予算管理の体制を整えることになったとき、最初に突き当たるのが「予算管理は、そもそもどの部署が担うのか」という問いです。経理部なのか、経営企画部なのか、それとも各事業部なのか。担当があいまいなまま進めると、部署間で予算の作成と集計を押し付け合ったり、誰が何に責任を持つのかが決まらないまま期が始まってしまったりします。
予算管理は、一つの部署だけで完結する仕事ではありません。各事業部が自部門の予算を作り、経理・経営企画といった管理部門がそれをとりまとめて全社の予算に整え、経営層が承認する——というように、複数の部署が役割を分けて関わります。まずはこの「部署ごとの役割」を押さえることが、自社の体制づくりの出発点になります。
本記事では、予算管理を担う部署とその役割分担を一覧で示します。そのうえで、部署の呼び名の整理、予算を「作る・まとめる・承認する」という職制の構造、業務フローと担当部署を解説します。さらに、部署をまたぐときに生じやすい課題と、Excel運用の限界からシステム化までを順にたどります。自社で「誰に何を任せるか」を整理するための土台としてご活用ください。
目次
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予算管理を担う部署と役割分担
予算管理は、予算を作る部署、とりまとめて統制する部署、承認する経営層が役割を分担して進めます。一般的な役割分担を一覧にすると、次のとおりです。自社の職制に重ねながら、どの部署が何を担うのかを確認してください。
| 部署 | 主な担当業務 | 予算づくりでの立場 |
|---|---|---|
| 各事業部(営業・製造・開発など) | 自部門の予算案を作成して提出し、実績を報告する | 作る側(予算を立てる現場) |
| 経理部 | 実績データの集計・記帳、予算と実績の突き合わせ | とりまとめ・統制する側 |
| 財務部 | 資金計画・資金繰り、全社の財務戦略との整合 | とりまとめ・統制する側(資金面) |
| 経営企画部(予算編成部門) | 予算編成方針の策定、各部門予算のとりまとめ・調整、全社の総合予算の作成 | とりまとめ・統制する側(全社集約) |
| 経営層(経営会議・取締役会) | 予算編成方針と総合予算の承認、経営資源の配分方針の決定 | 承認する側 |
※部署名や分担は企業によって幅があります。上表は一般的な整理です。
この役割分担の軸になるのが、全社的な立場から予算を取りまとめる管理部門の存在です。予算管理では、各部門が自部門の予算案を作成し、それを経理や経営企画といったスタッフ部門が全社の視点から集約・調整します。
日本の多くの企業では,スタッフ部門としての経理部や企画管理部などが全社的な立場から,各管理者による予算管理活動を補佐している。
出典:改訂新版 世界大百科事典(平凡社)「予算管理」|コトバンク
ここからは、この管理部門の呼び名が会社によってどう違うのか、そして予算に関わる立場をどう整理すれば自社の職制に当てはめやすいのかを、もう少し具体的に見ていきます。
財務部・経理部・経営企画部(予算編成部門)の違いと自社での当てはめ
予算管理の担当部署は、記事や会社によって「財務部」「経理部」「経営企画部」「予算編成部門」などと呼び名が揺れます。これは、各社の組織の作り方によって、同じ機能を違う名前の部署が担っているためです。混乱しやすいので、一般的な役割の目安で整理しておきます。
- 経理部:日々の取引を記帳し、実績を集計する部署。予算と実績を突き合わせる土台の数字を整える役割を担うことが多い
- 財務部:資金の調達・運用や資金繰りを担う部署。予算のうち、特に資金計画との整合を見る役割を受け持つことがある
- 経営企画部(予算編成部門):経営計画にもとづいて予算編成方針を立て、各部門の予算をとりまとめて全社の総合予算に整える部署。予算管理の旗振り役になることが多い
これらはあくまで一般的な目安であり、どの部署がどこまで担うかは会社の規模や方針によって変わります。経営企画部や財務部を独立して置く余力のない中小企業では、経理部や管理部門が予算編成方針の策定からとりまとめまでを兼ねるケースも少なくありません。
重要なのは部署の名前ではなく、「予算編成方針を立てる」「各部門の予算を集約・調整する」「資金計画と整合させる」といった機能が、自社ではどの部署に割り当てられているかを確認することです。
予算を「作る部門」「まとめる部門」「承認する経営層」の3つの立場
部署名の違いを越えて、予算管理に関わる立場は大きく3つに整理できます。この構造を押さえると、自社の職制のどこに誰を当てはめればよいかが見えてきます。

- 予算を作る部門(各事業部):営業・製造・開発といった現場の各部門が、全社の方針にもとづいて自部門の予算案を作成し、提出する
- とりまとめ・統制する部門(経理・経営企画・財務など):各部門から集まった予算案を調整して全社の総合予算に整え、資金計画との整合も確認しながら、期中は実績と照らして差異を分析し、軌道修正を促す
- 承認する経営層:予算編成の方針と、まとまった総合予算を承認し、経営資源をどこに配分するかを最終的に決める
経営学でも、経営層による方向性の設定と現場の日常業務の中間に、戦略を部門の行動へ落とし込む「マネジメント・コントロール」という層が置かれると整理されます。各部門の予算案を全社の計画へまとめ上げる管理部門の働きは、まさにこの中間=「まとめる部門」にあたります。
出典・参考資料(1件)
予算管理の業務フローと、各工程で動く部署
役割分担を踏まえると、予算管理が実際にどう進むのかが見えてきます。予算管理は、方針を決めてから実績を振り返るまでの一連のステップを、部署が連携しながら回していく営みです。
予算管理は,それぞれがフィードバック・ループをもった一連のステップからなる。すなわち,期間利益目標の設定,予算編成方針の作成と各部門への指示,各部門予算案の作成,各部門予算案の調整と総合予算……
出典:改訂新版 世界大百科事典(平凡社)「予算管理」|コトバンク
この流れを、各工程で動く部署とあわせて並べると、次のようになります。

- 利益目標・方針の決定(経営層):経営計画にもとづき、全社として達成すべき利益目標と大きな方針を定めます。
- 予算編成方針の作成と各部門への指示(経営企画・経理などの管理部門):目標を各部門が予算を立てられる形の方針に落とし込み、様式やスケジュールとあわせて各部門へ示します。
- 各部門の予算案の作成・提出(各事業部):営業・製造などの現場部門が、方針にもとづいて自部門の売上・費用・利益の予算案を作り、提出します。
- 予算案の調整・総合予算の編成(管理部門):集まった各部門の予算案を全社の視点で調整し、整合の取れた総合予算(全社予算)に整えます。
- 承認(経営層):まとまった総合予算を経営会議・取締役会などで承認し、各部門の実行予算として確定します。
- 実績の収集と差異分析(管理部門+各事業部):期中は各部門・会計システムから実績を集め、予算との差異を分析します。差異の原因は、現場部門と一緒に掘り下げます。
- 報告・対策(管理部門→経営層・各事業部):分析結果を経営層へ報告し、対策を現場に展開します。次の予算や行動計画に反映し、再びサイクルを回します。
方針を出す経営層、方針を具体化してとりまとめる管理部門、予算を作って実績を上げる現場部門が、それぞれの工程でバトンを渡し合う構造です。資金計画との整合は、工程を通じて財務部(財務部を置かない場合は経理)が確認します。
自社でこの流れを回すなら、各部門が使う予算の提出様式、提出と集計の締めスケジュール、承認ルート(誰が確認し誰が最終承認するか)の3点を先に決めておくと、工程ごとの手戻りを抑えられます。どこか一つの部署だけが頑張っても回らないため、各工程で誰が動くのかをあらかじめ共有しておくことが、滞りのない運用の土台になります。
このうち、各部門が予算案を作る前提になる予算編成そのものの進め方——方針の立て方や全社スケジュールの組み方——は、以下の記事で詳しく解説しています。業務フローの各工程を具体的に設計したい方はあわせてご覧ください。
そもそも予算管理とは?目的・予算の種類・混同しやすい用語
ここまで部署と役割を見てきましたが、前提となる予算管理そのものの意味も押さえておきます。予算管理とは、予算を立てる「予算編成(計画)」と、実績と照らしてズレを分析し是正する「予算統制」を合わせた、企業の利益を総合的に管理する活動です。
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予算管理の目的
予算管理の目的は、管理会計の目的と重なります。研究では、管理会計の目的は大きく「計画(戦略目標にもとづく数値目標の策定と資源配分)」「統制(実績と計画の差異を分析し、組織行動の修正・改善を促す)」「業績評価」「意思決定支援」の4点に整理されています。
予算管理に引き直すと、部署をまたいで予算を管理するねらいは、主に次の3つに集約できます。
- 全社の数値目標を各部門で共有する
- 限られた経営資源(人・モノ・お金)を予算を通じて適切に配分する
- 予算と実績の差異を早期に把握し、課題を手遅れになる前に発見する
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予算の4つの種類と関わる部門
全社の予算は、いくつかの種類に分けて編成されます。どの予算をどの部門が主に担うのかを対応づけると、役割分担の具体像がつかめます。
- 売上予算:どれだけ売るかの計画。主に営業部門が立てる
- 原価予算(製造予算):商品やサービスを生み出すための原価の計画。製造・生産部門が中心になる
- 経費予算:人件費や販管費など、事業を運営するための経費の計画。各部門と管理部門が分担する
- 利益予算:売上から原価・経費を差し引いた利益の計画。経営企画・経理が全社でとりまとめる
これらを各部門が作り、管理部門が全社の総合予算に束ねることで、会社全体の計画が一つに整います。
予実管理・経営管理・予算統制との違い
予算管理と近い言葉に、予実管理・予算統制・経営管理があります。予算統制は、予算管理のうち実績との差異を分析して是正する「統制」の部分を指します。
予実管理(予算実績管理)は、立てた予算と実績を突き合わせて回す運用に焦点を当てた呼び方で、予算を立てる工程まで含む予算管理よりも狭い範囲を指します。経営管理は、予算管理を含む、より広い経営全般のマネジメントを指す言葉です。
言葉の範囲は会社によって幅がありますが、「予算を立てて配り、実績と照らして回す仕組み全体」が予算管理だと捉えておけば、現場で混乱することは少なくなります。予算管理と予実管理がどこで重なり、どこが違うのかを比較表で整理したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
部署をまたぐ予算管理で生じやすい課題
複数の部署が関わるからこそ、予算管理には部署間の連携にまつわる課題が生じやすくなります。体制を整える段階で、どこで詰まりやすいかを知っておくと、仕組みづくりに活かせます。一般に、次のような場面で手間取ることが多くみられます。
- 各部門からのデータ収集に時間がかかる:部門ごとに様式や提出のタイミングがばらつくと、管理部門が全社分を集めて整えるだけで何日もかかりがちです。
- 集計・検算の負荷が管理部門に集中する:提出された数字の転記や検算に追われ、肝心の差異の分析まで手が回らなくなることがあります。
- 最新版がどれか分からなくなる:部門とファイルをやり取りするうちに版が増え、どれが最新かの確認に手間取る場面が出てきます。
- 差異の原因が現場と共有されない:管理部門の分析が経営層への報告で止まり、現場の行動に落ちないと、同じズレが翌月も繰り返されます。
裏を返せば、予算管理をはじめとする管理会計の仕組みが機能している企業では、部門間の連携がスムーズになり、経営資源の配分も効率化されるという効果が指摘されています。部署をまたぐ連携の質が、予算管理の成否を左右するといえます。
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Excelの限界と、部署間連携を楽にする予算管理システム
部署をまたぐ予算管理を、多くの企業はまずExcelで始めます。手軽に始められる一方で、部門や拠点が増えてくると、次のような壁に当たりがちです。
- 各部門からファイルを集めて統合する作業に時間がかかり、実績の反映が遅れる
- ファイルの版が増え、どれが最新かが分からなくなる
- 関数やシートが複雑化して属人化し、担当者以外が保守できなくなる
これらは、集計に追われて分析に手が回らないという、先ほど挙げた課題の入り口になります。予算管理システムは、会計システムや各部門からのデータ取り込みと予実の突き合わせを自動化し、部門をまたぐ収集・集計の負荷を下げることで、各部門と管理部門が同じ数字を見ながら予算を回せる状態をつくります。ここからは、部署間の連携という観点で代表的なサービスを紹介します。
| サービス名 | DIGGLE(ディグル) | X-KPI(クロスケーピーアイ) | Scale Cloud(スケールクラウド) |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) | クラウド(SaaS) |
| 部門をまたぐ予実の集約 | 予算・実績・見込をクラウドで一元管理。事業部と経営企画が非同期で予算を作り込める | 複数の部門・拠点・プロジェクトのKPIと予実をクラウドに集約し、リアルタイムに可視化 | PL(損益)と各部門のKPIを接続して一元管理。親会社と子会社の数字も整合 |
| 部門間での共有・連携 | 申請・承認時に前回からの変更点を差分ハイライト。同時編集・権限制御にも対応 | 予実の差異や異常値を自動で検知し、チャットツールへ通知 | 経営用・管理部用・事業部用のダッシュボードで同じ数字を見て議論できる |
| データ連携(会計・Excel等) | freee会計・マネーフォワード・勘定奉行クラウド・弥生・Salesforce等とAPI/CSV連携。CSV取込・出力に対応 | 会計ソフト・グループウェアとAPI連携 | 勘定奉行クラウド・freee・Salesforce(API)・Googleスプレッドシート・CSV明細連携 |
| 月額費用 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 月額15万円〜 |
| 無料トライアル | 要お問い合わせ | あり | 要お問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
※料金・無料トライアルなどの情報は2026年10月時点の各社公開情報・カタログ掲載情報にもとづきます。最新の内容は各サービスの公式情報をご確認ください。
1. DIGGLE(ディグル株式会社)

DIGGLEは、予算・実績・見込をクラウド上で一元管理する予実管理特化型のサービスです。予算策定から予実の突き合わせ、着地見込みの管理、報告までをクラウド上で完結できます。
部署間連携の観点では、各事業部と経営企画・経理が、それぞれのタイミングで予算データをやり取りしながら全社の予算を作り込める点が特徴です。会計システムからのデータ取り込みと予実の突合を自動化し、予算の申請・承認の際には前回からの変更点が差分で分かるようになっているため、管理部門がファイルを集めて版を突き合わせる手間を減らせます。
部門横断の集計がExcelで重くなり、担当者しか中身を追えなくなってきた——そんな段階で、予実管理を専用ツールへ移したい企業の乗り換え先として候補に挙がります。
2. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

複数の部門・拠点ごとのKPIと予実データをクラウド上で集約し、リアルタイムに可視化するのがX-KPIです。日経グループの株式会社パブリックアイデンティティが開発・提供しています。
部門や拠点に散らばった数字を一つの基盤に集め、予算と実績の差異や異常値を自動で検知してチャットに通知する仕組みを備えます。各部門の数字を管理部門が追いかけやすくなり、全社の予実状況を共通の画面で把握できます。無料トライアルで運用イメージを確認してから本格導入を判断できるため、はじめて予実管理ツールを入れる企業でも段階的に検討を進められます。
3. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

損益(PL)だけでなく、各部門のKPIまでを接続して管理できる点に強みを持つのがScale Cloudです。経営用・管理部用・事業部用といった立場ごとのダッシュボードを備え、部門横断で数字を見渡せます。
事業部と管理部門が同じ数字を見ながら予実を議論できるため、部署間で「どの数字を見て話すか」がそろいます。会計ソフトに加えてSalesforceなど外部データとの連携にも対応します。拠点や子会社が複数あり、部門ごとのKPIまで踏み込んで一つの基盤で管理したい企業に適しており、導入の相談は経営企画やCFO、管理部門から寄せられることが多いサービスです。
そもそも部署ごとに追う数字がそろわず、同じ土台で議論できないのはなぜか。この点について、Scale Cloudを開発した株式会社Scale Cloud代表取締役の広瀬氏は、開発の背景を次のように述べています。
従来の管理会計では、財務データを部門別や得意先別など様々な切り口で分析するのですが、それだけでは「この結果にどうやって至ったのか」というプロセスがまったくわからないです。事業の状況を正しく理解するためには、結果だけでなくそこに至るプロセスも含めて把握しなければ、どこに問題があるのか見えてこない。これが管理会計の限界だと感じていました。
そのプロセスを把握するために何を見ればいいかというと、KPIのデータになります。ただ、実際にはマーケティング、セールス、カスタマーサクセスといった各部門がそれぞれバラバラなKPIを追っている状態で、情報が統合されていない。みんなが違うデータを見ているので、同じ景色を見ながら議論できていないことが多いと思われます。
ここで取り上げたのは、部署間の連携という観点で選んだ代表的なサービスです。選び方のタイプ分けや料金・機能まで含めて予算管理システム全体を比較検討したい場合は、以下の記事で主要サービスを一覧で解説しています。
まとめ
予算管理は、各事業部が自部門の予算を作り、経理・経営企画などの管理部門が全社の予算にとりまとめて統制し、経営層が承認する——という役割分担で進みます。財務部・経理部・経営企画部といった部署の呼び名は会社によって揺れますが、大切なのは部署の名前ではなく、「作る・まとめる・承認する」という機能が自社のどの部署に割り当てられているかを確認することです。
業務フローは、方針の決定から各部門の予算案作成、とりまとめ、承認、実績の収集と差異分析、報告までを部署が連携して回します。部署をまたぐ分、データ収集や集計、最新版の管理で手間取りやすいため、体制づくりの段階で詰まりどころを見越しておくことが有効です。Excel運用に限界を感じたら、部門と管理部門が同じ数字を見られる予算管理システムも、連携を楽にする選択肢になります。
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よくある質問(FAQ)
Q. 予算管理とは何ですか?
A. 予算管理とは、予算を立てる「予算編成(計画)」と、実績と照らして差異を分析・是正する「予算統制」を合わせた、企業の利益を総合的に管理する活動です。各事業部が自部門の予算を作り、経理・経営企画などの管理部門が全社の予算にとりまとめ、経営層が承認する——というように、複数の部署が役割を分けて進めます。
Q. 予算管理はどの部署が担当しますか?
A. 予算管理は、特定の一部署だけが担うのではなく、予算を作る各事業部、とりまとめ・統制する経理・経営企画・財務などの管理部門、承認する経営層が役割を分担して担当します。各事業部が自部門の予算案を作成し、管理部門が全社の総合予算に集約・調整し、経営層が承認する構造です。経営企画部や財務部を独立して置くかどうかなど、どの部署がどこまで担うかは会社の規模や組織によって変わります。
Q. 予算管理における経理部と経営企画部の役割はどう違いますか?
A. 経理部は日々の取引を記帳して実績を集計し予算と実績を突き合わせる土台の数字を整える役割、経営企画部は予算編成方針を立てて各部門の予算を全社の総合予算にとりまとめる旗振り役を担うのが一般的です。経理部が実績の「集計・突き合わせ」に軸足を置くのに対し、経営企画部は「計画・全社集約」に軸足を置くと整理すると分かりやすくなります。ただし呼び名や分担は会社によって幅があります。
Q. 予算管理で予算を作る部門とまとめる部門はどう違いますか?
A. 作る部門は営業・製造・開発などの各事業部(予算入力部門)で自部門の予算案を作成・提出する側、まとめる部門は経理・経営企画などの管理部門(予算管理部門)で各部門の予算案を調整して全社の総合予算に整え、期中は実績と照らして統制する側です。この「作る側」「まとめる側」に、方針と総合予算を承認する経営層を加えた3つの立場で、予算管理は回っていきます。
Q. 中小企業で予算管理の専任部署がない場合はどこが担当しますか?
A. 経営企画部や財務部を独立して置く余力のない中小企業では、経理部や管理部門が予算編成方針の策定からとりまとめまでを兼ねるケースが少なくありません。大切なのは部署の名前ではなく、「予算編成方針を立てる」「各部門の予算を集約・調整する」「資金計画と整合させる」といった機能が、自社ではどの部署に割り当てられているかを確認することです。
Q. 予算管理と予実管理の違いは何ですか?
A. 予実管理(予算実績管理)は立てた予算と実績を突き合わせて回す運用に焦点を当てた呼び方で、予算を立てる工程まで含む予算管理よりも範囲が狭く使われます。予算管理は「予算を立てて配り、実績と照らして回す仕組み全体」を指し、そのうち実績との差異を分析・是正する部分が予算統制にあたります。経営管理は、予算管理を含むより広い経営全般のマネジメントを指す言葉です。
Q. 予算の最終的な承認は社内の誰が行いますか?
A. 予算編成の方針と、各部門の予算をまとめた総合予算の最終承認は、経営会議や取締役会といった経営層が行うのが一般的です。各事業部が自部門の予算案を作成し、経理・経営企画などの管理部門が全社の総合予算に調整・集約したうえで、経営層が承認します。経営層は承認を通じて、限られた経営資源をどの部門・事業に配分するかを決めます。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















