの内容を、自社の契約書・発注書の点検に落とし込みます。締結前の確認・支払/検収条件・禁止行為の3つの観点でチェックしてください。

締結前・書面の確認

  • 自社の取引が5類型(製造・修理・情報成果物作成・役務提供・特定運送)のいずれかに当たり、資本金・従業員数の基準で取適法の対象になるかを確認したか
  • 発注書・契約書に4条書面の明示事項(①〜⑫のうち該当するもの)が漏れなく入っているか
  • 発注後、直ちに書面または電磁的方法で明示する運用になっているか

支払・検収条件の確認

  • 支払期日が、受領日から起算して60日以内に定められているか(検収完了日起算になっていないか)
  • 手形払いを前提にした条項が残っていないか。現金化が困難な支払手段を使っていないか
  • 取引記録を作成し、2年間保存する運用になっているか

禁止行為にあたる条項の確認

  • 代金の減額・買いたたきにつながる条項(歩引き・一方的な値引き等)が残っていないか
  • コスト変動時の価格協議に応じる余地が条項に残されているか
  • 受領拒否・返品・購入強制・報復措置などを前提にした条項がないか

チェックの結果、直すべき点が見つかっても、すべての取引先と一度に契約を結び直す必要はありません。リスクの高い取引や継続的・高額な取引から優先し、契約更新の機会に合わせて整えていくのが現実的です。

既存の契約書に取適法対応の条項を追加するだけなら、契約を一から結び直さず「覚書(変更契約書)」を取り交わす方法もあります。それでも、取引先が多い企業では、全取引先ぶんの発注書・契約書フォーマットを点検・改定する作業は相応の負荷になります。

出典・参考資料(2件)
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契約書の巻き直しを効率化する契約書レビュー・ドラフト作成サービス

取適法への対応では、発注書・契約書フォーマットの点検、違反になりやすい条項の修正、必要に応じた覚書の作成を、取引先の数だけ進める必要があります。社内の法務リソースだけで全取引先ぶんを巻き直すのが難しい場合、契約書のレビューや作成を外部のサービスに任せる選択肢があります。

大きく分けて、自社で手作業で見直す、AIによる契約書レビューツールを使う、専門家にレビュー・作成を代行してもらう、という3つの進め方があります。

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対応方法自社で手作業で見直すAI契約書レビューツールを使う専門家にレビュー・作成を代行してもらう
向いているケース取引先・ひな型が少なく、法務担当がいる自社で判断しつつ点検を高速化したい法務リソースが乏しく作業ごと任せたい
コスト追加費用は少ない月額制が中心依頼量に応じて増える
スピード件数が多いと時間がかかる大量の契約書を短時間で点検依頼すれば自社工数は小さい
専門性の担保社内の知識に依存する最終判断は自社に残る弁護士・専門家が担保

※上記は一般的な進め方の傾向です。実際の対応は自社の取引量・体制に応じてご検討ください。

AIによる契約書レビューツールは、自社で点検作業を進めながら大量の契約書を効率化したい場合に向いています。各ツールの機能や料金を比較して自社に合うものを選びたい場合は、以下の契約書レビュー・AI契約レビューサービスの比較記事が、タイプ別の選び方とあわせて参考になります。

ここでは、点検・修正・作成の作業そのものを専門家に代行してもらえるサービスを紹介します。

CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)の公式サイト

CLOUD LEGAL(クラウドリーガル)は、MOLTON株式会社が運営する、生成AIと弁護士・専門士業の体制を組み合わせた法務アウトソーシングサービスです。契約書のレビューや作成といった法務作業を、自社で抱え込まずに専門家チームへ委託できる点が特徴です。

公式サイトでは、提供内容として次の4つが挙げられています。

  • 契約レビュー代行(秘密保持契約・業務委託・売買契約などあらゆる契約書のレビューを専門家チームが代行し、最短翌営業日に納品)
  • 契約書ドラフト作成(取引条件を伝えると、契約類型や取引スキームに応じた契約書の初稿を専門家が作成)
  • 法務・労務相談
  • 契約ひな形・規約の管理運用代行

取適法対応で発注書・契約書フォーマットを見直す場面では、点検・修正・初稿作成の作業そのものを任せられるため、全取引先ぶんの巻き直しを社内リソースだけで進めるのが難しい企業に向いています。

Microsoft Word上でAIと対話しながら契約書レビューを完結できる「CloudLegal AIエディター」も提供しており、普段Wordで契約書を扱う担当者が既存の業務の流れのまま使えます。料金は初期費用0円・月額11,000円(税込)からで、情報セキュリティの国際規格ISO/IEC 27001(ISMS)認証を取得しています。

取引先の数だけ契約書を点検・修正する場面では、レビューにどれくらいの時間がかかるかが巻き直しの進め方を左右します。外部に委託したときの対応スピードについて、同社はMCB FinTechカタログの独自インタビューで次のように述べています。

金沢由樹氏
MOLTON株式会社 CSMO(最高営業・マーケティング責任者)
金沢由樹氏
独自インタビューより

特に分かりやすいのが対応スピードです。従来の顧問弁護士だと回答に1〜2週間かかることがありましたが、クラウドリーガルの弁護士相談や契約書レビュー・リーガチェックは1日、2日でお返しできています。また、クラウドリーガルで搭載しているリーガルAIも活用してさらに対応スピードを上げています。

まとめ

取適法(中小受託取引適正化法、旧下請法)への対応では、まず発注書・契約書に4条書面の明示事項(①〜⑫のうち該当するもの)が漏れなく入っているかを確認し、支払期日が受領日から60日以内になっているか、手形払いや一方的な代金決定を前提にした条項が残っていないかを点検します。旧下請法からの改定ポイントと、自社が資本金・従業員数の基準で対象になるかもあわせて確かめてください。

すべての取引先と一度に結び直す必要はなく、リスクの高い取引や契約更新の機会から順に整えるのが現実的です。全取引先ぶんの点検・修正を社内だけで進めるのが難しい場合は、AIによる契約書レビューツールや、作業そのものを任せられる専門家の代行サービスを活用する方法もあります。自社の取引量と体制に合わせて、無理なく巻き直せる進め方を選んでください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 取適法(中小受託取引適正化法)とは何ですか?

A. 取適法(中小受託取引適正化法)は、発注者(委託事業者)が中小の受注者(中小受託事業者)に業務を委託する際の、代金の支払遅延や買いたたきなどを防ぐための法律です。2026年(令和8年)1月1日に施行され、従来の下請法(下請代金支払遅延等防止法)を改正・改称したものです。法律名や当事者の呼称、適用対象などが変わり、発注時に交付する書面も「3条書面」から「4条書面」になりました。

出典・参考資料(2件)

Q. 取適法の4条書面は、既存の発注書で兼ねることはできますか?

A. 取適法の4条書面は、必要な明示事項がすべて記載されていれば、既存の発注書や注文請書で兼ねることができます。4条書面に決まった様式はなく、給付の内容・納期・代金の額・支払期日など(本記事の明示事項①〜⑫のうち該当するもの)が漏れなく明示されていれば、いま使っている発注書フォーマットに不足項目を追記する形で対応できます。1枚の書面に収まらない場合は、複数の書面に分けて明示することも認められます。

出典・参考資料(2件)

Q. 取適法では、契約書や取引記録の保存期間は何年ですか?

A. 取適法で作成・保存が義務づけられる取引記録(7条記録)の保存期間は、2年間です。給付の内容・受領日・検査結果・代金額・支払期日・支払方法などを記載した書類または電磁的記録を作成し、公正取引委員会の公式テキストによると2年間保存する必要があります(第7条)。契約書そのものの保存年数を定めた規定ではありませんが、取引の証跡として同様に保管しておくのが安全です。

出典・参考資料(2件)

Q. 取適法は、個人事業主やフリーランスとの取引も対象になりますか?

A. 取適法は、資本金や従業員数の基準を満たせば、個人事業主との取引も対象になります。中小受託事業者には法人だけでなく個人も含まれるため、発注側が基準を超える規模であれば、個人への製造委託や情報成果物作成委託などにも適用されます。

従業員を雇わない個人のフリーランスへの業務委託は、別途フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の対象にもなり得るため、両方の観点から確認が必要です。

出典・参考資料(2件)

Q. 資本金が小さく下請法の対象外だった会社も、取適法の対象になりますか?

A. 資本金基準では対象外でも、新たに加わった従業員数基準によって取適法の対象になる場合があります。取適法では資本金基準に加えて、委託事業者が常時使用する従業員数が取引類型に応じて300人超(または100人超)かどうかで判定する基準が新設されました。資本金が小さいために下請法の規制対象外だった企業も、従業員数によっては取適法の対象になり得るため、自社の取引類型と従業員数を確認する必要があります。

出典・参考資料(2件)

Q. 取適法で、契約書に支払期日を定めていなかった場合はどうなりますか?

A. 支払期日を定めなかった場合は、給付を受領した日が支払期日とみなされます。また、受領日から60日を超える支払期日を定めてしまった場合は、受領日から60日を経過する日の前日が支払期日とみなされます(第3条)。いずれの場合も受領日から起算して60日以内に支払う必要があり、支払いが遅れると公正取引委員会の公式テキストによると年率14.6%の遅延利息を支払う義務が生じます。

出典・参考資料(2件)

Q. 取適法の施行後も、手形で代金を支払うことはできますか?

A. 2026年(令和8年)1月1日の施行日以後に発注する製造委託等の代金については、手形による支払いは原則として禁止されています(第5条第1項第2号)。電子記録債権や一括決済方式であっても、支払期日までに代金に相当する額の金銭と引き換えることが困難なものは使えません。

「2027年3月末まで猶予される」と説明する解説も見られますが、改正法の本則にも附則にも手形に関する経過措置はなく、施行日以後の発注から原則禁止となる点に注意してください。

出典・参考資料(2件)

Q. 取適法対応は、覚書(変更契約書)で対応してもよいですか?

A. 既存の契約書に取適法対応の条項を追加するだけであれば、契約を一から結び直さず、覚書(変更契約書)で対応できます。すべての取引先と一度に契約を巻き直す必要はなく、支払期日・手形払い・価格協議などの該当条項を覚書で補う方法が現実的です。リスクの高い取引や継続的・高額な取引から優先し、契約更新の機会に合わせて整えていくとよいでしょう。

Q. 取適法とフリーランス法は何が違いますか?

A. 取適法は発注者・受注者の規模(資本金・従業員数)で適用が決まるのに対し、フリーランス法は従業員を雇わない個人(特定受託事業者)への業務委託であれば、発注者の規模を問わず適用される点が異なります。

対象となる取引が重なる場合もありますが、適用の判断基準が違うため、個人のフリーランスに委託するときは両方の観点から確認が必要です。公正取引委員会が公開している契約書のひな型は、取適法とフリーランス法の双方に対応した共用様式になっています。

出典・参考資料(1件)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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