月次の試算表や決算の損益計算書は出てくるのに、「どの事業・どの部門・どの案件が稼いでいて、どこが足を引っ張っているのか」までは見えない——複数の事業や部門を抱え始めた会社でよく起きる悩みです。会社全体の数字が黒字でも、その内訳までは決算書だけでは追えません。
この内訳を自社の見たい切り口で追うための表が損益管理表です。売上・原価・利益を月次や部門別・事業別・プロジェクト別に並べ、経営判断や採算の改善に使う管理会計の道具で、決算のために作る損益計算書とは目的が異なります。
本記事では、損益管理表に載せる項目と、ゼロから作る手順を整理したうえで、月次・部門別・プロジェクト別の3つの用途別にひな形(表の形)を具体例で示します。あわせて、Excelでの管理が限界に近づくサインと、その次の一手になる管理会計システムについても紹介します。
目次
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損益管理表とは?損益計算書(P/L)との違い
損益管理表とは、売上・原価・費用・利益を、月次や部門・事業・プロジェクトといった自社が見たい単位に分けて並べ、採算を管理するための表です。会社全体で1つにまとまった数字を、意思決定に使える切り口でほぐして見えるようにするのが目的で、法律で作成が義務づけられた書類ではなく、自社の経営のために任意で作る管理会計の道具です。
名前が似ている損益計算書(P/L)とは、役割が異なります。両者の違いを先に押さえておくと、損益管理表に何を載せ、どんな単位で分けるべきかの判断がしやすくなります。
損益計算書(決算書)との違い
損益計算書は、会社法上の計算書類の一つとして作成が義務づけられた、決算のための書類です。会社法第435条第2項は、株式会社に対し各事業年度の計算書類(貸借対照表・損益計算書など)の作成を求めており、大会社は損益計算書の公告(社外への開示)も義務づけられています。このように損益計算書は、株主・金融機関・税務署など社外に向けて、確定した過去の実績を定められた様式で示すための会計です。
一方の損益管理表は、社内の意思決定のために作る管理会計の表です。作成を義務づける法令はなく、どの単位で・どこまで細かく・どんな様式で作るかは自社で自由に決められます。過去の実績だけでなく予算(計画)や着地見込みといった将来の数字も扱い、月次で回して経営判断に生かせます。
損益計算書は「社外へ報告する確定値」、損益管理表は「社内で使う管理値」と押さえると、以降の項目や切り口の設計も理解しやすくなります。

出典・参考資料(1件)
- 出典:会社法 第435条(計算書類等の作成及び保存)・第440条(計算書類の公告)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086)
損益管理表に載せる項目
損益管理表の骨格は、損益計算書と同じ「売上高から各段階の利益を順に算出する」構造です。ここに、部門別・プロジェクト別といった管理会計ならではの切り口と、共通費の配賦の考え方を加えると、採算管理に使える表になります。まずは基本の行項目となる5つの利益から確認します。
損益管理表の基本となる5つの利益
損益管理表の「行」は、売上高を起点に費用を段階的に差し引いて5つの利益を出す流れで並べます。各利益の意味と計算式は次のとおりです。
- 売上総利益(粗利):売上高 − 売上原価。商品やサービスそのものの儲けを示します。
- 営業利益:売上総利益 − 販売費及び一般管理費。本業で稼いだ利益を示します。
- 経常利益:営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用。本業に加え、利息など財務活動も含めた通常の利益です。
- 税引前当期純利益:経常利益 + 特別利益 − 特別損失。臨時の損益まで反映した、税金を引く前の利益です。
- 当期純利益:税引前当期純利益 − 法人税等。最終的に手元に残る利益です。

この5段階の利益の算式は、会社計算規則(第89条〜第94条)が定める損益計算書の表示ルールに対応しています。社内用の損益管理表で区分名をそのまま使う義務はありませんが、利益の積み上げ方の根拠として同規則を示せます。
売上高から売上原価を減じて得た額(略)は、売上総利益金額として表示しなければならない。(第89条)
出典:会社計算規則(平成18年法務省令第13号)第89条〜第91条|e-Gov法令検索
売上総損益金額から販売費及び一般管理費の合計額を減じて得た額(略)は、営業利益金額として表示しなければならない。(第90条)
営業損益金額に営業外収益を加えて得た額から営業外費用を減じて得た額(略)は、経常利益金額として表示しなければならない。(第91条)
出典・参考資料(1件)
- 出典:会社計算規則 第88条〜第94条(損益計算書等の区分・各利益の表示)|e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000010013)
ただし、部門別・プロジェクト別の損益管理表では、経常利益より下まで毎回追う必要は通常ありません。営業外損益や税金は全社でまとまる項目で、現場が動かせるのは売上総利益・営業利益までだからです。経常利益以降は全社の損益計算書で押さえ、管理表は営業利益までに絞ると運用しやすくなります。
管理会計の切り口(部門別・事業別・プロジェクト別)
損益計算書と損益管理表が最も違うのが、この「列」の切り口です。決算書は会社全体で1本ですが、損益管理表は同じ利益の構造を、自社が採算を見たい単位で横に展開します。
よく使う切り口は、店舗・事業部・拠点などの部門別、商品やサービスの事業別、受注案件ごとのプロジェクト別、取引先ごとの得意先別です。どの単位で分けるかは、組織図ではなく「どの単位で儲かっているかを知りたいか」で決めるのがポイントになります。あわせて、売上に比例して増減する変動費と、売上に関係なくかかる固定費を分けて並べると、損益分岐点や採算の構造まで見えてきます。
共通費の配賦の考え方
部門別・事業別に損益を分けるとき、必ず突き当たるのが共通費の扱いです。共通費とは、本部の家賃や役員報酬、総務・経理部門の人件費など、特定の部門に直接ひもづけられない全社的な費用を指します。各部門の売上やその部門だけで発生する費用は迷わず振り分けられますが、共通費をどの部門にどれだけ負担させるかは、各部門の利益を左右します。
この「特定の部門に直接ひもづく費用は直課し、共通する費用は適当な基準で割り振る」という分け方は、原価計算で用いられる部門別計算の考え方を、販管費を含む部門別損益の管理に応用したものです。部門ごとの採算を実態に近い形で見るための、管理会計の基本的な整理といえます。
配賦の基準は、その費用が発生する原因に近いものを選ぶのが基本です。本部の家賃・水道光熱費は各部門の床面積、本部人件費や総務費は各部門の従業員数、全社の広告宣伝費は各部門の売上高、といった具合に、「何に比例して増減するか」に近い基準を使い分けます。

ただし導入の初期は、共通費を無理に配賦しない方法も有効です。配賦の計算には手間がかかり、基準しだいで部門の黒字・赤字が変わって現場の納得も得にくいためです。まずは各部門の売上から、その部門で直接発生した費用だけを引いた部門利益(貢献利益)で評価し、共通費は全社でまとめて把握する——この形なら、配賦のルール作りで立ち止まらずに部門別の管理を始められます。
損益管理表の作り方【5ステップ】
ここからは、損益管理表をゼロから作る手順を5つのステップで整理します。表計算ソフトでも会計ソフトの集計機能でも作れますが、いきなり完璧を目指さず、集計単位を決めて部門利益まで出す段階から始めると定着しやすくなります。
- 集計単位(列)を決める:月次・部門別・事業別・プロジェクト別など、採算を見たい単位を決めます。まずは1〜2軸に絞るのがおすすめです。
- 売上・原価・費用を費目で集計する:日々の仕訳や試算表のデータを、売上高・売上原価・販管費といった費目ごとに、決めた集計単位で振り分けます。
- 各段階の利益を算出する:売上総利益・営業利益・経常利益…と、上から順に費用を差し引いて利益を計算します。部門別に見るなら、まずは共通費を配賦しない部門利益(貢献利益)まで出します。
- 月次・部門別に並べて可視化する:算出した数字を、縦に損益項目・横に月や部門を取った表に並べ、どこが稼ぎ、どこが赤字かを一目で分かる形にします。
- 予算と実績を対比して差異を分析する:計画(予算)と実績を並べ、差異(ズレ)とその原因を確認します。この予実対比を毎月繰り返すことで、損益管理表が改善のための道具になります。
ポイントは、3〜4ステップ目までで一度形にして運用を始めてしまうことです。粗くても毎月の損益を見る習慣をつくるほうが、完璧な集計を準備するより経営判断への効果は早く表れます。
5ステップ目の予実対比について、予算の立て方・実績の集め方から差異の原因分析までの進め方を手順を追って知りたい場合は、次の記事でExcel予実管理表の作り方とあわせて解説しています。
用途別の損益管理表のひな形(月次・部門別・プロジェクト別)
損益管理表の行項目は共通でも、列の取り方は用途によって変わります。ここでは代表的な3つの用途について、そのまま自社の数字に置き換えて使える表の形をモデル数値入りで示します。
下の各表は、項目(行)と集計単位(列)をそのままExcelやスプレッドシートに写し、数値を自社のものに入れ替えればひな形として使えます。まずはこの行×列の構造を押さえると、どのひな形が自社に合うかを選びやすくなります。
ゼロから枠を作りたくない場合は、Microsoft Excelが公開している無料の損益計算書テンプレートなどを土台に、下記の管理会計の切り口(部門別・月次・プロジェクト別)の列を足していく方法もあります。
月次損益管理表
月ごとの損益の推移を追う、最も基本的な形です。縦に損益項目、横に各月を並べ、売上から営業利益までを月単位で積み上げます。下の例は実績の推移を示したもので、各月を「予算・実績・差異」に分ければ、計画とのズレもその場で確認できます。
| 項目(金額:千円) | 売上高 | 売上原価 | 売上総利益 | 販売費及び一般管理費 | 営業利益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 4,800 | 1,950 | 2,850 | 2,420 | 430 |
| 5月 | 5,200 | 2,050 | 3,150 | 2,450 | 700 |
| 6月 | 5,500 | 2,150 | 3,350 | 2,480 | 870 |
| 第1四半期 累計 | 15,500 | 6,150 | 9,350 | 7,350 | 2,000 |
※仕組みを示すためのモデル数値(実績)です。各月をさらに「予算・実績・差異」の列に分ければ予実管理に、12か月まで伸ばせば年間の推移になります。
部門別損益管理表
複数の店舗・事業部・拠点の採算を比べる形です。縦に損益項目、横に部門を並べ、右端に全社合計を置きます。共通費を配賦する場合は、部門利益(貢献利益)の下に配賦額と配賦後の営業利益の行を足します。
| 項目(金額:千円) | 売上高 | 変動費 | 限界利益(売上高−変動費) | 部門個別の固定費 | 部門利益(貢献利益・配賦前) | 共通費(本部費)の配賦額 | 営業利益(配賦後) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A事業部 | 20,000 | 8,000 | 12,000 | 8,500 | 3,500 | 1,600 | 1,900 |
| B事業部 | 10,000 | 4,500 | 5,500 | 5,200 | 300 | 800 | -500 |
| 全社合計 | 30,000 | 12,500 | 17,500 | 13,700 | 3,800 | 2,400 | 1,400 |
※仕組みを示すためのモデル数値です。ここでは本部費を売上高の比で配賦しています。配賦前の部門利益ではB事業部も黒字ですが、配賦後は赤字になります。両方を分けて見ることで、撤退の判断を早まらずに済みます。
プロジェクト別損益管理表
受注案件や工事・開発プロジェクトごとの採算を管理する形です。縦に売上・直接費(外注費・材料費・人件費など)・プロジェクト利益を並べ、横に各プロジェクトを置きます。人件費は、担当者の稼働時間に時間単価を掛けて各プロジェクトに割り当てると実態に近づきます。
| 項目(金額:千円) | 売上高 | 外注費・材料費 | 人件費(稼働時間×単価) | プロジェクト利益 |
|---|---|---|---|---|
| PJ-A | 6,000 | 2,400 | 2,000 | 1,600 |
| PJ-B | 3,500 | 1,000 | 1,800 | 700 |
| PJ-C | 2,000 | 900 | 1,300 | -200 |
※仕組みを示すためのモデル数値です。PJ-Cのように、売上はあっても人件費・外注費を差し引くと赤字になる案件を早期に把握できると、見積もりや要員配置の見直しにつなげられます。
ここに挙げた3種類は基本の型です。横軸の見出しを入れ替えれば、同じ作りのまま事業別・得意先別・商品別など自社で見たい切り口に応用できます(たとえば部門別の表の横軸を「得意先A・B・C」に置き換えれば得意先別損益管理表になります)。いずれの表も、上の構成をそのままExcelやGoogleスプレッドシートに写し、自社の勘定科目と数値に差し替えればすぐに使えます。
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Excel管理の限界と、次の一手としての管理会計システム
損益管理表はExcelやスプレッドシートから始められますが、管理の範囲が広がると手作業での運用はいずれ限界を迎えます。次のような症状が出てきたら、管理会計システムへの移行を検討するサインです。
- 部門・拠点・プロジェクトが増えた:集計対象が増えるほどシートが分裂し、全社を束ねる作業が重くなります。
- 共通費の配賦が多段階になった:本部費を部門へ、さらに部門費を製品へ、と複数段階の配賦が必要になると、手計算では間違いが起きやすくなります。
- 月次の締めが遅い:各部門からのファイル回収と集計に時間がかかり、数字が出るころには手を打つタイミングを逃している状態です。
- 担当者に属人化している:複雑な関数やシート構成が特定の担当者しか分からず、その人が不在だと更新できない状態です。
管理会計システムは、会計ソフトから実績データを自動で取り込み、勘定科目より細かい粒度での損益管理や、部門・事業・プロジェクト別の予実の突合をクラウド上で行えます。製品によっては、共通費の多段階配賦の自動化にも対応します。これにより、Excel管理で起きがちな集計ミスや属人化、月次締めの遅れを解消しやすくなります。
ここでは、脱Excelの代表的な選択肢を紹介します。より多くの製品を条件で比べたい場合は、後述の管理会計システムの比較記事もあわせてご覧ください。
部門数が少ない小規模なうちは、会計ソフトの部門機能(部門タグ)で損益を分けるだけでも十分なことが多くあります。以下で紹介する管理会計システムは、複数の部門・事業・拠点の予実を一元管理したい中堅以上の企業が主な対象です。自社の規模と管理したい範囲に照らして選んでください。
| サービス名 | DIGGLE(ディグル) | X-KPI(クロスケーピーアイ) | Scale Cloud(スケールクラウド) |
|---|---|---|---|
| 提供形態・位置づけ | 予実管理特化の 経営管理クラウド | KPI・予実管理の クラウドツール (日経グループ) | PLとKPIを統合する 経営管理クラウド |
| 損益管理の切り口 | 部門別・事業別 (勘定科目より 細かい粒度で管理) | 部門・拠点・ プロジェクト別 (KPIと予実を集約) | 部門別・得意先別・ プロジェクト別のPL管理 |
| 共通費の配賦 | ◎多段階配賦に対応 | △多段階配賦は要確認 | △公式記載なし |
| 会計データ連携 | freee・マネーフォワード・ 勘定奉行クラウド・弥生 等 とAPI/CSV連携 | 会計ソフト・グループ ウェアとAPI連携、ETLで Excel/CSV・基幹を取込 | 勘定奉行クラウド・freee・ Salesforce・Google スプレッドシート 等 |
| 対象規模 | 中堅〜大企業 (上場企業の導入事例あり) | 中堅〜大企業 (複数部門のKPI・ 予実を一元把握) | 中堅〜大企業 (従業員100〜3,000名 の事例) |
| 料金目安(月額) | 要問い合わせ (Standard / Enterprise の2プラン・見積制) | 要問い合わせ (金額非公開) | 月額15万円〜 (他資料に10万円〜の記載) 初期費用にKPI設計コンサル |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
※料金・機能は2026年10月時点の各社公式情報・掲載情報にもとづく目安です。最新の内容は各社の公式資料でご確認ください。
1. DIGGLE(ディグル株式会社)

予実管理に特化し、予算・実績・見込をクラウド上で一元管理できるのがDIGGLE(ディグル)です。会計システムからのデータ取り込みと予実の突合を自動化し、勘定科目より細かい粒度で損益を管理・分析できます。公式サイトでも「属人的なエクセル業務をなくし、経営判断をより早くより正確に」と、脱Excelを正面から掲げているのが特徴です。
共通費の配賦では、配賦元・配賦先・配賦基準を設定できる多段階配賦に対応し、配賦ルールをワンクリックで切り替えて結果を比較することもできます。導入事例では、8事業部の予測管理を表計算ソフトで運用していた企業が、着地見込み更新の工数を削減し、差異分析と対応策の準備期間を広げられたと公表されています。料金はStandard・Enterpriseの2プランで、いずれも見積もり制です。
2. X-KPI(株式会社パブリックアイデンティティ)

X-KPI(クロスケーピーアイ)は、日経グループの株式会社パブリックアイデンティティが提供する、KPIと予実管理のためのクラウドツールです。部門・拠点・プロジェクトごとのKPIと予実データをクラウド上に集約し、予算と実績の差異や異常値を自動で検知して共有できる点を訴求しています。KPI項目やダッシュボードをノーコードで設計できるため、自社の管理したい切り口に合わせて組み立てられます。
会計ソフトやグループウェアとのAPI連携に加え、ETL機能で基幹システムや各部門のExcel・CSVを取り込めると案内されています。親会社の日本経済社では、営業部員が個々のExcel帳票で見込みを管理していた属人的な運用を、X-KPI上での一元化によって解消した自社導入事例を公開しています。料金は要問い合わせで、資料請求や個別相談で確認する形です。
※X-KPIの機能・料金は変更される場合があります。詳細は公式の最新資料でご確認ください。
3. Scale Cloud(株式会社Scale Cloud)

Scale Cloud(スケールクラウド)は、財務数値(PL・BS・CF)と非財務のKPIを関連づけて一元管理する経営管理クラウドです。部門別・得意先別・プロジェクト別のPL管理に対応し、KPIを積み上げて予算を作る方式や、複数パターンでの着地見込みのシミュレーションができる点を強みとしています。公認会計士である代表のコンサルティング知見を背景に設計されています。
勘定奉行クラウド・freee・Salesforce・Googleスプレッドシートなどと連携し、会計データと事業のKPIを同じ基盤に集約できます。導入事例では、Excel・スプレッドシートからの乗り換えで予実管理の工数が約6分の1になったケースが公表されています。
料金は公式サイトで月額15万円からと案内され、初期費用にはKPI設計のコンサルティングが含まれます。導入前の相談や見積もりは、オンラインの個別相談から依頼できます。
損益管理表は「どの部門・どの案件が稼いでいるか」という結果を部門別・プロジェクト別に可視化する管理会計の道具ですが、その結果に至ったプロセスまでは数字の並びからは読み取りにくい、という課題もあります。この点について、Scale Cloudを提供する広瀬氏は、独自インタビューで次のように述べています。
従来の管理会計では、財務データを部門別や得意先別など様々な切り口で分析するのですが、それだけでは「この結果にどうやって至ったのか」というプロセスがまったくわからないです。事業の状況を正しく理解するためには、結果だけでなくそこに至るプロセスも含めて把握しなければ、どこに問題があるのか見えてこない。これが管理会計の限界だと感じていました。そのプロセスを把握するために何を見ればいいかというと、KPIのデータになります。
ここで取り上げた3製品は代表的な選択肢です。対象規模や会計ソフトとの連携、共通費の配賦への対応範囲といった条件で管理会計システム全体を見比べたい場合は、各製品を目的・規模別に比較した次の記事が選定の起点になります。
まとめ
損益管理表は、決算のための損益計算書とは別に、売上・原価・利益を月次や部門別・プロジェクト別といった自社の見たい単位で追い、採算を管理するための表です。基本の行は売上高から5つの利益までの流れで組み、そこに管理会計の切り口と、必要に応じて共通費の配賦を加えて設計します。
作るときは、集計単位を決めて部門利益まで出す段階から始め、月次の予実対比を習慣にするのが続けるコツです。用途別のひな形に自社の数字を当てはめればExcelでも運用できますが、部門やプロジェクトの増加・共通費の多段配賦・月次締めの遅れ・属人化といった限界が見えてきたら、会計データを自動で取り込んで損益を管理できる管理会計システムへの移行を検討してください。
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損益管理表に関するよくある質問(FAQ)
Q. 損益管理表とは何ですか?
A. 損益管理表とは、売上・原価・費用・利益を、月次や部門・事業・プロジェクトといった自社が見たい単位に分けて並べ、採算を管理するための表です。法律で作成が義務づけられた書類ではなく、会社全体で1つにまとまった数字を、意思決定に使える切り口にほぐして見るための管理会計の道具です。決算のために作る損益計算書(P/L)とは目的が異なります。
Q. 損益管理表と損益計算書(P/L)は何が違うのですか?
A. 損益管理表と損益計算書の違いは、損益計算書が社外へ報告する決算用の「確定値」であるのに対し、損益管理表は社内の意思決定に使う「管理値」である点です。損益計算書は会社法で作成が義務づけられ、定められた様式で過去の確定実績を示します。一方の損益管理表は、どの単位で・どこまで細かく・どんな様式で作るかを自社で自由に決められ、予算(計画)や着地見込みといった将来の数字も月次で扱える点が特徴です。
Q. 損益管理表は誰が作るべきですか?作成は義務ですか?
A. 損益管理表の作成を義務づける法令はなく、部門・事業・プロジェクト単位で採算を把握したい会社が、経営判断のために任意で作る表です。実務では経理・財務や経営企画などの管理部門が中心となって作成します。特に、複数の部門や事業を抱え始め、会社全体の決算書だけでは「どこが稼ぎ、どこが足を引っ張っているか」の内訳が見えなくなってきた会社ほど、作る効果が大きくなります。
Q. 損益管理表はExcelでどこまで作れますか?
A. 損益管理表は、月次・部門別・プロジェクト別のいずれもExcelやスプレッドシートで作成でき、予算と実績を対比する予実管理まで対応できます。多くの会社はExcelから始めて問題ありません。
ただし、部門・拠点・プロジェクトの増加、共通費の多段階の配賦、月次締めの遅れ、特定担当者への属人化が目立ってきたら、会計データを自動で取り込んで損益を管理できる管理会計システムへの移行を検討するタイミングです。
Q. 損益管理表で部門別・プロジェクト別の損益はどう持たせればよいですか?
A. 損益管理表で部門別・プロジェクト別の損益を見るには、売上から各段階の利益を出す「行」はそのままに、部門やプロジェクトを「列」として横に展開します。各部門・各案件の売上と、そこで直接発生した費用を割り当て、まずは共通費を配賦しない部門利益(貢献利益)まで出すと始めやすくなります。プロジェクト別では、人件費を担当者の稼働時間×時間単価で各案件に割り当てると、実態に近い採算が見えてきます。
Q. 損益管理表で共通費(本部費)はどう扱えばよいですか?
A. 損益管理表の共通費は、特定の部門に直接ひもづく費用は直課し、本部家賃や総務・経理の人件費など全社共通の費用は、床面積・従業員数・売上高など発生原因に近い基準で各部門に配賦するのが基本です。ただし導入初期は無理に配賦せず、各部門の売上から直接費だけを引いた部門利益で評価し、共通費は全社でまとめて把握する方法が、配賦ルール作りで立ち止まらずに部門別の管理を始められるためおすすめです。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。


















