交通費や出張費、立替経費の精算を専用ツールやExcelで回す一方、会計や購買は別の基幹システムで動いている。こうした分断を抱えたまま事業が拡大すると、仕訳の二重入力や立替金の消込、証憑の突合に担当者の時間が奪われていきます。経費精算だけを効率化しても、会計や購買とデータがつながらなければ、月次の採算は月末まで見えず、申請や証憑の管理も別建てのまま残ります。
そこで検討したいのが、経費の申請・承認・精算を会計や購買と同じ基盤で扱えるERP(統合基幹業務システム)です。ただしERPは製品数が多く、経費管理をどこまで一体で扱えるかは提供元(ベンダー)によって差があります。経費精算を標準モジュールとして持つ製品もあれば、別製品の連携を前提とする製品もあります。
この記事では、経費管理を会計・購買と一体で扱えるERPを「提供元のタイプ別」に整理し、経費管理機能の深さ・対応業務範囲・提供形態・費用・対象規模の観点で比較します。自社に合うタイプを早く絞り込みたい場合は、下のサービス診断から始めてください。
目次
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本記事の対象範囲
本記事は、経費の申請・承認・精算を会計や購買と一体で扱えるERPと、その提供元の比較に絞って解説します。取り上げるのは、経費をERPの一機能として扱える製品です。同じ提供元の基盤に組み込まれたモジュールのほか、同じ提供元の経費精算サービスと標準連携する製品も含みます。
経費を他社の独立した製品(別のSaaS)に委ねる構成や、経費精算を持たない財務会計単体のソフトは、本記事が比較する「経費を一体で扱えるERP」の範囲には入りません。
一体化の度合いは製品によって差があります。精算データが同じ基盤でそのまま会計へ反映される製品もあれば、経費を別モジュールや外部の会計ソフトとの連携で扱う製品もあります。この違いは、後掲の比較表の「会計への自動反映」列(●は同じ基盤で自動反映、△は別モジュールや外部連携)で確認できます。
ERP全体を企業規模・提供形態・費用の観点で幅広く比較したい場合は、下記の総合比較記事で主要製品を横並びに確認できます。本記事は「経費管理の一体化」という切り口で、自社に合う提供元を数社に絞り込むための材料を提供します。
ERPで経費管理まで一体化するとは
「経費管理をERPで一体化する」とは具体的に何を指すのか、まず概念と、会計・購買とつなぐ価値を整理します。
ERPの経費管理とは何か
ERPの経費管理とは、交通費・出張費・交際費などの申請、承認ワークフロー、精算、会計仕訳への反映までを、会計や購買といった基幹業務と同じ基盤で扱う仕組みを指します。経費精算の専用システムが「経費の申請から精算まで」を独立して完結させるのに対し、ERP内蔵の経費管理は、精算データがそのまま総勘定元帳の仕訳や支払データへつながる点に特徴があります。
扱う範囲は製品によって幅があります。モバイルからの申請や領収書のOCR読み取り、法人カード明細の取り込み、承認経路の設定、プロジェクト単位での経費の割り当てなど、どこまで標準で備えているかは提供元ごとに異なります。自社がどの機能を必要とするかを先に把握しておくと、製品の比較がしやすくなります。
会計・購買と一体化するメリット
経費管理を会計・購買と一体化する最大の利点は、精算データが会計へ自動で連動し、転記や二重入力が減ることです。承認された経費レポートがそのまま仕訳として計上されれば、経理部門が経費精算システムの出力を会計ソフトへ手で取り込む作業がなくなります。
部門別・案件別の経費を基幹データと同じ粒度で把握できる点も見逃せません。経費が購買や売上と同じ基盤にあれば、どの部門・どの案件にいくらかかっているかを、月末の集計を待たずに確認できます。申請の進捗や未精算の立替金も一元的に見えるため、申請漏れや不正の防止にもつながります。
こうした一元化の発想は、そもそもERPが何のために生まれたのかという点にもつながります。クラウドERP「Oracle NetSuite」を提供する日本オラクルの担当者は、製品の開発背景を次のように語ります。
もともとは、創業者のEvan Goldberg(エバン・ゴールドバーグ)が自身の経営経験の中で感じた課題が出発点になっています。会計は会計のシステム、在庫は在庫のシステム、というように業務ごとにシステムが分かれていると、データが分断されてしまって、経営者が全体を見ようとしてもなかなか正確な数字がつかめません。実際に彼自身がその苦労をしていました。そこで、あらゆる業務を一つの基盤で一元管理して、経営者がどこからでもリアルタイムにデータを確認できるようにしたい、という発想からクラウドERPという形にたどり着きました。
経費精算の単体ツールとERP内蔵はどう選び分けるか
ここからは、経費精算の専用システム(単体ツール)とERP内蔵の経費管理を、どう選び分ければよいかを解説します。

経費精算単体ツールとERP内蔵の違い
経費精算の単体ツールは、経費の申請・承認・精算に機能を絞り込んでいます。導入が速く、モバイル申請や領収書OCR、交通系ICの読み取りといった現場の使い勝手が磨かれている製品が多いのが強みです。会計や購買とは、API連携やデータ出力を通じてつなぐ構成になります。
一方、ERP内蔵の経費管理は、経費を会計・購買・人事などと同じ基盤の一機能として扱います。精算データが追加の連携作業なしで会計へ流れ、経費を含む基幹業務全体を1つのシステムで運用できます。その分、経費精算だけを見れば単体ツールのほうが申請画面の作り込みで優れる場合もあり、どちらが適するかは自社の優先順位で変わります。
経費を別システムに残す分断コスト
経費精算だけを別システムに残す選択には、見えにくいコストがあります。精算データを会計へ取り込む際の手作業、立替金の消込や仮払金の管理、証憑と会計データの突合といった業務が、システムの境目に残り続けるためです。
連携で自動化できる範囲もありますが、マスタの二重メンテナンスや、科目・部門コードの対応づけの維持は手間として残りがちです。経費の金額規模が大きく、部門別・案件別の採算管理をリアルタイムで行いたい企業ほど、この分断が経営判断の遅れとして効いてきます。単体ツールの導入しやすさと、分断が残すこうした手間を天秤にかけることが、選び分けの出発点になります。
どちらを選ぶべきか
経費精算だけを早く効率化したい、会計や購買は当面いまのシステムで十分という場合は、単体ツールが現実的な選択です。導入の負担が軽く、現場の申請体験を重視できます。
反対に、会計・購買・在庫などを含めて基幹システムを刷新する時期に来ている、経費を含めた部門別・案件別の採算を一元的に見たい、精算と会計の連携作業をなくしたい、といった状況では、経費管理まで一体で扱えるERPが向いています。判断の軸は、分断が残す手間の大きさと、一体化で得られる採算の見通しやすさを、自社の規模・既存の経費運用・会計購買との連携要否に照らして比べることです。
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自社がどのタイプのERPに向くか迷う場合は、下の診断で質問に答えると、合う提供元タイプと製品の候補が分かります。
経費管理まで一体化できるERPの選び方
提供元を数社に絞り込むうえで、押さえておきたい比較軸を順に見ていきます。
経費管理機能の深さは足りているか
同じ「経費管理に対応」でも、実際の機能の深さは製品ごとに差があります。確認したいのは、承認ワークフローを自社の経路(金額基準の分岐・代理承認など)に合わせて設定できるか、領収書のOCR読み取りに対応するか、法人カードの明細を取り込めるか、精算データが会計へ自動反映されるか、スマートフォンから申請・承認できるか、といった実務機能です。
海外拠点を持つ企業であれば、多通貨の経費や各国の税制への対応も判断材料になります。自社で必要な機能を先に洗い出し、その機能が標準モジュールに含まれるのか、別ライセンスやオプションになるのかを、資料や問い合わせで確かめることが、過不足のない比較につながります。
案件別の経費を採算に直結できるか
IT・広告・建設・コンサルティングなど、案件(プロジェクト)単位で採算を管理する事業では、経費を案件に直接ひもづけられるかが重要な軸になります。工数に基づく労務費、外注費、交通費やソフト利用料といった経費を、案件ごとの予定原価・実績原価に組み込めれば、赤字プロジェクトを月末を待たずに察知できます。
経費の申請・承認が案件コードとひもづき、購買の発注や工数と同じ基盤で原価に反映される仕組みを持つかどうかで、採算の見通しやすさが変わります。プロジェクト型の事業では、この点を比較軸に加えると、自社に合う提供元が絞りやすくなります。
対応業務範囲と提供形態は合っているか
経費管理だけでなく、会計・販売・購買・在庫・人事給与のうち、自社がERPで一体化したい範囲をカバーしているかを確認することが重要です。経費と会計だけを一体化したいのか、販売・在庫まで含めて刷新したいのかで、適する製品は変わります。
提供形態も実務に影響します。クラウド型は初期の負担を抑えて導入が速く、バージョンアップが自動で行われる製品が多い一方、オンプレミス型は自社に合わせた作り込みの自由度があります。あわせて、開発元が直接販売する製品か、代理店(パートナー)経由で導入・保守を受ける製品かも、導入後の問い合わせ窓口に関わるため確認しておきたい点です。
経費管理まで含めたERPの費用相場をどう見るか
ERPの費用は、提供形態・利用規模・カバーする業務範囲で大きく変わり、公開されていない製品も少なくありません。一般的な傾向として、クラウド型は初期費用を抑えてユーザー数や機能に応じた月額で利用し、オンプレミス型は初期の構築費用が大きくなりやすい、という違いがあります。
経費管理に関しては、経費精算が会計モジュールに含まれるのか、別ライセンスのオプションなのかで総額が変わります。正確な費用は利用人数・拠点数・必要な業務範囲を前提に見積もりを取るのが確実です。本記事の比較表やサービス診断から、候補の資料をまとめて請求して比べることをおすすめします。
導入後5〜10年を見据えた提供元を見極められているか
ERPは導入して終わりではなく、保守・運用・制度対応で提供元と長く付き合うことになります。だからこそ、自社と同じ業種・規模での導入実績があるか、法改正や機能追加に継続して対応しているか、問い合わせやトラブル時のサポート体制が整っているかを確かめることが、提供元選びの核心になります。
開発元が直接サポートするのか、代理店が窓口になるのかによって、要望の伝わり方や対応の速さも変わります。製品の機能だけでなく、長期にわたって自社の経費・会計運用を任せられる相手かどうかという視点で、複数の提供元を比べておくと安心です。
経費管理をERPに一体化する際の注意点
一体化を進める際に陥りやすいのが、既存の経費ルールや承認経路をそのままシステムに持ち込もうとして、過度なカスタマイズに費用と期間が膨らむケースです。例外処理を増やしすぎず、全社で共通化できる範囲を決めてから導入するほうが、定着しやすくなります。
既存システムとの連携や、法人カード・交通系サービスとの接続の可否も、導入前に確認しておきたい点です。現場の運用が大きく変わる場合は、申請者・承認者へのトレーニングや段階的な移行も、定着を左右します。
【比較表】経費管理機能とERPの提供元比較
ここからは、経費管理を一体で扱える主要なERPを、経費管理機能の深さ・対応業務範囲・提供形態・対象規模の観点で横並びに比較します。提供元のタイプもあわせて示すので、自社に合う候補を絞り込む際の目安にしてください。
| サービス名 | Odoo(マルウェブ) | マネーフォワード クラウドERP | freee 統合型 ERP | SmileWorks | SMILE V 2nd Edition | 奉行V ERPクラウド | OBIC7 | GRANDIT | HUE | PROACTIVE | Biz∫ | SuperStream-NX | Oracle NetSuite | Oracle Fusion Cloud ERP | Dynamics 365 Finance | Dynamics 365 Business Central | Workday Financial Management | IFS Cloud | クラウドERP ZAC | MA-EYES | Reforma PSA | プロカン |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供元タイプ | 中堅・中小向けクラウドERP | 中堅・中小向けクラウドERP | 中堅・中小向けクラウドERP | 中堅・中小向けクラウドERP | 中堅・中小向けクラウドERP | 中堅・中小向けクラウドERP | 大企業向け統合ERP | 大企業向け統合ERP | 大企業向け統合ERP | 大企業向け統合ERP | 大企業向け統合ERP | 大企業向け統合ERP | 外資系グローバルERP | 外資系グローバルERP | 外資系グローバルERP | 外資系グローバルERP | 外資系グローバルERP | 外資系グローバルERP | プロジェクト経費特化ERP | プロジェクト経費特化ERP | プロジェクト経費特化ERP | プロジェクト経費特化ERP |
| 会計への自動反映 | ● | ● | ● | ● | ● | △会計本体は自動仕訳・経費精算は別連携サービスを追加 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | △経費は別モジュール | △詳細は要問い合わせ | △案件原価は内蔵・財務会計は仕訳連携 | △会計モジュール内蔵・財務会計は外部連携も可 | △案件原価は内蔵・外部会計へは固定フォーマットの仕訳ファイル出力(勘定奉行クラウド等) | △外部会計と連携(弥生・freee・勘定奉行・マネーフォワード) |
| 領収書OCR | ● | ● | ● | △有償オプション | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | ● | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | ●日本語精度は要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | △オプション | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 法人カード連携 | 要確認 | ● | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | △国内カード自動連携は要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| モバイル申請 | ● | ● | ● | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | △モバイルアプリ/Teamsで申請・承認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | ● | 要確認 | 要確認 | 要確認 | △承認はモバイル可(オプション) | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 費用の目安 | 本体 月22ドル/ユーザー〜 (1アプリは無料・導入支援は別途) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 初期3万円+月1万円〜 (経費精算はオプション月5,000円・税別) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 初期2,000万円〜 (公式FAQ目安・個別見積もり) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 月31,484円/ユーザー〜 (税抜・年払い相当) | 月11,994円/ユーザー〜 (税別・年払い相当) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 初期10万円+月6万円〜 | 要問い合わせ | 初期0円・月3万円〜 (経費管理300円/ユーザー・税抜) | 初期15万円+月3万円〜 (税抜。税込16.5万円+月3.3万円) |
| 対象企業規模 | 中小企業 | IPO準備〜上場企業 | 中小・成長企業(IT・コンサル・広告など) | 中小企業 | 中堅・中小(年商100億円未満) | 中堅〜上場・グループ | 中堅〜大企業 | 中堅〜大企業 | 大企業(年商1,000億円以上中心) | 中堅〜大企業(年商100億円以上) | 大手企業(年商500億円以上) | 中堅〜大企業 | 中堅〜大企業・グローバル | 大企業・グローバル | 大企業(57か国・67言語) | 中小〜中堅 | 大企業・エンタープライズ | 大企業(資産集約型産業) | 中堅(プロジェクト型) | 中小〜中堅(プロジェクト型) | 中小(50名以下目安) | 中小〜中堅(プロジェクト型) |
| 提供形態 | クラウド・オンプレミス | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド・オンプレミス | クラウド | オンプレミス・専用クラウド | クラウド・オンプレミス | クラウド・オンプレミス | クラウド・オンプレミス | クラウド・オンプレミス | クラウド・オンプレミス | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド(3形態) | クラウド | クラウド |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※各社の公式情報にもとづく(2026年10月時点)。「要確認」は公式情報で確認できなかった項目です。費用の目安は製品ごとに基準が異なり(ユーザー1人あたりの月額/初期費用+月額/非公開の「要問い合わせ」など)、料金に含む範囲も経費精算が標準か別オプションかで変わります。同じ条件で比べるには、利用人数・拠点数・必要な業務範囲を前提に各社の見積もり・資料で確認してください。
提供元タイプ別のおすすめERP・ベンダー
以下では、経費管理を会計・購買と一体で扱えるERPを、提供元のタイプ別に紹介します。自社の規模や経費管理で重視する点に近いタイプから読むと、候補を絞りやすくなります。

中堅・中小向けクラウドERP(経費精算を標準装備・スモールスタート)
会計を軸に経費精算を標準で備え、必要な業務から段階的に導入できるクラウド中心の提供元です。モバイル申請やインボイス・電子帳簿保存法への対応、料金の分かりやすさを強みとする製品が多く、成長期の企業が無理なく一体化を始めやすいタイプです。
1. Odoo導入・開発・業務統合支援(株式会社マルウェブ)

マルウェブが提供するのは、オープンソースERP「Odoo」の導入からカスタマイズ、運用定着までを一貫して支援するサービスです。Odooは販売・在庫・会計・CRMなどの機能を「アプリ」として必要な分だけ追加・統合でき、会計アプリには請求や経費の処理も含まれます。
導入は販売・在庫からのスモールスタートや、会計・CRMの段階的な追加など、使う範囲から始められます。本体ライセンスはアプリ数ではなくユーザー数に応じた課金で、1アプリのみなら無料、2つ以上の利用で月額が発生します。
スタンダードは1ユーザーあたり月22ドル(Odoo公式の料金ページに記載された、初回ユーザー向け12ヶ月割引の適用後価格)です。日本円での請求額や国内の導入支援費用は、マルウェブの見積もりで確認できます。
マルウェブは要件定義・Fit & Gap分析から外部システム連携、データ移行、研修、公開後の運用支援までの6工程を支援範囲に掲げ、日本とベトナムのハイブリッド体制で開発を進めます。導入期間は標準機能中心で2〜3ヶ月、カスタマイズや外部連携を含む場合は3〜6ヶ月が目安で、導入支援費用は別途個別見積もりです。
どの業務から一体化を始め、どこまでを一度に導入するかの見極めについて、マルウェブの担当者は次のように説明します。
判断の軸は大きく2点です。一つは、お客様が今どの業務をどのように運用していて、Odooのアプリで言えばどの領域を使うことになるのか。もう一つは、予算と優先順位です。この2点は要件定義とフィット&ギャップ分析の段階でお伝えしながら整理していきます。たとえば「まずは販売と在庫と会計だけでスタートしましょう」という形で始めて、使い方に慣れてきたら会計やCRMを段階的に追加していく、といった進め方をご提案することもあります。カスタマイズがあまり必要でなければスモールスタートをお勧めしますし、業務が特殊な場合はカスタマイズに時間はかかりますが、そこはしっかり作り込んでいきましょうとご提案しています。
2. マネーフォワード クラウドERP(株式会社マネーフォワード)

会計・請求・経費・債権債務・人事労務・勤怠・給与といったモジュールを組み合わせて使う、株式会社マネーフォワードのコンポーネント型クラウドERPです。必要な業務から1つずつ導入し、事業の成長に合わせて構成を変えられます。IPO準備から中堅・上場企業までを対象としています。
経費精算モジュールで申請・承認したデータは、会計モジュールの仕訳へそのまま連動します。経費の料金は月間のアクティブユーザー数に応じた従量課金で、その月に経費明細の登録や申請を行わなかったユーザー分は課金されません(管理・承認権限のユーザーは対象)。
電子帳簿保存法・インボイス制度に対応し、JIIMA認証を取得しています。導入は最短1ヶ月(公式)。月額・初期費用は利用人数やプランで変わるため要お問い合わせで、初期設定には導入支援費用が発生します。
3. freee 統合型 ERP(freee株式会社)

クラウド会計freeeで知られるfreee株式会社が2023年8月に提供を開始した、中小・成長企業向けの統合型ERPです。会計・請求・工数管理・案件管理・経費・給与・人事労務を1つのプラットフォームで扱います。
経費はfreee経費精算・支出管理として会計と同じ基盤にあり、申請・精算のデータがそのまま会計へ流れます。工数管理で集計した時間単価ベースの人件費を案件に連携し、案件別の売上・原価分析ができる点が、受託型・請負型のビジネスに向いています。
提供開始時点ではIT・コンサル・広告など無形商材を扱うサービス業を対象とし、在庫を持つ有形商材向けの拡大も計画されています。利用にはfreee販売のスタンダードプランが必要で、統合型ERP単体の料金は非公開です(参考: freee販売スタンダードは10名利用で月額40,000円・税抜・年払い)。
4. SmileWorks(株式会社スマイルワークス)

販売・仕入・在庫から財務会計・給与計算・勤怠までをひとつのシステムに統合した、株式会社スマイルワークスの中小企業向けクラウドERPです。販売や購買などの業務データから会計仕訳を自動で生成する設計で、売上・仕入・経費・社内工数を案件単位で集計するプロジェクト別収支管理を主軸としています。
機能はモジュール単位で選ぶカフェテリア方式で、販売ERPプランは月額5,000円から、標準プランは初期30,000円+月額10,000円(最初のモジュール、2つ目以降は各7,000円。いずれも税別・5ID)で始められます。経費精算は月額5,000円(税別)のオプションとして追加します。
インボイス制度と電子帳簿保存法に対応し、会計機能(会計ワークス)はJIIMA認証を取得しています。証憑のデータ化には、Microsoft提供エンジンを使うAI-OCR(有償オプション)も用意されています。
5. SMILE V 2nd Edition(株式会社大塚商会)

1979年発売の「SMILE」シリーズを源流とする、株式会社大塚商会の国産統合型基幹業務システムです(開発元は大塚商会グループの株式会社OSK)。2022年に現行の「2nd Edition」へリニューアルし、販売・会計・人事給与を中核に、19種の業種別テンプレートや生産管理製品を組み合わせて構成します。
会計モジュールは経費精算・決算処理・固定資産管理を備え、財務会計と管理会計の両方に対応します。精算や仕訳を販売・人事給与と同じ基盤で扱えるため、部門をまたいだ経理処理を一元化できます。
提供形態はオンプレミス版とクラウド版「SMILE V Air」(最大50ライセンス)から選べます。料金は要お問い合わせ(非公開)。中堅・中小企業向け(年商100億円未満企業)ERPライセンス売上高シェアで12年連続1位(矢野経済研究所調べ、2025年8月時点、公式サイトより)、全国280拠点超・約600名のサポート体制を公表しています。
6. 奉行V ERPクラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

会計・販売管理・人事労務の3領域を核とする、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)のSaaS型統合ERPです。証憑処理・固定資産管理・グループ経営管理までを1つのプラットフォームで扱います。中小からSaaSでスモールスタートでき、成長後は上場・グループ企業の要件まで同じ基盤でカバーできる対応範囲が、このタイプの中では広い部類に入ります。
会計は制度会計・管理会計に加え、電子帳簿保存法に対応した証憑収集・管理や、業務ごとの承認フロー構築を備えます。経費精算は連携サービスとして扱える構成で、承認・証憑の電子化と合わせて申請から会計までをつなげます。
IFRS対応・新リース会計基準対応・連結会計支援・グループ経営管理など、上場・グループ企業向けの機能を標準機能や連携で提供します。奉行シリーズの累計導入は86万件、うち上場企業導入は1,736社(いずれも公式サイト、2026年8月末時点)。料金は個別見積もり(要お問い合わせ)で、SOC1/SOC2 Type2報告書の取得やFISC安全対策基準準拠、ISMAP登録を公表しています。
大企業向け統合ERP(経費・購買・承認ワークフローを基幹と一体運用)
日本の商習慣・会計基準・グループ連結や内部統制に標準で対応し、経費の申請・承認・精算を購買や会計と同じ基盤で運用できる提供元です。複雑な承認経路や大量の伝票を扱う大企業で、作り込みを抑えつつ経費まで一体化したい場合に適します。
7. OBIC7(オービックセブン)(株式会社オービック)

株式会社オービックが自社で開発から導入・運用までを手がける統合基幹業務システムで、会計・人事給与・販売・生産などを必要な部門から段階的に組み合わせられるコンポーネント型のERPです。250業種・29,000社を超える導入実績(シリーズ全体の累計)を公表しています。
経費を含む各種の伝票は承認ワークフローで処理でき、売上や仕入などの業務データは会計へ自動で仕訳される会計一体型の設計です。開発から運用サポートまでを代理店に委ねず自社のエンジニアが一貫して担当するため、導入後の制度対応や問い合わせの窓口が分かれにくい点も特徴です。
提供形態はオンプレミスに加え、顧客専用環境を構築するプライベートクラウド型も用意されています。料金は公開されておらず、利用人数や導入する業務範囲に応じた個別見積りとなります。
8. GRANDIT(インフォコム株式会社)

複数の企業が共同で企画した国産の統合型ERPで、開発・保守をインフォコム株式会社が担います。販売・購買・在庫・生産、経理・資産・経費、債権・債務、人事・給与までを一つの基盤でカバーし、最新版は「コンポーザブルERP GRANDIT V4」として提供されています。
経費は会計系のモジュール(経理・資産・経費)の一部として扱い、伝票の現場入力から承認までを標準のワークフローで管理します。承認は金額基準による権限設定や代理承認にも対応し、内部統制を支える機能として各業務モジュールに組み込まれています。
導入・カスタマイズ・保守は国内70社以上のプライムパートナーが手がける体制で、業種や個別要件に合わせた作り込みに対応します。導入実績は公式サイトで1,500社以上とされ(基準時点の記載なし)、料金は要問い合わせです。
9. HUE(ヒュー)(株式会社ワークスアプリケーションズ)

「日本の大手企業のための、AI搭載型ERP」を掲げる、株式会社ワークスアプリケーションズの統合基幹業務システムです。会計(AC)とサプライチェーン(SCM)を中核に、AIエージェントや業務アプリ開発基盤を必要な領域から段階的に導入できます。
経費精算は会計領域の機能(HUE Expense)として用意され、購買・調達や販売の業務データと同じ基盤で扱えます。領収書や請求書をAI-OCRで読み取って入力を自動化する仕組みを備えています。
導入実績は2,400社以上で、ITRの調査では年商1,000億円以上の国内会計業務ERP市場においてベンダー別売上金額シェア1位(2025年度予測)と発表されています。保守料の範囲内でバージョンアップが提供されるため、大規模な更改費用を抑えやすい点も特徴です。料金は処理件数や導入領域に応じた個別見積りです。
10. PROACTIVE(プロアクティブ)(SCSK株式会社)

1993年の発売以来、会計・人事給与・販売管理・生産管理を1系統でカバーしてきた、SCSK株式会社の国産統合型ERPです。2024年11月に生成AI支援機能を中核へ据えた「PROACTIVE」として刷新されました。
経費は会計領域の機能として扱い、精算から会計への反映までを同じ基盤で処理できます。Microsoft Teams上で経費精算や承認を進められるAIエージェント「PROACTIVEコンシェルジュ」も提供され、申請・承認の手間を減らす方向で機能を広げています。
対象は年商100億円以上の中堅〜大企業と公式に示され、SaaS・オンプレミス・IaaSを業務領域ごとに組み合わせる「ハイブリッド導入」にも対応します。導入実績は7,500社超(製品系譜全体の累計)で、初期費用は公式FAQで2,000万円からが目安とされ、正確な金額は個別見積りです。
11. Biz∫(ビズインテグラル)(株式会社NTTデータ・ビズインテグラル)

ワークフロー基盤「intra-mart」を土台に、会計・販売購買・人事給与までを統合する、株式会社NTTデータ・ビズインテグラルの国産ERPパッケージです。必要なモジュールとユーザー数の組み合わせで購入でき、一般会計だけなど最小単位からの段階導入にも対応します。
経費精算は会計フロント業務を担う「Biz∫フロント」で扱い、申請・承認はintra-mart基盤のワークフローで構築します。承認された経費や販売購買のデータを会計と同じ基盤で処理できるため、部門をまたぐ転記の手間を抑えられます。
主な対象は年商500億円以上の大手企業で、サブスクリプション型の「Biz∫Optima」により中堅企業へも間口を広げています。デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査では大手企業向けERPパッケージ部門で2025年度の年間出荷本数1位と発表され、採用実績は2,000社を突破しています(2025年12月時点)。料金は要問い合わせです。
12. SuperStream-NX(キヤノンITソリューションズ株式会社)

財務会計と人事給与を中核に、中堅〜大企業で30年以上使われてきた、キヤノンITソリューションズ株式会社の国産バックオフィス基盤です。公式サイトでは11,000社以上の導入実績を掲げています(集計時点の記載なし)。
経費精算は会計ソリューションの一機能として用意され、公式の説明によると入力した精算データがそのまま支払データとして反映される統合会計との連携を備えます。支払管理では、支払方法にかかわらず設定した勘定科目で支払仕訳が自動で作成されます。
オンプレミス(エンジン/パッケージ)とクラウド提供型から選べ、導入・運用支援は全国の販売パートナーが担います。そのためサポート内容や料金はパートナーごとに異なり、正確な費用は見積りが必要です。
外資系グローバルERP(多通貨・各国制度に対応した経費管理)
多言語・多通貨・各国の会計基準に標準対応し、海外拠点を含めて経費・立替・出張費を一体管理できる提供元です。グローバルにグループ経営を行う企業で、国をまたいだ経費と会計を同じ基盤で扱いたい場合に向きます。導入は代理店(パートナー)経由が中心です。
13. Oracle NetSuite(日本オラクル株式会社)

財務会計から販売・購買・在庫、CRMまでを単一のクラウド基盤に統合した統合型ERPです。公式サイトによれば200か国以上で利用され、27以上の言語と190以上の通貨に対応します(2026年10月時点の公式情報)。海外拠点を含めて会計と業務データを同じ基盤で扱える点が、グローバルにグループ経営を進める企業に向いています。
海外子会社の連結機能「OneWorld」では、複数の子会社・事業部門・法人を1つのERPで管理し、リアルタイムの通貨換算と財務統合に対応します。経費や工数の申請・承認から精算、総勘定元帳への反映まではERP標準の経費管理機能で扱え、案件別の工数・経費の深掘りはプロジェクト管理機能(SuiteProjects)が担います。
料金は会社規模に応じたベースライセンスに、利用ユーザー数とデータストレージ量を組み合わせて決まり、金額は個別見積もりです。導入やカスタマイズは認定パートナー経由になることが多く、問い合わせ窓口の体制もあわせて確認しておくと安心です。
14. Oracle Fusion Cloud ERP(日本オラクル株式会社)

大企業やグローバルグループでの導入が中心のクラウドERPスイートです。日本オラクル株式会社が提供し、財務・調達・プロジェクト管理・リスク管理などを同じ基盤でカバーします。財務プロセスには生成AIやAIエージェントを組み込む方針が公式に案内されています。
財務領域には会計・売掛買掛・集金に加えて経費管理・収益管理が含まれ、経費を会計と同じ基盤で扱えます。国内外のグループ経営を見据えた採用が多く、JTBグループは国内23社・海外31社の計54社、兼松はグループ33社を対象に導入したと日本オラクルが発表しています。
導入は日本IBMやTISといったシステムインテグレーターが支援する事例が公表されています。料金は公開されておらず、利用規模や業務範囲に応じた見積もりを取る形になります。
15. Microsoft Dynamics 365 Finance(日本マイクロソフト株式会社)

57の国・地域と67言語に対応する大企業向けのクラウドERPです。財務計画・会計・決算・税務管理から、見積もりから入金までの一連の業務までを1つの基盤で扱い、CopilotによるAI支援も組み込まれています。
経費の申請・承認から精算、総勘定元帳への転記までを扱う経費管理機能が公式ドキュメントで案内されており、承認ワークフローやクレジットカード明細の取り込み、モバイルからの申請にも対応します。ただし、日本のインボイス制度・電子帳簿保存法への対応や国内カード会社との連携可否は公式情報では確認できないため、導入時にパートナーへの確認が必要です。
料金はユーザー単位の月額で、Dynamics 365 Financeが31,484円、上位のFinance Premiumが44,977円(いずれも年払い相当・税抜)です。初期費用は公式価格ページに記載がなく、導入パートナーの見積もりによります。
16. Microsoft Dynamics 365 Business Central(日本マイクロソフト株式会社)

中小〜中堅規模の企業を主な対象とする、Microsoftのクラウド型ERPです。財務・販売・購買・在庫・プロジェクトを1製品で扱い、複数通貨・多言語・会社間取引といったグローバル対応の機能を備えます。
経費・販売注文・買掛金といった業務にAIエージェントを用意し、Outlook・Excel・Teamsとも連携します。財務から在庫までをEssentialsの単一プランで包括できるため、必要な業務から一体で始めやすい構成です。
料金はユーザー単位の月額(年払い相当・税別)で、Essentialsが11,994円、上位のPremiumが16,491円、閲覧・承認が中心のTeam Membersが1,199円です。30日間の無料トライアルも用意されています。
17. Workday Financial Management(Workday株式会社)

人事(HCM)領域で知られるWorkday社が、人事と同じ基盤の上で提供する財務会計製品です。大企業・エンタープライズを主な対象とし、総勘定元帳・買掛売掛・固定資産管理から収益・キャッシュ管理までを備えます。
グローバル連結処理とリアルタイム連結、常時監査に対応し、人事と財務を同一のプラットフォームで扱える点が特徴です。AIによる例外検知や、会計監査エージェント・収益契約管理エージェントも用意されています。公式サイトでは、ガートナーのマジック・クアドラント(2024年)でリーダーに選出されたと訴求しています。
経費管理は別のモジュールとして用意されており、機能の詳細は問い合わせで確認する形です。料金は公開されておらず、要お問い合わせとなります。
18. IFS Cloud(IFS Japan株式会社)

スウェーデンのIFS社が提供するクラウドERPです。基幹業務のERPに加え、設備資産管理(EAM)と現場サービス管理(FSM)を単一のプラットフォームで扱える点が、他のERPと異なる特徴です。
製造・エネルギー・航空宇宙・防衛・建設など、工場や設備といった現場資産を多く抱える資産集約型の産業を主な対象としています。日本ではNECが1997年からのパートナーとして導入の多くを担い、2024年にはワークスアプリケーションズとの業務提携も発表されています。
財務会計を含む基幹機能を同じ基盤で運用できますが、経費管理の詳細や日本での提供形態・料金は公開されていないため、問い合わせで確認する形になります。導入はNECなどのパートナー経由が中心です。
プロジェクト経費・原価管理に強いERP(案件別の経費を採算に直結)
工数・外注費・交通費などの経費を案件(プロジェクト)単位で予定・実績の原価に組み込み、赤字プロジェクトをリアルタイムに防ぐことに強い提供元です。IT・広告・建設・コンサルティングなど、案件ごとの採算管理が経営の要になる事業に適します。
19. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

東証プライム市場に上場する株式会社オロが提供する、IT・広告・コンサルティングなど案件単位で業務が進むプロジェクト型業種に特化した統合型クラウドERPです。販売管理・購買管理・勤怠/工数管理・経費管理・管理会計を一つの基盤に統合します。
工数管理では、担当者が案件と作業項目を指定して工数を入力すると、その工数が自動的に案件別の労務費として集計されます。外注費・仕入・経費もそれぞれ案件に紐付き、直接作業は指定案件へ直課、間接作業は部門配下の案件へ再配賦する形で、案件別の損益をリアルタイムに確認できます。
販売管理・購買管理・勤怠工数管理・経費管理などの機能は、必要なライセンスだけを選んで導入し、導入後に増減もできる方式です。初期費用はZAC初期設定費用10万円、データセンター利用料は月額6万円から(ライセンス数により変動)で、モジュール別の単価は製品資料で確認します。電子帳簿保存法・インボイス制度には自動アップデートで対応します。
20. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

プロジェクト型ビジネスの工数・原価を軸に据えたクラウド型ERPで、株式会社ビーブレイクシステムズが提供します。システム開発・SES・コンサルティング向けの「V ver.」と広告業向けの「A ver.」があり、案件単位の収支管理には主に前者が対応します。
日々の工数登録をもとに、メンバーごとに設定した基準時間の単価と作業時間を掛け合わせて労務費を算出し、外注費・経費とあわせて案件原価に反映します。月別に原価の予算と実績をグラフで対比でき、予算超過の要因が経費か外注費かまで切り分けて確認できます。間接費の配賦基準には、工数・人数・売上高のほか面積や机の数といった情報も設定できます。
提供形態は、人数と機能で料金が変わる「SaaS」、人数によらず定額の「一括」、その中間の「SaaS+」の3種類から選べます。料金は公式サイトで非公開のため、利用人数と機能を前提に見積もりを取る形です。帳票レイアウトや項目の追加はノーコードで変更でき、ISO/IEC 27001とクラウドセキュリティ認証を取得しています。
21. Reforma PSA(株式会社オロ)

同じ株式会社オロが提供するReforma PSAは、ZACの機能を案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化した製品です。公式の比較では従業員50名以下を目安とし、初期費用0円・月額3万円(税抜)から、導入期間1〜2か月を掲げています。
従業員がプロジェクトと作業内容ごとに工数を入力すると、労務費配賦計算によって案件原価へ反映され、外注費や経費もあわせて案件ごとに管理できます。経費はプロジェクト別に登録・精算でき、オプションで「駅すぱあと」と連携します。実行予算を入力しておけば、仕掛中の案件でも予定と実績の差を追えます。
料金は機能別ライセンスの積み上げで、販売管理6,000円・購買管理2,000円・勤怠管理300円・経費管理300円(いずれも1ユーザーあたりの月額)といった単価を人数分だけ組み合わせます。会計システムへは勘定奉行クラウドなどに固定フォーマットのファイルで仕訳データを出力します。導入実績は500社以上と公式サイトに記載があります。
22. プロカン(株式会社PROCAN)

株式会社PROCANが提供するクラウド型のプロジェクト収支管理システムで、案件ごとに予算・実績・工数・外注費・経費を集約します。IT・システム開発向けの「プロカンIT」、制作・広告向けの「プロカン制作」、建設・工事向けの「プロカン建設工事」と、業種別に3つのラインナップがあります。
社内の工数は「工数×労務単価」で人件費に換算し、外注費などの社外コストとあわせて案件ごとの粗利を可視化します。Googleカレンダーと連携して予定から工数入力を支援する機能や、経費精算システム「楽楽精算」と連携して経費を案件ごとに自動で振り分ける機能も備えます。
見積・請求・発注・経費精算書などの帳票作成からデジタル稟議・承認までを一連の入力でつなげます。料金は初期費用150,000円(税込165,000円)から、月額30,000円(税込33,000円)からで、利用人数に応じて変動します。弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードとの会計連携に対応し、IT導入補助金の対象として案内されています。
2026年のインボイス・電子帳簿保存法・生成AIと経費管理
経費管理をERPで一体化するかを考えるうえで、経費にも関わる制度・技術の動向を押さえておくと、提供元選びの判断材料になります。
電子帳簿保存法では、電子取引(メールやWebでやり取りした請求書・領収書など)のデータ保存が原則として義務化されています。ただし「相当の理由」がある場合の猶予措置も設けられているため、自社の対応状況は国税庁の公式情報で確認するのが確実です。経費の証憑を電子で受け取る機会が増えるなか、ERPや経費管理機能が電子取引データの保存要件やスキャナ保存にどこまで対応しているかは、確認しておきたい点です。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)では、仕入税額控除を受けるために適格請求書の保存が必要で、経費として処理する課税仕入れも対象になります。免税事業者等からの課税仕入れに関する経過措置は段階的に縮小していく方向で、適用される控除割合や期限は改正を経て見直されています。
最新の割合・期限は国税庁の公式情報で確認してください。経費精算の段階で取引先の登録状況や税区分を正しく扱えるかは、ERPの経費管理機能を選ぶ際の確認項目になります。
制度への対応の深さは製品で差があります。国産のクラウドERPはインボイス制度や電子帳簿保存法への対応を公式に掲げる製品が多い一方、海外系のERPでは国内制度や国内の法人カードへの対応が明示されていない場合があります。自社に必須の制度対応が標準で備わるかは、各製品の資料や後掲の比較表で確かめてください。
技術面では、生成AIで領収書から経費明細を自動作成したり、カード取引と照合したりする機能を備える製品が増えています。大企業向け統合ERPや外資系ERPの一部がこうしたAI機能を掲げており、対応状況は各製品の個別紹介や比較表で確認できます。制度対応やAI機能の正確な範囲は、導入前に提供元と公式情報の双方で確かめることをおすすめします。
出典・参考資料(3件)
- 参考資料:電子帳簿保存法の内容|国税庁
- 参考資料:インボイス制度の概要|国税庁
- 参考資料:免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置の見直し|国税庁
よくあるご質問(FAQ)
Q. ERPの経費管理とは何ですか?
A. ERPの経費管理とは、交通費・出張費・交際費などの申請・承認・精算から会計仕訳への反映までを、会計や購買と同じ基盤で扱う仕組みです。経費精算の専用システムが申請から精算までを独立して完結させるのに対し、ERP内蔵の経費管理は、精算データがそのまま総勘定元帳の仕訳や支払データへつながる点が違いです。
モバイル申請・領収書OCR・法人カード連携・承認経路の設定・案件別の経費割り当てなど、どこまで標準で備えるかは提供元によって幅があります。
Q. 経費管理は、経費精算の単体ツールとERP内蔵のどちらを選ぶべきですか?
A. 経費精算だけを早く効率化したいなら単体ツール、会計や購買を含めて基幹を刷新し経費まで一体で運用したいならERP内蔵の経費管理が向いています。単体ツールは導入が速く申請画面の使い勝手に優れる一方、会計との連携作業や立替金の消込・証憑の突合がシステムの境目に残ります。
経費の金額規模が大きく、部門別・案件別の採算をリアルタイムに把握したい企業ほど、ERPで会計・購買と一体化する利点が大きくなります。
Q. 経費管理まで含めたERPの費用相場はどのくらいですか?
A. 経費管理まで含めたERPの費用は提供形態と利用規模で大きく変わり、クラウド型は初期費用を抑えてユーザー数や機能に応じた月額で利用でき、オンプレミス型や大企業向けは初期の構築費用が数百万〜数千万円規模になることもあります。
経費管理に関しては、経費精算が会計モジュールに標準で含まれるのか、別ライセンスのオプションになるのかで総額が変わります。多くの製品は料金を公開しておらず、利用人数・拠点数・必要な業務範囲を前提に見積もりを取るのが確実です。
Q. 経費管理まで一体化できるERPの導入期間はどのくらいかかりますか?
A. 標準機能を中心に使うクラウド型なら数ヶ月、カスタマイズや他システム連携、大規模な基幹刷新を伴う場合は半年から年単位まで幅があります。導入する業務範囲、拠点数、既存システムからの移行や承認経路の作り込みの量によって期間は変わります。短期で立ち上げたい場合は、標準機能の範囲でスモールスタートできる製品を候補にすると、稼働までを早めやすくなります。
Q. ERPの経費管理でも領収書OCRや法人カード連携、インボイス・電子帳簿保存法に対応できますか?
A. 対応する製品は多いものの、標準機能か有償オプションか、連携できるカード会社や会計の範囲などは提供元によって異なります。クラウド型のERPでは、領収書のAI-OCR読み取りや電子帳簿保存法・インボイス制度への対応を備える製品が増えています。
一方、海外系のERPでは日本のインボイス制度や国内カード会社との連携が公式に明示されていない場合もあるため、自社で必要な機能が標準に含まれるかを、資料や問い合わせで確かめることをおすすめします。
Q. ERPで案件(プロジェクト)別の経費を原価管理できますか?
A. プロジェクト経費に強いタイプのERPなら、工数に基づく労務費・外注費・交通費などの経費を案件単位の予定原価・実績原価に組み込み、赤字プロジェクトをリアルタイムに把握できます。経費の申請・承認を案件コードにひもづけ、購買の発注や工数と同じ基盤で原価へ反映する仕組みがあるかどうかが分かれ目です。
IT・広告・建設・コンサルティングなど案件採算が経営の要になる事業では、この点を比較軸に加えると、自社に合う提供元を絞りやすくなります。
Q. 経費管理まで一体化できるERPの導入に使える補助金はありますか?
A. 中小企業では、ソフトウェアの導入費用の一部を補助するIT導入補助金が代表的で、対象として案内されているERP・業務システムもあります。ただし補助の対象製品・枠・補助率・申請期間は年度によって見直されます。利用を検討する場合は、各製品が対象かどうかと、補助金の最新の公募要領を公式情報で確認してください。
まとめ:経費管理の一体化という軸で提供元を絞る
経費管理まで一体で扱えるERPは、提供元のタイプごとに向き不向きが分かれます。会計を軸にスモールスタートしたい成長企業は中堅・中小向けクラウドERP、複雑な承認経路と大量の伝票を抱える大企業は大企業向け統合ERP、海外拠点の経費を多通貨で束ねたい企業は外資系グローバルERP、案件別の採算が経営の要になる事業はプロジェクト経費に強いERPが出発点になります。
そのうえで、経費がどこまで会計・購買と一体で流れるか(比較表の「会計への自動反映」列)と、領収書OCR・法人カード連携・モバイル申請など自社に必須の機能が標準で備わるかを、候補の資料で確かめるのが近道です。気になる提供元の資料をまとめて取り寄せ、横並びで比較してみてください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















